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審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2014900357 審決 商標
異議2015900164 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W353943
管理番号 1309805 
異議申立番号 異議2015-900005 
総通号数 194 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2016-02-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-01-08 
確定日 2015-12-07 
異議申立件数
事件の表示 登録第5708913号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5708913号商標の商標登録を取り消す。
理由 第1 本件商標
本件登録第5708913号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおりの構成からなり,平成26年6月5日に登録出願,第35類「インターネットによる広告,その他の広告業,トレーディングスタンプの発行,商品の販売促進又は役務の提供促進のための顧客優待計画の企画・運営及び管理,商品の販売促進又は役務の提供促進のためのクーポン若しくはポイントの発行・管理・清算,商品の販売促進又は役務の提供促進のための懸賞・プレゼントの実施に関する情報の提供,商品の販売促進又は役務の提供促進のための企画又は実行の代理,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,アンケート調査に関する情報の提供,価格比較の調査及びこれに関する情報の提供,消費者の評価情報の整理及びこれに関する情報の提供,消費者への商品販売又は役務提供に関する情報の提供,事業の管理・評価,インターネットによりデータベースを利用させる事業の管理又は運営,インターネットウェブサイトにおけるショッピングモールの事業の運営・管理,インターネットウェブサイトにおけるショッピングモールを介した商品の販売に関する契約の媒介又は取り次ぎ,輸出入に関する事務の代理又は代行,通信販売事務の代理・代行又は取り次ぎ,コンピュータデータベースへの情報構築及び情報編集」,第39類「鉄道による輸送に関する情報の提供,車両による輸送に関する情報の提供,船舶による輸送に関する情報の提供,航空機による輸送に関する情報の提供,航空機の運行ダイヤ・運賃・座席予約情報の提供,自動車の貸与に関する情報の提供,レンタカー・ハイヤーの料金・予約情報の提供,旅行に関する助言及び情報の提供」及び第43類「宿泊施設の提供に関する情報の提供,宿泊施設の宿泊料金に関する情報の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎに関する情報の提供,宿泊施設の予約に関する情報の提供,飲食物の提供に関する情報の提供,レストラン等の飲食店の予約情報の提供,レストラン等の飲食店の予約の取次ぎ,動物の宿泊施設の提供に関する情報の提供」を指定役務として同年9月26日に登録査定,同年10月10日に設定登録されたものである。

第2 登録異議申立の理由(要旨)
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,登録異議の申立ての理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第56号証(枝番を含む。)を提出している。
1 商標法第4条第1項第11号について
本件商標は,申立人の所有に係る引用商標と同一又は類似であって,その指定商品又は指定役務と同一又は類似の商品又は役務について使用される商標である。
2 商標法第4条第1項第15号について
本件商標は,申立人が価格比較サイト「価格.com」の名称として使用し,広く一般に知られている引用商標と類似し,又は,引用商標を構成する「価格.com」の文字を構成中に含むので,申立人の著名商標を想起若しくは連想させるものである。また,本件商標の指定役務と引用各商標の指定役務とは,互いに同一・類似であるか,または,非常に高い関連性を有しているので,本件商標がその指定役務に使用された場合,恰も申立人若しくは申立人と何等かの関係がある者の業務に係る役務であるかの如く,役務の出所について混同を生ずるおそれがある。
3 商標法第4条第1項第19号について
本件商標は,申立人が価格比較サイト「価格.com」の名称として使用し,広く一般に知られている引用商標と類似し,著名商標にフリーライドするものであって,著名商標の出所表示機能を希釈化させ,且つ,著名商標の名声を毀損するおそれがあるので,不正の目的をもって使用するものである。
