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審決分類 審判 全部無効 外観類似 無効としない W0311
審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない W0311
審判 全部無効 観念類似 無効としない W0311
審判 全部無効 称呼類似 無効としない W0311
管理番号 1314513 
審判番号 無効2013-890070 
総通号数 198 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2016-06-24 
種別 無効の審決 
審判請求日 2013-10-04 
確定日 2016-05-06 
事件の表示 上記当事者間の登録第5529410号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5529410号商標(以下「本件商標」という。)は、「ジェルシェ」の片仮名を標準文字により表してなり、平成24年4月25日に登録出願、第3類「化粧品,つけづめ」及び第11類「紫外線照射ランプを利用した爪用ジェル硬化用の家庭用美容器具,その他の美容用又は衛生用の家庭用電熱用品類,紫外線照射ランプを利用した爪用ジェル硬化用の業務用美容器具,その他の美容院用又は理髪店用の機械器具(「椅子」を除く。)」を指定商品として、平成24年9月4日に登録査定、同年10月19日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
請求人が請求の理由において引用する商標は、以下の2件であり(以下、これら商標を総称して「引用商標」という。)、いずれも現に有効に存続しているものである。
1 登録第5310765号(以下「引用商標1」という。)は、別掲に示すとおりの構成よりなり、2009年(平成21年)7月8日にアメリカ合衆国においてした商標の登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、平成21年11月19日に登録出願され、第3類「ネイルケア用化粧品,化粧品」を指定商品として、平成22年2月16日に登録査定、同年3月19日に設定登録されたものである。
2 登録第5461532号(以下「引用商標2」という。)は、「GELISH」の欧文字を標準文字により表してしてなり、平成23年6月27日に登録出願、第3類「ネイルケア用化粧品,化粧品」を指定商品として、同年11月15日に登録査定、平成24年1月6日に設定登録されたものである。

第3 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録は無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第27号証を提出した。
1 本件商標の商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標と引用商標との類否について
本件商標は、「ジェルシェ」の文字を標準文字により表してなるものであるから、これより「ジェルシェ」の称呼を生じる。一方、引用商標1は図案化された「gelish」の文字からなるものであり、引用商標2は「GELISH」の文字を標準文字により表してなるものであるから、いずれも当該文字に相応して「ジェリシュ」の称呼を生ずる。
本件商標の「ジェルシェ」の称呼と引用商標の「ジェリシュ」の称呼を比較するに、両者は、商標の称呼識別において重要な位置を占める語頭の「ジェ」の音を共通にするものである。相違する「ル」と「リ」の音は、明瞭に聴取し難い中間に位置するばかりでなく、子音の「r」を共通にする同行音であって近似する音である。さらに、相違する「シェ」と「シュ」は、子音を共通にし、語尾音であることと相俟って明確に聴取し難い程の近似音であるから、本件商標と引用商標は、これらを一連に称呼した場合は、全体の語調語感が近似し、互いに聴き誤るおそれのある類似する称呼を生ずるというべきものである。
観念においては、両商標は、いずれも、特定の観念を生じるものではないから、両者は観念上比較し得ないものである。
してみれば、本件商標と引用商標は、観念において比較し得ないものであり、称呼において類似するものであるから、互いに相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
(2)指定商品について
本件商標の指定商品中第3類「化粧品」と引用商標の指定商品中の「ネイルケア用化粧品,化粧品」とは、同一又は類似の商品である。
(3)結論
本件商標と引用商標とは称呼が近似する類似の商標であり、その指定商品も同一又は類似する商品である。
2 本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について
請求人が持ち株会社となる「Hand & Nail Harmony,Inc.」は、商品「gelish」について引用商標1を広く使用し今日に至っており(甲4)、日本でも販売され有名になっている(甲5)。また、「gelish」は日本で大々的に宣伝広告されており(甲6ないし甲27)、特に、2009年から2010年にかけて、すでに日本で宣伝広告されている(甲10ないし甲12)。
