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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y41
管理番号 1312033 
審判番号 取消2014-300855 
総通号数 196 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2016-04-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2014-10-23 
確定日 2016-01-25 
事件の表示 上記当事者間の登録第5072094号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5072094号商標(以下「本件商標」という。)は,「Japan Poker Tour」の欧文字を標準文字で表してなり,平成18年9月4日に登録出願,第41類「学校における教育,ゲームセンターの提供,遊園地の提供,娯楽の提供,討論会の手配及び運営,会議の手配及び運営,議会の手配及び運営,セミナーの手配及び運営,シンポジウムの手配及び運営,研修会の手配及び運営,興行場の座席の予約,書籍の制作,キャンプの企画・運営又は開催,カジノゲーム場の提供,映画フィルムの貸与,映画館の提供,教育又は娯楽に関する競技会の運営,デジタル画像処理,ディスコの提供,録音又は録画済み記録媒体の複製,ビデオテープの編集,教育情報の提供,教育上の試験の実施,技芸の教授,娯楽情報の提供,レクリエーション情報の提供,教育又は文化目的のための展示会の企画・運営又は開催,図書の貸出し,演芸の上演,演劇の上演,音楽の演奏,美術用モデルの実演,ナイトクラブの提供,幼児教育,興行(歌劇・音楽会)の企画,パーティの企画,写真撮影,実地教育,ラジオ及びテレビジョン番組の制作,ショーの演出,カラオケ施設の提供,ラジオ放送用娯楽番組の制作・配給,レクリエーション施設の提供,脚本の作成,インターネットによる電子ゲームの提供,オンラインによるゲームの提供,職業訓練,ゲーム場の提供,テレビジョン放送用娯楽番組の制作・配給,カジノに関する協議会の運営・開催,娯楽に関する競技会の運営・開催,ゲーム大会の運営・開催,翻訳」を指定役務として,同19年8月24日に設定登録されたものである。
なお,本件審判の請求の登録は,同26年11月12日にされている。
また,本件審判請求の登録前3年以内の期間である同23年11月12日から同26年11月11日までの期間を,以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張
請求人は,本件商標の指定役務中「ゲームセンターの提供,遊園地の提供,娯楽の提供,キャンプの企画・運営又は開催,カジノゲーム場の提供,教育又は娯楽に関する競技会の運営,ディスコの提供,娯楽情報の提供,レクリエーション情報の提供,教育又は文化目的のための展示会の企画・運営又は開催,ナイトクラブの提供,パーティの企画,カラオケ施設の提供,レクリエーション施設の提供,ゲーム場の提供,カジノに関する協議会の運営・開催,娯楽に関する競技会の運営・開催,ゲーム大会の運営・開催」について登録を取り消す,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由,答弁に対する弁駁,口頭審理における陳述及び上申の内容を要旨次のように述べ,証拠方法として,甲第1号証の1及び甲第1号証の2を提出している。
1 請求の理由
本件商標は,その指定役務中「ゲームセンターの提供,遊園地の提供,娯楽の提供,キャンプの企画・運営又は開催,カジノゲーム場の提供,教育又は娯楽に関する競技会の運営,ディスコの提供,娯楽情報の提供,レクリエーション情報の提供,教育又は文化目的のための展示会の企画・運営又は開催,ナイトクラブの提供,パーティの企画,カラオケ施設の提供,レクリエーション施設の提供,ゲーム場の提供,カジノに関する協議会の運営・開催,娯楽に関する競技会の運営・開催,ゲーム大会の運営・開催」について,継続して過去3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから,商標法第50条の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
被請求人は,「会場の壁面には,イベントの出所を示し且つ宣伝をするため,『Japan Poker Tour』と表示された垂れ幕を張り(乙1,乙4の1及び2),ポーカーゲームの優勝者には『Japan Poker Tour』と表示された成績証明書を授与した(乙1,乙4の1及び2)。」と主張している。
