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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服20157720 審決 商標
不服20158640 審決 商標
不服20159838 審決 商標
不服201426608 審決 商標
不服20155093 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W02
管理番号 1306611 
審判番号 不服2014-21221 
総通号数 191 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-11-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-10-01 
確定日 2015-10-06 
事件の表示 商願2013-102800拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「バリアコート」の片仮名を横書きしてなり、第2類「ガラス用遮熱塗料」を指定商品として、平成25年12月16日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『バリアコート』の文字を普通に用いられる方法で表してなり、指定商品を含む各種塗料との関係においては、『下塗り塗料と上塗り塗料との化学的あるいは物理的な相互作用を防ぐために、その中間に塗装される塗料』である『中間塗料(barrier coat)』を意味するものであるから、『中間塗料として用いるガラス用遮熱塗料』であることを認識させるにすぎず、商品の用途を表示するものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審における手続の経緯
当審において、平成27年3月13日付け証拠調べ通知書により、別掲のとおり、商品「塗料」を取り扱う分野においては、「バリア(バリアー)」の文字が「(熱、紫外線及び腐食成分等の侵入や下地の腐食発生を防ぐ)防壁」を、「コート」の文字が「塗料」を、そして、「バリアコート(バリヤーコート)」の文字が「(熱、紫外線及び腐食成分等の侵入や下地の腐食発生を防ぐ)防壁を形成するための塗料」を表すことに使用されている事実を通知し、請求人に対し意見を求めたところ、請求人は、同年4月28日付けで意見書を提出した。

4 請求人の意見
請求人は、上記3の意見書において、以下のとおり、意見を述べた。
(1)本願商標の構成中「バリア」の文字は、「防壁、障壁」という意味でのみ使用されているもので、防壁、障壁の対象となるものは含まれていない、或いは「バリア」という文字だけでは防壁や障壁の対象となるものを特定できるものではない。
(2)本願商標は、「ガラス用遮熱塗料としてガラスの透明性を確保できる正真正銘のガラス用塗料である」という意味で商品名としたもので、現在では需要者である施工代理業者にとって「バリアコート」という商標は十分に識別性を有する状態になっている。

5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、「バリアコート」の片仮名を普通に用いられる方法で横書きしてなるところ、その構成中「バリア」の文字は、「防壁。障壁。」を意味する(「広辞苑 第六版」岩波書店発行)ものであり、また、「コート」の文字は、「被膜。覆い。めっき」等の意味を有する(「日本語になった外国語辞典 第3版」集英社発行)ものである。
そして、別掲の事実によれば、商品「塗料」を取り扱う分野においては、「バリア(バリアー)」及び「コート」の各文字が、それぞれ「(熱、紫外線及び腐食成分等の侵入や下地の腐食発生を防ぐ)防壁」及び「塗料」を表すものとして普通に使用されていることがウェブサイトの記載からいえ、また、「バリアコート(バリヤーコート)」の文字が、「(熱、紫外線及び腐食成分等の侵入や下地の腐食発生を防ぐ)防壁を形成するための塗料」に使用されていることが、ウェブサイトの記載からいえる。
そうすると、「バリアコート」の文字からなる本願商標に接する取引者、需要者は、本願の指定商品「ガラス用遮熱塗料」との関係から、熱の侵入を防ぐ防壁を形成するための「遮熱塗料」であることを容易に理解するにとどまるというのが相当であるから、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というべきであり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものといわなければならない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張
