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審決分類 審判 一部無効  無効としない X141825
審判 一部無効 外観類似 無効としない X141825
管理番号 1307482 
審判番号 無効2014-890050 
総通号数 192 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-12-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2014-06-25 
確定日 2015-10-29 
事件の表示 上記当事者間の登録第5244936号商標の商標登録無効審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求のうち,本件商標の指定商品中,第25類についての商標法第4条第1項第11号を理由とする請求は却下する。その余の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5244936号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおりの構成よりなり,平成20年11月28日に登録出願,第14類「身飾品,キーホルダー,宝石箱,宝玉及びその模造品,貴金属製靴飾り,時計」,第18類「かばん金具,がま口口金,皮革製包装用容器,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,革ひも,毛皮」及び第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,べルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として,同21年5月22日に登録査定,同年7月3日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録第4997944号商標(以下「引用商標1」という。)は,別掲2のとおりの構成よりなり,平成18年3月9日に登録出願,第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,乗馬靴」を指定商品として,同年10月20日に設定登録されたものである。
同じく,登録第5155384号商標(以下「引用商標2」という。)は,別掲3のとおりの構成よりなり,平成18年10月30日に登録出願,第14類「貴金属,キーホルダー,身飾品(「カフスボタン」を除く。),貴金属製のがま口及び財布,宝玉及びその模造品,宝玉の原石,時計」,第18類「かばん類,袋物,傘,革ひも,原革,原皮,なめし皮,毛皮」及び第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,乗馬靴」を指定商品として,同20年8月1日に設定登録されたものであり,いずれも現に有効に存続しているものである。
(以下,これらをまとめていうときは「引用商標」という。)

第3 平成24年8月6日付けの請求人の無効審判請求
1 無効審判の経緯
請求人は,平成24年8月6日,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当すると主張して,無効審判(無効2012-890066号事件。以下「前審判」という。)を請求した(なお,請求人は,同項10号の該当性も無効理由として主張した。)。
前審判は,平成24年12月26日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決(以下「前審決」という。)がされ,その謄本は,同25年1月9日,請求人に対して送達された。前審決は,同年2月8日に確定し,審判の確定登録がされた(甲1,乙2)。
2 前審判における商標法4条1項11号の該当性に係る請求人の主張
本件商標と引用商標2とは,骸骨頭部と交差した骨片からなる外観では同一で,主要な部分である骸骨頭部は,細長な頭部,頭部中央左右に設けた切れ込み,左右の目が下方向に傾斜した垂れ目,鼻部分への切れ込みなど,類似する。
本件商標及び引用商標2は,特定の称呼,観念は生じない。
したがって,本件商標は引用商標2とは,外観が類似するものであり,本件商標の指定商品中,第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物」は,引用商標2の指定商品と同一又は類似するから,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
3 前審決
前審決は,要旨以下のとおりである。すなわち,本件商標と引用商標2とは,外観上,明らかに区別し得るものであり,また,両商標は,特定の称呼及び観念は生じず,称呼及び観念については比較し得ないものであるから,両商標は,外観,称呼及び観念のいずれの点からみても,類似しない商標である。したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しないと判断し,平成24年12月26日,請求不成立の審決(前審決)をした。なお,前審決は,本件商標が,商標法第4条第1項第10号に該当しないとの判断もした(乙2)。
