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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y03
管理番号 1306612 
審判番号 取消2014-300449 
総通号数 191 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-11-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2014-06-17 
確定日 2015-10-07 
事件の表示 上記当事者間の登録第5071629号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第5071629号商標(以下「本件商標」という。)は、「ドマーニ」の片仮名及び「DOMANI」の欧文字を上下二段に横書きしてなり、平成18年12月8日に登録出願、第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品」を指定商品として、平成19年8月17日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求は、平成26年7月2日である。

2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第9号証を提出した。
(1)弁駁の理由
被請求人が提出した答弁書の内容及び乙第1号証ないし乙第7号証の証拠を検討しても、本件審判の請求の登録前3年以内(以下「要証期間」という。)に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件請求に係る指定商品「せっけん類,歯磨き,化粧品」について本件商標と社会通念上同一の商標を使用していることにはならない。
ア コンサートにおける使用
被請求人は、本件商標を、被請求人の製品である化粧品の3種類(クレンジング乳液、化粧水、薬用乳液)を袋に入れた「化粧品のセット」に使用し、これを被請求人が特別協賛している「佐藤しのぶクリスマス・コンサート」(平成25年12月11日及び15日に開催)(以下、単に「コンサート」という。)の会場で、その入場者のうち、CD購入者のみにノベルティとして、無償で提供しているのみであるから、「化粧品セット」自体が独立の商取引の目的とされていないものであり、CD購入者への販促物としての使用である。
乙第1号証の1について、「化粧品セット」の包装に「佐藤しのぶさんが選んだ」との文言は見受けられるものの、年月日が記載されていないこと及びコンサート会場において、当該包装が実際に使用された「化粧品セット」がCD購入者に無償配布されている様子のわかる写真等の証拠も提出されていないことから、実際に、いつ使用されたものか不明である。
さらに、乙第2号証のコンサートのパンフレット及び乙第3号証の電子メールを検討するに、コンサートが開催された点及びコンサートにおいて被請求人が来場者用にプレゼント(サンプリング商品)を用意している点は認められるものの、具体的にどのような形で配布したのかは述べられていない。
したがって、いずれの方法により化粧品セットを配布したかは不明である。
次に、コンサート会場にノベルティグッズを送付したと主張する宅配便伝票4枚(乙4の1、2)を見ても、いずれにも荷受印の押印、荷受シールの貼付は見受けられない。また、いずれにも送料の金額が記載されていないことから、当該伝票に基づいて当該ノベルティグッズが発送されたかどうか不明である。
イ 関連会社における使用について
被請求人は、乙第1号証の2の写真、乙第5号証の台紙の販促物発注書、乙第6号証の宅配便伝票及び乙第7号証の小売店の受領証を提出しているが、乙第1号証の2において化粧品3点がセットされたビニール袋内の台紙に「ドマーニ/Domani○Set」(○はその内部にRの文字が表示されている。)の文字が印刷された写真は存在するものの、実際の化粧品自体の受発注を示す書類が何ら提出されていない。関連会社との取引とはいえ、商品を販売しているのであれば、実際の化粧品自体の取引にかかる発注伝票、納品書、請求書等が存在するはずであり、それらのいずれもが提出されていないのは、不自然な商取引である。
また、なんらの証拠も提出されていないことから、「ヒノキ肌粧品近畿圏販売株式会社」(以下「販売会社」という。)が本件商標の通常使用権者であるのか不明である。
次に、乙第7号証として小売店の受領書を提出しているが、当該小売店の名称から、上記販売会社の小売店であることが認識される。仮に販売会社から小売店へ商品が納品されたのであれば、実際の取引にかかる発注伝票、納品書、請求書等が存在するはずであり、わずか1回限りの小売店の受領書のみしか提出されていないのも、不自然な商取引である。また、上記小売店において一般顧客向けに「化粧品セット」を販売したとする証明も何らなされていない。