4 むすび
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号,同第15号及び同第19号に該当するものであるから,同第43条の2第1号の規定により取り消されるべきものである。

第3 本件商標に対する取消理由
商標権者に対して,平成27年7月2日付けで通知した本件商標の取消理由(要旨)は,次のとおりである。
1 引用商標
申立人が引用する登録商標は,以下の(1)及び(2)のとおりであり,いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第5481172号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:価格.com (標準文字)
登録出願日:平成23年9月16日
設定登録日:平成24年3月23日
指定商品及び指定役務:第9類,第35類,第36類,第37類,第38類,第39類,第41類,第42類,第43類及び第45類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務 (別掲3)
(2)登録第5481173号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:別掲2
登録出願日:平成23年9月16日
設定登録日:平成24年3月23日
指定商品及び指定役務:第9類,第35類,第36類,第37類,第38類,第39類,第41類,第42類,第43類及び第45類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務(別掲3)
なお,引用各商標を引用商標1などといい,引用各商標を総称するときは「引用商標」という。
2 引用商標の周知性について
(1)申立人の提出に係る証拠によれば,引用商標に関して,以下の事実が認められる。
ア 雑誌,新聞及びインターネットにおける記事掲載
(ア)平成16年3月1日日経BP社発行の雑誌「日経アドバンテージ」には,「パソコンなどの販売店価格が一覧できる便利サイト『価格・com』。1997年に誕生して以来,ネットユーザーの熱い支持を集めてきた。・・・こだわりがなければ,多くの人は『同じようなモノならできるだけ安く買いたい』と思うだろう。『楽をして一番安く買い物できるお店を調べたい』。この願望を叶えてくれる情報サービスを行っているのが,2003年10月に東証マザーズに上場を果たしたカカクコムの情報サービス『価格・com(http://kakaku.com/)』だ(以下,会社名をカカクコム,サイト名を価格・comと示す。)サイトにアクセスし,パソコンや携帯電話の機種名を選ぶだけで,瞬時に一番安く販売しているネット店舗を検索できる。2003年末には月間で約1億600万ページビュー,年間で約350万人(ユニーク・ユーザー)が利用している。」と掲載されている(甲47)。
(イ)平成16年11月30日アスキー発行の一般雑誌「週刊アスキー」には,「人気サイトのつくりかた 第5回 価格.com/元営業マンが販売店まわりの日々から得たひらめきから『価格.com』は生まれた /今年で創業8年目を迎え,価格比較サイトのなかでも老舗といえば『価格.com』"PC"や"家電"といった定番カテゴリーに加え現在では"スポーツ","保険","葬儀"など17ジャンルにおよぶ商品やサービスの価格情報をカバーする。取扱い品目は10万点,月間ユーザーは587万人にまで達し,国内最大手の価格比較サイトに成長している。」と掲載されている(甲46)。
(ウ)平成20年12月1日毎日新聞社発行の投資情報誌「投資の達人」には,「兜町記者 和島英樹の注目企業 インターネットサイト運営会社 カカクコム/価格比較サイト『価格.com』を軸に展開するインターネット関連企業。創業当初はパソコン関連の価格比較からスタートしたが,その後徐々に品目を増やし,総合的な価格比較サイトでは図抜けたトップ企業となっている。2番手はユーザー数で数分の1程度という。」と掲載されている(甲25)。
(エ)平成23年1月31日付け日本経済新聞社発行の消費と流通,マーケティング情報に特化した専門紙「日経MJ」には,「価格比較サイト『価格.com』を運営するカカクコムが高度成長を続けている。家電だけでなく豊富な商品情報を取り込み,多彩な利用者の口コミを掲載することで集客力高めた成果だ。」「価格.comだけで昨年12月の月間利用者(ブラウザー数で計測)は携帯電話からのアクセスを含め3600万人。2年間で2倍以上です。」などと掲載されている(甲23)。
