• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W2425
管理番号 1314435 
審判番号 無効2015-890058 
総通号数 198 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2016-06-24 
種別 無効の審決 
審判請求日 2015-07-16 
確定日 2016-04-18 
事件の表示 上記当事者間の登録第5735102号商標の商標登録無効審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 登録第5735102号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5735102号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲に示すとおりの構成からなり,平成26年8月1日に登録出願,同年11月13日に登録査定がされ,第24類「タオル,織物,布地,フェルト及び不織布,布製身の回り品,布団,ふきん」及び第25類「水着,ビーチサンダル,被服,洋服,靴,履物,運動用特殊靴,運動用特殊衣服,ベルト,バンド」を指定商品として,同27年1月23日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由を要旨次のように述べた。
1 請求の理由
本件商標は,商標法第4条第1項第10号,同項第11号,同項第15号及び同項第19号に該当するから,同法第46条第1項第1号に基づき,その登録は無効にすべきである。
2 具体的な理由
(1)「WINNIE THE POOH(くまのプーさん)」の周知・著名性
ア 「WINNIE THE POOH(くまのプーさん)」は,世界中で,最も象徴的で,そして最も愛されているくまのぬいぐるみである。
1926年,イギリスの劇作家アレン・アレクサンダー・ミルンは息子のために作った物語「くまのプーさん」を発表した。ウォルト・ディズニー・カンパニーの設立者であるウォルト・ディズニーは,1961年に「くまのプーさん」に関する映画化権を獲得した。そして,その後の5年の歳月にわたる懸命な努力が,最初の中編アニメーション映画「WINNIE THE POOH AND HONEY TREE(プーさんとはちみつ)」(1966年)に結実した。
その後も請求人は,「WINNIE THE POOH(くまのプーさん)」を主人公とする「WINNIE THE POOH AND THE BLUSTERY DAY(プーさんと大あらし)」(1968年),「WINNIE THE POOH AND TIGGER TOO(プーさんとティガー)」(1974年),「WINNIE THE POOH AND DAY FOR EEYORE(プーさんとイーヨーのいち日)」(1983年),「THE TIGGER MOVIE(ティガー・ムービー プーさんの贈りもの)」(2000年)等の映画を製作してきた。
また,請求人は,映画のほか,テレビアニメ「新くまのプーさん」も製作した。当該テレビアニメは,1988年から1991年にかけて放映された。日本では,1995年4月7日から1996年3月29日までの金曜7時35分にテレビ東京のミッキー・キッズ枠において放映された。さらに,2004年11月15日から2007年9月30日までディズニー・チャンネルにおいて放映された。現在は,全国無料BSテレビ局であるディーライフにおいて放映されている。
イ 東京ディズニーランド内には,映画「くまのプーさん」をテーマにしたライド型アトラクションである「プーさんのハニーハント(POOH’S Hunny Hunt)」が設けられている。
当該アトラクションは,2000年9月1日にオープンした。オープン当時,キャラクターとしての「くまのプーさん」は大変人気があり,当該アトラクションは長蛇の列を作る人気アトラクションになり,480分待ちを記録することもあった。ファストパスが導入された現在においてもファストパスを取得するのに数十分単位の待ち時間が発生しており,未だ人気は衰えない。
当該アトラクションは,2013年における人気アトラクションランキング及びこの夏(2013年)もっとも混雑しているアトラクションランキングでいずれも第4位であった。
2013年上期の東京ディズニーランドの入園者数は15.9%増の1535万9000人と過去最高を記録した。
当該アトラクション内において,プーさんに関する各種キャラクター商品が販売されている。
ウ 「WINNIE THE POOH(くまのプーさん)」は,以下に示すとおり,各種キャラクターランキングにおいて上位にランクされている。
(ア)子供の好きなキャラクター:第6位(2011年)
(イ)ディズニーの好きなキャラクター:第3位(2013年5月)
