• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W0532
審判 全部申立て  登録を維持 W0532
審判 全部申立て  登録を維持 W0532
審判 全部申立て  登録を維持 W0532
管理番号 1312082 
異議申立番号 異議2015-900298 
総通号数 196 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2016-04-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-09-24 
確定日 2016-02-19 
異議申立件数
事件の表示 登録第5773208号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5773208号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5773208号商標(以下「本件商標」という。)は、「極潤力」の文字を標準文字で書してなり、平成27年1月22日に登録出願、第5類「薬剤(農薬に当たるものを除く。),育毛剤,薬用育毛剤,養毛剤,薬用養毛剤,日本薬局方の薬用せっけん,医薬用化学剤,医療用食品添加剤,医療用栄養添加剤,栄養補給剤,栄養補給用ドリンク剤,栄養補強剤,化学的製剤,滋養強壮変質剤,食餌療法用の食品調製剤,食品強化剤,動物用薬剤,アミノ酸剤,カルシウム剤,ビタミン剤,皮膚軟化剤,毛髪用剤,薬用ベビーオイル,薬用ベビーパウダー,浴剤,薬用酒,生薬,毛髪用製剤,毛髪用薬剤,医療用ラクトース,医療用酵素,乳幼児用粉乳,サプリメント,植物・植物エキス又は植物発酵エキスを主原料とするサプリメント,動物エキスを主原料とするサプリメント,植物・植物エキス又は植物発酵エキスを主原料とする粉末状・粒状・顆粒状・液状・ペースト状・クリーム状・タブレット状・カプセル状・カプレット状・ソフトカプセル状・錠剤状・棒状・板状・ブロック状・丸薬状・固形状・ゲル状・ゼリー状・グミ状・ウエハース状・ビスケット状・飴状・チュアブル状・シロップ状・スティック状の加工食品,動物エキスを主原料とする粉末状・粒状・顆粒状・液状・ペースト状・クリーム状・タブレット状・カプセル状・カプレット状・ソフトカプセル状・錠剤状・棒状・板状・ブロック状・丸薬状・固形状・ゲル状・ゼリー状・グミ状・ウエハース状・ビスケット状・飴状・チュアブル状・シロップ状・スティック状の加工食品,栄養補助食品,食餌療法用飲料,食餌療法用食品,乳幼児用飲料,乳幼児用食品,栄養補助用飼料添加物(薬剤に属するものを除く。)」及び第32類「ビール,ビール風味の麦芽発泡酒,飲料用青汁,飲料用青汁のもと,清涼飲料,清涼飲料のもと,ビール風味の清涼飲料,果実飲料,果実飲料のもと,飲料用野菜ジュース,飲料用野菜ジュースのもと,コーヒーシロップ,シャーベット水,トマトジュース,シロップ,ビール製造用ホップエキス,麦芽汁,ビール製造用麦芽汁,乳清飲料,乳清飲料のもと,アルコール分を含まない飲料,飲料製造用調製品」を指定商品として、同年5月12日に登録査定、同年6月19日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立ての理由の要旨
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標について、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の3第2項の規定により取り消されるべきである旨申し立て、その理由を要旨以下のとおり述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第46号証を提出した(決定注:申立人は、甲第1号証として、不服2005-7409の拒絶査定不服審判事件において申立人が提出した甲第16号証ないし甲第26号証を提出しているところ、本決定においては、該証拠方法を甲1-16ないし甲1-26のように表示する。)。
(1)申立人の商標「極潤」の著名性
