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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服201513749 審決 商標
不服201415573 審決 商標
不服20157470 審決 商標
不服20155797 審決 商標
不服201415575 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない W35
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W35
管理番号 1314414 
審判番号 不服2014-11892 
総通号数 198 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2016-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-06-23 
確定日 2016-04-15 
事件の表示 商願2013-33694拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は,別掲1のとおり,「岩塩詰め放題」の文字を横書きしてなり,第35類「岩塩の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として,平成25年5月7日に登録出願された。

2 原査定の拒絶の理由の要点
本願商標は,「岩塩詰め放題」の文字を書してなるところ,その構成中の「岩塩」の文字は,「塩化ナトリウムからなる鉱物。少量の不純物を含む。立方体の結晶または粒状・塊状で産出し,等軸晶系で,無色または白色。食塩の製造原料として重要。山塩(やまじお)。石塩(いしじお)。」の意味を有し,「詰め放題」の文字は,「容器などに詰めたいだけ詰めること。また,小売店などで,決まった袋や箱であれば,どれだけ詰め込んでも定額とするサービスの形態。」の意味を有することから,構成全体として「岩塩を容器などに詰めたいだけ詰めること」程の意味合いを容易に認識させる。
そうすると,かかる意味合いを有する本願商標をその指定役務である「岩塩の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に関して用いる場合には,これに接した取引者,需要者は,それを妨げる何か特別な事情がない限り,かかる意味合いを想起した上で,ごく自然に「岩塩を容器に詰めたいだけ詰めることができる」という,当該役務に係る取扱商品(岩塩)に関する役務の提供方法等を表示する宣伝文句ないしキャッチフレーズとして認識,理解することになるものというべきであるところ,上記認識,理解を妨げる特別な事情を見いだすこともできない。
したがって,本願商標に接した取引者,需要者は,これをその指定役務に係る取扱商品(岩塩)に関する役務の提供方法等を表示する宣伝文句ないしキャッチフレーズであると認識,理解するにとどまり,自他役務の識別標識とは認識しないものと認めるのが相当である。
以上のとおり,本願商標は,需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標であるから,商標法第3条第1項第6号に該当する。

3 当審における手続の経緯
当審において,平成27年10月2日付けの審尋により,請求人に対し,本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当し,かつ,同条第2項の要件を具備しない旨説示し,相当の期間を指定して意見を求めたところ,請求人からは,何らの回答もなかった。
なお,原査定は,本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するとして,本願を拒絶したものであるが,その理由は,本願商標をその指定役務について使用しても,本願商標は,取引者,需要者に自他役務の識別標識とは認識されないものであると認定,判断したものであるから,審尋における理由も原査定の認定,判断とは実質的に相違せず,新たな拒絶の理由には当たらないものである。

