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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W05
管理番号 1312107 
異議申立番号 異議2015-685027 
総通号数 196 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2016-04-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-08-24 
確定日 2016-02-05 
異議申立件数
事件の表示 国際登録第1227813号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 国際登録第1227813号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件国際登録第1227813号商標(以下「本件商標」という。)は、「EVONTRES」の欧文字を横書きしてなり、2014年8月13日にUnited Kingdomにおいてした商標の登録出願を基礎としてパリ条約第4条の規定による優先権を主張して、2014年(平成26年)11月24日に国際商標登録出願、第5類「Pharmaceutical and medicinal preparations and substances;vaccines.」を指定商品として、平成27年4月30日に登録査定、同年6月12日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由において引用する国際登録第918426号商標(以下「引用商標」という。)は、「EVONIK」の欧文字を横書きしてなり、2006年4月7日にGermanyおいてした商標の登録出願を基礎としてパリ条約第4条の規定による優先権を主張して、2006年(平成18年)10月2日に国際商標登録出願、第5類「Pharmaceutical,veterinary and sanitary preparations;sanitary products for medical use;dietetic substances adapted for medical use;dietetic food supplements for medical use;food for babies;plasters,materials for dressings;material for stopping teeth,dental wax;disinfectants;preparations for destroying vermin;fungicides,herbicides;gases for medical purposes,gases for respiration for medical purposes.」を始めとして、第1類ないし第7類、第9類、第11類、第16類、第17類、第19類、第35類、第37類及び第39類ないし第42類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成21年12月11日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。
3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標について、商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきものである旨申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第15号証を提出した。
(1)引用商標の著名性
引用商標は、ドイツ共和国エッセンに本社を構える申立人「Evonik Industries AG」の商号である。
申立人はスペシャリティケミカル(特殊化学品)のトップメーカーであり、2014年の時点で、世界25カ国に約100以上の製造施設を有し、約3万3000人の従業員が活動する(甲第3号証)。グループの売上高は129億ユーロ(約1.7兆円)を計上し、2015年の化学メーカーのグローバルランキングでは第20位に相当する。これは、わが国の化学品メーカーと売上高ベースで比較すると、三菱ケミカルホールディングス(第11位)に次ぎ、住友化学(第18位)、三井化学(第19位)とほぼ同規模の会社であるといえる(甲第4号証)。
申立人は、インオーガニックマテリアルズ(タイヤ、ゴム、塗料等)、コンシューマスペシャリティ(スキンケア、ヘアケア、化粧品原料等)、ヘルス&ニュートリション(飼料用アミノ酸、医薬品、農薬等)、コーティングス&アディティブス(印刷インク、コーティング、接着剤、潤滑油等)、パフォーマンスポリマーズ(モノマー、ポリマー、シート材)の6つの分野それぞれに特化した製品の開発、製造、販売を行っており、これら事業活動の80パーセント以上の領域で業界のマーケットリーダーとなっている(甲第5号証)。具体的には、シリカ製造のトップメーカーの一つで特にタイヤ及びラバー用途に製品を供給する湿式シリカのメーカーとしては世界最大であり、また、飼料用総合アミノ酸メーカーとしてもトップレベルのシェアを誇る(甲第6号証)。さらに、赤ちゃんのオムツ、女性用生理用品、尿漏れパッド等に使用される世界最大のスーパーアブソーバー(高給水性高分子)メーカーである(甲第7号証)。
