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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 003
管理番号 1307467 
審判番号 取消2014-300927 
総通号数 192 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-12-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2014-11-19 
確定日 2015-10-26 
事件の表示 上記当事者間の登録第4210344号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4210344号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおり、「AQUA」の欧文字を上段に、「RICH」の欧文字を下段に横書きした構成からなり、平成9年3月7日に登録出願、第3類「せっけん類,香料類,化粧品」を指定商品として、同10年11月13日に設定登録されたものである。
そして、本件審判請求の登録は、同26年12月9日にされている。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標について、その指定商品中、第3類「せっけん類,化粧品」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めると申し立て、その理由として、「本件商標は、その指定商品中、上記商品について、継続して3年以上日本国内において使用した事実がない。」旨主張し、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
なお、請求人は、下記第3の被請求人の答弁に対しては、弁駁していない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第28号証を提出した。
1 本件商標の使用の事実について
本件商標は、以下のとおり、通常使用権者により、指定商品中の「化粧品」について、本件審判請求の登録前3年以内(以下「要証期間内」という。)に使用されている。
(1)商標の使用者
被請求人は、2009年10月30日から2014年10月31日までの5年間、花王株式会社(以下「花王」という。)との間において、本件商標を商品「日焼け止め化粧品」に使用することについて、商標使用許諾契約書をもって通常使用権許諾の契約を締結している(乙1)。
そして、その後、2014年9月1日に、上記契約期間延長に関する合意書を締結し、本契約は現在まで有効に継続している(乙2)。
(2)ニュースリリースについて
ア 乙第3号証は、2010年1月12日に本件商標と社会通念上同一の商標が付された日焼け止め化粧品(以下「本件商品」という。)をニュースリリースした通常使用権者のウェブサイトの写しである。該ウェブサイトにおいては、片仮名表記の「アクアリッチ」の文字が使用されており、該文字は、本件商標の称呼と同一の称呼である。さらに、商品容器の写真の中央部には、欧文字表記の「AQUA」が上段に、「Rich」が下段に使用されている。
上記使用態様は、本件商標と同一の称呼及び観念が生ずることは明白で、商標法第50条第1項で述べられている社会通念上同一の商標に該当するものである。
また、販売されている商品「日焼け止め化粧品」は、本件商標の指定商品中の「化粧品」に含まれるものである。
イ 乙第4号証は、2011年1月18日付けのニュースリリースのウェブサイトの写しであり、同じく、乙第5号証は2013年12月12日付けの、乙第6号証は2014年12月12日付けのニュースリリースのウェブサイトの写しであるところ、該ウェブサイトにおいては、片仮名表記の「アクアリッチ」の文字が使用されており、さらに商品容器の写真中央部には欧文字表記の「AQUA」が上段に、「Rich」が下段に使用されている。
ウ 上記ア及びイにより、本件商標と社会通念上同一のものと認められる商標を、通常使用権者が本件商標の請求に係る指定商品中の「化粧品」について、要証期間内において使用していたことは明白である。
(3)雑誌掲載について
本件商品については、各種雑誌に多数掲載されており、その一部について述べる。
ア 乙第7号証は、2012年4月28日発売の「MORE6月号」の写しであり、180頁から181頁にかけて本件商品を掲載している。
イ 乙第8号証は、2013年3月28日発売の「MORE5月号」の写しであり、246頁から249頁にかけて本件商品を掲載している。
ウ 乙第9号証は、2014年1月7日発行の「InRed1月号」の写しであり、本件商品を掲載している。
