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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y22
管理番号 1313189 
審判番号 取消2013-300890 
総通号数 197 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2016-05-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2013-10-18 
確定日 2016-03-22 
事件の表示 上記当事者間の登録第4943352号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4943352号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4943352号商標(以下「本件商標」という。)は、「クールマックス」の片仮名及び「COOLMAX」の欧文字を二段に横書きしてなり、平成17年10月13日に登録出願、第22類「ターポリン,帆,雨覆い,天幕,日覆い,日よけ,よしず」を指定商品として、同18年4月7日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、平成25年11月6日である。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第4号証(枝番号を含む)を提出した。
1 請求の理由
被請求人は、本件商標を、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において使用した事実が存在しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 弁駁における主張
(1)被請求人は、審判請求に係る指定商品のいずれについても、商標の使用の事実を立証していないこと
ア 被請求人が販売する商品について
(ア)乙第1号証ないし乙第4号証の記載からは、被請求人が「クールマックス(R)シリーズ」(審決注:「(R)」は「R」の欧文字を丸で囲んだものである。以下同じ。)という遮熱膜材料を製造・販売していたこと、「クールマックス(R)シリーズ」に属する商品として「エバーマックス(R)450COOL」や「ウルトラマックス(R)クール」等が存在すること及び「ウルトラマックス(R)クール」はテント倉庫用遮熱膜材料であることを読み取ることができる。
しかし、被請求人が遮熱膜材料以外の商品について「クールマックス」の語を使用していた事実は読み取ることができない。
(イ)膜材料とは、ドームやテント等の膜構造物に使用するための布地を意味する。被請求人が販売している「クールマックス(R)シリーズ」は、ドームやテント等の膜構造物に使用するために加工された布地ではなく、あくまで、加工前のものである。
乙号証からは、被請求人は、「クールマックス(R)シリーズ」を、幅103ないし203センチメートル、長さ50メートルの布地として販売していることが読み取れる。このような大きさの長方形の布地を、そのままドームやテント等の膜構造物に使用できないことは明らかであり、実際に使用するためには何らかの加工が必要であるが、そのような加工は、被請求人から「クールマックス(R)シリーズ」を購入した後に行われているものと考えられる。換言すれば、被請求人が「クールマックス(R)シリーズ」の名称で販売している遮熱膜材料は、あくまで、最終的な製品となる前の、未加工の布地にすぎない。
イ 指定商品について
本審判請求に係る指定商品は、第22類「ターポリン、帆、雨覆い、天幕、日覆い、日よけ、よしず」(国際分類第8版)(以下「本件商品」という場合がある。)である。これらの商品は、いずれも最終的な製品であり、未加工の素材ではないから、仮に、これらの商品において布地が用いられていたとしても、未加工の布地は、これらの商品には含まれない。
ウ したがって、仮に、被請求人が「クールマックス」の語を遮熱膜材料の名称として使用していたとしても、それは、本件商品についての使用であるとはいえない。
また、被請求人が「クールマックス」の語を遮熱膜材料以外の商品について使用していたとの事実を、乙号証の記載から読み取ることはできない。
3 口頭審理陳述要領書における主張
