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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W18
審判 全部申立て  登録を維持 W18
審判 全部申立て  登録を維持 W18
審判 全部申立て  登録を維持 W18
管理番号 1310894 
異議申立番号 異議2015-900280 
総通号数 195 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2016-03-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-09-03 
確定日 2016-02-04 
異議申立件数
事件の表示 登録第5769384号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5769384号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5769384号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおりの構成よりなり,平成27年1月9日に登録出願,同年4月28日に登録査定がされ,第18類「かばん金具,がま口口金,蹄鉄,皮革製包装用容器,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,皮革」を指定商品として,同年6月5日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,登録異議の申立ての理由において引用する登録商標は,以下の2件であり,いずれも現に有効に存続しているものである。
1 商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する商標
登録第5735073号商標(以下「引用商標1」という。)は,「zerogram」の文字を標準文字で表してなり,平成26年6月4日に登録出願,第18類「かばん金具,がま口口金,蹄鉄,バックパック,登山用リュックサック,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄」及び第22類「ロープ,ひも」を含む,第8類,第18類,第20類,第21類,第22類,第25類及び第27類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として,同27年1月23に設定登録されたものである。
2 商標法第4条第1項第15号に該当するとして引用する商標
登録第5428595号商標(以下「引用商標2」という。)は,別掲2に示すとおりの構成よりなり,平成23年1月7日に登録出願,第9類「眼鏡,眼鏡の部品及び附属品」を指定商品として,同年7月29日に設定登録されたものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第6号証(枝番号を含む。)を提出した。(以下「甲第○号証」の表示は,「甲○」と簡略する。)
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標は,「ZERO GRA」の欧文字を太字のゴシック体で表記し,文字の上が濃紺であり下に行くにつれて明るい青色へと色が薄くなるグラデーションカラーの構成である。また,「ZERO」という表記と「GRA」という表記の間にはスペースがあるが,本件商標全体としては,「ゼログラ」という称呼を生ずる。
また,本件商標の「GRA」部分は,単独では特段の意味内容を想起しないものの,「ZERO」部分とあいまって本件商標全体をみると,本件商標の指定商品である「かばん類」等との関係では,「(数の)零。数・量・価値が全くないこと。皆無」等の意味を有する「ZERO」に対して,「GRA」が重さを示す「GRAM(グラム)」や,英語で「重力」という意味を有する「GRAVITY(グラビティー)」の略語であることを推察させ,本件商標全体として,「ゼログラム」,「ゼログラビティ」,すなわち,重量がないこと,極めて軽いこと等の観念を生じる言葉となる。
(2)他方,引用商標1は,「zerogram」という標準文字商標であり,「ゼログラム」という称呼を生じることは明らかである。また,引用商標1からは,「0グラム」,すなわち重さがないことを連想することができる。
(3)以上を前提に本件商標と引用商標1とを対比するに,まず,本件商標は「ゼログラ」という称呼を生じるのに対して,引用商標1は「ゼログラム」であることから,「ム」という発音の有無において両商標の称呼に相違はある。しかし,相違するのは「ム」という1音のみであり,また,「ム」の音は語尾に位置する弱音にすぎない。
したがって,「ゼログラ」と「ゼログラム」の各称呼は,時と所を異にして,両商標が称呼され聴覚されるときには,聴者に与える称呼の全体的印象が共通しており,互いに相紛れるおそれが極めて高い。したがって,本件商標と引用商標1は,称呼において類似している。
また,両商標の観念としては,上記(1)及び(2)で述べたとおり,本件商標全体からは重量がないこと,極めて軽いことを連想することができ,引用商標1も「0グラム」,すなわち重さがないことを想起させる。よって,両商標は,観念においても類似している。
(4)以上のとおり,本件商標と引用商標1とは,称呼及び観念の点で類似の商標であって,かつ,指定商品(第18類)も同一又は類似する。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 商標法第4条第1項第15号について
