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審決分類 審判 査定不服 商品(役務)の混同 登録しない W29303233
管理番号 1314424 
審判番号 不服2015-14700 
総通号数 198 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2016-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-08-06 
確定日 2016-04-08 
事件の表示 商願2013-91335拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願標章
本願標章は、別掲のとおりの構成よりなり、第29類、第30類、第32類及び第33類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として、登録第5600157号商標(以下「原登録商標」という。)の防護標章として、平成25年11月21日に登録出願、その後、指定商品については、当審における同27年8月24日受付の手続補正書により、第29類「食用油脂(「綿実油・キャノーラ油」を除く。),乳製品,食肉,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),冷凍野菜,冷凍果実,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物,豆,食用たんぱく」、第30類「アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,食品香料(精油のものを除く。),茶,紅茶,コーヒー,ココア,氷,菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,調味料(「みそ・ラーメンスープ」を除く。),香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,コーヒー豆,かゆ,穀物の加工品,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,パスタソース,酒かす,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用グルテン,食用粉類」、第32類「清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,ビール製造用ホップエキス,乳清飲料」及び第33類「中国酒,薬味酒」と補正されたものである。

第2 原登録商標
原登録商標は、本願標章と同一の態様からなり、平成24年2月16日に登録出願、第32類「ビール風味の麦芽発泡酒」を指定商品として、同25年7月19日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第3 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願標章は、原登録商標が、商品『ビール風味の麦芽発泡酒』について、需要者間において知られていることは認められるとしても、本願の指定商品において、商品の出所の混同を生じさせる程に需要者間に広く認識されているものとは認められない。したがって、本願標章は、商標法第64条に規定する要件を具備しない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第4 当審の判断
1 商標法第64条第1項について
防護標章登録制度に係る商標法第64条第1項は、「商標権者は、商品に係る登録商標が自己の業務に係る指定商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている場合において、その登録商標に係る指定商品及びこれに類似する商品以外の商品又は指定商品に類似する役務以外の役務について他人が登録商標の使用をすることによりその商品又は役務と自己の業務に係る指定商品とが混同を生ずるおそれがあるときは、そのおそれがある商品又は役務について、その登録商標と同一の標章についての防護標章登録を受けることができる」旨規定する。