申立人は、2004年から現在に至るまで、化粧品に「極潤」の文字よりなる商標(以下「申立人商標」という。)を継続的に使用している。2004年8月26日に発売された化粧水「極潤ヒアルロン液」をメインアイテムし、その後シリーズ商品を発売した(甲1-19?21)。そして、それぞれの商品パッケージに記載されている「極潤」の文字は、大きく目立つように、他の構成要素から分離して表示されている。「極潤」シリーズ商品は、発売以来ヒットし続けており、各種の雑誌等に取り上げられ(甲5?甲15)、株式会社ドラッグマガジン社主催の「ヒット商品賞・話題商品賞」の第17回(平成17年)及び第26回(平成26年)にヒット商品として表彰された(甲1-24、甲4)。また、「極潤」シリーズ商品(派生商品を含む。)は、発売以来、その出荷数は約8500万個に及び、売上は総計780億円を超える(甲17?甲21)。さらに、申立人は、申立人商標を付した化粧品の広告を著名なタレントを起用して盛んに行っている(甲22?甲27)。
申立人商標は、申立人がその使用を開始するまで存在しなかった造語商標であり、以上のように、独自性の高い商標を、申立人は2004年以来継続して化粧水その他の化粧品に使用しているものである。また、「極潤」シリーズは、商品の優秀性と大量の広告宣伝活動とが相まって、その主たる需要者である女性層に高い評価を得ている。
したがって、申立人商標は、少なくとも化粧品の分野において、全国的に著名性を獲得しているとすべきものである。
(2)商標法第4条第1項第11号について
ア 引用商標
申立人は、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、以下の4件の登録商標(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)を引用している。
(ア)登録第4846475号商標(以下「引用商標1」という。)は、上段に「極潤」の漢字を横書きし、下段に小さな文字で「ゴクジュン」の片仮名を配してなる構成からなり、平成16年6月14日に登録出願、第5類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成17年3月11日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
(イ)登録第5099079号商標(以下「引用商標2」という。)は、下段に「極潤」の漢字を横書きし、上段に「ゴクジュン」の片仮名を配してなる構成からなり、平成19年3月29日に登録出願、第29類、第30類及び第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成19年12月14日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
(ウ)登録第5160072号商標(以下「引用商標3」という。)は、「極潤」の文字を標準文字で書してなり、平成20年2月21日に登録出願、第3類及び第5類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成20年8月15日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
(エ)登録第5424409号商標(以下「引用商標4」という。)は、「極潤」の文字を標準文字で書してなり、平成23年1月11日に登録出願、第29類及び第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成23年7月8日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
イ 商標法第4条第1項第11号該当性
本件商標は、「記憶力」、「証拠力」、「想像力」、「組織力」等の例を挙げるまでもなく、「力」の意味及び用法からすれば、需要者によって「極潤」の語と「力」の語とが結合したものと理解される。特に、前記(1)のとおり、申立人商標が化粧品について著名な商標であることから、本件商標は、「極潤」と「力」からなる商標、すなわち、「極潤の力」といった観念の語と認識される可能性が高い。
そうすると、本件商標は、「極潤」の文字部分が単独で商標としての機能を発揮するものであり、引用商標とは、「極潤」の語が造語であるために観念では比較できないとしても、少なくとも称呼及び観念において類似するものである。
また、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号について
申立人商標は、前記(1)のとおり、著名性を獲得している。
そして、申立人は、製薬会社であり、申立人商標を使用している化粧品の分野に限らず、一般用医薬品を中心とした目薬、外皮薬、胃腸薬、漢方薬、入浴剤等の「薬剤」も製造、販売している。さらに、トマトジュース、水素水、にんにく、いりこ、クッキー、蜂蜜、青汁、乳酸菌配合のサプリメント等の食品類、飲料類及びサプリメント類も販売している。