(1)本件商標は,メガネトップが全国的に展開する眼鏡店「眼鏡市場」において販売されている眼鏡「ZEROGRA(ゼログラ)」シリーズに係る標章である引用商標2と類似しており,本件商標が使用された場合,同社の業務に係る商品と混同が生じるおそれがある。
(2)メガネトップは,眼鏡店「眼鏡市場」を全国的に展開しており,その店舗数は,平成25年3月31日時点で621店舗にも及ぶ(甲3)。
「ZEROGRA(ゼログラ)」シリーズの眼鏡は,「眼鏡市場」において,取り扱われている主力商品であり,2011年4月の発売以降(甲4),雑誌,テレビ,インターネット等において広告宣伝され,2011年度から2013年度まで3年連続でグッドデザイン賞を受賞するなどヒット商品である(甲5)。
引用商標2は,かかる「ZEROGRA(ゼログラ)」シリーズの眼鏡に付されているものであり(甲6),メガネトップが「眼鏡市場」において販売する眼鏡ブランドを示す商標として全国的に著名性を獲得している。
(3)引用商標2は,「ZEROGRA」という横書きの欧文字から構成されるところ,同商標からは,「ゼログラ」という称呼が生じることは明らかである。
また,引用商標2をみると,同商標に係る指定商品である眼鏡との関係では,「(数の)零。数・量・価値が全くないこと。皆無」等の意味を有する「ZERO」に対して,「GRA」が重さを示す「GRAM(グラム)」や,英語で重力という意を有する「GRAVITY(グラビティー)」の略語であることを推察させ,「ゼログラム」,「ゼログラビティ」,すなわち,重量がないこと,極めて軽いこと等の観念を生じる。
他方,上記で述べたとおり,本件商標も「ZERO GRA」という横書きの欧文字から構成されており,「ゼログラ」という称呼を生じ,重量がないこと,極めて軽いこと等の観念も生じる。
したがって,引用商標2と本件商標とは,称呼及び観念において類似しているということができる。
また,外観については,デザインに差異はあるものの,両商標とも横書きの欧文字(ZEROGRA)によって構成されている点で共通しており,相紛らわしいというべきである。以上に鑑みると,引用商標2と本件商標は類似の商標である。
(4)本件商標の指定商品に係る「かばん類」等は,それ自体としては,引用商標2に係る商品である眼鏡とは取引事情を異にするが,本件商標の指定商品の需要者及び引用商標2に係る商品の需要者はいずれも,商品の性質上,年齢,性別,職種等を問わず,あらゆる分野の広汎な一般消費者である。
したがって,本件商標の指定商品の需要者の中には,引用商標2に係る上記取引者,需要者も当然含まれており,本件商標の需要者と引用商標2に係る眼鏡の需要者とは相当程度共通する。そして,このような共通の需要者である一般消費者が本件商標に接して,その指定商品を購入する際には,高度の注意を払う行動には出ないのが通常である。
そうすると,著名性を有する引用商標2と類似する本件商標をその指定商品に使用したときに,これに接する需要者において,引用商標2を連想,想起し,当該商品がメガネトップの業務に係る商品であると誤信するか,あるいは,そうでなくとも,メガネトップとの間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品であると誤信し,その出所について広義の混同を生ずるおそれがある。
(5)以上のとおり,引用商標2は,メガネトップが運営する眼鏡店「眼鏡市場」において販売されている主力商品である「ZEROGRA」を示す商標として著名であるところ,これと類似する本件商標が使用された場合,当該商標の指定商品の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準としてみれば,当該商品がメガネトップの業務に係る商品であると誤信されるおそれがある。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。
3 結び
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから,同法第43条の3第2項の規定により取り消されるべきである。

第3 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標
本件商標は,別掲1のとおり,「ZERO GRA」の欧文字を太字ゴシック体で書し,構成文字の上部が濃紺色で,下部に向かって明るい青色へと薄くなる色彩(グラデーション)を施してなるところ,その構成中の「ZERO」と「GRA」との間に,若干程度の間隔があるとしても,これらの文字は,上記のとおり,同一の書体,同一の大きさ,同一の色彩によるグラデーションが施され,文字全体がバランスよく,統一感のあるものとしてまとまりよく表されているものであって,構成文字全体より生じる「ゼログラ」の称呼も冗長で無く一連に称呼し得るものである。
そして,本件商標は,その構成中「ZERO」の文字部分が「0,零,ゼロ,全くないこと」の意味を有する平易な英語として知られているとしても,「GRA」の文字部分は,これとつづりを同じくする成語は見当たらないことから,本件商標全体として特定の意味合いを有しない,一種の造語として認識されるものである。
したがって,本件商標は,その構成文字全体が一体不可分のものであり,「ゼログラ」の称呼を生じ,親しまれた特定の観念を有しない一種の造語からなるものとして認識し把握されるというのが相当である。
(2)引用商標1
引用商標1は,「zerogram」の欧文字を標準文字で表してなるところ,その構成中の「zero」の文字部分が「0,零,ゼロ,全くないこと」の意味を,「gram」の文字部分が「質量の単位(グラム)」の意味を有する平易な英語として,我が国において広く知られていることから,引用商標1は,「zero」と「gram」の2語を結合してなるものと容易に理解,認識されるものである。
したがって,引用商標1は,その構成文字全体に相応して「ゼログラム」の称呼及び「0(ゼロ)グラム」の観念を生じるものである。