(オ)平成25年10月23日付けの「日経MJ」には,「特定層にしっかり浸透 クックパッド女性の32% 価格.com,男性の19%」の見出しの下「検索系の時間消費型サービスの利用頻度を尋ねたところ,特定層に抜群の浸透率を誇るものがあった。・・・価格比較サイトの最大手,価格.comは76%に利用経験がある。パソコンや家電が主力分野であるのは変わらず,男性は1週間に1回以上のヘビーユーザーが19%いた。女性はヘビーユーザー比率は9%と劣るが,利用経験者の比率は男性と並んで76%,30?50代では83%前後に達する。価格.comはファッションや保険を含め30分野にまで対象を広げており,間口が広がっている。」と掲載されている(甲12)。
(カ)平成26年2月28日付け「日経電子版」には,「口コミで確認,賢く選ぶ 鎌田剛・カカクコム上席執行役員 近づく試練(2)インタビュー」の見出しの下,「2000年に誕生した価格比較サイト『価格.com』は家電などの相場や口コミを簡単に把握できる手段としてすっかり定着し,『賢い消費者』の強い武器となった。」と掲載されている(甲20)。
(キ)上記以外にも,申立人の価格比較サイトを表す標章として「価格.com」が次のとおり各種媒体の記事において紹介されている。
平成16年12月27日発行の月刊誌「商業界2005年2月号」(甲27),平成17年3月9日翔泳社発行のプロジェクト・マネジメント雑誌「PM magazine」(甲45),平成20年7月3日発行「株式新聞」(甲26),平成20年8月19日「株式新聞」(甲43),平成21年1月28日発行の流通総合専門誌 「ストアーズレポート」(甲39),平成21年2月21日発行の雑誌「フィナンシャルジャパン」(引用商標2を表示)(甲38),平成21年4月10日発行の総合ビジネス金融紙「フジサンケイビジネスアイ」(甲41),平成21年6月10日発行の雑誌「クロワッサン」(甲42),平成21年6月22日発行の月刊誌「BOSS」(甲24),平成22年1月30日発行の雑誌「MoneyZine(マネージン)」(引用商標2を表示)(甲36),平成22年2月21日発行の「日経ヴェリクス」(甲18),平成22年7月20日付け「日本経済新聞」(甲37),平成23年1月20日付け「日刊ゲンダイ」(甲35),平成23年5月18日付け「日経MJ」(甲32),平成23年6月7日の日本テレビニュースサイト「日テレNEWS24」(甲31),平成23年6月24日付け「日経MJ」(甲30),平成23年7月11日発行の雑誌「プレジデント」(甲17),平成23年7月20日付け「日本経済新聞」(甲16),平成23年9月6日付け「朝日新聞」(甲22),平成24年6月13日「日本経済新聞」(甲33),平成24年6月26日付け「読売新聞」(甲15),平成24年7月20日付け「朝日新聞(甲29),平成24年8月24日付け「朝日新聞」(甲34),平成24年11月29日付け「日本経済新聞」(甲14),平成24年12月19日付け「日本経済新聞」(甲13),平成25年3月1日付け「日経MJ」(甲21)
(ク)平成26年6月27日,日経BPコンサルティングは,ウェブサイトに掲載したニュースリリースにおいて,「Webブランド調査2014-春夏」の結果をまとめ,同日調査結果報告書を発行・発売した旨公表した。そして,調査対象500サイト全体のランキングは,第1位 Yahoo! JAPAN,第2位 楽天市場,第3位 Amazon/co.jp,第4位 Googleであり,第5位が「価格.com」であったと掲載されている。(甲10)
なお,「Webブランド調査」とは,企業や団体が運営する日本の主要500サイトについて,「アクセス頻度」,「サイト・ユーザビリティ(Webサイトの使いやすさ)」,「コンバージョン(会員登録や商品購入などサイト内で実際に行われた行動)」,「サイト・ロイヤルティ(Webサイトへの意識ヤリピート意向)」,「態度変容(サイト運営者のイメージや購入意向への影響)」,「波及効果(Webサイト以外での行動誘発)」の6つの要素をインターネットユーザーが評価,。半年ごとに実施し,回答者は毎回3万人以上。今回の調査期間は2014年4月9日?22日,有効回答数は36,330サンプル,との説明が掲載されている。
イ 引用商標の広告宣伝について
申立人は,「価格.com」の標章について,次のとおり広告宣伝を行っている。
(ア)ヤクルト球団と2006年度におけるスポンサー契約をし,選手ヘルメットに「価格.com」の標章を掲出した(甲48)。
(イ)平成18年8月2日から8日にサッカーの「A3チャンピオンズカップ2006」が開催された国立競技場において「価格.com」の標章を掲出した(甲50)。
(ウ)平成19年8月16日に開催された「2007神宮外苑花火大会」の会場において「価格.com」の標章を掲出した(甲51)。
(エ)平成18年5月19日付け「日刊ゲンダイ」,同19年9月14日付け「日刊スポーツ」(甲52)及び同年同月6日付け「日刊スポーツ」(甲53)に「価格.com」の標章を掲載した。