(ウ)子供が選ぶ人気キャラクター:第8位(2013年6月)
(エ)母親が選ぶ人気キャラクター:第4位(2013年6月)
(オ)女性(3?59歳)によるディズニーキャラクター好感度ランキング:第1位
(カ)大人の男女が好きなくまのキャラクターランキング:第1位
(キ)女性(16?19歳)からの商品欲求度ランキング:第1位
エ さらに,請求人は,いわゆるディズニーキャラクターを使用した商品化事業を行っている者として極めて著名であることは特許庁においても顕著な事実であると思料する。
キャラクター「WINNIE THE POOH(くまのプーさん)」についてもこれまでに,印鑑ケース,買い物バッグ,ケーキ,クッキー,玄関マット,エプロン,マグカップ,ハンドルカバー,カーシートカバー,ミニタオル,おむつ,スマートフォン用ケース等の様々な商品が販売されてきた。
当該キャラクター商品には,「WINNIE THE POOH」の文字が表されているもの,くまのプーさんのキャラクターが描かれているもの,「POOH」や「ラブ&Pooh」の文字が表されているもの,くまのプーさんのキャラクターとともにハートの図形が描かれているもの及び赤いハートの図形中に「pooh」の文字が表されているもの等が存在する。
2002年に「キャラクター・データバンク」が実施した,赤ちゃんから30代までを対象とした購入キャラクター商品の調査では,「くまのプーさん」が第1位となっている。全国のディズニーストアによる売上げでも,「くまのプーさん」が首位であり,ライセンス別のキャラクター商品のシェア率でも,ミッキーマウスの45パーセントに対し,プーさんは48パーセントと上回った。このプーさん人気は,日本だけに留まらず,本場アメリカでも同じ現象がみられ,1998年にプーさんのグッズの売上額がはじめてミッキーマウスを抜いたのである。
オ 2014年11月13日から12月25日までの間,丸の内及び横浜みなとみらいにおいて,日本初のクリスマス・プロモーションイベントである「DISNEY TIMELESS STORY」が開催された。当該イベントにおいて,「WINNIE THE POOH(くまのプーさん)」のブースは新東京ビル内に設けられ,「LOVE」の文字が表されたハート型のクッションを抱いたくまのプーさんのぬいぐるみが展示された。
カ このように,「WINNIE THE POOH(くまのプーさん)」のキャラクターは日本において,本件商標の登録出願日のはるか前から現在に至るまで長年にわたって親しまれてきた。
また,「WINNIE THE POOH」,「POOH」,「ラブ&Pooh」及び赤いハートの図形中に「pooh」の文字を表したキャラクター商品並びにくまのプーさんのキャラクターやくまのプーさんのキャラクターとともにハートの図形が描かれたキャラクター商品が,長年にわたり販売されてきた。
キ このような状況下,本件商標の登録出願日のはるか前から現在に至るまで,「WINNIE THE POOH(くまのプーさん)」のキャラクターが多くの人々に広く知られた存在となっていること,及び「WINNIE THE POOH」,くまのプーさんのキャラクター,「POOH」,「ラブ&Pooh」,赤いハートの図形中に「pooh」の文字を表したもの並びにくまのプーさんのキャラクター及びハートの図形が各種キャラクター商品について周知・著名商標となっていることは明らかである。
(2)商標法第4条第1項第10号に関する主張
ア 上記したとおり,「WINNIE THE POOH」,くまのプーさんのキャラクター,「POOH」,「ラブ&Pooh」,赤いハートの図形中に「pooh」の文字を表したもの並びにくまのプーさんのキャラクター及びハートの図形が各種キャラクター商品について周知・著名商標となっている。
イ 本件商標と請求人の商標との類否
(ア)請求人が販売してきたキャラクター商品中「ミニタオル(Mini Towel)」には,「pooh」の文字を表した商標が表示されている。
しかして,「ミニタオル」に表示された商標からは,「pooh」の文字部分より「プー」の称呼が生ずる。
一方,本件商標は,別掲のとおりの構成よりなるところ,外観上「i」と「pooh」に分離して認識され得る。また,「商標審査基準」(商標法第3条第1項第5号)によればローマ字の1字は識別力なしとされることから,本件商標中の「i」部分の識別力はないか極めて弱いといえる。
しかして,本件商標は,その要部である「pooh」部分から「プー」の称呼が生ずる。よって,本件商標は,「ミニタオル」に表示された商標と「プー」の称呼を共通にする類似の商標である。
(イ)「商標審査基準」(商標法第4条第1項第10号)によれば,「需要者の間に広く認識された他人の未登録商標と他の文字又は図形等とを結合した商標は,その外観構成がまとまりよく一体に表されているもの又は観念上の繋がりがあるものを含め,原則として,その未登録商標と類似するもの」とされる。
