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審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2015900005 審決 商標
異議2015900164 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W2425
管理番号 1309830 
異議申立番号 異議2014-900357 
総通号数 194 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2016-02-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2014-12-25 
確定日 2015-11-16 
異議申立件数
事件の表示 登録第5704336号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5704336号商標の商標登録を取り消す。
理由 第1 本件商標
本件登録第5704336号商標(以下「本件商標」という。)は,「Ruggito Valentino」の欧文字を横書きしてなり,平成26年4月8日に登録出願,第24類「織物,メリヤス生地,フェルト及び不織布,オイルクロス,ゴム引防水布,ビニルクロス,ラバークロス,レザークロス,ろ過布,布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布,織物製テーブルナプキン,ふきん,シャワーカーテン,のぼり及び旗(紙製のものを除く。),織物製トイレットシートカバー,織物製椅子カバー,織物製壁掛け,カーテン,テーブル掛け,どん帳,遺体覆い,経かたびら,紅白幕,黒白幕」及び第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として,同年8月6日に登録査定され,同年9月26日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由
申立人登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,登録異議の申立ての理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第69号証を提出している。
1 商標法第4条第1項第11号について
申立人の引用する登録第852071号商標,登録第972813号商標,登録第1304792号商標,登録第1970394号商標,登録第4084774号商標,登録第4527531号商標及び登録第5435918号商標(以下,これらを「引用商標」という。)は,それぞれ「VALENTINO」,「VALENTINO/ヴァレンティノ」又は「バレンチノ」からなる商標であり,「バレンチノ」又は「ヴァレンティノ」の称呼を生ずるものである。
本件商標「Ruggito Valentino」は,「Ruggito」の部分と「Valentino」の部分に分離して認識され,指定商品との関係で「Valentino」の部分が要部となるものと思料されることから,「バレンチノ」又は「ヴァレンティノ」の称呼を生ずる。
してみれば,本件商標と引用商標は「バレンチノ」又は「ヴァレンティノ」の称呼を共通するものである。また,本件商標と引用商標は,その指定商品も同一又は類似のものである。以上から,本件商標は,上記の引用商標と類似するものであって,かつ,その指定商品も相互に類似するものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 商標法第4条第1項第10号について
本件商標は,申立人の周知・著名商標「Valentino」,「バレンティノ」又は「バレンチノ」に類似する商標であって,申立人の業務に係るファッション関連分野の商品と同一又は類似する商品について使用するものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当する。
3 商標法第4条第1項第15号について
本件商標は,その指定商品に使用された場合,これに接する取引者・需要者に,申立人又はこれと緊密な関係にある営業主の業務に係る商品であることを連想・想起させ,その商品の出所について誤認混同を生じさせるものであり(広義の混同のおそれ),ひいては,本件商標の登録が申立人の周知商標の持つ顧客吸引力へのただ乗り(いわゆるフリーライド)やその希釈化(いわゆるダイリュージョン)を招来するおそれがある。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。

第3 本件商標の取消理由
1 審判長は,平成27年8月5日付けで商標権者に対し,理由を示して本件商標を取り消すべき旨の通知をした。その理由は,要旨次のとおりである。