そして、「同項の規定は、原登録商標が需要者の間に広く認識されるに至った場合には、第三者によって、原登録商標が、その本来の商標権の効力(商標法第36条、同法第37条)の及ばない非類似商品又は役務に使用されたときであっても、出所の混同をきたすおそれが生じ、出所識別力や信用が害されることから、そのような広義の混同を防止するために、『需要者の間に広く認識されている』商標について、その効力を非類似の商品又は役務について拡張する趣旨で設けられた規定である。そして、防護標章登録においては、1.通常の商標登録とは異なり、商標法第3条、同法第4条等が拒絶理由とされていないこと、2.不使用を理由として取り消されることがないこと、3.その効力は、通常の商標権の効力よりも拡張されているため、第三者の商標の選択、使用を制約するおそれがあること等の諸事情を総合考慮するならば、商標法第64条第1項所定の『登録商標が・・・需要者の間に広く認識されていること』との要件は、当該登録商標が広く認識されているだけでは十分ではなく、商品や役務が類似していない場合であっても、なお商品役務の出所の混同を来す程の強い識別力を備えていること、すなわち、そのような程度に至るまでの著名性を有していることを指すものと解すべきである。」(知財高裁平成21年(行ケ)第10198号)とされているものである。
2 本願標章と原登録商標の同一性について
本願標章は、前記第1及び第2のとおり、原登録商標と同一の構成態様からなるものである。そして、本願の請求人と原登録商標の権利者とは同一人であることが認められる。
3 原登録商標の著名性について
原登録商標は、前記第2のとおり、「淡麗」の文字を普通の書体で横書きしてなり、その指定商品「ビール風味の麦芽発泡酒」に使用するときは、「味や口当たりに強い癖がなく、すっきりと滑らかであるビール風味の麦芽発泡酒」であることを認識するにとどまり、商品の品質を表示するにすぎないものであることから、商標法第3条第1項第3号に該当する旨の拒絶の理由を受けていたものであるが、「淡麗」の文字が使用された結果、需要者が請求人の業務に係る商品であることを認識することができるに至った商標であるから、同法第2項の要件を具備するものであるとして、商標登録を受けたものである。
そして、原登録商標は、商品「ビール風味の麦芽発泡酒」に使用するときは、請求人の取り扱いに係る商品であることを表示するものとして、需要者の間に広く知られた商標といえるものである。
4 出所の混同について
防護標章登録を受ける標章は、上記1のとおり、「当該登録商標が広く認識されているだけでは十分ではなく、商品や役務が類似していない場合であっても、なお商品役務の出所の混同を来す程の強い識別力を備えていること、すなわち、そのような程度に至るまでの著名性を有していること」が必要であることから、以下検討する。
(1)「淡麗」の語について
「淡麗」の語は、商品「清酒」との関係では「日本酒の味や口当りに強い癖がなく、すっきりと滑らかである様子。」(「広辞苑第六版」株式会社岩波書店)を意味するものであり、例えば、以下のとおり、該語が使用されている事実が認められる。
ア 「新潟淡麗 新潟県酒造組合公式サイト」のウェブサイトにおいて、「新潟淡麗倶楽部とは」の見出しの下、「キーポイント1 新潟淡麗とは」の項目に『新潟淡麗の誕生』として、「これが『新潟淡麗』誕生のきっかけです。暮らしが豊かになった現代、あっさりとしたお酒が好まれ、次第に淡麗化の流れに向かったのです。」との記載がある。
(http://niigata-sake.or.jp/about/index01.html#key01)
イ 「白鹿」のウェブサイトにおいて、「季節のもてなし 旬の白鹿」の見出しの下、「白鹿 淡麗辛口」の商品の説明で「白米を丁寧に蒸し上げる、白鹿伝承蒸米仕込で醸したすっきり辛口の中にも味わいがある淡麗辛口酒」との記載がある。
(http://www.hakushika.co.jp/lineup/standard/0717.php)
ウ 「ベルーナ グルメショッピング」のウェブサイトにおいて、「山形県 浜田の淡麗辛口純米酒」の見出しの下、「米、本来の香り旨味を最大に引き出し淡麗でありながら、コクのある純米酒。」との記載がある。
(http://belluna-gourmet.com/01/012101/d/NE163/2001174/goods_detail/)
エ 「PINTORU」のウェブサイトにおいて、「新潟の日本酒おすすめランキング」の見出しの下、「淡麗で辛口の日本酒という確固たる地位を築いた新潟の日本酒、米処の日本酒は美味い!なんて言われる通り、いまでは新潟といえば日本酒と思う人だって多いでしょう。」との記載がある。
(http://food-drink.pintoru.com/sake/sake-of-niigata/)
オ 「オエノン グループ」のウェブサイトにおいて、「淡麗辛口富貴」の見出しの下、「淡麗でキリリとした飲み口とキレ味冴える辛口で、燗でも冷やでも飲み飽きしない味わいです。」との記載がある。
(http://www.oenon.jp/product/sake/normal/tanreikarakuchi-fuki.html)
(2)飲食料品における「淡麗」の語の使用について
また、上記(1)以外の飲食料品において、以下のとおり、「淡麗」の語が使用されている事実が認められる。
ア 商品「コーヒー」の使用について