(1)被請求人は、商標法上の「天幕」にはテントの屋根部分を覆う布も含まれるとした上で、商品「天幕」は、「テント構造物、テント倉庫、簡易テント」の屋根部分を覆う材料であり、まさに本件商標が使用される商品そのものであると主張する。
しかしながら、被請求人がその主張の根拠として挙げる乙第6号証の1ないし3には、テントの屋根部分に用いることができるように縫製などの加工が行われた後の布が、テントの骨組みとは別に「天幕」として販売されている事実が示されているにすぎない。乙第6号証の1ないし3に記載されている商品である「テントの屋根部分を覆う布」と、被請求人が「クールマックス」の商標を使用している、最終製品にするための縫製などの加工が行われる前の布である「遮熱膜材料」とは、全く別の商品である。被請求人は、両者はいずれも「テント構造物、テント倉庫、簡易テント」の「材料」であるとして、両者を同一視しようとしているが、被請求人の主張は失当である。(2)被請求人は、被請求人の商品の長さは、50メートル以外にも12メートル、8メートル、4メートル、2メートル、1メートルといったものもあり、これらのサイズであれば、「雨露をしのぐために野天に張り覆う幕」あるいは「テントの屋根部分を覆う布」として使用することができる、と主張する。
しかしながら、仮に、そのような長さの「遮熱膜材料」を被請求人が販売していたとしても、それをそのまま(最終製品にするための縫製などの加工を一切行うことなく)「雨露をしのぐために野天に張り覆う幕」あるいは「テントの屋根部分を覆う布」として使用できるものではなく、更に加工が必要であることは明らかである。
(3)被請求人は、被請求人の商品の出荷先はテント施工業者・建築業者からテント販売業者・商社に至るまで様々であり、テント施工業者や建築業者に販売された場合は工場等においてテント構造物の屋根部分に張り覆われ、あるいは建築資材を雨から守るために覆う用途で用いられ、また、テント販売業者や商社に販売された場合にはそのままの形で販売され得る、と主張する。
しかしながら、テント施工業者および建築業者は、被請求人から購入した「遮熱膜材料」を、そのまま(最終製品にするための縫製などの加工を一切行うことなく)そのような用途に用いる訳ではなく、縫製などの加工を行った上で、そのような用途に用いるものであることは明らかである。テント販売業者についても、被請求人から購入した「遮熱膜材料」をそのまま販売するのではなく、天幕やテントに加工した上で、そのような天幕やテントを販売するものであることは明らかである。商社については、被請求人から購入した「遮熱膜材料」をそのまま販売するものと解されるが、それはあくまで「遮熱膜材料」として販売するのであって、天幕やテントとして販売するものではない。
(4)被請求人は、乙第8号証の1ないし3に示されるインターネットショッピングサイトにおける商品「日よけ」等の販売ページに記載されているように、被請求人が本件商標を用いて販売する商品は、そのまま「日よけ」として使用され得るものである、と主張する。
しかしながら、これらの乙第8号証の1ないし3に示されている商品は、最終製品にするための縫製などの加工が行われる前の布ではなく、そのような加工が行われた後の商品である。これらの商品の存在は、被請求人の上記主張を何ら裏付けるものではない。
(5)被請求人は、被請求人及び同業他社が本件商標を用いて販売するような商品について商標登録を行う場合、商品「天幕」や「ターポリン」といった第22類の商品を登録することが一般的であるが、これは、現実の取引市場において、「天幕」、「ターポリン」といった商品として取り扱われている事情が存在するからであると主張する。
しかしながら、最終製品にするための縫製などの加工が行われる前の布と、そのような加工が行われた後の最終製品とを同一視する取引市場の実情などというものが存在しないことは明らかである。
(6)以上のとおりであるから、本件商品について本件商標が使用されているとする被請求人の主張は、いずれも失当である。
4 平成26年11月26日付け上申書における主張
審判長は、平成26年10月22日に行われた第1回口頭審理において、被請求人に対し、本件商標が使用される商品が「雨覆い、天幕、日覆い、日よけ」に加工する前の布ではなく、「雨覆い、天幕、日覆い、日よけ」そのものであり、「雨覆い、天幕、日覆い、日よけ」として取引しているものであることを明らかにするよう審尋した。