4 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は,別掲1のとおり,「岩塩詰め放題」の文字を横書きしてなり,その指定役務を第35類「岩塩の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」とするものである。
そして,本願商標の構成中,「岩塩」の文字は,「塩化ナトリウムが主成分の鉱物。立方晶系に属し,ガラスのようなつやがあり,白色または灰色。海水などの蒸発によってでき,厚さ数百メートルの岩塩層として産出することもある。工業原料・食塩原料として重要。やまじお。石塩。」の意味(大辞林第3版)を,「詰め放題」の文字は,「容器などに詰めたいだけ詰めること。また、小売店などで、決まった袋や箱であれば、どれだけ詰め込んでも定額とするサービスの形態。『お菓子の-』」の意味(デジタル大辞泉)をそれぞれ有する平易な語であるから,本願商標の指定役務が第35類「岩塩の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」であることを踏まえれば,本願商標に接する取引者,需要者は,本願商標を正に「岩塩をあらかじめ決められた袋や箱などの容器にどれだけ詰め込んでも定額とするサービス」程の意味合いで認識するのが通常である。
また,当審が職権で調査したところ,「岩塩詰め放題」(これに類するものを含む。)の文字及び「○○(商品名)詰め放題」の組合せからなる文字は,別掲2に示すとおり使用されていることからしても,本願商標は,その構成全体をもって上記意味合いを表す語として,取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから,特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに,一般的に使用される標章であって,自他役務の識別力を欠くものであるといわざるを得ない。
してみれば,本願商標をその指定役務に使用した場合,これに接する取引者,需要者は,その構成全体から,「岩塩をあらかじめ決められた袋や箱などの容器にどれだけ詰め込んでも定額とするサービス」といった役務の提供方法を端的に表示したものとして認識,理解するにとどまるというべきである。また,本願商標の態様上顕著な特徴は認められない。そうすると,本願商標は,役務の提供の方法を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であって,自他役務の識別標識とは認識されないものといわざるを得ない。
したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は,「?放題」という言葉を商品や役務に使用すると一種の面白さが醸し出され,一定の識別力が認められる傾向があり,同様の構成の既登録商標が多数あることからすれば,「岩塩詰め放題」と一体の語を形成する本願は,全体として自他商品識別力が評価される余地がある旨主張する。
しかしながら,本願商標は,その構成全体をもって「岩塩をあらかじめ決められた袋や箱などの容器にどれだけ詰め込んでも定額とするサービス」程の意味合いを表したものと認識,理解されるにすぎず,役務の出所識別標識としては機能しないと判断するのが妥当であるのは上記(1)のとおりである。
また,本願商標が,役務の出所識別標識としての機能を果たすものであるか否かは,本願商標自体の具体的な構成とその指定役務との関係から,審決時において,指定役務の取引の実情等を考慮して個別かつ具体的に判断されるべきものであるところ,請求人の挙げた商標登録の事例は,いずれも本願商標とは,使用する商品又は役務が異なるものであるばかりか,商標の構成態様においても「○○(商品名)詰め放題」とは異なるものであるから,事案を異にするというべきであり,また,他の商標登録の事例の存在によって,本件の判断が左右されるものではない。
イ 請求人は,実際に店舗を展開し,商品タグを付して多数の商品を販売しており,請求人の使用を経て業務上の信用も化体しつつある旨主張する。
しかしながら,仮に,当該主張が,本願商標の使用による識別力を獲得したものとの趣旨(商標法第3条第2項の要件具備)であると善解したとしても,請求人が原審において提出した意見書並びに当審において提出した審判請求書及び証拠によっては,請求人が展開する店舗への出店例として確認できるのは,株式会社東急ハンズのハンズメッセ2013(平成25年8月29日-9月4日)及び京都ミネラルショー2013(平成25年10月11日-14日)のわずか2例にすぎず,これらにおいて「岩塩詰め放題」の文字が記されたノボリ等が使用されていることは窺えるものの,それぞれの売上高等は一切不明である。また,請求人は,上記ハンズメッセでの請求人ブースの様子が朝日放送のテレビ番組「おはよう朝日です」で放映され,平成25年10月30日にJCOMの番組「おちゃのこsaisai」の「いらっsaiコーナー」で本願商標と請求人の役務が紹介されたとするが,放映に係る写真(甲2における最後の2枚の写真)を見ても,本願商標と社会通念上同一の商標すら写っておらず,その使用の事実を確認することができない。そして,上記(1)で認定した本願商標から生ずる意味合い及び「岩塩詰め放題」等の他人による使用状況を鑑みると,請求人が主張する使用状況からは,本願商標が使用された結果,需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができるものとなっているとは認められない。そうすると,本願商標は,商標法第3条第2項の要件を具備しない。
ウ したがって,上記の請求人の主張は,いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当し,かつ,同条第2項の要件を具備しないから,これを登録することはできない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲1


別掲2(平成27年10月2日付けの審尋により通知した事実)
ア 「岩塩詰め放題」等の文字が使用されている事実
(ア)「桶川 天然石サロンn petit fleur ?プチ・フルール?」のウェブサイト中,「岩塩販売」のページにおいて,「当サロンでは『ヒマラヤ山脈 パキスタン/ケウラ鉱山産』の岩塩を販売しています。」「★岩塩ブロック詰め放題 1回 1000円 ※当サロンではいつでも詰め放題できます。」との記載がある。
(http://salon-petit-fleur.jimdo.com/岩塩販売/)
(イ)「堺市堺区 天然石パワーストーン らぐなろっく」のウェブサイトにおいて,「商品紹介」のページ中,「岩塩!!詰め放題!!! 1,000円」の項に,「ヒマラヤ岩塩三種詰め放題!ピンク、レッド、ブラック」「少なくても、一キロ以上は入る袋に詰め放題していただきます」「平均1,3キロ前後入ります」「ヒマラヤ岩塩!詰め放題!!!」との記載がある。また,同ページの画像中に「岩塩詰め放題!!!」との表示がある。
(http://ragnarock.on.omisenomikata.jp/m/menu/259981)
(ウ)恵那峡天界苑のウェブサイトにおいて,「9 展望売店」の項中,「子供に人気のスタジオジブリ作品グッズコーナーや、人気の岩塩詰め放題など、郷土のお土産も充実!」との記載がある。
(http://www.enakyo-tenkaien.jp/food_shop/)
(エ)「天然石屋☆Tiare Stoneの店長日記☆」のウェブサイトにおいて,2013年10月26日付けブログ中,「岩塩詰め放題や、プレゼント企画などもやっているので是非ご来店下さい。」との記載,2013年10月24日付けブログ中,「ヒマラヤ岩塩詰め放題」の見出しのもと,「こちらは1,000円の詰め放題企画です。オープンセール期間中は少し大き目な袋を使用します。」「詰め放題は、ピンク、レッド、ブラックの3種類になります。」との記載があり,同ブログの画像中に「岩塩詰め放題」との表示がある。
(http://tiarestone.gunmablog.net/d2013-10.html)
(オ)「Fm yokohama 84.7」のウェブサイトにおいて,2013年9月22日付けブログ中,「岩塩つめ放題!?」の見出しのもと,「逗子のマルシェ かみの市!たくさんのお店があるなかで気になるものを見つけました!『ラ・テェ・ラァ』さんのお店にあった『岩塩つめ放題』!7センチくらいあるゴロゴロとした岩塩をつめ放題!」との記載があり,同ブログの冒頭の画像中に「岩塩つめ放題」との表示がある。
(http://blog.fmyokohama.jp/wlsrep/2013/09/post-7501.html)

