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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 041
管理番号 1309709 
審判番号 取消2015-300013 
総通号数 194 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2016-02-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2015-01-05 
確定日 2015-12-28 
事件の表示 上記当事者間の登録第4247863号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4247863号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4247863号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおりの構成よりなり,平成9年3月26日に登録出願,第41類「幼児教育情報の提供」を指定役務として,同11年3月12日に設定登録され,同20年10月21日に商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。
なお,本件審判の請求の登録日は,平成27年1月21日である。

第2 請求人の主張
請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由及び答弁に対する弁駁(平成27年8月17日付け口頭審理陳述要領書及び同年10月15日付け上申書を含む。)を次のように述べた。
1 請求の理由
請求人の調査するところによると,本件商標は,継続して3年以上日本国内において商標権者により使用されている事実は発見することができなかった。
また,本件商標について,専用使用権,通常使用権の登録もされておらず,したがって,これらの者による使用の事実もない。
よって,本件商標は,商標法第50条第1項の規定に基づき,その登録を取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)本件商標の不使用
乙第39号証で表示されている被請求人が使用している標章中「使用標章1」(別掲2の1),「使用標章2」(別掲2の2)及び「使用標章3」(別掲2の3)の上段は本件商標の上段と共通するが,下段は「Child’s Intelligence Media BOOKLOAn」となっており,この構成をもって,これら使用標章が「CHiME」と「BOOKLOAn」のみからなるものと捉えることは出来ない。したがって,本件商標と「使用標章1」「使用標章2」「使用標章3」とは社会通念上同一のものとは認められない。
「使用標章4」(別掲2の4)及び「使用標章5」(別掲2の5)は,被請求人も述べるように,本件商標の上段のみからなるので,本件商標とは明らかに相違する。
「使用標章6」(別掲2の6)の上段は本件商標の上段と共通するが,下段は「ブックローン」となっているので,本件商標とは相違する。さらに,「使用標章6」は屋上広告塔(看板)にのみに表示されたとのことである。商標は自他役務識別標識であり,自他役務の識別標識として使用されてはじめて商標となり得る。しかるに,屋上広告塔(看板)に単に「CHiME」と「ブックローン」が二段に表示してなるものが自他役務の識別標識として使用されるとはいえない。本件商標の指定役務「幼児教育情報の提供」(以下,「本件役務」という場合がある。)について自他役務の識別標識として使用されていないことは明らかである。
加えて,乙第37号証は,その納品書からすると平成9年頃に設置されたものと推測され,乙第38号証は,その納品書からすると平成7年頃に設置されたものと推測される。したがって,平成24年1月22日から同27年1月21日までの要証期間内にこの屋上広告塔(看板)があったとは考えられない。
(2)指定役務についての不使用
本件商標の指定役務は,「幼児教育情報の提供」のみである。「幼児教育情報の提供」とは,「幼児教育」そのものを行なうのではなく,「幼児教育」を行なっている人,法人,施設等を広く知らしめる等の「幼児教育」に関しての情報を提供するものである。
しかるに,乙第3号証及び乙第4号証は,被請求人の販売する商品の宣伝広告資料にすぎず,本審判の要証期間内のものであることも立証されていない。
乙第5号証?同第8号証は,店舗内の常設コーナーの写真であるが,「幼児教育情報の提供」を行なっていることを何ら立証していない。
乙第9号証及び乙第10号証,乙第12号証?乙第16号証,乙第20号証?乙第21号証は,被請求人の開催したイベントに関するものであるが,これら証拠方法から「幼児教育情報の提供」を行なっていたことは何ら立証されていない。加えて,そのイベントは「幼児向け教室」と銘打っているが,そのリストには「売上高」の項目があること,並びに,イベント開催結果報告書等の中の記述から実際は被請求人が販売している商品の宣伝広告活動であることが判る。商品の販売のために集客を目的としたセミナー等を取引上頻繁に行われていることであり,被請求人が行なったこのイベントもそのようなもののひとつである。このことから,被請求人は「幼児教育」をも行なっていなかったといえる。
乙第16号証は,講演会の写真の写しであり,乙第18号証及び乙第19号証は,書籍の販売及び紹介に関するものであるから,本件商標の指定役務の使用とは全く関係のないものである。