したがって、本件指定商品の分野の需要者は、「ジェルシェ」の文字からなる本件商標が、本件指定商品について使用された場合には、請求人の業務に係る商品と出所の混同を生ずるおそれがあることは明らかである。
3 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してなされたものであり、無効とすべきである。

第4 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第3号証を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標と引用商標との対比について
本件商標と引用商標1とを対比すると、両者の外観は明らかに違っており、外観上類似していない。また、本件商標の外観は引用商標2の外観とも明らかに違っており、外観上類似していない。
本件商標の「ジェルシェ」の語は、特定の意味を有さない造語であるから、本件商標から特定の概念が生じないのに対し、引用商標1の「gelish」及び引用商標2の「GELISH」の各語も、特定の意味を有さない造語であるから、各引用商標からも特定の観念は生じない。したがって、本件商標と引用商標とは、観念において比較し得ないものであり、観念上も非類似である。
引用商標の称呼については、引用商標1の「gelish」における「lish」の部分及び引用商標2の「GELISH」における「LISH」の部分は、日本人によく知られた英単語の「fish」を「フィッシュ」、「wash」を「ウォッシュ」、「dish」を「ディッシュ」、「bush」を「ブッシュ」、「dash」を「ダッシュ」、「mesh」を「メッシュ」とそれぞれ発音されることから、「リッシュ」の称呼を生ずるとみるのが自然であるから、引用商標は、いずれも全体として「ジェリッシュ」又は「ゲリッシュ」の称呼を生じる。
また、請求人の提出した証拠等においても「gelish」を「ジェリッシュ」と表している。
したがって、引用商標からはいずれも「ジェリッシュ」の称呼を生ずる。
そして、本件商標の「ジェルシェ」の称呼と引用商標の「ジェリッシュ」の称呼を比較すると、両者は語頭の第1音の「ジェ」の音を共通にするものの、全体が促音を含めて3音と比較的短い構成であり、中間の第2音において「ル」と「リッ」の差異を有し、しかも、後者は「リ」の音が促音を伴うことにより抑揚を伴った語調として聴取される。そのうえ、語尾の第3音においても「シェ」と「シュ」の差異を有しており、「シェ」と「シュ」は母音の「e」と「u」とが相違するものである。この二つの母音は、原則として近似しない母音とされており、前者の「シェ」は明瞭かつ強く、後者の「シュ」は不明瞭で弱く、それぞれ発音される。
以上のことから、本件商標と引用商標とをそれぞれ一連に称呼するとき、全体の語調、語感を異にするもので、両者は相紛れるおそれはなく、明瞭に識別し得る。
したがって、本件商標は引用商標と称呼においても類似していない。
なお、本件商標と引用商標の場合と同様に、中間の「ル」と「リッ」の音に差異を有する商標が互いに類似すると判断された審決例(乙1)、また、母音の「e」と「u」は原則として近似しないと判断した審決例(乙2)、さらに、4音構成からなる称呼において、第2音の「ル」と「リ」、第4音の「エ」と「ア」とが相違する称呼において聞き誤るおそれはないと判断された審決例(乙3)が存在する。
請求人は、引用商標から「ジェリシュ」の称呼を生ずると認定したうえで、本件商標と引用商標とは称呼において類似すると結論づけているが、引用商標からは「ジェリッシュ」の称呼を生ずるものであり、請求人の主張は誤った判断のもとに行われたものであるから認められるものではない。仮に引用商標から「ジェリシュ」の称呼が生ずるとしても、本件商標と引用商標とは第2音の「ル」と「リ」、第3音の「シェ」と「シュ」において差異を有するものであり、これらの差異音が3音という短い音構成よりなる両称呼全体に及ぼす影響は極めて大きいものといわなければならず、両称呼を一連に称呼するも全体の語調語感が異なっており、称呼上聞き誤るおそれはない。
(2)まとめ
以上のことから、本件商標は引用商標と外観、観念、称呼のいずれにおいても類似していない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しないものである。
2 商標法第4条第1項第15号該当性について
商標法第4条第1項第15号にいう「混同を生ずるおそれ」の有無は、当該商標と他人の表示との類似性の程度、他人の表示の周知著名性及び独創性の程度や、当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし、当該商標の指定商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断されるべきである(最高裁平成10年(行ヒ)第85号最高裁判決)。
(1)本件商標と引用商標1との類似性について
上記で述べたとおり本件商標は引用商標と外観、観念、称呼のいずれにおいても類似しておらず、両者は互いに相紛れるおそれのない非類似の商標である。
(2)引用商標1の周知著名性について
商標法第4条第1項第15号は、商標登録出願の時にその条項に該当しないものについては、その規定は適用されないものであるところ(商標法第4条第3項)、引用商標1の周知著名性を立証するために請求人が提出した甲第4号証ないし甲第27号証には、周知著名性を立証するのに適正でない資料、具体的には日付の表示がない資料や本件商標の出願日以降の日付が表示されている資料が多く含まれている。