そうすると、本件商標は、著名な申立人商標を一部に含んでなるものであるから、本件商標をその指定商品について使用するときは、該商品が申立人と経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品であるとの誤認が生じ、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反してされたものであるから、取り消されるべきものである。

3 当審の判断
(1)申立人商標の著名性について
ア 甲第1号証ないし甲第35号証及び甲第42号証ないし甲第46号証によれば、以下の事実を認めることができる。
(ア)申立人は、目薬をはじめとする一般用医薬品の製造販売を業とする製薬会社であるが、近年は、化粧品や健康食品等の分野においても営業活動を展開している(甲42?甲46)。
(イ)申立人は、申立人の業務に係る化粧品のうち、スキンケア商品のブランドとして「肌研(ハダラボ)」を2004(平成16年)8月に立ち上げ、当該ブランドのもと、スーパーヒアルロン酸配合の「極潤」シリーズの化粧水「極潤ヒアルロン液」と3種類の美容液「ハダラボモイスト美容液」の発売を開始した(甲1-19?21)。そのうちの化粧水「極潤ヒアルロン液」の容器(容器により容器に表示された文字等の位置は多少の違いがある。)には、おおむね、上段に、青色矩形内に白抜きで「肌研」の文字を表し、その下の右側に、大きく表した「極潤」の文字と小さく表した「うるおいへのこだわり」の文字を黒色で縦書きし、これらの文字の左側に、小さく表した「スーパーヒアルロン酸(うるおい成分)配合」の文字を赤色で縦書きし、その左に、大きく表した「ヒアルロン液」の文字を緑色で縦書きしてなるものである(甲2)。
また、申立人のホームページの商品情報サイトには、商品の紹介として、「うるおいへのこだわり。しっとり、もちもち肌に/極潤 ヒアルロン液」、「極潤 ヒアルロン液について/『極潤 ヒアルロン液』は、3つのヒアルロン酸を配合した、うるおいにこだわった化粧水。」などと記載されている(甲3)。
(ウ)株式会社ドラッグマガジン社主催の「ヒット商品賞・話題商品賞」の第17回(平成17年)には、「極潤ヒアルロン液」が敢闘賞に選出され、同第26回(平成26年)には、「肌研(ハダラボ)『極潤(ゴクジュン)』シリーズ」がヒット商品賞に選出された(甲1-24、甲4)。
(エ)申立人商標を付した化粧品は、以下のように、雑誌やインターネットの商品情報等に紹介された。
a.雑誌「バイラ」(2010年6月号、株式会社集英社発行)には、「アラサー女子1000人の私を救った絶品コスメ」として、「ロート製薬/肌研 極潤 ヒアルロン液」と記載され、4位に紹介された(甲5)。
b.雑誌「マキア」(2010年7月号、株式会社集英社発行)には、「ロート製薬/詰め替え用でリピートする人も多いが、いまだ新規購入者が絶えない逸品。肌研 極潤ヒアルロン液」と記載されて紹介された(甲6)。
c.雑誌「ミーナ」(2010年7月号、株式会社主婦の友社発行)には、「私たちの“溺愛スキンケア”博覧会!」との表示のもと、化粧水部門で「肌研 極潤 ヒアルロン液/ロート製薬」と記載されて紹介された(甲7)。
d.雑誌「美的」(2013年8月号、株式会社小学館発行)には、「美的クラブの心を捕らえた価格帯別スキンケアコスメ編」の「?¥2,000」の部門で「ロート製薬/極潤ヒアルロン液」と記載され、1位に紹介された(甲8)。
e.雑誌「ノンノ」(2013年8月号、株式会社集英社発行)には、「美のプロたちが選ぶ2013最愛スキンケア・ヘアケア・フレグランス BEST3」において、「化粧水」部門で、「肌研 極潤 ヒアルロン液」と記載されて紹介された(甲9)。
f.雑誌「ビーズアップ」(2010年6月号、株式会社アドウェイズブックス発行)には、「大本命のスキンケア」として、「肌研のしっとりプチプラ化粧水」と記載されて紹介された(甲10)。
g.雑誌「セダ」(2010年6月号、株式会社日之出出版発行)には、「極潤はライン使い 乳液ももちろんコレ!」、「『・・普通のヒアルロン酸より2倍も保水力が高い、スーパーヒアルロン酸っていうのが入ってます。』肌にやさしい低刺激。極潤 ヒアルロン乳液」、「肌研/極潤 ヒアルロン液」などと記載されて紹介された(甲11)。
