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審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2015900217 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W2425
審判 全部申立て  登録を維持 W2425
審判 全部申立て  登録を維持 W2425
審判 全部申立て  登録を維持 W2425
管理番号 1309804 
異議申立番号 異議2015-900245 
総通号数 194 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2016-02-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-07-23 
確定日 2015-12-25 
異議申立件数
事件の表示 登録第5758659号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5758659号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5758659号商標(以下「本件商標」という。)は,「Toucherhome」の欧文字を標準文字で表してなり,平成26年8月28日に登録出願,第24類「織物,布製身の回り品,ふきん,敷布,布団,まくらカバー,毛布」及び第25類「被服,履物」を指定商品として,同27年3月31日に登録査定,同年4月17日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,登録異議の申立ての理由において引用する登録商標は,以下の2件であり,いずれも現に有効に存続しているものである。(以下,これらをまとめていうときは「引用商標」という。)
1 登録第4509260号商標(以下「引用商標1」という。)は,別掲に示すとおり,「Tuche」(「e」にはアクサンテギュが付されている。以下同じ。)の欧文字を書してなり,平成11年7月15日に登録出願,第25類「被服,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として,同13年9月28日に設定登録されたものである。
2 登録第5703700号商標(以下「引用商標2」という。)は,「トゥシェ」の文字を標準文字で表してなり,平成26年5月8日に登録出願,第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として,同年9月19日に設定登録されたものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第73号証を提出した。(以下「甲第○号証」の表示は,「甲○」と簡略する。)
1 引用商標の著名性
(1)引用商標の使用開始時期及び使用商品
申立人は,平成12年に女性用ストッキング,タイツ,靴下等の商品の新ブランド「Tuche」(片仮名表記は「トゥシェ」)を立ち上げ,その後,現在に至るまで14年にわたって,引用商標を継続して使用している。
引用商標1「Tuche」は,フランス語の「Toucher」(「触れる」「触る」の意味)をもとに申立人が創造した造語商標であるが,申立人は,引用商標1に片仮名の引用商標2「トゥシェ」を併用する形で使用しており,引用商標1は,被服の分野の取引者,需要者の間で「トゥシェ」と称呼される申立人のブランド名として認知されている。
引用商標は,平成12年のブランド立ち上げ当初は,女性用ストッキング,タイツ,靴下等のブランド名であったが,申立人は,平成16年以降,女性用の下着,腹巻き,ルームウェア(キャミソール,パジャマ,ポンチョ等)及び女性用アウターウェア(ズボン,帽子,ネックウォーマー,手袋等)に関しても,引用商標を使用している。
かかる幅広い商品への使用により,引用商標は,遅くとも,本件商標の出願がなされた平成26年8月28日の時点において,申立人が取り扱う各種の被服の出所を表すブランド名として認識されるようになった。
なお,甲4ないし甲45は,申立人が製造,販売している女性用ストッキング,タイツ,靴下等の商品カタログであるが,これをみれば,申立人が平成12年以降,現在に至るまで,引用商標を継続して使用していることが理解できる。
(2)「Tuche」ブランドの商品の販売地域及び売上高
申立人は,引用商標を付した「Tuche(トゥシェ)」ブランドの被服を日本全国のデパート,量販店,スーパーマーケット,コンビニエンスストア等で販売しているほか,インターネット販売も行っている(甲46,甲47)。