乙第11号証,乙第22号証?乙第24号証は,商品の写真である。乙第17号証,乙第25号証?同第36号証は,商品のパンフレット,チラシ,カタログ,宣伝用のDVD等の宣伝広告資料並びにこれらに関する請求書等の写しであって,「幼児教育情報の提供」を行なっていたことを立証するものではない。
(3)総括
以上のとおり,被請求人の提出した証拠方法によっては,本件審判の請求の登録前3年以内(以下,「要証期間」という。)に本件商標が指定役務に使用されたことを何ら立証していない。
3 平成27年8月17日付け口頭審理陳述要領書
(1)使用標章と本件商標の同一性
被請求人は,本件商標の上段部分が「ChiME」と「i」の上部に点にベル図形を結合して大きく目立つよう表示してなるので,当該部分が独立して要部と認識され得るものであって,使用標章1?6においても「ChiME」と「i」の上部に点にベル図形を結合してなる故に,使用標章は本件商標と社会通念上同一であると主張する。
しかしながら,本件商標の上段部分が独立して要部と認識され得るものであったとしても,これが本件商標に類似するとされるに止まり,本件商標と同一のものとはいえない。使用標章1?3は,その下段が「Child’s Intelligence Media BOOKLOAn」となっており,「BOOKLOAn」ではない。したがって,使用標章1?3は,社会通念上であっても同一のものとはいえない。
「ChiME」と「i」の上部に点にベル図形を結合してなるものからのみなる使用標章4及び5は,明らかに同一のものとはなり得ない。
使用標章6は,その下段が「BOOKLOAn」ではなくカタカナ文字の「ブックローン」であるので,社会通念上であっても同一のものとはいえない。
さらに,使用標章6は,自他役務の識別標識として使用されてはいない。この点については,被請求人も口頭審理陳述要領書において,「幼児教育の情報の提供に際しては,使用標章1?5のいずれか標章が使用されており」と述べている点て認めている。
以上のとおり,被請求人は,依然として本件商標の使用を立証していない。
(2)指定役務についての不使用
被請求人は「幼児に対する知育教材玩具を使った幼児教育を幼児とともに親が体験することで,その親に対して幼児教育の方法を理解させることを行なっていた,これは幼児教育の情報の提供である。」と陳述している。また,この体験型の幼児教育の情報の提供とは別に講演会形式で幼児の親のみに向けた幼児教育の情報の提供をされていたと陳述している。
しかしながら,被請求人が提出した証拠方法に鑑みると,上記のことは,被請求人の知育教材玩具の販売のための宣伝活動に過ぎないといえる。商品についての使用標章1?5の使用を立証している以上,逆に言えば,役務についての使用を立証していないことになる。
特に,講演会についての乙第13号証?乙第16号証には,何らの標章も表示されていない。
したがって,被請求人は,依然として本件商標がその指定役務に使用されていたことを立証していない。
4 平成27年10月15日付け上申書
被請求人は,使用されている商標(使用標章)は本件商標と社会通念上同一であると主張されているが,弁駁書及び口頭審理陳述要領書で詳述したように,両者は社会通念上同一であるとは認められない。
また,被請求人は,使用標章を本件商標の指定役務「幼児教育の情報の提供」に使用していると主張しているが,当該事実を示す証拠方法は一切提出していない。
そして,これまでも主張したように,提出された乙各号証は,使用標章が本件商標の指定役務に使用されていることを立証していない。
さらに,被請求人は,「幼児教育の情報の提供」とは親に向けて幼児教育の情報の提供を含められると主張しているが,同人が親に向けて幼児教育の情報の提供に使用標章を使用している証拠方法は提出されていない。
以上のとおり,本件審判においては,本件商標がその指定役務に使用されていることは依然として立証されていない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は,本件審判の請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とする,との審決を求めると答弁し,その理由(平成27年8月12日付け口頭審理陳述要領書及び同年10月1日付け上申書を含む。)を要旨以下のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第39号証を提出した。
1 答弁の理由
(1)本件商標の使用
被請求人(商標権者)は,要証期間に日本国内において,本件審判の請求に係る指定役務「幼児教育情報の提供」(本件役務)について,本件商標を使用している。
(2)本件商標の構成
本件商標は,上段に欧文字「CHiME」と「i」の上部の点にベル図形を結合して,大きく目立つように構成してなり,下段にそれよりも小さく欧文字「BOOKLOAn」とを顕彰してなるものである。
(3)使用の事実
ア 商標権者であるブックローン株式会社(以下,「ブックローン」という。)は,1965年6月24日に設立され,知育教材玩具や知育教材書籍の製造,販売,これらを用いた知育教育を主たる業務とする法人である。商標権者の知育教育や知育教育情報の提供は,1970年頃より開始され,1993年から現在に至るまで本件商標を使用して,知育教育及び知育教育情報の提供を行っている。また,商標権者は,自社が製造する知育教材玩具「リブロック」や,自社のグループ会社が出版する知育教材書籍「チャイクロ」を使用して幼児教育を行い,同時に,幼児の両親向けて幼児教育の情報を提供している。すなわち,商標権者は,知育教材玩具や知育教材書籍を用い,2012年1月21日から2015年1月21日の期間において,本件商標を使用した本件役務の提供を行っている。
なお,このような知育教材玩具等を使用した知育教育等の役務の提供は,例えばLEGO(登録商標)社なども行っており,比較的ポピュラーな取り組みである。