ア Hand & Nail Harmony,Inc.のウェブページ(甲4)には日付の表示がなく周知著名性を立証する資料にはなり得ない。
イ 「gelish」は日本でも販売され有名になっているとして提示したウェブページ(甲5)には日付の表示がなく周知著名性を立証する資料にはなり得ない。
ウ 「gelish」が日本で大々的に宣伝広告されていることを立証する資料(甲6ないし甲27)を提示しているが、特に2009年から2010年にかけて、すでに日本で宣伝広告されているとして提示した資料(甲10ないし甲12)を除くいずれの資料も、日付の表示がなかったり、日付の表示があっても不明確であったり、本件商標の出願日(平成24年4月25日)以降の日付が表示されていたりするなど、引用商標1の周知著名性を立証する資料として不適切なものである。
エ ネイルズユニークサロンの広告の写し(甲6)ネイルズユニークサロンのメニューの写し(甲7)を提出しているが、「ネイルズユニークサロン」とはいかなるものかが不明であり、いずれも広告日、発行日などの日付の表示はなく、また、配布部数も不明であるから、これらは周知著名性を立証する資料にはなり得ない。
オ ネイルズユニークの商品カタログの写し(甲8)は、配布の時期や配布部数が不明であり、ジェリッシュ ソークオフジェルの広告の写し(甲9)も広告の時期が不明であるので、いずれも引用商標1の周知著名性を立証する資料にはなり得ない。
カ 雑誌「NAIL MAX」の写し(甲10)、「ビューティーワールドジャパン」プレビューブックの写し(甲11)はいずれも発行年が2010年を推測させる記載は存在するが、発行部数などは明らかでない。また、会報誌「Natiful NAIL NEWS」VOL.83(甲12)は、「発行/2010年5月」の表示があるが、発行部数や配布先などの詳細は不明である。
キ 広告の写し(甲13ないし甲17)は、いずれも日付の表示はなく、広告の時期が不明であるから、これらは引用商標1周知著名性を立証する資料にはなり得ない。
ク 審判請求書にジェリッシュの記事とある資料(甲18)は、日付はもとより何に掲載された記事であるのかも不明である。
ケ 雑誌の写し(甲19ないし甲24)は、いずれの発行日も本件商標の出願日(平成24年4月25日)以降の2013年であり(甲21は2012年?2013年)、引用商標1の周知著名性を立証する資料として不適切である。
コ 広告の写し(甲25ないし甲27)は、いずれの広告も表示されている日付が本件商標の出願日(平成24年4月25日)以降の2013年であり、引用商標1の周知著名性を立証する資料として不適切である。
以上のことから明らかなように、請求人が提出した甲第4号証ないし甲第27号証の大多数が、引用商標1の周知著名性を立証するのに適切でない資料、具体的には日付の表示がない資料や本件商標の出願日以降の日付が表示されている資料である。そして残りの証拠資料(甲10ないし甲12)についても、本件商標の登録出願前にいくつかの雑誌に商品の広告が掲載されたことを単に示しているにすぎず、引用商標1の周知著名性を立証するには不十分である。これら(甲10ないし甲12)をもって、本件商標の商標登録出願時に引用商標1が使用されていたという事実が認められ、周知または著名に至っていたと推認することはできない。
(3)まとめ
以上のことから、引用商標1は本件商標の商標登録出願時において周知または著名であったということはできず、また、本件商標と引用商標1とは非類似の商標であり、その類似性の程度は極めて低いというべきであるから、本件商標をその指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者がその出所について混同を生じるおそれはないというべきである。
したがって、本件商標の登録は商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものではない。
3 結論
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当しないことが明らかである。

第5 当審の判断
1 本件商標の商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、上記第1のとおり、「ジェルシェ」の片仮名を標準文字により表してなり、その構成文字に相応して「ジェルシェ」の称呼を生ずる。
そして、本件商標を構成する文字は、特定の意味を有する既成語とは認められないものであるから、特定の観念を生じないものというべきである。
(2)引用商標について
上記第2のとおり、引用商標1は、多少図案化された「gelish」の欧文字からなり、また、引用商標2は、「GELISH」の欧文字を標準文字により表してなるものであるところ、それぞれ、その構成文字に相応して、「ジェリッシュ」又は「ゲリッシュ」の称呼が生じるというのが自然である。
この点について、請求人は、引用商標からは「ジェリシュ」の称呼が生ずると述べているが、引用商標のように一種の造語といえる欧文字の称呼については、我が国で親しまれている英語の発音に倣って称呼するのが自然といえるところ、その構成中、後半の「lish(LISH)」の文字部分が、例えば、英語の「English」、「foolish」及び「publish」の語において「lish」の部分を「リッシュ」と発音することに倣って、引用商標からは「ジェリッシュ」あるいは「ゲリッシュ」の称呼が生じるというのが相当である。なお、提出された甲各号証においても、引用商標は「ジェリッシュ」として紹介されていることが認められる。