(3)本件商標と引用商標1との類否
本件商標と引用商標1とは,それぞれ,上記(1)及び(2)のとおりの構成からなるところ,外観においては,一見して判然と区別し得る差異を有するものである。
次に,本件商標から生じる「ゼログラ」の称呼と,引用商標1から生じる「ゼログラム」の称呼とは,前者が4音,後者は5音と,比較的短い音構成からなるものであることから,語尾音における「ム」の音の有無の差は称呼全体に及ぼす影響は大きく,両者をそれぞれ一連に称呼した場合においても,その語感,語調が異なるものとして充分聴別し得るものといえる。
また,観念においては,本件商標は,親しまれた既成の観念を有しないものであるのに対し,引用商標1は,「0(ゼロ)グラム」の観念を生ずるから,観念において相紛れるおそれはない。
してみれば,本件商標と引用商標1とは,外観,称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
(4)小括
以上のとおり,本件商標は,引用商標1とは非類似の商標であるから,その指定商品が引用商標の指定商品と同一又は類似のものであるとしても,商標法第4条第1項第11号に該当するということはできない。
2 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)引用商標2の周知・著名性について
引用商標2の周知・著名性を立証するものとして申立人より提出された証拠(甲3?甲6)によれば,引用商標2が商品「眼鏡」について,2011年4月より使用され,2011年度から2013年度にグッドデザイン賞を受賞していることは認め得るとしても,引用商標2が使用された商品「眼鏡」の売り上げ,市場比率(シェア),広告の方法,範囲や頻度・回数等に関する証拠の提出はないことから,これらの証拠によっては,引用商標2が本件商標の登録出願時及び登録査定時に,商品「眼鏡」を表示するものとして使用され,一定程度知られているとしても,需要者の間に広く認識されていた商標とまでは認めることはできない。
(2)本件商標と引用商標2との類似性について
引用商標2は,別掲2のとおり,「ZER」の文字と「GRA」の文字とを「R」の文字の一部を伸ばして「G」に接続し,その伸ばした部分上に内円を黒く塗りつぶした二重円を配した構成からなるものであるところ,その構成及び態様に徴すれば,当該二重円は,やや図案化されているものの大文字の「O」を図案化して表したものと把握され得るから,引用商標2は,全体として「ZEROGRA」の文字を表したものと認識できるものである。
そうすると,引用商標2は,「ゼログラ」の称呼が生ずるとみるのが相当であり,また,特定の観念が生ずるものとはいえない。
他方,本件商標は,上記1(1)のとおり,「ゼログラ」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
してみれば,本件商標と引用商標とは,外観において相違し,観念において比較できないとしても,称呼を共通にする類似の商標といえるものである。
(3)本件商標の指定商品(以下「本件商品」という。)と引用商標2の指定商品(以下「引用商品」という。)について
本件商品と引用商品とは,それぞれ上記第1及び第2の2のとおりであるから,共に一般需要者を対象としているものであるが,商品の品質,用途,生産部門,販売部門(取り扱い業者)が異なる商品であることは明かである。
したがって,本件商品と引用商品とは,需要者を共通にすることがあるとしても,生産部門,販売部門(取り扱い業者)等が明らかに相違し,かつ,完成品と部品等との関係にないことも明らかであるから,本件商品と引用商品とは,互いに関連性のない商品とみるのが相当である。
(4)出所の混同について
以上によれば,本件商標と引用商標2とが類似する商標であるとしても,引用商標2が本件商標の登録出願時及び登録査定時において周知著名であったとまでは認められないこと,かつ,本件商品と引用商品とは互いに関連性がないことからすれば,本件商標は,商標権者がこれを本件商品に使用しても,これに接する取引者,需要者をして引用商標2を連想又は想起させるものとは認められず,その商品が引用商標2の商標権者あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように,その商品の出所について誤認混同を生じさせるおそれはないものというべきである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
3 まとめ
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものではないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,その登録を維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 別掲1(本件商標)
(色彩は原本を参照されたい。)


別掲2(引用商標2)


異議決定日 2016-01-27 
出願番号 商願2015-1468(T2015-1468) 
審決分類 T 1 651・ 263- Y (W18)
T 1 651・ 262- Y (W18)
T 1 651・ 261- Y (W18)
T 1 651・ 271- Y (W18)
最終処分 維持  
前審関与審査官 小松 里美 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 田村 正明
田中 幸一
登録日 2015-06-05 
登録番号 商標登録第5769384号(T5769384) 
権利者 株式会社シフレ
商標の称呼 ゼログラ、ゼロ、グラ、ジイアアルエイ 

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