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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W06
審判 全部申立て  登録を維持 W06
審判 全部申立て  登録を維持 W06
審判 全部申立て  登録を維持 W06
審判 全部申立て  登録を維持 W06
審判 全部申立て  登録を維持 W06
審判 全部申立て  登録を維持 W06
管理番号 1305197 
異議申立番号 異議2013-685018 
総通号数 190 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2015-10-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2013-10-01 
確定日 2015-05-26 
異議申立件数
事件の表示 国際商標登録第1136937号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 国際商標登録第1136937号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件国際登録第1136937号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、2012年(平成24年)6月19日に国際商標登録出願、第6類「Valves of metal,other than parts of machines.」を指定商品として、平成25年4月12日に登録査定、同年7月12日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
本件登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立てにおいて引用する商標は、以下の3件の登録商標(以下、これら3件の商標をまとめて「引用商標」という。)である。
1 国際登録第1033805号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、2010年(平成22年)2月9日に国際商標登録出願、第6類、第9類、第11類、第17類、第20類及び第21類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成23年5月27日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。
2 登録第2702545号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲3のとおりの構成からなり、1990年7月6日にアメリカ合衆国においてした商標の登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、平成3年1月7日に登録出願、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同7年1月31日に設定登録、その後、同13年9月5日に、その指定商品中、第9類「浄水装置及びその類似商品」について登録を取り消す旨の審判の確定登録がされているものである。
そして、引用商標2の商標権は、商標法附則第11条の規定により、平成27年1月31日に消滅したとされるものである。
3 登録第4693541号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲4のとおりの構成からなり、2000年1月21日にアメリカ合衆国においてした商標の登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、平成12年7月10日に登録出願、第6類、第11類、第17類及び第20類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同15年7月18日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。
第3 登録異議申立ての理由
申立人は、本件商標について、商標法第4条第1項第7号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、同法第43条の2により、その登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第16号証を提出した。(審決注:申立人は申立ての理由の最後に「(4)以上より、本件登録商標は、仮に商標法4条1項8号又は同11号若しくは・・・」と記載しているが、「8号」は「7号」の誤記と認められる。)
1 商標法第4条第1項第11号の該当性について
(1)本件商標は、太めの3本の斜線で構成された図形の左右に、横縞の細い線を6本(上3本は長めに、下3本はやや短めに)配した構成よりなるところ、中央の太めの3本の斜線で構成された図形は、一見して欧文字「W」を図案化したロゴとして認識される構成となっている。一方で、左右の6本の横縞線は特に文字として認識される構成になっておらず、中央の「W」を囲むデザインとしての要素が強い構成になっている。したがって、その構成上、中央の「W」と思しきロゴはこれに接する需要者及び取引者に対して強く印象付けられる部分であり、左右の横縞線と分離して印象されるものであって、全体を一体の商標として把握することができるものではない。加えて、本件商標は図形商標であり、特定の称呼が生じないため、その外観及び観念によって識別される商標である。そうすると、中央の「W」のロゴが分離して認識される構成である本件商標は、申立人の周知・著名商標である「W」のロゴを想起させるものであるといえる。
