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審決分類 審判 一部無効 称呼類似 無効としない W03
審判 一部無効 観念類似 無効としない W03
審判 一部無効 外観類似 無効としない W03
管理番号 1306474 
審判番号 無効2014-890029 
総通号数 191 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-11-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2014-05-02 
確定日 2015-09-07 
事件の表示 上記当事者間の登録第5508080号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5508080号商標(以下「本件商標」という。)は、「Say ブリリアント」の文字を標準文字で書してなり、平成24年2月20日に登録出願、第3類「せっけん類,化粧品,香料」を指定商品として、同年6月26日に登録査定、同年7月13日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録商標は、以下のとおりであり、その商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。
1 登録第1684148号商標(以下「引用商標1」という。)は、「BRILLIANT」の文字を横書きしてなり、昭和55年2月23日に登録出願、第4類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同59年5月29日に設定登録され、その後、平成6年5月12日に、指定商品を第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類」及び第30類「食品香料(精油のものを除く。)」とする指定商品の書換の登録がされ、同26年3月25日に、当該書換登録された指定商品中の第3類に属する商品について、商標権存続期間の更新登録がされたものである。
2 登録第1975686号商標(以下「引用商標2」という。)は、「BRILLIANT」の文字と「ブリリアント」の文字を二段に横書きしてなり、昭和59年10月16日に登録出願、第4類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同62年8月19日に設定登録され、その後、平成19年12月26日に、指定商品を第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類」及び第30類「食品香料(精油のものを除く。)」とする指定商品の書換の登録がされたものである。
(引用商標1及び2をまとめていうときは、以下、単に「引用商標」という。)

第3 請求人の主張
請求人は、「本件商標の指定商品中の『せっけん類,化粧品』についての登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第31号証(枝番を含む。)を提出した(なお、甲号証及び乙号証中の枝番を有する証拠において、枝番を特に明記しない場合は、枝番の全てを含むものである。)。
1 利害関係について
請求人は、引用商標の商標権者であり、引用商標1は昭和59年5月29日より、また、引用商標1及び引用商標2は平成4年3月1日より、現在に至るまで、イオナインターナショナル株式会社(以下「イオナ社」という。)に通常使用権を許諾しており(甲4)、引用商標は、イオナ社により、せっけんや化粧品に長年にわたり使用された結果、業務上の信用が高度に蓄積されている。
本件商標は、後記2のとおり、引用商標と類似し、かつ、両商標の指定商品は、請求に係る指定商品について同一である。したがって、引用商標と類似する本件商標が登録され使用されると、需要者等が商品の出所について混同を生ずるおそれがあり、ひいては、引用商標に蓄積された社会的信用が希釈されることにつながり、請求人は不利益を被る。
したがって、請求人は、本件審判を請求するにつき、利害関係を有する。

2 商標法第4条第1項第11号該当性
本件商標の登録は、以下の理由により、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであるから、同法第46条第1項第1号により無効とされるべきである。
(1)請求人が無効審判請求に至った背景
通常使用権者による使用状況