同審決は,平成25年2月8日に確定した(甲1)。

第4 請求人の主張
1 請求の趣旨
請求人は,本件商標の指定商品中,第14類「身飾品(カフスボタンを除く。),キーホルダー,宝玉及びその模造品,時計」,第18類「かばん類,袋物,傘,革ひも,毛皮」及び第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物」の登録を無効とする,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を以下のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第6号証を提出している。
2 請求の理由
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標について
本件商標は,別掲1のとおり,骸骨頭部と骸骨頭部の後方に交差した骨片から成り,骸骨頭部は縦長で略中央左右には上下方向に切れ込みが形成され,左右の眼が下方向に傾斜した垂れ目となり,鼻部分には切れ込みが設けられている。さらに,口部分の歯は左右の歯が下方向に突出している。この様な骸骨頭部の後方に骨片が交差している外観であり,骸骨頭部が主要な部分である。
本件商標は,上記のとおりの外観であることから,特定の称呼,観念を生じない。
イ 本件商標の指定商品中,第25類について
(ア)引用商標1について
引用商標1は,別掲2のとおり,骸骨頭部と骸骨頭部の下部に交差した骨片からなる図形部分と当該図形部分の下部に「mastermind」と「JAPAN」を2段で記載した文字部分からなるものである。引用商標1の図形部分中の骸骨頭部は,縦長で略中央左右には上下方向に切れ込みが形成され,左右の眼が下方向に傾斜した垂れ目となり,鼻部分には切れ込みが設けられている。さらに,口部分の歯が下方向に突出しており,この骸骨頭部が引用商標1の主要な部分である。
(イ)本件商標と引用商標1との類否
本件商標と引用商標1とは骸骨頭部と交差した骨片からなる外観では一致するが,交差した骨片の位置と,交差した骨片の下部に「mastermind」と「JAPAN」との記載がある点では異なる。
しかしながら,主要な部分である骸骨頭部は,細長な頭部,頭部中央左右に設けた切れ込み,左右の目が下方向に傾斜した垂れ目,鼻部分への切れ込みなど,本件商標と引用商標1とは類似しているといわざるを得ない。
加えて,引用商標1は,その骸骨頭部の外観形状が,非常にユニークな形状である。
さらには,請求人は,商標登録第5244937号(別掲4。以下「別商標登録」という。)の指定商品中,第25類につき,引用商標2の存在を理由とし商標法第4条第1項第11号を登録無効理由として,商標登録無効審判(無効2012-890067)を請求した。
本件審判請求人の主張が認められ,別商標登録の指定商品中,第25類につき,登録無効が確定している(甲5)。
この上記,別商標登録の無効審判(無効2012-890067)の審決取消請求事件(平成25年(行ケ)第10008号,以下,当該審決取消請求事件を「別商標登録訴訟」,そして,当該商標登録無効審判と当該審決取消請求事件をあわせて「別商標登録訴訟審判」という。)において,その判決では,骸骨頭部(骸骨骨部,眼窩部,側頭骨部,鼻孔部,頬骨部,上顎部,骨片部)は,その相違は微差の範囲にとどまるとの判断である(甲6)。
すなわち,本件商標と引用商標1との主要な部分である骸骨頭部は,類似しているといわざるを得ない。
本件商標と引用商標1とは,交差した骨片の位置と,交差した骨片の下部に「mastermind」と「JAPAN」との記載がある点では異なるが,引用商標1の基本的な骸骨頭部は類似するものであり,両商標は,特に,被服の様な業界においては,外観において取引者・需要者が混同を生じるほどに相紛らわしいというべきである。
ウ 本件商標の指定商品中,第14類及び第18類について
(ア)引用商標2について
引用商標2は,引用商標1の図形部分と同様の構成からなるものであるから,前記イ(ア)と同様に,骸骨頭部が主要な部分である。
そして,引用商標2は,特定の称呼,観念は生じない。
(イ) 本件商標と引用商標2との類否
引用商標2は,引用商標1の図形部分の下部に「mastermind」と「JAPAN」との記載がある点では異なるが,図形部分を共通にするものであるから,本件商標と引用商標2についても前記イと同様に,両商標の主要な部分である骸骨頭部は,類似しているといわざるを得ない。
本件商標は引用商標2とは,交差した骨片の位置は異なるが,引用商標2の基本的な骸骨頭部は類似するものであり,両商標は,かばん類,身飾り品の様な業界においては,外観において取引者・需要者が混同を生じるほどに相紛らわしいというべきである。
エ 小括
以上のとおり,本件商標と引用商標とは,その主要な部分である骸骨頭部の外観がきわめて類似する商標である。