しかしながら,乙第1号証の写真中の矢印で示された位置に表示されている標章や,乙第4号証の1及び2の写真中の標章は,人物に隠れて全体が認識できなかったりぼやけていたりしており,明確に「Japan Poker Tour」の文字を読み取ることができない。
仮に乙第1号証や乙第4号証の1及び2において被請求人が指摘する標章が「Japan Poker Tour」の文字から構成されていたら,という前提の下で以下弁駁する。
(1)領収証について
被請求人は,Japan Poker Tourの名の下で発行された領収証の控えを乙第5号証ないし乙第8号証として提出している。これらの領収証からは,被請求人が「Japan Poker Tour」という屋号あるいは団体の名前において,何らかの寄付金を受け取ったという事実を読み取ることができるだけである。全ての領収証には明確に「Japan Poker Tourへの寄付金として」と記載されており,「Japan Poker Tour」という名称で開催されたポーカーイベントの参加費用として支払われてはいない。
仮にこれらの領収証に「ポーカーイベント参加費として」等との記載があれば,これらの領収証がポーカーイベントの開催を裏付ける証拠となることは理解できるが,被請求人自身の「会費や参加費等の名目では金員を受け取らず,・・・寄付金という名目で参加者有志から金員を受領している」との説明だけを根拠に,これらの領収証とポーカーイベントの開催とを結びつけることはできない。
さらに,被請求人は,平成25年10月3日にポーカーイベントを開催したと主張しているが,乙第8号証の領収証は平成25年10月5日付であり,これを平成25年10月3日に開催されたポーカーイベントの参加費用に対する領収証とすることは不自然である。
以上のように,これらの領収証は,被請求人が「Japan Poker Tour」という屋号あるいは団体の名前において,何らかの寄付金を受領したことを示しているにすぎないものである。
(2)ポーカーイベントの開催について
被請求人は,平成24年6月17日及び平成25年10月3日に「Japan Poker Tour」との名称でポーカーイベントを開催したと主張している。
まず,平成24年6月17日に開催したとされるポーカーイベントについて,被請求人は「会場の壁面には,イベントの出所を示し且つ宣伝をするため,『Japan Poker Tour』と表示された垂れ幕を張り(乙1,乙4の1及び2)」と主張しているが,これは単に「Japan Poker Tour」という被請求人の主宰する団体の名前が広告的態様で記載されているというだけであり,これがポーカーイベントの名称であるかどうかは判断できない。そもそもこれらの写真がポーカーイベントの会場で撮影された写真であることを示す客観的な証拠は何一つないし,仮にポーカーイベントの会場で撮影された写真であったとしても,ゲームイベントやスポーツイベント等のイベント会場に,イベント主催者以外の企業の広告が掲示されていることは多々ある。
また,乙第1号証の4の一番下の三人がカードゲームに興じる様子の写真中には「Japan Poker Tour」の文字を見つけることはできないし,垂れ幕が映り込んでもいないため,乙第1号証の四枚の写真を総合的に勘案しても,平成24年6月17日に「Japan Poker Tour」という名称でポーカーイベントが開催された事実は認められない。
次に,平成25年10月3日に開催したとされるポーカーイベントについて,乙第2号証の1及び2や乙第4号証の1及び2から,被請求人が平成25年10月3日に仲間を集めてポーカーをした事実は認められる。
しかしながら,乙第3号証の1及び2によれば,平成25年10月3日に開催されたのは,「JPT in Shibaura」という名称のイベントであり,「Japan Poker Tour」という名称のポーカーイベントではない。つまり,被請求人はポーカーイベントの開催において本件商標とは社会通念上同一ではない「JPT」なる商標を使用している。
なお,乙第1号証の右側の写真の人物や乙第4号証の1及び2の写真の中央左側の人物が手にするものは被請求人がいうところの成績証明書であると思われるが,この成績証明書がポーカーイベントの成績証明書であることを示す客観的な証拠も何一つない。
(3)使用商標の同一性について
商標法第50条に規定される不使用による商標登録の取り消しを免れるためには登録商標,あるいは登録商標と社会通念上同一と認められる商標を使用している必要がある。
被請求人は,乙第1号証や乙第4号証の1及び2の写真中の市松模様の壁面や,乙第1号証や乙第4号証の1及び2の写真中の成績証明書には「Japan Poker Tour」との表示があると主張しているが,前述のとおり,写真の中に明確に読み取ることができる「Japan Poker Tour」の文字は見つけられない。