しかるに、「化粧品セット」が一般の市場において流通していることを示す証拠も何ら存在せず、提出証拠からはあくまでグループ間内の取引が推測されるにすぎない。
以上の証拠を考慮しても、化粧品自体の販売に関する直接的な取引伝票が何ら提出されていないことからも、本件商標がその指定商品「化粧品」について、本件要証期間内に、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかにより使用されていないことは明白である。
(2)平成27年3月2日付け口頭審理陳述要領書
ア コンサートにおける使用
株式会社佐藤しのぶアートガーデン(以下「主催者会社」という。)は、その代表取締役の陳述書(乙10)からみて、サンプルセット等を、コンサート会場での被請求人のポスターなどの展示物と同様の「備品との認識」をしているところ、このことにより、主催者会社と被請求人との間のサンプルセットに係る取引書類が存在しないとの主張は、「化粧品セット」が、独立して商取引の目的物として供されている商品でないと主張するのと同等である。
したがって、本件商標は、CD購入者にプレゼントとして無償配布される「化粧品セット」に付されているものであり、主催者会社のCD販売の促進のために付されたものである。
さらに、化粧品セットは、被請求人が主張するような2011年又は2012年においての使用の証拠は見当たらず、2013年に開催されたコンサートの東京及び大阪の2公演でのみ配布されたものであり、本件商標の使用に係る商品の取引が、要証期間内に、反復し、継続してなされたものとみることはできない。
また、乙第11号証は、クリスマスの飾り付けから12月25日までのどこかの会場であることは見受けられるが、コンサート会場であるか不明であり、「化粧品セット」が展示されているか否かも不明である。また、写真の日付も手書きであるから、証拠力は極めて低い。
イ 関連会社を通した使用について
被請求人が本件商標を付した「化粧品セット」を販売会社を通じて小売店に配布したことをもって、商標法第2条第3項第1項及び第2号と主張しているが、以下のとおり、「化粧品セット」は、商標法上の商品に該当しないものであるから、上記主張は、失当である。
乙第17号証の納品書からみると、「化粧品セット」の内容は、在庫状況により、極めて流動的な内容であると推認されるから、本件商標は、商標の品質保証機能を発揮していない。そして、陳述書(乙15)中「納品済みのサンプルを使用して作成した」との主張及び「物品として新たに販売店に提供したのは1店舗あたり30枚程度の紙製の台紙とビニール小袋」との主張から、小売店に配布、納品されたのは、「ドマーニ/Domani」が付された台紙のみであって、本件商標が付された化粧品は納品されていない。また、本件サンプルセットは、販売店の在庫サンプルの消化を目的とした販売促進のための商品であるから、商標法上の商品に該当しない。
乙第1号証の2の写真において、本件サンプルセットに入っている化粧品は確認できるが、商品外箱に「ドマーニ/Domani」の標章は付されていない。乙第16号証及び乙第17号証からは、単に商品が小売店に納品されたことが窺えるが、本件商標が付された化粧品が納品されたことの証明にはならない。
したがって、上記サンプルセットを受け取った者が、当該商品を購入しようとしても、一般市場に流通していないものである。このことは、乙第13号証の「商標権者のパンフレット」に「ドマーニ」「DOMANI」の商標が付された商品が、掲載されていないことからも明らかである。
(3)平成27年4月13日付け上申書
ア コンサートにおける使用について
被請求人は、「化粧品セット」を商品の宣伝のためにも使用していると述べているが、乙第18号証の陳述書に記載された内容を提出された写真により確認すると、何らかの商品及び展示物があったことは見受けられるが、本件商標の記載及び「化粧品セット」は確認できない。また、写真に写っている展示物に本件商標が確認できない。また、上記写真に写っている乙第13号証のパンフレットにも本件商標は確認できない。
乙第19号証の被請求人の社内報をみても、「サンプルセット」の表記にとどまり、本件商標を使用していることは窺えない。
被請求人の提出に係る証拠をみても、東京と大阪のコンサート会場という極めて限られたエリアで2日間のみの使用であり、最大に見積もっても300人程度にしか「化粧品セット」を配布していないと推認される。
したがって、このような地域性、期間、対象人数に鑑みると、本件商標が宣伝広告機能を果たしているとはいえない。
イ 被請求人又は関連会社による使用について
被請求人は乙第21号証及び乙第22号証を新たに提出しているところ、乙第21号証において記載された「80セットほどを来店客に配布したと記憶して」いるとあるが、2年前の記憶であり、客観的な証拠の提出はない。また、クリスマス及び年末商戦であり1か月という極めて短い期間、80セットという化粧品としては極めて少ない数量の配布からは、何らの商標の宣伝広告機能を果たす使用には該当しない。