イ 具体的には,商標権者は,(a)自社及びグループ会社のサイト及び自社が製造する商品「リブロック」のサイトにおいて,1998年3月より現在に至るまで,本件商標を使用して幼児教育情報を提供し(乙3,乙4),(b)自社のグループ会社が運営する喜久屋書店等に,知育教育用のコーナーを常設して,2005年12月より現在に至るまで,本件商標を使用して,幼児及びその両親に向け,知育教材玩具「リブロック」等を用いて幼児教育及び幼児教育情報を提供し(乙5?乙8),(c)同喜久屋書店の大型ショッピングセンター内の店舗を中心に,2006年11月より現在に至るまで,不定期に開催するイベントにおいて,本件商標を使用して,幼児及びその両親に向け,知育教材玩具「リブロック」等を用いて幼児教育及び幼児教育情報を提供し(乙9?乙21),(d)上記の(a)?(c)の役務の提供にかかる知育教材玩具やそのパンフレット,チラシ等に,本件商標を使用し(乙22?乙34),(e)上記の(b)における常設コーナーや上記の(c)における各地のイベントについて,自社の知育教材玩具「リブロック」のFacebookページ及びGoogle+ページで紹介している。これらのページで明らかなように,常設コーナーや各地のイベントでの幼児教育(幼児向け教室)や幼児教育情報の提供が,少なくとも2013年6月6日より2015年1月20日の期間において行われており(乙35,乙36),(f)また自社ビルの看板には,遅くとも1997年12月より現在に至るまで,本件商標が表示されている(乙37,乙38)。
(4)本件商標の使用態様
ア 商標権者の自社及びグループ会社のサイトや,自社のリブロックのサイトに,幼児教育情報の提供とともに使用標章1,2,3を使用している(乙3,乙4)。
イ 商標権者が行う,幼児向けの幼児教育と幼児の両親向けの幼児教育情報を提供する喜久屋書店等の常設コーナーにおいて,使用標章2や4を使用している(乙5?乙8)。
ウ 商標権者が行う,幼児向けの幼児教育と幼児の両親向けの幼児教育情報を提供するイベント会場において,使用標章1,2,4,5を使用している(乙9?乙21)。
エ 商標権者が行う,幼児向けの幼児教育と幼児の両親向けの幼児教育情報の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供するリブロック,及びリブロックの冊子,チラシ,パンフレット,DVD,入れ物,箱等に,使用標章1,2,4,5を使用している(乙22?乙34)。
オ 商標権者が行う,幼児向けの幼児教育と幼児の両親向けの幼児教育情報の提供の宣伝広告として用いる看板に,使用標章6を使用している(乙37,乙38)。
上記使用は,それぞれ商標法第2条第3項に規定する使用である。
上記アの使用は,商標法第2条第3項第7号に規定する使用に該当する。
上記イの使用は,商標法第2条第3項第8号に規定する使用に該当する。
上記ウの使用は,商標法第2条第3項第8号に規定する使用に該当する。
上記エの使用は,商標法第2条第3項第3号,4号,5号,もしくは8号に規定する使用に該当する。なお,DVDについては,商標法第2条第3項第7号に規定する使用に該当する。
上記オの使用は,商標法第2条第3項第8号に規定する使用に該当する。
(5)使用標章1?6が本件商標と社会通念上同一であること
登録商標は,商取引の実際において,例えば,書体を変更したり,他の文字等を付する等その表示態様について少なからぬ変更が加えられたりして使用されることがむしろ通常である。
したがって,その変更により外観が必ずしも登録商標と酷似するとはいえない標章であっても,それが登録商標の表示態様において基本をなす部分を変更するものでなく,当該登録商標が有する独自の識別性に影響を与えない限度にとどまるものであるときは,その標章の使用をもって「登録商標の使用」とみるべき,とされている。
ア 使用標章1及び2と本件商標を比較すると,次の点で相違する。
(ア)「CHiME」及び「ベル図形」の色彩が赤色と黒色とで相違する点
(イ)下段に小さく表示された文字「Child’s Intelligence Media」の有無の点
上記にいう相違点(ア)についてみてみると,(イ)の相違点を除き,使用標章の当該矩形図形部分を赤色から黒色に変更すれば本件商標と同一の商標であると認められることは明らかである。したがって,相違点(ア)をもって使用標章と本件商標の同一性を否定することはできない。
また,相違点(イ)については,小さく下段に表示された「Child’s Intelligence Media」の語は,その構成から上段の特徴的な「CHiME」の成り立ちを表すものと需要者・取引者は認識し,かつ,「Child’s Intelligence Media」の意味合いと本件役務より当該部分を「子供の知的教育の媒体」程の役務の質や目的等の役務の内容を表示する部分であると把握し認識すると考えるのが相当である。そうとすれば,使用標章1及び2中「Child’s Intelligence Media」の文字部分は,看者の注意を惹くほどの強い自他商品識別力が認められるとは考えられず,格別印象に残るとはいい難いものである。
一方,上段の「CHiME」の文字とベル図形とが結合された部分は,大きく目立つように表示され,かつ,特徴的な構成から,需要者・取引者は,当該部分を特異に感じ,当該部分に注目するということができる。
してみれば,相違点(イ)についても,この程度の変更使用は,商取引の実際においては通常行われているところであり,本件商標の識別性に影響を与えない程度の表示態様の変更とみるのが相当である。
したがって,使用標章1及び2は,本件商標と社会通念上同一のものと考える。
イ 使用標章3と本件商標を比較すると,次の点て相違する。
(ア)「CHiME」及び「ベル図形」の色彩が赤色と黒色とで相違する点