乙第1号証の右側の写真中の矢印で示された位置には,「Japan Poker Tour」らしき文字が含まれる標章が表示されていると推測できなくもないが,この標章は各単語の語頭の文字を図形と一体化することにより際立たせるよう高度に図案化されており,仮にこの標章が「Japan Poker Tour 」という文字を基にして作られたものであったとしても,登録商標と社会通念上同一と認められる範囲にあるものではない。
3 口頭審理(平成27年7月16日付け口頭審理陳述要領書)における陳述
(1)乙第1号証の1ないし4,同2号証の1及び2,同4号証の3及び42について
提出し直された上記乙各号証をみても,相変わらず写真中の標章は人物に隠れて全体が認識できなかったりぼやけていたりしており,明確に「Japan Poker Tour」の文字を読み取ることができない。
(2)本件指定役務についての使用について
被請求人は,乙第1号証,乙第2号証,乙第4号証,乙第5号証ないし乙第8号証に基づいて,「平成24年6月17日及び同25年10月3日に開催したJPTにおいて,『カジノゲーム場の提供』,『教育又は娯楽に関する競技会の運営』,『ゲーム場の提供』,『カジノに関する協議会の運営・開催』,『娯楽に関する競技会の運営・開催』及び『ゲーム大会の運営・開催』の役務に関する広告や取引書類に,本件商標を付して展示又は頒布したこと(商標法第2条第3項第8号)は,明白である。」と主張している。
しかしながら,上記乙各号証をみても,どの証拠におけるどの標章が上記役務についての広告に該当するものなのか把握することができない。
また,被請求人は,新たな証拠として乙第9号証を提出し,何らかの寄付金を受領したことを示す領収証(乙5?乙8)の合計金額3000円を売上として計上している,と主張するが,乙第9号証と乙第5号証ないし乙第8号証とがどう対応しているのかはよくわからず,乙第5号証ないし乙第8号証が客観的にみて何らかの役務についての対価を受領したことの証拠であるとはいえない。
(3)ポーカーイベントの開催について
被請求人は,乙第10号証の1ないし3を新たな証拠として提出し,「平成22年4月29日,同年11月24日,及び同23年4月29日に開催した各ポーカー競技会の名称を,『Japan Poker Tour』としていた」と主張するが,それら日時はいずれも本件において問題とされる過去3年間よりも前の日時である。そして,「平成24年6月17日及び同25年10月3日に開催した各ポーカー競技会も,当然に,『Japan Poker Tour』の名称で開催したことは明らかである。」と主張するが,乙第10号証の1ないし3から把握できるのはあくまでも過去のイベント名であって,平成24年6月17日及び平成25年10月3日に開催したとされるポーカーイベントの名称とは無関係である。
4 平成27年10月19日付け上申書
(1)被請求人は,平成26年1月19日に第15回JPTなるイベントが開催されたことの証拠として乙第11号証及び乙第12号証を,同年8月15日に第16回JPTなるイベントが開催されたことの証拠として乙第13号証及び乙第14号証を新たに提出している。
しかしながら,乙第11号証には1月19日に「新年会JPT」なるイベントが開催されることが記載されているにすぎず,それがどのようなイベントなのか何ら客観的に示されていない。また,乙第12号証は(見切れている人間を含めて)10人の人間が写った集合写真であるが,この写真の撮影された日は定かではないし,乙第11号証に示された「新年会JPT」なるイベントと写真の関連性も不明である。
また,乙第13号証には8月15日に「JPT in Shibaura」なるイベントが開催されることが記載されているが,乙第14号証には室内で何らかの遊びに興じる6人の人間が写っているにすぎず,この写真の撮影された日は定かではないし,乙第13号証に示された「JPT in Shibaura」なるイベントと写真の関連性も不明である。
(2)これら新たに提出された乙第11号証ないし乙第14号証が仮に何らかのポーカーイベントが開催されたことを示すものだとしても,そもそも上述のように乙第11号証及び乙第13号証には「Japan Poker Tour」というイベント名は一切用いられておらず,乙第16号証でも1月19日及び8月15日の摘要欄には「JPTイベント」との記載があるだけである。これらから,被請求人が開催していたイベント名は「JPT」であって,「Japan Poker Tour」ではないことが客観的に把握される。つまり,被請求人はポーカーイベントの開催において本件商標とは社会通念上同一ではない「JPT」なる商標を使用していることが明らかである。
(3)また,被請求人は,JPTの開催会場に「Japan Poker Tour」と表示した垂れ幕を張ってイベントの出所を示し且つ宣伝をしていた,と主張する。しかし,イベント会場で壁面に掲示されるこの種のボードがそのイベント名を表すものであるとは判断できないし,本件商標を当該イベントについて使用していたことを証明しているとはいえない。