これに対し、被請求人は、上記事実は、新たに提出した乙第10号証ないし乙第15号証により明らかであると主張するが、これらの証拠から読み取ることができる事実は、被請求人から布地(「ウルトラマックス」)を購入した取引先が、当該生地を、テント、カーテンやカバーなどを製作するために使用しているといった事実に留まる。被請求人の商品が「雨覆い、天幕、日覆い、日よけ」そのものであるとか、「雨覆い、天幕、日覆い、日よけ」として取引されている事実は、上記証拠からは何ら読み取ることができない。
また、被請求人は、被請求人が販売した商品が最終的にどのような形で使用されていくのかをコントロールしていないことを自認している。このことは、被請求人の商品が、取引の時点では単なる布地として取引されているものであり、「雨覆い、天幕、日覆い、日よけ」として取引されているものではないことを、より一層、明確に示している。
結局のところ、被請求人が新たに提出した証拠は、被請求人の販売する商品がテント、カーテンやカバーなどを製作するために使用されていること、換言すれば、テント、カーテンやカバーなどの材料として使用されていることを示すものにすぎず、その点においては、被請求人が従前に提出した証拠と何ら違いはない。
なお、乙第2号証及び乙第3号証に表示されている者と被請求人が同一人であるか否かについては、請求人としては、特に意見はない。
以上のとおりであるから、被請求人は、被請求人が本件商品について本件商標と社会通念上同一の商標を使用した事実を立証していない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第17号証(枝番号を含む)を提出した。
なお、被請求人が「乙第1号証」、「乙第2号証」、「乙第3号証」、「乙第4号証」、「乙第6号証」及び「乙第8号証」として提出した証拠方法は、他にその枝番号を伴う証拠方法の提出がされているので、本審決においては、「乙第1号証の1」など、「の1」の枝番号を伴うものとして扱うこととする。
1 答弁の理由
(1)被請求人は、本件商標を本件商品について現に使用している。
(2)使用商標
本件商標は、片仮名と英文字の二段併記の構成からなる商標である。以下の証拠方法に表された商標は、主に片仮名のみで書されたものであるが、本件商標における上段「クールマックス」の文字と下段「COOLMAX」の文字の称呼・観念は同一であるため、片仮名で記された「クールマックス」一方のみの使用は、本件商標と明らかに社会通念上同一と認められる商標の使用である。
(3)商標使用者
証拠における商標の使用者は、本件商標権者の平岡職染株式会社自身である。
(4)使用証拠
ア 被請求人による商標「クールマックス\COOLMAX」は、「ウルトラマックスクール」、「エバーマックス450クール」、「エバーマックスEXクール」、「サンドリームクール」などの、遮熱性を有するテント・日除け・ターポリンその他の膜材料関連の製品の総称として用いられるものである(乙1)。
乙第1号証は、内覧会において展示・頒布された広報資料(乙1の2ないし4)であり、同資料における本件商標の使用は、商品の広告・価格表・取引書類等に標章を付して展示又は頒布する行為に該当する(商標法第2条第3項第8号)。
イ 乙第2号証は、「クールマックス」シリーズのうち、「EVERMAX(エバーマックス)」に関するパンフレットである。「EVERMAX(エバーマックス)」のうち、「クールマックス」シリーズに該当する「エバーマックスクール」は、テント構造物におけるターポリンなどの商品に使用される(乙2の2)。
該パンフレットにおいて、「クールマックス」が商標として使用されており、該パンフレットにおける本件商標の使用は、商品の広告・価格表・取引書類等に標章を付して展示又は頒布する行為に該当する(商標法第2条第3項第8号)。
なお、該パンフレットは、2013年5月に500部(乙2の3)、2011年7月に2000部が発行・頒布された(乙2の4及び5)。
ウ 乙第3号証は、「クールマックス」シリーズのうち、「ULTRAMAX(ウルトラマックス)」に関するパンフレットである。「ULTRAMAX(ウルトラマックス)」のうち「クールマックス」シリーズに該当する「ウルトラマックスクール」は、パンフレット掲載の写真及び乙第3号証の2に表されるとおり、天幕・日覆いなどの商品に使用される。
該パンフレットに、「クールマックス」が商標として使用されており、該パンフレットにおける本件商標の使用は、商品の広告・価格表・取引書類等に標章を付して展示又は頒布する行為に該当する(商標法第2条第3項第8号)。
なお、該パンフレットは、2013年6月に5000部が発行・頒布され(乙3の3)、2012年7月に4000部、2012年6月に1000部、2011年8月に500部、2011年10月に4000部、2011年9月に500部が発行・頒布された。
