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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W33 審判 全部申立て 登録を維持 W33 審判 全部申立て 登録を維持 W33 審判 全部申立て 登録を維持 W33 審判 全部申立て 登録を維持 W33 審判 全部申立て 登録を維持 W33 審判 全部申立て 登録を維持 W33 |
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管理番号 | 1309831 |
異議申立番号 | 異議2015-900147 |
総通号数 | 194 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2016-02-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2015-05-11 |
確定日 | 2016-01-18 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5739093号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5739093号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5739093号商標(以下「本件商標」という。)は、「EL VIENTO」の欧文字を標準文字で表してなり、平成26年9月10日に登録出願、第33類「日本酒,洋酒,果実酒,酎ハイ,麦芽及び麦を使用しないビール風味のアルコール飲料,麦芽または麦を使用したビール風味のアルコール飲料(ビール、ビール風味の麦芽発泡酒を除く。),中国酒,薬味酒」を指定商品として、同年12月17日に登録査定、同27年2月6日に設定登録されたものである。 なお、本件商標の商標権は、平成27年10月1日に放棄され、登録の抹消がされているところ、本件商標の商標登録に対する登録異議の申立ては、申立日を、同27年5月11日とするものである。 第2 引用商標 1 11号引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由において、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録商標は、以下の2件(以下、これらをまとめて「11号引用商標」という。)であり、いずれも現に有効に存続しているものである。 (1)登録第4266733号商標 登録第4266733号商標(以下「引用商標1」という。)は、「TRIVENTO」の欧文字を標準文字で表してなり、平成9年11月26日に登録出願、第33類「洋酒,ぶどう酒,発泡ぶどう酒,その他の果実酒」を指定商品として、同11年4月23日に設定登録、その後、同21年4月21日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。 (2)登録第5224674号商標 登録第5224674号商標(以下「引用商標2」という。)は、「TRIVENTO MIXTUS」の欧文字を標準文字で表してなり、平成20年10月1日に登録出願、第33類「ぶどう酒,発泡ぶどう酒,果実酒,洋酒」を指定商品として、同21年4月17日に設定登録されたものである。 2 申立人使用商標 申立人が、登録異議の申立ての理由において、本件商標が商標法第4条第1項第10号、同項第15号、同項第19号及び同項第7号に該当するとして引用する商標(以下「申立人使用商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成からなるものであり、申立人が商品「ワイン」について使用しているとするものである。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標について、商標法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第11号、同項第15号、又は同項第19号に違反して登録されたものであるから、その登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第31号証を提出した。 1 申立人使用商標について (1)申立人について 申立人は、チリで最大のワインメーカーであって、南米ワイン業界でNo.1ともいわれる、「コンチャ・イ・トロ」(Concha y Toro)グループが、アルゼンチンのメンドーサ地方に、1996年に設立したワイナリーである。2006年以降は、アルゼンチン国内で輸出量2位となり、世界各地のワインコンクールにも入賞し、現在、世界中の90ヵ国以上に輸出し、アルゼンチンNo.1の銘柄のワインとして定着しつつある(甲5及び甲6)。 (2)申立人使用商標の周知性 ア わが国における評価 申立人は、1996年の創業より、自己の業務に係るワインに、ハウスマークとして申立人使用商標を継続して使用している。申立人は、毎年、約54万リットル前後のワインを出荷する実績を有しており、主たる出荷先のひとつはわが国である。申立人は、様々なワインシリーズを展開しており、そのいずれのシリーズにも申立人使用商標が表示されている(甲7)。 申立人の製造・販売しているワインは、アルゼンチン本国においては、2009年にIWSCベスト・アルゼンチンワイン・プロデューサー賞を受賞しており、また、わが国における代表的なワインコンテストの一つである、ジャパン・ワイン・チャレンジにおいても、2013年には金賞を、2014年には銀賞と銅賞の双方を受賞するなど、世界各地で高く評価されている(甲8ないし甲18)。 イ わが国における認知度について わが国においては、アルゼンチンをはじめとする南米ワインに注目が集まっているところ、申立人の製造・販売にかかるワインは、アルゼンチンワインを語る上では欠かせない存在であるほど、アルゼンチンワイン業界を代表する存在といえる(甲19ないし甲21)。さらには、従来はワインとは無縁と考えられていた和食料理業界においても、申立人のワインとの相性が非常に良いとの評価がなされており(甲22及び甲23)、申立人のワインが、従来のワイン愛好家はもちろん、それ以外の飲食店業界においても高く評価され、広く知られている。 その他、申立人は、わが国で開催された、アジア最大級の国際食品・飲料展「FOODEX JAPAN 2013」にも出店し、わが国における営業活動にも積極的である(甲24及び甲25)。 ウ 小括 上述のとおりであるから、申立人使用商標は、本件商標の登録出願前には、「ワイン」を示す名称として、わが国を含む世界各国のワイン愛好者、取引者及び需要者の間において、周知・著名となっていたことは明らかである。 2 第4条第1項第11号について (1)本件商標 本件商標は、「EL VIENTO」の欧文字の標準文字によって構成されている。 このうち、「EL」はスペイン語の冠詞、「VIENTO」はスペイン語で「風」を意味する単語である(甲28)。冠詞は、主にヨーロッパ系の言語において、名詞の前に配置し、その特定性を示すものであって、日本語にはない品詞であり、わが国の需要者が本件商標に接した場合には、本件商標の構成中の空白の存在とあいまって、「VIENTO」の語から本件商標全体の意味を把握し、「VIENTO」の語がより注目される。 よって、本件商標からは「ビエント」の称呼が生じるとともに、「風」の観念が生じる。 (2)11号引用商標 11号引用商標には、申立人の商号の一部でもある「TRIVENTO」の語が含まれている。「TRIVENTO」の語は、イタリア語で「3」を意味する接頭語である「TRI」と、「風」を意味する単語「VENTO」から構成される(甲29)。 このうち、「TRI」は、イタリア語のみならず、英語においても、「triangle」や「triple」などの単語に代表されるように、「3」を意味する接頭語として広く知られているものの、あくまで数量を表すのみであるから、11号引用商標全体の中では、「VENTO」の方がより注目される。 よって、11号引用商標からは、「ベント」の称呼が生じるとともに、「風」との観念が生じる。 (3)本件商標と11号引用商標の対比 上記(1)及び(2)で述べたとおり、需要者が本件商標に接した場合、「EL」が冠詞であって、日本語では特段の意味を生じさせないことから、「VIENTO」の文字部分に注目するものといえ、また、需要者が11号引用商標に接した場合には、「VENTO」の部分に着目するものといえるところ、「VIENTO」と「VENTO」では、「I」の有無以外には相違点がなく、外観の全体的な印象は近似している。 また、本件商標の称呼は「ビエント」であり、一方、11号引用商標の称呼は「ベント」である。本件商標の称呼中、「ビエ」の発音は、子音「b」と母音「i」「e」の組合せからなり、これらの母音は、母音三角形上で隣接しており、発音・調音方法や、音色が近似している。すると、本件商標や11号引用商標の指定商品を含む、飲料分野では、恒常的に大量の商品取引が行われていることから、その取引には簡易迅速性の要請が強く働き、商標が常に明確に発音されるとは限らないことが多いといえる。このような場合、「i」と「e」の母音のうち、前者の発音が後者に吸収されることから、「b」と「e」の組合せからなる発音、すなわち「ベ」により近い発音となるものである。 さらに、両商標とも「風」を意味する単語であることから、観念は共通する。 以上のとおりであるから、本件商標と11号引用商標とは、外観・称呼・観念のいずれの要素においても近似した商標であり、本件商標は、11号引用商標に類似する商標である。そして、11号引用商標の指定商品は、いずれも本件商標の指定商品と同一又は類似である。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。 