そして、引用商標を構成する文字は、特定の意味を有する既成語とは認められないものであるから、引用商標は、特定の観念を生じることはないというべきである。
(3)本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標の構成は、それぞれ、上記(1)及び(2)のとおりであるところ、本件商標が片仮名で構成されているのに対して、引用商標1は欧文字と図形により構成されていて、引用商標2は欧文字で構成されていることから、本件商標と引用商標とは、構成文字及び図形の有無において明らかに相違し、外観上、明確に区別し得るものである。
次に、称呼については、本件商標は、上記(1)のとおり「ジェルシェ」の称呼が生じ、また、引用商標は、上記(2)のとおり、「ジェリッシュ」及び「ゲリッシュ」の称呼が生ずるものである。
そして、本件商標から生ずる「ジェルシェ」の称呼と引用商標から生ずる「ジェリッシュ」の称呼を比較すると、両者は語頭の「ジェ」の音を共通にするものの、その後に続く「ルシェ」と「リッシュ」の部分において差異を有し、相違する「ル」と「リッ」の音、「シェ」と「シュ」の音は、どちらも母音を異にする音であり、しかも前者は「リ」の音が促音「ッ」を伴うことにより比較的強く発音されることから、かかる差異が称呼全体に与える影響は大きく、それぞれを一連に称呼するときは全体の音感・音調が異なり、明瞭に区別することができるものである。
また、本件商標から生ずる「ジェルシェ」の称呼と引用商標から生ずる「ゲリッシュ」の称呼を比較しても、いずれも3音という短い音構成において、称呼において重要な語頭における「ジェ」と「ゲ」の音に差異を有し、その後に続く「ル」と「リッ」の音、「シェ」と「シュ」の音も異なるものであり、両者は称呼において明らかな差異を有することから、それぞれを一連に称呼しても音感・音調が異なり、互いに聴別し得るものといえる。
さらに、観念については、本件商標と引用商標は、いずれも特定の意味を有する既成語ではなく、特定の観念を生ずるものではないから、両商標は、観念において比較し得ないものであり、紛れるおそれがあるということはできないものである。
そうすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても、相紛れるおそれがない非類似の商標というべきである。
(4)小括
したがって、本件商標と引用商標とは、相紛れるおそれがない非類似の商標であるから、たとえ、その指定商品が同一又は類似のものであったとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第15号について
(1)引用商標の著名性について
請求人は、引用商標の著名性を証する証拠方法として甲第4号証ないし甲第27号証を提出し、請求人の持ち株会社「Hand & Nail Harmony,Inc.」が、そのウェブサイトにおいて掲載する商品に引用商標1を使用し、「gelish」は日本でも販売され有名になっていると主張し(甲4,5)、また、「gelish」は日本で大々的に宣伝広告され(甲6ないし甲27)、特に2009年から2010年にかけて、日本で宣伝広告されていると主張している(甲10ないし甲12)。
ア 甲第4号証は、請求人が「Hand & Nail Harmony,Inc.のウェブページの写し」とする書面であり、中央に「Gelish」の文字が記載され、化粧用の容器と思しき商品に引用商標1が付されていることが認められるものの、ウェブサイトのURL及びこの情報が掲載された日付等は表示されていない。
イ 甲第5号証は、インターネット通販サイト「楽天市場」における「gelish」の文字の検索結果を平成25(2013)年4月15日にプリントアウトしたものであり、これよりは、「楽天市場」において「Gelish」又は「gelish」の文字が説明部分に表示されている化粧品と思しき商品が45件存在することが確認できるものの、これらの商品がいずれの者による使用であるのか不明であり、請求人により提供された商品か否か明らかでない。
ウ 甲第6号証ないし甲第9号証は、「Hand & Nail Harmony,Inc.」の日本総代理店と表示されている株式会社ネイルズユニークオブジャパンによる「ネイルズユニークサロン」の広告の写し(甲6)、同サロンのメニューの写し(甲7)、同サロンの商品カタログの写し(甲8)及び広告の写し(甲9)であり、それぞれ引用商標1がネイルケア用化粧品の容器等に表示されていることが認められるものの、これらの広告及びカタログは、具体的な頒布事実(時期、場所、数量等)が不明である。
エ 甲第10号証及び甲第19号証ないし甲第24号証は、雑誌に掲載された株式会社ネイルズユニークオブジャパンによる広告の写しであり、引用商標1がネイルケア用化粧品の容器等に表示されている。甲第10号証は平成22(2010)年6月23日発行の雑誌「ネイルMAX」であり、甲第19号証は平成25(2013)年発行の雑誌「ネイルヴィーナス」であり、甲第20号証は発行年月日が不明の雑誌「ネイルヴィーナス」であり、甲第21号証は平成24(2012)年発行の雑誌「スタイリッシュネイル」であり、甲第22号証は平成25(2013)年発行の雑誌「ネイルヴィーナス」であり、甲第23号証は平成25(2013)年4月23日発行の雑誌「ネイルMAX」であり、甲第24号証は平成25(2013)年1月23日に発行された雑誌「ネイルUP!」であることが確認できるが、これら雑誌の発行部数等具体的な内容は不明である。
