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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
不服20152765 審決 商標
不服20155074 審決 商標
不服20153917 審決 商標
不服20156508 審決 商標
不服20156858 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W39
管理番号 1307496 
審判番号 不服2015-8045 
総通号数 192 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-04-30 
確定日 2015-11-02 
事件の表示 商願2014-24870拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は,「セルフレンタカー」の文字を標準文字により表してなり,第39類「自動車の貸与」を指定役務として,平成26年3月17日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定は,「本願商標は,『セルフ方式による(自分自身で行う)レンタカーサービス』の意味合いを容易に認識させる『セルフレンタカー』の文字を普通に用いられる方法で表示してなるところ,近年,レンタカーを利用するにあたり,ドアロックの解錠から返却時のドアロックまで利用者自身が行うセルフ方式によるサービスが提供されている実情が認められることよりすれば,本願商標をその指定役務『自動車の貸与』に使用しても,単に役務の質又は提供の方法を普通に用いられる方法で表示するにすぎない。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は,上記1のとおり,「セルフレンタカー」の文字を標準文字により表してなるところ,その構成中,「セルフ」の文字は「自分自身で,みずから」(広辞苑第6版)の意味を,「レンタカー」の文字は「賃貸し自動車」(前掲書)の意味をそれぞれ有する片仮名語として,一般に親しまれた語である。
そして,「セルフ」の文字は,「セルフサービス」(飲食店・商店で,客が自分の注文品を自ら選び取って運ぶ方式(前掲書)),「セルフレジ」(スーパーやコンビニで,買い物に来た客自身が精算・会計を済ませる支払機。無人レジ。(「現代用語の基礎知識2014」自由国民社))及び「セルフスタンド」(セルフ式ガソリンスタンド:セルフサービス方式のガソリンスタンド。客は,タッチパネルなどの入力装置で燃料の種類や量などを指定し,自分でノズルを差し入れて給油する。(「大辞泉第2版」小学館))等のように,他の語と結合して,通常,サービス提供に関して提供者側により有人により行われていた作業や精算手続などを,利用者自身が行う方式で提供されるサービスであることを示すための語としても広く用いられている。
また,本願商標の指定役務を取り扱う業界においても,以下に掲げる原審において示したインターネット上の情報(アないしエ)に加え,当審による職権により確認できたインターネット上の情報(オ)によれば,利用者自身がドアロックの解錠や鍵の返却などの貸出しや返却手続を行うレンタカーサービスが実際に提供されている実情が認められ,そのようなサービスを「セルフレンタカー」と指称する事業者がいることも確認できる。

ア インターネット上の「オリックスレンタカー」のホームページにおいて「貸渡約款」の中で「第1条(約款の適用)1 当社は,この約款の定めるところにより,貸渡自動車(以下『レンタカー』といいます。また,レンタカーのうち特に借受人自身で第10条第1項なおに従い,レンタカーの引き渡し手続きを行う場合を以下『セルフレンタカー』といいます。)を借受人に貸し渡すものとし,借受人はこれを借り受けるものとします。なお,この約款に定めのない事項については,法令又は一般の慣習によるものとします。」との記載がある。
(https://car.orix.co.jp/userguide/agreement.html)
イ インターネット上の「無人レンタカー/カーシェアリング沖縄」のホームページにおいて「よくあるご質問」の記事の中で「弊社サービスは,カーシェアリング(セルフレンタカー)の為,現地スタッフによるご案内・対応は行っておりません。可能な限り安い料金にてご利用いただく為,車の整備以外の点検,清掃,貸渡・ご返却はお客様ご自身に行っていただいております。」との記載がある。
(http://japancarsharing.com/faq/)
ウ インターネット上の「無人レンタカーシステム株式会社」のホームページにおいて「会社概要」の記事の中で「レンタカー・ビジネスの新しいフィールドを切り拓くために,レンタカーの貸出や返却,精算などの業務対応において,他業界では当たり前の『機械化,自動化,無人化』,究極的には『24時間無人化の店舗』を実現できるシステムの開発に取り組んでまいりました。この度発売を開始します『レンタカー24』は,小規模でのレンタカーの運用,またカーシェアリングのシステムとしての導入というような用途も想定して,システムの開発をいたしました。・・・近い将来に,この『レンタカー24』が,『セルフ レンタカー システム』として認知され,レンタカーを借りたり返したりする場合のスタイルやロケーションに,革新的な変化をもたらすことが出来るように,取り組んで参りたいと考えております。」との記載がある。
(http://mujin-rentacar24.com/profile.html)
エ インターネット上の「駅すぷれす」のホームページにおいて「駅すぷれすとは?」の記事の中で「駅すぷれす 3つの特徴 1 セルフ方式 無店舗 無人貸出 駅すぷれすはセルフ方式により予約から返却時のドアロックまでお客様ご自身でお願いしております。アクセスは簡単,パソコンで弊社のWEBサイトより予約 お車のカギは携帯電話の通信機能で解錠施城が可能」との記載がある。
(http://www.ex-rent.jp/about.html)
オ インターネット上の「ニッポンレンタカー」のホームページにおいて「クイックステーションとは」の記事の中で「クイックステーションは,お客さまご自身による簡単操作で素早くレンタカーのご出発/ご返却手続きを行っていただくセルフレンタル機です。従来のカウンターでの手続よりも短時間で簡単にご利用いただけるため,朝のご出発や夜のご返却など窓口が混雑しやすい時間帯においても,スムーズにご出発いただけます。」との記載がある。
(https://www.nipponrentacar.co.jp/service/news/info161.htm)

