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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服201515548 審決 商標
不服201515305 審決 商標
不服20148481 審決 商標
不服201515253 審決 商標
不服201512325 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 称呼類似 登録しない W14
審判 査定不服 観念類似 登録しない W14
審判 査定不服 外観類似 登録しない W14
管理番号 1311941 
審判番号 不服2015-10237 
総通号数 196 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2016-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-06-02 
確定日 2016-02-12 
事件の表示 商願2014-50185拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は,別掲1のとおりの構成からなり,第14類「貴金属,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,キーホルダー,宝石箱,身飾品,時計」を指定商品として,平成26年6月17日に登録出願されたものであるが,その指定商品については,当審における同27年6月2日付けの手続補正書により,第14類「貴金属,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,キーホルダー,身飾品」と補正された。

2 引用商標
原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして,本願の拒絶の理由に引用した登録第2369887号商標(以下「引用商標」という。)は,別掲2のとおりの構成からなり,昭和63年5月27日に登録出願され,第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,平成4年1月31日に設定登録され,その後,2回にわたる商標権の存続期間の更新登録がなされ,同14年3月27日に指定商品を第6類「金属製のバックル」,第14類「身飾品(「カフスボタン」を除く。),カフスボタン,宝玉及びその模造品」及び第26類「衣服用き章(貴金属製のものを除く。),衣服用バッジ(貴金属製のものを除く。),衣服用バックル,衣服用ブローチ,帯留,ボンネットピン(貴金属製のものを除く。),ワッペン,腕章,ボタン類」を含む第6類,第8類,第14類,第18類,第21類,第25類及び第26類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする書換登録がなされたものであって,その商標権は現に有効に存続している。