(オ)平成18年5月8日発行の雑誌「亀田興毅闘拳まつり」,同19年8月10日発行の雑誌「サッカー・アイ2007年8月号」,同年同月22日発行の雑誌「日刊スポーツグラフ 思い出甲子園」,同年9月10日発行の雑誌「プロ野球アイ2007年9月号」,同年同月14日発行の雑誌「サッカー・アイ増刊 GO AHEAD URAWA REDS」,同18年9月18日及び同年10月2日18年5月8日発行の雑誌「週刊ベースボール」,同19年9月25日発行の雑誌「日刊スポーツグラフ Forza!川崎フロンターレ2007」,同年10月10日発行の雑誌「日刊スポーツグラフ 輝け甲子園の星」,同日発行の雑誌「カレッジペースヒーローズ」,同日発行の雑誌「サマーヒーローズ07」,同年10月10日発行の雑誌「サッカー・アイ2007年10月号」及び同年11月6日発行の雑誌「日刊スポーツグラフ プロ野球100人 ドラフトの軌跡と実像」には,いずれも「価格.com」の標章を掲載した広告がされている。
(カ)電話申込受付期間を2010年11月27日及び28日とする「プロバイダ」「家電」「パソコン」関連の広告チラシ及び申込受付期間を2010年12月25日?31日とする「プロバイダ」「ゲーム」関連の広告チラシに「価格.com」(引用商標2)の標章が掲載されている(甲54)。ただし,これらチラシについては配布地域,配布部数,配布方法は不明である。
(キ)平成23年8月16日Yahoo!検索の「価格」の検索結果には,引用商標1及び2の標章が掲載されたサイトが含まれている(甲55)。
ウ 「価格.com」サイトへのアクセス状況
平成26年1月7日付け申立人作成の「平成25年12月度運営サイトアクセス状況のご報告」と題する書面によれば,平成25年12月度「価格.com」の月間利用者数は4,568万人であり,その内訳はPC2,990万人,スマートフォン1,510万人,フィチャーフォン68万人であり,総ページビューは10億3,292万であると報告されている(甲11)。
(2)上記(1)によれば,申立人は,平成9年(1997年)4月に価格情報を提供する事業を開始し,「\CORE PRICE\」の名称でサイトを開設し,その後平成12年3月にサイト名称を「価格.com」に変更し,その使用を開始した。パソコンや携帯電話の機種名を選ぶだけで,瞬時に一番安く販売しているネット店舗を検索できる利便性が需要者に受け入れられ,平成15年末には月間で約1億600万ページビュー,年間で約350万人となっていた。平成16年11月ころには,価格比較サイトのなかでも老舗といえば「価格.com」で,取扱い分野もPC,家電に加え,スポーツ,保険,葬儀など17ジャンルにおよぶ商品やサービスの価格情報をカバーし,取扱い品目は10万点,月間ユーザーは587万人にまで達し,国内最大手の価格比較サイトに成長している。
申立人の価格比較サイトの名称「価格.com」は,商品及びサービスの価格情報の提供についてその出所を表示する商標としての機能を果たしているものであり,各種媒体において記事として継続的に多数紹介され続けている。申立人も,雑誌,新聞への広告はもとより,野球選手のヘルメット,サッカーの競技大会や花火大会などにおける看板などにも「価格.com」の広告しており,更にチラシを利用した広告宣伝も行っている。
平成25年10月ころには,価格比較サイト「価格.com」は,ファッションや保険を含め30分野にまで対象を広げており,その利用経験は男性及び女性のいずれも76%があると回答しており,家電などの相場や口コミを簡単に把握できる手段としてすっかり定着してきたといえる。平成25年12月度「価格.com」の月間利用者数は,4,568万人であり,総ページビューは10億3,292万までに拡大している。
平成26年6月27日,日経BPコンサルティングが平成26年4月9日から22日に企業や団体が運営する日本の主要500サイトについて行った「Webブランド調査」によれば,「価格.com」の全体のランキングは,第1位 Yahoo! JAPAN,第2位 楽天市場,第3位 Amazon/co.jp,第4位 Googleに続く第5位であった。
してみれば,これらを総合考慮すれば,引用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時には,商品又は役務の価格情報の提供について一般の取引者,需要者に申立人の使用する商標として広く知られていたと認められる。
3 本件商標の商標法第4条第1項第11号の該当性について
(1)商標の類否
本件商標は,別掲1のとおり,水色で飛行機を想起,連想させる抽象化された図形を表し,その右側に同じく水色で「ホテル価格.com」の文字を横書きした図形と文字の結合商標よりなるものである。そして,図形部分と文字部分とが常に一体のものとして把握しなければならない事情は認められない。