h.情報サイト「Yahoo! BEAUTY ベストコスメアワード2009」には、「ベーシックスキンケア部門」において、「極潤 ヒアルロン液/肌研(ハダラボ)」と記載され、その部門の2位として紹介された(甲12)。
i.情報サイト「iVoCE」(株式会社講談社提供)の「2007年秋冬美人特効ベストコスメ」には、「スキンケア部門/化粧水ランキング」において、「ハダラボ/極潤 ヒアルロン液/ロート製薬」と記載され、4位に紹介された(甲13)。
j.情報サイト「VoCE」(株式会社講談社提供)には、「肌研(ハダラボ)/極潤 ヒアルロン液」と記載され、化粧水の月間ランキング1位(2013年8月)などとして紹介された(甲14)。
k.情報サイト「美的.com」(株式会社小学館提供)には、「2014上半期ベストコスメ」の「プチプラスキンケア」において、「ロート製薬/極潤 UVホワイトゲル」と記載され、2位に紹介された(甲15)。
l.「化粧水 売上ランキング」のサイト(カスタマー・コミュニケーションズが提供するID-POSデータ分析サービス「ABCL分析」による。この分析は、カスタマー・コミュニケーションズが保有する全国食品スーパー150万人、ドラッグストア350万人分のID-POSデータを利用して集計したもの。)の「2013年10?12月」には「ロート製薬『肌研 極潤ヒアルロン液』が1位」、「2014年1?3月」には「ロート製薬『肌研 極潤ヒアルロン液』が1位」、「2015年1月?3月」には「『肌研 極潤ヒアルロン液 つめかえ用』が1位」と、それぞれ記載された(甲16?甲18)。
m.ドラッグイレブン株式会社のホームページにおける「コスメランキング」サイトには、「プチプラランキング」部門で、「肌研極潤ヒアルロン液 詰め替え各種」、「肌研極潤ヒアルロン乳液 詰め替え各種」と記載されて紹介された(甲19)。
n.通販サイト「ケンコーコム」には、「ブランド」を「肌研(ハダラボ)極潤」として、「肌研 極潤 ヒアルロン液」がヒアルロン酸化粧水内1位、また、「肌研 極潤 ヒアルロン乳液」がヒアルロン酸乳液内2位と記載されて紹介された(甲20、甲21)。
(オ)宣伝広告
申立人は、そのホームページに、「『極潤』シリーズリニューアル」の見出しのもと、「ロート製薬は、化粧水売上げ個数NO.1を誇るスキンケアブランド『肌研(ハダラボ)』の『極潤(ゴクジュン)』シリーズを一斉リニューアルしました。」、「化粧水売上個数NO.1『肌研』が、新たな一歩を踏み出します」などと記載した(甲22)。
また、同ホームページに、「化粧水売上個数NO.1の『肌研(ハダラボ)』ブランドからディズニーデザインを限定発売!」(甲23)、「誕生。プレミアムな極潤。」などの見出しのもと、「・・肌ラボが、もっとうるおうスキンケアを求めて、ついにたどり着きました。・・・/極潤プレミアムヒアルロン液」等と記載すると共に、テレビを介して宣伝広告をした(甲24、甲26)。
なお、テレビCMデータ(甲26)によれば、例えば、2006年(平成18年)9月29日から2007年(平成19年)1月31日までに放送されたナレーションには、「ハダラボ?。ハダラボから、肌年齢対策。あのスーパーヒアルロン酸にアスタキサンチンをプラス。・・(審決注:活字が切れており不明)モチモチ、ふっくら。極潤α。肌にいいコト、ハダラボ?。」と記載され、また、本件商標の登録出願日(平成27年1月22日)直近の2014年(平成26年)3月17日から2014年(平成26年)6月22日まで(関東地区)に放送されたナレーションには、「ハダラボ?。おはよう。はい、朝のオールインワンゲル。オールインワンでSPF50なんだ。紫外線から守ってあげる。UVホワイトゲル。いってらっしゃい。肌にいいこと、ハダラボ?。」と記載されている。
(カ)申立人は、2006年に「極潤α」シリーズを、2011年に「濃極潤」シリーズを、2015年に「薬用極潤」シリーズ及び「極潤プレミアム」シリーズといった、「極潤」から派生した商品の発売をした(甲28?甲35)。
イ 前記アで認定した事実によれば、申立人商標が付された化粧水、乳液等のスキンケア商品(以下「申立人商品」という。)の包装容器には、「肌研」、「ヒアルロン液」、「極潤」の文字が大きく表示されているが、「極潤」の文字は黒色で表示され、看者の注意を引く態様であること、申立人商品が雑誌等で紹介される場合は、「肌研(ハダラボ)」や「ロート製薬」の文字が「極潤」の文字に先だって記載されている場合が多いこと、また、耳から入るテレビCMのナレーションにおいても、「ハダラボ」の音が最初に視聴者に届くこと、化粧水については、平成25年10月頃から平成26年3月頃まで及び平成27年1月頃から平成27年3月頃まで、カスタマー・コミュニケーションズが保有する全国食品スーパー150万人、ドラッグストア350万人分のID-POSデータを利用した集計によれば、売上数量(個数)が1位であったこと、申立人商品には、「極潤」の文字が含まれる各種のシリーズ商品が発売されていること、などを認めることができる。
