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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W0510 審判 全部申立て 登録を維持 W0510 審判 全部申立て 登録を維持 W0510 |
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管理番号 | 1312089 |
異議申立番号 | 異議2015-900101 |
総通号数 | 196 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2016-04-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2015-03-27 |
確定日 | 2016-03-03 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5727545号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5727545号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5727545号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲のとおりの構成からなり,平成26年7月28日に登録出願,第5類「診断用試薬,その他の薬剤」及び第10類「医療用血液凝固測定分析装置,その他の医療用機械器具」を指定商品として,同年11月6日に登録査定,同年12月19日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,登録異議の申立ての理由として引用する国際登録第964057号商標(以下「引用商標」という。)は,「Metex」の欧文字を横書きしてなり,2011年(平成23年)11月21日に国際商標登録出願(事後指定),第5類「Antirheumatics.」を指定商品として,平成26年5月30日に設定登録されたものである。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきものである旨申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第9号証を提出した。 1 本件商標 本件商標は,漢字,図形,欧文字及び記号からなる結合商標である。オレンジ色で着色された漢字「協和」及び赤色で着色された漢字「凝固」を上下二段に書してなり,当該漢字の左隣に赤色で着色された水滴と思しき図形の左側3分の2が配されている。そして,水滴図形及び漢字「凝固」の下に欧文字「Kyowa」,「Medex」,「Blood」及び「Coagulation」を横書きに書してなり,欧文字「Medex」と「Blood」の間には,えんじ色で着色された記号「×」が配されている。 本件商標の構成中,水滴図形の縦の幅と上下二段に書された漢字「協和」及び「凝固」の縦の幅は略同一であり,図形と漢字とがまとまりよく一体的に構成されている。そのため,図形及び漢字から構成される部分と欧文字及び記号から構成される部分とは,各々が分離・抽出されやすいことは明白である。 欧文字で書された「Kyowa」,「Medex」,「Blood」及び「Coagulation」の語は意味的関連性のない語同士が結合されてなるため,各々の語が分離・抽出されて需要者・取引者に認識,理解されると考えられる。 そうすると,本件商標は,その構成態様から「キョウワ」,「ブラッド」,「コアグレーション」単体の称呼の他に「メデックス」単体の称呼が生じる。 2 引用商標 引用商標は,欧文字のありふれた態様で「Metex」と横書きに書してなり,その構成態様から「メテックス」の称呼が生じる。 3 本件商標と引用商標の類否について (1)称呼について 本件商標からは「メデックス」の5音の称呼が生じるのに対して,引用商標からは「メテックス」の5音の称呼が生じる。すなわち,両商標は5音という同一の音数からなる。両商標は明瞭に聴取し難い中間音における「デ」と「テ」のみが異なるものの,その他の音,すなわち,称呼識別上最も重要な語頭における称呼「メ」及び語尾における「ックス」を共通する。 そこで,「デ」及び「テ」を比較すると,両者は濁音か清音かの差異を有するにすぎない。両音は舌尖を上前歯のもとに密着して破裂させて発する音であって,調音方法を共通にする。 そして,調音方法を共通にするだけではなく,母音「e」を有する点においても共通する。母音「e」は元来強く称呼される音であるところ,直後に促音を伴う場合は母音「e」は殊更に強く発音される。本件商標及び引用商標は,「デ」及び「テ」の直後に促音「ッ」を伴うため,称呼した場合に母音「e」は強く発音され,子音「d」及び「t」はこの母音「e」に吸収され弱く発音されることになる。 さらに,本件商標における濁音「デ」及び引用商標における清音「テ」は,全体音の中の最も聴取し難い中間に位置しているため,一気呵成に称呼すると子音「d」及び「t」は全体の称呼の中にかき消されることになる。そうすると,両者の全体の音感・音調は極めて近似し,彼此紛らわしいものといえる。 いずれも促音を伴う「デ」と「テ」において相違する商標を類似と判断し,併存登録を認めなかった審決例(甲3?甲9)もあり,これらと同様に,本件の称呼「メデックス」と「メテックス」についても,聞き誤るおそれがあるものと判断されるべきである。 よって,本件商標と引用商標とは,称呼上類似するものである。 (2)外観について 本件商標は欧文字「Medex」が分離抽出されやすい態様で書してなるのに対して,引用商標は欧文字「Metex」と書してなり,共に欧文字のありふれた態様で横書きしてなる。 本件商標及び引用商標は,5文字という共通の文字数から構成されるのみではなく,語頭を欧文字の大文字で構成し,その他を小文字で構成する点においても共通する。中間における「d」と「t」の1文字のみが異なるが,語頭「Me」及び語尾「ex」の4文字を共通にする。 本件商標「Medex」及び引用商標「Metex」は特定の観念を生ずる既成語でないため,称呼の他に文字構成も取引者・需要者に強い印象を与える。 