エ 乙第4号証は、日本テントシート工業組合連合会が発行する「テント工連だより」、「産繊新聞」などのテント関連の業界紙に出稿したクールマックス関連の商品に関する広告であり、該業界紙の広告における本件商標と社会通念上同一の商標の使用は、商品の広告・価格表・取引書類等に標章を付して展示又は頒布する行為に該当する(商標法第2条第3項第8号)。
(5)まとめ
以上述べたことから、本件商標が本件審判の取消請求に係る指定商品について、予告登録前3年以内に、被請求人によって使用されていたことが客観的に証明された。
2 口頭審理陳述要領書における主張
(1)現実の取引市場においては、テント構造物の屋根として用いられるターポリン生地、ポリエステル製の帆布などが「天幕」として取り扱われており、テント構造物における支柱等の骨組みとは別個に、あくまで屋根部分を覆う布のみが「天幕」として取り扱われている(乙6の1ないし4)から、本件商標は、本件商品のうち、少なくとも「天幕」について使用されているということができる。
(2)請求人は、弁駁書において、被請求人が販売する商品は、幅103ないし203センチメートル、長さ50メートルの長さで販売され、その販売される大きさゆえにそのまま膜構造物に使用できないから、被請求人が販売する商品は、最終製品となる前の未加工の布地にすぎない旨、及び本件商標は「未加工の素材」について使用するものである旨を述べている。
しかしながら、被請求人が本件商標を用いている商品は、表面樹脂層、基布、裏面樹脂層の3層構造によって紫外線・熱を遮断するとともに、特殊加工によって経年劣化を防止させるといった機能を実現させた加工済みの商品であり(乙1の4)、そのまま「雨露をしのぐために野天に張りおおう幕」ないしは「構造物の屋根部分を覆う布」としての「天幕」や「雨覆い」、あるいは「日よけ」といった商品として使用されるものであるから、本件商標が「未加工の布地」又は「未加工の素材」について使用されるものとはいえないものである。
また、販売される商品の長さは「50m」のものもあれば、「12m」「8m」「4m」「2m」「1m」といったものもある(乙7)。これらのサイズであれば、「雨露をしのぐために野天に張りおおう幕」「テントの屋根部分を覆う布」として使用することができることは明らかである。
さらに、商品の出荷先も、テント施工業者・建築業者からテント販売業者・商社に至るまで様々であり、テント施工業者や建築業者に販売された場合は工場等においてテント構造物の屋根部分に貼りおおわれ、あるいは建築資材を雨から守るために覆う用途で用いられ得る。また、テント販売業者や商社に販売された場合にはそのままの形で販売され得る。このように、販売態様は多様であるが、いずれにせよ本件商標が、「天幕」や「雨覆い」、あるいは「日よけ」について使用されていることは明らかである。
(3)インターネットショッピングサイトにおける商品「日よけ」等の販売ページ(乙8)に記載されているように、被請求人が本件商標を用いて販売するような商品は、そのまま「日よけ」として使用され得るもので、このことは各商品の幅と高さのサイズ記載からも明らかである。
すなわち、本件商標が用いられる商品は、未加工の商品というよりは、それ自体が「日よけ」の完成品として判断されるべきものであり、本件商標は商品「日よけ」について使用されていたということができる。
(4)以上のように、本件商標が使用された商品は、需要者にそのまま「テントの屋根部分を覆う布、雨露をしのぐために野天に張りおおう幕、雨にぬれるのを防ぐためにかぶせるおおい、日の光を避けるためのおおい」として使用されるのであるから、「雨覆い、天幕、日覆い、日よけ」として販売されているものとなる。
すなわち、本件商標は取消請求に係る指定商品「雨覆い、天幕、日覆い、日よけ」に使用されているものである。
(5)被請求人及び同業他社は、本件商標を用いて販売するような商品について商標登録を行う場合、商品「天幕」や「ターポリン」といった第22類の商品を指定商品として登録することが一般的であるが、これは、現実の取引市場において、「天幕」、「ターポリン」といった商品として取り扱われている実情が存在するからである。
仮に、本件商標が使用されているような商品が本件商標の指定商品に該当しないと判断されたとすれば、被請求人及び同業他社が属する業界における登録商標のほぼ全てがその指定商品について使用さていない不使用商標と判断され得ることになり、ひいては現実の取引の実情を攪乱する事態に帰結しかねず、法目的の観点からかんがみても妥当でない。