3 第4条第1項第10号について 甲第7号証ないし甲第25号証のとおり、申立人使用商標は、申立人の製造・販売に係るワインを示す商標として周知・著名である。また、当該ワインが、わが国を含む世界各国のワインコンテストにおいて、高い評価を受けていることも明らかである。 このように、「TRIVENTO」の語は、申立人がその評価が自己に向けられ、信用が蓄積していることを前提に、品質をコントロールし、それを保証した商品に使用した結果、取引者・需要者の間に広く知られるに至っていることから、申立人使用商標と同一又は類似の商標を、本件商標の指定商品に係る酒類分野において使用されると、申立人の商品と混同を生じるおそれがある。 したがって、本件商標登録は、商標法第4条第1項第10号に違反してなされたものである。 4 第4条第1項第15号について 申立人使用商標は、申立人の周知・著名商標であるところ、ワイン愛好家やその取引者・需要者の間では、わが国における認知度は極めて高い。 また、本件商標は、申立人使用商標と類似するものであり、本件商標に接した需要者は、申立人と何らかの経済的・組織的関係があるものと誤認するおそれがある。 さらに、本件商標の指定商品は、申立人の商標が周知・著名となっているワイン分野と全く同一か、あるいは密接に関係しており、その商品は大量消費財であることが多いと考えられ、取引者・需要者の注意力も特別高いと認められる事情も見受けられない。 よって、本件商標に接した取引者・需要者は、申立人使用商標の著名性、取引者・需要者の注意力の程度も相侯って、本件商標に係る商品について、申立人と経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し、その商品又は役務の需要者が商品又は役務の出所について混同するおそれがある。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。 5 第4条第1項第19号について 申立人の商品は、世界中で展開されており、わが国を含む世界中で知名度が非常に高いのは明らかであり、本件商標は、申立人使用商標と類似している。 したがって、本件商標に接した需要者は、その態様から、申立人使用商標に係る商品であるかのように認識し、その商品の出所について混同するのは明らかである。 さらに、申立人使用商標が「風」を意味することについては、わが国においても数々の雑誌記事等で紹介されており(甲19及び甲20等)、さらに、商標権者は、申立人の商品を取り扱っており(甲30)、商標権者の役員が、申立人のワイナリーを訪問するなど、密接な取引関係にあった(甲31)ことから、このことを知悉していたことは明らかである。にもかかわらず、商標権者はあえて、観念を共通とする本件商標を採択し、出願・登録を行っている。 このように、本件商標が、申立人使用商標の顧客吸引力を利用し、自己の商品について使用するものであって、そのような使用が申立人使用商標の顧客吸引力を利用(フリーライド)したブランド商品を市場に蔓延させることとなり、その結果として、申立人が長年の営業努力によって築いた当該著名商標に化体した信用、名声、顧客吸引力等の毀損を招来させることは明らかである。 よって、商標権者は、申立人使用商標の顧客吸引力を利用(フリーライド)することを意図して、本件商標を取得したことが明らかであって、不正の目的をもって使用をするものといえる。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである。 6 第4条第1項第7号について 本件商標が申立人使用商標と類似している点については、前述のとおりである。 申立人使用商標は、申立人の商号の一部であって、その創設以来、継続して使用されるとともに、世界的にも周知・著名な商標となっていることから、その語については、申立人は商標権者よりも密接な関係を有している。 よって、本件商標を登録し、当該指定商品について独占的に使用することは、申立人の名声に便乗するものであり、また、取引者・需要者に混同を生じさせ、申立人の利益を害する剽窃的な行為である。 したがって、商標権者が、本件商標を独占的に使用することは、公正な取引秩序を乱し、ひいては国際信義に反し、公の秩序又は善良の風俗を害するものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものである。 第4 当審の判断 1 商標法第4条第1項第11号について (1)本件商標について 本件商標は、前記第1のとおり、「EL VIENTO」の欧文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字は、「L」の文字と「V」の文字との間に一文字分程度の間隔を有するものの、同じ書体、同じ大きさでまとまりよく一体に表してなるものであり、これより生じる「エルビエント」の称呼も、よどみなく一連に称呼し得るものである。 