これに対して,引用商標1は「価格.com」の文字を標準文字で表してなり,また引用商標2は別掲2のとおりの構成からなり,いずれも「価格.com」の文字を含むものであるところ,同文字は,上記3(2)のとおり申立人の使用する著名な商標と認められるものであって,かつ,その構成文字によれば造語と認められるものであるから,引用商標は,その構成文字に相応して「カカクドットコム」の称呼を生じ,「申立人の使用する著名なブランド」の観念を生じるものである。
そこで,本件商標と引用商標を比較してみるに,外観においては,本件商標の文字部分が片仮名「ホテル」,漢字「価格」及び欧文字「.com」と異なる文字を結合したものであるが,これらを常に一体不可分のものとして把握しなければならない事情はなく,引用商標の「価格.com」が著名なことに加え,本件商標構成文字の種類が異なることによりその構成中には著名な引用商標の「価格.com」の文字を有することが認識されやすく,看者の注目を惹く要部となるものであるから,両商標は,外観上類似の商標である。
そして,称呼においては,本件商標の要部となる「価格.com」から生ずる称呼「カカクドットコム」と引用商標から生ずる「カカクドットコム」とは,その称呼を共通にするものであるから,称呼上類似の商標である。
また,観念においては,本件商標の要部となる「価格.com」から生ずる「申立人の使用する著名なブランド」の観念と引用商標から生ずる「申立人の使用する著名なブランド」の観念は,その観念を共通にするものであるから,観念上類似の商標である。
そうすると,本件商標は,引用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれの点においても類似するものであるから,両商標は,類似の商標というべきものである。
(2)指定役務の類否
本件商標に係る指定役務と引用商標に係る指定役務とは,第35類「輸出入に関する事務の代理又は代行」を除き,同一又は類似するものである。
(3)小括
したがって,本件商標は,その指定役務中,第35類「輸出入に関する事務の代理又は代行」を除き,そのほかの全指定役務について,商標法第4条第1項第11号に該当する。
4 本件商標の商標法第4条第1項第15号の該当性について
(1)本件商標と引用商標の類似性について
本件商標と引用商標は,上記4のとおり,外観,称呼及び観念のいずれの点においても類似するものであるから,両者の類似性は極めて高いというべきものである。
(2)引用商標の周知著名性及び独創性の程度について
引用商標は,著名性を有するものであって,かつ,その構成文字全体から造語と認められるものであり独創性を有するものである。
(3)引用商標は,ホテルの宿泊料金情報を提供するサービスなどを含む広い範囲の商品又は役務の価格情報の提供について使用されており,引用商標に係る役務と本件商標の指定役務とは,その目的や用途を共通にするばかりでなく,取引者及び需要者を共通にする場合が多いといえるものである。
(4)小括
以上を総合すると,本件商標は,その構成中に申立人の使用する商標として著名な「価格.com」の文字を有するものであるから,著名な引用商標と類似の程度は極めて高く,また,引用商標の使用に係る役務と本件指定役務の取引者及び需要者は共通する場合が多いといえるから,商標権者が本件商標を指定役務について使用するときは,取引者,需要者において,その役務が申立人あるいは申立人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように役務の出所について混同を生じさせるおそれがある。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。
5 結論
以上のとおり,本件商標の登録は,その指定役務中,第35類「輸出入に関する事務の代理又は代行」を除く全指定役務について商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであり,又は全指定役務について商標法第4条第1項第15号に違反してされたものである。

第4 商標権者の意見の要旨
上記第3の取消理由に対し,本件商標権者は,要旨以下のように意見を述べている。
1 引用商標が「役務の価格情報の提供」について,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,一般の取引者,需要者に申立人の使用する商標として広く知られていた事実はない。
申立人の提出した甲第21号証(平成25年3月1日「日経MJ」掲載記事)には,申立人の代表者である田中社長がインタビューに答えて「価格.comは現状でもまだパソコンやカメラなどの情報が中心。今後は衣料品や食品のほか保険やサービス分野の情報も拡充させていく。」と発言したこととともに,「次の段階に進むため,同社は不動産情報サイト『スマイティ』や旅行時報サイト『フォートラベル』に注力,物件情報の拡充やSNS(交流サイト)の活用で利用者の取り込みを急ぐ。」との記者のコメントが掲載されている。
