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審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2015900118 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W05
審判 全部申立て  登録を維持 W05
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管理番号 1307548 
異議申立番号 異議2015-900153 
総通号数 192 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2015-12-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-05-15 
確定日 2015-10-29 
異議申立件数
事件の表示 登録第5743347号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5743347号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5743347号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおりの構成からなり,平成26年11月4日に登録出願,第5類「薬剤」を指定商品として,同27年2月4日に登録査定,同月20日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,登録異議の申立ての理由として引用する登録第5272537号商標(以下「引用商標」という。)は,別掲2のとおりの構成からなり,平成19年4月1に登録出願された商願2007-30330に係る商標法第10条第1項の規定(分割出願)による商標登録出願として,同20年1月8日に登録出願され,第35類「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品(うちわ・せんすを除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,酒類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食肉の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食用水産物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,野菜及び果実の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,米穀類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,牛乳の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,清涼飲料及び果実飲料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,茶・コーヒー及びココアの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,家具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,薬剤及び医療補助品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,花及び木の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,印刷物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,紙類及び文房具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,運動具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,写真機械器具及び写真材料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,時計及び眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,宝玉及びその模造品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として,同21年10月9日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。

第3 登録異議の申立ての理由
本件商標は,商標法第3条第1項第3号,同法第4条第1項第11号又は同第16号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号によって取り消されるべきものであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第9号証を提出した。
