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審決分類 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W16
管理番号 1313225 
審判番号 無効2015-890008 
総通号数 197 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2016-05-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2015-01-20 
確定日 2016-03-28 
事件の表示 上記当事者間の登録第5701246号商標の商標登録無効審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 登録第5701246号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5701246号商標(以下「本件商標」という。)は,「オリンパスカラー」の文字を標準文字で表してなり,平成25年2月13日に登録出願,第16類「紙類」を指定商品として,同26年7月23日に登録審決,同年9月12日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は,結論同旨の審決を求めると申し立て,その理由を次のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第452号証(枝番を含む。なお,枝番を有する証拠において,枝番のすべてを引用する場合は,枝番の記載を省略する。)を提出した。
1 利害関係
本件商標中の「オリンパス」の文字は,請求人のハウスマークとして広く一般的に知られている「オリンパス」と同一である。また,請求人は,幅広い分野の業務を担う子会社155社,関連会社5社とともにオリンパスグループを構成しており(甲3の1及び2),その大半のグループ企業の名称に,「オリンパス/OLYMPUS」ブランドを用いている(甲3の3)。
「OLYMPUS」及び「オリンパス」の著名性及び請求人の多角経営を考慮すると,本件商標の商標権者(以下「本件商標権者」という。)が本件商標をその指定商品について使用した場合は,需要者又は取引者が,請求人又はそのグループ企業の業務に係る商品と誤認混同するおそれがあるばかりでなく,請求人商標に蓄積された顧客吸引力が希釈化されるおそれがある。
したがって,請求人は,本件審判を請求するにつき利害関係を有する。
2 請求の理由
本件商標の登録は,以下の理由により,商標法第4条第1項第11号,同項第10号,同項第15号及び同項第19号に違反してされたものであるから,同法第46条第1項第1号の規定により無効とされるべきである。
(1)請求人について
ア 請求人は,光学機器の製造販売を中心として大正8年に創設された株式会社高千穂製作所を前身とし,現在,精密機械器具の製造販売を主たる業務とする。請求人は,昭和24年にオリンパス光学工業株式会社に,平成15年に現在の社名に変更し(甲3の4),現在,米国(カナダ,中南米を含む。)に13社,アジアパシフィック地域に25社,欧州地域に31社の海外現地法人を有している(甲5?甲7)。請求人の社名は,ギリシャ神話で神々が住むとされるオリンポス(Olympus)山に由来する(甲4)。
イ 請求人は,顕微鏡の国産化とその他光学機械の製造を目的として設立されたが,昭和11年にカメラの製造,昭和27年に医療機器の製造,昭和35年に測定機の製造を開始し,平成16年に,デジタルカメラやカメラ用レンズ等の光学機器事業,内視鏡等をはじめとする医療用機器事業について分社化し(甲3の4),また,電子機器,新規事業の研究開発,生体材料等の研究開発・製造,音楽・映像等のエンターテイメントコンテンツビジネス等,幅広い分野の業務を担う子会社155社,関連会社5社とともに構成する「オリンパスグループ」(甲3の3)の冠ブランド名「OLYMPUS」の統括的管理業務を担うものである。
(2)請求人商標の著名性
ア 請求人及びそのグループ会社は,日本において,少なくとも大正10年より,普通書体で表した「OLYMPUS」(以下「請求人商標1」という。),「オリンパス」(以下「請求人商標2」という。)の各商標並びにゴシック体で表した「OLYMPUS」の商標(以下「請求人商標3」といい,請求人商標1ないし3をまとめて,以下「請求人商標」という。)を,現在に至るまで,そのハウスマーク,請求人グループの冠ブランド名として,その業務に係る商品・役務について継続して使用している。
イ 請求人グループの業務に係る商品は,日本をはじめ,世界中の光学機器・電子機器・医療機器の分野において高いシェアを有する(甲8,甲9)。このことは,請求人グループの業務に係る商品の販売高が1兆円を超えたこともあり,近年に至っては,7000億から8000億円にものぼることからも容易に理解し得る。
ウ 請求人は,以下のとおり,巨額の宣伝広告費を投じて請求人製品の宣伝広告をしている(甲10?甲16)。
(ア)各種業界の動向,ランキング,市場占有率等を分析・研究するウェブサイト「業界動向SEARCH.COM」によると,請求人は,平成25年及び平成26年における医療機器分野の市場占有率は1位であり(甲17),また,精密機器分野の市場占有率でも2位である(甲18)。
(イ)請求人は,広告媒体としてテレビCMを積極的に活用しており,例えば,平成24年12月分のテレビCM放送実績は,15秒間又は30秒間のCM「超高速AF編」及び「5軸手ぶれ補正篇」の在京キー局及び系列局における放送回数は極めて多数に上る(甲19?甲62)。
(ウ)新聞及び雑誌による広告も多数に上る(平成16年から平成26年まで:甲63?甲113)。
(エ)交通機関での広告(都営新宿線,京王線,京王新線,井の頭線及び東京メトロ地下鉄全線の車両内に掲示された広告:甲114?甲117)
(オ)屋外広告(甲118,甲119)
(カ)平成24年から平成25年にかけて発行された新聞や書籍には,請求人に関連するものが多数掲載された(甲120?甲278)。
(キ)請求人は,平成23年4月に,JR八王子駅南口にオープンした八王子新市民会館のネーミングライツ(命名権:使用期間2011年4月1日から2021年3月31日)を取得した。当該市民会館は,「オリンパスホール八王子」として親しまれており,新聞等に頻繁にその名称が登場している(甲279?甲287)。
エ 請求人は,商標構成中に,「OLYMPUS」,「オリンパス」の語を含む商標登録・出願を多数有している(甲288?甲422)。
オ 請求人は,「OLYMPUS」(登録第2035878号)に関して,全45区分の商品・役務について計4件の防護標章登録を有している(甲423?甲426)。また,上記登録商標は,「日本有名商標集(第3版)」(平成16年発行)に掲載された(甲427)。
カ 請求人は,大手情報サービス企業であるトムソン・ロイター社が選出する世界の革新企業/機関トップ100に賞の創設以来4年連続で選出された(甲428?甲431)。
キ 以上のとおり,請求人商標は,請求人のコーポレートブランドとして,日本国内において著名であることは明らかである。
(3)本件商標
本件商標中の「オリンパス」は,著名性を獲得している請求人商標2と同一である。また,これに続く「カラー」は,「色,色彩」を意味する語として広く使用されており,その指定商品との関係においても,例えば,「カラーペーパー(色紙)」を表示する語として一般的に使用されている(甲432?甲434)。
このため,本件商標は,自他商品識別力の極めて高い「オリンパス」と識別力の極めて弱い「カラー」の2語からなる商標であることが容易に理解,認識される。そして,「オリンパス」の語が極めて識別力が高いことに加えて,商標全体に最も強く影響する語頭部分に配置されていることから,「カラー」は,「オリンパス」の圧倒的な指標力に埋没するといえる。このため,本件商標に接する需要者・取引者は,「オリンパス」の文字部分を要部として認識し,これに着目して取引に当たることは疑いない。
したがって,本件商標は,構成文字全体から「オリンパスカラー」の称呼を生じるほか,「オリンパス」の称呼を自然に生じる。