そして,本件商標の指定商品中,第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物」は,引用商標1の指定商品と同一又は類似する。
また,本件商標の指定商品中,第14類「身飾品(カフスボタンを除く。),キーホルダー,宝玉及びその模造品,時計」及び第18類「かばん類,袋物,傘,革ひも,毛皮」は,引用商標2の指定商品と同一又は類似する。
したがって,本件商標の指定商品中,第14類「身飾品(カフスボタンを除く。),キーホルダー,宝玉及びその模造品,時計」,第18類「かばん類,袋物,傘,革ひも,毛皮」及び第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物」は,商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
(2)結語
本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから,同法第46条により,その登録は無効とされるべきである。
3 答弁に対する弁駁
(1)被請求人は平成26年9月1日付け答弁書(以下「答弁書」という。)において,第25類に係る請求については,既に確定した無効不成立審決の蒸し返しで,一事不再理効との主張をしているが,請求人は,証拠として甲第5号証(別商標登録訴訟の上告棄却及び上告不受理の決定)及び甲第6号証(別商標登録訴訟の判決)を提出しており,少なくとも同一証拠により本件審判を請求しているわけではない。したがって,被請求人が答弁するところの一事不再理には当たらない。
また,第14類及び第18類に係る請求について,被請求人は,前審決をもとにして,第25類の指定商品と異なる類否判断をする理由はないとの答弁ではあるが,上記したように,証拠として甲第5号証及び甲第6号証を請求人は提出しており,少なくとも同一証拠により本件審判を請求しているわけではない。したがって,被請求人が答弁するところの前審決の蒸し返しではない。
(2)次に,被請求人は,答弁書において,別商標登録訴訟審判は,本件審判に何ら影響を与えないと主張する。すなわち,被請求人は,別商標登録訴訟審判が,頭蓋骨と交差させた2本の骨片を組み合わせた図形という構図につき外観における商標の要部と認定しているのであるから,頭蓋骨部分を主要な要素とする請求人の主張は全く不合理であると主張する。
しかしながら,別商標登録訴訟の判決中(甲6),相違点2(頭蓋骨及び骨片の位置)に関する記載は,頭蓋骨と骨片の位置関係は離隔的観察の下においては,微差の範囲にとどまる,との認定である。これは,本件商標と引用商標の主要な要素である頭蓋骨部分が微差の範囲であるとの認定であるから,別商標登録訴訟審判は,本件審判に影響を与えるものである。

第5 被請求人の主張
被請求人は,本件審判の請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とする,との審決を求めると答弁し,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし同第11号証を提出した。
1 請求人の主張は,既に確定した無効不成立審決の蒸し返しであること
(1)商標法第56条第1項で準用する特許法第167条の適用
商標法第56条第1項において準用する特許法第167条によれば,無効不成立審決が確定したときは,当事者は同一の事実及び同一の証拠に基づいて無効審判を請求することができない(一事不再理効)。
このように定められている趣旨は,先の審判の当事者及び参加人は,先の審判において主張立証を尽くすことができたのに,審決が確定した後に,同一の事実及び同一の証拠に基づいて紛争の蒸し返しができるというのは不合理だからだとされている(特許庁『工業所有権法(産業財産権法)逐条解説〔第19版〕』(2013年))。
ここで,本件商標の指定商品中,第25類に係る部分については,既に引用商標2を引例とする無効不成立審決(前審決)が確定している。
今般,請求人は,本件商標の指定商品中,第25類に係る部分について,引用商標1を引例とする無効審判請求を行っているが,これはまさに上記の意味での紛争の蒸し返しに他ならない。
すなわち,引用商標1と引用商標2とを対比すれば明らかなとおり,引用商標1は,引用商標2の下方に「mastermind/JAPAN」という文字部分を付加した商標である。
請求人は,引用商標1の主要な部分は骸骨頭部の部分であると主張した上で,当該部分と本件商標が類似するという主張をするのみであるから,請求人の主張は,実質的には引用商標2と本件商標とが類似すると主張しているのと何ら変わらないのであって,このような主張は,前審決の蒸し返しに他ならない。
しかも,請求人の主張は,「先の審判において主張立証を尽くすことができた」ものであるどころか,前審判で行った主張と同一の内容であって,本条の趣旨から,正に禁止されるべきものである。
なお,商標法第56条第1項において準用する特許法第167条の「同一の証拠」とは,「主張事実を根拠づけるための実質的に同一の証拠」を指し,「証拠方法が相違することは,直ちには,証拠の実質的同一性を否定する理由にはならない」と解されるため(知財高判平成26年3月13日平成25年(行ケ)第10226号),引用商標1及び2の間の形式的な証拠方法の相違は,同条の適用を妨げるものではない。