(4)さらに,被請求人は,平成26年1月19日開催のJPTでは合計13名,同年8月15日開催のJPTでは合計6名が参加し,それぞれにおいて参加者から各3000円を徴収し,売り上げとして申告したとして乙第15号証及び乙第16号証を新たに提出している。
しかしながら,それぞれのイベントの開催の事実を示す証拠として被請求人から提出された乙第11号証ないし乙第14号証には,イベントの参加者数がそれぞれ13名,6名であったことを証明する記載や表示はなく,乙第15号証及び乙第16号証に記載された内容と,それぞれのイベントの関係は不明確である。

第3 被請求人の主張
被請求人は,結論同旨の審決を求めると答弁し,その理由,口頭審理における陳述及び上申の内容を要旨次のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第16号証(枝番号を含む。ただし,枝番号のすべてを引用する場合は,その枝番号を省略する。)を提出している。
1 答弁の理由
(1)本件商標の使用の事実
ア ポーカーイベントの企画・運営・開催
被請求人は,平成18年9月頃から,SNS(mixi)上に,カジノに関心を持つ人達が集まるコミュニティを立ち上げ,ポーカーに関する情報や知識などを伝えるため,定期的にポーカー講座を開催し,会員を増やした。
そして,被請求人は,平成19年頃から,ポーカー講座の参加者や会員,さらにはその他のポーカー愛好者を対象として,「Japan Poker Tour」との名称で,定期的に,ポーカーの競技会ないし大会(以下「JPT」という。)を開催及び運営している。
イ 要証期間における使用について
被請求人は,同23年11月10日以降,下記の日程でポーカー競技会を開催した。
(ア)平成24年6月17日第13回JPT(参加者:18名,場所:六本木,乙1)
(イ)平成25年10月3日第14回JPT(参加者:15名,場所:芝浦,乙2の1及び2)
被請求人は,JPTを開催するにあたり,事前に,会場を手配し,会員などに対してメールなどで宣伝する方法で参加者を募った(乙3の1及び2)。そして,会場の壁面には,イベントの出所を示し且つ宣伝をするため,「Japan Poker Tour」と表示された垂れ幕を張り(乙1,乙4の1及び2),ポーカーゲームの優勝者には「Japan Poker Tour」と表示された成績証明書を授与した(乙1,乙4の1及び2)。
さらに,被請求人は,参加者から金員を受け取った際には,「Japan Poker Tour」と表示された領収書を交付している(乙5?乙8)。
この点,被請求人は,JPT,つまり,ポーカー競技会を開催及び運営するにあたり,参加者から対価を受けたり,利益を得ることが,賭博場開帳図利罪(刑法第186条第2項)に該当する可能性があると認識しているため,JPTの参加者から,会費や参加費等の名目では金員を受け取らず,平成25年10月3日付のJPTでは,寄付金という名目で参加者有志から金員を受領している。
商標法第2条第1項の「業」とは,営利的な目的で行われる行為であることを要しないと解されている(小野昌延編「注解商標法〔新版〕上巻」84頁,青林書院)ため,被請求人が,業として,本件商標を使用していることは明らかである。
2 口頭審理(平成27年6月25日付け,口頭審理陳述要領書)における陳述
(1)本件指定役務についての使用
ア 被請求人は,「Japan Poker Tour」との名称で,定期的に,ポーカーの競技会ないし大会(以下「JPT」という。)を開催及び運営していたところ,平成23年11月10日以降,同24年6月17日に第13回JPTを,同25年10月3日に第14回JPTを,それぞれ開催した。
JPTでは,トーナメント方式でポーカーゲームを開催し(乙1の4,乙2の2),参加者は予め付与されたチップ(持ち点)が無くなるまでゲームに参加し続け,最後まで残った者が優勝者となる。そして,最後に表彰式を開催し,優勝者が表彰されることとなっている(乙1の2及び3,乙4の3及び4)。
イ 被請求人は,イベントの出所を示し且つ宣伝をするため,JPTの開催会場に,「Japan Poker Tour」と表示した垂れ幕を張り(乙1の1?3,乙2,乙4),表彰式では,ゲームの優勝者に「Japan Poker Tour」と表示した成績証明書を授与した(乙1の2?3,乙4の4)。
ウ また,被請求人は,JPTの開催費用に充てる目的で,JPTの会場で,参加者有志から金員を得ることとし,参加者から金員を受け取った際には,「Japan Poker Tour」と表示された領収書を交付している(乙5?乙8)。