エ 乙第10号証は、2014年5月7日発行の「saita6月号」の写しであり、本件商品を掲載している。
オ 上記アないしエにより、本件商標と社会通念上同一のものと認められる商標及びその称呼である「アクアリッチ」が、各紙面上で使用されている事実が多数確認でき、通常使用権者が本件商標の請求に係る指定商品中の「化粧品」について、要証期間内において使用していたことは明白である。
(4)テレビCMについて
本件商品についてはテレビCMで放映されており、その一部について述べる。
ア 乙第11号証は、2010年3月23日から放送開始されたテレビCMの分割画面の写しであり、本件商品が放映されている。
イ 乙第12号証は、2011年3月21日から放送開始されたテレビCMの分割画面の写しであり、乙第13号証は、2012年4月1日から放送開始されたもの、乙第14号証は、2013年3月20日から放送開始されたもの、乙第15号証は、2013年3月22日から放送開始されたもの、乙第16号証は、2013年9月2日から放送開始されたもの、乙第17号証は、2014年4月14日から放送開始されたテレビCMの分割画面の写しである。
ウ 上記ア及びイにより、本件商標と社会通念上同一のものと認められる商標を、通常使用権者が本件商標の請求に係る指定商品中の「化粧品」について、要証期間内において使用していたことは明白である。
(5)商品カタログについて
通常使用権者は、2010年より現在に至るまで、以下のとおり本件商品をカタログに掲載している。
ア 乙第18号証は、2010年5月発行の「花王製品カタログ2010春家庭用品」の写しであり、本件商品が掲載されている。
イ 乙第19号証は、2010年11月発行の「花王製品カタログ2010秋家庭用品」の写しであり、乙第20号証は、2011年5月発行の「花王製品カタログ2011春家庭用品」の写しであり、乙第21号証は、2011年11月発行の「花王製品カタログ2011秋家庭用品」の写しであり、乙第22号証は、2012年5月発行の「花王製品カタログ2012春家庭用品」の写しであり、乙第23号証は、2012年11月発行の「花王製品カタログ2012秋家庭用品」の写しであり、乙第24号証は、2013年4月発行の「花王製品カタログ2013春家庭用品」の写しであり、乙第25号証は、2013年11月発行の「花王製品カタログ2013秋家庭用品」の写しであり、乙第26号証は、2014年4月発行の「2014SPRING花王製品カタログ家庭用品」の写しであり、乙第27号証は、2014年11月発行の「2014AUTUMN花王製品カタログ家庭用品」の写しである。
ウ 上記ア及びイにより、本件商標と社会通念上同一のものと認められる商標を、通常使用権者が本件商標の請求に係る指定商品中の「化粧品」について、要証期間内において使用していたことは明白である。
(6)小括
上記のとおりであるから、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)は、通常使用権者により、指定商品中の「化粧品」について、要証期間内に使用されている。

2 請求人適格について
本件審判請求については、その請求人適格について疑問を呈さざるを得ない。
請求人は、特許事務所を経営する弁理士であるところ(乙28)、本件審判の取消にかかる商品「せっけん類,化粧品」について業として製造や販売を行うことが観念できず、また被請求人が調べ得る限りにおいて副業で行っていることは確認できなかった。
商標法第50条第1項に基づく取消審判の請求人適格については法文上何人にも認められてはいるものの、その条文の趣旨を考慮すると本件審判請求は権利濫用に該当するものである。本来的にその商標の使用を欲する者が商標の不使用に基づく取消審判を請求することが想定されるものであり、請求人のように化粧品の製造、販売を行う予定のない者が審判請求を行い、本件商標を取り消す目的が不明である。
さらに、請求人は本件審判請求の他、被請求人に対して11件の取消審判を請求しているが、これらの審判請求に係る全ての商標と同一又は類似する商標について請求人が使用を欲しているとは到底考え難く、被請求人を害する目的で本件審判請求を行っていると推測されても致し方ないものであり、本件審判請求はまさに権利濫用に当たり許されるべきものではない。
また別の観点からは、本件審判に関しては請求人の個人名で請求されているとはいえ、上記のような審判制度の濫用に関しては、弁理士法第29条の点からも疑問を呈さざるを得ない。
3 まとめ
以上のとおり、本件商標と社会通念上同一のものと認められる商標が付された化粧品については、2010年の発売から現在に至るまで、継続的に販売及び広告宣伝活動されていることは明白である。
さらに、本件審判請求は、請求人による権利濫用に当たるものであり、認められるものではない。
よって、本件商標は商標法第50条第1項に該当するものではない。

第4 当審の判断
1 請求人適格(請求人による権利濫用)について