(2)別商標登録訴訟審判が本件審判に何らの影響も与えないこと
請求人は,別商標登録訴訟の判決文において,骸骨頭部の相違は微差の範囲にとどまるとの判断がされているから,本件商標と引用商標の主要な部分である骸骨頭部も類似し,両商標の主要部が類似していると主張する。
しかしながら,かかる主張は失当である。
ア 本件商標と別商標登録(別掲4)の商標とは基本的構成態様(構図)が異なる別異の商標であること
本件商標は,別商標登録訴訟の対象である別商標登録とは,一見して分かるとおり,別異の商標である。
例えば,本件商標は,骨片を縦長のX字型のように交差させた中心に頭蓋骨図形を配置させているため,全体として縦長の印象を与える一方,別商標登録の商標は,骨片を扁平に交差させた上に頭蓋骨図形を重ねたもので,全体として横長に広がった印象を与えている。
すなわち,本件商標と別商標登録の商標とでは,商標の基本的構成態様(構図)が異なっており,別商標登録訴訟の判断を,本件商標に援用することは,全くもって不適当である。
イ 請求人の主張は,商標の基本的構成態様(構図)をないがしろにしたものであり,裁判所の認定とも相いれないものであること
また,請求人は,本件商標と引用商標から骨片を捨象し,主要な部分である頭蓋骨図形が類似しているのであるから,本件商標と引用商標とが類似している旨主張するが,かかる主張も失当である。
なぜなら,本件商標は,あくまで,正面を向いた頭蓋骨とその背後に縦長にX字形のように交差させた二本の骨を組み合わせた黒塗り図形の基本的構成(構図)からなるものであり,頭蓋骨部分だけを殊更に抜き出して把握すべきものではないからである。
この点,請求人が主張の根拠とする別商標登録訴訟の判決においても,「審決は,本件商標と引用商標を対比して,両商標は,『正面を向いた頭蓋骨と扁平に交差させた2本の骨片を組み合わせた図形をシルエット風(黒塗り)に表した構図』として,看者の記憶に強く印象付けられ,その構図から共通の印象を受けると認定判断したが,この認定判断は上記構図部分を外観における両商標の要部とし,そこに共通点があるとしたものであり,そこに商品出所識別機能があるとしたものというべきである。この点についての審決の認定判断は支持することができ,そこに誤りはないというべきである。」と認定しており,“頭蓋骨と交差させた2本の骨片を組み合わせた図形という構図”こそが,外観における商標の要部と認定しているのであるのであるから,頭蓋骨部分だけを主要な要素と主張する請求人主張は,全く不合理であり,裁判所の認定とは相いれないものである。
ウ 別商標登録訴訟においては,頭蓋骨部分が商標として類似するか否かについて直接的な判断がされているわけではないこと
また,請求人は,別商標登録訴訟の判決において,骸骨頭部の相違は微差の範囲にとどまるとの判断がされている旨主張する。
しかしながら,請求人の主張は,当該判決を曲解するものであり,かかる主張も失当である。
なぜなら,別商標登録訴訟の判決は,「時と処を異にして離隔的に接する場合,必ずしも常に図形の細部まで正確に記憶されているとはいえないのが通常であることは審決説示のとおりであり,該判断を踏まえると,『本件商標と引用商標とは,いずれも「正面を向いた頭蓋骨と扁平に交差させた2本の骨を組み合わせた図形をシルエット風(黒塗り)に表した構図」として看者の記憶に強く印象付けられるものであり,両商標における構成上の差異は,この共通した印象からすれば微差の範囲にとどまる。』とした審決の認定判断には誤りはないというべきである。」と認定している,即ち,あくまで別商標登録の事件においては,対象商標と当該事件の引用商標との基本的構成態様が共通することから,かかる前提においては,相対的に見て,具体的態様の差異は微差の範囲にとどまる,と判断しているのであって,頭蓋骨部分のみの類否判断について,直接示したわけではない。
そして,上記のとおり,本件商標と別商標登録の基本的構成(構図)は全く異なるのであるから,別商標登録訴訟の判断が,本件商標と引用商標との類否判断に影響を与えることはないし,そして実際に,本件商標については,基本的構成(構図)における相違点が重視された上で,前審決が出されているのである。
エ 小括
以上のとおり,別商標登録訴訟審判は,本件審判に何らの影響も与えないことは明らかである。
2 商標法第4条第1項第11号の該当性について
(1)第25類に係る請求について
仮に,商標法第56条第1項において準用する特許法第167条の適用がないとしても,請求人が無効原因として主張する商標法第4条第1項第11号の該当性について,前審判と何ら事情が変わらない本件においては,前審判と異なる判断になるべきはずがない。
すなわち,前審判は,請求人が,本件商標を含む3件の登録商標(商標登録第5244936号(本件商標),第5244937号(別商標登録)及び第5296696号)について2年前に同時に起こした,3件の無効審判事件(無効2012-890066(前審判),無効2012-890067及び無効2012-890068)のうちの1件である。