なお,被請求人が,参加者全員から参加費として金員を徴収しなかったのは,JPTでは参加者が賭博をすることを当然禁止しており,JPTの会場で,参加者から,対価を受けたり,利益を得ることが,賭博場開帳図利罪(刑法第186条第2項)に該当すると考えていたからである。但し,被請求人は,平成25年10月3日に開催したJPTにおいて,参加者から受領した合計金3000円(乙5?乙8)につき,売上げとして申告している(乙9)。
エ 以上から,被請求人が,平成24年6月17日及び同25年10月3日に開催したJPTにおいて,「カジノゲーム場の提供」,「教育又は娯楽に関する競技会の運営」,「ゲーム場の提供」,「カジノに関する協議会の運営・開催」,「娯楽に関する競技会の運営・開催」及び「ゲーム大会の運営・開催の役務」の役務に関する広告や取引書類に,本件商標を付して展示又は頒布したこと(商標法第2条第3項第8号)は,明白である。
(2)領収書について
ア 請求人は,乙第5号証ないし乙第8号証の領収書が,「Japan Poker Tourへの寄付金として」と記載されているため,平成25年10月3日にポーカー競技会を開催した証拠にならないと主張する。
しかし,乙第3号証のメールから,被請求人が,平成25年10月3日にポーカー競技会を開催し,その場で,参加者有志から,寄付金として金員を頂戴することになっていたことは明らかである。
したがって,乙第5号証ないし乙第8号証の領収書が,平成25年10月3日に開催したポーカー競技会の参加者有志から受領した金員に対するものであることは疑いの余地がなく,同日にポーカー競技会が開催されたことを充分に裏付けるものである。
イ また,請求人は,乙第8号証の領収書における日付が平成25年10月5日となっているため,同月3日にポーカー競技会を開催したことの証拠にならないとも主張する。
しかし,これは,平成25年10月3日に開催されたJPTに参加した倉氏が,同日,JPTの会場で,被請求人に対し金員を支払うことを約束し,当該約束に基づいて,同月5日に被請求人に金員を支払ったため,被請求人が同日付の領収書を発行しただけである。
(3)ポーカーイベントの開催について
ア 請求人は,乙第1号証の1ないし3の写真が平成24年6月17日のポーカー競技会の会場で撮影された写真であるかどうか不明であること,イベント主催者以外の企業の広告がイベント会場に掲示されることが多々あるため,乙第1号証の1ないし3の背景に写っている垂れ幕をもって,同日に開催したポーカー競技会の名称が,「Japan Poker Tour」であるとは認められず,また,乙第3号証の1及び2が「JPT in Shibaura」としか記載していないため,同25年10月3日に開催したポーカー競技会の名称が,「Japan Poker Tour」であるとは認められないと主張する。
イ しかし,平成24年6月17日に開催したポーカー競技会は,ポーカーゲームを実施した部屋の隣室で表彰式を実施したのであり,乙第1号証の1ないし3は,同日に実施したポーカーゲーム終了後,表彰式の部屋で撮影した写真である。このことは,乙第1号証の1ないし3が,平成24年6月17日付であること,乙第1号証の2及び3の各被写体が成績証明書を手にしていること,同被写体が,ポーカーゲーム開催時を撮影した同日付の写真(乙1の4)に同じ衣服を着て写っていることから明らかである。
したがって,乙第1号証の1ないし3が,平成24年6月17日に開催したポーカー競技会の際に撮影されたものであることは明らかである。
ウ また,被請求人は,これまでJPTを定期的に開催しており,過去には,平成22年4月29日に第9回JPTを,同年11月24日に第10回JPTを,同23年4月29日に第11回JPTを,同年7月21日に第12回JPTを開催し,その後,上記2(1)アで主張したとおり,同24年6月17日に第13回JPTを,同25年10月3日に第14回JPTを開催した。
乙第10号証の1ないし3から明らかなとおり,被請求人は,平成22年4月29日,同年11月24日,及び同23年4月29日に開催した各ポーカー競技会の名称を,「Japan Poker Tour」としていたのであり,同24年6月17日及び同25年10月3日に開催したポーカー競技会は,これに続くものである。
したがって,平成24年6月17日及び同25年10月3日に開催した各ポーカー競技会も,当然に,「Japan Poker Tour」の名称で開催したことは明らかである。
仮に,被請求人が主催したポーカー競技会の名称が「JPT」だとしても,ポーカー競技会を主催するにあたり,これに関する広告及び取引書類として,本件商標を付した垂れ幕や成績証明書を展示又は頒布しているのであるから,被請求人が本件商標を使用していることは明らかである。
(4)使用商標の同一性について
請求人は,被請求人が本件商標と社会通念上同一と認められる範囲内で使用していないと主張する。
しかし,乙第1号証の2から明らかなとおり,垂れ幕において,本件商標と同一及び社会通念上同一と認められる範囲内で,本件商標を使用していることが明らかである。