3 平成26年11月12日付け上申書における主張
(1)第1回口頭審理における審尋(1)について
審判長は、第1回口頭審理において、本件商標が使用される商品について、「雨覆い、天幕、日覆い、日よけ」に加工する前の布ではなく、「雨覆い、天幕、日覆い、日よけ」そのものであり、「雨覆い、天幕、日覆い、日よけ」として取引しているものであることを明らかにするように審尋した。同審尋に対し、以下の証拠を提出する。
ア 被請求人が販売した「ウルトラマックス」は、被請求人の取引先の一つである株式会社日本テント製作所によって、ピラミッド型天窓の老朽化による雨漏りを防ぐための雨除けに使用されている(乙10)。ここに示されているとおり、株式会社日本テント製作所は、天窓取付のためのロープや金物を設計・製作しているが、雨除けとして使用されている布地は何ら加工されることなく、被請求人が販売した状態そのままのものである。
被請求人が販売する商品は、テント素材に限らず、例えば、機械防臭カバー(乙11)や防塵用のカーテン(乙12)といったように、被請求人が販売したままの状態で、様々な場面において最終製品として使用されている。また、上記の他にも被請求人が販売する商品は、単なる膜材料としてではなく、車庫ガレージ用の車体カバー(乙13)、防塵テント・雨除けテント・上屋テントの天幕や洗車場の飛水防止シート(乙14),防音シート・角芯カーテン(乙15)など、多様な用途で用いられている。
本件商標の指定商品が取り扱われる業界においては、一般に問屋を介してテント業者やその他の業者に販売されたうえで使用されるといった流通過程で商品が取引されている。そのため、被請求人としても販売商品が最終的にどのような形で使用されていくのかといった点をコントロールすることはないが、上記証拠方法に示されるとおり、本件商品の材料としてのみ使用されていないことは明らかである。
なお、上記の提出証拠は、いずれも本件審判の請求の登録前3年以内(以下「要証期間内」という。)のものである。
イ 乙第7号証の被請求人による「出荷指示一覧表照会(営業用)」の「出荷済数」及び「出荷明細」では、「1m」「2m」「8m」といった細かい単位で商品が出荷されているが、これは「切り売り」という規格外での販売を意味するものである。
被請求人は、先に述べたとおり、販売商品が最終的にどのような形で使用されていくのかといった点をコントロールすることはないが、103cm(巾)×1?2m(長さ)、203cm(巾)×1?2m(長さ)の切り売りは、テント素材としてよりはむしろ、マンションなどのベランダに設置して「日よけ」「雨覆い」などに使用するのに最適なサイズであることから、被請求人が販売する商品が、最終的にこのような形で使用されることが推認できる。
ウ 上記の証拠方法から、本件商標が使用される商品は、「雨覆い、天幕、日覆い、日よけ」に加工する前の布ではなく、「雨覆い、天幕、日覆い、日よけ」そのものであり、「雨覆い、天幕、日覆い、日よけ」として取引しているものであることは明らかである。
(2)第1回口頭審理における審尋(2)について
審判長は、第1回口頭審理において、乙第2号証及び乙第3号証に表示されている者と被請求人が同一人であることを明らかにするように審尋した。同審尋に対し、以下の証拠を提出する。
パンフレットなどの提出証拠に記載された住所は、被請求人の営業上の住所であり、ホームページなどにおいては、この住所が表示されている(乙16)。他方、商標権者の住所として用いられているものが被請求人の登記上の本店所在地とされていた住所であり、これは現在事項証明書においても記載されている(乙17)。なお、パンフレット記載の住所は、支店住所として記載されている。
上記の証拠方法から、乙第2号証及び乙第3号証に表示されている者と被請求人が同一人であることは明らかである。

第4 当審の判断
被請求人は、本件商標を本件商品に使用していると主張しているので、以下検討する。
1 答弁書における主張について
(1)被請求人提出の主張及び証拠によれば以下の事実が認められる。
ア 乙第1号証の1は、被請求人の技術トレンド内覧会における広報資料であるところ、1葉目に、「クールマックス(R)シリーズのご紹介」の見出しで、「クールマックス(R)シリーズとは?」として、「各種膜材料に、遮熱性を付与した製品(遮熱膜材)の総称です。」の記載、「遮熱膜材」として、「テント倉庫膜材料 ウルトラマックス(R)クール」、「C種膜材料 エバーマックス(R)450クール」、「C種膜材料 エバーマックス(R)EXクール」及び「透明C種膜材料 サンドリーム(R)クール」の記載があり、また、「遮熱膜材とは?」として「遮熱膜材・・・膜材料表面で太陽光の赤外線を効果的に反射し、膜構造空間において夏でもそれ程暑くならない膜材料」の記載がある。
