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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服2015378 審決 商標
不服201421668 審決 商標
不服20153917 審決 商標
不服20152765 審決 商標
不服20196392 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 登録しない W15
管理番号 1307494 
審判番号 不服2013-21959 
総通号数 192 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-11-08 
確定日 2015-11-02 
事件の表示 商願2012-96780拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は,「CX Series」の欧文字を標準文字で表してなり,第15類「楽器,演奏補助品,音さ,電子楽器制御用データにより楽音を発生させる音源装置,ミュージックシーケンサー,楽音サンプラー(電子楽器用のものに限る。),自動リズム演奏装置,電気又は電子楽器用エフェクター,調律機」を指定商品として,平成24年11月29日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は,「本願商標『CX Series』は,商品の型式や規格等を表示するための記号,符号と認識することができる欧文字2字『CX』に連続性を持つ一連のものの商品であると容易に認識される『Series』を併せて,その間に1文字分のスペースを空けて,標準文字で現したものであるところ,『CX』は,商品の型式や規格等を表示するための記号,符号と認識することができる『極めて簡単で,かつ,ありふれた標章』といわざるを得ず,また,『Series』は,連続性を持つ一連のものの商品であることを示す語として,普通に使用され,一般に知られているものであるから,自他商品識別力がないか極めて弱いものである。そうすると,本願商標を指定商品中の例えば「ギター,ピアノ」に使用するときは,これに接する取引者・需要者が,『CXという品番の連続性のもののギター,CXという品番の連続性のもののピアノ』であること,すなわち,『CXというシリーズもののギター,CXというシリーズもののピアノ』と認識するにとどまり,本願商標は,自他商品の識別標識としての機能を有するものとはいえない。したがって,本願商標をその指定商品に使用する場合には,自他商品の識別力を欠くために,商標としての機能を果たし得ないから,本願商標は,商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

3 当審における手続の経緯
当審において,平成26年12月3日付けの審尋により,請求人に対し,本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するか否かについて,別掲のとおり,本願の指定商品を取り扱う業界において,CXの文字が,本願の指定商品を取り扱う業界において記号・符号として使用されている事実及び欧文字1字又は2字と「Series」又はその表音である「シリーズ」の文字との組み合わせからなるものが使用されている事実を挙げて,意見を求めたところ,請求人は,同27年1月21日に回答書を提出した。

4 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第6号該当性について
本願商標は,上記1のとおり,「CX Series」の欧文字を標準文字で表してなるところ,全体として親しまれた成語的観念を有するものともいえず,その構成において「CX」の文字と「Series」の文字との間に1文字分の間隔が空いていることから,本願商標は,「CX」の文字と「Series」の文字とからなるものと容易に看取できる。
そして,「CX」の文字はアルファベットの標準文字2字からなる,極めて簡単かつありふれたものである。
また,「Series」の文字は「連続,ひと続き,続き物,シリーズもの」(「ジーニアス英和辞典 第5版」大修館書店)の意味を有し,「シリーズ」と表音される英語として一般に広く慣れ親しまれている語であるところ,かかる意味を有する英語「series」又はその表音である「シリーズ」の各文字は,本願に係る指定商品を取り扱う業界において,自己の製造,販売に係る各種製品について,いわゆる「シリーズ商品」等といった同系統ないしは一連の商品群であることを表すものとして,取引上普通に採択,使用されているのが実情である。
そして,「CX」を含む欧文字の1字又は2字と「Series」又はその表音である「シリーズ」の文字との組み合わせからなるものは,別掲で指摘した事実(1(1),2及び3)に加え,当審において職権で調査した以下のアないしウに示す内容(審決注:下線部は審判合議体において付加した。)に照らせば,同系統ないしは一連の商品群(シリーズ商品)であることを表すものとして,取引上採択,使用される場合があるというのが相当である。