わが国における申立人の経済活動は、エボニックジャパン株式会社をはじめとし、日本アエロジル株式会社、DSLジャパン株式会社、ダイセル・エボニック株式会社の3社が行っており、タイヤや乾燥剤、撥水材などの分野でトップレベルのシェアを有している(甲第8号証)。
このように引用商標は申立人の商号として、化学品分野をはじめ幅広い事業分野でヨーロッパをはじめわが国でも高い著名性を有しているといえる。
(2)引用商標の造語性、独創性
引用商標は造語であって、辞書に記載があるものではない。そして、「EVON○○○」なる登録商標は、第5類「薬剤(01B01)」に関して、申立人の引用商標を含め3件、他に本件商標の商標権者の「EVONTRES」と「EVONTRUS」しか存在しないことから、引用商標は十分に独創性がある(甲第9号証)。
(3)混同のおそれ
商標法第4条第1項第15号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」には、いわゆる狭義の混同のみならず、商品や営業の関連性を想起させる広義の混同が含まれる(甲第10号証)。さらに、同号の目的からすれば、周知表示又は著名表示へのフリーライド希釈化(ダイリューション)を防止することも重要であるとされている。
そこで、申立人の商標をみると、引用商標の「EVONIK」は化学品・医薬品分野において世界的な知名度を有しているところ、商号の最初の4文字「EVON」までが引用商標と共通する本件商標の「EVONTRES」は、あたかも申立人のブランドや、関連する企業グループの名称を需要者・取引者に想起させるもので、申立人との関係性について混同を生ずるおそれがあることを否めない。
著名な商号やブランドの一部を汎用的に使用することで、需要者・取引者にその出所が同一人のものに由来すると認識させる手法は頻繁に使われており(甲第11号証ないし甲第15号証)、本件商標に関しても、申立人のインパクトの強い語頭の2音「エボ(エヴォ)」を含む「EVON」の4文字が引用商標と共通であることにより、あたかも申立人の取扱商品のブランド名や関連会社の名称であるかの如く需要者・取引者の間で混同を生じさせるおそれを否定できない。
(4)まとめ
以上のとおり、本件商標がその指定商品について使用された場合は、申立人の著名商標に係る商品と出所の混同を生ずるおそれが高いものであり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものといわざるを得ない。
4 当審の判断
(1)引用商標の周知性等について
申立人は、上記3(1)のとおり、引用商標について申立人の商号を表すものとして高い著名性を有しているとして、インターネット情報である甲第3号証ないし甲第8号証を提出しているところ、これらのうち、甲第3号証及び甲第5号証ないし甲第7号証は、申立人のウェブサイトであり、その左上には、図形及び「INDUSTRIES」の欧文字が添えられた「EVONIK」の欧文字が表示されてはいるものの、そのほかに、引用商標を我が国においていかに使用しているのか、すなわち、我が国の取引者、需要者がいかなる場合に引用商標に接することができるのかは明らかにされていない。
しかも、申立人提出の甲各号証には、世界的規模での社員数、製造工場数、売上高等は記されているが、我が国における商品の製造の規模やシェア、売上高の規模やシェア、具体的な宣伝、広告の態様、期間、規模など、我が国における状況は明らかにされていない。
そして、職権をもって調査するも、引用商標が我が国において周知、著名となっているとすべき事情を見いだすこともできなかった。
そうすると、引用商標は、我が国において申立人を表すものとして使用されているとしても、周知、著名になっているとまではいえないものである。
(2)本件商標について
本件商標は、上記1のとおり、「EVONTRES」の欧文字を横書きしてなるところ、その構成文字を同書、同大、同間隔でまとまりよく一連に表示したものであり、その構成文字に相応して生じる「エボントレス」の称呼も無理なく一連に称呼できるものである。そして、その構成文字は、既存の辞書に載録されているものではなく、他に特定の意味合いを表す語として親しまれている事情も見いだし得ないから、特定の意味合いを認識することのない一種の造語といえるものである。
そうすると、本件商標は、その構成文字の全体を一体不可分のものとして把握、認識されるものであり、その構成文字に相応して「エボントレス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものといえる。
(3)引用商標について