かかる全国的な展開により,引用商標を付した「Tuche(トゥシェ)」ブランドの被服の売上規模は極めて大きなものになっており,平成25年度末までの売上の総額は615億8906万円であり,各年度ごとの売上高は,「平成12年度:2億6155万9000円」「平成13年度:19億1045万4000円」「平成14年度:34億6651万6000円」「平成15年度:48億5000万3000円」「平成16年度:48億3470万9000円」「平成17年度:43億5512万1000円」「平成18年度:59億4842万8000円」「平成19年度:65億1528万9000円」「平成20年度:60億510万6000円」「平成21年度:62億5660万円」「平成22年度:54億6294万7000円」「平成23年度:43億7103万7000円」「平成24年度:37億426万3000円」「平成25年度:36億4702万8000円」である(甲46)。
(3)「Tuche」ブランドの商品に関する宣伝広告
申立人は,平成12年に「Tuche(トゥシェ)」ブランドを立ち上げた当初から,タレントの神田うの等を起用した大々的な宣伝広告活動を行い,かかる宣伝広告活動により,引用商標の知名度は,極めて高いものになっている。
申立人は,平成12年のブランドの立ち上げ当初から,駅に大々的なポスターを掲載したり(甲48),街中に宣伝カーを走らせたりした(甲49)ほか,全国のスーパーマーケットに特設の売り場を設ける(甲50)などの宣伝広告活動を行っているほか,神戸コレクション等のファッションショーにも出展しており(甲51),かかる宣伝広告活動により,引用商標は,申立人のブランド名として,取引者,需要者の間に広く浸透している。
また,申立人は,神田うののほかにも,加藤夏希,田中美保,有村美樹といった有名タレントを起用した宣伝広告をブランドの立ち上げ当初から現在まで継続して行っており,データが残っている平成18年度からの8年間だけでも,宣伝広告費として,総額約17億5320万円を費やしている(甲46)。
(4)新聞,雑誌の記事
引用商標を付した「Tuche(トゥシェ)」ブランドの商品は,日本経済新聞,日経MJ,日刊工業新聞,産経新聞,読売新聞等の全国紙を含む新聞や週刊東洋経済等の雑誌の特集記事の中で度々取り上げられており,かかる記事の内容からも,引用商標が需要者に広く知られていることが分かる(甲52?甲63)。
(5)アンケート結果
引用商標が需要者の間で広く知られた周知・著名商標であることは,株式会社矢野経済研究所が2012年にまとめた「2012年度版 インナーウェア市場白書」の記載内容からも分かる(甲64)。
同白書では,レディースインナーウェアのマーケットの状況に関する市場調査の結果が記載されているが,女性用ストッキングに関する需要者のアンケート結果の項をみると,「Tuche(トゥシェ)」ブランドの消費者に対する認知度が47.3%という高い数値になっていることが分かる。
(6)小括
以上に述べた引用商標を使用した商品の販売実績,販売期間,宣伝広告活動の規模,新聞雑誌の記事及びアンケート結果に鑑みると,引用商標は,遅くとも,本件商標の出願がなされた平成26年8月28日の時点において,申立人のブランド名として全国的に広く認識されていたことが明らかであるといえる。
2 商標法第4条第1項第11号について
(1)引用商標の称呼
引用商標1「Tuche」は,フランス語の「Toucher」(「触れる」「触る」を意味し,「トゥシェ」と称呼される)をもとに申立人が創造した造語であるが,「e」の文字の上に,フランス語で使用されるアクサンテギュの記号が付されている上,ファッションの分野において,ドイツ語が使用されることは一般的ではないことに鑑みると,引用商標1に接した取引者,需要者は,引用商標1をフランス語風に「トゥシェ」と自然に称呼するといえる。
また,申立人は,平成12年以降,現在まで,引用商標1「Tuche」と引用商標2「トゥシェ」とを併記する形で大々的に使用しているため,取引者,需要者は,引用商標を「トゥシェ」と称呼される著名なブランド名として認識しているといえる。
また,引用商標2は,「トゥシェ」との片仮名からなるため,当然に「トゥシェ」と称呼されるものである。
したがって,引用商標からは,「トゥシェ」との称呼が生じる。
(2)本件商標の称呼
本件商標は,「Toucherhome」との欧文字を標準文字で書してなる構成からなるところ,前半の「Toucher」の文字部分は,「触れる」「触る」との意味を有し,「トゥシェ」と称呼されるフランス語の単語であるため,「トゥシェ」と自然に称呼される。
そして,この「トゥシェ」との称呼は,全国的に著名な商標である引用商標1「Tuche」及び引用商標2「トゥシェ」と同じ称呼であるため,本件商標に接する取引者,需要者は,本件商標の前半部分の「Toucher」の文字部分から生じる「トゥシェ」との称呼から,引用商標を想起し,かかる部分を商標の要部として認識するといえる。