イオナ社は、せっけんについて「イオナ ソープ ブリリアント/IONA Soap Brilliant」、化粧水について「イオナ スキンローション ブリリアント/IONA Skin Lotion Brilliant」、乳液について「イオナ トリートメント エマルジョン ブリリアント/IONA TREATMENT Emulsion Brilliant」、保湿クリームについて「イオナイオンクリームブリリアント/IONA Ion Cream Brilliant」の表示を付して使用している(甲5?甲9)。
上記商品に付された名称は、いずれも「商号商標(ハウスマーク)+商品名称(商品の種類)+商品商標(サブブランド)」の構成からなり、「ブリリアント」が商品商標として位置づけられている。なお、イオナ社が使用している商品商標は「ブリリアント」又は「Brilliant」のほか、イオン配合量の違いにより「ナチュレール」、「エクセル」を使い分け(甲12)、需要者は、これら商品商標を目印にして、イオン配合量の異なる3商品から自身の肌質に合うものを選択する。
以上から、イオナ社が商品に表示している「ブリリアント」又は「Brilliant」が商標として使用され、かつ、それらが識別標識として実際に機能していることに疑う余地はない。
イ 過去に行われた不使用取消審判
引用商標が、化粧品やせっけんについて、イオナ社により商標として識別機能を発揮する態様で使用されていることは、過去に引用商標に対して請求された不使用取消審判事件からも明らかである(甲13?甲15)。
ウ 請求人による権利維持活動
請求人は、登録商標の希釈化を防ぐため、権原なく登録商標「BRILLIANT」等を使用している者に対し、警告状を送付して登録商標の存在を知らしめ、その使用を中止させている(甲16?甲19)。このような請求人による権利維持活動が行われているからこそ、引用商標は、希釈化されることなく識別標識として機能しているのである。
エ 本件商標の並存登録状況
近年、「ブリリアント」、「BRILLIANT」又は「Brilliant」等(これらをまとめていうときは、以下「ブリリアント等」という。)の文字を含む商標が、当該指定商品について多数登録されている現実がある(甲20)。しかし、これらが併存登録されているとしても、依然として「ブリリアント等」の文字は、出所識別標識としての機能を維持している。すなわち、「BRILLIANT」は、「輝かしい、輝く」等を意味する英語の形容詞で、主に名詞を修飾する機能があるから、他の名詞と結合することにより独自の意味合いが生ずるが故に、非類似商標として併存登録が認められたのである。
したがって、「ブリリアント等」の文字を含む商標が多数登録されているとしても、短絡的に「ブリリアント等」の文字それ自体が識別力に乏しいと判断することはできない。商標の構成態様を検討し、各構成要素が一体不可分に結合し、異なる称呼及び観念が生ずると判断できる場合でなければ、「ブリリアント等」の部分は独立して認識されるべきであり、引用商標との類似性が肯定されるべきである。
(2)本件商標と引用商標の類否判断
ア 本件商標について
本件商標は、「Say」の欧文字と「ブリリアント」の片仮名からなり、両文字の間に1文字程の間隔があることから、その外観上、両文字がそれぞれ分離して看取されると考えるのが通常である。
そこで、本件商標が一体不可分のものと認識されるか否かは、両文字のそれぞれから生ずる意味合いが、一体的な観念を生ずるか否かを検討する必要があるところ、前半の「Say」は、「言う」等の意味を有するよく知られた英語ではあるが、本件商標の商標権者(以下「商標権者」という。)が「株式会社Say」であることを考慮すべきである。商号の要部と商品商標を併記することが当業界でよく行われていることからすれば、「Say」は、むしろ商標権者である「株式会社Say」を意味するものとして認識・把握されるとするのが自然である。
商標権者による実際の使用状況を見ても、「Say ブリリアントプレストパウダー」、「Say リフトクリーム」、「Say モイストクレンジングクリーム」、「Say マスカラ」など、商品商標の冒頭に「Say」の文字を表した各種商品が確認できる(甲21)。そして、同ウェブサイトの各ページ左上には、株式会社Sayの社章「Say(セイ)」が大きく表示されており、商標権者が運営するオンラインショップであることがすぐに認識できるようになっている。
上記状況からすれば、本件商標が実際の商品に使用された場合、その構成中の「Say」の文字は、単に「言う」を意味する英語であると認識されるはずはなく、当該商品の製造販売者である「株式会社Say」を指すものとして、需要者等に理解される。とすれば、本件商標の「Say」と「ブリリアント」の各文字から生ずる意味合いは、それぞれ「株式会社Say」と「輝かしい」であり、これらが観念上一体不可分に結合するとは考えにくいから、本件商標は、「Say」部分と「ブリリアント」部分とに分離して認識、把握されるとするのが自然である。