(イ)中・下段に小さく表示された文字「Child’s Intelligence Media」の有無の点
上記にいう相違点(ア)についてみてみると,(イ)の相違点を除き,使用標章の当該矩形図形部分を赤色から黒色に変更すれば本件商標と同一の商標であると認められることは明らかである。したがって,相違点(ア)をもって使用標章と本件商標の同一性を否定することはできない。
また,相違点(イ)については,小さく下段に表示された「Child’s Intelligence Media」の語は,その構成から上段の特徴的な「CHiME」の成り立ちを表すものと需要者・取引者は認識し,かつ,「Child’s Intelligence Media」の意味合いと本件役務より当該部分を「子供の知的教育の媒体」程の役務の質や目的等の役務の内容を表示する部分であると把握し認識すると考えるのが相当である。そうとすれば,使用標章3中「Child’s Intelligence Media」の文字部分は,看者の注意を惹くほどの強い自他商品識別力が認められるとは考えられず,格別印象に残るとはいい難いものである。
一方,上段の「CHiME」の文字とベル図形とが結合された部分は,大きく目立つように表示され,かつ,特徴的な構成から,需要者・取引者は,当該部分を特異に感じ,当該部分に注目するということができる。
してみれば,相違点(イ)についても,この程度の変更使用は,商取引の実際においては通常行われているところであり,本件商標の識別性に影響を与えない程度の表示態様の変更とみるのが相当である。
したがって,使用標章3は,本件商標と社会通念上同一のものと考える。
ウ 使用標章4と本件商標を比較すると,次の点で相違する。
(ア)「CHiME」及び「ベル図形」の色彩が赤色と黒色とで相違する点
(イ)下段の小さく表示された文字「BOOKLOAn」の有無の点
上記にいう相違点(ア)についてみてみると,(イ)の相違点を除き,使用標章の当該矩形図形部分を赤色から黒色に変更すれば本件商標と同一の商標であると認められることは明らかである。したがって,相違点(ア)をもって使用標章と本件商標の同一性を否定することはできない。
また,相違点(イ)については,小さく下段に表示された「BOOKLOAn」の語は,単に商標権者の社名(法人格を除したもの)の表示である。そうとすれば,本件商標中の「BOOKLOAn」の文字部分の有無は,看者の注意を惹くほどの強い自他商品識別力が認められるとは考えられず,格別印象に残るとはいい難いものである。
一方,上段の「CHiME」の文字とベル図形とが結合された部分は,大きく目立つように表示され,かつ,特徴的な構成から,需要者・取引者は,当該部分を特異に感じ,当該部分に注目するということができる。
してみれば,相違点イについても,この程度の変更使用は,商取引の実際においては通常行われているところであり,本件商標の識別性に影響を与えない程度の表示態様の変更とみるのが相当である。
したがって,使用標章4は,本件商標と社会通念上同一のものと考える。
エ 使用標章5と本件商標を比較すると,次の点で相違する。
(ア)「CHiME」及び「ベル図形」の色彩が相違する点
(イ)下段の小さく表示された文字「BOOKLOAn」の有無の点
上記にいう相違点(ア)についてみてみると,(イ)の相違点を除き,使用標章の当該矩形図形部分を赤色から黒色に変更すれば本件商標と同一の商標であると認められることは明らかである。したがって,相違点(ア)をもって使用標章と本件商標の同一性を否定することはできない。
また,相違点(イ)については,小さく下段に表示された「BOOKLOAn」の語は,単に商標権者の社名(法人格を除したもの)の表示である。そうとすれば,本件商標中の「BOOKLOAn」の文字部分の有無は,看者の注意を惹くほどの強い自他商品識別力が認められるとは考えられず,格別印象に残るとはいい難いものである。
一方,上段の「CHiME」の文字とベル図形とが結合された部分は,大きく目立つように表示され,かつ,特徴的な構成から,需要者・取引者は,当該部分を特異に感じ,当該部分に注目するということができる。
してみれば,相違点(イ)についても,この程度の変更使用は,商取引の実際においては通常行われているところであり,本件商標の識別性に影響を与えない程度の表示態様の変更とみるのが相当である。
したがって,使用標章5は,本件商標と社会通念上同一のものと考える。
オ 使用標章6と本件商標を比較すると,次の点で相違する。
(ア)「CHiME」及び「ベル図形」の色彩が赤色と黒色とで相違する点
(イ)下段の白色の片仮名文字「ブックローン」と黒色の欧文字「BOOKLOAn」とする点
上記にいう相違点(ア)についてみてみると,(イ)の相違点を除き,使用標章の当該矩形図形部分を赤色から黒色に変更すれば本件商標と同一の商標であると認められることは明らかである。したがって,相違点(ア)をもって使用標章と本件商標の同一性を否定することはできない。
また,相違点(イ)については,下段に表示された「ブックローン」の語は,本件商標の下段の「BOOKLOAn」の称呼を片仮名に変換したに過ぎないものである。更に,使用標章6と本件商標との構成はともに上下二段という構成を同じくするものである。
してみれば,相違点(イ)についても,この程度の変更使用は,商取引の実際においては通常行われているところであり,本件商標の識別性に影響を与えない程度の表示態様の変更とみるのが相当である。
したがって,使用標章6は,本件商標と社会通念上同一のものと考える。
カ 以上よりして,使用標章1?6は,いずれも本件商標と社会通念上同一であるので,これらの使用は本件商標の使用に該当する。
(6)むすび
