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審判番号(事件番号) データベース 権利
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不服201513765 審決 商標
不服20159313 審決 商標
不服201516550 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商4条1項7号 公序、良俗 登録しない W16374142
管理番号 1314488 
審判番号 不服2015-11525 
総通号数 198 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2016-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-06-18 
確定日 2016-04-25 
事件の表示 商願2012-65415拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「内装監理士」の文字を標準文字で表してなり、第16類、第37類及び第41類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成24年8月10日に登録出願され、その後、指定商品及び指定役務については、原審における同25年2月25日付けの手続補正書により、第16類「書籍・雑誌を含む出版物及び新聞」、第37類「テナントビルの内装工事,テナントビルの内装工事の監理,テナントビルの内装工事に関する助言・指導・相談」、第41類「テナントビルの内装監理に関する資格試験の実施及び資格の認定,テナントビルの内装監理に関する知識又は技能の教授,テナントビルの内装監理に関するセミナーの企画・運営又は開催,テナントビルの内装監理に関する電子出版物の提供,テナントビルの内装監理に関する図書及び記録の供覧,テナントビルの内装監理に関する書籍の制作」及び第42類「テナントビルの内装設計の監理,テナントビルの設計に関する助言・指導・相談」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『内装監理士』の文字を表してなるところ、一般に『○○士』の文字は、『弁護士、弁理士』等のように、国家、地方公共団体若しくはこれらの機関又は公益に関する団体が認定する資格であることを容易に認識させるものである。そして、『内装監理』の文字が『入店者の店舗づくりを総合的に監理し、施設全体の調和を図り、安全で魅力的な施設を創造するよう調整・指導すること』程の意味合いを表すものとして使用され、種々の施設の『内装監理』が行われていることをうかがい知ることができる。また、建築に関する国家資格として『建築設備士』のような『建築設備について、設計及び工事監理に関する適切なアドバイスを行うもの』や、『建築施工管理技士』のような『監理技術者として施工計画を作成し、工事を管理し、内装仕上工事まで、各工程の品質維持・安全管理をするもの』がある。そうとすれば、このような国家資格等と一見紛らわしく誤認を生ずるおそれのあるものを一出願人が商標として採択することは、国家資格等の制度に対する社会的信頼を失わせ、ひいては公の秩序を害するおそれがあり穏当でない。したがって、この本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審においてした審尋
当審において、請求人に対し、平成27年10月5日付けで通知した審尋の内容は、要旨次のとおりである。
(1)本願商標は、「内装監理士」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、「内装監理」の文字が、「商業施設等において、テナントの工事を円滑に進めるために、内装の設計と工事に関する調整や指導を行う業務」程の意味合いを表すものとして使用されている実情があり、また、末尾の「士」の文字は、「一定の資格・役割をもった者」の意味を有する語であることから、「内装監理士」の文字は、「商業施設等において、テナントの工事を円滑に進めるために、内装の設計と工事に関する調整や指導を行う資格・役割をもった者」程を表すものと容易に理解、認識させるものといえる。
そして、建築工事に関する国家資格には、「建築設備士」や、「建築施工管理技士」のように、複雑化した工事を円滑に施行するために、工事全体を監理し、調整や指導を行う国家資格が現存していることからすれば、「内装監理士」の文字は、建築工事に関するこれらの国家資格等と、その業務や内容において相紛らわしく誤認を生ずるおそれがあるものといえるから、これを、一出願人が商標として採択することは、公の秩序を害するおそれがあり、穏当ではなく、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものと判断される。
(2)請求人は、平成27年6月18日付けの審判請求書において、「内装監理士」に関する法人団体の設立準備中であり、理事長が決まり次第、設立が可能な状況にあり、該団体が設立され次第、本願商標の名義を該団体に変更する予定である旨主張するところ、当該団体が、当該認定機関等と認めるに足る団体であることを裏付ける証拠(例えば、関係法令等である「消防法」に規定されている機関であること、又は、その他監督官庁が認める実質的な機関であることを証する書面)を提出されたい。