被請求人は、請求人について、本件審判の請求に係る商品「せっけん類,化粧品」について業として製造や販売を行うことが確認できなかったこと、請求人が被請求人に対して本件審判の請求のほか、11件の取消審判の請求を行っており、これら全ての商標と同一又は類似の商標の使用を欲しているとは考え難いことをあげて、本件審判の請求は、請求人適格に疑問があり、請求人による権利濫用に当たると主張しているので、以下、その主張について検討する。
(1)商標法第50条第1項について
商標法第50条第1項は、「継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが各指定商品又は指定役務についての登録商標・・・の使用をしていないときは、何人も、その指定商品又は指定役務に係る商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。」と規定している。
上記規定は、平成8年法律第68号によって改正されたものであるところ、その改正の趣旨は、改正前の商標法において、登録商標の不使用による取消審判の請求人適格について明示の規定がなかったことから、その反対解釈として、利害関係人に限って同審判を請求することができると解される余地が存在していたのを、「何人」にも認めることとし、その旨を法文上明示したものと解される。
したがって、登録商標の不使用による取消審判の請求が、専ら被請求人を害することを目的としていると認められる場合などの特段の事情がない限り、当該請求が権利の濫用となることはないと解するのが相当である(平成20年6月26日判決言渡 平成20年(行ケ)第10025号 知的財産高等裁判所 参照)。
(2)本件審判請求について
商標法第50条第1項は、上記(1)のとおり、平成8年法律第68号の改正によって、利害関係人に限られることなく、何人も請求できるように改正された以上、商標法第50条第1項不使用による取消審判請求をするためには、例えば、請求人が必ず指定商品に係る業務を行っている必要があるとはいえないのであるから、被請求人の主張のとおり、仮に、請求人が本件審判の請求に係る商品「せっけん類,化粧品」について業として製造や販売を行うことが確認できなかったとしても、それをもって、直ちに、請求人による権利濫用に当たるということはできない。
同じく、商標法第50条第1項が利害関係人に限られることなく、何人も請求できるように改正された以上、商標法第50条第1項不使用による取消審判請求をするためには、登録商標と同一又は類似の商標を必ず使用しようとしている必要があるともいえないものであるから、請求人が本件審判の請求のほか、11件の取消審判の請求を行っており、これら全ての商標と同一又は類似の商標の使用を欲しているとは考え難いとの被請求人の主張をもって、直ちに、請求人による権利濫用に当たるということもできない。
加えて、請求人が取消審判を請求している登録商標は、いずれも、せっけん類や、化粧品に関連する「RICH」又は「リッチ」の文字を含む商標であるから、取消審判請求の数が多いからといって、直ちに当該登録商標の取消しを求める理由が被請求人を害することであると断じることもできない。
そのほか、被請求人は、請求人が被請求人を害する目的を有していることを具体的に明らかにするところもない。
そうすると、本件審判請求は、請求人の権利濫用に当たるということはできない。
2 本件商標の使用について
(1)被請求人の答弁の全趣旨及び提出に係る乙号証によれば、以下のとおりである。
ア 乙第1号証は、本件商標の商標使用許諾契約書の写しであるところ、同号証によれば、2009年10月30日付けで、甲を商標権者、乙を花王とし、甲の所有する登録第4210344号商標「AQUA/RICH」(本件商標)並びに登録第705500号商標「RICH」についての契約であり、その第1条(使用許諾)には「甲は、本件商標について、次の範囲の通常使用権を乙に許諾する。」とあり、その範囲を「(1)商品:日焼け止め化粧品」、「(2)地域:日本国内」及び「(3)許諾期間:本契約の有効期間中」としている。
また、第3条(有効期間)の第1項には「本契約の有効期間は、2009年11月1日から5年間(2014年10月31日まで)とする。」、第2項には「本契約の有効期間満了の3ヶ月前までに、乙が書面で甲に対し契約
期間延長の申し入れをしたときは、本契約は更に5年間延長されるものとし、以後も同様とする。」としている。
イ 乙第2号証は、契約期間延長に関する合意書の写しであるところ、同号証によれば、2014年9月1日付けで、甲を商標権者、乙を花王とし、「2009年10月30日付商標使用許諾契約書(以下「原契約」という)の有効期間延長について、以下のとおり合意したので本合意書を取り交わす。」として、「(契約期間の延長)第1条 甲および乙は原契約第3条第2項に基づき原契約をさらに2019年10月31日まで5年間延長する。」としている。