以上のとおり,被請求人である商標権者のブックローン株式会社は,要証期間に日本国内において,その請求に係る本件役務について,本件商標を使用している。
2 平成27年8月12日付け口頭審理陳述要領書
(1)使用標章について
使用標章1?6と本件商標とは,社会通念上同一とみるのが相当である。
本件商標は,上段に欧文字「CHiME」と「i」の上部の点にベル図形を結合して,大きく目立つようにデザイン化されており,下段にそれよりも小さく欧文字「BOOKLOAn」と表示してなる。
さらに,「BOOKLOAn」の文字は,本件商標の商標権者であるブックローン株式会社の社名の略称を英文で表示したに過ぎないものである。これらの事情より,本件商標において大きくデザイン化された「CHiME」部分が,最も大きな自他識別能力を有することは明らかであり,独立して要部として認識され得ることは明白である。
そこで,使用標章1?6をみると,いずれも「CHiME」の文字が大きく表示されており,「i」の上部にはベルのマークがデザインされている。この構成は,本件商標の「CHiME」と文字の綴りを同一にし,かつ,ベルのマークのデザインや配置も同一であるから,本件商標と社会通念上同一の商標とみるのが相当である。
また,使用標章1?3については,本件商標の要部である「CHiME」が表示されていることにくわえて,その下段に「Child’s Intelligence Media」とともに「BOOKLOAn」の文字も表示されている。したがって,使用標章1?3は,本件商標と社会通念上同一の商標とみるのが相当である。
また,使用標章6については,上段にデザイン化された「CHiME」が大きく表示されていることにくわえ,下段に「BOOKLOAn」の文字を単に片仮名に変換した「ブックローン」の文字を表示したものであるから,本件商標と社会通念上同一の商標とみるのが相当である。なお,使用標章6の看板は,遅くとも平成9年より現在に至るまで使用しており,現に今も存在している。
(2)使用役務について
「幼児教育の情報の提供」とは,請求人の主張のごとく,「幼児教育」に関しての情報を提供するものである。
被請求人は,主として幼児の親に向けて,知育教材玩具を利用した「幼児教育」の情報を提供するものである。これは,被請求人が提出した証拠(例えば,乙4?乙10,乙20,乙24など)を見ても明らかなとおり,幼児のみならず,その親(大人)が参加していることがわかる。この教室の趣旨は,幼児に対する知育教材玩具を使った幼児教育を幼児とともに親が体験することで,その親に対して幼児教育の方法を理解してもらうというものである。これは幼児教育の情報の提供にほかならない。
加えて,乙第13号証?乙第16号証(久保田競先生の講演会に関する証拠)をみてもわかるとおり,親への体験型の幼児教育の情報の提供とは別に,幼児の親のみに向けた幼児教育の情報の提供がなされていることも明らかである。また,乙第3号証や乙第8号証に示すとおり,久保田競先生の幼児教育情報が本商標権者のサイトや店舗に提示されていることも明らかである。
また,上記した幼児教育の情報の提供に際しては,使用標章1?5のいずれか標章が使用されており,これらより,被請求人が使用標章1?5を「幼児教育情報の提供」に使用していることは明白である。
(3)むすび
以上のとおり,要証期間において,被請求人が,本件商標と社会通念上同一の使用標章1?6を「幼児教育情報の提供」に使用していることは明らかである。
3 平成27年10月1日付け上申書
(1)頭後
商標権者は,ブロック玩具や書籍などを販売していることは否定しないが,同時に長年にわたり幼児教育及び幼児教育情報の提供を行っている。
そして,幼児教育及び幼児教育情報の提供の1ツール,1教材として,ブロック玩具や書籍などをこれに使用している。なお,商標権者は,本件使用標章並びに本件商標に共通する「CHiME」を1994年より使用し,現在に至るまで21年にわたり継続して使用している。
また,念のため,なぜ商標権者が「幼児教育情報の提供」という役務を登録したかという点について説明する。
単に玩具や絵本の販売だけを行なうならば,「玩具,書籍の販売」について商標登録すれば十分であるところ,「幼児教育情報の提供」について商標登録した事には意味がある。
商標権者が幼児教育及び幼児教育情報の提供に使用するために商標登録していることは当然のことながら,このことは商標権者が発行・販売している「チャイクロ」という書籍の中にも表れている。この書籍は,見た目はタダの絵本のように見えるが,実際には幼児がこの本を見ながら様々な知識を習得できるよう構成され,かつ,幼児の親が,子どもにどのように教えてゆけば知識を習得できるかなどの幼児教育の指導要領が記載されている。すなわち,この書籍は,ただの絵本ではなく,こうすれば幼児がうまく知識を習得できるという,まさに「幼児教育情報」を提供するために工夫された1つのツールとなっている。
これは,「公文」(登録商標)を例にあげればわかりやすいと思われる。公文の算数ドリルは,ぱっと見はただの算数ドリルであるが,実際にはこの算数ドリルを通じて「公文」という教育方法を提供している。これにより,子どもたちは通常の学校教育とは全く違うやり方で算数を覚えていき,その効果は今や世界でも有名である。なお,これと同様にブロック玩具を用いた教育や教育情報の提供は「レゴ」(登録商標)でも行われ,商標登録されている。
商標権者のブロック玩具についても,上記「チャイクロ」や「公文」「レゴ」と同様であり,これはただのブロック玩具ではなく,幼児が自らの手を使っていろいろ工夫をしながらモノを創ることで,子どもの創造性を高めるよう工夫されている。どうすれば子どもの創造性をうまく高めていけるかという,まさに「幼児教育の方法論」を実賎させるために創られたツールである。これについては,既提出の証拠書類の中でも,幼児教育情報の提供として,親御さん向けに説明された文書がチラシやパンフのあちらこちらに入っていることからも明らかである。すなわち,このブロック玩具は,ただのブロック玩具ではなく「幼児教育」や「幼児教育情報の提供」を実現するための1ツールである。
