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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を取消(一部取消、一部維持) W0105293032 審判 全部申立て 登録を取消(一部取消、一部維持) W0105293032 審判 全部申立て 登録を取消(一部取消、一部維持) W0105293032 審判 全部申立て 登録を取消(一部取消、一部維持) W0105293032 審判 全部申立て 登録を取消(一部取消、一部維持) W0105293032 審判 全部申立て 登録を取消(一部取消、一部維持) W0105293032 |
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管理番号 | 1309808 |
異議申立番号 | 異議2015-900106 |
総通号数 | 194 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2016-02-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2015-04-01 |
確定日 | 2015-12-10 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5732241号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5732241号商標の指定商品中,第1類「発酵黒生姜を含有しない化学品,発酵黒生姜を含有しない工業上用いられる化学品,発酵黒生姜を含有しない化粧品の原料となる化学品,発酵黒生姜を含有しないサプリメントの原料となる化学品,発酵黒生姜を含有しない飲食品の原料となる化学品,発酵黒生姜を含有しない植物からの抽出物または有効成分を原材料としてなる化学品」についての商標登録を取り消す。 本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5732241号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおり,上部に「発酵」の文字,中央に黒丸の中に「黒」の漢字を大きく表し,その下部に「ショウガ」の文字を表した構成からなり,平成26年3月26日に登録出願,同年12月8日に登録査定,第1類,第5類,第29類,第30類及び第32類に属する別掲2のとおりの商品を指定商品として,同27年1月9日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,登録異議の申立ての理由として引用する登録商標(以下,まとめていうときは「引用商標」という。)は,次のとおりであり,いずれも現に有効に存続しているものである。 1 登録第5157052号商標(以下「引用商標1」という。)は,別掲3のとおりの構成からなり,平成19年11月22日に登録出願,第30類「竹炭を使用してなるまんじゅう,竹炭を使用してなる餅菓子、竹炭を使用してなるパン、竹炭を使用してなる団子」を指定商品として,同20年8月8日に設定登録されたものである。 2 登録第4984228号商標(以下「引用商標2」という。)は,「黒丸」の文字を横書きし,下段に「KUROMARU」の欧文字を横書きした態様からなり,平成17年10月12日に登録出願,第32類「清涼飲料(コーヒーシロップを除く。),果実飲料」を指定商品として,同18年9月1日に設定登録されたものである。 3 登録第5195317号商標(以下「引用商標3」という。)は,「黒丸(コクマル)」の文字を標準文字で表してなり,平成20年6月23日に登録出願,第29類「ニンニクと卵黄を主成分とした粒状・カプセル状・粉末状・顆粒状の加工食品」を指定商品として,同21年1月9日に設定登録されたものである。 4 登録第2444695号商標(以下「引用商標4」という。)