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審決分類 審判 査定不服 商品(役務)の類否 取り消して登録 W09
管理番号 1306573 
審判番号 不服2014-25975 
総通号数 191 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-11-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-12-19 
確定日 2015-10-23 
事件の表示 商願2013-89511拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 1 本願商標
本願商標は、「RAINDROP」の文字を標準文字で表してなり、第9類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、2013年(平成25年)10月21日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成25年11月15日に登録出願されたものである。そして、その指定商品については、原審における平成26年9月10日受付の手続補正書により、第9類「化学的調査・研究・分析のための理化学機械器具,理化学機械器具,DNA及びRNA検査用の化学的調査・研究・分析のための理化学機械器具,遺伝子分析装置,核酸増幅及び核酸分析を行うためのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による実験用機械器具」に補正されたものである。

2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第2661129号商標(以下「引用商標」という。)は、「レインドロップ」の片仮名を書してなり、平成3年11月20日に登録出願され、第10類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同6年5月31日に設定登録されたものである。そして、その指定商品については、平成16年8月4日に第9類「巻尺」とする指定商品の書換登録がされたものである。

3 当審の判断
(1)本願商標と引用商標の類否について
本願商標は、前記1のとおり、「RAINDROP」の欧文字からなるところ、「raindrop」の文字は、「雨滴、雨垂れ」の意味を有する英単語(ランダムハウス英和大辞典)であるから、同意味合いの観念を生ずる場合があり、その構成文字に相応して「レインドロップ」の称呼を生ずるものである。
一方、引用商標は、前記2のとおり、「レインドロップ」の片仮名からなるところ、該文字は、辞書等に載録が見受けられないものであるものの、上記「raindrop」を片仮名で表したものともいえることから、同じく「雨滴、雨垂れ」の意味合いの観念を生ずる場合があるというのが相当であり、その構成文字に相応して「レインドロップ」の称呼を生ずるものである。
そこで本願商標と引用商標とを比較すると、両商標は、外観上は差異を有するとしても、「レインドロップ」の称呼を共通にし、また、「雨滴、雨垂れ」の観念を共通にする場合があるといえるものであるから、これらを総合的に勘案すれば、互いに類似の商標であるといえる。
(2)本願商標の指定商品と引用商標の指定商品との類否について
本願商標の指定商品中の「遺伝子分析装置」と引用商標の指定商品である「巻尺」について、請求人は、両商品は非類似である旨主張しているから、以下、これらの指定商品の類否について検討する。
本願商標の指定商品中の「遺伝子分析装置」は、遺伝子分析(解析)を行うための装置であるが、「遺伝子分析」とは、「ある形質に関係する遺伝子の数、性質、所属する連鎖群、染色体上の位置などの分析」(マグローヒル化学技術用語大辞典(改訂第3版))であり、犯罪捜査などにおけるDNA鑑定や、親子鑑定、医療の診断や疾病の可能性の判定、食品の品種の鑑定等の目的のために、研究機関、医療機関及び大学等で行われているものである。そして、「遺伝子分析装置」の製造は、その生産者が特殊な技術や専門的な知識を有する企業であって、その販売方法は、通常、商社等を通じての販売や注文生産による販売である。また、「遺伝子分析装置」は、以下のア及びイの例に示すとおり、数百万円から数千万円する精密な機械であり、その需要者は、上述した研究機関、医療機関及び大学等に属する専門的な知識を有する者である。

ア 2009年7月2日付け日刊工業新聞(15頁)に、「ジーンワールド、新型インフルのウイルス全自動検出できる分析装置開発」の見出しのもと、「ジーンワールド(東京都板橋区、林仲信社長、03・5966・4422)は、新型インフルエンザウイルス遺伝子を全自動で検出できる完全連続自動化遺伝子分析装置『バイオマスターBM?03』を開発、近く発売する。同社によると、完全自動化装置は初めて。サンプルや試薬をセットアップ後、3時間でデータを取得できる。・・・価格はプロメガ製の核酸・たんぱく質自動精製システム『Maxwell16』とセットで2500万円。」の記載がある。
イ 2005年9月22日付け日本経済新聞(東北A2頁)に、「G&Gサイエンス、食材品種、遺伝子で鑑定、検査システム販売。」の見出しのもと、「バイオベンチャーのG&Gサイエンス(福島市、重松誠社長)は、食材の品種を鑑定する遺伝子検査システムを販売した。遺伝子解析技術を使い、ブランド食材の偽装表示や類似品の混入などを見分ける。・・・検査システムは遺伝子分析装置や解析ソフト、コンピューターのほか、消耗品の試薬など四百万円程度かかる。・・・大学や研究機関のほか、食の安全性に敏感な小売業界などに向け販売する。」の記載がある。

他方、引用商標の指定商品である「巻尺」は、辞書において、「円形の容器中に巻き込んであり、必要に応じて引き出して用いる目盛りをつけた紐状の物差し。布製・革製・鋼鉄製など。まきざし。」(広辞苑第6版)、「通常はビニル加工した布または鋼製で、巻取って金属製または革製のケースに入れるものさし。2?10m程度の小型と20?50mの大型とがあるが、いずれもミリ目盛りまでついている。前者は裁縫用、工作用、その他工場などでもよく使われる。」(ブリタニカ国際大百科事典小項目事典)と記載され、比較的簡単な構造からなるものであり、測定機械器具のうち、「基本単位計量器」に属する商品である。そして、「巻尺」は一般的な計量器等を取扱う業者等において生産(製造)、販売され、販売方法は店頭又は通信販売が主であり、主な需要者は、裁縫や工作などに使用する一般的な消費者ということができる。
そうすると、本願商標の指定商品中の「遺伝子分析装置」と、引用商標の指定商品である「巻尺」とは、その生産(製造)、販売方法、品質(構造)、需要者及び用途等を総合的に考慮すると、両商品は、全く別異のものであり、これらに同一又は類似の商標が使用されたとしても、その出所について互いに混同を生じるおそれはないから、互いに非類似の商品であるというのが相当である。
(3)まとめ
以上からすれば、本願商標は、引用商標に類似する商標であるとしても、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品について使用をするものではない。
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決日 2015-10-09 
出願番号 商願2013-89511(T2013-89511) 
審決分類 T 1 8・ 264- WY (W09)
最終処分 成立  
前審関与審査官 蛭川 一治 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 清棲 保美
榎本 政実
商標の称呼 レインドロップ 
代理人 小沢 慶之輔 

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