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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W37
管理番号 1313262 
異議申立番号 異議2015-900218 
総通号数 197 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2016-05-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-06-26 
確定日 2016-03-14 
異議申立件数
事件の表示 登録第5752594号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5752594号商標の商標登録を取り消す。
理由 第1 本件商標
本件登録第5752594号商標(以下,「本件商標」という。)は,「ペイントホームズ」の片仮名を標準文字で表してなり、平成26年11月5日に登録出願,第37類「建設工事」を指定役務として,同27年3月27日に設定登録されたものである。

第2 登録異議申立ての理由
登録異議申立人(以下,「申立人」という。)は,本件商標は,商標法第4条第1項第10号,同第15号及び同第7号に該当し,同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第26号証(枝番号を含む。)を提出している。
1 商標法第4条第1項第10号について
申立人が使用する「ペイントホームズ」の商標(以下「申立人標章」という。)は,申立人の役務を表示するものとして,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,需要者の間に広く認識されていたものと認められる。
また,本件商標は,申立人標章又はこれに類似する商標であって,その役務又はこれらに類似する役務について使用をするものである。
2 商標法第4条第1項第15号について
申立人標章は,申立人の商標として,広く一般に知られているから,これと同一又は類似の本件商標が,その指定役務に使用された場合,役務の出所について混同を生ずるおそれがある。
3 商標法第4条第1項第7号について
申立人標章を,その指定役務について登録し,これを排他的に使用することは,申立人の利益を害するから,剽窃的行為に当たる。

第3 本件商標に対する取消理由
商標権者に対し,平成27年11月27日付け取消理由通知書で通知した本件商標の取消理由(要旨)は,次のとおりである。
1 本件商標の登録出願の経緯等について
申立人の提出に係る甲各号証(枝番号を含む。)及びその主張によれば,以下の事実を認めることができる。
(1)申立人は,平成21年3月3日に,塗装工事業及び防水工事業,フランチャイズシステムによる加盟店の募集及び加盟店の経営指導等を目的として設立された株式会社であり(甲1),設立当初から現在まで「ペイントホームズ」の商標を使用してそれら事業を営んでいる(甲4,甲5,甲10 ほか)。
(2)商標権者は,平成26年2月4日に,塗装工事業等を目的として設立された株式会社であり,その代表取締役はK氏である(甲17)。
(3)平成24年2月24日に,申立人と「カミノウチ塗装」の代表者K氏は,「ペイントホームズフランチャイズ(チェーン)加盟契約」(以下「本件契約」という。)を締結した。当該契約書の「第2条」には,「本部は,・・・『ペイントホームズ』の統一名称の下に・・・,店舗を開店・運営する権限を加盟店に付与します。」の記載がある(甲21)。
なお,該契約書にはどのような事業(業務)に係る契約であるのか確認できる記載はないが,他の証拠(甲15,甲22 ほか)から,塗装工事に係る業務であると推認できる。
(4)平成26年11月5日に,商標権者は「ペイントホームズ」の文字からなる本件商標を第37類「建設工事」を指定役務として登録出願した。同出願は平成27年3月27日に設定登録された。(職権調査)
(5)平成27年2月18日,申立人は代理人(以下「申立人代理人」という。)を通じて電話にて,商標権者の社員に対し本件商標に係る登録出願の取下げ又は申立人への譲渡に係る説明をした(甲23,甲24)。
(6)同日,商標権者の社員は申立人代理人に対し上記説明の内容を書面で教えて欲しい旨及び2ないし3週間後に回答する旨FAXで通知した(甲23)。
(7)平成27年2月20日,申立人代理人は商標権者に対し本件商標に係る登録出願の取下げ又は申立人への譲渡等の提案をFAXで送信した(甲24)。
(8)同年4月24日,申立人代理人は商標権者に対し上記提案に対する回答を求める書面をFAXで送信した(甲25)。
(9)同年4月27日頃,商標権者は申立人代理人に対し,現在,弁理士と対応を検討中であり,ゴールデンウィーク明けに連絡ができると思う旨FAXで回答した(申立人代理人の受信は同月30日)(甲26)。
しかしながら,その後商標権者が回答した事実は確認できない。
(10)同年6月26日,申立人は本件商標について登録異議の申立てをした(職権調査)。
2 商標法第4条第1項第7号について
(1)商標法第4条第1項第7号の解釈
本号にいう「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」には,a)その構成自体が非道徳的,卑わい,差別的,矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形である場合,b)当該商標の構成自体がそのようなものでなくとも,指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益に反し,社会の一般的道徳観念に反する場合,c)他の法律によって,当該商標の使用等が禁止されている場合,d)特定の国若しくはその国民を侮辱し,又は一般に国際信義に反する場合,e)当該商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり,登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合,などが含まれるというべきである。(知財高裁 平成17(行ケ)第10349号)
以下,かかる観点から本件商標について検討する。
(2)本件商標
本件商標は,上記1のとおり「ペイントホームズ」の文字からなり,第37類「建設工事」を指定役務とし,平成26年11月5日に登録出願されたものである。
(3)本件商標の登録出願の経緯等について,
ア 上記1の事実からすれば,次のとおり認めることができる。
(ア)商標権者は,その代表者K氏が平成24年2月24日に申立人と本件契約を締結した(上記2(3))のであるから,本件商標の登録出願の日前に申立人が塗装工事等に係るフランチャイズ事業に申立人標章を使用していることを承知していたというのが合理的である。
(イ)そして,商標権者が申立人からの提案に対し自ら回答時期を伝えたにも関わらず,その時期までに回答していない事情を繰り返す(上記2(5)?(9))という不誠実な対応をしていること,本件商標は申立人標章と同一の文字からなり,その指定役務は申立人のフランチャイズ事業に係る役務「塗装工事」を含むものであること,及び商標権者の代表者が本件契約前に標章「ペイントホームズ」を自己の業務に使用していることが確認できないことを併せみれば,商標権者は,本件商標を申立人に高額で買い取らせたり,申立人の営業を妨害するなど不正の目的で登録出願したものと推認せざるを得ない。
イ そうとすれば,本件商標は,上記(1)のe)当該商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり,登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合に該当し,公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標といわざるをえない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に該当する。

第4 商標権者の意見
前記第3の取消理由に対し,商標権者は,何ら意見を述べるところがない。

第5 当審の判断
本件商標について通知した前記第3の取消理由は,妥当なものと認められる。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものであるから,同法第43条の3第2項の規定により,その登録を取り消すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
異議決定日 2016-02-03 
出願番号 商願2014-96957(T2014-96957) 
審決分類 T 1 651・ 22- Z (W37)
最終処分 取消  
前審関与審査官 高橋 謙司 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 山田 正樹
榎本 政実
登録日 2015-03-27 
登録番号 商標登録第5752594号(T5752594) 
権利者 株式会社カミノウチ総建
商標の称呼 ペイントホームズ 
代理人 鮫島 正洋 
代理人 幸谷 泰造 

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