この点,特許庁ホームページ「特許電子図書館」における本件商標の「出願・登録情報」を検索すると,「称呼(参考情報)」の項目には「オリンパスカラー」及び「オリンパス」が記載されている(甲435)。
なお,本件商標は,その指定商品との関係において,「オリンパス株式会社又はそのグループ会社の製造販売する色紙」のような意味合いを生じ得る。
(4)商標法第4条第1項第11号について
ア 請求人の引用する登録商標は,以下のとおりである(以下,これらをまとめていうときは「引用商標」という。)。
(ア)登録第620695号商標は,「OLYMPUS」(「O」の文字は他の文字に比べ大きく表されている。)の文字を横書きしてなり(甲296),昭和36年5月9日に登録出願,第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同38年7月13日に設定登録され,さらに,平成15年4月30日に,第1類,第2類,第5類,第8類,第9類,第16類,第17類,第24類,第27類,第28類及び第34類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされ,現に有効に存続しているものである。
(イ)登録第1764720号商標は,「OLYMPUS」の文字を商標中に含み(甲311),昭和57年5月26日に登録出願,第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同60年4月23日に設定登録され,その後,平成17年3月23日に,第1類,第2類,第5類,第8類,第9類,第16類,第17類,第24類,第27類,第28類及び第34類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされ,現に有効に存続しているものである。
(ウ)登録第4733898号商標は,「OLYMPUS」の文字を標準文字で表してなり(甲367),平成15年6月13日に登録出願,第34類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同年12月12日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。
(エ)登録第5508774号商標は,「OLYMPUS」の文字を標準文字で表してなり(甲417),平成24年2月13日に登録出願,第1類,第9類,第10類,第12類,第35類,第38類,第42類及び第44類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として,同年7月20日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。
イ 本件商標と引用商標の類似及び両商標の指定商品の類似
本件商標は,上記のとおり,「オリンパス」の称呼を生じるのに対し,引用商標は,いずれもその構成文字から「オリンパス」の称呼を生じる。
したがって,本件商標と引用商標は,「オリンパス」の称呼を共通にする類似商標である。
また,本件商標の指定商品は,引用商標の指定商品といずれも互いに抵触する。
ウ 以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(5)商標法第4条第1項第10号について
上記のとおり,本件商標は,その要部を「オリンパス」とするから,請求人商標2とは,「オリンパス」の称呼を共通にする。
したがって,本件商標は,著名な請求人商標2と類似する商標であるから,商標法第4条第1項第10号に該当する。
(6)商標法第4条第1項第15号について
ア 本件商標が,著名な請求人商標と称呼「オリンパス」を共通にする類似の商標であることは,上記のとおりである。
イ 「オリンパス」は,上記のとおり,ギリシャにある「オリンポス山」に由来するが,日本国内では一般的に知られている地名とまでは言い難いから,「オリンパス」から連想されるのは請求人又はそのグループ企業と考えるのが自然であり,オリンポス山を連想する者がいたとしても,圧倒的に少数であるといえる。また,「オリンパス」は,当該地名と認識される場合であっても,請求人の事業に関連する商品又は役務との関係において何ら関連性を有しない語であり,その意味において独創性を有する。
ウ 請求人子会社のオリンパスイメージング株式会社は,プリンター用の印刷用紙を販売している(甲436)。本件商標の指定商品には,プリンター用の印刷用紙も含まれるため,両商品には密接な関連性がある。
さらに,昨今では請求人の主力商品の一つであるデジタルカメラのユーザーは自分で撮影した写真データをPC等を介して写真印刷用の印刷用紙にプリンターを用いて印刷することも多い。「写真印刷用の紙(化学的反応によらないもの)」は,第16類紙類に属する商品である。このことからも,本件商標の指定商品と請求人の業務に係る商品「デジタルカメラ,プリンター」との間には密接な関連性がある。
なお,請求人は,プリンター事業について,平成25年3月に理想科学工業株式会社に譲渡したが(甲437),同27年1月15日現在もインターネット上で請求人商標が使用されたプリンターが販売されている事実がある(甲438)。
エ 上記のとおり,請求人は,本件商標の指定商品について請求人商標の使用実績を有するから,本件商標の指定商品と請求人商標の商品の需要者及び取引者は,一部又は全部において重複する。また,上記のとおり,本件商標の指定商品と請求人の業務に係る商品「デジタルカメラ,プリンター」との間には密接な関連性があるから,その需要者及び取引者は,一部又は全部において重複するといえる。さらに,請求人は,多角的な経営を行っていることから,本件商標に接した取引者,需要者は当該商標が付された商品が請求人又は請求人と何らかの関係を有する者の提供する商品であると混同するおそれがあることは明らかである。このことは,インタネート検索エンジンGoogleで「オリンパスカラー」を検索すると,2015年1月12日現在において,約763,000件ヒットし,上位100件の検索結果のうち,90件以上は請求人に関連する記事であり,当該100件の検索結果中に「オリンパスカラー」,「オリンパスカラー。」,「オリンパスカラー?」,「オリンパス・カラー」との記載が認められるが,いずれも「オリンパス」ブランドのデジタルカメラで撮影された画像データの色合いを意味する語として用いられていることからも明らかである(甲439?甲443)。
オ したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。
(7)商標法第4条第1項第19号について
請求人商標の著名性に鑑みれば,本件商標権者が請求人商標の著名性について承知していると考えるが自然であり,そうであるならば,本件商標に接した需要者又は取引者が請求人又はそのグループ企業を想起して商品を購入することが当然想定されるはずである。
しかるに,本件商標を採択したのは,請求人商標に蓄積された莫大な信用にフリーライド(ただ乗り)することによって,不正の利益を得る目的を有するか,請求人商標の有する強力な識別力,顧客吸引力を希釈化することにより請求人に損害を加えようとする不正目的を有していると解さざるを得ない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当する。
3 平成27年7月8日付け提出の上申書
(1)本件商標と請求人商標の類似について
被請求人は,本件商標と請求人商標が類似しないことの根拠として拒絶査定不服審判における審決(不服2013-23101)に言及している(乙2)。
しかしながら,当該不服審判の審決は,本件審判事件において請求人が提出した,請求人商標の周知著名性及び業務の多角化の可能性に関する主張立証前に下されたものであり,かかる主張立証を何ら考慮していないものである。すなわち,当該審決は,本件商標の商標法第4条第1項第11号の該当性が審理対象となっており,本件審判のその他の無効理由である同項第10号,同項第15号及び同項第19号については審理対象となっておらず,当該無効理由の該当性を否定するものではない。
