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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W0709113537
審判 全部申立て  登録を維持 W0709113537
審判 全部申立て  登録を維持 W0709113537
審判 全部申立て  登録を維持 W0709113537
管理番号 1310898 
異議申立番号 異議2015-900088 
総通号数 195 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2016-03-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-03-19 
確定日 2016-02-12 
異議申立件数
事件の表示 登録第5729129号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5729129号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
登録第5729129号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成25年12月16日に登録出願、第7類、第9類、第11類、第35類及び第37類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成26年11月13日に登録査定、同年12月26日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する3件の登録商標は、別掲2のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
なお、引用各商標を引用商標1などといい、これらを総称するときは、以下「引用商標」という。

3 申立て理由
申立人は、本件商標は商標法第43条の2第1号により登録が取り消されるべきである旨申立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第25号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標と引用商標1及び2との類否
本件商標からは「ジャパンソーラー」「ジャパン」及び「ソーラー」の称呼が生じるものであり、他方、引用商標1及び2からは「ソーラー」の称呼が生じるから、本件商標と引用商標1及び2とは「ソーラー」の称呼を共通にする類似の商標である。
そして、本件商標の指定商品及び指定役務中、第7類「動力機械器具(陸上の乗物用のものを除く。)及び動力機械器具の部品」と引用商標1の指定商品中、第7類「ガスタービンその他の動力機械器具(陸上の乗物用・船舶用・航空機用のもの及び「水車・風車」を除く。)」とは類似する。
また、本件商標の指定商品及び指定役務中、第37類「暖冷房装置の修理又は保守,バーナーの修理又は保守,ボイラーの修理又は保守,ポンプの修理又は保守,冷凍機械器具の修理又は保守」と引用商標2の指定役務とは類似する。
よって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。
イ 本件商標と引用商標3との類否
本件商標からは「ソーラー」の称呼が生じるものであり、他方、引用商標3は「SOLAR」及び「TURBINES」の文字からなり、構成中の「TURBINES」は、その指定商品との関係において比較的識別力の弱い部分であり、同じく「SOLAR」は比較的識別力の強い部分であるから、引用商標3に接する取引者、需要者は「SOLAR」から生じる称呼「ソーラー」をもって取引に資する場合も多いといえるから、本件商標と引用商標3とは「ソーラー」の称呼を共通にする類似の商標である。
また、本件商標の指定商品及び指定役務中、第9類「電子応用機械器具及びその部品」と引用商標3の指定商品とは同一又は類似する。
よって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 申立人について
申立人は、1927年に設立され、1940年代からガスタービンを製造している産業用ガスタービンメーカーであり、申立人の製品は20年以上に亘り発電機、船舶、航空機を取り扱う日本を代表する企業によって採用されてきたことから、本件商標の登録出願時には、申立人を表す引用商標が我が国のガスタービンの市場において周知であったことは明らかである(甲9ないし23)。
イ 引用商標について
引用商標1及び2は「SOLAR」であり、引用商標3の識別力が強い部分は、構成中の「SOLAR」であるから、これに接する取引者、需要者は、構成中の「SOLAR」に着目して申立人の商品を表すものとして認識している。
ウ 本件商標について
本件商標に接する取引者、需要者は、その構成中の「Solar」をもって商取引に資する場合も多く、該文字部分に着目することが少なくない。
エ 本件商標の指定商品及び指定役務と申立人の商品及び役務との関係
本件商標の指定商品及び指定役務は、発電機に関連する商品及び役務を含むものであり、他方、申立人の商品及び役務は、ガスタービンに関連する商品及び役務であって、いずれも発電に用いられるという点て関連性があるといえる。
オ 本件商標の出所混同のおそれについて
引用商標は、上述のとおり、本件商標の登録出願前から申立人の商品に使用されて、取引者、需要者の間において著名なものとなっており、それが本件商標の登録査定時においても継続しているものであり、商品の出所を識別する際に取引者、需要者の注目を集めているのは、構成中の「SOLAR」であるといえる。
そして、本件商標に接する取引者、需要者が、その構成中の「Solar」に着目することは少なくない。また、本件商標の指定商品及び指定役務と申立人の商品及び役務とは、その用途、目的、需要者等を共通にする場合が少なくない密接な関係を有するものといえる。
したがって、本件商標をその指定商品及び指定役務に使用した場合、それに接する取引者、需要者は、本件商標があたかも申立人の業務に係る商品及び役務であるかのように誤認、混同し、その出所について混同を生ずるおそれがある。
よって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び第15号に違反してなされたものであり、取り消されるべきである。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号の該当性について
ア 本件商標について