3 平成27年9月18日付け上申書
本件審判における要証期間は,平成23年11月12日から同26年11月11日であるところ,被請求人は,同23年11月12日以降,同24年6月17日に第13回JPTを,同25年10月3日に第14回JPTを開催したほか,同26年1月19日に第15回JPT(乙11,乙12)を,同年8月15日に第16回JPTを開催した(乙13,乙14)。
被請求人は,平成26年1月19日及び同年8月15日に開催したJPTにおいても,従前と同様,イベントの出所を示し且つ宣伝をするため,JPTの開催会場に「Japan Poker Tour」と表示した垂れ幕を張り(乙12,乙14),表彰式では,ゲームの優勝者に「Japan Poker Tour」と表示した成績証明書を授与するなどした。
また,平成26年1月19日開催したJPTでは合計13名,同年8月15日に開催したJPTでは合計6名がそれぞれ参加したが,被請求人は,参加者から,参加費として,各々3000円を徴収しており(乙16),これらは,売上げとして申告している(乙15)。

第4 当審の判断
1 被請求人が提出した証拠について
被請求人が提出した証拠によれば,以下の事実が認められる。
(1)乙第3号証は,平成25年9月17日付けメールの写真であるところ,「10/3(木)ポーカーやります。」「日時:10月3日(木) 17:30?初心者講習会 18:15?トーナメント 22:00終了」「場所:芝浦アイランド,パーティー ルーム」の記載(乙3の1)及び「参加費:無料」「尚,有志から寄付金をいただければ,ありがたいです。」「澤近」の記載(乙3の2)がある。
(2)乙第5号証ないし乙第8号証は,そのすべてに「Japan Poker Tourへの寄付金として」,「上記正に領収いたしました」,「Japan Poker Tour」,商標権者の「郵便番号」,「住所」,「氏名」及び「電話番号」の記載がある4枚の「領収証(控)」であるところ,それぞれ,「渡辺様」,「¥1000」及び「25年10月3日」(乙5),「菊池様」,「¥500」及び「25年10月3日」(乙6),「菅谷様」,「¥500」及び「25年10月3日」(乙7),「倉様」,「¥1000」及び「25年10月5日」(乙8)等の記載がある。
(3)乙第9号証は,平成25年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告書Bであるところ,1葉目の左上から,「芝税務署長」,「26年3月」,商標権者の「郵便番号」,「住所」及び「氏名」等の記載があり,「収入金額等/事業/営業等」の欄には,「309500」(円)の記載があり,右下には「芝/税務署/26.3.17/文書収受/5」の押印がなされている。
また,同号証2葉目の「月別売上(収入)金額及び仕入金額」の欄には,1月「60,000円」,2月「30,000円」,3月「1,500円」,4月「10,000円」,5月「155,000円」,7月「50,000」,10月「3,000円」,計「309500」の記載がある。
(4)乙第13号証は,2014年(平成26年)8月14日付けのメールの写しであるところ,「???Original Message???」以下に,「Date:2014/8/5」「15日(金)ポーカーやります」「日時:8月15日(金) 16:00会場 19:00?トーナメント 22:00終了」「場所:芝浦アイランド,パーティールーム」の記載,及び「参加費:¥3000くらい」「澤近」の記載がある。
(5)乙第15号証は,平成26年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告書Bであるところ,1葉目の左上から,「芝税務署長」,「27年3月5日」,商標権者の「氏名」等の記載があり,「収入金額等/事業/営業等」の欄には,「389160」(円)の記載があり,右下には「芝/税務署/27.3.10/文書収受/17」の押印がなされている。
また,同号証2葉目の「月別売上(収入)金額及び仕入金額」の欄には,1月「39,000円」,4月「120,000円」,5月「55,160円」,8月「108,000円」,9月「60,000円」,12月「7,000円」,計「389160」の記載がある。
(6)乙第16号証は,「平成26年度の帳簿」と称するものの写しであるところ,左上から「26年/月日」,「摘要」,「収入金額」等の各欄が設けられ,7行目には「収入金額欄」に「売上」の記載,8行目及び15行目には,それぞれ「1月19日」,「@3,000×13(JPTイベント)」及び「39000」の記載,「8月15日」,「@3,000×6(JPTイベント)」及び「18000」の記載がある。
2 被請求人の主張及び上記1で挙げた証拠による事実から,以下のとおり判断できる。
(1)被請求人の役務について