請求人は,請求人商標の周知著名性を主張しているが,第16類の紙類について請求人商標が著名性を獲得していることは主張していない。
本件商標中の「カラー」は,「紙類」を意味する「ペーパー」と組み合わされることで「カラーペーパー(色紙)」の意味合いを生じ,(甲432?甲434),本件商標の指定商品「紙類」について識別力が著しく弱く,そして,本件商標の構成中,語頭に位置する「オリンパス」の文字は,周知署名性を獲得している請求人商標であることは審判請求書中の請求人の主張及び甲各号証から明白である。
そうであるならば,本件商標がその指定商品について使用された場合に,当該商品に接した需要者,取引者は本件商標が「オリンパス」と「カラー」の2語から構成される結合商標であることを容易に看取し,なおかつ簡易迅速を尊ぶ商取引においては識別力が高く,商標の構成全体に大きな影響を及ぼす語頭に位置する「オリンパス」の文字をもって称呼すると考えるのが自然である。
したがって,係る具体的な事情を捨象し,単に商標の構成のみに基づいて本件商標を一連一体不可分と捉え,請求人商標と非類似である旨を主張する被請求人の主張は明らかに失当である。
(2)請求人の多角的な事業展開について
被請求人は,(ア)医療事業,科学事業,映像事業等各事業分野における売上高比率,(イ)請求人とソニー株式会社との業務提供,(ウ)請求人の作成した資料「2014年度 経営方針」(乙14)中「情報通信事業の売却,バイオロジクス事業からの撤退,コンパクトデジタルカメラの縮小」との記述,並びに(エ)「医療,外科分野の更なる強化,長期的な成長に向けた戦略投資,科学,基本戦略の修正,商品群別戦略から顧客群別戦略への転換,映像,ミラーレス拡大/リスク極小化,OM-Dシリーズによるミラーレス販売の拡大,デジタル一眼の市場リスクも踏まえ,リスク極小化の取り組みを継続。」との記述から,請求人がカメラ,顕微鏡等の光学機器及びその応用技術範囲である分野である,医療分野,科学分野においてのみ業務を行い,それ以外の分野において多角的に業務展開することはない旨断じている。
しかしながら,上記(ア)ないし(エ)は,何れも請求人が光学機器及び医療分野,科学分野においてのみ業務を行い,それ以外の分野において多角的に業務を展開しないというような請求人の経営方針を示唆するような記載は一切ない。上記(ウ)及び(エ)は,2014年度の経営方針の概略を記載したものであり,2015年度以降の経営方針までも示したものではなく,少なくとも2015年度以降についてまで新分野への事業展開の可能性を否定するものではない。
(3)商標法第4条第1項第15号の該当性について
ア 他人の表示(請求人商標)の周知著名性及び独創性の程度
被請求人は,請求人商標について,「OLYMPUS」は,単に「ギリシャのオリンポス仙,ギリシャの神々の住む山」を想起させる商標にすぎず,Googleで「olympusとは」のキーワードで検索すると,第2番目にオリンポス山の英語表記があることを理由にその独創性を否定している。
しかしながら,既存の語であっても使用される商品との関係において,その品質等を直接的に示唆するような語でなく,その採択使用が奇抜であれば,そのような語を商標として採用すること自体に独創性ないしは強い識別力が認められるべきである。さらに,請求人の業務に係る商品又は役務との関係において「OLYMPUS」「オリンパス」の語が特定の意味合いを有する語として認識,使用されている事実もない。
イ 本件商標の指定商品と請求人使用商標に係る商品との関連性について
請求人はプリンター事業の譲渡後も「カラービデオプリンター用の印刷用紙」を継続して販売している他,「写真用紙」も販売している。
そして,本件商標の指定商品「紙類」は,「紙」についての包括的な指定商品表示であるところ,「カラービデオプリンター用の印刷用紙」,「写真用紙」を当然含むものである。
したがって,本件商標の指定商品と請求人の販売する上記商品は,その性質,用途又は目的において重複し密接な関連性を有するといえる。
また,仮に請求人が上記商品を取り扱っていることについて一般需要者に認識されていなかったとしても,請求人が高い市場占有率を有するデジタルカメラは,一般世人にとって身近なありふれた商品となって既に久しく,一般家庭に普及したプリンターを使用して個人がデジタルカメラで撮影した画像を写真用紙に印刷することは,一般に馴染みのある行為である。また,やはり請求人の主力商品の一つであり,高い市場占有率を有する医療用内視鏡について,診断時に内視鏡で撮影した画像を医師等がプリントアウトすることは広く行われている。
したがって,仮に「紙」が請求人の業務に係る商品として一般的に認識されていなかったとしても,「デジタルカメラ」又は「医療用内視鏡」が本件商標の指定商品である「紙類」と密接な関連を有することは明白である。
ウ 商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情,当該商標の指定商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力
上記の通り,請求人の業務に係る「カラービデオプリンター用の印刷用紙」「写真用紙」については,本件商標の指定商品「紙類」に包含されるため,需要者,取引者等が一致し,また,取り扱いに専門的知識,注意力を要する商品ではないため,取引者及び需要者等において払われる注意力のレベルも同じである。
また,請求人の主力商品中「デジタルカメラ」については上記の通り,広く一般に普及しており,取り扱いに専門的知識を要する商品とはいえず,また,払われる注意力のレベルは本件商標の指定商品「紙類」と同等である。
したがって,請求人の業務に係る商品中,少なくとも「カラービデオプリンター用の印刷用紙」「写真用紙」の他,「デジタルカメラ」については,本件商標の指定商品「紙類」と需要者,取引者が一致し,払われる注意力のレベルも同等である。
エ 小括
以上述べたところ,並びに請求人の多角的な事業展開を総合的に考慮すると,本件商標の登録出願日及び登録査定時において,本件商標をその指定商品について使用するときは,これに接する需要者は,本件商標から請求人商標を連想し,当該商品が請求人又は請求人と経済的若しくは又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であると,当該商品について出所の誤認混同(広義の混同)を生じるおそれがあるといえる。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。

第3 被請求人の主張
被請求人は,「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し,その理由を次のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第37号証を提出した。
1 第1答弁
(1)請求人の主張は,本件商標と請求人商標の類似性を主に根拠とするものであるが,本件商標は,拒絶査定に対する不服審判(不服2013-23101)の審決で判断されたように,その構成全体をもって取引に資されるというべきであって,「オリンパス」の文字部分のみを捉えた「オリンパス」のみの称呼が生ずることはないとみるべきである(乙2)。
(2)本件商標について
ア 本件商標は,「オリンパスカラー」と,同書・同大・同間隔で外観上まとまりよく構成されており,全体が一連一体の商標として需要者に認識されるものである(乙1)。また,本件商標より生ずる「オリンパスカラー」の称呼は8音と一連の称呼が可能な比較的短い音構成であり,殊更に「オリンパス」と「カラー」に分離して称呼する特段の事情も存在しない。
したがって,本件商標は,請求人が主張するような「オリンパス」でないことが明らかである。
イ 請求人は,本件商標を「オリンパス」と「カラー」の結合商標と主張し,「カラー」が「紙類」に使用された場合,「カラーペーパー(色紙)」のような品質を表示する語であるため,識別力が弱く省略されると主張する。