2 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)「VALENTINO」等の表示の著名性
申立人の提出に係る証拠及び申立ての理由によれば,以下の事実を認めることができる。
ア 申立人は,1959年に,ファッションデザイナーであるValentino Garavani(以下「ヴァレンティノ・ガラヴァーニ」という。)が設立したイタリア国ミラノを本拠地とするファッションメーカーであって,バレンチノファッショングループの一つとして,「VALENTINO」関連の商標を管理する法人である。
イ ヴァレンティノ・ガラヴァーニに関し,「新ファッションビジネス基礎用語辞典」(2001年4月1日,株式会社チャネラー発行:甲6)には,「ジャン・デッセ,ギ・ラロッシュのもとで修業を積み,’59年に独立。ローマにオート・クチュール・メゾンを構えて,’60年には初のコレクションを発表している。‘62年に発表された『白だけの服』と名付けられた“白一色”のコレクションは意表をつく演出で大成功をおさめ,〈ヴァレンティノ〉の名を国際的に知らしめるものとなった。’67年,ファッション・オスカー賞を受賞。‘69年にはプレタ・ポルテ,‘73年にはインテリアや小物類,‘85年からは紳士服部門をスタート。’89年よりコレクションの場をパリに移している。」などと記載されている。
また,「20世紀のファッションデザイナー/1900-1999」(2001年日本版:甲7)には,「ヴァレンティノ」の表示のもと,「ファッション業界でひとかどのものになろうとする者はパリに行く。そしてパリで成功する者だけが,クチュールのエリートになるのである。・・・イタリア人ヴァレンティノ・クレメンテ・ルドヴィコ・ガラヴァーニは『ヴァレンティノ』として世界的に有名になった。彼がこの世界に踏み入ることができたのは,賢明にも,研鑽を積むために1950年にパリに行ったからである。彼は『クチュール組合』で授業を受けた。・・・ファッション界に入るきっかけとなったのは,国際羊毛事務局主催のコンテストでの優勝である。・・・ヴァレンティノが贅沢なエレガンスのクチュリエとして有名になったころ,1968年に驚くほど若々しいモダンな〈白のコレクション〉を発表した。これは彼の40年間の創作活動中の最高傑作といわれている。このコレクションをベースに,彼はジャクリーヌ・ケネディがオナシスと結婚したときのウェディングドレスをデザインした。明るいオレンジレッドはヴァレンティノのトレードマークになる。この色はシンプルな中にも刺激的なイブニングドレスに繰り返し使われた。ヴァレンティノは1968年からパリに自分のブティックを開いているが,1975年からはそこでプレタポルテ・コレクションも開催している。」と記載されている。
その他,ヴァレンティノ・ガラヴァーニに関し,「VALENTINO/ヴァレンティノ」(1996年10月4日,光琳社出版株式会社発行:甲5),「世界のスターデザイナー43」(2005年12月15日,株式会社未來社発行:甲9),「ヴォーグ・ファッション100年史」(2009年9月1日,株式会社ブルース・インターアクションズ発行:甲10)等の書籍にも上記と同趣旨の記載がある。
ウ 「VALENTINO」関連の商標等に関し,「ファッション・ブランド・ベスト101」(2001年11月25日,株式会社新書館発行:甲8)には,「1960年代から今日までの社交界をはじめとする華やかなシーンを彩ってきた立役者として,『ヴァレンティノ』の名を忘れるわけにはいかない。・・・この華麗なオートクチュールを頂点とし,プレタポルテやバッグ,シューズなどアクセサリー・ラインからなる『ヴァレンティノ』は,二十世紀を代表する巨大ブランドに成長し,女性の憧れのブランドとして世界中に定着している。・・現在ブランドはヴァレンティノ(レディス,メンズ),ヴァレンティノ ローマ(レディス,メンズ),ヴァレンティノ ガラヴァーニ(バッグ,シューズなど),ヴァレンティノ ジーンズなどのラインを展開。それらに使用されている『V』マークは今や世界中を席巻し,広くコピーされるようになった。国際規模での年商は六百五十億円ともいわれ,名実ともにファッション界の王座に君臨する。」などと記載されている。
エ ヴァレンティノ・ガラヴァーニのデザインに係る被服は,「VALENTINO/ヴァレンティノ」,「VALENTINO」及び「ヴァレンティノ」等の表示(以下「『VALENTINO』等の表示」という。)のもとに,我が国で発行されたファッション雑誌である「MODE et MODE」(モードエモード),「25ans」(ヴァンサンカン),「家庭画報」,「ELLE」(エル・ジャポン)及び「VOGUE JAPAN」(ヴォーグジャパン)に,1994年(平成6年)頃から2014年(平成26年)にかけて,多数掲載された(甲11?甲38)。
