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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W09
審判 全部申立て  登録を維持 W09
管理番号 1305201 
異議申立番号 異議2014-900322 
総通号数 190 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2015-10-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2014-11-27 
確定日 2015-08-28 
異議申立件数
事件の表示 登録第5697266号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5697266号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5697266号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(A)のとおりの構成からなり、平成26年2月24日に登録出願され、第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,インバータ,電力変換装置,サイクロコンバータ,プログラマブルロジックコントローラ,電子制御装置,数値制御装置,変圧器,配電盤,制御盤,充電器,リードスイッチ,電気制御用機械器具,電気制御装置,配電制御盤,機械用の電子制御装置,モータ駆動用の電源装置,サーボモータ用の単体としての電気的制御器(配電用又は制御用の機械器具に属するもの。),金属加工用・塗装用ロボットおよびその他の工業用ロボットの動作を制御するサーボコントローラ(電気的遠隔制御装置),電池,蓄電池,太陽電池,測定機械器具,ロータリーエンコーダ,リニヤエンコーダ,電気磁気測定器,エンコーダ,磁気エンコーダ,発振器,検流計,周波数計,電圧計,電線及びケーブル,光ファイバーケーブル,通信ケーブル,電気通信機械器具,遠隔制御装置,携帯電話機,デジタル信号処理装置,電気通信用データ送信装置,データ処理装置,モデム,電磁コイル,電話機械器具,携帯電話機の部品及び附属品,無線応用機械器具,無線通信機械器具,無線ナビゲーション装置,電子信号送信機,コンピュータネットワーク用のアダプタ・スイッチ・ルータ及び接続ハブ,電子応用機械器具及びその部品,電子計算機及びその周辺機器,電子回路(電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路を除く。),プリント基板,集積回路,電子計算機用プログラム(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるものを含む。),電子計算機用プログラムを記憶させた記録媒体,インバータ制御用コンピュータプログラム,電力変換器制御用コンピュータプログラム,電子制御装置用コンピュータプログラム,シーケンス制御・サーボ制御・工業用ロボット制御・数値制御・電力変換制御・インバータ制御または電子制御を行う制御装置にて装置の設定・保守・試運転をするために用いられるコンピュータソフトウエア,シーケンス制御・サーボ制御・工業用ロボット制御・数値制御・電力変換制御・インバータ制御または電子制御を行う制御装置用のコンピュータプログラム,シーケンス制御・サーボ制御・工業用ロボット制御・数値制御・電力変換制御・インバータ制御または電子制御を行う制御装置用コンピュータプログラムの開発ツールとして用いられるコンピュータソフトウエア」を指定商品として、平成26年7月29日に登録査定、同年8月29日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下に掲げるとおりである。
(1)登録第4715131号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:別掲(B)のとおり
登録出願日:平成15年1月30日
設定登録日:平成15年10月3日
指定商品及び指定役務:第9類及び第38類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務
抹消登録日:平成26年6月11日
(2)登録第4400293号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:別掲(C)のとおり
登録出願日:平成11年6月25日
設定登録日:平成12年7月14日
指定商品 :第9類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
抹消登録日:平成23年3月16日
(3)登録第4431588号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:INTEL INSIDE XEON (標準文字)
登録出願日:平成11年7月15日
設定登録日:平成12年11月10日
指定商品 :第9類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
抹消登録日:平成23年7月13日
(4)登録第4721003号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成:INTEL INSIDE CENTRINO(標準文字)
登録出願日:平成14年12月4日
設定登録日:平成15年10月24日
指定商品 :第9類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
抹消登録日:平成26年7月9日
(5)登録第5042114号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の構成:別掲(D)のとおり
登録出願日:平成18年1月5日
設定登録日:平成19年4月20日
指定商品 :第9類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
(6)登録第5127135号商標(以下「引用商標6」という。)
商標の構成:別掲(E)のとおり
登録出願日:平成17年12月22日
設定登録日:平成20年4月11日
指定商品 :第9類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
(7)登録第5296055号商標(以下「引用商標7」という。)
商標の構成:INTEL INSIDE (標準文字)
登録出願日:平成21年3月10日
設定登録日:平成22年1月22日
指定商品 :第9類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
(注)上記引用商標1ないし4は、いずれも存続期間の満了により商標権の抹消の登録がされているものであり、上記引用商標5ないし7は、いずれも現に有効に存続しているものである。以下、これらを一括して、単に「引用商標」ということがある。