しかし,上記アのとおり,本件商標は外観上まとまりがよいことに加えて,比較的短い音構成よりなるため,「オリンパス」と「カラー」に分離する特段の事情は存在しない。また,「カラー」の語が,「カラーペーパー」の略称を表すことを明らかにする事実は,提出された証拠(甲432?甲434)並びに広辞苑や大辞林(乙18)にも記載されていない。
したがって,本件商標中の「カラー」の語が「カラーペーパー」と認識されて省略されることはなく,本件商標は,全体が一連一体として認識されることが明らかである。
なお,請求人は,本件商標における特許庁ホームページ「特許電子図書館」の「称呼(参考情報)」に「オリンパス」があることより(甲435),自然的称呼として「オリンパス」も称呼されると主張するが,「称呼(参考情報)」は,審査時の称呼の参考として挙げているだけで,類否の判断に何ら法的な影響を与えるものでないことは周知の事実である。
ウ 本件商標は,平成13年に本件商標権者と経営統合した大昭和製紙が製造販売し,特殊両更クラフト紙の分野において,昭和45年から平成1年まで継続して約40%以上のシェアを占めたヒット商品「半晒クラフト紙」に使用していた「オリンパス」を根源とする造語商標である(乙20,乙21)。
したがって,本件商標は,請求人商標と関係がないものである。
エ 請求人は,「オリンパスカラー」の語は,「オリンパス」ブランドのデジタルカメラで撮影された画像データの色合いを意味する語であると主張し,証拠(甲440?甲443)を提出する。
上記証拠(甲440?甲443)は,「オリンパスカラー」の語が,単に請求人のデジタルカメラで撮影した画像データに用いた場合に,当該画像データの色合いを意味する証拠であることは認めるが,「オリンパスカラー」の語が紙類に用いられた場合までも同様の意味がある証拠ではない。したがって,請求人の上記主張は,本件商標の指定商品と全く異なる商品(デジタルカメラに関連するもの)における意味であり,何ら本件商標の解釈に影響するものではないことが明らかである。
(3)請求人商標
「OLYMPUS」の語は,ギリシャのオリンポス山,ギリシャ神話の神々が住む山等として,我が国において熟知されたものであり(乙3,乙4),請求人商標は,請求人が創作した造語ではなく,昔から広く知られ使用されていた英単語及び片仮名を商品「光学機器」の商標として採択したにすぎないのであるから,その法的保護は,特段の事情もないのに造語商標の如く広い保護範囲を与えることは,不合理である。
(4)「紙類」における取引の実情について
請求人は,請求人商標が紙類において周知であると主張するが,その主張が失当であることは以下のとおりである。
ア 請求人商標の著名性を示すための証拠(甲19?甲431)のいずれにも,請求人商標が紙類において著名であることは何ら示されていない。
テレビCM(甲19?甲62)は,いずれもカメラに関するものである。また,新聞,雑誌広告及び交通広告(甲63?甲118)は,医療機器やカメラなどの精密機器に請求人商標を使用している証拠である。屋外広告(甲118号,甲119)は,単に請求人商標を屋外広告したものであり,紙類との関係で使用する証拠ではない。さらに,新聞記事,雑誌及び書籍等(甲120?甲279)には,請求人商標を,内視鏡などの医療機器,カメラ,ICレコーダーなどの精密機器,眼鏡装着用の小型ディスプレイや,アパレル店特化の情報システムに使用している証拠である。また,八王子新市民会館を「オリンパスホール八王子」又は「OLYMPUS HALL HACHIOJI」と称呼する証拠(甲279,甲287),請求人の登録商標や防護標章を示す証拠(甲288?甲426),「日本有名商標集」(甲427)及びトムソン・ロイターTOP100グローバル・イノベーター・アワード受賞(甲428?甲431)は,いずれも請求人商標を紙類に使用する証拠ではない。
イ 請求人は,用紙の使用を唯一示す証拠として,請求人のホームページ(甲436)を提出するが,請求人は,このホームページに掲載された商品(用紙・インクリボン)を含む「高速インクジェットプリンターに関する事業」を,本件商標の出願日(平成25年2月13日)の約2年前である平成23年3月31日に理想科学工業株式会社に譲渡しており(甲437),本件商標の出願日及び審決日(平成26年7月23日)に,当該事業を積極的に使用していない。
なお,被請求人が,平成27年3月時点等で,当該ホームページに掲載された商品情報を確認しても,いずれも空白のページが表示されたり(乙5?乙9),また,ヨドバシカメラの通販サイトで上記商品の販売状況を検索すると,いずれの商品も販売を終了していた(乙10)。さらに,後記のとおり,請求人が当該商品を積極的に使用していた年ですら,当該商品が属するPPC用紙(審決注:PPC:plain paper copier(普通紙複写機))及び情報記録紙の分野において請求人の当該商品は市場に多く流通しておらず,請求人商標が,PPC用紙及び情報記録紙の分野において周知であるとは到底考えられない。
また,請求人は,OLYMPUS P-S100デジタルフォトプリンター(甲438)を平成27年1月15日時点でネット上で販売していたと主張するが,当該商品の在庫は1点であり,販売が既に終了しているサイトもあるから(乙22),当該商品も,本件商標の出願時及び審決時において当該業務が請求人の業務であると需要者に認識されているとは到底考えられない。
ウ 請求人提出に係る請求人商標の周知性の証拠(甲1?甲431)は,その前半部分の多くは,誰が,いつ,どのような内容に基づき証明しているのか不明であり,証拠能力がない。
エ 請求人が使用を主張する「用紙・インクリボン」の市場について
請求人が積極的に使用している年を含むマーケットシェアが記載された平成23年及び同17年のマーケットシェア事典(乙12,乙13)によれば,以下のとおりである(なお,「写真印刷用の紙(化学的反応によらないもの)」が属する「PPC用紙」及び「情報記録紙」におけるマーケットシェアを確認した。)。
(ア)2011年度の日本マーケットシェア事典(乙12)
1101頁によれば,PPC用紙分野は,2009年及び2008年ともに上位4社で市場全体の約72%以上を占め,1102頁によれば,情報記録紙の分野は,2009年及び2008年ともに上位6社で市場全体の99%以上を占めていることが認められ,PPC用紙及び情報記録紙の分野では,請求人はランクインすらされていない。
(イ)2005年度の日本マーケットシェア事典(乙13)
1227頁によれば,PPC用紙分野は,2003年及び2002年ともに上位10社で市場全体の約99.2%以上を占め,1228頁によれば,情報記録紙の分野は,2003年及び2002年ともに上位4社で市場全体の約98.3%以上を占めいていることが認められ,PPC用紙及び情報記録紙の分野では,請求人はランクインすらされていない。
(ウ)以上のように,上記市場において,請求人が使用していると考えられる年を含む2002年から2009年のいずれにも請求人はランクインされておらず,PPC用紙及び情報記録紙の市場では広く流通していないことは明白である。
したがって,請求人が当該商品を使用していたときでさえ需要者に認識されていないため,ましてや請求人の事業譲渡した2年後である本件商標の出願時及び審決時において,請求人商標が「写真印刷用の紙(化学的反応によらないもの)」において周知ではないことが明らかである。
オ 請求人商標の周知性の範囲と請求人の事業の多角化の範囲について
本件商標権者も,請求人がハウスマーク及びその業務に係る商品の出所を表示する商標として請求人商標を長年使用していること及び請求人がデジタルカメラ又は顕微鏡等の光学機器の分野,また,内視鏡,手術用医療機器等の医療機器の分野で積極的に営業活動を行ない,請求人商標が周知商標であることは認める。
しかし,本件商標の指定商品は,請求人の製品である光学機器,医療機械等とは,その生産者,販売部門,原材料,品質,需要者層等を全く異にするものであり,本件商標の指定商品の分野で,請求人商標が周知性を獲得したと認める証拠の提出はなく,また合理的な理由もない。さらに,請求人が,紙類について請求人商標を使用している証拠はほとんど存在しない。
さらに,「2014年度 経営方針」又は「2014年3月期連結決算概況,2015年3月期通期見通し」(乙14,乙15)によれば,カメラ,顕微鏡等の光学機器及びその応用技術範囲の分野(医療分野等)においてのみ,請求人グループは多角化することはあっても,それ以外の分野において多角化することはない。