また,甲第8号証(申立人ウェブサイト掲載「企業沿革」)には,次の記載がある。
2004年10月 ホテル・旅館の直前割引サイト「yoyaQ.com」がグループに加わる。
2005年1月 フォートラベル株式会社がグループに加わる。
2005年3月 ランキングとクチコミのグルメサイト「食ベログ」を開設。
2008年9月 不動産住宅情報サイト「スマイティ」を開設。
さらに,甲第25号証には,「旅行の口コミサイト『フォートラベル』,高級ホテル・旅館予約サイト『yoyaQ.com』なども堅調。」とあり,甲第41号証にも「05年に旅行商品を取り扱う『フォートラベル』,07年に映画情報サイトを運営する『エイガ・ドット・コム』を買収した。自前では05年に,レストランのクチコミサイト『食ベログ』を開設している。」と記載されている。
即ち,「価格.com」は主として商品の価格情報を提供する価格比較サイトであって,旅行,宿泊施設の予約,レストランや不動産に関する情報を取り扱うサイトについては別の商標が使用されているのである。
なお,甲第11号証(申立人ウェブサイト掲載記事「平成25年12月度運営サイトアクセス状況のご報告」)によれば,「フォートラベル」サイトはフォートラベル株式会社の運営に係るものである。また,同社は登録商標「フォートラベル」他の商標権者である。
引用商標が「役務の価格情報の提供」全般について,申立人の使用する商標として本件商標の出願・登録時に広く知られていた事実はない。
2 本件商標は,引用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれの点においても類似するものではなく,過去の登録例をみても,例えば次のとおり「○○価格.com」の形の商標が,引用商標とは非類似の商標と認められた結果,第35類又は第43類で商標登録を受けている事実がある(出願日は合議体が記載)。
(1)健康価格.com\KENKO KAKAKU.com 登録第5210524号(平成20年1月10日出願)
(2)まごころ価格.com 登録第5311931号(平成21年9月15日出願)
(3)おうち価格 登録第5503138号(平成23年12月30日出願)
(4)夜遊び価格.com 登録第5455640号(平成23年5月25日出願)
また,本件商標の指定役務中,第35類の「輸出入に関する事務の代理又は代行」を除く全ての指定役務が引用商標の指定役務に類似することについての具体的な理由が示されていない。
3 引用商標は少なくとも「役務の価格情報の提供」について著名性を有するものではないし,かつ,「価格情報の提供」との関係においては役務の種類,内容を容易に想起させる「価格」の語とドメインの属性を表す「.com」の文字からなる引用商標が,独創性を有する造語と評価されるべきではない。
引用商標は,上述のとおり,主として商品の価格比較情報を提供するサイトの商標として使用されているものであり,「役務の価格情報の提供」について著名性を有するものではない。
また,「価格」の語とドメインの属性を表す「.com」の文字からなる引用商標「価格.com」は,当該「価格情報の提供」との関係においては「価格情報を提供するサイト」といった意味合いを直感させるため,使用対象役務の種類,内容を容易に想起させるにすぎないものとみるべきで,独創性の程度は到底高いとは言えない。
4 引用商標は,「ホテルの宿泊料金情報を提供するサービス」について使用されていないし,「役務の価格情報の提供」について広く使用されている事実もない。従って,引用商標に係る役務と本件商標の指定役務とが,「その目的や用途を共通にするばかりでなく,取引者及び需要者を共通にする場合が多いといえる」との事実認定は誤りである。
本件商標の取引者は,主として海外ホテル宿泊予約サイトの運営者であり,需要者は海外ホテルの宿泊予約を希望する個人旅行者であるところ,インターネットを利用して直接海外のホテルの宿泊予約をする個人旅行者は,いわゆるトラベル系サイトにアクセスして慎重に宿泊料金等の比較をしつつ予約手続を行うのが通常と思われる。
かかる取引の実情に鑑みれば,本件商標と引用商標との間に使用対象役務間の性質,用途又は目的における関連性は全くなく,取引者,需要者も共通するとは言えないし,仮に需要者が共通する場合があるとしても,取引の際に普通に払われる注意力を基準として総合的に判断すれば,本件商標と引用商標とを混同するおそれはないものと思料する。
従って,商標権者が本件商標を指定役務について使用しても,何ら取引者,需要者において,その役務が申立人あるいは申立人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように役務の出所について混同を生じさせるおそれはない。