ウ 乙第4号証は、2011年1月18日付けの花王のニュースリリースであるところ、「SPF50+とウォーターベースを両立した、顔や体にのばしやすい日やけ止め 『ビオレさらさらUV アクアリッチ ウォータリーエッセンス』 新発売」の見出しの下、「花王株式会社は、2011年2月26日、さらさらで使い心地のよい『ビオレさらさらUV』シリーズから、高い紫外線防御効果とウォーターベースの軽いつけ心地で顔や体にのばしやすい日やけ止め『ビオレさらさらUV アクアリッチ ウォータリーエッセンス』を新発売いたします。」の記載があり、「Biore」(末尾の「e」には、アクサンテギュが付されている。以下同じ。)、「UV」の欧文字の下部に「AQUA」と「Rich」の欧文字(以下「使用商標」という。)が表示された水色容器の日焼け止め化粧品(以下「使用商品」という。)の写真が掲載されている。
また、同号証の「発売のねらい」の見出しの下には、「『ビオレさらさらUV アクアリッチ ウォータリーエッセンス』は、SPF50+の高い紫外線防御効果を持ちながら、水のように軽い使用感の日やけ止めです。」と記載されている。
エ 乙第7号証及び乙第8号証は、2012年6月号の雑誌「MORE」及び2013年5月号の雑誌「MORE」の写しであるところ、いずれの雑誌にも、「ビオレ さらさらUV アクアリッチ ウォータリーエッセンス」及び「花王」の記載があり、乙第4号証の写真に掲載されている商品と同一といえる、「UV」の欧文字の下部に使用商標が表示された水色容器の使用商品の写真が掲載されている。
(2)判断
ア 商標権者は、花王に対し日焼け止め化粧品について、2009年(平成21年)11月1日から2019年(平成21年)10月31日までの間、本件商標について通常使用権を許諾している(上記(1)ア及びイ)。
イ 花王は、2012年6月及び2013年5月頃に発売された雑誌において、「AQUA」と「Rich」の欧文字を表示した水色容器に入った商品(使用商品)を掲載し、広告を行った(上記(1)エ)。
そして、上記雑誌において広告を行った当該時期は本件審判の請求の登録(登録日は平成26年(2014年)12月9日)前3年以内である。
ウ 使用商品は、上記(1)ウのとおり、「日焼け止め化粧品」と認められるものであるから、該商品は、取消請求に係る指定商品中の「化粧品」の範ちゅうに含まれる商品といえるものである。
エ 本件商標は、前記第1のとおり、「AQUA」及び「RICH」欧文字を二段に横書きしてなるものであり、使用商標は、「AQUA」及び「Rich」の欧文字を二段に横書きしてなるものであるところ、下段の「RICH」と「Rich」の文字部分において大文字のみからなるものであるか、小文字を含むものであるかの差異を有するものの、その構成文字を同じくするものであるから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標といえる。
オ 上記アないしエからすれば、通常使用権者である花王は、要証期間内にその請求に係る指定商品中「化粧品」の範ちゅうに属する商品「日焼け止め化粧品」についての広告に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して展示又は頒布した(商標法第2条第3項第8号)ものと認めることができる
3 まとめ
以上のとおりであるから、被請求人(商標権者)は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において通常使用権者がその請求に係る指定商品の範ちゅうに属する商品について本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていることを証明したといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、請求に係る指定商品について、商標法第50条の規定により、取り消すべき限りでない。
なお、請求人による本件審判の請求は、権利濫用ということはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本件商標)


審理終結日 2015-08-20 
結審通知日 2015-08-24 
審決日 2015-09-11 
出願番号 商願平9-24915 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (003)
最終処分 不成立 
特許庁審判長 林 栄二
特許庁審判官 梶原 良子
中束 としえ
登録日 1998-11-13 
登録番号 商標登録第4210344号(T4210344) 
商標の称呼 アクアリッチ 
代理人 小川 雅也 
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