これらの無効審判請求に対して,特許庁は,本件商標を含む2件(無効2012-890066(前審判)及び無効2012-890068)を無効不成立審決(登録維持)とし,別商標登録(無効2012-890067)のみを無効審決とした。
そして,この無効審決(無効2012-890067)に対しては,当時の商標権者である訴外株式会社アールインターナショナル(当時,株式会社ロエン)が審決取消訴訟を提起し,知的財産高等裁判所において特許庁の判断が維持されて確定したが,他方で2件の登録維持審決(無効2012-890066(前審判)及び無効2012-890068)については,請求人はこれを一切争わず,無効不成立審決が確定した。
つまり,最終的には,3件の無効審判請求のいずれも,特許庁の審決どおりに確定した。
請求人の主張は,別商標登録訴訟審判を除けば,前審判において,請求人が行った主張と同旨であり,その他に,前審判と異なる判断をすべき理由については述べていない。
別商標登録訴訟審判が,本件審判の判断に何らの影響を与えるものでないことは,下記において後述するが,本件審判は,前審判と異なる判断をする理由はないのであるから,本件審判の請求は成り立たない旨の審決がされるべきである。
(2)第14類及び第18類に係る請求について
上記(1)に記載のとおり,本件商標の指定商品中,第25類に係る部分については,前審判において,既に引用商標2を引例とする無効不成立審決が確定している。
これに対して,請求人は,本件審判において,本件商標の指定商品中,第14類及び第18類に係る部分について,引用商標2を引例とする無効審判請求を行っているが,第25類に係る主張と同旨である。
確かに,指定商品によっては,主たる需要者層や取引の実情,需要者の通常有する注意力等が大きく異なり,そのような場合には,商標の類否判断が変わり得るものであるが,本件商標の第14類,第18類及び第25類の指定商品について,異なる類否判断を行わなければならないような特別な事情は存在していない。
ウ 小括
以上のとおり,第25類に係る前審決において,本件商標と引用商標2についての類否判断は既に確定しており,また,それと異なる判断を行うべき理由,特別な事情は存在しない。そして,第14類及び第18類においても,前審決と異なる判断になるべきはずがなく,前審決と同様に,本件審判の請求は成り立たない旨の審決がされるべきである。
3 結論
したがって,本件商標と引用商標とは,互いに非類似であるから,本件審判の請求は,いずれも成り立たない。

第6 当審の判断
1 第25類に係る本件審判の請求について
本件審判の請求のうち,本件商標の指定商品中,第25類について商標法第4条第1項第11号違反を理由とする請求については,以下の理由により,前審決の確定効に反するものとして許されないものである。
(1)審決の確定効について
商標法第56条第1項が準用する特許法第167条は,「特許無効審判・・・の審決が確定したときは,当事者及び参加人は,同一の事実及び同一の証拠に基づいてその審判を請求することができない」旨規定する。同条は,当事者(参加人を含む。)の提出に係る主張及び証拠等に基づいて判断をした審決が確定した場合には,当事者が同一事項に係る主張及び立証をすることにより,確定審決と矛盾する判断を求めることは許されず,また,審判体も確定審決と矛盾する判断をすることはできない旨を規定したものである。同条が設けられた趣旨は,(a)同一事項に係る主張及び証拠に基づく矛盾する複数の確定審決が発生することを防止すること,(b)無効審判請求等の濫用を防止すること,(c)権利者の被る無効審判手続等に対応する煩雑さを回避すること,(d)紛争の一回的な解決を図ること等にあると解される。
そうすると,無効審判請求においては,「同一の事実」とは,同一の無効理由に係る主張事実を指し,「同一の証拠」とは,当該主張事実を根拠づけるための実質的に同一の証拠を指すものと解するのが相当である。そして,同一の事実(同一の立証命題)を根拠づけるための証拠である以上,証拠方法が相違することは,直ちには,証拠の実質的同一性を否定する理由にはならないと解すべきであって,新たに提出された証拠が,実質的に見て,これまでの無効原因を基礎付ける事情以外の新たな事実関係を証明する価値を有する証拠といえる必要があるというべきである(知財高裁平成25年(行ケ)第10226号平成26年3月13日判決,同平成25年(行ケ)第10127号平成26年2月5日判決)。
(2)事実認定(本件審判請求に至るまでの経緯)
ア 前審判について
前審判における,商標法第4条第1項第11号該当性に係る請求人の主張は,上記第3の2のとおりである。
要するに,本件商標と引用商標2とは,骸骨頭部と交差した骨片からなる外観では同一で,両商標は,外観が類似するものであり,本件商標の指定商品中,第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物」は,引用商標2の指定商品と同一又は類似するから,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当すると主張し,証拠を提出した。