5 結論
以上の理由により,商標権者は本件商標が商標法第4条第1項第11号及び同第15号のいずれの規定にも該当せず,本件商標登録は全指定役務について維持されるべきものである。

第5 当審の判断
1 本件商標の取消理由は,前記第3のとおりであり,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当し,その登録を取り消すべきであるとした認定,判断は,妥当なものである。
2 本件商標権者の意見について
(1)引用商標の周知性について
本件商標権者は,平成20年から同23年の出願である過去の登録例及び申立人が提出した証拠である甲第21号証(平成25年),甲第25号証(平成20年),甲第41号証(平成21年)及び甲第11号証(平成25年)などをあげて,引用商標が「役務の価格情報の提供」について,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,一般の取引者,需要者に申立人の使用する商標として広く知られていた事実はない旨主張する。
しかしながら,引用商標は,前記第3の2(1)ア(オ)で示す平成25年10月23日付けの「日経MJ」には,「価格.comはファッションや保険を含め30分野にまで対象を広げており,間口が広がっている。」と掲載されており(甲12),同(カ)で示す平成26年2月28日付け「日経電子版」には,「2000年に誕生した価格比較サイト『価格.com』は家電などの相場や口コミを簡単に把握できる手段としてすっかり定着し,『賢い消費者』の強い武器となった。」と掲載されている(甲20)ことやその他の申立人の提出にかかる証拠を総合考慮すれば,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,商品又は役務の価格情報の提供について一般の取引者,需要者に申立人の使用する商標として広く知られていたと認められるものである。
(2)商標の類否について
本件商標権者は,上記第4の2のとおり,本件商標は,引用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれの点においても,取引の実情を参酌しても,互いに相紛れるおそれのない非類似商標である旨主張する。
しかしながら,本件商標は,文字部分が片仮名,漢字,ローマ字とその構成文字の種類を異にし,その登録出願時及び登録査定時において,商品又は役務の価格情報の提供について一般の取引者,需要者に申立人の使用する商標として広く知られていた引用商標「価格.com」の文字を含むものであって,本件商標に接する取引者,需要者にあっては,当該「価格.com」の文字を有することが認識されやすく,看者の注目を惹く要部となるものであるから,これを比較したときには,外観,称呼,観念いずれの点においても類似する商標といえるものである。
(3)出所の混同について
本件商標権者は,上記第4の2及び3のとおり,「引用商標が少なくとも『役務の価格情報の提供』について著名性を有するものではなく,広く使用されている事実もないことから,商標権者が本件商標を指定役務について使用しても,何ら取引者,需要者において,その役務が申立人あるいは申立人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように役務の出所について混同を生じさせるおそれはない。」及び「申立人の引用商標『価格.com』は主として商品の価格情報を提供する価格比較サイトであって,旅行,宿泊施設の予約,レストランや不動産に関する情報を取り扱うサイトについては別の商標が使用されており,かつ,本件商標権者は,主として海外ホテル宿泊予約サイトの運営者であり,需要者は海外ホテルの宿泊予約を希望する個人旅行者であるところ,インターネットを利用して直接海外のホテルの宿泊予約をする個人旅行者は,いわゆるトラベル系サイトにアクセスして慎重に宿泊料金等の比較をしつつ予約手続を行うのが通常であり,本件商標権者が本件商標を指定役務について使用しても,何ら取引者,需要者において,その役務が申立人あるいは申立人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように役務の出所について混同を生じさせるおそれはない。」旨主張する。
しかしながら,ホテルの宿泊予約サービスの利用者は,老若男女を含む一般消費者であって,その注意力の程度は決して高くはないものである。
そして,インターネットによって,「価格.com」のウェブサイトを利用している一般の消費者は,およそ月間4,500万人(甲11)と非常に多数であることが伺えるものであって,同じくインターネットによって,本件商標権者のサービスを利用する者も個人であって,一般の消費者といえるものであるから,需要者層は一致している。