は,「黒丸」の文字を横書きしてなり,平成2年3月28日に登録出願,第1類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同4年8月31日に設定登録されたものであり,その後,同14年6月19日に,指定商品を,第1類「化学品,のり及び接着剤(事務用又は家庭用のものを除く。),植物成長調整剤類」,第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料」及び第10類「おしゃぶり,氷まくら,三角きん,支持包帯,手術用キャットガット,吸い飲み,スポイト,乳首,氷のう,氷のうつり,ほ乳用具,魔法ほ乳器,綿棒,指サック,避妊用具,人工鼓膜用材料,補綴充てん用材料(歯科用のものを除く。)」とする指定商品の書換登録がされ,同24年9月11日には,第5類についてのみ商標権の存続期間の更新登録がされたものである。 5 登録第4305170号商標(以下「引用商標5」という。)は,「黒丸」の文字を標準文字で表してなり,平成9年11月7日に登録出願,第30類「穀物の加工品,コーヒー及びココア,コーヒー豆,茶,調味料(「ウースターソース,ケチャップソース,しょうゆ,食酢,酢の素,そばつゆ,ドレッシング,ホワイトソース,マヨネーズソース,焼肉のたれ」を除く。),香辛料,食品香料(精油のものを除く。),米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,アーモンドペースト,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,氷,酒かす」を指定商品として,同11年8月13日に設定登録されたものである。 第3 登録異議申立ての理由 申立人は,本件商標について,商標法第3条第1項第3号,同項第6号,同法第4条第1項第11号及び同項第16号に該当するものであるから,その登録は,取り消されるべきものである旨申し立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第19号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 商標法第3条第1項第3号について 本件商標は,「発酵」,「黒」及び「しょうが」又は「生姜」を表す「ショウガ」の文字からなり,「発酵した黒生姜」の意味を表す語であると容易に認められるから,その指定商品中「発酵黒生姜を使用した」各種商品に使用しても,これに接する取引者,需要者は,単に商品の品質(原材料)を表示した語と認識するにとどまるので,自他商品識別標識としての機能を果たし得ないものである。 よって,本件商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。 2 商標法第3条第1項第6号について 本件商標を構成する文字のうち,中段の「黒」の文字は,円形の図形中に表しているものであり,このような表し方は,サプリメントの広告等,実際の商標の使用においては,強調する文字を円形の図形に囲んだりしている事実があるため,普通に用いられる態様である。特に原材料名の一部に関連する「黒」の文字を強調する態様は,普通に用いられている(甲3,甲8及び甲9)。 特に,サプリメントの広告等の商標の使用においては,商品に用いられる原材料が「黒ニンニク」,「黒ゴマ」,「黒生姜」等,「黒」に関連するものである場合,「黒」の文字を強調する態様が普通に用いられている事実がある(甲10の1ないし7)。 そうすると,本件商標は,単に品質(原材料)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と認められない場合でも,何人かの業務に係る商品であるかを認識できない商標に該当する。 よって,本件商標は,商標法第3条第1項第6号に該当する。 3 商標法第4条第1項第16号について 本件商標は,「発酵黒生姜」又は「発酵した黒生姜」の意味を表す語であり,「発酵黒生姜」については,「黒生姜」が「ジンジャー(生姜)」の普通名称であること(甲2),また,サプリメントや食品の原材料として広く用いられている加工した野菜で,それを表示するものとして普通に使用されている事実がある(甲3ないし甲9)。 