上記1(1)及び(4)のメールの写しによれば,平成25年10月3日及び平成26年8月15日にトーナメント方式のポーカー競技会(以下「ポーカー競技会」という。)を「芝浦アイランド,パーティールーム」にて開催するための告知を行っている。
そして,「平成26年度の帳簿」と称するものの写し(乙16)には,「8月15日」,「@3,000×6(JPTイベント)」及び「18000」の記載があり,上記1(4)のメールと符合し,当該帳簿の記載内容は,芝税務署長あての25年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告書Bの2葉目と「月別売上(収入)金額及び仕入金額」の欄の記載とも符合するものである。
また,平成25年10月3日(木)の開催については,乙第5号証ないし乙第8号証の「領収証(控)」が提出されており,その合計金額は,芝税務署長あての25年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告書Bの2葉目「月別売上(収入)金額及び仕入金額」欄の10月の金額に符合する。
なお,平成25年10月3日(木)の開催については,「参加費:無料」「尚,有志から寄付金をいただければ,ありがたいです。」となっているが,これは,「ポーカー競技会」を開催及び運営するにあたり,参加者から対価を受けたり,利益を得ることが,賭博場開帳図利罪(刑法第186条2項)に該当する可能性があると認識しているため,参加者から,会費や参加費等の名目では金員を受け取らず,寄付金という名目で参加者有志から金員を受領したもので,乙第5号証ないし乙第8号証の「領収証(控)」に「Japan Poker Tourへの寄付金として」とあるとしても実質的には,当該ポーカー競技会への参加料とみることができる。
してみれば,被請求人は,要証期間内に業として「ポーカー競技会」を開催し,「ポーカー競技会の参加料」を領収していることは,十分推認しうるものといえる。
(2)使用役務について
被請求人が,「ポーカー競技会の参加料」を領収している「ポーカー競技会」は,「ポーカー競技会の運営・開催」と認められるものであり,この役務は,請求に係る指定役務中「ゲーム大会の運営・開催」に属するものである。
(3)使用商標について
「ポーカー競技会の運営・開催」の役務に関する取引書類である「領収証(控)」(乙5?乙8)に付されている使用商標は「Japan Poker Tour」の欧文字を表してなるものである。
一方,本件商標は,「Japan Poker Tour」の欧文字を標準文字で表してなるものである。
したがって,本件商標と使用商標とは,書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標であり,いずれも「ジャパンポーカーツアー」という同一の称呼を生ずる商標であって,観念に変更を加えているものではないから,社会通念上同一の商標ということができる。
(4)まとめ
以上によれば,商標権者は,平成25年10月3日に日本国内(芝浦)で開催されたポーカー競技会において,請求に係る指定役務中「ゲーム大会の運営・開催」に属する「ポーカー競技会の運営・開催」の役務に関する取引書類(領収書)に本件商標を付して,頒布していたものであるから,この行為は,商標法第2条第3項第8号に該当し,役務に関する取引書類に標章を付して頒布する行為と認めることができる。
3 むすび
以上のとおり,被請求人は,商標権者が本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,請求に係る指定役務について本件商標を使用していたことを証明したものというべきである。
したがって,本件商標についての登録は,商標法第50条の規定により,取り消すことはできない。
よって,結論のとおり審決する。
審理終結日 2015-11-27 
結審通知日 2015-12-01 
審決日 2015-12-16 
出願番号 商願2006-86696(T2006-86696) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Y41)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 大橋 洋子綾 郁奈子 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 金子 尚人
榎本 政実
登録日 2007-08-24 
登録番号 商標登録第5072094号(T5072094) 
商標の称呼 ジャパンポーカーツアー、ポーカーツアー 
代理人 高麗 愛子 
代理人 早川 裕司 
代理人 山中 雅雄 
代理人 村雨 圭介 
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