ア 請求人は、本願商標の構成中「バリア」の文字は、「防壁、障壁」という意味であって、防壁や障壁の対象となるものを特定できるものではない旨主張する。
確かに、「バリア」の文字のみでは、「防壁、障壁」の意味を有するにすぎないものであるが、本願の指定商品が「ガラス用遮熱塗料」であることから、熱を遮断するものであることは明らかであり、本願商標の「バリア」の文字は、「熱の侵入を防ぐための防壁」であることを容易に理解させるものである。
したがって、請求人の上記主張は採用することができない。
イ 請求人は、現在では需要者である施工代理業者にとって「バリアコート」という商標は十分に識別性を有する状態になっている旨主張する。
当合議体は、請求人のこの主張を「使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるもの」(商標法第3条第2項)に係るものと解し、以下検討する。
請求人の主張及び提出資料(資料1ないし11)によれば、請求人は、2011年夏頃からガラスの透明性を確保できる遮熱塗料の開発を進め、2012年1月にその開発が完了し、その商品を「バリアコート」として、メール、電話、インターネット等を通じ、契約した施行代理業者に販売している。また、請求人は、請求人ホームページに商品「バリアコート」を掲載し、施行代理業者の募集を行っている(資料1)。
そして、2012年5月25日付け読売新聞に、商品「バリアコート」に関する記事が掲載され(資料3、なお、資料4の神戸新聞の記事には「バリアコート」の記載が認められない。)、2013年7月31日にケーブルテレビ放送局J:COM及び2013年8年4日にKSB京都テレビで放送されたとしてインターネット動画サイト「YouTube」に掲載されている「もらえるどっとTV『株式会社オーエスエス』」の番組内で、商品「バリアコートGX」が紹介されている(資料7)。
さらに、請求人は各種イベントに参加し、商品「バリアコート」を出展しており、2012年9月6日、7日に神戸市で開催された「国際フロンティア産業メッセ2012」(資料5)、2013年7月31日から8月2日までにシンガポールで開催された「The Architecture and Built Environment(ABE)Series of Events」(資料6)、2013年9月5日、6日に神戸市で開催された「国際フロンティア産業メッセ2013」(資料8)、2013年10月30日から11月1日までに東京ビッグサイトで開催された「中小企業総合展」(資料9)に出展している。
このような活動を通じて、請求人は2012年1月以降、19の施行代理業者と契約を行っている(資料10)。
以上の事実によれば、請求人は、2012年1月以降、現在に至るまで、商品「バリアコート」を継続的に販売してきたことは認められるものの、その販売数量や本願の指定商品における市場占有率については明らかではなく、各種メディアに取り上げられた回数も多いものとはいえず、地域的にも限定されたものであって、さらには、過去に4回のイベントに商品「バリアコート」を出展しているものの、ほかに広告宣伝を行った事実は認められない。
してみると、請求人が本願商標を使用した結果、本願商標が、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識されるに至っていると認めることはできない。
したがって、請求人の上記主張は採用することができない。
(3)まとめ
以上のことから、本願商標は、商標法第3項第1項第3号に該当するものであり、同条第2項の要件を具備するものではないから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
1 塗料を取り扱う分野において、「バリア」の文字が「(熱、紫外線及び腐食成分等の侵入や下地の腐食発生を防ぐ)防壁」を表すものとして使用されているウェブサイトの記載
(1)「鴻池ビルテクノ株式会社」に係るウェブサイト
「キルコート(遮熱多機能塗料)」の見出しにて、「外部からの熱を遮断する、熱を封じ込めるサーマル(熱)バリアをつくることにより、理想的な省エネルギー効果が期待できます。」と記載されている。