したがって、本件商標は、「ブリリアント」部分から「ブリリアント」の称呼と「輝かしい」との観念が生ずるのである。
イ 引用商標について
引用商標1は、太いゴシック体で「BRILLIANT」の文字を横書きしてなり、引用商標2は、「BRILLIANT」と「ブリリアント」の各文字を二段に横書きしてなるから、引用商標は、「ブリリアント」の称呼と「輝かしい」との観念が生ずる。
ウ 以上のとおり、本件商標と引用商標は、「ブリリアント」の称呼及び「輝かしい」の観念において類似する商標である。
(3)登録排除の必要性
引用商標が適法に登録されている中で、「商号+ブリリアント」という構成態様からなる本件商標が登録されるべきではない。すなわち、本件商標は、上記のとおり、「Say」部分が商標権者の商号の略称なので、必然的に該部分が商品の出所表示機能を果たすから、引用商標との間で、出所の混同が生ずるおそれはなく、両商標は類似しない、という考えも成り立ちそうである。しかし、本件商標中の「ブリリアント」は、引用商標と社会通念上同一の商標であり、本件商標が、その構成中の各文字が分離して看取されるものである以上、本件商標と引用商標の類似は避けられない。また、上記のとおり、引用商標は、使用権者であるイオナ社を介して長年にわたり継続使用された結果、業務上の信用が高度に蓄積されている。さらに、他者名義の「ブリリアント」又は「BRILLIANT」単独での商標登録は存在せず、かつ、無権原者による使用があった場合は、請求人がその使用を排除しており、登録商標の希釈化を防止する対応を行っている。
しかし、本件商標は、出願審査段階で、机上の判断で「Say」と「ブリリアント」の一体不可分性を認めてしまい、「ブリリアント」部分が引用商標と社会通念上同一の商標であるという事実を看過した。このような判断が認められれば、これを端緒として、「商号+ブリリアント又はBRILLIANT」の構成からなる商標の登録が次々と認められるおそれがある。そうすると、請求人の使用権者がこれまで長年にわたって使用し、蓄積してきた引用商標に化体した業務上の信用は消え去ってしまうであろう。これは、実際には、未だ識別力を有している商標の希釈化を特許庁が率先して認めることを意味することから、既登録商標の維持という観点からも、本件商標の登録を認めるべきではない。
(4)被請求人の主張に対する弁駁
被請求人は答弁書において、引用商標は自他商品等識別機能が極めて低いと反論し、種々の反論を述べている。
しかし、その内容はいずれも理由のないものである。引用商標は適法に商標登録され、かつ、商標権者(審判請求人)による希釈化防止対策もあり、現在においても、他の文字と結合しない単独の「BRILLIANT」ないし「ブリリアント」商標として識別機能を発揮しているものである。
ア 「通常使用権者による使用状況について」について
(ア)被請求人は、「ブリリアント」の語について、「せっけん類、化粧品、香料」の分野において多く採択されている語であるとして、化粧品等の名称、化粧品等の効果の説明、化粧品等の通販サイトの名称に普通に使用されていると主張し、その証拠として(i-1)から(i-8)の例を挙げている。
しかし、これらの例は、「ブリリアント」の語が普通に使用されているという事実を推認するには不十分であり、被請求人の主張は理由がないものである。
まず、(i-1)にあげている「エスティ ローダー」による「Brilliant」の使用例については、エスティ ローダー社が本請求人より引用商標の使用許諾を受けている通常使用権者であり、その使用は引用商標に係る商標権に基づいたものである(甲24)。
次に、(i-2)及び(i-3)にあげている「BRORGHESE」(ボルゲーゼ)という海外ブランドの「ブリリアント」の使用例については、本請求人が調べたところによると、このブランドは現在、日本で正式に商品展開されているものではない。
同様に(i-4)や(i-7)についても、これらの商品について「ブリリアント」の語が使用されていること自体は確認できるとしても、実際の流通量や需要者等の認識の程度については何ら示されていないから、これらをもってしても、「ブリリアント」の語が普通に使用されていることの証拠にはなり得ない。
また、(i-5)は、とある化粧品の説明文の中に「brilliant」の語が使用されていたに過ぎず、これは商標とは無関係のものである。(i-8)に至っては、化粧品等の通販サイトの名称であって、これがなぜ「ブリリアント」の語が当該商品分野で普通に使用されていることを示す証拠となるのか理解に苦しむところである。