本件商標は,請求人の著名商標「pooh」と他の文字及び図形を結合した商標である。
特に,本件商標中の「pooh」の語は,「ふん,ばかな」という意味を有する英単語であるが,日本人に広く知られた英単語ではなく,「pooh」の語は重要度の最も低いDランク付けされていることからも明らかである。しかも,プーさんのキャラクター商品が長年にわたり我が国で販売されてきたことから,「pooh」は請求人の出所を表示する標識として極めて強い出所表示力を有するものである。よって,「pooh」の語に接する者は,常にこれを請求人との関係で認識すると言っても過言ではない。しかして,本件商標は,請求人の著名商標と類似するといえる。
ウ 「ミニタオル」と本件商標の指定商品中第24類「タオル,布製身の回り品」とは,類似する商品である。
エ よって,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第11号に関する主張
ア 請求人は,その所有に係る次の登録商標(以下,これらをまとめて「引用商標」という。)を引用する。
(ア)登録第4556757号商標
商標の態様 POOH(標準文字)
出願日 平成13年6月7日
設定登録日 平成14年4月5日
指定商品 第16類,第25類及び第28類に属する商標登録原簿に記載の商品
(イ)登録第4788006号商標
商標の態様 POOH(標準文字)
出願日 平成15年8月26日
設定登録日 平成16年7月16日
指定商品及び指定役務 第9類及び第41類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務
(ウ)登録第5129323号商標
商標の態様 POOH(標準文字)
出願日 平成18年9月6日
設定登録日 平成20年4月18日
指定商品及び指定役務 第9類,第16類,第28類及び第41類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務
(エ)登録第5233049号商標
商標の態様 POOH(標準文字)
出願日 平成18年8月1日
設定登録日 平成21年5月22日
指定商品 第3類,第14類,第16類,第18類,第20類,第21類,第24類,第29類,第30類及び第32類に属する商標登録原簿に記載の商品
イ 以上のとおり,引用商標は,本件商標よりも先願に係る登録商標であり,また,両者の指定商品は抵触する。
ウ 本件商標と引用商標との類似性について
上記(2)で述べたとおり,本件商標は,その要部である「pooh」部分から「プー」の称呼が生ずる。
一方,引用商標は,ローマ字「POOH」からなるから「プー」の称呼が生ずる。
したがって,本件商標は,引用商標と「プー」の称呼を共通にする類似の商標である。
エ 「商標審査基準」(商標法第4条第1項第11号)によれば,「指定商品又は指定役務について需要者の間に広く認識された他人の登録商標と他の文字又は図形等と結合した商標は,その外観構成がまとまりよく一体に表されているもの又は観念上の繋がりがあるものなどを含め,原則として,その他人の登録商標と類似するもの」とされる。
本件商標は,請求人の著名商標「pooh」と他の文字及び図形を結合した商標である。
しかして,本件商標は,引用商標と類似するといえる。
オ よって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第15号に関する主張
ア 本号の「混同を生ずるおそれ」の有無は,当該商標と他人の表示との類似性の程度,他人の表示の周知著名性及び独創性の程度や,当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質,用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として,総合的に判断されるべきである(最高裁 平成10年(行ヒ)第85号)。
イ 本件商標と請求人の周知・著名表示との対比
(ア)上記(3)と同様の理由により,本件商標は,請求人の周知・著名表示である「POOH」と類似する。
また,上記(1)のとおり,本件商標中の「pooh」の語は,請求人の出所を表示する標識として極めて強い出所表示力を有するものであり,「pooh」の語に接する者は,常にこれを請求人との関係で認識すると言っても過言ではない。
さらに,上記(1)エ及びオのとおり,請求人がくまのプーさんに係る多種のキャラクター商品を多数販売等してきた状況下においては,需要者・取引者が,ハートの図形,「pooh」及び「アイ ラブ プー」の文字をその構成中に含んだ本件商標に接した場合には,本件商標から請求人の周知・著名表示である「Pooh」,「ラブ&Pooh」並びにくまのプーさんのキャラクター及びハートの図形を連想,想起する可能性は極めて高いというべきである。