引用商標は、上記2のとおり、「EVONIK」の欧文字を横書きしてなるところ、その構成文字を同書、同大、同間隔でまとまりよく一連に表示したものであり、その構成文字に相応して「エボニック」の称呼が生じるものである。そして、引用商標が申立人を表すものとして周知、著名であるといえないことは上記(1)のとおりであり、また、その構成文字は、既存の辞書に載録されているものではなく、他に特定の意味合いを表す語として親しまれている事情も見いだし得ないから、特定の意味合いを認識することのない一種の造語といえるものである。
さらに、引用商標は、その使用態様をみても、「EVONIK」の欧文字が同書、同大、同間隔で表示されており、その構成中の一部の文字部分のみが強調されて使用されているような事情も見いだし得ないものであるから、上述の認定に変わりはないものである。
そうすると、引用商標は、その使用態様を含めてみても、その構成文字の全体を一体不可分のものとして把握、認識されるものであり、その構成文字に相応して「エボニック」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものといえる。
(4)商標法第4条第1項第15号該当性について
引用商標は、上記(1)のとおり、我が国の取引者、需要者において、周知、著名になっているとはいえないものである。
そして、本件商標と引用商標を比較しても、外観においては、たとえ、前半部の「EVON」の文字部分が共通していても、本件商標においては、全体の構成文字の8文字のうち、半分の文字が異なっていることを踏まえるならば、明らかに区別し得るものといえる。次に、称呼においては、本件商標から生じる「エボントレス」の称呼と引用商標から生じる「エボニック」の称呼とを比較するに、共通する構成音はわずか2音にとどまり、他の構成音は相違し、語感、語調も異なるものであるから、明らかに聴別し得るものである。さらに、観念においては、本件商標と引用商標の双方とも、特定の観念を生じないものであるから、両商標は、観念において相紛れるおそれがあるということもできないものである。
そうすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても、相紛れるおそれのない別異の商標であるから、本件商標をその指定商品に使用しても、その取引者、需要者が申立人又は引用商標を連想、想起するということはできない。
してみれば、本件商標は、その指定商品に使用しても、その商品の出所について混同を生じるおそれがあるということはできないから、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(5)申立人の主張について
申立人は、著名な商号やブランドの一部を汎用的に使用することで、需要者・取引者にその出所が同一人のものに由来すると認識させる手法が頻繁に使われているとして、Nestle社、バイエル社等の登録商標をあげた上で、本件商標について、その構成中の「EVON」の4文字が引用商標と共通であるから、あたかも申立人の取扱商品のブランド名や関連会社の名称であるかの如く混同を生じさせるおそれがあると主張している。
しかしながら、引用商標は、Nestle社、バイエル社等の登録商標の事例とは異なり、上記(1)のとおり、我が国において周知、著名であるとはいえないものであり、しかも、申立人は、他人の商標を説明するのみで、自社が「EVON」の4文字を共通にした種々の商標を展開しているような事情があると主張しているわけでもない。さらに、引用商標は、上記(3)のとおり、その使用態様をみても、「EVONIK」の欧文字が同書、同大、同間隔で表示されており、その構成中の「EVON」の文字部分のみが強調されて使用されている事情も見いだし得ないから、その構成文字の全体を一体不可分のものとして把握、認識されるものである。
加えて、引用商標ばかりでなく、本件商標も、上記(2)のとおり、その構成文字の全体を一体不可分のものとして把握、認識されるものである。
そうすると、本件商標と引用商標が「EVON」の文字部分が共通しているとしても、該文字部分に取引者、需要者の注意がひかれるということはできないから、本件商標が商品の出所について混同を生じるおそれがある商標であるとする申立人の主張は採用することはできない。

(6)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2016-02-02 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W05)
最終処分 維持 
前審関与審査官 阿曾 裕樹 
特許庁審判長 大森 健司
特許庁審判官 平澤 芳行
林 栄二
登録日 2014-11-24 
権利者 Glaxo Group Limited
商標の称呼 エボントレス 
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト 
代理人 山崎 和香子 
代理人 齋藤 宗也 
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