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審決分類 |
審判 一部取消 商標の同一性 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X25 |
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管理番号 | 1307436 |
審判番号 | 取消2015-300054 |
総通号数 | 192 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2015-12-25 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2015-01-26 |
確定日 | 2015-10-19 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第5176720号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第5176720号商標の指定商品「第25類 運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」及び「ウインドサーフィン用シューズ」を除く。),ウインドサーフィン用シューズ」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5176720号商標(以下「本件商標」という。)は,「M SPEC」の欧文字と「エムスペック」の片仮名を二段に書してなり,平成20年4月1日に登録出願,第25類「被服,ガーター,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として,同年10月31日に設定登録されたものである。 第2 請求人の主張 請求人は,結論同旨の審決を求めると申し立て,その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。 1 請求の理由 本件商標は,その指定商品中,第25類「運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」及び「ウインドサーフィン用シューズ」を除く。),ウインドサーフィン用シューズ」について,継続して3年以上日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから,商標法第50条第1項の規定により,その登録は取り消されるべきものである。 2 答弁に対する弁駁 (1)平成27年2月19日付けの答弁書において,被請求人が主張するところは,被請求人において,運動用特殊衣服であるパワーハーフスパッツが2013年2月2日より販売中である,というものであり,本件商標の使用証拠として乙第1号証ないし乙第2号証を提出している。 しかしながら,以下に述べるとおり,これらの証拠は,商標法第50条第2項における,本件審判請求の登録前3年(以下「要証期間」という。)以内の被請求人による本件商標の使用を立証するものではない。 よって,本件商標は,商標法第50条第2項により,その登録の取り消しを免れないものである。 (2)被請求人は,本件商標を使用する事実を示す証拠として,乙第1号証において,「パワーハーフスパッツ(メンズスポーツインナー/膝上前開き)黒ブラック3L」なる名称の商品が掲載されている「パワーハーフスパッツのカタログ」を提出し,乙第2号証において,お届け先,注文日,出品者の氏名,商品の数量・詳細等が記載された「パワーハーフスパッツの納品伝票」を提出している。 しかしながら,乙第1号証についてみると,被請求人の氏名等,被請求人が取引に関わっていることを示す情報が一切記載されていない。 次に,乙第2号証についてみると,出品者の名前の欄には「(ヤーツ)YARTS」と記載されているのみであり,被請求人の氏名等,被請求人が取引に関わっていることを示す情報は一切記載されていない。また,乙第2号証の「商品の詳細」欄には,商品名として「パワーハーフスパッツ(前開き)黒ブラックS」と記載されているが,本件商標を構成する「M SPEC」や「エムスペック」の文字は一切記載されておらず,乙第2号証は,本件商標を使用した商品の取引があったことを示すものともいえない。 さらに,乙第1号証に掲載されている商品の名称は「パワーハーフスパッツ(メンズインナー/膝上前開き)黒ブラック3L」であるが,乙第2号証の「商品の詳細」欄に記載されている商品の名称は「パワーハーフスパッツ(前開き)黒ブラックS」であり,これらの商品名は一致していないことから,乙第2号証をもってしては,乙第1号証の商品が被請求人によって実際に取引に資されていることを示すものでもない。 したがって,乙第1号証及び乙第2号証は,要証期間内に被請求人が本件商標を使用していた事実を示す証拠とはなり得ない。 なお,仮に,被請求人が主張する通り,被請求人が,乙第1号証に示す「パワーハーフスパッツ」を2013年2月2日から販売しているとしても,この事実のみをもってしては,被請求人が本件商標を「運動用特殊衣服」に使用していることの立証とはなり得ない。 すなわち,「運動用特殊衣服」は,専らスポーツをする際に限って使用する特殊な衣服が該当するものであるところ,乙第1号証に示す「パワーハーフスパッツ」は,スポーツ以外の日常生活でも使用されるインナー(下着)であり,スポーツをする際に限って使用する特殊な衣服ではないため,「運動用特殊衣服」には該当しないものである。 特許庁商標課編「商品及び役務の区分解説」においても,「運動用特殊衣服」は,専らスポーツをする際に限って使用する特殊な衣服が該当し,「トレーニングパンツ」等は,スポーツ以外の日常生活でも使用され,スポーツをする際に限って使用する特殊な衣服でもないことから,この商品には含まれず,「被服」に該当するとされている(甲第3号証)。 