第3 登録異議申立ての理由の要点
申立人は、本件商標の登録は商標法第43条の2の規定により取り消されるべきであると要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第71号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当することについて
引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示する商標として広く一般に知られている(甲2?62,甲71)から、引用商標を容易に連想させる本件商標がその指定商品中の「電気通信機械器具用モジュール、その他の電気通信機械器具、電子応用機械器具及びその部品」に使用された場合、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。
2 本件商標が商標法第4条第1項第7号に該当することについて
本件商標は、申立人及び申立人の商標ライセンシーが取り扱う商品と同一又は類似若しくは密接に関連する商品に使用されるものである。本件商標の登録出願時において、引用商標は申立人の商品等出所表示として世界的に広く知られていたものであり、さらに、引用商標がインテル・インサイド・プログラムに基づき国内大手電機メーカーを含む多数のライセンシーに使用許諾されている事実は当該業界において周知であったから、商標権者が、著名商標である引用商標の存在、あるいはインテル・インサイド・プログラムに基づきライセンシーによって使用されている事実について不知で、偶然に本件商標を採択したとは考え難い。
本件商標の登録及び使用の容認は、公正な商取引秩序の維持を旨とする商標法の精神に反するのみならず、周知著名商標に付与されるべき国際レベルの保護と著しく乖離するものであって国際信義に反することは明白であるから、本件商標は、公の秩序又は善良な風俗を害するおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものである。