これらは単に「ブリリアント」の語が表示されている(いた)ことを示すものでしかなく、引用商標の識別力の有無にどのように影響を及ぼすものなのか、具体的な検討は何らなされていない。このような現状では、「BRILLIANT」等の文字が「普通に使用されている」ことは、何ら証明されていない。
(イ)被請求人は、「イオナ社の商標の使用態様を鑑みるに…『BRILLIANT』又は『ブリリアント』の文字が、商号商標『IONA』と離れて独立して取引に資されていないということは、これらの文字は、それ単体では、商品が必ずイオナ社から流出したものであることを示すことができないほど出所表示機能が低いということに他ならない。」などと主張している。
しかし、商品商標が商号商標と同時に使用されていることと、その商品商標が識別標識として機能するか否かは全くの別問題である。当業界において商号商標と商品商標が同時に使用されることは一般的に行われており、たとえ同時に使用されていても、各々が識別機能を発揮することは周知の事実である。引用商標が商標登録を受けたのは、「BRILLIANT」及び「ブリリアント」がその指定商品との関係で識別力を発揮すると認められたからであって、使用の際の商号商標の有無とは無関係である。
(ウ)また、答弁書第7頁において、被請求人は、インターネットで「brilliant+化粧品」と入力しても、いずれの検索サイトにおいてもイオナ社の化粧品はヒットしないとして、「BRILLIANT」又は「ブリリアント」の文字が、商号商標と離れてイオナ社の化粧品を示すとは思えない旨主張している。
しかし、そもそも、インターネットの検索では、商標の結合性について判断されることはなく、本来は一体不可分の結合商標であるとしても、「BRILLIANT」又は「ブリリアント」の文字を含むものであれば機械的に検出してしまうものである。そのため、検索結果はその使用実態を正しく反映するものではなく、被請求人の主張の根拠とはなり得ない。
また、イオナ社はインターネットが普及する以前より各種メディアを通して積極的に事業展開しており、当時からの固定客が多く存在する。全体の販売数量のうちインターネット経由の販売が占める割合は相対的に低くなっているという現状がある(甲26)。
イ 「被請求人の主張」への反論
(ア)「本件商標の構成」について
被請求人は答弁書中で、本件商標の観念について、ときには「特定の観念は生じない」と主張し、ときには「本件商標の『Say』の文字は、(被)請求人である『株式会社Say』の略称を示すもので、十分に商品の出所識別標識としての機能を有している」(答弁書14頁6行目及び7行目)と主張している。これらは明らかに矛盾している。被請求人は場面に応じて自身に都合のよい主張を用いていると言ってもよく、その主張に説得力はない。
本件商標「Say ブリリアント」は「Say」部分と「ブリリアント」部分とに分離して認識、把握され、「ブリリアント」部分から「ブリリアント」の称呼とそれに相応する「輝かしい」との観念が生ずるのである。
(イ)「本件商標と引用商標の類否判断」について
称呼については、上記2(2)アのとおり、本件商標より「ブリリアント」の称呼が生ずるため、本件商標と引用商標とは称呼において類似するものである。
なお、被請求人は審判、異議事例(乙9)を挙げているが、これらの中に、本件商標のように「欧文字+「 」(スペース)+片仮名」という構成からなる事例は存在しない。いずれも、欧文字なら欧文字のみ、片仮名なら片仮名のみからなる商標が一体か否かを判断している事例に過ぎず、これらはいずれも本件商標と引用商標とが称呼上類似するものではないとする被請求人の主張を支持するものとはなり得ないことを付言しておく。
観念については、本件商標は「Say」と「ブリリアント」という識別力を有する2つの要素が併記されているものであり、そもそも商標全体で一体不可分の結合商標たり得ないものであって、該最高裁判例における判断基準を適用できない事案である。
したがって、被請求人の主張は採用されるべきではない。
なお、被請求人は審判事例(乙10)を挙げているが、ここで挙げられた引用商標が識別力に乏しいか否かは、あくまでも個別の事情に左右されるものである。これらの事例が存在するとしても、本件商標に関する事案とは全く関係のないものであって、本件商標と引用商標とが類似しないとする被請求人の主張を支持するものではない。

第4 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第10号証(枝番を含む。)を提出した。
1 請求人の主張に対する反論
(1)通常使用権者による使用状況について
ア 「ブリリアント」は、広辞苑にも掲載されている一般に広く知られている外来語であり(乙1)、これを英語で表した「brilliant」は、「きらきら輝く、光沢のある、華麗な」等の語義と相俟って(乙2)、せっけん類、化粧品、香料の分野においては、化粧品等の名称・効果の説明・通販サイトの名称に普通に使用されている(乙3)。