1 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
(1)本件商標が本件指定商品の品質,効能等を表すものであること
本件商標は「LOX」の欧文字を普通に用いられる方法で書してなるものであるところ,この「LOX」の欧文字は,薬剤の一般名として広く知られる「ロキソプロフェンナトリウム水和物」を表すものであり,これに接する需要者又は取引者は「ロキソプロフェンナトリウム水和物」であることを極めて容易に認識,把握するものである。そのため,本件商標は本件指定商品の品質,効能等の内容を表すものといわなければならない。
(2)本件商標が取引上広く使用されていること
前記のように,本件商標は,薬剤の一般名として広く知られる「ロキソプロフェンナトリウム水和物」を表すものであるが,以下に述べるように,本件指定商品「薬剤」の分野においては,「LOX」の欧文字が「ロキソプロフェンナトリウム水和物」を表すものとして取引上広く使用されているものである。
すなわち,甲第5号証として提出する「医療用医薬品識別ハンドブック2015(株式会社じほう発行)」には,薬剤の名称とそれに対応する識別コードが記載されている。ここで,識別コードとは,薬剤本体,PTP包装シート,商品パッケージ等に記載されているコードであり,これにより薬剤の名称,一般名,薬効その他の情報が検索可能となる。
甲第5号証には,「LOX-50」及び「LOX-100」の文言が記載されており,これは「シオノケミカル株式会社」が製造する製品名「ロキソプロフェンNaテープ50mg」及び同「ロキソプロフェンNaテープ100mg」の一般名が「ロキソプロフェンナトリウム水和物」であり,その識別コードが「LOX-50」及び「LOX-100」であることを示すものである。さらに,当該製品の薬効は「経皮吸収型鎮痛・抗炎症剤」であり,副作用が比較的強いとされるステロイド薬とは異なるものであるため,かなり広範囲の需要者又は取引者に流通するものである。現実に「ロキソプロフェンNaテープ50mg 『SN』/100mg『SN』」の添付文書(甲6)においても,識別コードとして「LOX」が表示されていることから,同製品の購入者が「LOX」を「ロキソプロフェンナトリウム水和物」と認識する可能性は極め高いものである。そのため,これに接する需要者又は取引者は,「LOX」の欧文字を「ロキソプロフェンナトリウム水和物」の一般名として容易に認識・把握するものである。
さらに,「LOX」の語は「ロキソプロフェンナトリウム水和物」を表すものとして,様々な学術論文や各種資料において多用されている(甲7,甲8)。
その上,本件商標権者である第一三共ヘルスケア(以下「本件商標権者」とする。)自身が,「ロキソプロフェンナトリウム水和物」を表すものとして「LOX」の語を用いている。すなわち,本件商標権者が特許出願人である公開特許公報(平成23年1月17日出願;甲9)第5頁には,「ロキソプロフェンナトリウム・2水和物(以下LOXと略す)・・・」との記載があり,以降,この「LOX」の語を「ロキソプロフェンナトリウム水和物」を表す目的で多用している。この事実は,本件商標権者が,少なくとも平成23年1月17日には「LOX」の語が「ロキソプロフェンナトリウム水和物」を表すものであることを認識していたこと,すなわち,「LOX」の語が商標として機能するものではないことを認識していたことの決定的な証左となる。
このように,本件商標は,本件指定商品の品質,効能等の内容を表すものとして取引上極めて広範囲に使用されているものといえ,さらに,この事実は本件商標権者自身も認識・把握していたものといえる。
(3)小括
以上の事実より,本件商標を本件指定商品中の「ロキソプロフェンナトリウム水和物に係る薬剤」について使用すると,商品の品質,効能等の内容を普通に用いられる方法で表示するものであるから,本件商標は自他商品の識別標識として機能するものではない。
したがって,本件商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。
さらに,本件商標を前記薬剤以外の薬剤に使用すると商品の品質を誤認する可能性が極めて高いものであるため,商標法第4条第1項第16号に該当する。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標が引用商標に酷似する点
本件商標と引用商標とは,特に称呼及び外観の観点からも相紛らわしいものであるため,互いに類似する関係にあるものといわなければならない。
まず初めに,本件商標よりは,その構成態様より「ロックス」の称呼が生ずる。これに対して,引用商標においても,その構成態様より「ロックス」の称呼が生ずる。
そうすると,本件商標と引用商標とは「ロックス」の称呼において共通することとなり,これに接する需要者又は取引者は,称呼上相紛らわしいものといわなければならない。
次に,外観については,両商標の構成態様は,前記1及び2の構成態様よりなるものであるところ,「OX」の各文字部分が互いに共通するものである。そのため,両商標の外観上の差異は漠然とあいまいであり,これらに接する需要者又は取引者は,外観上の近似した印象を拭い切れない。このように,時と所を異にする離隔観察によっては,両商標は外観上互いに相紛らわしいものといわなければならない。