3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第22号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)答弁の理由
本件商標は、以下のとおり、被請求人(商標権者)又は通常使用権者により、指定商品中の「化粧品」について、要証期間に使用されている。
ア コンサートにおける使用
被請求人は、本件商標をその製品である化粧品の3種類(クレンジング乳液、化粧水、薬用乳液)を袋に入れた「化粧品のセット」に使用している。
この「化粧品セット」(乙1の1)は、被請求人が特別協賛しているコンサート会場において、入場者のうち、CDを購入した者に配布された。
コンサートは、2013年(平成25年)12月11日(大阪サンケイホールブリーゼ)、同月15日(東京オペラシティコンサートホール)において開催されている(乙2)。
これらのコンサートにおいて配布された「化粧品セット」には、被請求人の製品のうち「佐藤しのぶさんが選んだ商品」と題するため、被請求人の担当者と主催者会社の担当者との電子メールでの話し合いが行われている(乙3)。
「化粧品セット」は、コンサートの開催日の前、大阪公演では平成25年12月10日にサンケイホールブリーゼ気付で主催者宛(乙4の1)に、東京公演では同月10日に主催者宛及び同月14日に東京オペラシティコンサートホール気付で主催者宛(乙第4の2)に送付されている。
以上のとおり、本件商標は、「化粧品セット」に「ドマーニ/Domani○(○はその内部にRの文字が表示されている。)」と明示されているから、本件商標が「化粧品」について被請求人により、2013年(平成25年)12月に使用されていたことが明らかである。
イ 関連会社を通した使用について
被請求人は、その製品の販売について、各々独立した関連会社を営業所として全国各地に設け、それらの関連会社に被請求人に発注された商品を納入している。
上記関連会社の一つである販売会社は、被請求人の製品を購入するとともに、それらの商品を複数組み合わせた「化粧品セット」(乙1の2)を顧客である小売店に納品するため、本件商標が表示された台紙を被請求人に2013年(平成25年)9月2日に注文し(乙5)、被請求人は同年10月24日にそれを発送している(乙6)。そして,販売会社は袋に化粧品とカード(台紙)を入れて「化粧品セット」として小売店に、同年11月8日に納品している(乙7)。
以上の事実により、本件商標が被請求人又は商標の使用を許諾された販売会社が通常使用権者として、「化粧品」について、平成25年11月に使用されていたことが明らかである。
(2)平成27年2月16日付け口頭審理陳述要領書並びに平成27年4月2日付け及び同月10日付け上申書
ア コンサートにおける使用
(ア)被請求人と主催者会社とは、コンサートの協賛についての契約書(乙8)(以下「本件契約書」という。)があり、被請求人の「化粧品セット」の入場者への配布は、その第3条(6)に基づくものである。
「化粧品セット」は、コンサート会場気付で主催者会社に送付されているものであり、被請求人の営業企画・広報販促部次長提出の陳述書「ドマーニセットの送付について」(乙9)のとおりである。
また、コンサート会場での「化粧品セット」の配布は、本件契約書第3条(6)に基づき、主催者会社の社員が被請求人の代行としてCD購入者に配布している。このことは、主催者会社の代表取締役の陳述書「クリスマスコンサートの協賛について」(乙10)のとおりであり、配布した「化粧品セット」の写真が添付されている。
以上のとおり、被請求人は、「化粧品」サンプルが入った「化粧品セット」に本件商標を付したものをコンサート会場でCD購入者に引渡した。
そして、被請求人は、その履歴事項全部証明書(乙12)のとおり、化粧品の製造販売を行う株式会社であり、実際に多くの化粧品を販売している(乙13)。
したがって、「化粧品セット」は、無償で配布したものであるが、被請求人の業務に係る商品であり、独立して取引の目的となるものである。
なお、コンサート会場において、被請求人の商品が陳列されている写真を提出する(乙11)。
(イ)被請求人と主催者会社は、本件契約書の第3条の(6)の規定により、コンサート会場において各種の協力を行っているものであり、被請求人の商品の広告としては、コンサート会場での被請求人の商品の展示と来場者に対する商標権者の化粧品サンプルが入った「化粧品セット」(乙1)があり、それには本件商標が使用されている。
さらに、乙第18号証は、コンサートの担当者である、被請求人の営業企画・広報販促部次長の陳述書であり、コンサートにおいて、被請求人の商品(乙13)を陳列するとともに、それらの商品のサンプルの入った「化粧品セット」である「ドマーニセット」を配布したことが示されている。