イ 乙第1号証の2は、被請求人の技術トレンド内覧会次第であるところ、2012年8月2日から10月3日における6回の開催について、いずれも「研修」の内容として「遮熱膜材料 クールマックス(R)シリーズ」の記載がある。
ウ 乙第1号証の4は、平成24年9月15日付け「産繊新聞」(有限会社産繊新聞社発行)であるところ、被請求人の技術トレンド内覧会に関した記事中には、「クールマックス(R)シリーズ(ウルトラマックス(R)クール、エバーマックス(R)450クール、エバーマックス(R)EXクール、サンドリーム(R)クール)」の見出しで、「表面樹脂層、基布、裏面樹脂層の3層からなる遮熱膜材で、・・・ウルトラマックス(R)クールはスタンダードタイプのテント倉庫膜材料、エバーマックス(R)450クールは遮熱性を重視したC種膜、エバーマックス(R)EXクールは遮熱性を重視した耐久性C種膜、サンドリーム(R)クールは透明性を重視した遮熱C種膜である。」の記載がある。
エ 乙第2号証の1は、被請求人の「エバーマックス」のパンフレットであるところ、3葉目に、「エバーマックス(R)450COOL クールマックス(R)シリーズ」として、「暑さを軽減する遮熱膜材料」の記載、4葉目に、被請求人の名称、「2013年5月印刷」などの記載があり、また、乙第2号証の2は、被請求人のホームページであるところ、「エバーマックス(R)450COOL」に関して、「厚さを軽減する遮熱膜材料」などの記載がある。
また、乙第2号証の4は、乙第2号証の1とほぼ同様の内容のパンフレットであり、「2011年7月印刷」の記載がある。
オ 乙第3号証の1は、被請求人の「ウルトラマックス」のパンフレットであるところ、4葉目に「ウルトラマックス(R)クール」のタイトルで、「遮熱防汚タイプ」、「暑さを軽減する!テント倉庫用遮熱膜材料」、「クールマックス(R)シリーズ」などの記載、5葉目に被請求人の名称、「2012年6月印刷」などの記載がある。
カ 乙第3号証の2は、株式会社日本テント製作所のホームページであるところ、「ウルトラマックス(R)クール」の見出しで、「遮熱防汚タイプ」、「暑さを軽減する!テント倉庫用遮熱膜材料」、「膜材料表面で太陽光の赤外線を効果的に反射し・・・遮熱性のみではなく、防汚性と耐久性もより良い膜材となっております。・・・日本テント製作所ではテントや間仕切り、ロールオーニングなどの設計から施工まで行っております」の記載、また、「テント生地について」の見出しで、「特殊な生地」として、「ウルトラマックスクール」の記載がある。
キ 乙第4号証の1及び3は、平成24年8月15日付け及び同25年8月15日付け「産繊新聞」(有限会社産繊新聞社発行)、乙第4号証の2及び4は、同24年8月10日付け及び同25年8月10日付け「テント工連だより」(日本テントシート工業連合会泉貞夫発行)であるところ、被請求人の広告として、「暑中お見舞い申し上げます。私たちは、・・・本質を極めた材料を開発しています。そのため、皆様にお届けする材料には、明確なコンセプトがあります。シートを選ぶのに貴重なお時間を費やしていただく必要はありません。・・・暑中には クールマック(R)スシリーズを!・・・日傘には、サンドリーム(R)クールが使用されています。」の記載と屋外に設置された日傘の写真が掲載されている。
(2)上記で認定した事実によれば、以下のとおり認めることができる。
ア 上記(1)アないしオについて
(ア)被請求人は、遮熱性を付した膜材料(以下「使用商品」という場合がある。)の総称として「クールマックス(R)シリーズ」の文字を使用し、「クールマックス(R)シリーズ」には、テント倉庫膜材料の「ウルトラマックス(R)クール」、C種膜材料の「エバーマックス(R)450クール」及び「エバーマックス(R)EXクール」並びに透明C種膜材料の「サンドリーム(R)クール」がある(乙1ないし乙3)。
(イ)被請求人は、2012年8月から10月にかけて、技術トレンド内覧会を開催し、「クールマックス(R)シリーズ」を総称とする膜材料を紹介し展示した。また、「産繊新聞」において、該内覧会及び「クールマックス(R)シリーズ」に関する記事が掲載された(乙1)。
(ウ)被請求人は、「エバーマックス」及び「ウルトラマックス」に関するパンフレットを2011年7月、2012年6月及び2013年5月に作成した。当該パンフレット中において、使用商品について「クールマックス(R)シリーズ」の文字が使用されている(乙2及び乙3の1)。