本件商標は、別掲1のとおりの構成からなるところ、図形部分を除き、全体として同じ書体、同じ大きさで表されているものであり、さらに、第5文字と第6文字との間に半角文字程度の間隔を有するほかは同じ間隔で、全体としてまとまりよく表されている。そして、「日本」を意味する英語「Japan」と「太陽光熱を利用した」などを意味する英語「Solar」は、いずれも我が国において親しまれている英語であることから、第3文字目はその外形から、デザイン化された「p」の文字を容易に想起、連想させるものであり、また、第7文字目は、その中央に太陽を表した赤色の円形図形であることから、「o」の文字を容易に想起、連想させるものであって、全体として、特定の意味を有するものではないが、「Japan Solar」の文字を、一体的にデザインしたものと認識し得るものである。
してみると、本件商標は、その構成全体から「ジャパンソーラー」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないとみるのが相当である。
イ 引用商標について
引用商標1及び2は、「SOLAR」の欧文字を横書きしてなるものであるから、いずれも「ソーラー」の称呼、「太陽光熱を利用した」の観念を生ずるものである。
引用商標3は、「SOLAR TURBINES」の欧文字を横書きしてなるところ、その構成中の「TURBINES」は「タービン」の意味を有する英語「TURBINE」の複数形を表すものであり、指定商品との関係からは強い識別力を有するとはいえないものであり、また、構成全体は特定の意味を有する熟語として知られているものではないが、申立人の略称であることを考慮すると、全体として一体のものとして把握されるとみるのが相当であるから、その構成文字に相応して「ソーラータービンズ」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものである。
ウ 本件商標と引用商標との対比
本件商標の構成と引用商標の構成とを対比すると、両者は、上記のとおり、その構成態様に顕著な差異を有するから、十分区別することができ、外観上、相紛れるおそれはない。
次に、本件商標から生ずる称呼「ジャパンソーラー」と引用商標1及び2から生ずる称呼「ソーラー」とを対比すると、両者は、「ソーラー」の構成音を共通にするが、語頭における「ジャパン」の音の有無に顕著な差異を有するから十分聴別することができ、称呼上、相紛れるおそれはない。
また、本件商標から生ずる称呼「ジャパンソーラー」と引用商標3から生ずる称呼「ソーラータービンズ」とを対比すると、両者は、「ソーラー」の構成音を共通にするが、語頭における「ジャパン」及び末尾における「タービンズ」の音の有無に顕著な差異を有するから十分聴別することができ、称呼上、相紛れるおそれはない。
次に、本件商標は、特定の観念を生じないものであるから、本件商標と引用商標とは、観念においては比較することができない。
そうすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても紛れるおそれのない非類似の商標というべきものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第15号の該当性について
ア 申立人の提出した証拠によれば、以下の事実が認められる。
申立人は、1927年に設立され、1940年代からガスタービンを製造している産業用ガスタービンメーカーであり、現在48か国に拠点を有し、その製品は98か国で稼動している(甲9)。そして、我が国においては、遅くとも1988年には三井造船が申立人のガスタービンを採用し、その後も継続的に使用しているものであり(甲10ないし15)、また、1995年にはヤンマーディーゼルが申立人のガスタービンを輸入した(甲16ないし19)。2000年代に入ってからも、三菱重工、石川島播磨重工、新潟原動機などが申立人製のガスタービンの輸入販売を継続している(甲21?25)。
2013年7月発行、三井造船技報(2013-7)(甲12)には、「中型産業用ガスタービンの世界トップメーカーである米国ソーラータービンズ社」と記載され、また、2005年3月3日発行、三菱重工ウェブサイトニュース(甲22)には「ソーラー・タービンズ社(本社カリフォルニア州サンディエゴ市)は、出力1?15MWの発電用・機械駆動用ガスタービンの大手専業メーカーで、特に天然ガスの生産・分離・輸送分野に強く、世界中のガスタービン市場に強力な販売力を持ち、世界80か国に1万台以上の納入実績がある」などと紹介されている。
そして、上記、申立人のガスタービンを紹介する記事においては、申立人を表す場合、「ソーラー(Solar)社」と記載していることも見受けられるが、「米国ソーラータービンズ社」と記載した上で同一記事において表示しているものがあり、特に、製品との関係では「米国ソーラータービンズ社製のガスタービン」「米国ソーラータービン社製『Tauras70』ガスタービン」のように記載されていることが多く認められる。
また、申立人の会社概要(甲9)には、商号の略称表記でもある「Solar Turbines」の表示がされ、脚注には「Solar」は申立人の商標である旨が記載されている。
イ 以上の事実に加えて、中型産業用ガスタービンは、発電機、船舶、航空機などの大型機械の動力源として用いられるものであり、その取引者、需要者は発電機、船舶、航空機を製造できる大規模な会社に限られること及び申立人の取引先である上記、三菱重工、石川島播磨重工のホームページやウェブニュースにおいて、申立人を「Solar Turbines」と表示していることから(なお、職権調査による。https://www.mhi.co.jp/news/sec1/200503034325.html、https://www.ihi.co.jp/powersystems/motor/solarturbine.html)、引用商標3と同一の文字構成からなる「Solar Turbines」の表示は、中型産業用ガスタービンの取引者、需要者において、ある程度知られていたと認めるのが相当である。
ウ しかしながら、本件商標は、上記(1)のとおり、引用商標3とは、非類似の商標であるから、本件商標と引用商標3との類似性の程度が低く、別異の出所を表示する商標として看取されるものであって、我が国の中型産業用ガスタービンとの関係において、引用商標3にある程度の周知性が認められるとしても、商標権者が本件商標をその指定商品又は指定役務について使用しても、取引者、需要者において、その商品又は役務が申立人あるいは申立人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品又は役務であるかのように商品又は役務の出所について混同を生じさせるおそれはないというべきである。
エ 小括
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(3)結論
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1
本件商標(色彩は原本参照)



