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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W29
審判 全部申立て  登録を維持 W29
審判 全部申立て  登録を維持 W29
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審判 全部申立て  登録を維持 W29
管理番号 1313252 
異議申立番号 異議2015-900255 
総通号数 197 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2016-05-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-07-31 
確定日 2016-03-17 
異議申立件数
事件の表示 登録第5760591号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5760591号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5760591号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成26年8月1日に登録出願、第29類「加工もずく,乾燥もずく」を指定商品として、同27年4月24日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由に引用する商標は、以下のとおりであり、いずれも、現に有効に存続しているものである。
(1)登録第5003041号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成18年3月29日に登録出願、第31類「もずく」を指定商品として、同年11月10日に設定登録されたものである。
(2)登録第4980244号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲3のとおりの構成からなり、平成17年12月14日に登録出願、第31類「海藻類」を指定商品として、同18年8月18日に設定登録されたものである。
以下、これらをまとめて「引用商標」という。

3 登録異議申立ての理由
申立人は、本件商標について、商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号に該当するから、その登録は同法43条の2第1号により取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のとおり述べ、その証拠方法として甲第1号証ないし甲第37号証を提出した。
(1)申立人は、本件商標の出願日より6年前の2009年から「美ら海もずく」なる商標の「もずく商品」を全国的かつ継続的に販売しており、本件商標の出願日(平成26年7月30日)において、「美ら海もずく」なる商標は、申立人が製造販売する「もずく商品」を表すものとして需要者の間に広く認識されていた。本件商標は、申立人の製造販売にかかる「もずく商品」の商標と同一であり、かつ指定商品も、申立人が製造販売する「もずく商品」と類似の商品について使用するものである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものである。
(2)申立人は本件商標の出願日より6年前の2009年から「美ら海もずく」なる商標の「もずく商品」を全国的かつ継続的に販売しており、本件商標の出願日(平成26年7月30日)において、「美ら海もずく」なる商標は、申立人が製造販売する「もずく商品」を表すものとして需要者の間に広く認識されていた。本件商標の指定商品「加工もずく」と、申立人が製造販売する「もずく商品」とは密接な関係があり、かつ、本件商標と申立人の商標「美ら海もずく」とは近似性が極めて高いので、本件商標は、その指定商品について使用された場合には、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
(3)本件商標の指定商品の第29類「加工もずく」は、第31類の「海藻類」に包含される商品も含まれるものと解され、本件商標は引用商標と類似関係にある。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものである。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標と引用商標との類否
(ア)本件商標について
本件商標は、別掲1のとおり、青色の筆文字で「美ら海」と「もずく」の文字(「美」の上には、小さく「ちゅ」の振り仮名が、「海」の上には、小さく「うみ」の振り仮名がそれぞれ付されている。)を2段に横書きしてなるところ、その構成中の「もずく」の文字部分は、商品の普通名称であるから、自他商品の識別標識としての機能を有しないか又は極めて弱いといえるものである。
そうすると、本件商標は、構成全体から「チュラウミモズク」の称呼を生じ、「美しい海のもずく」の観念を生じるほか、その構成中の「美ら海」の文字部分に相応して「チュラウミ」の称呼及び「美しい海」の観念をも生じるものである。
(イ)引用商標について
a 引用商標1
引用商標1は、別掲2のとおりの構成からなるところ、その構成中の「沖縄産」の文字部分は、商品の産地を表示するものであり、「もずく」の文字部分は、上記と同様であり、自他商品の識別標識としての機能を有しないか又は極めて弱いといえるものである。
そうすると、引用商標1は、構成全体から「チュラウミモズク」の称呼を生じ、「美しい海のもずく」の観念を生じるほか、その構成中の「美ら海」の文字部分に相応して「チュラウミ」の称呼及び「美しい海」の観念をも生じるものである。
b 引用商標2
引用商標2は、別掲3のとおり、「美ら海」の文字を縦書きしてなるところ、これより「チュラウミ」の称呼を生じ、「美しい海」の観念を生じるものである。
(ウ)本件商標と引用商標との類否
本件商標と引用商標1とは、「美ら海もずく」の文字の外観において類似し、「チュラウミモズク」の称呼及び「美しい海のもずく」の観念を共通にするものであり、本件商標と引用商標2とは、「美ら海」の文字の外観において類似し、「チュラウミ」の称呼及び「美しい海」の観念を共通にするものであるから、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても、互いに相紛らわしい類似の商標である。
イ 本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との類否
本件商標の指定商品の第29類「加工もずく,乾燥もずく」は、商品・サービス国際分類表[第10-2015版]の第29類の注釈によれば、「主として、動物性食品及び野菜その他の食用園芸作物であって食用又は保存用の処理をしたものを含む。」とされていることを踏まえるならば、海から採取した「もずく」等の海藻類を海藻加工業者により、加工処理、乾燥処理や湯通し等の保存処理をされた商品であり、主に一般消費者や飲食店向けに流通、販売されるものといえる。