そうとすれば、「ブリリアント」等の文字は、「せっけん類,化粧品,香料」について、自他商品の識別機能が極めて低いと判断するのが妥当である。
イ 請求人は、引用商標の通常使用権者であるイオナ社が、昭和59年頃より化粧品に「Brilliant」の文字を表示して販売し、その結果、「ブリリアント」又は「Brilliant」の文字は、識別標識として実際に機能している旨主張する。
しかし、商標の出所表示機能とは、一定の商標を付した商品又は役務は必ず一定の出所から流出したものであることを示す機能をいうが、イオナ社の使用態様は、いずれも「商号商標+商品名称+商品商標」の構成からなり、特に、商品や商品の包装には、商号商標である「IONA」の文字を中心に大きく目立つように表記し、その下段に、商号商標の約2分の1程度の小さな文字で「商品名称+Brilliant」と表記している(乙4)。
このように、「Brilliant」又は「ブリリアント」の文字が、商号商標「IONA」と離れて独立して取引に資されていないということは、これらの文字は、それ単体では、商品が必ずイオナ社から流出したものであることを示すことができないほど出所表示機能が低いということにほかならない。
また、インターネットで、「brilliant+化粧品」と入力しても、いずれの検索サイトにおいてもイオナ社の化粧品はヒットせず(乙5の1)、「ブリリアント+化粧品」と入力することで、やっと6位?8位にヒットする(乙5の2)。このことからも、「Brilliant」又は「ブリリアント」の文字が、商号商標と離れてイオナ社の化粧品を示すとは思えず、請求人の主張は、到底認められるものではない。
(2)過去の不使用取消審判について
請求人は、過去の不使用取消審判事件(甲13)において、登録維持審決がされたことをもって、引用商標が識別標識を発揮する態様で使用されている旨主張する。
しかし、商標法第50条第1項の規定には、商標の出所表示機能の有無は要件となっていない。すなわち、上記不使用取消審判事件において登録維持審決がされたことは、単に、通常使用権者であるイオナ社が、指定商品について登録商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたということが認められたにすぎず、請求人の主張は合理性に欠け、明らかに受け入れることはできない。
(3)請求人による権利維持活動について
請求人は、甲第17号証ないし甲第19号証を示し、登録商標の希釈化を防ぐため、権原なく登録商標「BRILLIANT」等を使用している者に対し、警告書を送付してその使用を中止させているから、引用商標が希釈化されることなく識別標識として機能していると主張する。
しかし、甲第16号証ないし甲第19号証に示す会社等が商標の使用を中止したのは、あくまでも警告書に従ったまでのことであり、商標権者等が警告書を送付するのに、商標の出所表示機能の有無は要件となっていないことからすれば、請求人がこれらの行為を行ったとしても、引用商標が識別標識として機能していることが証明されたわけではない。よって、請求人の主張は根拠に乏しく到底採用できない。
(4)本件商標の併存登録状況について
請求人は、「ブリリアント」等の文字を含む商標が多数登録されているからといって、短絡的に「ブリリアント」等の文字それ自体が識別力に乏しいと判断することはできない旨主張する。
しかし、「せっけん類,化粧品,香料」を指定商品として「ブリリアント」等を一部に含む商標が、請求人とは別異の者により多数併存登録されている(乙6)のは、「ブリリアント」等が一般的によく知られた語であり、「きらきら輝く、光沢のある、華麗な」等の意味と相俟って「せっけん類,化粧品,香料」の分野においては比較的採択されやすい語であるため、通常、「ブリリアント」等の文字部分のみを分離抽出して把握されるのではなく、構成全体をもって一体不可分の商標として認識されるからである。
これは、「ブリリアント」等の文字は、「せっけん類,化粧品,香料」について自他商品識別力が極めて低く、出所識別標識としての機能が乏しいことを裏付けていることにほかならない。よって、請求人の主張に承服することはできない。
なお、「ブリリアント」を一部に含む本件商標が登録となったのは、本件商標が、外観上まとまりのよい一体不可分の商標で、前半に表された「Say」を捨象して、殊更、後半の「ブリリアント」の文字部分のみに着目すべき特段の事情が見受けられないと認められ、引用商標とは非類似であると判断されたからである。そのことは、登録査定のみならず、異議2012-900281の異議の決定からも明らかである(乙7、乙8)。