このように商標権者は,まさに幼児教育や幼児教育情報を提供するためのツールとしてブロック玩具や絵本を販売し,かつ,幼児教育や幼児教育情報の提供にこれを使用している。
(2)商標権者について
商標権者は,ブロック玩具や書籍などを販売し,同時に幼児教育及び幼児教育情報の提供を行っている。そして,幼児教育及び幼児教育情報の提供の1ツール,1教材として,ブロック玩具を使用している。
(3)本件商標について
本件商標中の上段のデザイン化された欧文字部分「CHiME」は,下段の小さく表示された単に商標権者の名称の略称を表したと理解されるにすぎない欧文字に比べ,看者の注意を強く惹くことは明らかである。乙第39号証に表された本件使用標章1?6のいずれも,本件商標の上段と同様の「CHiME」が表示されており,これは本件商標中の看者の注意を強く惹く欧文字部分と同一の構成態様からなり,称呼及び看者に与える印象において,本件商標と社会通念上同一である。
そうとすれば,本件商標と使用標章1?6とは,看者の注意を強く惹く欧文字部分と同一の構成態様からなり,称呼及び看者に与える印象において,本件商標と使用標章1?6とは社会通念上同一と解するのが相当である。
(4)本件指定役務について
商標権者は,本件商標をブロック玩具に使用していることは否定しないが,幼児教育及び幼児教育情報の提供へも使用している。
まず,請求人は,「幼児教育の情報の提供」とは,「幼児教育」を行っている人,法人,施設等を広く知らしめる等の「幼児教育」に関しての情報を提供するものである,と断定しているがこれは失当である。なぜなら,本件商標の指定役務「幼児教育情報の提供」は,特許庁において,同区分に属する役務を複数に分類して定めているうちの「技芸・スポーツ又は知識の教授」と同一の類似群に属するとされていることからすれば,「幼児教育情報の提供」は,「技芸・スポーツ又は知識の教授」と同様に,知識を教授する性質を有する役務であるといえる。さらに,「幼児教育情報の提供」という文言を併せて考慮すれば,「幼児教育情報の提供」とは,幼児の親に向けて幼児教育情報を提供するものが含まれるとみるのが相当である。そうとすれば,幼児向けの幼児教育とともに,その親に向けて行う幼児教育情報の提供に本件使用標章を使用する行為は,幼児教育情報の提供に使用すると解するのが相当である。
また,当該「ブロック」は,幼児向けの幼児教育や,幼児の親に向けて行う幼児教育情報の提供において使用されており,これは「幼児教育情報の提供」を受ける者の利用に供する物であり,商標法第2条第3項第3号の使用に該当する。
さらに,子供の親に向けて行う幼児教育にかかるセミナーにおいて用いられている「ブロック」に本件使用標章を使用する行為は,商標法第2条第3項第5号の使用に該当する。
そうとすれば,幼児向けの幼児教育とともに,その親に向けて行う幼児教育情報の提供に本件使用標章を使用する行為は,幼児教育情報の提供に使用すると解するのが相当である。
これらより,商標権者は,本件使用標章を役務「幼児教育情報の提供」に使用していると解すべきである。
(5)結語
以上のとおり,本件商標と使用標章1?6とは社会通念上同一であり,商標権者は,使用標章1?6を本件役務に使用していることから,商標権者は,本件商標を本件役務に使用している。

第4 当審の判断
1 被請求人提出に係る証拠によれば,以下のとおりである。
(1)乙第3号証は,商標権者であるブックローン及びそのグループ会社のウェブサイトである。これには,1枚目に使用標章3が,2枚目に使用標章1が表示されている。そして,2枚目には,「0歳からの脳力を伸ばすブックローンの商品群」の見出しの下,「大脳生理学の世界的権威/久保田競先生が推薦するブックローンの商品」の項において,久保田競先生が述べた事として,「歩くまでの期間が,将来を決定づける。」,「脳力開発の本当の目的は?」,「天才は親がつくる!お母さんの役割は重要です」「シナプスの発達」の項目をもって,子供の脳の発達についての内容が,紹介されている。
(2)乙第4号証は,ブックローンのウェブサイトである。これには,左下に使用標章1が表示されている。そして,「久保田先生推薦ブロック」の見出しの下,久保田先生によるブロック玩具の「リブロック」について紹介がされている。
また,3枚目には,「イベント情報」の見出しの下,「◆リブロック・スタンプラリー」,「◆リブロック・フリーコーナー」,「◆リブロック教室」,「◆リブロック・キャンペーン」について,そのイベント内容が紹介されている。
(3)乙第5号証及び乙第6号証は,喜久屋書店倉敷店の常設コーナーの写真とされるものである。この常設コーナーには,使用標章4が表示されている。また,天井近くに設置された表示板に吊り下げられた紙製の案内標識に「リブロック教室」の文字が記載されているのが見て取れる。
乙第7号証は,喜久屋書店阿倍野店の常設コーナーの写真とされるものである。
乙第8号証は,みえこどもの城の常設コーナーの写真とされるものである。これには,久保田先生とリブロックの商品紹介がされたパネルが写っており,その中には,使用標章2が表示されている。
(4)乙第9号証は,平成24年(2012年)4月29日から平成26年(2014年)12月20日までの期間において,喜久屋書店による「『CHIME』商標を使用したイベント一覧」とされるものである。