(ア)「AGF」のウェブサイトにおいて、「〈煎〉レギュラー・コーヒー 上乗せドリップ 淡麗薄口珈琲」の見出しの下、「日本の水に合うように、選び抜いた豆の特徴を引き出すこだわりの焙煎で仕上げた、気高く繊細な香りが特徴の日本人のための珈琲です。急須で丁寧に淹れるお茶のような、澄み切った味わいをご堪能下さい。」との記載がある。
(http://www.agf.co.jp/lineup/sen/10286.html)
(イ)「ネスレアミューズ」のウェブサイトにおいて、「ネスレ製品ラインナップ」の見出しの下、「ネスカフェ 香味焙煎」の商品の紹介で、「ネスカフェ 香味焙煎 エコ&システムパック まろやか淡麗 中煎り 60g」との記載がある。
(http://d.nestle.jp/nescafe/koumi/nkb_chuiri_eco_system_60.html)
(ウ)「澤井珈琲(サワイコーヒー)Beans & Leaf」のウェブサイトにおいて、「美味淡麗 アイスコーヒー」の商品の紹介で、「珈琲の生豆を一粒一粒、丁寧に磨き上げて雑味のないクリアな味に仕上げた逸品アイスコーヒー 美味淡麗 その雑味にない深い味わいはコーヒー通を唸らす極上の仕上がりとなっております。」との記載がある。
(http://www.sawaicoffee.net/item/1286.html)
イ 商品「ラーメン」の使用について
(ア)「日清食品」のウェブサイトにおいて、「『明星 麺’s倶楽部 (メンズクラブ) R50 淡麗中華そば』(10月14日発売)」の見出しの下、「すっきりとしながらも、カップまるごと深い味わいと本格的な旨さが凝縮された、大人の “淡麗中華そば” です。」との記載がある。
(https://www.nissin.com/jp/news/3251)
(イ)「株式会社 菅野製麺所」のウェブサイトにおいて、「淡麗塩系タイプD」の見出しの下、「特徴」の項目に「ゆでのび耐性を向上させた生地を極細切刃で切り出し、淡麗系スープ用に作成した麺です。」との記載がある。
(http://www.kannoseimen.com/products/04tanreisio/04/)
(ウ)「爽快ドラッグ」のウェブサイトにおいて、「マイフレンド あっさりスープで食べやすい鶏だし塩ラーメン(1コ入)」の見出しの下、「透明感のあるこだわりの淡麗系鶏だし塩ラーメン」及び「マイフレンド あっさりスープで食べやすい鶏だし塩ラーメンとは ●透明感のある芳醇な淡麗系鶏だしスープです。 ●香味野菜の風味を添えた、爽やかな鶏だしスープにしこしこ細麺がよく合います。」との記載がある。
(http://www.soukai.com/P8329349/p.html)
ウ 商品「茶」の使用について
(ア)「?そつや? 焼酎屋 かごしま」のウェブサイトにおいて、「かごしま知覧茶 500mlペット」の見出しの下、「『淡麗旨口』を冠する、当社自信のできばえ。この贅沢な逸品をこの機会に是非一度、ご堪能ください。」との記載がある。
(http://osakenet.tv/sotsuya/index.php?main_page=product_info&cPath=540_541&products_id=9626)
(イ)「茶坊」のウェブサイトにおいて、「●高級中国茶【茶坊】シリーズ」の見出しの下、商品名「白牡丹(しろぼたん)」の項目に、茶葉の特徴として「淡麗な味わいを特徴とするお茶。大人の味わいです」との記載がある。
(http://ctrading.co.jp/Shop%20koukyucha.htm)
(ウ)「LUPICIA」のウェブサイトにおいて、「玉露 『松風』」の見出しの下、「【玉露『松風』】は宇治特有の品種『駒影』に、淡麗な香味の静岡産やぶきた品種をブレンドした玉露です」との記載がある。
(http://www.lupicia.com/shop/g/g12408001/)
エ 商品「醤油」の使用について
(ア)「きぢ」のウェブサイトにおいて、「うすむらさき 500ml」の見出しの下、「うすむらさきは、淡麗でまろやかに造った最高級の超特選 うす塩のうすくち醤油です。」との記載がある。
(http://kidisyouyu.com/?pid=82556)
(イ)「フード はまおか」のウェブサイトにおいて、「金沢・大野 直っぺ うすくちしょうゆ 1リットル」の見出しの下、「金沢・大野の直源醤油株式会社の“直っぺ” 淡麗淡口醤油です。」との記載がある。
(http://hamaoka-food.com/item/nao-usukuti/)
(ウ)「吉永醸造店」のウェブサイトにおいて、「すっきりとしたうすくちのさしみしょうゆ 淡麗さしみ(100ml)」の見出しの下、「うすくちしょうゆをベースとした、すっきりとした味わいと鹿児島の醤油らしい甘さを兼ね備えたさしみしょうゆです。うすくちのさしみ醤油は、非常に珍しく、こいくちのさしみしょうゆとは、一味違った、うすくちしょうゆならではの、すっきりとした香り、甘みをお楽しみいただけるしょうゆです。」との記載がある。