したがって,本件商標の指定商品は,光学機器及びその応用範囲である医療分野とかけ離れた分野なので,一般取引者及び需要者は,本件商標から殊更に「オリンパス」を抽出し,請求人商標を認識するとする合理的な理由は存在しない。
カ 紙類の分野における「オリンパス」の認識について
上記のとおり,大昭和製紙が昭和30年より「オリンパス」を「半晒クラフト紙」の製品名として使用している実情が存在し(乙11),封筒などの原料である紙の業界においては,「オリンパス」の語を請求人の商標と認識して取引される実情はないことが明らかである。
(5)本件商標と引用商標が非類似商標であること
ア 紙類の分野において,「COLOR」又は「カラー」の語の有無により非類似商標として,別権利者の登録が併存している(乙23?乙30)。
イ 審判事件においても,「COLOR」又は「カラー」の語の有無によって,非類似商標として,別権利者の登録が併存している。
ウ したがって,本件商標に接する一般需要者及び取引者は,「オリンパスカラー」の一連不可分の商標として認識し,特に「オリンパス」の部分を抽出すべき特段の事情は何ら存在しない。
(6)無効理由について
ア 商標法第4条第1項第11号について
(ア)本件商標と引用商標の外観類否
本件商標は,全体を一連一体として需要者に認識されるものである。
これに対して,引用商標は,いずれも「OLYMPUS」と書したものである。
したがって,本件商標と引用商標は,外観において非類似である。
(イ)本件商標と引用商標の称呼類否
本件商標は,比較的短い音数からなるため,構成文字全体を一連一体のものとして称呼されるべきものである。また,本件商標の指定商品の分野において,請求人商標が周知著名ではないため,本件商標から「オリンパス」の略称が生じる特段の事情もない。したがって,本件商標からの称呼は「オリンパスカラー」のみである。
これに対して,引用商標の称呼は,いずれも「オリンパス」である。
したがって,両者の称呼は非類似である。
(ウ)本件商標と引用商標の観念類否
本件商標は,特定の意味を想起させない造語である。強いていえば,「ギリシャの青い空の色」又は「ギリシャの明るい色」を暗示又は観念させる。
これに対して,引用商標は,ギリシャのオリンポス山,ギリシャ神話の神々の住む山等として,我が国においては極めて周知である(乙3,乙4)。
したがって,本件商標と引用商標との観念は全く異なり,非類似である。
(エ)以上のとおり,本件商標と引用商標は,外観,称呼及び観念がいずれも異なり非類似商標であるから,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
イ 商標法第4条第1項第10号について
本件商標は,全体を一連一体として需要者に認識されるものである。
請求人は,請求人商標2が紙類において周知著名であると主張するが,上記のとおり,その主張を裏付ける証拠は何ら示されていない。
したがって,請求人商標2が紙類について周知著名でないため,本件商標が商標法第4条第1項第10号に該当するものではない。
ウ 商標法第4条第1項第15号について
(ア)本件商標は,全体を一連一体として需要者に認識されるものであって,請求人商標とは,外観,称呼及び観念のいずれも非類似である。
(イ)上記のとおり,請求人商標は,単に「ギリシャのオリンポス山,ギリシャ神話の神々の住む山」を想起させる独創性の極めて低い商標である。この点,請求人は,日本国内において「オリンパス」の文字から「オリンポス山」を連想させるものが圧倒的に少数と主張するが,Googleで「Olympusとは」のキーワードで検索すると,2番目にオリンポス山の英語表記があることより,日本国内においても一般的に認識されていることが明らかである(乙17)。
(ウ)本件商標の指定商品は紙類であり,特に本件商標権者の製品は,半晒クラフトパルプと古紙パルプを原料としたクラフト紙であり,一般需要者及び取引者は,封筒メーカー等の二次加工メーカーである。
これに対して,請求人の業務に係る商品は,医療用機械器具,デジタルカメラ及び顕微鏡である(甲19?甲431)。また,請求人は,グループの多角化を根拠としているが,カメラ,顕微鏡等の光学機器及びその応用技術範囲である分野に限定されている。
したがって,一般取引者及び需要者が請求人の業務として認識している商品と本件商標の指定商品とは,全く異なる性質,用途及び目的であることが明らかである。
(エ)上記のとおり,本件商標の指定商品の紙類に対して,請求人が業務として一般需要者,取引者に認識されているのは,デジタルカメラ及びICレコーダー,内視鏡を中心とした医療用機械器具であるから,両者は,商品自体の性格が全く異なるので,取引者及び需要者が全く異なる。
(オ)以上のように,本件商標から取引者,需要者が請求人の商品として出所の混同を生じるおそれがないことが明らかであるから,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
エ 商標法第4条第1項第19号について
(ア)上記のとおり,本件商標と請求人商標は,外観,称呼及び観念のいずれにおいても非類似商標である。
また,請求人商標及び請求人の業務が光学機械及び医療器具以外の分野では有名とはいえないので,本件商標は,日本国内で全国的に知られている商標と同一又は極めて類似するものに該当することはない。
さらに,「OLYMPUS」は,「オリンポス山」の英語表記にすぎず,造語商標でなく,また,単に欧文字で「OLYMPUS」と表記したものにすぎないため,構成上顕著な特徴を有するものでない。
(イ)請求人は,本件商標が不正の利益を有する目的として,本件商標において,「OLYMPUS」を目立つ部分に配置する採択をしたことを主張する。
しかし,上記のとおり,PPC用紙及び情報記録紙のマーケットシェアにランクインされていない請求人商標を,長期にわたりシェア1位を誇る本件商標権者が採用する実益などなく,請求人商標に本件商標権者がフリーライドするなどあり得ない。また,本件商標権者は,半晒クラフト紙などの分野において,昭和30年より「オリンパス」を使用していたのであり,請求人商標にフリーライドするものではないし,指定商品「紙類」との関係において本件商標は,本件商標権者の商標として認識されているものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当するものではない。
(7) むすび
以上のとおり,請求人が主張する無効理由はいずれも成り立たないものである。
2 第2答弁
(1)商標法第4条第1項第11号の該当性について
請求人の引用商標「OLYMPUS」が,本件商標の指定商品「紙類」について,周知性は認められず,本件商標の一部分「オリンパス」を独断に抽出し,請求人の引用商標「OLYMPUS」と比較して類似商標の根拠とすることは失当であることは明らかである。
したがって,本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当しないことは明らかである。
(2)商標法第4条第1項第15号の該当性について
ア 本件商標と請求人商標との類似性について
本件商標は,片仮名「オリンパスカラー」の片仮名を同書・同大・同間隔で全体を一連一体不可分としたものであって,「オリンパス」を抜き出す特段の事情は存在せず,また語尾の「カラー」の文字を省略する特段の事情も存在しない。
このため,本件商標は,片仮名「オリンパスカラー」全体を一連一体不可分としたものである。
称呼を対比すると,本件商標の称呼は「オリンパスカラー」であって,請求人の商標「OLYMPUS」の称呼(オリンパス)とは,語尾において「カラー」と称呼する点で顕著に相違する。
また,外観を対比すると,本件商標は片仮名による「オリンパスカラー」で,請求人の商標は欧文字による「OLYMPUS」であるため,オリンパスの語尾に「カラー」と付されていることに加えて,片仮名と欧文字の差があることより,顕著に相違する。