(http://www.kounoike.jp/solution/eco/)
(2)「良久工業株式会社」に係るウェブサイト
「外壁塗装は住宅をバリアで守っている」の見出しにて、「外壁は常に、太陽光による紫外線や熱、雨風にさらされています。その苛酷な環境から塗装がバリアを張って外壁や建物本体を守っています。」と記載されている。
(http://www.yosihisa.jp/house-paint/)
(3)「株式会社セブンケミカル」に係るウェブサイト
「セブンヒートバリアー」の製品紹介として、「ヒートバリアーは、熱遮断と耐久保護を兼ねた快適空間を創造するコーティング材です。」 と記載されている。
(http://www.seven-chemical.co.jp/products/seven-heatbarrier/)
(4)「株式会社宮防」に係るウェブサイト
「ファームバリアのメカニズム」の見出しにて、「『ファームバリア』は太陽光スペクトルのうち、特に熱作用の高い近赤外線を効率よく反射・散乱させる遮熱塗料です。」と記載されている。
(http://www.miyabo.co.jp/farmbarrier/)
(5)「アトミクス株式会社」に係るウェブサイト
「アトム遮熱バリアルーフ」の見出しにて、「塗料に含まれる特殊顔料が、太陽光の赤外線を効率良く反射して、屋根表面の温度上昇を抑え、室内の冷房効率を高めます。」及び「遮熱による省エネ効果と長期防食性を兼ね備えた!耐久性高膜厚カラー屋根用塗料」と記載されている。
(http://www.atomix.co.jp/yane/y_baria.html)
(6)「有限会社ペイントショップ佐野」に係るウェブサイト
「ECO-EX」の見出しにて、「酸化チタン(光触媒)を最後に塗装し建物を紫外線等からほぼ完全にバリアする最高品質の塗料です。」と記載されている。
(http://www.pssano.com/products.html)
(7)「石塚硝子株式会社」に係るウェブサイト
「有機・無機ハイブリッド型防錆塗料 DCCERA(ディーシーセラ)」の見出しにて、「防錆メカニズム ・腐食成分が下地金属に浸入する際に、扁平無機成分がバリア効果を発揮します。」と記載されている。
(http://www.ishizuka.co.jp/pb/material/sabitoryo.html)
(8)「住まいのモール街(日山ホーム株式会社運営)」に係るウェブサイト
「屋根・外壁以外の塗装について」の見出しにて、「塗料の膜でバリアして、サビや腐敗などの劣化を予防しましょう。」と記載されている。
(http://www.hiyamahome.jp/mall-kouji/mall/tosou/hoka.html)
(9)「株式会社AQ」に係るウェブサイト
「液体ガラス塗料『AQ SHIELD』」の見出しにて、「AQシールドは、バリア性に優れていますので酸化を防ぐことができます。」と記載されている。
(http://www.aq-shield.com/)

2 塗料を取り扱う分野において、「塗料」を表すものとして「コート」の文字が使用されているウェブサイトの記載
(1)「東日本塗料株式会社」に係るウェブサイト
「断熱コート(1液水性反応硬化型シリコン変性アクリルエマルション断熱塗材)」の見出しにて、「断熱コートは、『断熱』+『遮熱』の効果を併せ持つ塗料です。」と記載されている。
(http://www.hnt-net.co.jp/lp_dannetsucoat.html)
(2)「大同塗料株式会社」に係るウェブサイト
「プールコート」の見出しにて、「当社は創業以来、永年にわたり特殊用途に的を絞って製品開発に力を注いできました。その代表的な成果が耐水性及び耐薬品性に優れたプール専用塗料『プールコート』です。」と記載されている。
(http://www.daido-toryo.co.jp/products/pool/pool.html)
(3)「ぺいんとわーくす(有限会社征興塗料運営)」に係るウェブサイト
「水生シリコン断熱塗料『断熱コート』」の見出しにて、「耐久性に優れたシリコン塗料に特殊中空バルーンと遮熱顔料を使用した、断熱性能と遮熱性能を兼ね備えた、外壁用の弾性水性シリコン塗料。」と記載されている。
(http://www.paint-works.net/tatemono/topcoat/dan/index.htm)
(4)「OK-DEPOT(株式会社OKUTA)」に係るウェブサイト