そうすると,近年インターネット取引が急速に普及することにより商標の外観が類似性に与える影響が極めて大きいといった取引の実情に鑑みれば,両商標に接する需要者又は取引者はその商品又は役務の出所について混同が生ずる可能性が極めて高いものといえる。
そのため,両商標は,外観上互いに類似するものといわなければならない。
(2)本件指定商品と引用指定役務とが互いに類似する点
本件指定商品は,第5類「薬剤」であり,引用指定役務には,第35類「薬剤及び医療補助品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」が含まれる。
すなわち,これらの商品・役務は「薬剤」と「薬剤の小売等役務」であることから,その用途は一致することは勿論のこと,商品の販売場所と役務の提供場所が一致し,需要者の範囲など様々な観点から一致するものである。
したがって,本件指定商品と引用指定役務とは,互いに類似するものといわなければならない。
(3)小括
このように,本件商標は,称呼及び外観の観点からも引用商標と酷似するものであり,これらに接する需要者又は取引者は出所の誤認,混同を生ずる可能性は計り知れない。さらに,その指定商品においても一部が同一又は類似の関係にあることは明らかである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
3 結語
以上に述べたとおりであるから,本件商標登録は,商標法第3条第1項第3号,同法第4条第1項第11号又は同項第16号に違反して登録されたものであるから,商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきものである。

第4 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
(1)申立人提出の証拠について
ア 「医療用医薬品識別ハンドブック2015」において,538ページ及び539ページの識別表示の欄をみると,「LOX-50」及び「LOX-100」の項があり,その製品名(会社名)の欄には,それぞれ「ロキソプロフェンNaテープ50mg『SN』(シオノ)」及び「ロキソプロフェンNaテープ100mg『SN』(シオノ)」の記載があり,薬効・一般名の欄には,「経皮吸収型鎮痛・抗炎症剤 ロキソプロフェンナトリウム水和物」の記載があり,また,識別表示「LOX-50」及び「LOX-100」の項の上段をみると,「LO-T50」及び「LO-T100」の項があり,その製品名(会社名)の欄には,それぞれ「ロキソプロフェンNaテープ50mg『TS』(テイカ製薬)」及び「ロキソプロフェンNaテープ100mg『TS』(テイカ製薬)」の記載があり,薬効・一般名の欄には,「経皮吸収型鎮痛・抗炎症剤 ロキソプロフェンナトリウム水和物」の記載がある(甲5)。
イ 「ロキソプロフェンNaテープ50mg『SN』」及び「ロキソプロフェンNaテープ100mg『SN』」の添付文書の【組成・性状】の表において,販売名の欄に「ロキソプロフェンNaテープ50mg[SN]」及び「ロキソプロフェンNaテープ100mg[SN]」の記載と識別コードの欄に「LOX-50」及び「LOX-100」の記載がある(甲6)。
ウ 「医療薬学 Vol.29,No5(2003)」において,「急性骨髄性白血病患者に対する化学療法期間中にロキソプロフェンナトリウムを投与し血圧低下を起こした2病例」の見出しの下,「緒言」の項に,「ロキソプロフェンナトリウム(LOX)」の記載がある(甲7)。
エ 「DIGITAL e-hon」のウェブサイトにおいて,「【消化器疾患の病態生理】胃潰瘍を起こしにくいロキソプロフェン誘導体,フルオロロキソプロフェンに関する研究」の見出しの下,「内容紹介」の項に,「ロキソプロフェンナトリウム(LOX)」の記載がある(甲8)。
オ 「公開特許公報」の「特開2011-168580」において,「【実施例】」の項の「(1)被検物質」において,「ロキソプロフェンナトリウム・2水和物(以下LOXと略す)」の記載がある(甲9)。
(2)以上のとおり,申立人提出の証拠によれば,甲第5号証における,識別表示「LOX-50」及び「LOX-100」の薬効・一般名「経皮吸収型鎮痛・抗炎症剤 ロキソプロフェンナトリウム水和物」と,識別表示「LO-T50」及び「LO-T100」の薬効・一般名「経皮吸収型鎮痛・抗炎症剤 ロキソプロフェンナトリウム水和物」とは,その薬効・一般名は同一であるが,両医薬品の会社名は異なるものである。
そうすると,識別表示は,医薬品の名称,一般名,薬効その他の情報を検索するための記号であるとしても,それが薬剤の一般名を表しているものとはいえないものである。
また,甲第6号証における医薬品の販売名は,「ロキソプロフェンNaテープ50mg[SN]」及び「ロキソプロフェンNaテープ100mg[SN]」であり,その識別コードは,「LOX-50」及び「LOX-100」であって,申立人が述べる「LOX」の文字が,「ロキソプロフェンナトリウム水和物」の一般名であるとする記載は,どこにも見当たらないものである。
さらに,甲第7号証及び甲第8号証には,「ロキソプロフェンナトリウム(LOX)」の記載があり,甲第9号証においては,「ロキソプロフェンナトリウム・2水和物(以下LOXと略す)」の記載があり,「LOX」の文字が,それぞれ,「ロキソプロフェンナトリウム」及び「ロキソプロフェンナトリウム・2水和物」の略称であるとする記載がされており,申立人が述べる「ロキソプロフェンナトリウム水和物」と異なる物質名が記載されている。