また,本件商標の構成中の「home」の文字部分は「家」を意味する簡易な英単語であるが,本件商標の指定商品である「被服」,「履物」等の商品の中には,家で使用するための商品であるルームウェアやスリッパ等の商品が含まれるため,本件商標に接する取引者,需要者は,「home」の文字を,家で使用するための商品であることを示す品質表示として認識し,「home」を除いた「Toucher」の文字部分を商標の要部として認識するといえる。
この点,スペインのアパレルブランドとして著名な「ZARA」においても,家用の商品であるルームウェア,スウェット,ナイトウェア,下着,スリッパ,サンダル等に関するサブブランド名として「ZARA HOME」との名称を使用しており(甲65),この「ZARA HOME」との商標を目にした取引者,需要者は当該商標を「ZARA」ブランドの中の,家用の商品を取り扱うサブブランド名であると認識するといえる。
また,著名なブランドの商品のうち,スリッパやクッション等の家用の商品のサブブランド名として,「HOME」との文字を加えた商標を使用する例は,「ANAP HOME」(甲66),「COMME CA DU MODE Home」(甲67),「MISSONI HOME」(甲68)等のように多数存在し,かかる商標に接する取引者,需要者は「HOME」の文字を除いた部分を商標の要部と認識するといえる。
以上の点に鑑みると,本件商標「Toucherhome」に接する取引者,需要者は,前半の「Toucher」の文字部分を独立した出所識別標識として認識する可能性が高いといえる。
よって,本件商標からは,「トゥシェホーム」との称呼のほか,前半の「Toucher」の文字部分に照応する「トゥシェ」の称呼も生じると解するのが相当である。
(3)本件商標と引用商標の類否
以上述べたとおり,本件商標及び引用商標からは,いずれも「トゥシェ」の称呼が生じるため,本件商標と引用商標は,称呼が共通する商標であるといえる。
一方,本件商標と引用商標は,外観及び観念が共通するものではないが,称呼が完全に同一であること,引用商標が全国的に著名な商標であることに鑑みると,本件商標と引用商標の間で出所の混同が生じるおそれは非常に大きく,両商標は,外観,称呼,観念を総合的に参酌したとしても,類似と評価すべきものである。
(4)指定商品,指定役務の類否
本件商標は,第24類及び第25類の商品を指定商品として登録されたものであるが,このうち,第25類の指定商品は,引用商標の指定商品と類似関係にあるものである。
(5)小括
以上述べたとおり,本件商標は,引用商標と類似し,かつ,その指定商品が引用商標に係る商品と類似するものであるため,本件商標が,商標法第4条第1項第11号に基づく拒絶理由を有することは明らかである。
3 商標法第4条第1項第15号について
本件商標は,「Toucherhome」の文字からなり,第24類及び第25類の商品を指定商品とするものであるが,このうち,「第25類 被服」は,申立人が引用商標を使用している商品と同一又は類似の商品である。
また,「第25類 履物」及び「第24類 織物,布製身の回り品,ふきん,敷布,布団,まくらカバー,毛布」も,繊維及びファッション関連の商品であり,申立人がかかる商品を取り扱うことや,かかる商品に対して,第三者にライセンスをすることも十分に考え得る商品である。そのため,本件商標権者が,これらの指定商品に関し,本件商標を使用した場合にも,取引者,需要者に,申立人と関連した商品であるとの認識を抱かせるおそれがあることは明らかであり,広義の混同のおそれがあるといえる。
以上の点に鑑みると,本件商標は,申立人の業務に係る商品と出所の混同を生じさせるおそれが大きい商標であるといえ,本件商標が,商標法第4条第1項第15号に基づく拒絶理由を有することは明らかである。
なお,本件商標権者は,本件商標と同一又は類似の構成からなる商標を以下のように「Toucher」との文字を強調する態様で使用しており,かかる使用態様を見れば,本件商標と引用商標との間で出所の混同のおそれがあることがより一層明らかになるものと考えられる(甲69?甲72)。
現に,「ポンパレモール」の通販サイトにおいて,「トゥシェ」との文字で商品の検索を行うと,申立人の「Tuche」ブランドの商品と,本件商標権者の商品が,あたかも同一ブランドの商品であるかのように混在して表示されており,まさに,混同が生じているといえる(甲73)。
したがって,本件商標は,引用商標と類似の関係にあり,現実に使用される場面において,需要者に混同を生じさせるおそれがあるため,商標法第4条第1項第15号に基づく拒絶理由を有することは明らかである。
4 むすび