これに対して、引用商標1は「W」を図案化した図形商標からなり、また、引用商標2及び3は他の図形や欧文字と結合した構成からなるものの、「W」を図案化したロゴをその一部に含むものであり、その全体の構成のうち、「W」のロゴが目立つ態様よりなるため、他の図形や欧文字とは分離して看取される構成となっている。引用商標における「W」を図案化したロゴ部分は、本件商標と同様に、太めの3本の斜線からなり、引用商標及び本件商標の構成中の該部分は非常に近似しているといえる。そして、引用商標の各構成中の「W」を図案化したロゴ部分は、申立人の周知・著名な商標であり、引用商標における要部は当該「W」を図案化したロゴであることが認められる。「W」を図案化したロゴが申立人の周知・著名商標に該当することは、後述の2において主張・立証するとおりであるから明らかである。
そこで、本件商標と引用商標を比較すると、「W」を図案化したロゴの外観が共通し、申立人の周知・著名商標である「W」を図案化したロゴを想起させる。また、当該共通点は、一般の取引者・需要者の通常有する注意力を基準に考えると、外観上互に紛れやすく、混同を生じさせるおそれがあるといえる。このように、本件商標が引用商標と外観を共通にするから、本件商標が引用商標と類似することは明らかである。
また、指定商品についても、本件商標の指定商品「金属製バルブ(機械部品を除く。)」と引用商標の指定商品が同一又は類似であることは明らかである。
(2)以上のとおりであるから、本件商標は、引用商標との関係において商標法第4条第1項11号に該当するものである。
2 商標法第4条第1項第15号の該当性について(審決注:申立ての理由の「円」の記載は、甲第6号証によれば、「米ドル」の誤記と認められる。)
(1)本件商標は、上述したように引用商標とは「W」を図案化したロゴが共通する類似の商標であり、申立人の業務に係る商品又は役務と出所の混同を生じる程度に相紛らわしいものである。
(2)申立人である「ワッツ・レギュレイター・カンパニー(Watts Regulator Co.)」(以下、「ワッツ社」という。)は、1874年に米国でジョーセフ・ワッツ氏によって、湯沸器用の減圧弁やリリーフバルブ(逃がし弁)を主としたバルブ製品メーカーとして創立され、「バルブ技術の祖(Setting The Standard in Valve Technology)」として広く認知されている(甲第4号証)。例えば、現代の給油設備では当たり前であるが(甲第5号証)、当時(1900年代)は画期的であった、温度と圧力の両方を逃す構造のリリーフバルブを開発したのがワッツ社である(甲第4号証)。現在では、「ワッツ・ウォーター・テクノロジーズ(Watts Water Technologies)」のグループ企業ではあるものの、創立以来1世紀以上に渡り世界大手のバルブ製品メーカーとして事業展開しており、現在ではバルブ開発のほか、水質を保つための流水制御製品の開発や製造販売、住宅用配管・暖房工事及びこれら製品やサービスに関する広告等幅広く事業を行っている。現在の市場は、40カ国以上に及び、米国のほか、アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、カナダ、中国、フランス、ドイツ、ロシア、韓国等があり、当然日本も含まれている(甲第6号証)。その売上高は、2012年から過去5年間のインターネット販売によるものに限っても、2008年が約1,356億円、2009年が約1,225億円、2010年が約1,274億円、2011年が約1,436億円、2012年が約1,445億円にも上る(甲第6号証)。そのうち、アジアにおける売上は、2008年が約47億円、2009年が約21億円、2010年が約21億円、2011年が約22億円、2012年が約27億円である(甲第6号証)。加えて、世界規模の宣伝広告費として、2008年ないし2010年に、それぞれ年間約8億円、2011年に約9億円、2012年に約10億円を費やしている(甲第6号証)。
また、ワッツ社は、世界規模で広くその事業を展開しており、米国のほか(甲第4号証)、カナダ、欧州、中東、アフリカ大陸、アジア太平洋等に進出している(甲第7号証)。我が国においては、直接営業所がある訳ではないが、栗本商事株式会社(以下、「栗本商事」という。)が卸売業者となり、遅くとも1989年から現在に至るまで日本国内でワッツ社のバルブ製品等が流通している。栗本商事を介してワッツ社の製品が日本で流通していることは、栗本商事が発行するカタログを参照すれば明らかである(甲第8号証)。
栗本商事は、1952年に創立された老舗企業であり、創立以来水道設備機器や各種合成樹脂製品等を取扱ってきている会社である(甲第9号証)。その売上高は183億円(2011年度)あり、バルブ産業においては大企業に属するといえる。また、親会社の栗本鍼工所は東証一部上場の国内トップクラスの空調・設備資材メーカーである(甲第10号証)。これらの事情から、栗本商事によってワッツ社製品が日本で流通することは、バルブ産業においてその影響力は非常に大きいと考えられる。実際に、株式会社アクアや株式会社ベンではワッツ社の製品を取扱っている(甲第11号証)。
バルブ産業は数ある産業の中でも特殊な分野である。本件商標及び引用商標に係るバルブ等の商品は、通常、一般需要者の目に触れることはなく、バルブ産業内でのみ取引され流通するものである。そうすると、バルブ等の商品は、一般市場で取引されるような商品と比べてその市場は非常に狭く、これに接する取引者も限られている。