そうとすると,本件商標を第1類の指定商品中「サプリメントの原材料となる化学品,飲食品の原料となる化学品,植物からの抽出物または有効成分を原材料としてなる化学品」について使用するときは,これに接する取引者,需要者は,これらの商品が「発酵黒生姜」を使用した商品であるかのごとく,商品の品質の誤認を生ずるおそれがある。 よって,本件商標は,商標法第4条第1項第16号に該当する。 4 商標法第4条第1項第11号について (1)本件商標は,上段に「発酵」の文字を横書きし,その下にやや太い幅の線で表された円形の中に「黒」の文字を書し,さらにその下段に「ショウガ」の文字を横書きし,これらの部分を組み合わせた態様からなるものである。 そして,中間部分は,上段及び下段の文字部分と比較してやや大きく表しているところ,上段及び下段の文字部分と必ず一体に観察しなければならないとする特段の理由もみられないことから,この中間部分のみが独立して自他商品の識別標識として機能を果たすと考えられる。 また,この黒色の丸い線の図形中に「黒」の文字を配した黒丸図形は,視覚上まとまりよく一体的に構成されていることから,本件商標は,黒丸図形部分から「クロマル」の自然な称呼が生じるとともに,「黒色の丸」という観念が生ずるということができる。 (2)他方,引用商標1は,別掲3のとおり,矩形内の円形図形中に「黒」の文字と「KURO」及び「MARU」の欧文字を表し,その右に「黒」の文字と円形とを横書きした態様からなり,引用商標2は,「黒丸」の文字を横書きし,下段に「KUROMARU」の欧文字を横書きした態様からなり,引用商標3ないし5は,いずれも「黒丸」の文字を横書きした態様からなるものであるから,これらからは,「クロマル」の称呼が生じ,「黒色の丸」という観念が生じるものといえる。 (3)そうとすると,本件商標と引用商標は,外観において相違するとしても,「クロマル」の称呼及び「黒色の丸」の観念において紛らわしく,その指定商品も同一又は類似のものであるから,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。 第4 当審における取消理由 当審において,本件商標権者に対して平成27年8月7日付けで通知した取消理由の内容は,以下のとおりである。 1 申立人の提出に係る証拠(甲2ないし甲9)及び職権による調査によれば,以下の事実が認められる。 (1)「スパイス百科事典」(三しゅう書房発行)には,「ジンジャーは世界的には主に乾燥品(乾薑-Dried Ginger)で市場に出されているが,商品としてのジンジャーは黒生姜と白生姜に大別される。」として,「黒生姜(Black Ginger)」について,「地上部が全部枯れ始めてから地下茎を掘り,熱湯中に投じ,発芽防止処理をした後,直ちに乾燥したもので,表面は灰色,肉皮は褐色,肉質は黄色である。」と記載されている(甲2)。 (2)申立人のウェブサイトにおいて,「最近話題になっている?ウルトラ黒しょうが?」の見出しの下,「ご家庭でつくれるウルトラ黒しょうがを超える究極の生姜があります それは独自技術で生姜パワーをさらに引き出した 究極の生姜発酵黒生姜です。」,また,「発酵黒生姜のスゴイ効果とは!?」の見出しの下,「ショウガオールの含有量が通常の生姜のなんと57倍」と記載されている(甲3)。 (3)サプリメント,飲料等において,発酵黒生姜を含有した商品が販売されていることが認められる(甲4ないし甲9)。 (4)「栄養の基礎知識」のウェブサイトにおいて,「ショウガオール」の見出しの下,「ショウガオールは生姜に含まれる精油成分で,生姜にはこれ以外にジンゲロール(同じく精油成分)などが含まれ,ジンゲロールは加熱でショウガオールに変わります。ともに生姜の辛み成分となっています。ショウガオールやジンゲロールには,強い殺菌作用と活性酸素の消去作用があり,抗炎症・抗ガン・発ガン抑制に効果があるといわれています。」,「ショウガオールの 【おもな働き】」の項には「殺菌作用によりガン細胞の増殖を抑制する作用,活性酸素消去により突然変異を抑制,中枢神経系の興奮を鎮める」との記載,説明がされていることが認められる (http://hontonano.jp/nutrition/451_ginger.html)。 (5)「大麦若葉青汁のgreen beauty」のウェブサイトにおいて,「発酵黒生姜について」の見出しの下,「発酵黒生姜は,生姜を独自の技術で発酵・熟成させたもので,発酵技術には酒粕を使用しています。冷えは美容と健康の大敵。発酵黒生姜は一般の生姜の約30倍のショウガオールを含んでいますので,生姜の良さをとりいれるのにおすすめです。/産地へのこだわり 高知県産の三州生姜を原料として使用しています。三州生姜は,従来の生姜よりも小振りで辛味が強く,精油成分であるジンゲロールを多く含みます。/発酵黒生姜の特性 生姜を発酵・熟成させる過程でジンゲロールはショウガオールに変化します。従来の生姜にくらべ約30倍もの精油成分ショウガオールが含まれることが特性です。」と記載,説明がされていることが認められる (http://green-beauty.jp/aboutproduct/data.html)。 (6)オリザ油化株式会社のウェブサイトにおいて,「黒ショウガエキス」の製品情報には,その用途として「食品,化粧品」が記載されていること,その応用例には,「食品の利用分野」として「冷え性・むくみ改善,滋養強壮,性能力向上,抗肥満,抗炎症,美容 食品・化粧品素材」,「化粧品の利用分野」として「アンチエイジング化粧品」に使用されていることが認められる (https://www.oryza.co.jp/product/detail/black_ginger_extract_igai.html)。 2 商標法第4条第1項第16号該当性について 本件商標は,別掲1のとおり,その構成中に「発酵」「黒」「ショウガ」の文字を配したものであるところ,上記1の事実よりすれば,「発酵黒ショウガ」は,生姜を化学的方法でショウガオールの含有率を高めて生成されたものといい得るものであり,食品や化粧品等の原料として使用されていることからすれば,指定商品中,第1類「化学品,工業上用いられる化学品,化粧品の原料となる化学品,サプリメントの原料となる化学品,飲食品の原料となる化学品,植物からの抽出物または有効成分を原材料としてなる化学品」について使用する場合には,該商品が恰も「発酵黒生姜を含有した化学品」であるかのように商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるものといわなければならない。 したがって,本件商標は,その指定商品中,第1類「発酵黒生姜を含有した化学品,発酵黒生姜を含有した工業上用いられる化学品,発酵黒生姜を含有した化粧品の原料となる化学品,発酵黒生姜を含有したサプリメントの原料となる化学品,発酵黒生姜を含有した飲食品の原料となる化学品,発酵黒生姜を含有した植物からの抽出物または有効成分を原材料としてなる化学品」以外の「化学品,工業上用いられる化学品,化粧品の原料となる化学品,サプリメントの原料となる化学品,飲食品の原料となる化学品,植物からの抽出物または有効成分を原材料としてなる化学品」については,商標法第4条第1項第16号に違反して登録されたものである。 第5 商標権者の意見 前記第4の取消理由に対し,商標権者は何ら意見を述べるところがない。 第6 当審の判断 1 商標法第4条第1項第16号該当性について 本件商標の商標法第4条第1項第16号該当性についてした前記第4の取消理由は,妥当なものと認められる。 したがって,本件商標の登録は,その指定商品中,第1類「発酵黒生姜を含有しない化学品,発酵黒生姜を含有しない工業上用いられる化学品,発酵黒生姜を含有しない化粧品の原料となる化学品,発酵黒生姜を含有しないサプリメントの原料となる化学品,発酵黒生姜を含有しない飲食品の原料となる化学品,発酵黒生姜を含有しない植物からの抽出物または有効成分を原材料としてなる化学品」について,商標法第4条第1項第16号に違反してされたものである。 2 商標法第3条第1項第3号及び同項第6号該当性について 本件商標は,別掲1のとおり,上部に「発酵」の文字,中央に黒丸の中に「黒」の漢字を大きく表し,その下部に「ショウガ」の文字を,いずれも左上から右下にかけて一部掠れたような態様で表してなるものである。 