以上より,本件商標は,商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に基づく拒絶理由を有しており,登録を受けることはできない。

第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標
ア 本件商標は,前記1のとおり,「Toucherhome」の欧文字を標準文字で表してなるところ,構成各文字は同じ書体,同じ大きさ,等間隔をもって表され,頭文字のみを大文字とし,その余は全て小文字としており,全体として1つの単語を表したかのようにまとまりよく一体的に表されているものである。
そして,本件商標は,これと同じくする成語は見当たらず,造語と認められ,直ちに特定の読みをもって親しまれた外国語を表したものとはいい難いものであるが,一般的に,特定の読みをもたない欧文字よりなる商標の称呼を特定する場合,これに接する取引者,需要者は,一般に親しまれたローマ字風又は親しまれた外国語(英語)の知識をもって,当該読みを特定して称呼する場合が多いということができるから,本件商標よりは,我が国で親しまれた英語の発音に倣って,「タッチャーホーム」と称呼されるとともに,本件商標の商標権者の使用状況(甲69)を考慮すれば,「トゥシェホーム」と称呼される場合もあると認められるところ,いずれの称呼も,格別冗長というべきものではなく,よどみなく一連に称呼し得るものである。
また,本件商標の構成中の「Toucher」の文字部分が,「触れる,触る」の意味を有するフランス語と同一のつづりであり,「home」の文字部分は,「家」を意味する英語と同一のつづりであったとしても,外観上,「Toucher」及び「home」の文字部分のいずれかが他の部分から独立して強調されているものとはいえないから,本件商標は,直ちに特定の観念を生じない一種の造語として看取されるものであって,いずれかの文字部分のみが着目され記憶されることのない,全体が不可分一体のものとして,取引者,需要者に認識されるというのが自然である。
してみれば,本件商標は,「Toucherhome」の文字全体で取引に資されるとみるべきであって,「Toucher」の文字部分のみをもって取引に資されるというべき特段の事情は見いだせないから,該文字部分のみを捉えた称呼及び観念は生じないというのが相当である。
イ この点に関し,申立人は,本件商標中の「home」の文字部分は,家で使用するための商品であることを示す品質表示として認識し,「home」を除いた「Toucher」の文字部分が本件商標の要部として認識される旨主張している。
しかしながら,本件商標の構成中の後半の「home」の文字が,「家」を意味する英語と同一つづりであり,また,「home」の語が家庭用の商品のサブブランドを表す場合に使用されているとしても,申立人の提出する証拠は,商品の主となる出所識別標識と「HOME」の文字とが間にスペースを介したものや,二段書きにしたもの,あるいは文字の太さを変えているもの等,その使用の態様は本件商標とは異なるから,事案を異にするものである(甲65?68)。よって,申立人の上記主張は採用することができない。
ウ したがって,本件商標は,その構成文字全体が一体不可分のものであり,「タッチャーホーム」及び「トゥシェホーム」の一連の称呼を生じ,親しまれた特定の観念を有しない一種の造語からなるものとして認識し把握されるというのが相当である。
(2)引用商標
ア 引用商標の著名性
申立人の提出に係る証拠によれば,引用商標は,平成12年に女性用ストッキング,タイツ,靴下等の商品に使用開始し,平成16年以降「女性用の下着,腹巻き,ルームウェア,女性用アウターウェア」の商品に使用され(甲4ないし45),また,申立人により新聞,雑誌やテレビなどのマスコミにおいて多岐広範囲にわたる宣伝広告が継続的に行われ(甲52ないし甲63),その宣伝広告費に平成18年度からの8年間で総額17億5320万円を費やされている(甲46)。そして,平成12年の発売以来売上を伸ばし続け,平成25年度末の売上の総額は615億8906万円であり(甲46),その市場占有率も,2012年度版インナーウェア市場白書において,引用商標の認知度は47.3%となっている(甲64)ことなどを総合して考察するならば,引用商標は「トゥシェ」と称呼され,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,上記「女性用ストッキング,タイツ,靴下」の商品について,取引者,需要者の間において周知著名になっていたということができる。
イ 引用商標の称呼及び観念
引用商標は,上記アのとおり「トゥシェ」と称呼され,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,「女性用ストッキング,タイツ,靴下」の商品について,取引者,需要者の間において周知著名となっていたことが認められるから,「トゥシェ」と称呼される。