引用商標1の指定商品の第31類「もずく」及び引用商標2の指定商品の第31類「海藻類」は、商品・サービス国際分類表[第10-2015版]の第31類の注釈によれば、「主として、食用の処理をしていない陸産物、生きている動植物及び飼料を含む。」とされていること、「商品及び役務の区分解説[国際分類第10版対応]特許庁商標課編」によれば、食用の未加工の水産植物で、海にすむ藻としての「海藻」が該当するとされていることを踏まえると、その主な生産者は、海からもずく(海藻)を収穫する漁業関係者であって、その主な需要者は、海藻加工業者といえる。
そうすると、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品は、その生産部門、取扱業者、販売部門において明らかに相違するばかりでなく、その主たる需要者及び流通経路も異にするといえるから、互いに非類似の商品であるというのが相当である。
ウ 小括
以上のとおり、本件商標と引用商標とが、上記アのとおり類似するとしても、両者の指定商品が、上記イのとおり類似しないものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)申立人の使用に係る商標の周知性について
ア 申立人が使用する商標及びその商品
申立人の提出に係る証拠によれば、甲第4号証ないし甲第6号証、甲第21号証、甲第22号証、甲第38号証の包装袋の裏面には、商品の「名称」の欄に「もずく加工品」と記載されており、また、甲第3号証には、包装表面に「三杯酢もずく」や「黒酢もずく」の記載がある。そして、申立人は、それら自己の業務に係るもずく加工品(以下「申立人商品」という。)に「美ら海」及び「もずく」の文字を2行に書してなる商標(以下「使用商標1」という。(別掲4)甲3の1ないし7、10、13、甲21及び甲22)、「美ら海もずく」の文字を1行に書してなる商標(以下「使用商標2」という。(別掲5)甲3の7及び8、甲4ないし甲6、甲20、甲23ないし甲32、甲34)、「美ら海」の文字からなる商標(以下「使用商標3」という。(別掲6)甲3の11、12、14及び15)を使用している。
以下、使用商標1ないし使用商標3を総称する場合は「使用商標」という。
イ 使用商標の周知性
申立人は、使用商標を表示した申立人商品を、2009年度から2014年度まで、8,118,670個(パック)販売したこと(甲1)、「美ら海もずく」を東京、大阪、愛知等のスーパーやコープ等で取り扱ったこと(甲7)、「海藻類POS売れ筋品目ランキング」(2013年6月、8月、10月、11月、2014年4月、5月)に20位から42位にランキングされたこと(甲8ないし甲13)、ちらしを納入店舗にて頒布したこと(甲20ないし甲29)、使用商標2が、第25回全国水産加工品総合品質審査会にて、「主婦大賞」を受賞(平成26年10月)したこと(甲30)、大阪府、兵庫県の百貨店においてマネキン販売されたこと(甲15ないし甲19)、インターネットで販売したこと(甲31ないし甲34)、などが認められる。
しかし、申立人が、使用商標を申立人商品に表示して販売しているとしても、申立人商品の我が国における市場占有率、広告宣伝の方法、回数及び内容等、雑誌、新聞、インターネットにおける記事掲載の回数及び内容等を具体的に把握することができない。そして、申立人が作成したちらしやマネキン販売は、その効果がちらしの頒布場所や販売場所にいる需要者に限られる点で限定的といわざるを得ず、マスコミによる広告等の事実も明らかになっていない。さらに、「美ら海もずく」が「主婦大賞」を受賞したのは、本件商標の登録出願後であって、該受賞が小学生までの子どもがいる母親を対象に、「おいしい」、「便利」、「子どもに食べさせたい」等の基準で審査されたことを踏まえると、これをもって使用商標の周知性を立証するものということもできない。
そうすると、提出された証拠からは、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、使用商標が申立人商品を表示するものとして、我が国の取引者及び需要者の間で広く認識されて周知、著名になっていたと認めることができない。
(3)商標法第4条第1項第10号及び同項第15号該当性について
本件商標が商標法第4条第1項第10号に該当するものというためには、使用商標が、申立人商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていることが求められるところ、使用商標は上記(2)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人商品を表示する商標として需要者の間で広く認識されるに至っていたと認めることができない。
また、使用商標の構成中の「美ら海」の文字は、造語ではなく、沖縄の方言で「美しい海」を意味する語として親しまれたものであり、また、「もずく」の文字も、商品の普通名称であって、いずれも独創的ものではないから、使用商標は、その文字の独創性や特異性をもって需要者の注意を集めるということもできないものである。
そうとすると、本件商標権者が本件商標をその指定商品について使用しても、これに接する需要者が、申立人の使用商標を連想、想起することはないものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同項第15号に該当しない。
(4)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録は維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1 本件商標

(色彩については原本参照)

別掲2 引用商標1

(色彩については原本参照)

別掲3 引用商標2


別掲4 使用商標1

(色彩については原本参照)

別掲5 使用商標2

(色彩については原本参照)

別掲6 使用商標3

(色彩については原本参照)

異議決定日 2016-03-07 
出願番号 商願2014-64828(T2014-64828) 
審決分類 T 1 651・ 262- Y (W29)
T 1 651・ 271- Y (W29)
T 1 651・ 25- Y (W29)
T 1 651・ 263- Y (W29)
T 1 651・ 261- Y (W29)
T 1 651・ 264- Y (W29)
最終処分 維持  
前審関与審査官 内田 直樹 
特許庁審判長 林 栄二
特許庁審判官 田中 亨子
平澤 芳行
登録日 2015-04-24 
登録番号 商標登録第5760591号(T5760591) 
権利者 理研ビタミン株式会社
商標の称呼 チュラウミモズク、チュラウミ、ビラウミ、ミラウミ 
代理人 藤井 重男 

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