乙第19号証は、2013年12月に発行された被請求人の社内報の号外であり、コンサートの模様が示されていて、会場でのブース展開、プログラムの広告掲載(乙20)及びサンプルセット(ドマーニセット)のプレゼントがPR活動として行われたことが記載されている。
以上のとおり、本件商標を使用した「化粧品セット」は、それ自体商品であるとともに、そこに使用された本件商標は、商品の宣伝のためにも使用されているものである。
イ 被請求人又は関連会社による使用について
被請求人と販売会社とは、代表取締役を同一人とする関連会社であるから(乙14)、本件商標の使用について黙示の許諾がなされている。両者の取引状況は、被請求人の代表取締役の陳述書「ドマーニセットについて」(乙15)のとおり、乙第1号証の2に示す「化粧品セット」を被請求人の社員が販売会社において、乙第5号証に示す台紙と化粧品サンプルを袋詰めして作成している。乙第16号証は、上記陳述書(乙15)に示す化粧品サンプルについての、平成25年(2013年)10月における被請求人から販売会社への納品書であり、乙第17号証は、販売会社から小売店への化粧品サンプルの納品書である。
乙第21号証は、「ドマーニセット」を30個受領したことを示す「受領書」(乙7)を発行した「ベラ・ドマーニ」(大阪市住吉区)(乙22)の店長の陳述書であり、平成25年11月から12月にかけて被請求人の化粧品サンプルを詰め合わせた「ドマーニセット」を来店客に頒布したこと及びその頒布が有効な宣伝手段であったことが示されているから、本件商標を使用した化粧品セットは、販売会社を通じて、小売店に送られた化粧品サンプルと台紙により作成されて、小売店の来店客に配布されたものであり、本件商標が、被請求人の広告のために使用されたことは明らかである。
ウ まとめ
本件商標は、被請求人の商品である化粧品のサンプルを入れた「化粧品セット」に使用されて、コンサート会場で配布された事実及び小売店の来店者に配布された事実が立証されているから、本件商標は、その指定商品について、本件要証期間内に使用されている。

4 当審の判断
(1)被請求人の提出に係る乙各号証からは、以下の事実が認められる。
ア 乙第1号証の1は、商標権者がコンサート会場で頒布したとする、「化粧品セット」の写真であるところ、その台紙には、上段に「ドマーニ」の片仮名、下段に「Domani」の欧文字、そして、その右側に表示された○の中に表示されたRの文字を挟んで「Set」の欧文字が中央に、また、最上段に「佐藤しのぶさんが選んだ」の文字が表示されている。そして、袋詰めされた「化粧品セット」には、2013年8月頃作成された商標権者の業務に係る各種の化粧品等に係るパンフレット(乙13)に掲載された商品のうちの3種類のサンプルが入っている。
イ 商標権者は、平成25年(2013年)12月11日に「サンケイホールブリーゼ(大阪)」、同月15日に「東京オペラシティコンサートホール(東京)」で開催された「佐藤しのぶクリスマスコンサート」の特別協賛となることを、主催者会社と2013年4月8日に契約した(乙8、2、19、20)。
本件契約により、コンサートのパンフレット(乙2)及び東京公演のプログラム(乙20)には、商標権者が特別協賛であることが明示されているものであり、また、該プログラムには、商標権者の業務に係る化粧品の広告が掲載されている。
ウ 商標権者の営業企画・広報販促部次長は、本件契約後である、2013年11月8日、12日及び13日付けで、主催者会社とのメールにおいて、コンサート会場において商標権者の製品広告ディスプレーの展示及び商品のサンプルを配布すること、サンプルは、主催者会社、コンサート会場である東京オペラシティコンサートホール及びサンケイホールブリーゼに納品することを打合せた。なお、当該メールには、そのサンプルの頒布が2012年においても行ったことが記載されている。(乙3、9)
また、主催者会社は、その陳述書(乙10)において、商標権者が平成22年以降、コンサートの協賛をしていること及びコンサート主催者がCD購入者に商標権者の肌粧品サンプルセットを配布していることを述べて、乙第1号証の1の「化粧品セット」と同じ内容の「化粧品セット」の写真を添付している。
エ 乙第18号証は、商標権者の営業企画・広報販促部次長が提出した陳述書「佐藤しのぶコンサートでのドマーニセットの配布について」であり、平成22年以降、毎年、コンサートの協賛をして、会場で商標権者の商品及びポスターの展示、パンフレットの配布を行っていること、平成25年12月11日及び15日に開催されたコンサートにおいても、同様に商品の陳列、「佐藤しのぶさんが選んだドマーニセット」として、商標権者の商品のサンプル3品(SPクリンエマルジョン、REローション、REミルクローション)の詰め合わせを、当日会場でCD購入者にプレゼントしたことが述べられている。このことは、上記ウのとおりの、メールの内容及びコンサート主催者の陳述書(乙10)の内容と合致するものであり、また、乙第1号証の1の「化粧品セット」の台紙には、上記陳述のとおり、「佐藤しのぶさんが選んだ」の表示がある。