(5)以上より、引用商標が、識別標識として機能している旨の請求人の主張は認められない。

2 被請求人の主張
(1)本件商標について
本件商標は、「Say」と「ブリリアント」を標準文字で表してなり、各文字が同書・同大・同間隔で外観上まとまりよく構成された一体不可分の商標であり、その構成文字に相応して「セイブリリアント」の一連の称呼が生じる。また、全体として特定の意味を有しない造語よりなるものであり、特定の観念は生じない。
(2)引用商標について
引用商標は、その構成文字に相応して「ブリリアント」の称呼及び「きらきら輝く、光沢のある、華麗な」等の観念を生じる。
(3)本件商標と引用商標の類否判断
ア 外観
本件商標と引用商標1は、「Say」の文字の有無という明らかな相違を有し、かつ、文字の種類及び書体において異なる。
また、本件商標と引用商標2は、文字構成、文字の配置及び書体のいずれにおいても異なり、文字数も異なる。
よって、本件商標と引用商標は、外観上相紛れるおそれはない。
イ 称呼
本件商標より生ずる「セイブリリアント」の称呼と引用商標より生ずる「ブリリアント」の称呼は、8音と6音とで音数が異なり、「セイ」の音の有無という明らかな差異を有している。特に、語頭音は、本件商標が摩擦音の清音「セ」であるのに対し、引用商標は破裂音の濁音「ブ」と大きく異なり、母音も「e」と「u」で相違する。
よって、これらの違いが称呼全体の語感や語調に与える影響は大きく、本件商標と引用商標は、称呼上互いに紛れるおそれはない。
被請求人は、上記主張が正当な根拠に基づいたものであることを裏付ける証左として一連一体の称呼を有することにより引用商標とは互いに非類似であると判断された過去の異議の決定例及び審決例を援用する(乙9)。
ウ 観念
引用商標は、「きらきら輝く、光沢のある、華麗な」等の観念を生じるが、本件商標は、特定の観念は生じないから、両商標の観念は比較することができず類似であるとはいえない。
エ 「Say」と「ブリリアント」の出所識別機能
商標の類否は、商標の一部分が強く支配的な印象を与える場合、それ以外の部分が出所識別機能を果たし得ない場合は、当該一部分だけを抽出して類否判断を行うべきものとされている(最高裁昭和37年(オ)第953号昭和38年12月5日第一小法廷判決、最高裁平成3年(行ツ)第103号平成5年9月10日第二小法廷判決、最高裁平成19年(行ヒ)第223号平成20年9月8日第二小法廷判決)。
以上を踏まえ、本件商標を考察すると、本件商標中の「ブリリアント」の文字は、一般的によく知られた語であり、「きらきら輝く、光沢のある、華麗な」等の意味と相俟って、せっけん類、化粧品、香料の分野においては、その効能及び品質等を表示する言葉として広く使用されている。それ故、指定商品との関係では、商品の効能や品質等を示すものであり、商品の出所識別機能を果たし得るものではない。一方、本件商標中の「Say」の文字は、本件商標権者の略称を指すもので、十分に商品の出所識別標識としての機能を有している。
よって、指定商品との関係では、「Say」の部分が自他商品の識別標識として強く支配的な印象を与える要部であることは明らかであり、「Say」の部分のみを抽出して引用商標と類否判断を行うか、もしくは、「Say ブリリアント」の構成全体を一体不可分と把握して引用商標と類否判断を行うのが相当であり、本件商標より「ブリリアント」の部分のみを抽出して引用商標と類否判断される可能性は皆無に等しいと思料する。そうとすれば、上記のとおり、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれにおいても非類似の商標である。
被請求人は、上記主張が正当な根拠に基づいたものであることを裏付ける証左として、出所識別標識としての機能が弱い部分だけを抽出して類否判断を行わなかったことで、引用商標とは互いに非類似であるとされた過去の審決例を自己の主張に有利に援用する(乙10)。
(4)よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。

3 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではない。

第5 当審の判断
請求人が本件審判を請求するにつき、利害関係を有する者であることについては、当事者間に争いがないので、本案に入って審理する。
1 本件商標と引用商標の類否について
(1)本件商標について
ア 本件商標は、上記第1のとおり、「Say ブリリアント」の文字を標準文字で表してなるものであるところ、該文字は、同一の書体をもって、外観上まとまりよく表されているばかりでなく、これより生じると認められる「セイブリリアント」の称呼もよどみなく称呼し得るものである。