(5)乙第10号証は,ブックローンが行ったイベントに関する平成25年2月28日付けの神戸市灘区「シブマンホール」の「イベント開催結果報告書」である。これには,「特記事項」として,「イベント会場において販売はなかったが,商品見本を展示し,販売店のご案内もしたため,商品に興味を示す方が多かった。」,及び「参加者は,0歳児から小学生位と幅広く,親御さんが熱心に子供と遊ぶので,世代を超えて遊んで頂けることをアピールし,組み立てるだけではない様々なあそび方を提案できた。」等の記載がある。また,イベントの様子とみられる写真が添付されている。
乙第12号証は,ブックローン及び喜久屋書店が行ったイベントに関する平成25年6月6日付けの喜久屋書店小倉店内「ちゃいむらんど」の「イベント開催結果報告書」である。これには,「特記事項」として,「新商品発売記念セール期間中(全商品25%OFF)のイベント開催の為,全商品30%OFFでの販売。」等の記載がある。また,イベントの様子とみられる写真が添付されている。
なお,同号証には,平成25年6月2日及び同4日の「イベント業務報告書」が2枚あり,これらには,開催日時の6月1日の「業務内容」として,「接客。販売業務」及び「接客 販売」の記載がある。
乙第20号証は,ブックローン及び喜久屋書店が行ったイベントに関する平成24年7月31日付けの喜久屋書店橿原店の「イベント実施報告書」である。これには,「特記事項」として,「会場が少し狭かったがスタンプラリー形式(無料)でイベントを行った。商品陳列コーナーの中に低年齢向けの自由に遊べるコーナーを設け,乳幼児の親御さんに向けても商品アピールができるようにした。」等の記載がある。また,イベントの様子とみられる写真が添付されている。
さらに,乙第21号証は,上記した乙第9号証,乙第10号証,乙第12号証及び乙第20号証とおよそ同形式の「イベント開催結果報告書」等を内容とするものである。
(6)乙第13号証は,2014年8月14日にあべのハルカス近鉄本店で,リブロックイベントと同時開催された久保田競先生の講演会の写真とされるものである。
乙第14号証は,上記講演会を紹介したリブロックのFacebookのウェブページである。
乙第15号証は,「8月号 あべのハルカス近鉄本店 イベント情報」を表題とするリーフレットである。その2頁目に,「脳を育み,鍛えるリブロック教室」及び「脳科学者 久保田競先生による講演会」の記載がある。
乙第16号証は,久保田競先生が写っている写真である。
(7)乙第19号証は,久保田競先生著書の書籍「天才脳を鍛える3・4・5歳教育」の一部抜粋である。また,付録のリブロックの冊子には,使用標章1が表示されている。
(8)乙第11号証及び乙第22号証は,リブロックの写真であり,また,乙第22号証のリブロックには,それ自体に使用標章5が表示されている。
(9)乙第23号証は,リブロックの商品箱が写っている複数の写真である。これらには,使用標章1又は使用標章4が表示されている。
(10)乙第25号証?乙第30号証は,2012年1月?2015年2月の間に,ブックローンが作成したリブロックに係る商品の「あそび方ガイド」,「作例シート」,「商品パンフレット(商品カタログ)」等である。そして,これらのものには,使用標章1,使用標章2及び使用標章4のいずれかが表示されている。
(11)乙第31号証及び乙第32号証は,ブックローンが作成したDVDであり,「たのしいリブロック」及び「知育ブロックの決定版」の文字が表示されている。
そして,乙第31号証は,喜久屋書店各店舗の常設コーナーや各地のイベント会場で上映されるDVDであり,また,乙第32号証は,リブロックの資料請求をした際に,資料に同封されるDVDであって,これらのDVDは,リブロックのあそび方が収録され,映像に使用標章2が表示される(乙34,DVDのスクリーンショット)。
(12)乙第37号証及び乙第38号証は,ブックローン兵庫ビルとブックローン神戸ビルの外観写真であり,ブックローン神戸ビルの屋上の看板(広告塔)には,使用標章6が表示されている。
2 上記の証拠によれば,以下の事実が認められる。
(1)被請求人の業務に係る商品について
被請求人は,2012年1月?2015年2月の間に,ブロック玩具の「リブロック」に係る商品の「あそび方ガイド」,「作例シート」,「商品パンフレット(商品カタログ)」を作成しており,その商品である「ブロック玩具」を販売しているものである(乙25?乙30)。
(2)被請求人が本件商標の指定役務について,その役務を提供しているかについて
被請求人の提出した証拠からは,本件商標の指定役務である「幼児教育情報の提供」が行われていることを確認することができない。
本件商標の指定役務の「幼児教育情報の提供」とは,広く収集した「幼児教育」に関する情報を役務として提供するものである。
しかるに,乙第3号証及び乙第4号証は,第三者による商品「リブロック」の紹介や推薦といった内容のものであって,このようなものは,被請求人の販売する商品の宣伝広告の手法の一つといえるものである。
乙第5号証?乙第8号証は,喜久屋書店の店舗内等の常設コーナーの写真とされるものであるが,「幼児教育情報の提供」の役務を行なっていることを立証していない。
乙第9号証及び乙第10号証,乙第12号証?乙第14号証,乙第20号証?乙第21号証は,被請求人の開催した商品「リブロック」に関するイベントに関するものであって,これらの証拠は,「幼児教育情報の提供」を行なっていたことを立証するものではない。
なお,「イベント開催結果報告書」等の内容からすれば,これらのイベントの企画,運営及び開催は,商品「リブロック」の販売のためになされているものであることが判る。
乙第15号証及び乙第16号証は,久保田競先生による講演会に関するものであり,また,乙第18号証及び乙第19号証は,書籍の販売及び紹介に関するものであるから,本件商標の指定役務とは関係のないものである。