これに対し,前審決は,上記第3の3のとおり,本件商標と引用商標2とは,外観,称呼及び観念のいずれの点からみても,類似しない商標であるから,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しないと判断し,平成24年12月26日,請求不成立の審決をし,同審決は平成25年2月8日に確定した。
イ 本件審判について
本件審判における,第25類についての商標法第4条第1項第11号該当性に係る請求人の主張は,上記第4の2(1)のとおりである。
要するに,引用商標1は,別掲2のとおり,骸骨頭部と骸骨頭部の下部に交差した骨片からなる図形部分と当該図形部分の下部に「mastermind」と「JAPAN」を2段で記載した文字部分からなるものであるところ,この骸骨頭部が引用商標1の主要な部分である。また,引用商標2は,引用商標1の図形部分と同様の構成からなるものであるから,上記と同様に,骸骨頭部が主要な部分である。そして,別商標登録訴訟の判決によれば,別商標登録の商標と引用商標2の骸骨頭部の相違は微差の範囲にとどまるとの判断であるから,本件商標と引用商標1との主要な部分である骸骨頭部は,類似する。さらに,本件商標の指定商品中,第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物」は,引用商標1の指定商品と同一又は類似する。したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当すると主張し,証拠を提出した。
(3)判断
ア 同一の事実について
本件審判における,第25類についての商標法第4条第1項第11号該当性に係る請求人の主張事実は,本件商標が引用商標1と類似し,かつ,本件商標の指定商品中,第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物」は,引用商標1の指定商品と同一又は類似する,というものである。
これに対し,前審判における,商標法第4条第1項第11号該当性に係る請求人の主張事実は,本件商標が引用商標2と類似し,かつ,本件商標の指定商品中,第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物」は,引用商標2の指定商品と同一又は類似する,というものである。
引用商標1及び2は,それぞれ,別掲2及び3のとおりの構成からなるところ,引用商標1と引用商標2との相異点は,「mastermind」及び「JAPAN」の文字部分の有無のみであって,図形部分については同一である。
そして,本件商標と引用商標1との類否判断においては,当該相違点は,両商標が類似するとの観点で考慮されるものではないと認められるところ,請求人も,両商標の主要な部分は骸骨頭部の部分であると主張した上で,両商標が類似すると主張しているのみであるから,請求人の当該主張は,実質的には図形部分での類似を主張するものにほかならず,これは本件商標と引用商標2とが類似すると主張するのと何ら変わらないものといえる。
以上によれば,前審判と第25類に係る本件審判とでは,請求人が,本件商標の指定商品中,第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物」について,本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして主張されている事実において実質的に同一であると評価できる。
イ 同一の証拠について
本件審判では,請求人は,証拠として,前審判で提出されていた引用商標2の公報等に加え,甲第5号証(別商標登録訴訟の上告棄却及び上告不受理の決定)及び甲第6号証(別商標登録訴訟の判決)を提出しており,前審判とは,少なくとも同一証拠により本件審判を請求しているわけではないと主張する。
しかし,これらの追加証拠は,本件商標と引用商標1の図形部分(引用商標2と同じ)との類否を検討する際の参考となるものにすぎない。すなわち,別商標登録訴訟の判決は,別商標登録と引用商標2の類否の検討において,いかなる要素を重視すべきかを参考として読み取ることができるものにすぎず,「これまでの無効原因を基礎づける事情以外の新たな事実関係を証明する価値を有する証拠」ということはできない。
以上のことから,本件審判で提出された上記の追加証拠は,前審決における請求人の主張を排斥した判断に対し,同判断を蒸し返す趣旨で提出された証拠の範囲を超えるものではない。
ウ 小活
以上によると,前審判と本件審判では,商標法第4条第1項第11号違反の根拠として主張されている事実において実質的に同一であり,また,これを立証するために提出された証拠も実質的に同一であると評価できる。
したがって,本件審判における本件商標の指定商品中,第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物」について,本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当することを理由とする無効審判請求は,前審決の確定効に反するものとして許されないというべきである。