ウ 「極潤」の語について
「極潤」の語は、一般的な辞書には掲載されていない造語であって、化粧品等を取り扱う分野において、商品の品質等を表示するものとして普通に使用されいるとは認められない。
しかし、その構成中の「極」の漢字は「きわめて」を、「潤」の漢字は「うるおうこと」を意味する(いずれも「広辞苑 第六版」)ものであり、全体としては「極めて潤う」程度の潤いを強調した意味合いを連想、想起させ得ることも否定できないものといえる。そして、化粧品を製造販売する企業において、商品の効能等として、「肌が潤う」、「弾力のある肌」、「保湿力」などのような言葉をうたい文句にして訴求効果を高めている実情にあることは、例えば、「24時間、365日うるおい続ける力のある肌を育てる新ライン」(甲1-26)、「15種類のオーガニック植物パワーを凝縮・・エイジングの初期サインが気になりはじめた肌にハリとうるおいを与え、みずみずしく健やかな美活肌へ導きます。」(甲6の裏表紙)、「汚れは落とすのにうるおいは逃がさない!(HABA)」(甲7)、「花王ビオレ うるおい密封 ジェル化粧水/ジェルが浸透&ふたをして、潤いを逃がさない!」(甲8)、「髪の“激変”ヘアケア革命/髪の中心部メデュラにしっかり潤いを届ける!」(甲10の裏表紙)、申立人商品(化粧水)の最新情報として、「ブランド創設から10周年を迎え、より一層潤いを進化させて登場。」(甲14)、「Macchia Label/年齢肌を潤し、」(甲17)、「うるおい高浸透(審決注:「透」は、活字が切れているが、文字の並び等から。)化粧水。」(甲18)などの記載に照らし明らかであり、また、化粧品の需要者においても、商品の効能等として、「肌が潤う」商品を求めていることは、例えば、「潤いを逃がさない保湿力も魅力」(甲5:カネボウ化粧品)、「芯からしっかり潤います。」(同:花王)、「浸透力・潤い・ハリ感、どれをとっても一級品。」(同:ポーラ)、「スキンケアの最後は必ずコレでフタ。うるおいがチャージされたしっとり肌が長続き」(甲7:キュレル)、「ポーラのもっちり肌化粧水/お肌にグングン浸透して、潤いキープ力がスゴイんです!」、「トランスダーマのビタミンCエッセンス/・・化粧水がよく浸透して肌の潤いもUP。」、「江原道の落ち度抜群ふき取りクレンジング/・・お肌の潤いを逃がさず汚れだけを落としてくれるのも魅力。」(以上、甲10)、「エクサージュ/高いうるおい効果で乱れた角質を接着するように浸透。」、「オルビス/肌がたっぷりうるおって、透明感もアップしました。」、「イリューム/うるおって、乾燥しにくくなりました。」(以上、甲11)などのような記載から認め得るところである。
上記化粧品を取り扱う分野の取引の実情よりすると、「極潤」の語に接する化粧品を取り扱う分野の取引者、需要者は、該語が、化粧品などの保湿成分として普通に使用されている「ヒアルロン酸」が配合された液体を容易に理解させる「ヒアルロン液」の文字と一緒に表記されている場合が極めて多いことも相俟って、「潤い効果の極めて高い商品」などの意味合いを想起する場合も決して少なくないものとみるのが相当である。そして、申立人商品は、前記認定のとおり、市場において、「肌研(ハダラボ)」や「ロート製薬」の文字が看者の注意を引く冒頭部分に表示されている場合が多いことも併せ考慮すれば、「極潤」の文字よりなる申立人商標は、全体としては造語よりなるものであるとしても、その自他商品識別機能は高いものとはいえない。