そして,本件商標の構成中,「発酵」,「黒」及び「ショウガ」の各文字からは,「発酵黒生姜」であることを表すものと理解,認識させるものであって,申立人が提出した甲第3号証ないし甲第9号証によれば,「発酵黒生姜」の文字が,商品の説明等に使用されているとしても,本件商標にかかる構成においては,単に商品の品質(原材料)を普通に用いられる方法で表示するものということができない。 また,申立人は,「本件商標を構成する文字のうち,中段の『黒』の文字は,円形の図形中に表しているものであり,このような表し方は,サプリメントの広告等,実際の商標の使用においては,強調する文字を円形の図形に囲んだりしている事実があるため,普通に用いられる態様である。特に原材料名の一部に関連する『黒』の文字を強調する態様は,普通に用いられている。」旨主張する。 申立人が提出した甲第10号証の1ないし7においては,「黒」の文字部分がやや大きく表示された「黒にんにく」(甲10の1,3),及び「黒しょうが」(甲10の2),色彩を用いて大きく表された「黒ニンニク」(甲10の4),「黒セサミン」(甲10の5),及び「黒ゴマセサミン,黒発酵ニンニク(甲10の7)と表示され,また,黒色の円形の中に白抜きで「黒」の文字が表されているもの(甲10の6)であるから,これらは,いずれも「黒」の文字が強調されて表されているものということができる。 しかしながら,これらは,本件商標の構成中の黒丸の中に「黒」の漢字を一部掠れたように大きく表した態様とは異なるものであって,他に,該態様が,一般に普通に用いられているものとすべき事情も見あたらない。 そうとすれば,本件商標は,その構成全体をもって,商品の出所識別標識としての機能を果たすものというべきであって,商品の品質(原材料)等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標ということはできないし,また,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標ということもできない。 したがって,本件商標は,商標法第3項第1項第3号及び同項第6号に該当しない。 3 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)本件商標は,別掲1のとおり,上部に「発酵」の文字,中央に黒丸の中に「黒」の漢字を大きく表し,その下部に「ショウガ」の文字を表した構成からなるところ,その構成中の「発酵」,「黒」及び「ショウガ」の各文字は,その指定商品,特に,発酵黒生姜を含有する商品との関係においては,「発酵黒生姜」を「含有する,加味してなる,使用した」商品であること等,すなわち,商品の品質を表すにすぎないものであるから,これらの文字からは,実際の取り引きにおいて出所識別標識としての称呼,観念を生じないものである。 (2)引用商標は,別掲3のとおり,矩形内の円形図形中に「黒」の文字と「KURO」及び「MARU」の欧文字を表し,その右に「黒」の文字と円形とを横書きした態様(引用商標1),「黒丸」の文字と「KUROMARU」の欧文字とを上下2段に横書きした態様(引用商標2),「黒丸(コクマル)」の文字(引用商標3),及び「黒丸」の文字(引用商標4及び5)を表してなり,これらからは,構成各文字に相応した「クロマル」又は「コクマル」の称呼を生じ,「黒色の丸」程の観念を生じるものである。 (3)そこで,本件商標と引用商標の類否について検討するに,本件商標は,別掲1のとおり,上部に「発酵」の文字,中央に黒丸の中に「黒」の漢字を大きく表し,その下部に「ショウガ」の文字を表した構成からなるのに対し,引用商標1が,別掲3のとおり,矩形内の円形図形中に「黒」の文字と「KURO」及び「MARU」の欧文字を表し,その右に「黒」の文字と円形とを横書きした態様,引用商標2が,「黒丸」の文字と「KUROMARU」の欧文字とを上下2段に横書きした態様,引用商標3が,「黒丸(コクマル)」の文字を横書きした態様,及び引用商標4及び5が,「黒丸」の文字を横書きした態様からなるものであるから,その構成文字及び態様において顕著な差異を有し,外観上,容易に区別できるものである。 