オ また、2013年12月発行の商標権者の社内報(乙19)によれば、コンサート会場において、特別協賛している商標権者は、プログラムやチラシへの広告掲載、ブース展開、CD等購入者へのサンプルセットのプレゼント等を宣伝広告活動として行ったことが報告されている。
(2)判断
商標権者は、平成25年12月11日に「サンケイホールブリーゼ(大阪)」、同月15日に「東京オペラシティコンサートホール(東京)」で開催された「佐藤しのぶクリスマスコンサート」の特別協賛となる契約を、2013年(平成25年)4月8日付けで主催者会社と結んだ。そして、本件契約及びその後の経緯等を合わせみると、その契約により、コンサート会場において、商標権者の業務に係る宣伝活動が行われたといえる(上記(1)イ?オ)。
加えて、「佐藤しのぶさんが選んだ」の表示がある「化粧品セット」には、2013年8月頃作成された商標権者の業務に係る各種の化粧品等に係るパンフレット(乙13)に掲載された商品のサンプルが入っていることを踏まえれば(上記(1)ア及びウ)、当該「化粧品セット」は、商標権者の業務に係る化粧品の宣伝のために配布したものとみることができるものであり、乙第1号証の1の写真の態様で、コンサート会場において頒布されたものと推認することができる。
そして、本件商標は、上段に「ドマーニ」の片仮名、下段に「DOMANI」の欧文字からなるところ、「化粧品セット」には、上段に「ドマーニ」の片仮名、下段に「Domani」の欧文字(以下「使用商標」という。)が表示されているものであり、欧文字部分の第2文字目以降において、大文字と小文字の相違があるが、その構成は上段及び下段ともに、本件商標と同一の文字からなるものであるから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。
そうとすると、商標権者は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を表示した「化粧品セット」を、平成25年12月11日及び同月15日に、その業務に係る化粧品についての広告としてコンサート会場で頒布したというのが相当である。
以上によれば、商標権者は、要証期間内に日本国内において、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用して、本件請求に係る指定商品中の「化粧品」についての広告を行ったといえるものである。
(3)請求人の主張について
請求人は、商標権者による「化粧品セット」の配布により、本件商標が宣伝広告機能を発揮しているとしても、期間、地域、配布数量はいずれも極めて限られたものであるから、本件商標の使用に該当しないと主張する。
しかしながら、公演等の興行の協賛者が当該興行においてその業務について宣伝活動を行うこと及び化粧品の宣伝活動としてそのサンプルを無償で配布することは通常行われているところ、商標権者は、コンサートの特別協賛となったものであり、本件契約後の経緯からみても、主催者会社の代表取締役の陳述書(乙10)に添付された写真並びに乙第1号証の1の写真の態様のとおりの使用商標が表示された「化粧品セット」(広告)が頒布されたとみることに不自然はない。
そして、上記(2)のとおり、使用商標が表示された「化粧品セット」がコンサート会場で頒布されたことを推認することができるところ、これを覆すに足りる証拠はない。
また、「化粧品セット」の頒布は、コンサートの来場者を対象とするものであっても、これをもって、上記、本件商標の使用が否定されないし、不特定の者に対して頒布されたものとみてさし支えないものであり、商標法2条3項8号所定の「頒布」に該当するものといえる。
したがって、請求人の主張は、採用することができない。
(4)むすび
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者がその請求に係る指定商品について、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていることを証明したというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2015-08-05 
結審通知日 2015-08-10 
審決日 2015-08-25 
出願番号 商願2006-113893(T2006-113893) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Y03)
最終処分 不成立 
特許庁審判長 酒井 福造
特許庁審判官 堀内 仁子
手塚 義明
登録日 2007-08-17 
登録番号 商標登録第5071629号(T5071629) 
商標の称呼 ドマーニ 
代理人 稲木 次之 
代理人 小川 雅也 
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