(http://www.yoshibishi.com/SHOP/tanreisasimi100.html)
以上のとおり、「淡麗」の語は、商品「清酒」のみならず、他の飲食料品においても使用されており、それらの使用は、いずれも商品の「味」又は「口当たり」を表現してなるものと把握、理解できるものである。
(3)小活
上記(1)及び(2)を踏まえると、「淡麗」の文字は、商品「清酒」との関係においては、「味や口当りに強い癖がなく、すっきりと滑らかであること」ほどの意味として一般に認識されているといえるものであり、さらには、上記(2)で提示した事実のとおり、コーヒー、ラーメンのスープ、茶及び醤油という他の飲食料品の商品においても、その使用が「味」又は「口当たり」を表現してなるものと把握、理解し得るといえるものであることから、商品「清酒」と同様の意味として一般に認識されるものというのが相当である。
してみると、本願標章は、原登録商標の指定商品である「ビール風味の麦芽発泡酒」との関係においては、請求人の業務に係る商品であると認識されるといえるものの、他の飲食料品との関係においては、請求人の業務に係る商品であることを想起するというよりはむしろ、商品の「味」又は「口当たり」を表すものとして認識されることも少なくないというのが相当である。
また、「淡麗」の語が他の飲食料品に使用されている事実において、請求人又は請求人と何らかの関係を有する者の取り扱いに係る商品であるかのごとく、商品の出所の混同を生じているといえる事情を見いだすこともできない。
そうすると、原登録商標は、その指定商品「ビール風味の麦芽発泡酒」に使用するときは、請求人の取り扱いに係る商品であることを表示するものとして、需要者の間に広く知られた商標といえるものの、本願の指定商品との関係において、商品の出所の混同を生ずるほどに強い識別力を備えているということはできないものであるから、本願標章は、その指定商品との関係において、請求人又は請求人と何らかの関係を有する者の取り扱いに係る商品であるかのごとく、商品の出所の混同を生ずるおそれがあるということはできない。
5 請求人の主張について
請求人は、本願標章は、商標法第64条に規定する要件を満たすものであると要旨以下のとおり主張し、証拠方法として甲第1号証ないし甲第42号証(枝番を含む。)を提出している。
(1)「淡麗」の語が品質表示ではないこと
請求人は、「『淡麗』の文字は、『株式会社岩波書店 広辞苑第六版』に掲載されている事実については、否定するものではないが、その他の代表的な辞書、辞典には掲載されておらず(甲24ないし甲28)、食品に関する辞典、辞書で調べてみても、商品の口当たりや味わいを表す語として掲載されている事実は発見できない(甲29ないし甲33)。また、原審において提示された『淡麗』の語が使用されている事実は、いずれも口当たりや味わいを表している印象を与えるものの、具体的な意味を理解できるものではない。さらに、『淡麗』の語に関するアンケート(甲42)を行ったところ、『『淡麗』と聞いて何が思い出されますか。』、『あなたがご存じの『淡麗』に関する事柄は何ですか。』、『食料品の商品名として『淡麗』が使われていたら、キリンビール社やキリンビール関連会社の商品の可能性を考えますか。』及び『キリンの発泡酒の『淡麗』を知っていますか。また、飲んだことがありますか。』の質問に対して、いずれもその回答において『キリンの発泡酒の『淡麗』』を認識している割合が高いものであった。以上のことから、本願標章をその指定商品に使用するときは、請求人の子会社であるキリンビール株式会社の業務に係る『ビール風味の麦芽発泡酒』である『淡麗』を想起することがあっても、格別の意味合いを一般的には認識し得ないものであるから、本願標章は、品質表示ではない。」旨主張する。
しかしながら、「淡麗」の文字は、「味や口当りに強い癖がなく、すっきりと滑らかであること」を意味するものとして一般に認識されているといえるものであり、その意味において、日本酒のみならず、他の飲食料品についても、当該「味」又は「口当たり」を表示するものとして使用されていることから、飲食料品の分野においても、当該意味として一般に認識されているといえること上記4のとおりである。そして、そもそも特定の「味」又は「口当たり」などを表すものとして一般に認識されている語が、商品に使用される場合は、当該語をもって商品の「味」又は「口当たり」を表示するものであるから、当該語を説明している記載がないからといって、当該語の具体的意味を理解できないものではないし、当該語の一般的認識が否定されるものでもない。さらに、請求人の提出するアンケートは、「食料品の商品名として『淡麗』が使われていたら、キリンビール社やキリンビール関連会社の商品の可能性を考えますか。」及び「キリンの発泡酒の『淡麗』を知っていますか。また、飲んだことがありますか。」のように、そもそも質問項目に請求人又は請求人の子会社であるキリンビール株式会社を意識させる「キリンビール社」又は「キリン」の語が入っていることから、「淡麗」の文字に対する一般的な需要者の認識を表すアンケートとして、直ちにみることはできないものといわざるを得ない。