別掲2
(1)引用商標1
登録番号 商標登録第245443号の2
商標


指定商品及びその区分 第7類「ガスタービンその他の動力機械器具(陸上の乗物用・船舶用・航空機用のもの及び「水車・風車」を除く。)」及び第11類「暖房機,空気調和装置」
出願日 昭和7年2月9日
登録日 昭和8年8月7日

(2)引用商標2
登録番号 商標登録第5504513号
商標 SOLAR(標準文字)
指定役務及びその区分 第37類「内燃機関又はガスタービンの修理又は保守,ガスコンプレッサーの修理又は保守」
出願日 平成21年12月1日
登録日 平成24年6月29日

(3)引用商標3
登録番号 商標登録第5537820号
商標


指定商品及びその区分 第9類「ガスタービン・ガスコンプレッサー・内燃機関及び発電機(太陽エネルギー利用専用の発電機を除く。)並びにこれらの部品及び附属品の制御・管理・保守・整備・遠隔監視・診断及びこれらとの通信用のコンピュータハードウェア及びソフトウェア,電子応用機械器具及びその部品」
出願日 平成24年11月29日
登録日 平成24年11月22日


異議決定日 2016-02-01 
出願番号 商願2013-98700(T2013-98700) 
審決分類 T 1 651・ 263- Y (W0709113537)
T 1 651・ 263- Y (W0709113537)
T 1 651・ 271- Y (W0709113537)
T 1 651・ 261- Y (W0709113537)
最終処分 維持  
前審関与審査官 平澤 芳行 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 田村 正明
堀内 仁子
登録日 2014-12-26 
登録番号 商標登録第5729129号(T5729129) 
権利者 アンフィニ株式会社
商標の称呼 ジャパンソーラー 
代理人 特許業務法人三枝国際特許事務所 
代理人 長谷 玲子 
代理人 橋本 千賀子 
代理人 塚田 美佳子 

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