さらに,観念についても対比すると,本件商標「オリンパスカラー」は何ら特定の観念を想起させない造語であるのに対して,請求人の商標「OLYMPUS」は,ギリシャのオリンポス山,ギリシャ神話の神々の住打山を想起させるものであり,顕著に相違する。
したがって,本件商標と請求人の商標は,外観,称呼および観念のいずれにおいても相違するため,本件商標は,請求人の商標と非類似であることが明らかである。
イ 請求人の多角的な事業展開について
請求人商標の周知性が認められるのは,デジタルカメラ等の光学機器や内視鏡等の医療用機器の分野に限られ,しかも,平成24年7月6日のオリンパス粉飾決算事件以降には他分野には営業活動を拡大しないとして広く知られている。事実,他の分野において周知・著名性を獲得している事実を証明する証拠は何等存在しない。
ウ 請求人の商標の周知著名性の範囲及び独創性について
請求人商標は,「オリンポス山」に由来して「オリンパス」なる用語を選択することは何ら珍しいことではなく,現に被請求人が経営統合した大昭和製紙株式会社も当該選択をしている(乙20)。
したがって,請求人の商標「OLYMPUS」は,その採択使用自体が奇抜であるため,独創性や強い識別力を有するとの請求人の主張が失当である。
エ 本件商標の指定商品と請求人使用商標に係る商品との関連性について
請求人の業務に係る商品として認識されているのは,「医療用機械器具」又は「デジタルカメラや顕微鏡医療機械」にすぎず,「紙類」においては請求人が業務を行うものとして認識されていない。
また,請求人は,「医療用機械器具」及び「デジタルカメラ,顕微鏡医療機械」に関して,「紙類」と密接に関連があると主張しているが,以下に示すとおり,請求人の主張は失当である。
被請求人のような紙を業として取り扱う会社は,一般的に二次加工メーカーを商取引の対象としており,一般需要者を主として商取引の対象としてはいない。
したがって,本件商標の指定商品である「紙類」と,請求人の業務に係る商品であるの「医療用機械器具」及び「デジタルカメラ,顕微鏡医療機械」との間の性質,用途又は目的における関連性の程度は,極めて低いことが明らかである。
オ 商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情,当該商標の指定商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力
被請求人は,一般的需要者を取引相手としているのではなく,二次加工メーカーを取引相手としており,請求人の商品との取引者及び需要者は明らかに相違する。
すなわち,「紙類」において業として使用する者の通常販売ルートは,通常メーカー(Business)からメーカ(Business)に販売されるものであって,請求人の業務として認識されている「医療用機械器具」及び「デジタルカメラ,顕微鏡医療機械」のような最終消費者向けの販売をしているものとは,全く取引実情が異なるものである。
したがって,本件商標の指定商品である第16類の「紙類」と,請求人の業務として認識される第10類の「医療用機械器具」,第9類の「デジタルカメラ,顕微鏡医療機械」とは,全く取引者,需要者および取引実情が異なることが明らかである。
カ 小括
したがって,請求人の主張はいずれも失当であり,本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当しないことが明らかである。

第4 当審の判断
請求人が本件審判を請求するにつき,利害関係を有することについては,当事者間に争いがないので,本案に入って審理する。
1 請求人商標の著名性
(1)請求人の提出した証拠(各項の括弧内に掲記)によれば,以下の事実を認めることができる。
ア 請求人は,顕微鏡の国産化とその他光学機器の製造・販売を目的として大正8年に設立された株式会社高千穂製作所を前身とし,昭和11年にカメラの製造を開始し,昭和24年に「オリンパス光学工業株式会社」に社名を変更した後,昭和27年に医療機器の製造,昭和35年に測定器の製造を開始した。平成15年に現在の社名に変更し,現在は,映像事業(デジタルカメラ,ICレコーダ,双眼鏡等),医療事業(内視鏡,治療・手術装置等),科学事業(生物顕微鏡,工業用顕微鏡,非破壊検査機器等),研究開発事業を主力事業として,各事業に関連する事業活動を展開する企業であり,子会社155社及び関連会社5社とともに「オリンパスグループ」を形成し,幅広い分野の経営の多角化を推し進めている。さらに,米国(カナダ,中南米を含む。)に13社,アジアパシフィック地域に25社,欧州地域に31社の海外現地法人を有し,国際的な事業展開も行っている(甲3,甲5?甲7)。
請求人商標は,請求人のハウスマークやそのグループ会社の社名に冠されるものとして,及び,これらの社の製造販売に係る商品又は提供に係る役務を表示するものとして,大正10年頃より現在に至るまで継続して使用されており,「OLYMPUS」及び「オリンパス」は,ギリシャ神話で神々が住むとされるオリンポス(Olympus)山に由来する(甲4)。
イ 請求人及びそのグループ会社の業績
(ア)請求人及びそのグループ会社の製造販売に係る光学機械器具,医療機械器等は,当該分野において,日本はもとより,世界においても高い市場占有率を有しており,例えば,請求人の主力商品の一つであるデジタルカメラの平成11年における出荷台数シェアは,世界第1位であり,その市場占有率は24%であった。また,医療機器業界における平成21年の売上ランキング並びに平成25年及び平成26年の売上ランキングは第1位であり,さらに,精密機器業界における平成25年及び平成26年の売上ランキングは第2位であった(甲8,甲9,甲17,甲18)。
(イ)請求人及びそのグループ会社の日本における販売高は,平成22年度が約3865億円,平成23年度が約3982億円,平成24年度が約2870億円,平成25年度が約1725億円であった(甲14?甲16)。
ウ 宣伝広告活動
(ア)請求人は,例えば,平成24年12月分のテレビCM放送実績として,九州,中国,近畿,東海,中部,東京,東北,北海道の各地域のキーステーション等において,15秒間又は30秒間のCM「超高速AF編」及び「5軸手ぶれ補正篇」に関する放送を合計4268回行った(甲19?甲62)。
(イ)請求人は,新聞及び雑誌による広告も,平成16年から平成26年にかけて,請求人商標を表示したデジタルカメラや医療機械器具等について,全国紙や我が国において著名な雑誌等を中心に多数掲載した(甲63?甲113)。
(ウ)また,請求人は,交通機関においても,平成17年及び平成20年に,都営新宿線,京王線,京王新線,井の頭線,東京メトロ地下鉄全線の車内に,請求人商標3を表示したデジタルカメラの広告を行った(甲114?甲117)。
(エ)請求人は,仙台,新宿,幡ヶ谷,銀座,八王子,名古屋,大阪,広島,博多において,請求人商標3を表示した屋外広告を本件商標の登録出願前より行った(甲119)。
(オ)平成24年から平成25年にかけて発行された新聞や書籍には,請求人商標とともに請求人ないしその製造販売に係るデジタルカメラ,医療機器等に関連した紹介記事等が多数掲載された(甲120?甲278)。
(カ)請求人は,平成23年4月に,JR八王子駅南口にオープンした八王子新市民会館のネーミングライツ(命名権:使用期間2011年(平成23年)4月1日から2021年(平成33年)3月31日)を取得し,これに関連する新聞等の記事が掲載された(甲279?甲287)。
エ 請求人は,「OLYMPUS」の文字よりなる登録商標(登録第2035878号)について,全45区分に属する商品及び役務についての防護標章登録を有している(甲423?甲426)。
オ その他,請求人は,大手情報サービス企業であるトムソン・ロイター社が選出する世界の革新企業/機関トップ100に賞の創設以来4年連続で選出された(甲428?甲431)。