そうとすれば,本願商標は,これをその指定役務「自動車の貸与」に使用するときは,これに接する需要者,取引者をして,「(利用者自身がドアロックの解錠や鍵の返却などの貸出しや返却手続を行う)セルフ方式のレンタカー(賃貸し自動車)サービス」程の意味合いを容易に理解,認識させるにとどまるというのが相当であり,単に役務の質,提供の方法を普通に用いられる方法で表示するにすぎない。
したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は,「セルフ」の語から「セルフ方式による」の意味合いは生じないし,「セルフレンタカー」の語も辞書に記載がなく,本願商標から役務の具体的内容を直ちに理解することは困難であり,全体として一連の造語と認識される旨主張している。
しかしながら,上記(1)のとおり,本願商標を構成する「セルフ」及び「レンタカー」の文字は,それぞれが有する意味と共に一般に親しまれた語であり,さらに「セルフ」の語は他の語と結合して「セルフ方式」であることを示すための語として広く用いられていることからすれば,それぞれの文字を一連に書した本願商標としても「セルフ方式のレンタカー」程の意味合いを容易に想起させるばかりでなく,実際にセルフ方式のレンタカーサービスが複数の事業者により提供され,そのサービスを「セルフレンタカー」と称している事実があることを鑑みれば,本願商標は,上記(1)認定のとおり,セルフ方式のレンタカーサービスを端的に指称する表示として,取引者・需要者に認識されるにすぎないといわざるを得ない。
また,請求人は,過去の審決例を挙げて,単に各語の意味を結合するのでなく,構成全体をもって自他役務の識別標識として機能できるか検討すべき旨主張するが,本願商標の識別機能を判断するに際しては,各語の意味を結合しただけでなく,実際に「セルフレンタカー」と称してセルフ方式のレンタカーが提供されている取引の実情や「セルフ」の語の使用状況なども踏まえて商標の構成全体としての識別機能を判断しているのであり,その判断手法はむしろ請求人の主張に沿ったものである。
そして,登録出願に係る商標が商標法第3条第1項の規定に該当するか否かは,当該商標の査定時又は審決時において,該商標の構成態様と指定役務との関係や役務の取引の実情をも踏まえて個別具体的に判断されるべきものであるところ,請求人の挙げた審決例は,いずれも本願商標とは,使用する商品又は役務が異なるものであるばかりか,商標の構成態様においても異なるものであるから,事案を異にするものというべきであり,また,過去の審決例が存在することをもって,本願商標の上記判断が左右されるものではない。
したがって,請求人の主張は,いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当するから,登録することはできない。
よって,結論のとおり審決する。
審理終結日 2015-08-31 
結審通知日 2015-09-04 
審決日 2015-09-16 
出願番号 商願2014-24870(T2014-24870) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W39)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 寺澤 鞠子小俣 克巳 
特許庁審判長 田中 幸一
特許庁審判官
冨澤 武志
田村 正明
商標の称呼 セルフレンタカー、セルフ 
代理人 藤本 昇 

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