2 第14類及び第18類に係る本件審判の請求について
前審決は,上記第3の3のとおり,本件商標と引用商標2とを比較し,本件商標の指定商品中,第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物」について,本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当しない旨,判断したものである。
そして,前審決の本件商標が引用商標2に類似しないとの判断は,前審判の請求に係る第25類の商品のみに限定されるような事情は認められない。したがって,第14類「身飾品(カフスボタンを除く。),キーホルダー,宝玉及びその模造品,時計」及び第18類「かばん類,袋物,傘,革ひも,毛皮」に係る本件審判の請求についても,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しないものと判断する。その理由は,以下のとおりである。
(1)本件商標について
本件商標は,別掲1のとおり,概略,正面を向いた頭蓋骨とその背後に縦長のX字形のように交差させた二本の骨の上に頭蓋骨を組み合わせた黒塗りの図形からなるものであり,特定の称呼及び観念は生じないものである。
(2)引用商標2について
引用商標2は,別掲3のとおり,概略,正面を向いた頭蓋骨とその下に扁平に交差させた二本の骨を組み合わせた黒塗りの図形からなるものであり,特定の称呼及び観念は生じないものである。
(3)本件商標と引用商標2の類否について
本件商標と引用商標2を比較すると,両商標は,前記(1)及び(2)のとおりの構成よりなるところ,いずれも頭蓋骨及び交差させた二本の骨をモチーフにする点等において共通点を有するとしても,本件商標は,二本の骨を縦長のX字形のように交差させていることから全体が縦長の印象を受けるのに対し,引用商標2は,二本の骨を扁平に交差させていることから全体が縦長の印象を受けない点,本件商標は,頭蓋骨の背後に二本の骨を交差させていることから一体不可分の印象を受けるのに対して,引用商標2は,頭蓋骨の下に間を空けて二本の骨を交差させていることから頭蓋骨と二本の骨が分離した印象を受ける点,本件商標は,二本の骨が頭蓋骨の背後にあることから立体的な印象を受けるのに対し,引用商標2は,二本の骨が頭蓋骨の下にあることから平面的な印象を受ける点において顕著な差異があるため,それぞれの全体から受け取る印象は異なり,両商標を対比観察した場合はもとより,時と処を異にして離隔的に観察した場合においても,外観上,明らかに区別し得るものである。
また,本件商標及び引用商標2は,特定の称呼及び観念は生じないものであるから,称呼及び観念については比較し得ないものである。
してみれば,本件商標と引用商標2とは,外観,称呼及び観念のいずれの点からみても,類似しない商標である。
したがって,本件商標は,引用商標2に類似しない商標であるから,両商標の指定商品の類否については判断するまでもなく,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 むすび
以上のとおりであるから,本件審判の請求のうち,本件商標の指定商品中,第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物」について商標法第4条第1項第11号を理由とする請求については,同法第56条第1項で準用する特許法第167条に違反したものであるから,却下する。
また,本件商標は,本件審判の請求のうち,本件商標の指定商品中,第14類「身飾品(カフスボタンを除く。),キーホルダー,宝玉及びその模造品,時計」及び第18類「かばん類,袋物,傘,革ひも,毛皮」については,商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではないから,同法第46条第1項第1号により無効とすることはできない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲
1 本件商標


2 引用商標1


3 引用商標2


4 別商標登録(商標登録第5244937号)


審理終結日 2015-08-31 
結審通知日 2015-09-02 
審決日 2015-09-15 
出願番号 商願2008-95922(T2008-95922) 
審決分類 T 1 12・ 07- Y (X141825)
T 1 12・ 261- Y (X141825)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 手塚 義明 
特許庁審判長 田中 幸一
特許庁審判官 田村 正明
早川 文宏
登録日 2009-07-03 
登録番号 商標登録第5244936号(T5244936) 
代理人 長谷川 芳樹 
代理人 小暮 君平 
代理人 山田 和明 
代理人 魚路 将央 
代理人 工藤 莞司 
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