イ そして、本件商標中の「Say」の文字が、本件商標権者である「株式会社Say」の略称を表示したものであることについては、当事者間に争いがないとしても、「Say」の文字が、本件商標権者の略称として、化粧品やせっけん類を取り扱う業界の取引者、需要者に広く認識されている事実を認めるに足りる証拠は見いだせないことからすれば、本件商標に接する取引者、需要者が、「Say」の文字部分より、直ちに本件商標権者の略称を認識するものとはいえない。
そうすると、本件商標に接する取引者、需要者は、その構成中の「Say」の文字部分について、本件商標権者の略称を表したと認識するというより、むしろ、我が国においてよく知られている「言う」を意味する英単語を表したと認識するとみるのが自然である。
ウ また、本件商標中の「ブリリアント」の文字は、「輝かしい様」、「みごとなこと」などを意味する語(広辞苑第六版)であって、外来語として親しまれている語であるから、「ブリリアント」の文字に接する一般の需要者は、該文字について、上記意味を容易に理解、認識し得るとみるのが相当であり、さらに、化粧品、せっけん類を取り扱う業界において、「ブリリアント」の文字は、その有する意味と、人の身体又は物を清潔にし、あるいは人の身体の魅力を増す目的に使用されるといった化粧品、せっけん類本来の有する性質とが相応し、商標や商号の一部に多数採択され使用されている実情(乙3、乙5及び職権調査(別掲))があり、「ブリリアント等」の文字を含む商標が化粧品等について、多数登録され、あるいは出願されている状況にある(甲20、乙6)。
そうすると、「ブリリアント」の文字は、化粧品、せっけん類との関係においては、商品の出所識別標識としての機能が強いとはいえないから、本件商標は商標全体として取引に資される他、「Say」の文字部分をもって取引に資される場合も少なくないと判断するのが相当である。
エ 上記アないしウからすれば、本件商標は、その構成文字全体から「セイブリリアント」の一連の称呼を生じ、特定の観念を生じないものであり、また、[Say」の文字部分から「セイ」の称呼を生じ、「言う」の観念を生じるものということができる。
(2)引用商標
上記第2のとおり、引用商標1は、「BRILLIANT」の文字を横書きしてなるものであり、また、引用商標2は、「BRILLIANT」の文字と「ブリリアント」の文字を二段に横書きしてなるものであるところ、「BRILLIANT」は、「輝かしい、輝く」等を意味する英語であって、その読みである「ブリリアント」が「輝かしい様」、「みごとなこと」などを意味する外来語として親しまれていることから、これより、「ブリリアント」の称呼及び「輝かしい、輝かしい様」の観念を生じるものである。
(3)本件商標と引用商標との対比
ア 外観
本件商標と引用商標とは、それぞれ上記(1)ア及び(2)の構成よりなるものであるから、外観上明らかに区別し得るものであり、相紛れるおそれはない。
イ 称呼
本件商標より生じる「セイブリリアント」の称呼と引用商標より生じる「ブリリアント」の称呼は、頭部において「セイ」の音の有無の差異を有するものであるから、該差異音が両称呼全体に及ぼす影響は極めて大きく、それぞれの称呼を全体として称呼した場合においても、相紛れるおそれはない。
また、本件商標より生じる「セイ」の称呼と引用商標より生じる「ブリリアント」の称呼とは、明らかに区別し得るものであり、相紛れるおそれはない。
ウ 観念
本件商標は、「言う」の観念を生じるのに対し、引用商標は「輝かしい、輝かしい様」の観念を生じるから、両商標は、観念上、相紛れるおそれはない。
エ したがって、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点においても、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきものである。
(4)請求人の主張について
ア 請求人は、近年「ブリリアント等」の文字を含む商標が多数登録されているとしても、短絡的に「ブリリアント等」の文字それ自体が識別力に乏しいと判断することはできず、商標の構成態様を検討し、各構成要素が一体不可分に結合し、異なる称呼及び観念が生じると判断できる場合でなければ、「ブリリアント等」の部分は独立して認識されるべきであり、引用商標との類似性が肯定されるべきである旨主張する。
しかしながら、2つの対比する商標が類似する商標であるか否かは、当該商標の構成態様及びその査定時における指定商品等の取引の実情等を考慮して、個別具体的に判断すべきものであるところ、上記(1)ウのとおり、化粧品、せっけん類を取り扱う業界における実情を考慮すれば、本件商標に接する取引者、需要者が、その構成中の「ブリリアント」の文字部分のみを分離、抽出して、称呼、観念するものとは認められない。したがって、上記請求人の主張は理由がない。