(イ)「商標審査基準」(商標法第4条第1項第15号)によれば,他人の著名な商標と他の文字又は図形等と結合した商標は,その外観構成がまとまりよく一体に表されているもの又は観念上の繋がりがあるものなどを含め,原則として,商品又は役務の出所の混同を生ずるおそれがあるものと推認して,取り扱われる。
本件商標は,請求人の著名商標「pooh」と他の文字及び図形を結合した商標であるから,本件商標は請求人の業務と出所の混同を生じさせるおそれがあると推認されるものである。
なお,本号は,他人の周知・著名商標のみならず,他人の周知・著名な表示と出所の混同を生ずるおそれのある商標の登録を排除する規定であるから,「商標審査基準」の当該規定は,「他人の著名な商標」のみならず,「他人の著名な表示」にも適用されるべきである。
ウ 本件商標の指定商品と請求人の業務に係る商品等との関連性
請求人は,いわゆるディズニーキャラクターを使用した商品化事業を行っている者としても極めて著名であり,くまのプーさん(WINNIE THE POOH)はそのようなキャラクターの代表的なものである。
我が国における,くまのプーさんのキャラクター商品は,被服,靴類,玩具,日用雑貨,食品,家具,電化製品,かばん類,文具等,一般人の日常生活に深い関係を有する幅広い分野の商品に使用されている。
本件商標の指定商品は,そのすべてが一般人の日常生活に深い関係を有する商品である。
したがって,これらは,くまのプーさんのキャラクター商品にとって極めて密接な関係を有する商品である。
エ 以上のような状況下において,請求人の周知・著名表示である「pooh」をそのまま含む本件商標がその指定商品に使用されれば,当該商品はあたかも請求人又はその関連会社の関与する商品であるかのようにその出所につき誤認・混同を生じさせることは明らかである。
よって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。
(5)商標法第4条第1項第19号に関する主張
ア 「POOH」及び赤いハートの図形中に「pooh」の文字を表したものが各種キャラクター商品について請求人の周知・著名商標となっていること及び本件商標が請求人の周知・著名商標と類似することは,上記したとおりである。
イ 「WINNIE THE POOH(くまのプーさん)」のキャラクターが多くの人々に広く知られた存在となっていること,「WINNIE THE POOH」,くまのプーさんのキャラクター,「POOH」,「ラブ&Pooh」,赤いハートの図形中に「pooh」の文字を表したもの並びにくまのプーさんのキャラクター及びハートの図形が各種キャラクター商品について請求人の周知・著名商標となっていること,並びに本件商標中の「pooh」の語が請求人の出所を表示する標識として極めて強い出所表示力を有することに鑑みれば,赤色のハートの図形及び「pooh」の文字を含む本件商標が「WINNIE THE POOH(くまのプーさん)」と無関係に採択されたとは到底考えられず,請求人の「WINNIE THE POOH(くまのプーさん)」及び「pooh」が有する顧客吸引力を利用しようとするものであることは容易に看取される。
本件商標が請求人の商品と無関係の商品に使用されれば,「WINNIE THE POOH(くまのプーさん)」のキャラクターに愛情をもって接してきた需要者はこれによって欺かれる結果となり,長年にわたり注意深くそのキャラクター商品の品質維持に努めてきた請求人の信用・イメージが大きく損なわれることは見易い道理である。したがって,本件商標の使用は,「不正の目的」を有するというべきである。
ウ よって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当する。
(6)件外無効審判について
請求人は,本件無効審判のほかに,登録第5573996号商標に対し無効審判(無効2015-890022)を請求し,このほど,上記無効審判について,登録第5573996号商標は,商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから,同法第46条第1項の規定に基づき,その登録を無効とすべきものである,との審決を得た。
本件商標は上記商標と酷似していること及び請求人が本件商標の指定商品の分野においても商品化事業を行っていることに鑑みれば,本件商標も商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は,何ら答弁していない。

第4 当審の判断
1 「POOH」の文字(語)について
(1)証拠及び請求人の主張並びに職権調査によれば,次の事実が認められる。
ア 請求人は,1966年に,くまのぬいぐるみを主人公とするアニメーション映画「WINNIE THE POOH AND HONY TREE」を制作した(甲3)。