(エ)以上のことからすると、被請求人は、遮熱性を付した膜材料の総称として「クールマックス(R)シリーズ」の文字を使用していること、2012年8月から10月にかけて、技術トレンド内覧会において、「クールマックス(R)シリーズ」の文字を付した使用商品を展示したことが認められ、また、被請求人は、2011年7月、2012年6月及び2013年5月に「クールマックス(R)シリーズ」の文字を使用した使用商品に関するパンフレットを作成したことが認められる。
イ 上記(1)カ及びキについて
(ア)株式会社日本テント製作所のホームページ(乙3の2)において、「テント生地」として、「ウルトラマックス(R)クール」の記載があることから、被請求人の商品が株式会社日本テント製作所の製品(テント)の生地として使用されたといえる。
(イ)平成24年8月及び同25年8月に発行された産繊新聞及びテント工連だより(乙4)において、被請求人の広告には、「被請求人は・・・材料を開発し、・・・届ける」旨の記載及び日傘ついて「サンドリーム(R)クールが使用された」旨の記載があることからすれば、被請求人が材料を扱う者であり、日傘に被請求人商品が材料として使用されていることがうかがえる。
(3)以上のことからすると、被請求人が本件商標を使用したと主張する商品は、「膜材料」であり、また、請求人の商品「膜材料」が被請求人以外の者が取り扱う日傘にその材料として使用されたことが認められる。
なお、被請求人が膜材料以外の商品に本件商標を使用したと認めることのできる証拠は提出されていない。

2 口頭審理陳述要領書における主張について
口頭審理事項通知書において、審判長は、暫定的見解として、被請求人に対し、被請求人が本件商標を使用している商品は「遮熱膜材料」であるが、該商品は、請求に係る指定商品の材料になり得るものといえるが、請求に係る指定商品そのものではないから、被請求人が本件商標を使用していると認めることはできない旨通知した。これに対して、被請求人は、本件商標を天幕及び日よけに使用していると主張し、乙第6号証及び乙第8号証を提出しているので、これらについて検討する。
(1)まず、乙第6号証及び乙第8号証は、いずれも被請求人以外の者の商品パンフレット又はホームページにおける商品紹介であるから、これらの証拠をもってしては、被請求人が本件商標を天幕及び日よけに使用したということはできないことは明らかである。
(2)次に、被請求人は、被請求人以外の者の商品(天幕や日よけ)の取引の状況をあげて、被請求人の商品も同様の商品であると主張していると解されるので、検討する。
ア 被請求人は、例えば、商品「天幕」については、「現実の取引市場においては、テント構造物の屋根として用いられるターポリン生地、ポリエステル製の帆布などが『天幕』として取り扱われており、テント構造物における支柱等の骨組みとは別個に、あくまで屋根部分を覆う布のみが『天幕』として取り扱われている(乙6の1ないし4)。・・・商品『天幕』は『テント構造物、テント倉庫、簡易テント』の屋根部分を覆う材料であり、まさに本件商標が使用される商品そのものであるから、本件商標は、本件商品のうち、少なくとも『天幕』について使用されているということができる。」と主張している。
しかしながら、乙第6号証の2は、テント販売者による商品紹介を内容とするものであるところ、掲載されている商品は、天幕であり、天幕の生地はターポリン生地であって、天幕自体は、屋根型に造形されているものであることが認められる。 また、乙第6号証の1、3及び4は、テントの販売・レンタル業者や天幕のレンタル業者のウェブサイトであるところ、各業者の商品は、天幕やテントとして屋根型などに造形されており、また、天幕は縁の縫製や紐通しなどの加工がされているものである。
そうすると、天幕として取引されている商品は、その材料にターポリン生地等が使用されているということはできるものの、商品自体は、屋根型などに造形されているものであり、何らの加工等がされていないターポリン生地のままの商品が天幕として取引されているとはいえない。
したがって、これらの証拠によっては、被請求人が、本件商標を天幕に使用したということはできない。
イ 被請求人は、「インターネットショッピングサイトにおける商品『日よけ』等の販売ページ(乙8の1ないし3)に記載されているように、被請求人が本件商標を用いて販売するような商品は、そのまま『日よけ』として使用され得るもので、このことは各商品の幅と高さのサイズ記載からも明らかである。すなわち、本件商標が用いられる商品は、未加工の商品というよりは、それ自体が『日よけ』の完成品として判断されるべきものであり、本件商標は商品『日よけ』について使用されていたということができる。」と主張している。
