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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W30
審判 全部申立て  登録を維持 W30
審判 全部申立て  登録を維持 W30
審判 全部申立て  登録を維持 W30
管理番号 1307559 
異議申立番号 異議2015-900084 
総通号数 192 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2015-12-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-03-13 
確定日 2015-11-12 
異議申立件数
事件の表示 登録第5726471号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5726471号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5726471号商標(以下「本件商標」という。)は、「MERCI BEAUCOUP」の欧文字及び「メルシーボークー」の片仮名を2段に書してなり、平成26年7月25日に登録出願、第30類「菓子及びパン」を指定商品として、同年11月10日に登録査定、同年12月12日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由において引用する登録商標は、以下の3件(以下、これらをまとめて「引用商標」という場合がある。)であり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第586886号商標(以下「引用商標1」という。)は、「メルシー」の片仮名を横書きしてなり、昭和35年6月20日に登録出願、第30類「菓子、パン」を指定商品として、同37年5月17日に設定登録され、その後、平成14年5月1日に、指定商品を第30類「菓子及びパン」とする指定商品の書換登録がされたものである。
(2)登録第2705767号商標(以下「引用商標2」という。)は、「MERCI」の欧文字を横書きしてなり、平成2年12月25日に登録出願、第30類「菓子、パン」を指定商品として、同7年3月31日に設定登録され、その後、同17年3月23日に、指定商品を第30類「菓子,パン」とする指定商品の書換登録がされたものである。
(3)国際登録第320574号商標(以下「引用商標3」という。)は、「Merci」の欧文字を横書きしてなり、2013年(平成25年)7月11日に国際商標登録出願(事後指定)、第30類「Chocolate, sugar confectionery.」を指定商品として、平成27年2月6日に設定登録されたものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第19号に該当するから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第12号証(申立人が平成27年7月27日付け上申書において甲第7号証の添付物として提出した資料を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 商品の抵触について
本件商標の指定商品は、上記1のとおりであり、引用商標の指定商品は、上記2のとおりである。
したがって、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品とそれぞれ抵触する。
イ 商標の抵触について
本件商標は、欧文字で「MERCI」及び「BEAUCOUP」の各語を一文字分の空白を介して左横書きし、その下に片仮名で「メルシーボークー」と併記してなるものである。
本件商標前半の「MERCI」及び「メルシー」はフランス語で「ありがとう」の意味であり、国語辞典にもそのように掲載されている。そして後半の「BEAUCOUP」及び「ボークー」もフランス語の副詞で「大いに」の意味であり、これが前方の「MERCI」と組み合わさると全体として「どうもありがとう」、「ありがとうございます」という表現になる。
よって、本件商標よりフランス語で「ありがとう」という感謝の意の観念を生じるものであり、この観念と引用商標から生じるフランス語で「ありがとう」の観念とは完全に一致するものである。
したがって、本件商標と引用商標とは、互いに観念が同一の類似商標である。
また、本件商標と引用商標の外観を対比すると、本件商標の「MERCI」及び「メルシー」の文字部分は引用商標と同一である。
称呼については、本件商標よりは「メルシーボークー」の称呼を生じるが、この称呼と引用商標から生じる「メルシー」の称呼とは2音「ボークー」を除けば、称呼の印象を大きく作用する前方においての3音が完全に一致しており、相紛らわしいものである。
したがって、本件商標と引用商標は、特に観念が一致し、外観及び称呼においても類似する。
ウ 小括
このように、本件商標と引用商標は、観念が同一であり、その外観及び称呼が類似するものであるから、両商標は相紛らわしい類似の商標とするのが相当であり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(2)商標法第4条第1項第19号について
ア 引用商標の周知・著名性
引用商標2及び引用商標3は、ドイツにおいて1965年に使用が開始されて以降、1966年にオーストリア、1979年にオランダ、ベルギーなど欧州各国でも順次使用され、以来、永年に渡り使用を継続した結果、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、既に申立人の製造販売する「チョコレート菓子、チョコレートキャンディ、プラリーヌ」に係る商標として外国の一般消費者の間で周知・著名となっていることは、申立人の請求に係る欧州共同体商標の異議申立事件において提出された各種証拠(甲8ないし甲11)により、OHIMの裁定委員会も認めていることであるから、引用商標2及び引用商標3は、申立人の業務にかかる商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、外国における需要者の間で広く認識されていた。
イ 本件商標と引用商標との類否
本件商標は上記1のとおりの構成からなるところ、その構成中「MERCI」及び「メルシー」の語には、「ありがとう」の意味があり、「BEAUCOUP」及び「ボークー」の語には、「大いに」の意味合いがあり、英語でいうところの「THANK YOU VERY MUCH(サンキュー ベリーマッチ)」の「VERY MUCH(ベリーマッチ)」に相当する語である。
そうとすれば、本件商標は、申立人の外国周知・著名商標と共に同じフランス語で感謝の意を表す同じ表現であって、その差は謝意の程度や丁寧さにあるにすぎないものであり、観念が同一であるから、引用商標に類似することは明白である。
不正の目的について
