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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W38
審判 全部申立て  登録を維持 W38
審判 全部申立て  登録を維持 W38
審判 全部申立て  登録を維持 W38
管理番号 1312104 
異議申立番号 異議2015-900171 
総通号数 196 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2016-04-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-05-29 
確定日 2016-03-04 
異議申立件数
事件の表示 登録第5743703号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5743703号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5743703号商標(以下「本件商標」という。)は,「クラウドツイーティング」の文字を標準文字で表してなり,平成26年6月6日に登録出願,第38類に属する商標登録原簿に記載の役務を指定役務として,同年10月10日に登録査定され,同27年2月27日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,本件商標はその指定役務中,第38類「全指定役務」について,商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであるとして,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第38号証を提出した。
(1)申立人が引用する商標
申立人が引用する商標は次のとおりであり,いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
以下,それらをまとめていうときには,「引用商標」という。
ア 登録第5188811号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様 「TWITTER」(標準文字)
指定役務 第38類,第42類及び第45類に属する商標登録原簿に記載の役務
出願日 平成19年10月26日
優先権主張 米国 2007年4月26日
設定登録日 平成20年12月12日
イ 登録第5327291号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様 「TWEET」(標準文字)
指定役務 第38類,第41類,第42類及び第45類に属する商標登録原簿に記載の役務
出願日 平成21年6月11日
優先権主張 米国 2009年4月16日
設定登録日 平成22年6月4日
ウ 登録第5332541号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の態様 「ツイート」(標準文字)
指定役務 第38類,第41類,第42類及び第45類に属する商標登録原簿に記載の役務
出願日 平成21年7月16日
設定登録日 平成22年6月25日
エ 登録第5278420号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の態様 「ついったー」(標準文字)
指定役務 第38類,第42類及び第45類に属する商標登録原簿に記載の役務
出願日 平成21年6月9日
設定登録日 平成21年11月6日
(2)具体的な理由
ア 商標法第4条第1項第11号について
本件商標は,カタカナの「クラウドツイーティング」を標準文字で表してなり,「クラウド」と「ツイーティング」の文字が結合した商標である。「クラウド」の文字は,「クラウドコンピューティング」(cloud computing)の略語として通用しており(甲37),本件商標の前段部分の「クラウド」は第38類の指定役務との関係では広く一般的に使用されているので,識別力がないものである(甲38)。したがって,本件商標の識別力が生じる部分は後段の「ツイーティング」部分にある。そして,「ツイーティング」は,英語の「Tweet」(ツイート)の現在進行形である「Tweeting」を容易に想起させる。
したがって,本件商標の要部である「ツイーティング」は,引用商標と観念上類似するものである。
イ 商標法第4条第1項第15号について
申立人は,米国カリフォルニア州に本拠をおく会社であり,2006年3月からインターネット上で「リアルタイム・ショートメッセージサービス」と呼ばれるサービス(以下「申立人サービス」という。)をウェブサイト「Twitter」(以下「申立人ウェブサイト」という。)を介して提供している(甲7)。
申立人サービスは,ブログと電子メールの中間的な位置づけのコミュニケーション・サービス,チャットに似たサービス等と称されるように,今までにない非常にユニークなものである(甲8)。
そして,引用商標は,本件商標の登録時,出願時においても,申立人の商標として広く一般に知られていたものである。
本件商標は,引用商標2及び3の「TWEET」及び「ツイート」と実質的に同一の「ツイーティング」を含むものである。また,引用商標1及び4の「TWITTER」及び「ついったー」とも観念の点において紛らわしいものである。指定役務(第38類)の点においても,本件商標は引用商標と共通している。また,引用商標1「TWITTER」は,ミニブログ,コミュニティサイトの提供,SNSといった申立人の業務を表象するものとして日本国内で広く知られており,引用商標2,3,4の「TWEET」「ツイート」「ついったー」も,上記「TWITTER」と極めて密接に関連する申立人の業務を表象するものとして広く知られている。
引用商標1は,「TWITTER」の欧文字からなり,「ツイッター」の称呼が生じる。「プログレッシブ英和中辞典」にも掲載されるように,「TWITTER」の文字は,申立人の提供するコミュニケーション・サービス(リアルタイム・ショートメッセージサービス)を表示するものとして一般に広く認識されている。
また,特許庁における異議決定(異議2012-900123,異議2012-900182(甲6))においても,引用商標1は「申立人の業務にかかる役務を表示する商標として我が国の取引者,需要者の間に広く認識されていたものと認められる」旨の記載がある。後述するように,この状況は現在も継続している。
よって,本件商標がその指定役務に使用された場合,申立人の提供する役務と出所の混同を生じるおそれがあり,本件商標は商標法第4条第1項第15号に違反して登録を受けたものである。
(3)結び
以上述べたとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してなされたものである。

3 当審の判断
(1)引用商標の周知性について
申立人提出の甲第7号証,甲第8号証,甲第10号証ないし甲第26号証及び甲第28号証ないし甲第36号証によれば,「TWITTER(Twitter)」及び「ツイッター(ついったー)」の文字は,本件商標の登録出願の日前から,登録査定日はもとより現在まで継続して,申立人の業務に係る役務(申立人サービス)を表示するものとして使用されてきたものであって,著名な標章として広く知られているものであるから,引用商標1及び引用商標4は,需要者の間に広く認識されている商標と認められるものである。