したがって、申立人商標は、本件商標の登録出願日(平成27年1月22日)及びその登録査定日(平成27年5月12日)の時点において、申立人商品を表示するものとして、それ自体に高い著名性が備わっていたものと認めることはできない。仮に申立人商標について、一定程度の周知性が備わっていたとしても、その周知性は、化粧水等基礎化粧品を取り扱う分野に限定されたものとみるのが相当である。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、前記1のとおり、標準文字で「極潤力」と書してなるものであるところ、該文字は、僅か3文字という簡潔な文字数からなり、同一の書体をもって、同一の大きさ、同一の間隔で表されているものであるから、外観上の一体性は極めて強いものといえる。また、本件商標より生ずる「ゴクジュンリョク」ないし「キョクジュンリョク」の称呼もよどみなく称呼し得るものである。そうすると、本件商標は、構成全体をもって一つの商標を表したものと理解、認識されるといえる。そして、本件商標は、化粧品とは、商品の用途、目的、品質のみならず、取引系統等においても明確に異なる薬剤、サプリメントなどの健康食品、清涼飲料等に使用されるものである。
してみると、本件商標に接する取引者、需要者が、化粧品、特に化粧水について使用される申立人商標を直ちに想起又は連想するということができず、しかも、本件商標は、上記のとおり、その外観及び称呼上の一体性を有し、その構成全体をもって一体不可分の造語を表したものと認識するとみるのが相当であるから、その構成中の「極潤」の文字部分のみが独立して、自他商品の識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認めることはできない。
したがって、本件商標は、その構成文字に相応して、「ゴクジュンリョク」ないし「キョクジュンリョク」の一連の称呼のみを生ずるものであって、造語よりなるものと認める。
そうとすれば、本件商標を「極潤」の文字部分と「力」の文字部分とに分離した上で、「極潤」の文字部分のみを抽出し、これを前提として、本件商標と引用商標とが称呼及び観念を同じくする類似の商標であるとする申立人の主張は、前提において誤りがあるというべきであって、採用することはできない。
その他、本件商標と引用商標とが類似するとみるべき特段の理由も見いだすことができない。
以上によれば、本件商標と引用商標とは、類似の商標ということができないものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するということはできない。
(3)商標法第4条第1項第15号について
申立人商標は、前記(1)のとおり、仮に申立人商標が申立人商品を表示するものとして、一定程度の周知性が備わっていたとしても、その周知性は、化粧水等基礎化粧品を取り扱う分野に限定されたものであり、本件商標の指定商品であるサプリメントなどの健康食品、清涼飲料等の分野にまで及ぶものということはできないから、本件商標の登録出願日及びその登録査定日の時点において、申立人商品を表示するものとして、本件商標の指定商品の取引者、需要者の間に広く認識されていた商標と認めることはできない。
また、本件商標は、その構成中の「極潤」の文字部分のみが独立して、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものではないから、申立人商標とは非類似の別異の商標といえるものである。
そうとすれば、本件商標は、その指定商品に使用しても、それに接する取引者、需要者が申立人や申立人商標を想起又は連想することはないというべきである。
してみると、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、該商品が申立人又はこれと業務上何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれはないものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する商標ということはできない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2016-02-08 
出願番号 商願2015-5021(T2015-5021) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W0532)
T 1 651・ 261- Y (W0532)
T 1 651・ 262- Y (W0532)
T 1 651・ 263- Y (W0532)
最終処分 維持 
前審関与審査官 大島 勉 
特許庁審判長 土井 敬子
特許庁審判官 林 栄二
平澤 芳行
登録日 2015-06-19 
登録番号 商標登録第5773208号(T5773208) 
権利者 株式会社東洋新薬
商標の称呼 ゴクジュンリョク 
代理人 五味 飛鳥 
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社   サービスに関しての問い合わせ