乙第11号証,乙第22号証?乙第24号証は,商品「リブロック」の写真である。また,乙第25号証?乙第30号証は,商品「リブロック」に係る商品の「あそび方ガイド」,「作例シート」,「商品パンフレット(商品カタログ)」等であって,「幼児教育情報の提供」を行なっていたことを立証するものではない。
その他の証拠においても,「幼児教育情報の提供」を行なっていたことを立証するものは見あたらない。
そうすれば,被請求人は,ブロック玩具の「リブロック」について,ウェブサイトにおいて商品の紹介を行い,また,「リブロック」に関してイベントの開催を行っているものであって,これらの行為は,自己の業務に係る商品「リブロック」の販売のためになされているものである。そして,その内容は,「リブロック」が脳の発達を促す商品であることを宣伝,広告する手法によって,その商品の販売促進を行っているものであり,その事情は,上記した証拠から窺えるものである。
してみれば,被請求人が,商品に関連して,「イベントの企画,運営及び開催」を行うことや,その商品に関するイベントを通じて幼児の教育の方法等を子供の親などに伝えることは,「幼児教育情報の提供」の役務とはいえないものである。
なお,被請求人が上記した証拠をもって「幼児教育情報の提供」であるとする主張は,妥当でなく,その商品の宣伝,広告等の内容というべきである。
(3)被請求人の主張について
被請求人は、「『幼児教育情報の提供』とは,幼児の親に向けて幼児教育情報を提供するものが含まれるとみるのが相当である。そうとすれば,幼児向けの幼児教育とともに,その親に向けて行う幼児教育情報の提供に本件使用標章を使用する行為は,幼児教育情報の提供に使用すると解するのが相当である。また,当該『ブロック』は,幼児向けの幼児教育や,幼児の親に向けて行う幼児教育情報の提供において使用されており,これは『幼児教育情報の提供』を受ける者の利用に供する物であり,商標法第2条第3項第3号の使用に該当する。さらに,子供の親に向けて行う幼児教育にかかるセミナーにおいて用いられている『ブロック』に本件使用標章を使用する行為は,商標法第2条第3項第5号の使用に該当する。そうとすれば,幼児向けの幼児教育とともに,その親に向けて行う幼児教育情報の提供に本件使用標章を使用する行為は,幼児教育情報の提供に使用すると解するのが相当である。これらより,商標権者は,本件使用標章を役務『幼児教育情報の提供』に使用していると解すべきである。」旨の主張をしている。
しかしながら,「幼児教育情報の提供」に,幼児の親に向けて幼児教育情報を提供するものが含まれるとしても,被請求人が行っていた行為は,上記(2)のとおり,「ブロック」の商品に関連して,「イベントの企画,運営及び開催」を行ってきたものであって,「幼児教育情報の提供」の役務とはいえないものである。
また,当該「ブロック」は,本質的には遊具であって,「幼児教育情報の提供」の役務を受ける者の利用に供する物ということはできないから,商標法第2条第3項第3号の使用に該当しない。さらに,当該「ブロック」は,同じく,「幼児教育情報の提供」の役務の提供の用に供する物ということはできないから,商標法第2条第3項第5号の使用に該当しない。
(4)その他,本件商標が,要証期間内に,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって,その請求に係る指定役務「幼児教育情報の提供」について使用されていたとしなければならない証拠の提出はない。
(5)したがって,被請求人提出の各乙号証をもって,仮に,使用標章中のいずれかが本件商標と社会通念上同一の使用であるとしても,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが,本件商標を,その請求に係る指定役務について使用しているということはできない。
なお,被請求人は,本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があったとは主張していない。
3 むすび
以上のとおり,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが,本件商標を,その請求に係る指定役務について使用していることを証明したものとはいえず,かつ,本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があったということもできない。
したがって,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により,取り消すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲1(本件商標)


別掲2の1(使用標章1)


別掲2の2(使用標章2)


別掲2の3(使用標章3)


別掲2の4(使用標章4)

別掲2の5(使用標章5)


別掲2の6(使用標章6)

(以上、使用標章1?6については、乙号証を参照。)


審理終結日 2015-11-04 
結審通知日 2015-11-06 
審決日 2015-11-17 
出願番号 商願平9-33522 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (041)
最終処分 成立 
前審関与審査官 巻島 豊二澤里 和孝 
特許庁審判長 金子 尚人
特許庁審判官 井出 英一郎
榎本 政実
登録日 1999-03-12 
登録番号 商標登録第4247863号(T4247863) 
商標の称呼 チャイムブックローン、チャイム、ブックローン 
代理人 鳥巣 実 
代理人 鳥巣 慶太 
代理人 中嶋 慎一 
代理人 田島 壽 
代理人 青木 篤 
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