したがって、上記請求人の主張は、採用することができない。
(2)出所の混同の生ずるおそれについて
請求人は、「原登録商標が商標法第3条第2項の規定を適用されて登録された事実(甲1ないし甲14)から、原登録商標及び本願標章は、請求人の子会社であるキリンビール株式会社の業務に係る『ビール風味の麦芽発泡酒』を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものであり、原登録商標及び本願標章は、強い自他商品識別力を有していることは明らかである。そして、本願標章がその指定商品の範囲についてまで出所の混同を生じる程に強い自他商品識別力を備えたものであるか否かを検討するに当たっては、取引者、需要者の認識を踏まえる必要があるというべきであるところ、本願標章の指定商品と原登録商標の指定商品は、価格も比較的低廉な日常消費物資であって、その取引者、需要者には広く一般消費者も含まれており、商品に使用されている商標がいかなる意味合いを有する語であるか細心の注意を払うことを期待することはできないものであるから、このような取引者、需要者において普通に払われる注意力を基準とすると、『淡麗』の語が本願標章の指定商品に使用されても、審判請求人の子会社である株式会社キリンビールの業務に係る『ビール風味の麦芽発泡酒』の自他商品識別標識としての『淡麗』を連想、想起する場合があるとしても、格別の意味合いを一般的には認識できないというのが自然である。そして、『淡麗』の文字が使用されている『ビール風味の麦芽発泡酒』は、その関連する食品が一般需要者の目にふれられるように工夫した販売促進活動が行われており(甲18)、また、同一の広告物で紹介する協同企画が実施されている(甲19ないし甲21)など、酒売り場の枠を越えて食品売り場のどこにいたとしてもその名称を見て、あるいは聞いただけで審判請求人の子会社であるキリンビール株式会社が販売するビール風味の麦芽発泡酒『淡麗』が想起される状態にある。以上のことから、本願標章の強い自他商品識別力、圧倒的著名性及び本願標章の指定商品の取引の実情を踏まえると、本願標章がその指定商品の範囲についてまで出所の混同を生じるほどに強い自他商品識別力を備えたものである。」旨主張する。
しかしながら、原登録商標は、品質を表示するものとして商標法第3条第1項第3号に該当するものの、それが使用をされた結果、請求人の業務に係る商品であることを認識するに至ったことから、例外的に同条第2項が適用され登録となったものであり、この登録によって、「淡麗」の語が商品の「味」又は「口当たり」を表示するものであるという認識が否定されたわけではない。そして、標章に表された文字の認識は、その指定商品の分野における一般的な需要者の認識にもとづき判断されるところ、「淡麗」の語は、上記4のとおり、本願の指定商品との関係においては、商品の「味」又は「口当たり」を表すものと認識されることも少なくないというのが相当である。そうすると、原登録商標は、本願の指定商品との関係において、商品の出所の混同を生ずるほどに強い自他商品識別力を備えているとはいえないものである。
したがって、上記請求人の主張は、採用することができない。
6 まとめ
以上のとおりであるから、原登録商標は、本願の指定商品との関係において、商品の出所の混同を来す程度に至るまでの著名性を有しているとはいえないものであるから、本願標章は、その指定商品との関係において、商品の出所の混同を生ずるおそれがあるということはできない。
したがって、本願標章は、商標法第64条の要件を具備するものではないことから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本願標章及び原登録商標)



審理終結日 2016-01-29 
結審通知日 2016-02-05 
審決日 2016-02-17 
出願番号 商願2013-91335(T2013-91335) 
審決分類 T 1 8・ 82- Z (W29303233)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 藤田 和美真鍋 恵美 
特許庁審判長 林 栄二
特許庁審判官 原田 信彦
高橋 幸志
商標の称呼 タンレー 
代理人 飯島 紳行 
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