より具体的には,全体の文字数や大文字・小文字の別などが取引者・需要者に強い印象を与える。本件商標及び引用商標は,5文字という共通の文字数からなり,そのうち4文字を共通にすることに加え,大文字・小文字の配置方法が共通している。このように複数の共通点があることを考慮すると,中間における「d」と「t」の差異は微細なものにすぎない。 よって,本件商標と引用商標とは,外観上類似するものである。 (3)観念について 本件商標と引用商標は,共に特定の観念を生じさせることのない造語であるから,観念は比較の対象となるものではない。 (4)したがって,本件商標と引用商標とは,称呼及び外観において互いに類似する商標である。 4 商品の類否について 本件商標の指定商品中の第5類「診断用試薬,その他の薬剤」は,引用商標の指定商品である第5類「Antirheumatics.」とは,互いに類似の商品である。 5 まとめ 以上のとおり,本件商標と引用商標とは互いに類似の商標であって,同一又は類似の商品について使用される商標である。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。 第4 当審の判断 1 本件商標について (1)本件商標は,別掲のとおり,赤色の水滴と思しき図形と,その右側にレタリングされたオレンジ色の「協和」の文字及び赤色の「凝固」の文字を二段に大きく表し,それらの下に「Kyowa Medex × Blood Coagulation」の文字を小さく横書きした構成からなるところ,各構成及び態様に照らすならば,これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとはいえないから,それぞれが分離して看取されるものである。 そして,本件商標の構成中「Kyowa Medex × Blood Coagulation」の文字部分は,前半部の「Kyowa Medex」の文字部分と後半部の「Blood Coagulation」の文字部分とで,文字の太さ,大きさが異なっており,かつ,両者の間に赤い「×」記号があることから,外観上,「Kyowa Medex」と「Blood Coagulation」とに分離して看取されるといえるものである。 さらに,その構成中前半部の「Kyowa Medex」の文字部分をみると,「Kyowa」の文字と「Medex」の文字との間には1文字程度の間隔があり,かつ,各文字の語頭部が大文字で表されているものの,その構成各文字は,同じ書体で,同じ大きさにより一体的に表されているものであり,また,構成文字全体から生ずる「キョーワメデックス」の称呼も,格別冗長であるとはいえず,無理なく称呼し得るものである。そして,「Kyowa」及び「Medex」の各語は,いずれも特定の観念を直ちに生じさせない造語と認められる。 そうすると,本件商標の構成中「Kyowa Medex」の文字部分は,かかる構成及び称呼において一体不可分のものとして,認識,把握されるというのが相当であるから,これよりは,「キョーワメデックス」の称呼のみを生じ,単に「メデックス」の称呼は生じないものであり,特定の観念を生じない。 (2)申立人は,本件商標の構成中「Medex」の文字部分も独立して要部たり得ることを前提とした上で,その部分だけを引用商標と比較して本件商標と引用商標が類似すると主張しているが,前記(1)のとおり,本件商標の構成中「Kyowa Medex」の文字部分は一体不可分のものとして,認識,把握されるというべきであるから,その主張は採用できない。 2 引用商標について 引用商標は,「Metex」の文字を横書きしてなるから,これよりは,「メテックス」の称呼が生じ,特定の観念を生じないものである。 3 本件商標と引用商標との類否について (1)外観及び称呼について 本件商標の「Kyowa Medex」部分と引用商標「Metex」とを対比すると,外観においては「Kyowa」の文字の有無,称呼においては「キョーワ」の音の有無という,いずれも前半部において顕著な差異を有するから,両者の外観及び称呼は明らかに相違する。 (2)観念について 本件商標の「Kyowa Medex」部分と引用商標は,いずれも特定の観念を生じないものであるから,観念において相紛れるおそれはない。 (3)小括 そうすると,本件商標の「Kyowa Medex」部分と引用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれはないというべきである。 その他,本件商標と引用商標とが類似とすべき特段の理由は見いだせない。 したがって,本件商標は,引用商標とは非類似の商標であるから,商標法第4条第1項第11号に該当しない。 4 まとめ 以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号に違反してされたものでないから,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきものである。 よって,結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲 本件商標(登録第5727545号商標) (色彩については,原本参照。) |
異議決定日 | 2016-02-23 |
出願番号 | 商願2014-63025(T2014-63025) |
審決分類 |
T
1
651・
261-
Y
(W0510)
T 1 651・ 262- Y (W0510) T 1 651・ 263- Y (W0510) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 小松 里美 |
特許庁審判長 |
堀内 仁子 |
特許庁審判官 |
田村 正明 田中 亨子 |
登録日 | 2014-12-19 |
登録番号 | 商標登録第5727545号(T5727545) |
権利者 | 協和メデックス株式会社 |
商標の称呼 | キョーワギョーコ、キョーワメデックスバイブラッドコアギュレーション、キョーワメデックスバイブラッドコアグレーション、キョーワメデックスブラッドコアギュレーション、キョーワメデックスブラッドコアグレーション、キョーワメデックス、キョーワ、メデックス |
代理人 | 水野 勝文 |
代理人 | 和田 光子 |
代理人 | 保崎 明弘 |
代理人 | 特許業務法人川口國際特許事務所 |