3 当審の判断
(1)商標の類否判断
商標法第4条第1項第11号に係る商標の類否は,対比される両商標が同一又は類似の商品又は役務に使用された場合に,当該商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが,そのためには,両商標の外観,観念,称呼等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合し,当該商品又は役務に係る取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すべきである(昭和43年最判参照)。
この点に関し,図形や文字等の複数の構成部分を組み合わせた結合商標については,経験則上,各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない場合,取引の実際において,一部の構成部分のみによって称呼,観念されることも少なくないといえる。このことから,結合商標の構成部分の一部が取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合などは,当該構成部分を要部として抽出し,この部分のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することができるものである(昭和38年最判,平成5年最判,平成20年最判,知財高裁平成26年(行ケ)第10122号同年10月27日判決参照)。
上記の観点から,本願商標と引用商標との類否について判断する。
(2)本願商標について
本願商標は,別掲1のとおり,「Jewelry」の欧文字と「DIANA」の欧文字(共に同色の青色又は紺色に着色され,字の端には細いひげ飾り(セリフ)が施されている。)との間に,多面体にカットされた宝石の図形(カット面中の一面が赤色に着色されている。以下「宝石図形」という。)を配してなるものであり,「DIANA」の各文字は,「Jewelry」の各文字と比べ,略4倍程度の大きさで目立つ態様で表されている。
このように,本願商標は,外観上,中央の宝石図形によって,「Jewelry」と「DIANA」とが明確に分離されており,しかも「DIANA」の方が目立つ態様で表されているところ,「Jewelry」は「[集合的に]宝石類;(貴金属製の)装身具類,宝飾品,アクセサリー」の,「DIANA」は「ダイアナ(女の名)」等の意味を有する語(いずれも「ジーニアス英和辞典第5版」大修館書店)として,一般に知られており,本願商標の指定商品との関係では,その意味内容から,「Jewelry」部分は商品の出所識別標識としての機能がないか又は弱いものである。また,宝石図形についても,請求人が主張するとおり,宝石すなわちジュエリーを想起させるから,同様に商品の出所識別標識としての機能がないか又は弱いものといわざるを得ない。
そうすると,本願商標は,その構成中,「DIANA」部分が,取引者,需要者に対し,商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるというべきであるから,この部分を要部として抽出し,他人の商標(引用商標)と比較して商標の類否を判断することができるといえる。
したがって,本願商標は,構成全体から生じる「ジュエリーダイアナ」の称呼のほか,「DIANA」の欧文字部分に相応して,「ダイアナ」の称呼及び「ダイアナ(女の名)」の観念が生じるものである。
(3)引用商標について
引用商標は,別掲2のとおり,「DIANA」の欧文字を青色で書し,その「D」の文字の左側には同じく青色に着色された正方形の図形を横一連に,「D」の文字の右下には,赤色に着色された小さな正方形の図形をそれぞれ配してなるところ,両図形部分は,極めて簡単かつありふれたものであって特定の称呼又は観念が生じないのに対し,文字部分からは,「ダイアナ」の称呼及び「ダイアナ(女の名)」の観念が生じるものである。そして,両者は,一体となって特定の称呼及び観念を生じるようなつながりも見いだせず,これらを分離して観察することが取引上不自然と考えられるほど不可分一体に結合しているということはできない。そうすると,引用商標の文字部分は,図形部分とは独立して,商品の出所識別標識として認識され得るものとみるのが相当である。
したがって,引用商標は,要部たり得る「DIANA」の文字部分に相応して,「ダイアナ」の称呼及び「ダイアナ(女の名)」の観念が生じるものである。
(4)本願商標と引用商標との類否等について
ア 認定事実
請求人が提出する証拠によれば,請求人は,請求人のインターネットホームページのほか,楽天市場,Yahoo!,DeNA等のインターネットサイトにおいて,本願商標を使用し(甲1ないし甲8,甲17及び甲18,甲28及び甲29),商品を広告,販売しており,特に,楽天市場内のペアアクセサリー総合部門の2013年の市場規模は7.3億円程度であり,同年9月?12月には,請求人が1位となり同部門のシェア2割を占め(甲9),広告宣伝にかけた金額は平成24年ないし同26年の3年間で総額約5007万円であったこと(甲14及び甲15)などが認められる。
しかしながら,請求人が,楽天市場,Yahoo!,DeNA等のインターネットサイトにおいて,本願商標を使用して商品を販売し,広告宣伝をし,各ジュエリー部門等において各種の賞を受賞していることは認められるものの,その販売等はインターネットに限られるし,また,経済産業省が発表した「平成26年商業統計速報(卸売業・小売業)」によれば,平成25年におけるジュエリー製品小売業の年間商品販売額は「約4883億円」であり,仮に請求人が2013年(平成25年)通年で楽天市場ペアアクセサリー総合部門のシェアで2割(約1.5億円)を占めていたとしても,業界全体のシェアで0.1%にも満たない状況においては,請求人が提出した証拠をすべて勘案しても,本願商標が,その指定商品を取り扱う業界において,相当程度周知になっていると直ちに認めることはできない。
イ 上記(2)のとおり,本願商標は,その構成中の「DIANA」の文字部分を要部として抽出し,この部分のみを他人の商標(引用商標)と比較して商標の類否を判断することができるものである。
そこで,本願商標と引用商標との各要部を対比すると,両者は,外観において相違するとしても,「DIANA」のつづりを共通にし,「ダイアナ」の称呼及び「ダイアナ(女の名)」の観念を共通にするものであるから,上記アで認定した事実も含め,これらを総合勘案すれば,本願商標と引用商標とは,互いに紛れるおそれのある類似の商標というべきである。したがって,本願商標と引用商標も類似する商標となる。