しかしながら,引用商標2及び引用商標3は,引用商標2が「ツイート」の欧文字表記ともみることができるが,当該「ツイート」の文字又は語が「このツイート」「ゆるいツイート」などのように用いられていることが確認できる(甲24,甲29)ものの,申立人が両商標の指定役務について使用している事実を見いだせないから,申立人の業務に係る役務を表示するものとして,需要者の間に広く認識されている商標と認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標
本件商標は,上記1のとおり,「クラウドツイーティング」の文字からなり,その構成文字は,同書,同大,同間隔でまとまりよく一体に表され,これから生じる「クラウドツイーティング」の称呼も,格別冗長というべきものでなく,よどみなく一連に称呼し得るものである。
そして,本件商標は,たとえ,その構成中の「クラウド」の文字が「クラウドコンピューティング」の略として,あるいは「クラウドサービス」などのように用いられることがある(甲37,甲38)としても,本件商標の上記構成及び称呼においては,該文字部分が本件申立てに係る指定役務の質等を表示したものとして直ちに認識されることなく,むしろ,「クラウドツイーティング」の構成文字全体をもって,特定の観念を生じない一体不可分の造語を表したものとして認識,把握されるとみるのが相当である。
さらに,本件商標は,その構成中「ツイーティング」の文字部分が取引者,需要者に対し役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるとの事情,又は,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認めるに足る事情は見いだせない。
そうすると,本件商標は,その構成文字全体をもって,「クラウドツイーティング」の称呼のみを生じ,特定の意味を有しない一種の造語として看取,理解されるものであるから,特定の観念を生じないものといわなければならない。
イ 引用商標1及び引用商標4
引用商標1及び4は,上記2(1)ア及びエのとおり,「TWITTER」及び「ついったー」の文字からなり,いずれも「ツイッター」の称呼を生じ,「申立人ウェブサイト及び申立人サービスの名称としてのツイッター」程の観念を生じるものである。
ウ 引用商標2及び引用商標3
引用商標2及び3は,上記2(1)イ及びウのとおり「TWEET」及び「ツイート」の文字からなり,いずれも「ツイート」の称呼を生じるものである。そして,観念については,「TWEET」が「さえずり(声)」などの意味を有する英語であるとしても,我が国で親しまれた語とはいえないから,特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。
エ 本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標を比較すると,外観においては,本件商標が「クラウドツイーティング」の文字からなるのに対し,引用商標は,それぞれ「TWITTER」,「TWEET」,「ツイート」及び「ついったー」の文字からなるものであるから,外観上相紛れるおそれのないものと判断するのが相当である。
また,称呼においては,本件から生ずる「クラウドツイーティング」の称呼と引用商標から生ずる「ツイッター」,「ツイート」の称呼とは,構成する音数を異にし,称呼上明確に聴別し得るものである。
そして,観念においては,本件商標は,上記アのとおり特定の観念を生じないものであるのに対し,引用商標1及び引用商標4は,「申立人ウェブサイト及び申立人サービスの名称としてのツイッター」程の観念を生じ,引用商標2及び引用商標3は,上記ウのとおり,「TWEET」が「さえずり(声)」などの意味を有する英語であるとしても我が国で親しまれた語とはいえないから,特定の観念を生じないものである。
そうすれば,本件商標と引用商標とは,外観,称呼及び観念等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すれば,両者は互いに相紛れるおそれのない非類似の商標であって,別異の商標と判断するのが相当である。
なお,申立人は,本件商標はその要部が「ツイーティング」であり,引用商標と観念上類似する旨主張しているが,具体的にいかなる観念において類似するのか明らかでないうえ,上記アのとおり本件商標はその構成文字全体が一体不可分のものであるから,かかる主張は採用できない。
その他,両商標が類似するというべき事情は見いだせない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号について
上記(1)のとおり,引用商標1及び4は申立人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものであり,引用商標2及び3は申立人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているとは認められないものである。
そして,上記(2)のとおり本件商標は,引用商標と外観,称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であって,別異の商標というべきものである。
そうすると,引用商標1及び4が申立人の業務に係る役務を表示するものとして,本件商標の登録出願前から,需要者の間に広く認識されているとしても,本件商標は,これに接する取引者,需要者が引用商標を連想し,又は想起するものということはできない。
してみれば,本件商標は,商標権者がこれを本件申立てに係る指定役務について使用しても,取引者,需要者をして引用商標を連想し,又は想起させることはなく,その役務が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように,その役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号及び同第15号のいずれにも違反してされたものとはいえないから,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。
異議決定日 2015-12-22 
出願番号 商願2014-50771(T2014-50771) 
審決分類 T 1 651・ 263- Y (W38)
T 1 651・ 262- Y (W38)
T 1 651・ 261- Y (W38)
T 1 651・ 271- Y (W38)
最終処分 維持  
前審関与審査官 小俣 克巳 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 榎本 政実
金子 尚人
登録日 2015-02-27 
登録番号 商標登録第5743703号(T5743703) 
権利者 増澤 諒
商標の称呼 クラウドツイーティング 
代理人 瀧澤 文 
代理人 鈴木 康仁 
代理人 小林 浩 

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