イ 他の語(商品名)と「詰め放題」の語との組合せが使用されている事実
(ア)2014年10月22日付け毎日新聞地方版23頁において,「山形流通団地まつり:サンマ詰め放題、大興奮/山形」の見出しのもと,「人気を集めたのは、1人500円で制限時間1分間にビニール袋に詰め込む『生サンマ詰め放題』。」との記載がある。
(イ)2013年12月15日付け毎日新聞地方版26頁において,「海産物まつり:ワカメ詰め放題、人気 きょうまで盛岡で/岩手」の見出しのもと,「釜石市平田の水産加工業『リアス海藻店』は塩蔵ワカメを約1トン用意。500円の詰め放題コーナーではビニール袋に押し込む客であふれた。」との記載がある。
(ウ)2011年9月24日付け東京読売新聞朝刊27頁において,「メークイン詰め放題」の見出しのもと,「人気の詰め放題には、開始2時間前から行列ができ、スタート時には約1500人に。12キロ詰められる1袋が800円とあって、用意された16トンのイモは昼過ぎになくなった。」との記載がある。
(エ)2010年11月26日付け日本経済新聞地方経済面39頁において,「ピープルミーツウェアー(千葉市)、小さな袋に古着『詰め放題』で急成長(ちばの風)」の見出しのもと,「不況の中で『激安』『リサイクル』などを掲げたビジネスがあちこちで芽生えているが、急成長を後押しするのが独自の詰め放題コースだ。利用客に渡されるのは横幅24センチ、縦34センチのビニール袋。(中略)単品買いだと480円、780円といった値札の付く洋服が全部で定額の2千円。」との記載がある。
(オ)2007年6月6日付け日経MJ(流通新聞)16頁において,「中古着物詰め放題(TRENDBOX)」の見出しのもと,「『着物詰め放題』を開催する。縦50センチ、横32センチの袋に着物や帯などを詰め込んで、1袋1000円で売る催しだ。」との記載がある。
(カ)「久保の家の爺ちゃんと婆ちゃんのくだもの畑」のウェブサイトにおいて,「大人気『りんご詰め放題』コーナー」の見出しのもと,「1袋1,000円でポリ袋に家庭用りんごが詰め放題できるイベントは毎回大人気で、開始1時間前からお待ちのお客様もいらっしゃいます。」との記載がある。
(http://www.okadanouen.com/hitokoma2.html)
(キ)「こだわりや」のウェブサイトにおいて,「こだわり市場吉祥寺店にて、キララミニトマト詰め放題」の見出しのもと,「こだわり市場吉祥寺店にて、キララミニトマト詰め放題。1袋・税込み198円、おひとり様何袋でもお求めいただけます!!」との記載がある。
(http://www.kodawariichiba.com/information/こだわり市場吉祥寺店にて、キララミニトマト詰)
〔注意:上記例示中の下線は当合議体が付した。〕



審理終結日 2016-01-06 
結審通知日 2016-01-29 
審決日 2016-02-10 
出願番号 商願2013-33694(T2013-33694) 
審決分類 T 1 8・ 17- Z (W35)
T 1 8・ 13- Z (W35)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 冨澤 美加矢澤 一幸 
特許庁審判長 田中 幸一
特許庁審判官 田村 正明
冨澤 武志
商標の称呼 ガンエンツメホーダイ、ツメホーダイ 
代理人 永井 道彰 

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