そして,乙第1号証によれば,「パワーハーフスパッツ」の商品名に「メンズスポーツインナー」との記載があり,当該商品は「スポーツ用下着」であると推察されるが,甲第4号証に示す通り,「Sports underwear(スポーツ用下着)」は,「運動用特殊衣服」ではなく「下着」に属する商品である。 (3)以上より,被請求人が提出している答弁書,乙第1号証および乙第2号証をもってしては,「M SPEC」の欧文字及び「エムスペック」の片仮名文字を二段に横書きした構成よりなる本件商標が,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,被請求人によって指定商品,第25類「運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」及び「ウインドサーフィン用シューズ」を除く。),ウインドサーフィン用シューズ」について使用されていることを立証できないことから,本件商標は,当該指定商品については,商標法第50条第2項により,その登録の取消を免れないものである。 3 平成27年8月11日付け上申書 請求人は,「被請求人からの書面審理を希望するとの上申に対し,請求人も書面審理を希望する。」旨上申した。 第3 被請求人の主張 1 被請求人は,「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し,その理由を「運動用特殊衣服であるパワーハーフスパッツは,2013年2月2日から販売中である。」と述べ,証拠方法として,乙第1号証として「パワーハーフスパッツのカタログ」及び乙第2号証として「パワーハーフスパッツの納品伝票」を提出した。 2 平成27年7月28日付け上申書 被請求人は,「答弁書において主張・立証を尽くしたと考える。今後は書面審理を希望する。」旨上申した。 第4 当審の判断 1 商標法第50条第1項による商標登録の取消審判の請求に関して,同条第2項本文は,「その審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り,商標権者は,その指定商品又は指定役務に係る商標登録の取消しを免れない。」と規定し,同項ただし書において,「その指定商品又は指定役務についてその登録商標の使用をしていないことについて正当な理由があることを被請求人が明らかにしたときは,この限りでない。」と規定している。 2 そこで,被請求人提出に係る証拠(乙1?乙2)が,商標法第50条第2項本文の要件を満たすものであるか否かについて,以下検討する。 (1)商標の使用者について 被請求人は,答弁の理由において,「運動用特殊衣服であるパワーハーフスパッツは,2013年2月2日から販売中である」旨述べるところ,乙第1号証及び乙第2号証からは,使用に係る商品の販売者(商標の使用者)が,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかであるか確認することができない。 (2)使用に係る商品について 被請求人は,本件の取消しに係る指定商品「運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」及び「ウインドサーフィン用シューズ」を除く),ウインドサーフィン用シューズ」中の「運動用特殊衣服」である「パワーハーフスパッツ」について本件商標を使用していると主張している。 しかしながら,乙各号証に示された商品「パワーハーフスパッツ」が,本件審判の取消請求に係る商品中の「運動用特殊衣服」であるというためには,その商品の主たる用途が特定の運動用であることを要すると解されるが,提出された全証拠及び主張によれば,乙各号証に示された商品は,特定の運動用ではない「下着」の範ちゅうに属する商品であると認められ,「運動用特殊衣服」の範ちゅうに属する商品と認めることはできない。 したがって,被請求人提出に係る証拠によっては,被請求人が本件商標の使用の事実を証明したものとは認められず,商標法第50条第2項本文の要件を充足するとはいえない。 3 むすび 以上のとおり,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが請求に係る指定商品について,本件商標の使用をしていたことを証明し得なかったのみならず,使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。 したがって,本件商標の登録は,商標法第50条第1項の規定により,その指定商品中第25類「運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」及び「ウインドサーフィン用シューズ」を除く。),ウインドサーフィン用シューズ」についての登録を取り消すべきものである。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2015-08-20 |
結審通知日 | 2015-08-25 |
審決日 | 2015-09-07 |
出願番号 | 商願2008-29584(T2008-29584) |
審決分類 |
T
1
32・
11-
Z
(X25)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 山田 忠司、吉沢 恵美子 |
特許庁審判長 |
早川 文宏 |
特許庁審判官 |
前山 るり子 田中 幸一 |
登録日 | 2008-10-31 |
登録番号 | 商標登録第5176720号(T5176720) |
商標の称呼 | エムスペック、スペック |
代理人 | 特許業務法人三枝国際特許事務所 |