オ 「VALENTINO」商標を付した商品群の2009年(平成21年)から2014年(平成26年)の我が国における年間売上総額は,約30億円から約40億円と高額に推移している。
(2)上記(1)で認定した事実によれば,デザイナーとしてのヴァレンティノ・ガラヴァーニは,1960年代以降,世界的に有名となり,同人のデザインに係る被服等ファッション関連の商品群も,グレードの高いものとして世界的に著名性を有していた。そして,「VALENTINO」等の表示を付した商品群の2009年(平成21年)から2014年(平成26年)の我が国における年間売上総額は,約30億円から約40億円と推移し極めて高額であった。
してみると,「VALENTINO」等の表示は,ヴァレンティノ・ガラヴァーニの略称又はそのデザインに係る被服等ファッション関連の商品群を表示する商標として,本件商標の登録出願日(平成26年4月8日)はもとより,その登録査定日(平成26年8月6日)の時点においても,我が国のファッション関連商品の分野の取引者,需要者の間に広く認識されていたものと認めることができる。
3 出所の混同
本件商標は,上記(1)のとおり,「Ruggito Valentino」の欧文字を横書きしてなるものであるところ,その構成全体をもって,我が国において親しまれた氏名を表すものとは認め難いところである。そして,本件商標中の「Valentino」の欧文字部分は,上記(2)認定のとおり,ヴァレンティノ・ガラヴァーニの略称又はそのデザインに係る被服等の商品群を表示する商標として,本件商標の登録出願日及び登録査定日の時点において,我が国のファッション関連商品の分野の取引者,需要者の間に広く認識されていた「VALENTINO」の表示と同一の綴り文字よりなるものであり,同一の称呼を生ずるものである。してみると,本件商標に接する取引者,需要者は,その構成中の「Valentino」の欧文字部分に強く印象付けられ,これを記憶するとみるのが相当である。
また,本件商標の指定商品は,上記1のとおり,ファッション関連の商品といえる「被服,履物,バンド,ベルト」を含むものであり,「VALENTINO」の表示が使用される婦人服,紳士服等と密接な関連を有するものである。
さらに,一般的に,布製身の回り品等の小物類や寝具類等が著名なデザイナーによってデザインされることは取引の実情に照らして明らかであるところ,本件商標の指定商品にはこのような商品も多く含まれる。
したがって,本件商標の指定商品と「VALENTINO」の表示が使用される商品群との間には高い関連性があるといえる。
以上を総合勘案すると,本件商標に接する取引者,需要者は,直ちに著名な「VALENTINO」の表示を想起又は連想し,ヴァレンティノ・ガラヴァーニのデザインに係る被服等の商品群又はこれより派生したブランドないし兄弟ブランドであるかのように誤認し,本件商標をその指定商品に使用した場合は,該商品が申立人又はこれと何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように,商品の出所について混同を生ずるおそれが高いというべきである。
4 むすび
以上のとおり,本件商標は,他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標というべきものであるから,その登録は,商標法第4条第1項第15号に違反してされたものといわなければならない。

第4 商標権者の意見
審判長は,上記第3の取消理由に対して,期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが,商標権者は,何ら意見を述べていない。

第5 当審の判断
本件商標についてした上記3の取消理由は,妥当なものと認められるものである。
したがって,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第15号に違反してされたものであるから,他の申立の理由について判断するまでもなく,同法第43条の3第2項の規定により,取り消すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
異議決定日 2015-10-05 
出願番号 商願2014-31068(T2014-31068) 
審決分類 T 1 651・ 271- Z (W2425)
最終処分 取消  
前審関与審査官 南 めぐみ 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 田中 幸一
前山 るり子
登録日 2014-09-26 
登録番号 商標登録第5704336号(T5704336) 
権利者 DEFFO株式会社
商標の称呼 ラッジトバレンティノ、ラッジトバレンチノ、ラッジト、バレンティノ、バレンチノ 
代理人 杉村 憲司 
代理人 村松 由布子 

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