イ 当該映画は,我が国において,「くまのプーさん」のサブタイトルの下,1977年にビデオ制作された(甲3)。
ウ 2000年9月に,請求人の関連会社(株式会社オリエンタルランド)が運営する東京ディズニーランドに,上記映画の主人公をテーマとするアトラクション「POOH’S Hunny Hunt」がオープンし,同アトラクションは「プーさんのハニーハント」と称されている(甲7?甲11)。同アトラクションの「POOH’S Hunny Hunt」の表示は,「POOH’S」の文字が他の文字の2倍以上の大きさで表されている(甲7,甲8)。
エ 同アトラクションは,本件商標の登録出願の日後であるが,2013年の東京ディズニーランドの人気アトランクションランキング,及び2013年夏に混雑しているアトラクションランキングで,いずれも第4位であった(甲10,甲11)。
また,東京ディズニーランド内には,設置時期は確認できないが,「Pooh」の文字が表された人形等の上記主人公に関する商品が販売される店舗「POOH CORNER」が設置されている(甲12)。
オ 東京ディズニーランドの入場者数は,「POOH’S Hunny Hunt(プーさんのハニーハント)」がオープンした平成12年度(2000年度)は1,730万人であり,翌年度からは併設された東京ディズニーシーの入場者と合わせた人数であるが,平成13年度(2001年度)が2,205万人,本件商標が登録出願された平成24年度(2012年度)は2,750万人,平成26年度(2014年度)は3,138万人であった(職権調査:株式会社オリエンタルランドのホームページ)。
カ 「くまのプーさん」は,2002年の購入キャラクター商品調査で第1位であり,2011年の好きなキャラクターについての調査では,子供で第6位,大人で第1位であった(甲13,32)。
また,本件商標の登録出願の日後であるが,2013年6月には,「ディズニーキャラクターで好きなもの」で「プー(くまのプーさん)」が第3位に,「キャラクターと子供マーケット調査」で「くまのプーさん」が,子供で第8位,母親(3歳?12歳の子供を持つ)で第4位であった(甲14,15)。
キ 「くまのプーさん」に係る商品は,2012年の初め頃に,ぬいぐるみ,バッグ,カップ,カーペット,クッションなどが紹介され(甲16),本件商標の登録出願の日後においても,化粧品,紙おむつ,時計,スリッパ,トレーナー,ドレス,ブーツ,パジャマ,カステラ,カーテン,タオル,アルバム,はさみなど多種にわたる商品が販売されている(甲18?27等)。
そして,「くまのプーさん」に係る商品は,2002年に「キャラクター・データバンク」が実施した,赤ちゃんから30代までを対象とした購入キャラクター商品の調査で第1位であった(甲32)ことから,同年以前から多種の商品が販売されていたことが推認できる。
(2)上記(1)認定の事実によれば,アニメーション映画の主人公であるくまのぬいぐるみの「WINNIE THE POOH」は,我が国では「くまのプーさん」と呼ばれ,本件商標の登録出願の日前から,請求人のキャラクターとして,我が国の需要者の間に極めて広く認識され,その認識は本件商標の登録査定日はもとより,現在も継続しているものと認められる。
そして,該キャラクター「くまのプーさん」は,2000年に1,700万人が入場した東京ディズニーランドにおいて,人気のアトラクションである「POOH’S Hunny Hunt(プーさんのハニーハント)」などで「POOH」と表記されていること(上記(1)ウ?オ),ウェブページで「プー(くまのプーさん)」と表されていること(上記(1)カ)を併せ考慮すれば,「POOH」の文字(語)は,本件商標の登録出願日及び登録査定日はもとより,現在も継続して請求人の業務に係る商品又は役務を表示するもの(キャラクター)として,我が国の需要者の間に広く認識されているものと判断するのが相当である。
2 商標法第4条第1項第15号について
(1)本号の判断基準について
商標法第4条第1項第15号における「混同を生ずるおそれ」の有無は,当該商標と他人の表示との類似性の程度,他人の表示の周知著名性及び独創性の程度,当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質,用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし,当該商標の指定商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として,総合的に判断されるべきである(最高裁平成10年(行ヒ)第85号,同12年7月11日第三小法廷判決)。
以下,これに沿って判断する。
(2)本件商標
本件商標は,別掲のとおり,「i」と「pooh」の各文字と,その間に赤色のハートの図形及び下段に小さく「アイ ラブ プー」の文字からなるものであり,その構成文字に相応し「アイラブプー」の称呼を生じ,「私は,プー(pooh)が好きです」の意味合いを認識させるものである。