オ 甲第11号証は、東京ビッグサイトにおいて平成22(2010)年5月17日?19日の期間開催されたビューティワールドジャパンのプレビューブックの写しであり、平成22(2010)年3月30日現在、平成22(2010)年5月17日に株式会社ネイルズユニークオブジャパンがセミナーを開催する旨の記載があり、これには引用商標1がネイルケア用化粧品の容器等に表示されているが、当該プレビューブックの頒布部数、頒布場所等の具体的な内容は不明である。
カ 甲第12号証は、平成22(2010)年5月発行のNPO法人日本ネイリスト協会による会報誌「Natiful NAILNEWS Vol.83」に、株式会社ネイルズユニークオブジャパンによるジェルネイルの広告の写しである。これには、引用商標1が本文及びジェルネイルの容器に表示されているものの、当該会報誌の頒布部数等具体的な内容は不明である。
キ 甲第13号証、甲第15号証及び甲第16号証は、株式会社ネイルズユニークオブジャパンによるネイル関連商品の広告の写しであり、甲第13号証には引用商標1が表示されており、また、甲第15号証及び甲第16号証には「Gelish」の文字が表示されているものの、当該広告は、具体的な頒布事実(時期、場所、数量等)が不明である。
ク 甲第14号証及び甲第25号証ないし甲第27号証は、株式会社ネイルズユニークオブジャパンによる「Nails Unique Fashion Tour」と題する広告の写しであり、引用商標1又は「gelish」の文字が表示されていることが認められるものの、これら広告の頒布部数等具体的な内容は不明である。
ケ 甲第17号証は、「ネイルズユニークカレッジ」によるセミナーの案内と思しき資料であり、引用商標1が表示されていることが認められるものの、請求人と「ネイルズユニークカレッジ」の関係を示すものや内容についての具体的な説明はない。
コ 甲第18号証は、請求人が「ジェリッシュ 記事(写し)」とする書面であるが、何ら具体的な説明はなく、また、出典も不明である。
以上、請求人提出の甲各号証により、引用商標がネイルケア用化粧品について使用されていることは認められるとしても、引用商標を使用した商品の売上高、市場占有率等は不明であり、例えば、雑誌への広告については、その雑誌の種類も数種類に限られ、発行日に関しては、甲第10号証を除き本件商標の登録査定後のものや確認できないものもあり、また、その発行部数も不明である。さらに、その他提出されたカタログ及び広告等についても、頒布の時期、場所、数量等が確認できないことから、これら甲各号証よりは、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時に請求人の業務に係る商品を表示するものとして取引者、需要者の間に広く認識されているものとは認めることができない。
(2)出所の混同のおそれ
引用商標は、上記(1)のとおり、我が国の需要者の間において著名となっているということはできないものであり、しかも、本件商標と引用商標とは、上記1のとおり、相紛れるおそれがない非類似の商標であって、別異の商標であるから、本件商標をその指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者が、該商品が請求人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く連想、想起するということはできない。
そうすると、本件商標は、その指定商品について使用しても、その商品の出所について混同を生ずるおそれはない。
(3)小括
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
3 むすび
本件商標は、以上のとおり、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反して登録されものではないから、同法第46条第1項の規定に基づき、その登録を無効とすべきでない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(引用商標1)


審理終結日 2015-12-03 
結審通知日 2015-12-08 
審決日 2015-12-25 
出願番号 商願2012-33071(T2012-33071) 
審決分類 T 1 11・ 271- Y (W0311)
T 1 11・ 261- Y (W0311)
T 1 11・ 262- Y (W0311)
T 1 11・ 263- Y (W0311)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 津金 純子 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官
堀内 仁子
小松 里美
登録日 2012-10-19 
登録番号 商標登録第5529410号(T5529410) 
商標の称呼 ジェルシェ 
代理人 特許業務法人はるか国際特許事務所 
代理人 鈴木 由充 
代理人 小石川 由紀乃 

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