しかしながら、乙第8号証に掲載されている商品は、いずれも、縁の縫製、鳩目などの穴、付属の紐やフックなどの加工が施された商品であって、何らの加工も施されていないものではないから、被請求人の商品がこれらの商品と幅や高さが同じであることをもって、本件商標が用いられる商品が、『日よけ』の完成品として判断されるべきものであるということはできない。また、被請求人の商品がこれらの商品と同様の加工がされていると認めるに足る証拠の提出はない。
したがって、これらの証拠によっては、被請求人が、本件商標を日よけに使用したということはできない。

3 平成26年11月12日付け上申書における主張について
第1回口頭審理期日において、審判長は、被請求人に対し、本件商標が使用される商品が「雨覆い、天幕、日覆い、日よけ」に加工する前の布ではなく、「雨覆い、天幕、日覆い、日よけ」そのものであり、「雨覆い、天幕、日覆い、日よけ」として取引しているものであることを明らかにするよう審尋した。
これに対して、被請求人は、本件商標が使用される商品が「雨覆い、天幕、日覆い、日よけ」に加工する前の布ではなく、「雨覆い、天幕、日覆い、日よけ」そのものであり、「雨覆い、天幕、日覆い、日よけ」として取引していることを明らかにするとして、乙第10号証ないし乙第15号証を提出している。
しかしながら、乙第10号証ないし乙第15号証は、テントや車庫ガレージなどの施工業者の設置工事や施工例に関する事項を内容とするものであるから、これらの証拠は、被請求人が本件商標を使用していることを証明するものとはいえない。
なお、被請求人は、「被請求人が販売したままの状態で、様々な場面において最終製品として使用されている」旨及び「被請求人商品は、単なる膜材料としてではなく、車庫ガレージ用の車体カバー、防塵テントなどの天幕や洗車場の飛水防止シート、防音シートなど、多様な用途で用いられている。」旨主張している。
確かに、該証拠中には、車体カバー、テントなどの天幕、防音シートなどの生地又は素材が「ウルトラマックス」である旨の記載があるから、被請求人の商品が多様な用途で用いられることは認められるものの、それはあくまで、商品の材料として使用されているのであって、これらの証拠をもって被請求人の商品が車体カバーなどの製品として取引されたということはできない。
したがって、被請求人提出の証拠をもってしては、本件商標を使用している被請求人の商品が「雨覆い、天幕、日覆い、日よけ」そのものであり、「雨覆い、天幕、日覆い、日よけ」として取引されているものであることが明らかになったということはできない。

4 まとめ
以上のことからすると、被請求人が、上記1(2)ア(エ)のとおり、本件商標を商品「膜材料」に使用したことは認められるものの、被請求人の商品が請求に係る指定商品である「ターポリン,帆,雨覆い,天幕,日覆い,日よけ,よしず」にいずれかの商品そのものである又はそのものとして取引されたと認めることができる証拠は提出されていないから、被請求人が請求に係る指定商品のいずれかについて本件商標を使用したというに足りない。

5 むすび
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが請求に係る指定商品について、本件商標を使用していたことを証明したものと認めることはできない。また、被請求人は、その指定商品について本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2015-09-29 
結審通知日 2015-10-01 
審決日 2016-02-08 
出願番号 商願2005-95736(T2005-95736) 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (Y22)
最終処分 成立 
特許庁審判長 林 栄二
特許庁審判官 中束 としえ
土井 敬子
登録日 2006-04-07 
登録番号 商標登録第4943352号(T4943352) 
商標の称呼 クールマックス、マックス、エムエイエックス 
代理人 窪田 英一郎 
復代理人 乾 裕介 
代理人 田島 壽 
代理人 青木 篤 
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