そして、本件商標を構成する各文字がスペイン語の単語と一致するものであるとしても、わが国でスペイン語が熟知されているとはいえないことに加え、スペイン語の「EL」及び「VIENTO」の語が日常的に親しまれて使用されているという実情も認めらないことから、その構成全体を一体不可分のものとして捉え、一種の造語として認識されるとみるのが相当である。 してみれば、本件商標は、その構成全体が一体不可分のものであり、「エルビエント」の一連の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものというべきである。 (2)11号引用商標について ア 引用商標1は、前記第2の1(1)のとおり、「TRIVENTO」の欧文字を標準文字で表してなるところ、その構成は、同じ書体、同じ大きさの文字を等間隔でまとまりよく一体に表してなるものであり、これより生じる「トリベント」の称呼も、よどみなく一連に称呼し得るものである。 そして、引用商標1は、イタリア語において「TRI」の文字が「3」意味する接頭語であり、「VENTO」の文字が「風」を意味する語であるとしても、わが国でイタリア語が熟知されているとはいえないことに加え、両語が日常的に親しまれて使用されているという実情も認められない。さらに、その構成中の「TRI」の文字部分がわが国で親しまれた外国語である英語においても「3」を意味する接頭語であるとしても、該語が日常的に親しまれて使用されているという実情は認めらない。そうすると、引用商標1は、その構成全体を一体不可分のものとして捉え、一種の造語として認識されるとみるのが相当である。 してみれば、引用商標1は、その構成全体が一体不可分のものであり、「トリベント」の一連の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものというべきである。 イ 引用商標2は、前記第2の1(2)のとおり、「TRIVENTO MIXTUS」の欧文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字は、「O」の文字と「M」の文字との間に一文字分程度の間隔を有するものの、同じ書体、同じ大きさでまとまりよく一体に表してなるものであり、これより生じる「トリベントミクスタス」の称呼も、よどみなく一連に称呼し得るものである。 そして、引用商標2の構成中「TRIVENTO」の文字部分は、引用商標1と同じ構成文字からなるものであり、また「MIXTUS」の文字部分は、特定の意味を有しない造語であるから、その構成全体を一体不可分のものとして捉え、一種の造語として認識されるとみるのが相当である。 してみれば、引用商標2は、その構成全体が一体不可分のものであり、「トリベントミクスタス」の一連の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものというべきである。 (3)類否判断 本件商標と11号引用商標とは、それぞれ上記(1)及び(2)のとおりの構成からなるところ、外観においては、その構成文字に顕著な差異を有するものであるから、区別し得ること明らかである。次に、称呼においては、本件商標から生じる「エルビエント」の称呼と引用商標1から生じる「トリベント」の称呼を比較するに、両者は、前者は6音、後者は5音と音数を異にし、かつ、その構成音も明らかに異なるものであるから、明確に聴別し得るものである。また、本件商標から生じる「エルビエント」の称呼と引用商標2から生じる「トリベントミクスタス」の称呼を比較するに、両者は、構成音とその音数が明らかに異なるものであるから、明確に聴別し得るものである。 さらに、観念においては、本件商標と11号引用商標とは、いずれも特定の観念を生じないものであり、その観念を比較することができないものであるから、観念において相紛れるおそれがあるということもできないものである。 (4)申立人の主張 申立人は、本件商標は、その構成中の「EL」の文字がスペイン語の冠詞であるから「VIENTO」の文字部分が着目されるものであり、また、11号引用商標は、その構成中の「TRI」の文字が「3」を意味することから「VENTO」の文字部分が着目されるものであり、両者は、これらの文字部分において、その外観、称呼及び観念が近似する類似の商標である旨主張するが、本件商標と11号引用商標は、上記(1)及び(2)の記載のとおり、いずれも構成全体を一体不可分のものとして捉え、一種の造語として認識されるとみるのが相当であるから、申立人の主張は採用することができないものである。 (5)小括 したがって、本件商標と11号引用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれがない非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しないものである。 