ア 株式会社河合楽器製作所作成の「デジタルピアノ総合カタログ」(2015年4月版)5ページにおいて,同社のデジタルピアノ「CA97/CA67」の説明文中,「『Shigeru Kawai』という頂点の音を,デジタルピアノへ」の見出しのもと,「世界の音楽シーンを動かしたShigeru Kawaiの音をサンプリングした,CAシリーズでお楽しみください。」との記載がある。
イ ローランド株式会社作成のカタログ「ローランドピアノ・デジタル」(2014・vol.3)15ページにおいて,同社のデジタルピアノ「HP508」の説明文中「ご家庭で最高級ピアノのクオリティをかなえたデジタル・ホームピアノHPシリーズの最上位モデル。」との記載がある(HPシリーズの他のモデルは同カタログの16?17ページに掲載されている。)。また,同カタログの25ページにおいて,「お部屋に,ローランドのデジタルピアノを。」のコラム欄中「設置や移動がスムーズ。」の見出しのもと,「DPシリーズは奥行き約30cm。さらに蓋を閉めると上部がフラットですっきりした外観に。」との記載がある(DPシリーズのモデルは同カタログの22?23ページに掲載されている。)。
ウ ローランド株式会社のホームページにおいて,「スタイリッシュ&コンパクトなデジタルピアノFシリーズの新機種『F-100』発売のお知らせ」の見出しのもと,「ローランド株式会社(社長:http://www.roland.co.jp/ 資本金:92億74百万円)は,インテリアにマッチするおしゃれなデザインに,ピアノ・レッスンにしっかり対応する基本性能も充実した新感覚のデジタルピアノFシリーズの新機種『F-100』を発売いたします。昨年6月に発売いたしましたデジタルピアノFシリーズの第一弾『F-90』は,インテリア感覚のシンプルかつコンパクトな外観に,豊かなピアノ音/心地よいタッチなど,本格的なピアノ演奏に対応した新感覚のデジタルピアノとして,ご好評いただいております。このFシリーズの新機種『F-100』では,スタンド一体型の2本ペダル,アクリル製譜面立て,シャンパン・ゴールドの鍵盤ふたを装備。また,16種類のリズム機能,2トラックのレコーダー機能など,豊かな音楽性を養う練習支援機能も充実し,毎日のピアノ・レッスンにもしっかり対応する実用性とデザインの美しさを兼ね備えたデジタルピアノです。」との記載がある。
(http://www.roland.co.jp/news/0168.html)

してみれば,本願商標をその指定商品に使用した場合,これに接する取引者,需要者は,その構成全体から,「品番,型番等をCXという一連の商品群(シリーズ商品)」程の意味合いを表したものとして認識,理解するにとどまるというべきである。そうすると,本願商標は,商品の出所識別標識としては機能しないというのが相当であるから,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものといわざるを得ない。
したがって,本願商標は商標法第3条第1項第6号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は,本願商標を二語に分離して観察するのは不適当であり,その構成全体をもって一体不可分の特定の意味観念を有しない造語を表したものとして捉えるべき旨主張する。
しかしながら,本願商標は,上記のとおり,その指定商品を取り扱う業界における実情や当該用語の使用状況なども踏まえて商標の構成全体としての識別機能を判断しているのであり,その判断手法はむしろ請求人の主張に沿ったものである。そして,本願商標は,その構成全体をもって「品番,型番等をCXという一連の商品群(シリーズ商品)」程の意味合いを表したものと認識,理解されるにすぎず,商品の出所識別標識としては機能しないと判断するのが妥当であるのは上記のとおりである。
イ 請求人は,本願商標を自己の提供するグランドピアノの商標として使用しており,その間,他人の商標との混同や誤認などの弊害を第三者に与えたことや,出所の確認や照会を受けたこともなく,また,第三者が本願商標を使用している事実も皆無であるから,本願商標は,現に商標の自他識別機能を発揮しており,保護されてしかるべき旨主張する。
しかしながら,商標法第3条第1項6号に該当する商標であるか否かは,必ずしも現実の使用の事実が適用の要件となるものではないから,本願商標を第三者が使用しているかの事実により,本件の判断が左右されるものではない。また,本願商標が,それ単独で請求人の業務に係る商品を表示するものとして取引者・需要者に認識されているとは認めるに足りる証左の提出もない。そして,本願商標は,その構成全体をもって「品番,型番等をCXという一連の商品群(シリーズ商品)」程の意味合いを表したものと認識,理解されるにすぎず,商品の出所識別標識としては機能しないと判断するのが妥当であるのは上記のとおりである。
ウ さらに,請求人は,ローマ字1字又は2字と「シリーズ(Series)」の語が結合した過去の登録例を挙げ,本願商標も同様に登録されてしかるべき旨主張する。
しかしながら,本願商標が,自他商品の識別標識としての機能を果たすものであるか否かは,本願商標自体の具体的な構成とその指定商品との関係から,審決時において,指定商品の取引の実情等を考慮して個別かつ具体的に判断されるべきものであって,他の商標登録の事例の存在によって,本件の判断が左右されるものではない。
したがって,上記の請求人の主張は,いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第6号に該当するから,これを登録することはできない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲(平成26年12月3日付けの審尋により通知した事実)(審決注:下記3(3)のリンクには審決時点でアクセスすることはできない。)