そして,上記1(2)のとおり,「POOH」の文字(語)は,本件商標の登録出願日及び登録査定日はもとより,現在も継続して請求人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして我が国の需要者の間に広く認識されているものであること,本件商標の構成中「pooh」の文字が「POOH」の文字を小文字で表したものであること,及び「pooh」の文字は,本来の英語の意味が広く知られているものとは認め難いことを併せみれば,本件商標からは「私は,(請求人のキャラクターとしての)くまのプー(pooh)さんが好きです」の観念を生じるものというのが相当である。
(3)当該商標と他人の表示との類似性の程度
本件商標は,上記(2)のとおり,「私は,(請求人のキャラクターとしての)くまのプー(pooh)さんが好きです」の観念を生じるものであるから,他人の表示である請求人の表示(POOH)との類似の程度は高いものというべきである。
(4)他人の表示の周知著名性及び独創性の程度
上記1(2)のとおり,「POOH」の文字は,本件商標の登録出願日及び登録査定日はもとより,現在も継続して請求人の業務に係る商品又は役務を表示するもの(キャラクター)として,我が国の需要者の間に広く認識されているものである。また,該文字は,英語の既成語であるが我が国において親しまれた語ではなく,請求人のキャラクターを認識させるものであるから,独創性が低いものとはいえない。
(5)当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質,用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情
本件商標の指定商品は,第24類「タオル,織物,布地,フェルト及び不織布,布製身の回り品,布団,ふきん」及び第25類「水着,ビーチサンダル,被服,洋服,靴,履物,運動用特殊靴,運動用特殊衣服,ベルト,バンド」であり,他方,請求人の業務に係る商品は,請求人のキャラクター「プー(pooh)」に係る商品だけでも上記1(1)キのとおり,本件商標の登録出願の日前から多種にわたるものと推認でき,また両者に共通する商品も少なくないから,両者の商品の関連性の程度は強く,また取引者及び需要者を共通にする場合が少なくないものといえる。
(6)上記の事情を考慮し,本件商標の指定商品の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として総合的に判断すれば,本件商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,これをその指定商品について使用した場合,これに接する需要者をして,請求人のキャラクター「プー(pooh)」,すなわち,いわゆる「くまのプーさん」を連想・想起させ,その商品が請求人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように,その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。
そして,他にこれを覆し得る取引の実情等は見いだせない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。
3 むすび
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから,その余の請求の理由について判断するまでもなく,同法第46条第1項の規定に基づき,その登録を無効とすべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲 本件商標

(色彩については,原本参照。)



審理終結日 2016-02-17 
結審通知日 2016-02-22 
審決日 2016-03-08 
出願番号 商願2014-64713(T2014-64713) 
審決分類 T 1 11・ 271- Z (W2425)
最終処分 成立 
前審関与審査官 齋藤 貴博 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 田中 幸一
田村 正明
登録日 2015-01-23 
登録番号 商標登録第5735102号(T5735102) 
商標の称呼 アイラブプー、アイプー、イプー、プー 
代理人 辻居 幸一 
代理人 熊倉 禎男 
代理人 松尾 和子 
代理人 井滝 裕敬 
代理人 中村 稔 
代理人 藤倉 大作 
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社   サービスに関しての問い合わせ