(2)上記(1)で認定した事実によれば,請求人及びそのグループ会社は,光学機械器具,医療機械器具を中心に,これに関連した商品の製造販売・役務の提供その他幅広い分野において営業活動を展開する我が国有数のグループ企業であること,請求人の製造販売に係る商品「デジタルカメラを含む精密機機械器具,医療機械器具」は,当該機械器具の分野において我が国における平成25年及び平成26年の売上ランキングは第1位又は第2位であり,その販売高も極めて高いものであったといえる。そして,請求人商標,特に「OLYMPUS」の文字よりなる商標(請求人商標3)は,「オリンパス」と称呼され,請求人のハウスマークとして,また,その製造販売に係る「デジタルカメラを含む精密機機械器具,医療機械器具」等を表示する商標として,本件商標の登録出願日(平成25年2月13日)には既に,日本をはじめ世界的な規模でその取引者,需要者に広く認識されていたものと認めることができ,その著名性は,本件商標の登録審決日(平成26年7月23日)にも継続していたものということができる。
2 商標法第4条第1項第15号について
(1)商標法第4条第1項第15号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」には,当該商標をその指定商品等に使用したときに,当該商品等が他人の商品等に係るものであると誤信されるおそれがある商標のみならず,当該商品等が右他人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品等であると誤信されるおそれがある商標を含むものと解するのが相当である。そして,「混同を生ずるおそれ」の有無は,当該商標と他人の表示との類似性の程度,他人の表示の周知著名性及び独創性の程度や,当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質,用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし,当該商標の指定商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として,総合的に判断されるべきである(最高裁平成10年(行ヒ)第85号,平成12年7月11日第三小法廷判決)。
(2)上記(1)の観点から,本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について検討する。
混同を生ずるおそれの有無
(ア)本件商標と請求人商標の類否
本件商標は,上記第1のとおり,「オリンパスカラー」の文字を標準文字で表してなるものであるところ,その構成中の「オリンパス」の文字部分は,ギリシャ北部に位置する「オリュンポス山(オリンポス山)」を意味する英語「Olympus」の片仮名表記であり(乙3及び乙4),また,「カラー」の文字部分は,「色,色彩」等を意味する英語「color」の片仮名表記であると認められ(乙18),本件商標は,「オリンパス」と「カラー」の2語を結合した構成よりなるものということができる。しかし,本件商標は,「オリンパス」と「カラー」の2語を結合することにより,我が国で親しまれた熟語的意味合いが生ずるものではないこと,「カラー」の文字(語)は,本件商標の指定商品を含む各種商品の色彩を表すものとして,取引上普通に使用されているものであって,格別強い自他商品の識別機能を有するものとは認められないのに対し,「オリンパス」の文字(語)は,本件商標の指定商品である紙類の取引者,需要者を含む我が国の国民一般の間に,上記意味を直ちに理解される程度に,我が国において親しまれているものとは認め難く,むしろ,上記1認定のとおり,請求人がその業務に係る商品「デジタルカメラを含む精密機機械器具,医療機械器具」等について使用し,本件商標の登録出願日には既に,我が国の取引者,需要者の間に広く認識されていた請求人商標を想起,連想する場合が多いといえること,などを考慮すると,本件商標に接する取引者,需要者は,これを常に一体のものとしてのみ把握,認識するとはいえず,その構成中の「オリンパス」の文字部分に強く印象付けられる場合が多いとみるのが相当である。
してみると,本件商標は,その構成中の「オリンパス」の文字部分が取引者,需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与える部分であるといえるから,その構成文字全体より生ずる「オリンパスカラー」の称呼のほか,「オリンパス」の文字部分より,単に「オリンパス」の称呼をも生ずるというべきである。
そうすると,本件商標は,「オリンパス」の称呼を生ずることが明らかな請求人商標と該称呼を同じくする商標であって,また,請求人商標2とは,外観においても類似するものであるから,請求人商標とは,相当程度類似性の高い商標というべきである。
(イ)請求人商標の周知著名性及び独創性の程度
請求人商標が,請求人の業務に係る商品「デジタルカメラを含む精密機機械器具,医療機械器具」等を表示する商標として,本件商標の登録出願日及びその審決日において,我が国の取引者,需要者の間に広く認識されていたことは,上記1認定のとおりである。また,英語「Olympus」及びその片仮名表記の「オリンパス」の語が,ギリシャ北部に位置する「オリュンポス山(オリンポス山)」を意味するものとして,我が国の国民一般の間に広く知られているものとは認めることができないから,請求人商標は,相当程度独創性の高い商標というべきである。
この点に関し,被請求人は,請求人商標は,「ギリシャのオリンポス山,ギリシャ神話の神々の住む山」として熟知されたものであり,独創性の極めて低い商標である旨主張し,英和辞典(乙3,乙4)及びGoogleで「Olympusとは」のキーワードで検索した結果(乙17)を提出するところ,英和辞典に「Olympus」の語が掲載されていることをもって,該語が,我が国で熟知されているものと認めることは到底できないばかりか,Googleの検索結果においても,そのほとんどが請求人に関するものである。したがって,上記に関する被請求人の主張は理由がなく,他に,請求人商標が「ギリシャのオリンポス山,ギリシャ神話の神々の住む山」を意味する語として,我が国において熟知されていることを明らかにする証拠の提出はない。
(ウ)本件商標の指定商品と請求人の業務に係る商品等との関連性の程度
本件商標は,その指定商品を第16類「紙類」とするものである。
一方,請求人商標は,「デジタルカメラを含む精密機機械器具,医療機械器具」等をはじめ,請求人及びそのグループ会社の業務に係る幅広い分野の事業に使用されるものである。
そして,請求人の主力商品の一つであるデジタルカメラについていえば,デジタルカメラのユーザーが,自分で撮影した写真データをPC等を介して写真印刷用の印刷用紙にプリンターを用いて印刷することも多いところ,「写真印刷用の紙(化学的反応によらないもの)」は,第16類「紙類」に属する商品であるから,少なくとも本件商標の指定商品と請求人の業務に係る商品「デジタルカメラ」との間には密接な関連性があることが認められる。
(エ)商品の取引者及び需要者の共通性
被請求人は,被請求人グループのホームページの「包装用紙」を例にあげ(乙35),被請求人のような紙を業として取り扱う会社は,一般的に二次加工メーカーを商取引の対象としており,一般需要者を主として商取引の対象としてはいない旨主張する。
しかしながら,被請求人グループのホームページの製品情報の項目には,被請求人が乙第35号証として提出された「包装用紙」以外にも「情報用用紙」の見出しがあり,その中の「PPC用紙」の頁には,商品の特徴として「豊富な商品群 コピー機用途をはじめ,高速プリンター,オンデマンド印刷機,軽印刷機,インクジェットプリンターまで,用途に応じた業界随一の豊富な品揃えを誇ります。」の記載があり,その下段にはPPC用紙の種類毎にA3,A4,B4,B5の一般的サイズの用紙を取り扱っている事実が確認できる(http://www.nipponpapergroup.com/products/information/ppc/)ことからすれば,被請求人の商品の需要者が,二次加工メーカーのみということはできず,一般需要者も含まれるというべきである。
他方,請求人が,「OLYMPUS」の文字よりなる請求人商標を使用し,日本をはじめ世界的な規模でその取引者,需要者に広く認識されている,請求人の業務に係る商品は「デジタルカメラを含む精密機機械器具,医療機械器具」等であるところ,医療機器や生物顕微鏡,工業用顕微鏡,非破壊検査機器等といった専門性が高く,一般需要者を対象としていない分野の商品もあるが,一方で,請求人の主力商品の一つであるデジタルカメラ等は一般需要者を対象としている商品である。