次に,引用商標1は「Tuche」の文字を書してなるところ,これとつづりを同じくする成語は見当たらず造語と認められることから,特定の観念は生じないものである。また,引用商標2は,「トゥシェ」の文字を書してなるところ,これは,「触れる」「触る」の意味を有するフランス語の「Toucher」の表音と同一であるが,当該フランス語が,我が国において広くし知られ,親しまれているような事情もないことから,引用商標2からも特定の観念は生じないというのが相当である。
(3)本件商標と引用商標との類否
本件商標と引用商標とは,それぞれ,上記1及び2のとおりの構成からなるところ,外観においては,一見して判然と区別し得る差異を有するものである。
また,本件商標から生じる「タッチャーホーム」及び「トゥシェホーム」の称呼と,引用商標から生じる「トゥシェ」の称呼とは,構成音数及び構成音や末尾における「ホーム」の音の有無という顕著な差異を有するから,両称呼は明確に聴別し得るものである。
さらに,観念においては,本件商標及び引用商標は,親しまれた既成の観念を有しないものであるから,本件商標と引用商標とを比較することはできない。
してみれば,本件商標と引用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
(4)小括
以上のとおり,本件商標は,引用商標とは非類似の商標であるから,その指定商品が引用商標の指定商品と同一又は類似のものであるとしても,商標法第4条第1項第11号に該当するということはできない。
2 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)引用商標の著名性は,上記(1)のとおり認め得るものである。しかしながら,本件商標と引用商標とは,上記1のとおり,非類似の商標というべきものでものであり,しかも,本件商標の構成中に引用商標を含むものでもなく,引用商標の周知性を考慮,及び申立人が提出する全証拠によっても,取引者,需要者が,本件商標と引用商標との間で具体的に出所の混同が生じるおそれがあるとは認められない。
なお,請求人は,現に「ポンパモール」通信サイトにおいて,「トウシェ」の文字で商品検索を行うと,申立人による商品と,本件商標権者による商品があたかも同一ブランドの商品であるかように混在して表示され,混同が生じている旨主張する。
しかしながら,ウェブサイトにおける商品検索は,検索文字による前方,後方,中間一致等,多数の商品が検索されるための手法が組み込まれていることから,特定の文字による商品検索において申立人に係る商品と本件商標権者の商品が同時に検索されたとしても,それが直ちに商品の出所の混同を生じていることを証明するものではないから,請求人のこの主張は採用し得ない。
(2)してみれば,本件商標をその指定商品に使用した場合,これに接する需要者が引用商標を想起,連想して,当該商品を申立人の業務に係る商品,あるいは,同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように誤信するとは認められず,本件商標の出願及び登録査定時においても商品の出所について混同するおそれがあるということはできない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
3 まとめ
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものではないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,その登録を維持すべきでものである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 別掲(引用商標1)


異議決定日 2015-12-14 
出願番号 商願2014-72548(T2014-72548) 
審決分類 T 1 651・ 263- Y (W2425)
T 1 651・ 261- Y (W2425)
T 1 651・ 262- Y (W2425)
T 1 651・ 271- Y (W2425)
最終処分 維持  
前審関与審査官 鹿児島 直人 
特許庁審判長 田中 幸一
特許庁審判官 田村 正明
早川 文宏
登録日 2015-04-17 
登録番号 商標登録第5758659号(T5758659) 
権利者 株式会社丸中
商標の称呼 トゥシェホーム、トゥシェオム、タッチャーホーム、トゥシェ、タッチャー 
代理人 中村 小裕 
代理人 松本 響子 
代理人 山田 威一郎 
代理人 松島 理 

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