また,申立人が,「ホテルの宿泊に関する情報の提供」の役務に引用商標を直接使用していないとしても,自己の業務として旅行のクチコミサイトもグループ内にあり,「ホテルの宿泊に関する情報の提供」の役務を提供している。
そして,本件商標中には,商品又は役務の価格情報の提供について,一般の取引者,需要者に申立人の使用する商標として広く知られていた引用商標の「価格.com」の文字と同一にするものが含まれるものである。
してみれば,本件商標権者が本件商標を指定役務について使用するときには,取引者,需要者において,本件商標からは,引用商標を想起,連想するものであって,その役務が申立人あるいは申立人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように役務の出所について混同を生じさせるおそれがあるというのが相当である。
3 まとめ
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから,他の申立の理由について判断するまでもなく,同法第43条の3第2項により,その登録を取り消すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。



別掲1 本件商標(色彩については原本参照。)


別掲2 引用商標2(色彩については原本参照。)


別掲3 引用商標1及び引用商標2の指定商品及び指定役務
第35類「商品の販売に関する情報の提供,市場調査,広告,ウェブサイト上の広告スペースの貸与,商品の販売促進・役務の提供の促進の企画・実行の代理,コンピュータによるファイルの管理(電子計算機データベースに蓄積された電子データの管理を含む。),電子計算機を用いて行う情報検索事務の代行,コンピュータデータベースへの情報編集及び情報構築,電子商取引における広告及び広告スペースの貸与に関する事業契約の媒介,商品販売統計分析結果の情報の提供,インターネットによる商品の売買契約の媒介及びこれに関する情報の提供,ホテルの事業の管理に関する情報の提供,消費者のための商品購入に関する助言と情報の提供,消費者動向分析に関する統計的情報の提供,消費者の購買意識に関する調査結果の分析に基づく商品の販売促進及び宣伝広告の企画,経済動向に関する調査及び分析又はこれらに関する情報の提供,経済又は経済の予測に関する情報の提供,ネットワークによるアンケート調査及びこれに関する情報の提供又は指導・助言,顧客管理に関する情報の提供又は指導・助言,財務書類の作成及びこれに関する情報の提供,アンケート調査及びその結果の分析又は評価及びこれらに関する情報の提供,企業間商取引における商品の売買契約の仲介に関する情報の提供,電子商取引に係る事業の管理・運営,電子商取引に係る事業経営に関するコンサルティング,電子商取引に係る事業の管理・運営に関するコンサルティング,求人情報の提供,職業の紹介に関する情報の提供,就職・転職の相談,市場調査の仲介に関する情報の提供」,
第39類「主催旅行の実施に関する情報の提供,旅行者の案内に関する情報の提供,旅行に関する契約(宿泊に関するものを除く。)の代理・媒介又は取次ぎ,旅行に関する契約(宿泊に関するものを除く。)の代理・媒介又は取次ぎに関する情報の提供,旅行に関する情報の提供,自動車の貸与の契約の媒介又は取次ぎ,自動車の貸与に関する情報の提供,輸送情報の提供,引越の代行に関する情報の提供」及び
第43類「宿泊施設の提供に関する情報の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎに関する情報の提供,動物の宿泊施設の提供に関する情報の提供,飲食物の提供に関する情報の提供,飲食物の提供の契約の仲介に関する情報の提供,会議室の貸与の仲介に関する情報の提供」のほか,
第9類に属する商標登録原簿記載の商品並びに第36類,第37類,第38類,第41類,第42類及び第45類に属する商標登録原簿記載の役務
異議決定日 2015-10-27 
出願番号 商願2014-45906(T2014-45906) 
審決分類 T 1 651・ 271- Z (W353943)
最終処分 取消 
前審関与審査官 真鍋 伸行 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 榎本 政実
金子 尚人
登録日 2014-10-10 
登録番号 商標登録第5708913号(T5708913) 
権利者 株式会社ネットスタイル
商標の称呼 ホテルカカクドットコム、ホテルカカクコム、ホテルカカク、カカク 
代理人 大村 麻美子 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 佐藤 力哉 
代理人 右馬埜 大地 
代理人 五十嵐 敦 
代理人 岡村 信一 
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