そうすると,本件商標の指定商品と請求人の業務に係る商品とは,その取引者,需要者において共通する場合があるといえる。
(オ)その他の取引の実情
被請求人は,大昭和製紙が昭和30年より「オリンパス」を「半晒クラフト紙」の製品名として使用している実情が存在し,本件商標は,該「オリンパス」を根源とするものであり,封筒などの原料である紙の業界においては,「オリンパス」の語を請求人の商標と認識して取引される実情はない旨主張し,証拠(乙20,乙21)を提出するところ,「イムラ封筒80年史」(乙20),「大昭和製紙五十年史」(乙21)によれば,大昭和製紙が昭和30年に開発した「半晒クラフト紙」に,「オリンパス」の文字よりなる商標が使用された事実は認め得るが,現在においても「オリンパス」の文字よりなる商標が本件商標権者の業務に係る「半晒クラフト紙」の商標として継続的に使用されている事実は見いだせない。
また,「オリンパスカラー」をキーワードとして,Googleで検索した結果のうち,上位100件中,90件以上が請求人に関連する記事であり,その中には,例えば,請求人商標を付したデジタルカメラで撮影された画像データの色合いを意味する語として用いられているものも存在する(甲439?甲443)。この点に関し,被請求人は,「オリンパスカラー」の語が,請求人のデジタルカメラで撮影した画像データに用いた場合に,当該画像データの色合いを意味する証拠であることは認めるが,「オリンパスカラー」の語が紙類に用いられた場合までも同様の意味がある証拠ではないから,本件商標の解釈に何ら影響するものではない旨主張する。しかし,Googleで検索した結果(甲439?甲443)からは,「オリンパスカラー」の語はそれ自体が,紙類を取り扱う分野を優に越えて,請求人商標を付したデジタルカメラで撮影された画像データの色合いを意味する語として一般には理解されているとみるべきであって,「オリンパスカラー」の語が紙類を取り扱う分野において,上記意味を有する以外に,例えば,本件商標権者の商標として認識されているといった事実を裏付ける証拠の提出はない。
したがって,上記に関する被請求人の主張は理由がない。
(カ)まとめ
上記認定のとおり,請求人商標は,請求人及びそのグループ会社のハウスマークとして,また,請求人の業務に係る商品「デジタルカメラを含む精密機機械器具,医療機械器具」等を表示するものとして,本件商標の登録出願日及び審決日の時点において,我が国の取引者,需要者の間に極めて広く認識されていた商標である。そして,本件商標は,請求人商標とは相当程度類似性の高い商標であり,本件商標の指定商品は,請求人商標が使用される商品と関連性の高い商品を含むものであること,また,その需要者も一部において共通するものであること,などを併せ考慮すると,本件商標をその指定商品について使用するときは,その取引者,需要者に請求人商標を想起,連想させ,該商品が,請求人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある者の業務に係る商品であると誤信され,商品の出所について混同を生じさせるおそれがあることは否定できない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号にいう「混同を生ずるおそれがある商標」に該当するものと認められる。
イ 被請求人のその他の主張について
(ア)被請求人は,本件商標の指定商品は,請求人の製品である光学機器,医療機械等とは,その生産者,販売部門,原材料,品質,需要者層等を全く異にするものであり,本件商標の指定商品の分野で,請求人商標が周知性を獲得したと認める証拠の提出はなく,また,請求人が,紙類について請求人商標を使用している証拠はほとんど存在しない旨主張する。
しかしながら,上記認定のとおり,請求人は,映像事業(デジタルカメラ,ICレコーダ,双眼鏡等),医療事業(内視鏡,治療・手術装置等),科学事業(生物顕微鏡,工業用顕微鏡,非破壊検査機器等),研究開発事業を主力事業として,各事業に関連する事業活動を展開する企業であり,子会社155社及び関連会社5社とともに「オリンパスグループ」を形成し,幅広い分野の経営の多角化を推し進めていること,請求人商標は,請求人のハウスマークとして,また,その業務に係る商品「デジタルカメラを含む精密機機械器具,医療機械器具」等を表示するものとして,極めて高い著名性を有していること,本件商標と請求人商標との類似性が高いこと,請求人商標は独創性が高いこと,本件商標の指定商品と請求人の主力商品の一つであるデジタルカメラとが関連性を有すること,などを併せ考慮すれば,本件商標は,これをその指定商品について使用するときは,その取引者,需要者は,著名な請求人商標と同一の文字よりなり,同一の称呼を生ずる「オリンパス」の文字部分に着目し,請求人の業務に係る商品との間に,商品の出所について混同を生ずるおそれが著しく高いというべきである。このことは,請求人が,「OLYMPUS」の文字よりなる登録商標(登録第2035878号)について,「紙類」を含む全45区分に属する商品及び役務についての防護標章登録を有している事実(甲423?甲426)からも明らかであるといえる。
したがって,上記に関する被請求人の主張は理由がない。
なお,被請求人は,請求人が,紙類について請求人商標を使用している証拠はほとんど存在しない旨主張するが,「商標法4条1項15号は,出所の混同を生ずるおそれのある商標の登録を阻止する趣旨の規定であって,同号の『他人の業務に係る商品又は役務』とは,必ずしも他人が現実に行っている業務に限られるものではなく,客観的にみてその他人が業務主体として商品を取り扱い又は役務を提供するものと推認されるような業務に係る商品又は役務も含むものと解される」(平成13年(行ケ)第435号参照)のであるから,請求人が紙類の販売活動等を現実に行っているか否かは,同号の適用の有無を左右するものではないというべきである。
(イ)被請求人は,「2014年度 経営方針」又は「2014年3月期連結決算概況,2015年3月期通期見通し」(乙14,乙15)によれば,請求人は,カメラ,顕微鏡等の光学機器及びその応用技術範囲の分野(医療分野等)においてのみ多角化することはあっても,それ以外の分野において多角化することはないから,これらの分野とかけ離れた本件商標の指定商品の分野において,その取引者,需要者が,本件商標から殊更に「オリンパス」を抽出し,請求人商標を認識するとする合理的な理由はない旨主張する。
しかしながら,仮に請求人の営業の多角化が被請求人主張のとおりであったとしても,本件商標は,これをその指定商品について使用するときは,請求人の業務に係る商品との間に,商品の出所について混同を生ずるおそれがあることは上記(ア)のとおりであるから,被請求人の主張は理由がないというべきである。
3 むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第15号に違反してされたものというべきであるから,その余の請求の理由について検討するまでもなく,同法第46条第1項第1項の規定により,無効とすべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
審理終結日 2016-01-29 
結審通知日 2016-02-03 
審決日 2016-02-18 
出願番号 商願2013-9093(T2013-9093) 
審決分類 T 1 11・ 271- Z (W16)
最終処分 成立 
前審関与審査官 神前 博斗椎名 実 
特許庁審判長 田中 幸一
特許庁審判官 早川 文宏
前山 るり子
登録日 2014-09-12 
登録番号 商標登録第5701246号(T5701246) 
商標の称呼 オリンパスカラー、オリンパス 
代理人 中山 健一 
代理人 川崎 仁 
代理人 中里 浩一 
代理人 杉村 憲司 
代理人 村松 由布子 
代理人 中里 卓夫 
代理人 三嶋 景治 
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