引用商標2及び引用商標3が、本件商標の登録出願時において、既に欧州全域で周知・著名であったことは前記のとおりである。そして、その周知・著名性の程度は、OHIMにおいても認定されているように極めて高いものであるから、我が国で菓子の製造・販売に従事する当業者であれば引用商標2及び引用商標3が申立人の業務にかかる商品を表示する商標であることを認識していたと考えるのが自然である。
そうとすれば、それにもかかわらず商標権者において、引用商標2及び引用商標3と極めて類似する本件商標をあえて採用し、登録出願したのは、欧州全域で広く認識されている引用商標2及び引用商標3の名声に便乗する不正の目的をもってしたものと考えるのが自然である。
エ 小括
以上のとおり、本件商標は、申立人の業務に係る商品として欧州全域において広く認識された引用商標2及び引用商標3と類似の商標であって、不正の目的をもって出願・登録されたものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
(3)むすび
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第19号に該当するにもかかわらず商標登録されたものであるから、その登録は、同法第43条の2第1号により取り消されるべきである。

4 当審の判断
(1) 商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標について
本件商標は、「MERCI BEAUCOUP」の欧文字及び「メルシーボークー」の片仮名を2段に書してなるところ、該欧文字部分は「MERCI」の文字と「BEAUCOUP」の文字との間が一文字程度の間隔があるとしても、構成各文字は同じ書体、同じ大きさで表されており、下段の片仮名はその表音を表したものとして、外観上まとまり良く一体的に看取し得るものである。
そして、本件商標の構成文字から生じる「メルシーボークー」の称呼も格別冗長とはいえず、一気一連に称呼し得るものである。
また、本件商標の構成中の前半の「MERCI」及び「メルシー」の文字が、フランス語で「ありがとう」を意味するものであることは我が国において相当程度には知られているといえるものの、後半部の「BEAUCOUP」及び「ボークー」の文字までが、フランス語で「たいへん、大いに」を意味するものであることが広く知られているとはいえないから、本件商標の構成全体から「どうもありがとう」、「ありがとうございます」という前半部の文字とほぼ同一の意味を有するフランス語あるいはその意味の外来語であるとまで認識されるとはいえないものである。
そうすると、本件商標は、一連に書された構成全体をもって一体不可分のものとして認識し把握されるとみるのが自然であって、その構成文字全体に相応して、「メルシーボークー」の一連の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものというのが相当である。
イ 引用商標について
引用商標は、「メルシー」、「MERCI」及び「Merci」の文字からなるところ、いずれも「メルシー」の称呼及び「ありがとう」の観念が生じるものである。
ウ 本件商標と引用商標との類否について
そこで、本件商標と引用商標の類否についてみるに、外観においては、それぞれの構成文字は明らかな差異を有するから、相紛れるおそれのないものである。次に、称呼においては、本件商標から生じる「メルシーボークー」の称呼と引用商標から生じる「メルシー」の称呼とを比較すると、両者はその構成音数及び「ボークー」の称呼の有無において明らかな差異を有するものであるから、両者をそれぞれ一連に称呼しても相紛れるおそれのないものである。
さらに、観念においては、引用商標は「ありがとう」の観念が生じるものであり、本件商標は、前記したように、特定の観念を生じないものであるから、本件商標と引用商標とは観念上も相紛れるおそれのないものである。
そうとすれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれからみても、相紛れるおそれのない非類似の商標であり、かつ、他に出所の混同を生じさせるおそれがあるなど、両者が類似するというべき特段の理由は
見いだせないから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではない。
(2)商標法第4条第1項第19号について
商標法第4条第1項第19号は「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であつて、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもつて使用をするもの(前各号に掲げるものを除く。)」とされているところ、上記(1)ウのとおり、本件商標と引用商標とは非類似の商標である。
しかも、申立人は、「商標権者において、引用商標2及び引用商標3と極めて類似する本件商標をあえて採用し、登録出願したのは、欧州全域で広く認識されている引用商標2及び引用商標3の名声に便乗する不正の目的をもってしたものと考えるのが自然である。」と主張しているが、申立人は、商標権者が、引用商標2及び引用商標3の名声に便乗する行為を行っていること、あるいは、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的を有していることを具体的に立証していない。
そして、当審が職権をもって調査するも、商標権者が、引用商標2及び引用商標3の名声を利用して本件商標の指定商品を取り扱っているなど、不正の目的をもって本件商標を使用している事実及び事情を見い出すこともできなかった。
してみれば、本件商標が不正の目的をもって使用するものということもできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号の要件を満たしているということはできないから、同号に違反して登録されたものということはできない。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第19号のいずれにも違反して登録されたものではなく、取り消すべき理由がないものと認められるから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2015-11-02 
出願番号 商願2014-62415(T2014-62415) 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W30)
T 1 651・ 263- Y (W30)
T 1 651・ 222- Y (W30)
T 1 651・ 262- Y (W30)
最終処分 維持  
前審関与審査官 大渕 敏雄 
特許庁審判長 林 栄二
特許庁審判官 大森 健司
中束 としえ
登録日 2014-12-12 
登録番号 商標登録第5726471号(T5726471) 
権利者 モロゾフ株式会社
商標の称呼 メルシーボークー 
代理人 齋藤 宗也 
代理人 山崎 和香子 
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト 

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