第4 当審の判断
1 本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)申立人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
ア 申立人は、1968年に米国で創業された世界最大の半導体メーカーであり、1970年に世界初のICメモリーを開発して以来、数年毎にマイクロプロセッサを開発、製品化し、2009年ではマイクロプロセッサ世界市場の80%を占め、世界半導体市場の売上ランキングは1992年から2009年まで連続第1位を維持していた(甲5?8,42)。
イ 引用商標5から「inside」の文字を省いた構成よりなる標章を初め「intel」の文字からなる標章は、申立人のハウスマークとして申立人の業務に係る商品について広く使用され、そのブランド評価額は1993年に178億1千万ドル(全米3位)とされ、2009年には306億3600万ドル(世界9位)とされている(甲43?46)。
ウ 申立人は、1991年以降、申立人の製造に係るマイクロプロセッサが搭載されたパソコン等を消費者が容易に認識できるようにするため、「Intel Inside」の文字を含むロゴを採用し、これを各コンピュータメーカーが販売するパソコン等に貼付すること等を内容とする「インテル・インサイド・プログラム」を世界中で展開してきた。インテル・インサイド・プログラムにより、日本では、デルコンピュータ株式会社、沖電気工業株式会社、松下電器産業株式会社、ソニー株式会社、シャープ株式会社、三菱電機株式会社、株式会社東芝、日本ヒューレット・パッカード株式会社、富士通株式会社、日本電気株式会社等の多数の電機・コンピュータメーカーは、申立人のマイクロプロセッサを搭載した自己製造のパソコン等のコンピュータ関連商品に「intel inside」の文字を含むロゴを貼付し又は広告に併記して広告宣伝を行っている(甲10?40,58,59)。
なお、上記電機・コンピュータメーカーによる宣伝広告において掲載されている申立人の商標は、「intel inside」の文字を含むものではあるが、それらは引用商標のいずれとも完全に一致するものではなく、引用商標2の構成と近似したものが多い。また、申立人の会社概要等を掲載した冊子及びウェブサイトには、引用商標5から「inside」の文字を省いた構成よりなる標章が明示されているものの、引用商標と同一の構成からなる商標は見いだせない(甲5,6)。
(2)上記(1)の事実によれば、本件商標の登録出願時には既に、引用商標を構成する「intel inside」又は「INTEL INSIDE」の文字は、申立人の製造に係るマイクロプロセッサ等の商品を表示するものとして取引者、需要者の間に広く認識されていたものというべきであり、引用商標はいずれも「インテルインサイド」の称呼を生ずるものといえる。また、「intel」の文字は、本件商標の登録出願前から、世界的な半導体メーカーである申立人を表示するものとして広く認識されていたものといえるから、それ自体が取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであり、引用商標からはいずれも「インテル」の称呼をも生ずるものというべきである。
加えて、「intel inside」の標章(引用商標1、2、5及び6における楕円状の輪郭で囲まれたものを含む。)が申立人製造のマイクロプロセッサを搭載した商品を示すものとして取引者、需要者間に広く認識されているものといえるから、引用商標からはいずれも「申立人製造の商品が内蔵されたもの」との観念をも生ずるというべきである。
しかしながら、申立人が「intel」の文字以外の他の文字と「inside」の文字を結合した標章を使用した事実は見いだせないこと、もとより「inside」の文字は「内側の、内部に」等の意味を有する一般的な英単語であり、「intel」以外の文字と結合して用いられることも多いことからすると、「intel」以外の文字と「inside」の文字を結合した「○○inside」との構成からなる商標に接する取引者、需要者が直ちに申立人の製造に係る商品を表示するものとして理解し認識するものとまではいえない。
以上によれば、引用商標は、「intel inside」、「INTEL INSIDE」、「intel」又は「INTEL」の文字を自他識別標識としての要部とするものであり、「インテルインサイド」又は「インテル」の称呼を生ずることはあっても、単に「インサイド」の称呼は生じないものというべきである。
(3)他方、本件商標は、別掲(A)のとおり、文字と図形とがまとまりよく一体的に構成されているばかりでなく、全体として既成の親しまれた観念を有するものとはいえないとしても、「GaN」の文字が「窒化ガリウム」を意味し、「Tech」の文字が「technical」、「technology」等の略語であり「(科学)技術の」等の意味を有し、「inside」の文字が「内側の、内部に」等の意味を有する語として知られていることからすると、「窒化ガリウムに係る技術を内蔵した」ほどの意味合いを暗示させる場合もあり得るものといえる。
そうすると、本件商標は、「GaN-Tech」の文字部分と「INSIDE」の文字部分とが分離して観察され、さらに「INSIDE」の文字部分のみが看者の注意を強く惹くというようなものではなく、全体をもってまとまりのある一つの標章として認識し把握され「ガンテックインサイド」の一連の称呼のみを生ずるものというのが自然である。
(4)そこで、本件商標と引用商標との類似性について検討するに、本件商標と引用商標とは、それぞれの構成に照らし、外観上、判然と区別し得る差異を有するものといえる。
また、本件商標から生ずる「ガンテックインサイド」の称呼と引用商標から生ずる「インテルインサイド」又は「インテル」の称呼とは、構成音数を異にするばかりでなく、「ガンテック」と「インテル」との音の明確な差異により、それぞれを一連に称呼するときは全体の音感、音調が明らかに異なり、明瞭に聴別することができるものである。
さらに、本件商標は、既成の親しまれた観念を有しないものであるから、観念上、引用商標と比較することはできない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならず、両者は別異のものというべきである。
(5)以上を総合勘案すると、本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者が「INSIDE」の文字部分のみに注目して引用商標ないしは申立人を連想、想起するようなことはないというべきであり、該商品が申立人又は申立人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
2 本件商標の商標法第4条第1項第7号該当性について
本件商標と引用商標とは相紛れるおそれのない非類似の商標であって別異のものであること、本件商標をその指定商品について使用しても引用商標や申立人を連想、想起するようなことはないことは前示のとおりであり、加えて、本件商標が引用商標の著名性や顧客吸引力に便乗して不正の利益を得る目的等で採択されたものであることを具体的に示す証左はない。
もとより、本件商標は、その構成自体が矯激、卑わい、差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような文字及び図形からなるものではない。また、本件商標をその指定商品について使用することが、社会公共の利益に反し又は社会の一般的道徳観念に反するものではなく、他の法律によって禁止されているものでもないし、特定の国若しくはその国民を侮辱するものでもなく、一般に国際信義に反するものともいえない。
そうすると、引用商標の周知著名性を始め、本件商標の指定商品と引用商標の使用に係る商品とが関連性を有すること等を考慮したとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第7号にいう「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」に該当するものとはいえない。
3 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同項第15号のいずれにも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
(A)本件商標


(B)引用商標1


(C)引用商標2


(D)引用商標5


(E)引用商標6


異議決定日 2015-08-20 
出願番号 商願2014-13443(T2014-13443) 
審決分類 T 1 651・ 22- Y (W09)
T 1 651・ 271- Y (W09)
最終処分 維持  
前審関与審査官 鈴木 斎 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 酒井 福造
手塚 義明
登録日 2014-08-29 
登録番号 商標登録第5697266号(T5697266) 
権利者 株式会社安川電機
商標の称呼 ガンテックインサイド、ガンテクインサイド、ガンテック、ガンテク、ガン、ジイエイエヌ、テック、テク、インサイド 
代理人 中村 知公 
代理人 伊藤 孝太郎 
代理人 前田 大輔 
代理人 朝倉 美知 

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