1 CXの文字が,本願の指定商品を取り扱う業界において記号・符号として使用されている例
(1)カラメル!by GMOペポパのホームページにおいて,「PACIFIC DRUMS パシフィック ドラム / CX SERIES 5Pices Set シルバースパークル」との記載がある。
(http://calamel.jp/go/item/67222048)
(2)株式会社サウンドハウスのホームページにおいて,「HOHNER ( ホーナー ) / CX-12 Jazz 7546/48」との記載がある。
(http://www.soundhouse.co.jp/shop/ProductDetail.asp?Item=391%5ECX12JAZZ%5E%5E)
(3)株式会社コルグのコルグ・ミュージアムのホームページにおいて,「KORG/CX-3」との記載がある。
(http://www.korg.co.jp/SoundMakeup/Museum/CX-3/)
(4)ブルージーコーポレーションのホームページにおいて,「Mike Baranik CX cutaway アマゾンロース (2013)」との記載がある。
(http://www.blue-g.com/stk/detail.cgi?pid=06155)
(5)工房ミネハラのホームページにおいて,「RC-10 CX 4/4 お求めやすい価格に値下げRC-16 CX 4/4」との記載がある。
(http://www.minehara.com/showcase/hosco/hoscoco3.htm)
2 本願の指定商品を取り扱う業界において,欧文字1文字又は2字と「シリーズ」の文字との組み合わせを紹介した新聞記事
(1)「電子ピアノ,鍵盤に重り,操作性高く,河合楽器,新型2機種。」(2014年8月23日 日本経済産業新聞)の見出しのもと,「河合楽器製作所は電子ピアノの主力商品『CN』シリーズで,新型の鍵盤機構を搭載した2機種を発売する。樹脂製鍵盤の先端の内部に重りを入れることで,演奏時の操作性をグランドピアノの木製鍵盤に近づけた。・・・」との記載がある。
(2)「河合楽器,小型電子ピアノ,USB録音対応。」(2012年5月26日 日本経済新聞)の見出しのもと,「河合楽器製作所は6月16日,キーボード型のコンパクトな電子ピアノ『ES』シリーズで,音色や鍵盤の感触を改良した新製品を発売する。演奏をUSBメモリーに録音し,パソコンやオーディオプレーヤーで再生できるようにした。初年度に国内外で6000台の販売をめざす。・・・」との記載がある。
(3)「ローランドの電子アコーディオン??多彩な音色,自在に表現(この一品)」(2004年10月27日 日経流通新聞)の見出しのもと,「多彩な音色を搭載し表現力が向上した電子アコーディオン『Vアコーディオン FRシリーズ』。世界中のアコーディオン属の楽器音色に加え,フルート,バイオリン,クラリネット,ボイスなどの音色も搭載。左手・右手それぞれに好みの音色を選択できる。・・・」との記載がある。
(4)「カシオ,シンセ内蔵型ギターに普及品。」(1990年1月12日 日経産業新聞)の見出しのもと,「カシオ計算機は音源内蔵型のギターシンセサイザー『PG?三〇〇』=写真=を二月下旬に発売する。PGシリーズとしては昭和六十三年二月に売り出した『PG?三八〇』(二十二万一千円)に次ぐ第二弾。・・・」との記載がある。
3 本願の指定商品を取り扱う業界において,欧文字1字又は2字と「シリーズ」の文字との組み合わせを紹介したインターネットウェブサイトの例
(1)株式会社河合楽器製作所のホームページにおいて,「Kシリーズ」の見出しのもと,「KAWAI Upright Piano K Series/カワイアップライトピアノKシリーズ」との記載がある。
(http://www.kawai.co.jp/piano/upright/k-series/)
(2)株式会社河合楽器製作所のホームページにおいて,「GXシリーズ」の見出しのもと,「The GRAND GX Series」との記載がある。
(http://www.kawai.co.jp/piano/grand/gx/)
(3)ローランド株式会社のホームページにおいて,「Roland 製品カタログ F-100 Digital Piano」の見出しのもと,「高音質スピーカーを搭載」の項には,「表現力豊かなピアノ・サウンドをより美しく響かせるのが,Fシリーズの『ハイ・パフォーマンス2BOXスピーカー』。左右のスピーカー・ボックスを独立させることにより,クラスを超えた音量感と高音質を実現しました。」との記載がある。
(http://www.roland.co.jp/products/ck/F-100.html)
(4)カシオ計算機株式会社のホームページにおいて,「XW Series Synthesizer Special Site」の見出しのもと,「XWシリーズの心臓部新開発サウンドエンジン」との記載がある。
(http://world.casio.com/emi/xw/products/)



審理終結日 2015-08-31 
結審通知日 2015-09-04 
審決日 2015-09-16 
出願番号 商願2012-96780(T2012-96780) 
審決分類 T 1 8・ 16- Z (W15)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岩崎 安子佐藤 淳 
特許庁審判長 田中 幸一
特許庁審判官 田村 正明
冨澤 武志
商標の称呼 シイエックスシリーズ 
代理人 平山 一幸 

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