そうすれば,「LOX」の文字が,薬剤の一般名を表すものとして,本件商標の登録査定時に,本件商標の指定商品を取扱う業界において商品の品質又は効能等を表示するものとして取引上普通に使用されているとはいえないものである。
また,甲第5号証は,比較的高価なものであって,その表紙には,「鑑別報告書が作成できるCD-ROM付」の記載があり,収録内容も専門的な語が多く含まれていることからすると,日常一般人に利用されるものではないから,「LOX」の文字が,これに掲載されているからといって一般によく知られている語であるということはできないものである。
そして,申立人提出の他の証拠をみても,「LOX」の文字が本件商標の指定商品を取り扱う業界において,商品の品質を表示するものとして使用され,かつ,認識されているとの具体的な状況を認めることはできないから,本件商標が商品の内容を表示するものとして普通に使用されているとまではいい得ないものである。
(3)まとめ
以上のことから,本件商標は,これを指定商品中,「ロキソプロフェンナトリウム水和物に係る薬剤」について使用しても,その品質,内容等を表示するものとして取引者,需要者の間に認識されているものとはいえないから,自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものであり,かつ,これを「ロキソプロフェンナトリウム水和物に係る薬剤」以外の薬剤について使用しても,商品の品質について誤認を生ずるおそれはないものである。
したがって,本件商標は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標
本件商標は,別掲1のとおりの構成よりなるところ,「LOX」の文字は,同じ大きさ及び同じ書体をもって表されているものであり,該文字は,辞書に掲載されていない語であって,特定の意味を有しない一種の造語というのが相当である。
そうすると,本件商標は,その構成文字に相応して,「ロックス」又は「エルオオエックス」の称呼を生ずるものであり,また,特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標
引用商標は,別掲2のとおりの構成よりなるところ,「ROX」の文字は,同じ大きさ及び同じ書体をもって太字で表されているものであり,該文字は,辞書に掲載されていない語であって,特定の意味を有しない一種の造語というのが相当である。
そうすると,引用商標は,その構成文字に相応して,「ロックス」又は「アアルオオエックス」の称呼を生ずるものであり,また,特定の観念を生じないものである。
(3)本件商標と引用商標との類否
本件商標と引用商標との類否について検討すると,両商標は,いずれも3文字と短い文字構成であって,その語頭部において「L」の欧文字と「R」の欧文字との差異を有するものであるから,外観上,顕著な差異があり,取引者及び需要者が本件商標の外観から受ける視覚上の印象は引用商標のそれと明確に異なるものということができる。
また,称呼においては,本件商標と引用商標とは,いずれも「ロックス」の称呼を生ずるものである。
さらに,観念においては,本件商標と引用商標とは,いずれも特定の観念を生じないものであるから,観念において比較することはできない。
してみれば,本願商標と引用商標とは,「ロックス」の称呼を共通にする場合があるとしても,外観において顕著に相違し明確に区別できるものであって,また,観念において比較することができないことから,両商標の比較において,一の称呼の共通性が外観における差異を凌駕するものとはいい難く,外観,称呼及び観念を総合的に判断すると,両商標は,互いに紛れるおそれのない非類似の商標とみるのが相当である。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
4 結論
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号並びに同第11号に違反してされたものではないから,商標法第43条の3第4項の規定により,その登録を維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 別掲1 本件商標



別掲2 引用商標



異議決定日 2015-10-21 
出願番号 商願2014-92744(T2014-92744) 
審決分類 T 1 651・ 272- Y (W05)
T 1 651・ 261- Y (W05)
T 1 651・ 262- Y (W05)
T 1 651・ 263- Y (W05)
T 1 651・ 13- Y (W05)
最終処分 維持  
前審関与審査官 小田 昌子 
特許庁審判長 金子 尚人
特許庁審判官 井出 英一郎
榎本 政実
登録日 2015-02-20 
登録番号 商標登録第5743347号(T5743347) 
権利者 第一三共ヘルスケア株式会社
商標の称呼 ロックス、エルオオエックス 

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