イ 請求人は、商標権者の通販サイト(甲21)を示し、その各ページ左上には、商標権者の社章である「Say(セイ)」が大きく表示されており、本件商標が実際の商品に使用された場合は、その構成中の「Say」の文字は、「言う」を意味する英語であると認識されるものではなく、当該商品の製造販売者である「株式会社Say」を指すものとして需要者等に理解される。したがって、本件商標は、その構成中の「Say」が「株式会社Say」の意味を、「ブリリアント」が「輝かしい」の意味を生じるものであって、これらが観念上一体不可分に結合するとは考えにくいから、本件商標は、「Say」部分と「ブリリアント」部分とに分離して認識、把握されるとするのが自然である旨主張する。
しかしながら、登録商標の範囲及び指定商品等の範囲は、いずれも願書の記載に基づいて定めなければならない(商標法27条)ものであるから、本件商標と引用商標との類否の判断に当たっては、それぞれ、願書に記載した商標に基づいて、かつ、互いに抵触する指定商品又は指定役務との関係に基づいてなされなければならないというべきである。そして、上記(1)イのとおり、本件商標に接する需要者が、その構成中の「Say」の文字部分について、本件商標権者の略称を表したと広く認識されている事実をうかがわせる証拠の提出はないから、「Say」の文字部分が商標権者の略称を表したものと認識するというより、むしろ、「言う」を意味する英単語を表したものと認識するというべきである。
したがって、「Say」の文字部分が当該商品の製造販売者である「株式会社Say」を指すものとして需要者等に理解されることを前提とした上記請求人の主張は理由がない。

2 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、その指定商品中「せっけん類,化粧品」について、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第46条第1項第1号により、無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲 「ブリリアント」の語の使用例
(1)ジェルシィ化粧品 ブリリアントプレストパウダー
(http://www.cosme.net/product/product_id/294994/top)
(2)platinum VUVU プレミアムブリリアント ローション
(https://vuvu.co.jp/p_003.html)
(3)ニッピコラーゲン化粧品 UV プロテクト ブリリアントベース 30 (http://www.nip-col.jp/item/2630.html)
(4)クリニークブリリアント スキン セット
(http://www.cosme.com/clinique/product/pdt_dtl/item_id/1000031652)
(5)ヘレナ ルビンスタインBOX ゼトックスタイル ブリリアントアイズクリーム
(http://www.cosme.com/product/pdt_dtl/item_id/1000028564)
(6)薬用保湿クリーム ヤクルト ビューティエンス ブリリアント ?ザ クリーム?
(https://www.yakult-beautiens.com/special/brilliant.html)
(7)メルヴィータ ロゼエクストラ ブリリアント ボディオイル 100ml
(http://ec.jaldfs.co.jp/shop/goods/goods.aspx?goods=17192865)


審理終結日 2015-07-14 
結審通知日 2015-07-16 
審決日 2015-07-28 
出願番号 商願2012-11688(T2012-11688) 
審決分類 T 1 12・ 263- Y (W03)
T 1 12・ 262- Y (W03)
T 1 12・ 261- Y (W03)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 津金 純子 
特許庁審判長 大森 健司
特許庁審判官 原田 信彦
土井 敬子
登録日 2012-07-13 
登録番号 商標登録第5508080号(T5508080) 
商標の称呼 セイブリリアント、セイ、エスエイワイ、ブリリアント 
代理人 長谷川 綱樹 
代理人 伊東 美穂 
代理人 小谷 武 
代理人 永露 祥生 
代理人 特許業務法人信友国際特許事務所 
代理人 木村 吉宏 
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