そして,称呼及び観念においては,本件商標からは,上記(1)のとおり,出所識別標識としての称呼,観念を生じないものであるから,「クロマル」又は「コクマル」の称呼,及び「黒色の丸」程の観念を生じる引用商標とは,称呼上及び観念上,相紛れるおそれはない。 してみれば,本件商標と引用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれにおいても,相紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当である。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。 4 まとめ 以上のとおり,本件商標は,その指定商品中,第1類「発酵黒生姜を含有しない化学品,発酵黒生姜を含有しない工業上用いられる化学品,発酵黒生姜を含有しない化粧品の原料となる化学品,発酵黒生姜を含有しないサプリメントの原料となる化学品,発酵黒生姜を含有しない飲食品の原料となる化学品,発酵黒生姜を含有しない植物からの抽出物または有効成分を原材料としてなる化学品」については,商標第4条第1項第16号に違反してされたものと認められるから,商標法第43条の3第2項の規定により,取り消すべきものである。 しかし,本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品については,取り消すべき理由が認められないから,商標法第43条の3第4項の規定より,その登録を維持すべきである。 よって,結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲1 (本件商標) 別掲2 (本件商標の指定商品) 第1類 化学品,工業上用いられる化学品,化粧品の原料となる化学品,サプリメントの原料となる化学品,飲食品の原料となる化学品,植物からの抽出物または有効成分を原材料としてなる化学品,植物成長調整剤類,肥料,脂肪酸,試験紙,人工甘味料 第5類 発酵黒生姜を含有する薬剤(農薬に当たるものを除く。),発酵黒生姜を含有する動物用薬剤,発酵黒生姜を含有する外皮用薬剤,発酵黒生姜を含有する化のう性疾患用剤,発酵黒生姜を含有する寄生性皮膚疾患用剤,発酵黒生姜を含有する殺菌消毒剤,発酵黒生姜を含有する収れん剤,発酵黒生姜を含有する消炎剤,発酵黒生姜を含有する鎮痛剤,発酵黒生姜を含有する鎮痒剤,発酵黒生姜を含有するてんか粉,発酵黒生姜を含有する皮膚軟化剤,発酵黒生姜を含有する日本薬局方の薬用せっけん,発酵黒生姜を含有する日本薬局方の抗菌石鹸,発酵黒生姜を含有する毛髪用剤,発酵黒生姜を含有する薬用毛髪用剤,発酵黒生姜を含有する育毛剤,発酵黒生姜を含有する薬用育毛剤,発酵黒生姜を含有する養毛剤,発酵黒生姜を含有する薬用養毛剤,発酵黒生姜を含有する発毛剤,発酵黒生姜を含有する薬用発毛剤,発酵黒生姜を含有する発毛促進剤,発酵黒生姜を含有する薬用ベビーオイル,発酵黒生姜を含有する薬用ベビーパウダー,発酵黒生姜を含有する浴剤,発酵黒生姜を含有する虫歯予防剤,発酵黒生姜を含有するビタミン剤,発酵黒生姜を含有するアミノ酸剤,発酵黒生姜を含有する滋養強壮変質剤,発酵黒生姜を含有するカルシウム剤,発酵黒生姜を含有する生薬,発酵黒生姜を含有する食品強化剤,発酵黒生姜を含有する医療用食品添加剤,発酵黒生姜を含有する食餌療法用の食品調製剤,発酵黒生姜を含有する医療用栄養添加剤,発酵黒生姜を主原料とする栄養補助食品,発酵黒生姜を含有する栄養補給剤,発酵黒生姜を含有する栄養補強剤,発酵黒生姜を含有する栄養補給用ドリンク剤,発酵黒生姜を主原料とするサプリメント,発酵黒生姜を主原料とする食餌療法用飲料,発酵黒生姜を主原料とする食事療法用食品,発酵黒生姜を主原料とする乳児用飲料,発酵黒生姜を主原料とする乳児用食品,発酵黒生姜を主原料とする乳児用粉乳,発酵黒生姜を主原料とする栄養補助用飼料添加物(薬剤に属するものを除く。) 