4 審尋に対する請求人の回答
請求人は、前記3の審尋に対して、平成27年11月18日付けの回答書において、要旨以下のように述べている。
(1)審尋(1)について
本願商標の指定商品及び指定役務は、第16類の書籍等の他に、第37類、第41類、第42類の商業施設等の「内装」に特化した設計と工事に関する調整や指導等に関する役務を指定している。これに対し、「建築設備士」及び「建築施工管理士」とは、具体的な業務内容が異なる。このため、本願商標「内装監理士」の文字は、国家資格である「建築設備士」及び「建築施工管理士」の業務や内容において相紛らわしく誤認を生じるおそれはない。よって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
(2)審尋(2)について
団体の設立に関する打合せをした議事録を添付した。この議事録には、団体の設立時期(2015年(平成27年)12月中)、理事長の内定、東京消防庁の協力等が記載されている。議事録には、内装監理士が消防署に相談に来た際にスムースな対応ができるようにする旨の記載がある。この記載から、設立予定の団体が内装監理士の認定機関に関する実質的な機関であることを間接的に表していると思慮する。また、団体の設立に関しては、上記設立時期及び理事長の内定の他に、名義変更手続きを行う意思があることの確認書面(譲渡確認書面)を添付した。
(3)結び
設立予定の団体が、国家資格等の認定機関等に相当する団体であることを証明する書面に替えることはできないが、設立予定の団体が2015年(平成27年)12月中に設立される予定だと聞いている。このため、審理の終結時期を、団体の設立予定時期及び不測事態を考慮して、2016年(同28年)1月29日まで延期されたい。

5 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第7号該当性について
本願商標は、「内装監理士」の文字を標準文字で表してなるところ、前記3の審尋で示したとおり、「商業施設等において、テナントの工事を円滑に進めるために、内装の設計と工事に関する調整や指導を行う資格をもった者」程の意味合いを容易に看取されるところ、建築工事に関する国家資格には、「建築士法」に基づく「建築設備士」や「建設業法」に基づく「建築施工管理技士」等が現存していることから、建築工事に関する新たな国家資格の一つを表すものとして、理解されるものといえる。
そうとすれば、本願商標は、これを一私人である出願人(請求人)が商標として採択し、その指定商品及び指定役務に使用することは、上記国家資格等に対する社会的信頼を失わせ、公の秩序を害するおそれがあり、穏当ではなく、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。
(2)請求人の主張
ア 請求人は、本願の指定役務は、商業施設等の「内装」に特化した設計と工事に関する調整や指導等に関する役務を指定しているものであるから、国家資格である「建築設備士」及び「建築施工管理士」とは、具体的な業務内容が異なるため、その業務や内容において相紛らわしく誤認を生じるおそれはない旨、主張する。
しかしながら、「内装監理」の文字が、「商業施設等において、テナントの工事を円滑に進めるために、内装の設計と工事に関する調整や指導を行う業務」程の意味合いを表すものとして使用されている実情であり、末尾の「士」の文字は、「一定の資格・役割をもった者」の意味を有する語であることから、「内装監理士」の文字は、「商業施設等において、テナントの工事を円滑に進めるために、内装の設計と工事に関する調整や指導を行う資格・役割をもった者」程を表すものと容易に理解、認識させるものといえるものであり、さらに、本願の指定役務を取り扱う業界においても、工事全体を監理し、調整や指導を行う国家資格が現存していることからすれば、本願商標からは、建築工事に関する国家資格の一つを表すものと認識されるというのが相当である。
したがって、請求人の上記主張は採用することができない。
イ 請求人は、「内装監理士」に関する法人団体の設立準備中であり、該団体が設立され次第、本願商標の名義を該団体に変更する予定であり、本件審理の終結を、2016年(平成28年)1月29日まで、延期されたい。」旨、主張する。
しかしながら、その後、相当の期間を経過する現在に至るも、前記団体に関する手続がされていない。
してみると、請求人は、本願商標である「内装監理士」に関する国家資格等の認定機関等に該当する団体ということができない。
したがって、請求人の上記主張は採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標を商標法第4条第1項第7号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2016-02-22 
結審通知日 2016-02-26 
審決日 2016-03-15 
出願番号 商願2012-65415(T2012-65415) 
審決分類 T 1 8・ 22- Z (W16374142)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 榎本 政実早川 真規子 
特許庁審判長 金子 尚人
特許庁審判官 大井手 正雄
田中 亨子
商標の称呼 ナイソーカンリシ、ナイソーカンリ 
代理人 誠真IP特許業務法人 

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