また,本願商標の指定商品は,引用商標の指定商品中,第6類「金属製のバックル」,第14類「身飾品(「カフスボタン」を除く。),カフスボタン,宝玉及びその模造品」及び第26類「衣服用き章(貴金属製のものを除く。),衣服用バッジ(貴金属製のものを除く。),衣服用バックル,衣服用ブローチ,帯留,ボンネットピン(貴金属製のものを除く。),ワッペン,腕章,ボタン類」と同一又は類似のものである。
(5)小括
以上によれば,本願商標と引用商標とは,互いに類似する商標であり,その指定商品も同一又は類似するものである。
したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(6)請求人の主張について
ア 請求人は,本願商標の構成中,「Jewelry」は「DIANA」と比べると一回り小さく表示されているが,両文字にはセリフが付され,色も同じく青色又は紺色で明確に描かれており,独特の書体として一定の識別力を発揮していると捉えることができる,加えて,「Jewelry」に続けて描かれた宝石図形の一面が赤色に着色され,青色で描かれた商標全体においてかなり目立つ態様で表示されており,本願商標の強いアクセントを構成している。このような本願商標の構成に鑑みれば,看者が直ちにこれを無視又は看過できるような薄弱なレベルとは思われず,むしろ「Jewelry」の文字と宝石図形とが一体となって,「ジュエリー」との称呼及び観念を生じさせていると捉えられる旨,主張する。
しかしながら,「Jewelry」の文字部分と宝石図形部分は,本願商標の指定商品との関係においては,商品の出所識別標識としての機能がないか又は弱いものとみるのが相当であることは上記(2)で述べたとおりである。
イ 請求人は,本願商標の構成中,「Jewelry」は「宝石・貴金属類。宝石による装飾品。」等を意味し,その右側に表された宝石図形も同様の意味合いを生じるが,一般に本願商標の指定商品である貴金属や宝石等の分野では,「ジュエリー○○」との形式の商標が多く用いられていること,さらには,本願商標を全体として見ると,単なる「ダイアナ」でなく,「ジュエリーすなわち宝石をまとったダイアナ妃」を想起させ,「Jewelry」と「DIANA」の間には一定の関連性が生じることから,「ジュエリーダイアナ」と称呼することが自然である旨,主張する。
しかしながら,「Jewelry」の文字部分と宝石図形部分は,本願商標の指定商品との関係においては,商品の出所識別標識としての機能がないか又は弱いものとみるのが相当であることは上記(2)で述べたとおりである(このことは「Jewelry」を「ジュエリー」と片仮名表記しても何ら変わりはない。)。加えて,本願商標全体から「ジュエリーすなわち宝石をまとったダイアナ妃」を想起させるといえる根拠は見当たらない。
ウ 請求人は,本願商標の指定商品は,食料品などの日用品とは異なり,一般に相応の高額商品であり,かつ嗜好品であることから,需要者においては,相応の注意力を払って商品に接すると考えられる。その結果,商品に付された商標に対して払われる注意力や集中力も極めて高くなるので,ブランドの相違にも気をつかうことは当然であり,結果として出所混同は生じ難い。また,請求人は,主にインターネットを通じて販売を行っているところ,本願商標の指定商品を取り扱う業界における取引の実情を考慮すれば,称呼以上に外観上の相違が重要な検討事項である旨,主張する。
しかしながら,商標の類否判断において参酌されるべき取引の実情とは,その指定商品全般についての一般的・恒常的なそれを指すものであって,単に該商標が現在使用されている商品についてのみの特殊的・限定的なそれを指すものではないと解すべきである(最高裁昭和47年(行ツ)第33号・昭和49年4月25日第一小法廷判決参照)ところ,本願商標の指定商品中「身飾品,宝玉及びその模造品」を取り扱う業界においては,その流通経路は,インターネット販売に限定されるものではなく,また,高額商品ばかりでなく,比較的安価な商品もごく普通に販売されているから,かかる点については,指定商品全般についての一般的・恒常的な取引の実情と認めることはできない。さらに,嗜好品であるからといって必ずしもブランドの相違に関心を示すものとは限らないし,ましてや,本願商標と引用商標の各要部は,いずれも「DIANA」の欧文字からなり,「ダイアナ」の称呼及び「ダイアナ(女の名)」の観念が生じるものである以上,出所の混同を生ずるおそれがないということはできない。
エ 請求人は,本願商標は,請求人による継続使用及び広告宣伝等の結果,相当程度周知の程度に至っており,このような現実の信用の化体とも相まって,出所混同が生じるおそれは極減されているこということができる旨,主張する。
しかしながら,本願商標が,その指定商品を取り扱う業界において,相当程度周知になっていると直ちに認めることはできないのは上記(4)アで述べたとおりである。
オ したがって,請求人の上記の主張は,いずれも採用できない。
(7)結語
以上のとおり,本願商標は,引用商標と類似するものであり,その指定商品も同一又は類似のものであるから,商標法第4条第1項第11号に該当し,登録することはできない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲1 本願商標

(色彩については原本参照)

別掲2 引用商標(登録第2369887号商標)

(色彩については原本参照)



審理終結日 2015-11-30 
結審通知日 2015-12-01 
審決日 2015-12-21 
出願番号 商願2014-50185(T2014-50185) 
審決分類 T 1 8・ 261- Z (W14)
T 1 8・ 262- Z (W14)
T 1 8・ 263- Z (W14)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 浦崎 直之 
特許庁審判長 田中 幸一
特許庁審判官 田村 正明
冨澤 武志
商標の称呼 ジュエリーダイアナ、ジュエリーディアナ、ダイアナ、ディアナ 
代理人 豊栖 康弘 
代理人 豊栖 康司 

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