第29類 発酵黒生姜を加味してなるカレー・シチュー又はスープのもと,発酵黒生姜を加味してなる即席カレー,発酵黒生姜を加味してなる即席シチュー,発酵黒生姜を加味してなる即席スープ,発酵黒生姜を加味してなる即席みそ汁,発酵黒生姜を加味してなる野菜スープのもと,発酵黒生姜,発酵黒生姜を加味してなる調理用野菜ジュース,発酵黒生姜を加味してなる調理用野菜ジュースのもと,発酵黒生姜を加味してなる調理用青汁,発酵黒生姜を加味してなる調理用青汁のもと,発酵黒生姜を加味してなるお茶漬けのり,発酵黒生姜を加味してなるふりかけ,発酵黒生姜を加味してなる食用タンパク,発酵黒生姜を加味してなる食用油脂 第30類 発酵黒生姜を使用した茶,発酵黒生姜を使用した烏龍茶,発酵黒生姜を使用した果実茶,発酵黒生姜を使用した紅茶,発酵黒生姜を使用した穀物茶,発酵黒生姜を使用した昆布茶,発酵黒生姜を使用した煎茶,発酵黒生姜を使用した即席茶,発酵黒生姜を使用した濃縮茶,発酵黒生姜を使用した番茶,発酵黒生姜を使用した粉末茶,発酵黒生姜を使用した麦茶,発酵黒生姜を使用した薬草茶,発酵黒生姜を使用した緑茶,発酵黒生姜を使用したほうじ茶,発酵黒生姜を使用したアイスティー,発酵黒生姜を使用したティーバッグ入りの茶,発酵黒生姜を使用したハーブティー,発酵黒生姜を使用したブレンド茶,植物・植物エキス又は植物発酵エキスと発酵黒生姜を含有する茶,発酵黒生姜を使用した茶飲料,発酵黒生姜を使用した茶エキス,発酵黒生姜を使用した茶の浸出液(医療用のものを除く。),発酵黒生姜を使用したコーヒー,発酵黒生姜を使用したココア,発酵黒生姜を加味してなる菓子,発酵黒生姜を含有するパン,発酵黒生姜を含有するサンドイッチ,発酵黒生姜を含有する中華まんじゅう,発酵黒生姜を含有するハンバーガー,発酵黒生姜を含有するピザ,発酵黒生姜を含有するホットドッグ,発酵黒生姜を含有するミートパイ,発酵黒生姜を含有するアイスクリームのもと,発酵黒生姜を含有するシャーベットのもと,発酵黒生姜を含有する穀物の加工品,発酵黒生姜を加味してなる即席菓子のもと,発酵黒生姜を含有するパスタソース 第32類 発酵黒生姜を使用した清涼飲料,発酵黒生姜を使用した清涼飲料のもと,発酵黒生姜を使用したビール風味の清涼飲料,発酵黒生姜を使用した果実飲料,発酵黒生姜を使用した果実飲料のもと,発酵黒生姜を使用した飲料用野菜ジュース,発酵黒生姜を使用した飲料用野菜ジュースのもと,発酵黒生姜を使用した飲料用青汁,発酵黒生姜を使用した飲料用青汁のもと,発酵黒生姜を使用した炭酸飲料,発酵黒生姜を使用したコーヒーシロップ,発酵黒生姜を使用したトマトジュース,発酵黒生姜を使用したシャーベット水,発酵黒生姜を使用したシロップ,発酵黒生姜を含有する飲料水,発酵黒生姜を含有するビール製造用ホップエキス,発酵黒生姜を含有する麦芽汁,発酵黒生姜を含有するビール製造用麦芽汁,発酵黒生姜を含有する乳清飲料,発酵黒生姜を含有する乳清飲料のもと,発酵黒生姜を含有し、アルコール分を含まない飲料,発酵黒生姜を使用したリキュール製造用調製品,発酵黒生姜を使用した飲料製造用調整品 別掲3 (登録第5157052号商標) |
異議決定日 | 2015-10-30 |
出願番号 | 商願2014-23065(T2014-23065) |
審決分類 |
T
1
651・
272-
ZC
(W0105293032)
T 1 651・ 16- ZC (W0105293032) T 1 651・ 13- ZC (W0105293032) T 1 651・ 263- ZC (W0105293032) T 1 651・ 261- ZC (W0105293032) T 1 651・ 262- ZC (W0105293032) |
最終処分 | 一部取消 |
前審関与審査官 | 海老名 友子 |
特許庁審判長 |
林 栄二 |
特許庁審判官 |
平澤 芳行 田中 亨子 |
登録日 | 2015-01-09 |
登録番号 | 商標登録第5732241号(T5732241) |
権利者 | 株式会社東洋新薬 |
商標の称呼 | ハッコーショウガクロマル、ハッコーショーガ、ハッコークロマルショウガ、ハッコー、クロマルショーガ、クロマル、クロ |
代理人 | 森 博 |
代理人 | 加藤 久 |
代理人 | 田代 茂夫 |
代理人 | 久保山 隆 |
代理人 | 南瀬 透 |
代理人 | 遠坂 啓太 |