2 商標法第4条第1項第10号及び同項第15号について (1)申立人使用商標の周知性について 提出された証拠によれば、申立人使用商標は、ジャパン・ワイン・チャレンジにおいて、2013年には金賞を、2014年には銀賞と銅賞の双方を受賞し(甲9ないし甲13)、ワイン専門誌等において紹介された(甲18ないし甲23)ことが認められるとしても、それ以外には、申立人使用商標を使用したワインの、わが国における売上高や、シェア、宣伝広告の規模などを示す証拠は提出されていない。 加えて、職権をもって調査するも、申立人使用商標を使用したワインのそれらの状況を見い出すことはできなかった。 そうすると、申立人使用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、わが国の取引者、需要者の間で広く認識されていると認めることができないものである。 (2)本件商標と申立人使用商標の類似性 本件商標は、上記1(1)のとおりの構成からなるものであり、申立人使用商標は、別掲に示したとおり「T」と「R」の文字をデザイン化した「TRIVENTO」の文字を横書きしてなるところ、その構成文字は11号引用商標1と同じであるから、同様に、本件商標と申立人使用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれがない非類似の商標というべきものである。 (3)小括 以上のとおりであるから、申立人使用商標は、申立人の業務に係る商品「ワイン」を表示するものとして需要者の間に広く認識されているということはできないものであり、しかも、本件商標は申立人使用商標と類似しない別異の商標である。 そうすると、本件商標は、その指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者が、申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように連想、想起することはなく、その出所について混同を生じるおそれもないというべきである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同項第15号に該当しないものである。 3 商標法第4条第1項第19号について 上記2のとおり、本件商標と申立人使用商標とは、互いに別異の商標であり、類似するということができないものである。しかも、少なくとも、申立人使用商標がわが国で周知・著名であるということもできない。さらに、申立人は、申立人使用商標が周知・著名であることを前提に本件商標がフリーライド等の不正の目的によるものと主張するが、本件商標が不正目的によるものであるとすべき具体的事情を見いだすこともできない。 そうとすれば、仮に、申立人使用商標がアルゼンチンにおいて需要者の間に広く認識されていたとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第19号該当性の要件を欠くものであるから、商標法第4条第1項第19号に該当しないものである。 4 商標法第4条第1項第7号について 申立人使用商標は、上記2のとおり、わが国の取引者、需要者の間に広く認識されている商標とは認めることができないものであり、かつ、本件商標は、申立人使用商標とは非類似の商標である。 そして、本件商標は、申立人使用商標を盗用するなど不正な利益を得るために使用する目的、その他不正な意図をもって登録されたものとすべき具体的な不正目的を見い出すこともできないものであるから、その出願の経緯に著しく妥当性を欠くとまではいえないものである。その他、本件商標が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある商標であると認めるに足りる証拠の提出はない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しないものである。 5 まとめ 以上のとおりであるから、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲(申立人使用商標) |
異議決定日 | 2016-01-08 |
出願番号 | 商願2014-76549(T2014-76549) |
審決分類 |
T
1
651・
261-
Y
(W33)
T 1 651・ 263- Y (W33) T 1 651・ 262- Y (W33) T 1 651・ 222- Y (W33) T 1 651・ 22- Y (W33) T 1 651・ 25- Y (W33) T 1 651・ 271- Y (W33) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 鈴木 雅也 |
特許庁審判長 |
林 栄二 |
特許庁審判官 |
高橋 幸志 中束 としえ |
登録日 | 2015-02-06 |
登録番号 | 商標登録第5739093号(T5739093) |
権利者 | サントリーホールディングス株式会社 |
商標の称呼 | エルビエント、ビエント |
代理人 | 片山 礼介 |
代理人 | 柳生 征男 |
代理人 | 杉村 憲司 |
代理人 | 中田 和博 |
代理人 | 村松 由布子 |
代理人 | 青木 博通 |