「ハイブリッド断熱コート LOHAS COAT」の見出しにて、「LOHAS COAT(ロハスコート)とは、特殊配合樹脂に微細な中空断熱ビーズをブレンドした、日射反射と断熱機能を有する断熱塗料です。」と記載されている。
(http://www.ok-depot.jp/syouene/gaisou/lohascoat-1.html)
(5)「外装塗装の窓口(株式会社ドアーズ運営)」に係るウェブサイト
「ドリームコート」の見出しにて、「ドリームコートとは? 遮熱・断熱水性塗料です。湿式断熱躯体保護防水仕上材のドリームコートは関西ペイント株式会社から販売されています。ドリームコートは防水・透湿・断熱と季節に左右されない3つの力の要素を取り揃えております。つや消し・防カビ・防藻・断熱・弾性・透湿・防水などの様々な機能性を持つ塗料です。」と記載されている。
(http://gaiheki.yeay.jp/%E3%83%89%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%88)

3 塗料を取り扱う分野において、「バリアコート(バリヤーコート)」の文字が「(熱、紫外線及び腐食成分等の侵入や下地の腐食発生を防ぐ)防壁を形成するための塗料」に使用されているウェブサイトの記載
(1)「ゆうこうマリン株式会社」に係るウェブサイト
「NKMコーティングス株式会社 FRP下塗り」の見出しにて、「防汚性の高い船底塗料を使用しても防水性が十分に得られていないとFRP表面にオズモシス(水ぶくれ)が発生して塗面を隆起させ、塗幕を剥がしたり船底の深刻な損傷につながる恐れもあります。船底塗料塗り替えの時にこの下塗りで『バリアコート』をしてしまえばその心配は無用です。」と記載されている。
(http://www.yuukoumarine.jp/frpsitanuri.html)
(2)「FPR素材屋さん(トマト工業株式会社運営)」に係るウェブサイト
「NEW発泡スチロール用樹脂の特徴」の見出しにて、「発泡スチロールを用いて塗装・造形・FRP製品を作るとき、一般の溶剤系塗料やポリエステル樹脂を使用すると発泡スチロールやスチレンボードを溶かしてしまいます。NEWスチロール樹脂グレータイプをバリアコートとして使用すると発泡スチロールを溶かさずに塗装や積層を行なう事が出来ます。」と記載されている。
(http://item.rakuten.co.jp/frp/562022/)
(3)「株式会社大谷塗料店」に係るウェブサイト
「IPバリアコート」の見出しにて、「IPバリアコートは塗り替え現場において問題となることが多い下地のシミ、ヤニ等の影響を抑える画期的な塗料です。」と記載されている。
(http://www.otani-p.net/baria-coat.shtml)
(4)「タケダ化成品株式会社」に係るウェブサイト
「バリアコート」の見出しにて、「にじみ止めやちぢみ止めなどの目的に用いる遮断硬化のある一種の中塗り塗料→MIO塗料」と記載されている。
(http://www.takeda-kaseihin.co.jp/knowledge/word/)
(5)「久保孝ペイント株式会社」に係るウェブサイト
「シーラー(バリヤーコート)」の見出しにて、「旧塗膜面、或いは下塗塗装面に塗装し、下層からのにじみを防止し、上塗塗膜のチヂミ、及び吸い込みを防ぐ塗料。主に合成樹脂系の塗料が多い。」と記載されている。
(http://www.kuboko.co.jp/glossary/)
(6)「AGCコーテック株式会社」に係るウェブサイト
「バリヤーコート」の見出しにて、「バリヤーコートは、シーリング材からブリードする成分を遮断し、仕上塗膜の汚れを防止する高性能バリヤープライマーです。」と記載されている。
(http://agccoat-tech.co.jp/specification/pdf/catalog/705.pdf)

審理終結日 2015-07-31 
結審通知日 2015-08-07 
審決日 2015-08-18 
出願番号 商願2013-102800(T2013-102800) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W02)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 北口 雄基箕輪 秀人 
特許庁審判長 大森 健司
特許庁審判官 高橋 幸志
中束 としえ
商標の称呼 バリアコート、バリア 

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