こうした取引の実情に鑑みれば、本件商標の国際登録日である平成24年6月19日以前より、栗本商事のような大手企業によって日本国内の市場に置かれるワッツ社の製品を通じて、ワッツ社の商標は、日本のバルブ産業において、周知・著名な商標として既に広く取引者に認知されるに至っているといえる。
(3)引用商標の「W」を図案化したロゴについてみると、当該ロゴはワッツ社を表す商標として常に使用されている。このことは、甲第2、4、7、8及び11号証を参照すれば明らかである。この「W」を図案化したロゴは、遅くとも2001年11月頃からバルブ製品に付されて使用されている(甲第6号証)。したがって、本件商標の国際登録日以前から、ワッツ社のバルブ製品に接する当業者は、常に、当該ロゴに接していたことになる。
また、引用商標に係る太めの3本の斜線で構成された「W」を図案化したロゴは、独創的な商標であるといえる。その構成自体は単純ではあるものの、ワッツ社の頭文字「W」を目立つ態様で図案化することで、これに接する取引者が一目でワッツ社の製品と分かるようにデザインされている。実際に、金属製バルブの分野において、引用商標のような、太めの3本の斜線で構成された「W」を図案化したロゴと近似する商標は、本件商標以外で登録されているものはない(甲第12号証)。
国際的な観点から見ても、ワッツ社の商標(ロゴ)は独創的なものとして、米国や欧州、アジア等の各国で、いずれも本件商標の国際登録日以前から、商標登録が認められている(甲第13号証)。この事実より、ワッツ社が、「W」を図案化したロゴに係る商標の認知性を高めるために企業努力を行っていることと併せて、ワッツ社の商標が広く世界中で保護されている事、及び、ワッツ社が我が国のみならず世界中で同商標の保護に尽力していることが理解できる。
(4)以上の事情を総合的に勘案すると、本件商標が金属製バルブに付された場合に、それが申立人であるワッツ社の業務に係る商品であると取引者が誤認する可能性は大きいと考えられる。引用商標及びワッツ社が周知・著名であり、ワッツ社の業務に係るバルブ産業の市場範囲は比較的狭いこと及び本件商標と引用商標が近似していること等の上述の事情に鑑みれば、本件商標を付した商品が市場に流通すると、取引者は周知・著名である引用商標を容易に連想し、商品がワッツ社の製造販売に係る商品であるかの如く出所について混同が生じるおそれがあることは明らかである。
したがって、本件商標は、引用商標との関係において、商標法第4条第1項第11号に該当しないとしても、同項第15号に該当するものである。
3 商標法第4条第1項第19号の該当性について
(1)申立人の引用商標「W」を図案化した商標が、本件商標の国際登録日(平成24年6月19日)前より、日本国内又は外国で、周知・著名であったことは、上記2より明らかである。また、本件商標と引用商標(「W」を図案化したロゴ)が類似することは上述のとおりである。そして、本件商標権者が不正の目的を有している点については、以下のとおりである。
(2)本件商標権者は、以前より申立人と業務上繋がりのあった企業である。1994年にティアンジン・タングー・バルブ・プラント(Tianjin Tanggu Valve Plant)とワッツ社の合弁会社として設立されたのが本件商標権者の前身である(甲第14号証)。2002年には、ワッツ社の100%子会社として、ティアンジン・ワッツ・バルブ・カンパニー・リミテッド(Tianjin Watts Valve Company Limited)となるが、2008年8月に、ティアンジン・マシーナリー・アンド・エレクトリック・インダストリー・ホールディング・グループ・カンパニー(Tianjin Machinery & Electric Industry Holding Group Company)及びティアンジン・タングー・バルブ・カンパニーリミテッド(Tianjin Tanggu Watts Valve Company Limited)並びにワッツ社の3社で譲渡契約が締結され、3社共同出資会社として、ティアンジン・タングー・ワッツ・バルブ・カンパニー・リミテッド(Tianjin Tanggu Watts Valve Co.,Ltd.)が設立された。その略称は「TWT」であり、ワッツ社が共同会社であったこの頃から、本件商標は、「W」を図案化したロゴと結合した商標として使用されていた。同年10月には、ワッツ社とコモン・エレクトリック(香港)ホールディングス・リミテッドの間で「TWT」の移転について合意がなされ、2010年4月にワッツ社の持分は全てコモン・エレクトリック(香港)ホールディングス・リミテッドに移転されている。その後、「Watts」を社名から外して、現在の、ティアンジン・タングー・ティーダブリューティー・バルブ・カンパニー・リミテッド(Tianjin Tanggu TWT Valve Company Limited)に名称を変更している。なお、前記に説明した事実について、本件商標権者のホームページ内でワッツ社については明記せずに「Sino-US(中米間の)」と表現していることから、何らかの理由でワッツ社の存在を隠そうとする意図が見てとれる(甲第14号証)。
この点、移転の合意がなされた際に、ワッツ社は、本件商標権者に対して、「W」を図案化したロゴ(又はこれを想起させるようなロゴ)について、その使用を禁止する旨の契約を交わしている。本件商標権者はこれに合意したにも拘らず、本件商標を継続して使用し、国際登録したものである。これらの実情に鑑みれば、本件商標権者が、本件商標を登録するに当たって、「不正の目的」があったことは明らかである。
一般論で考えても、引用商標のようにバルブ産業内で取引者に広く知られ、かつ、独創的なデザインからなる「W」を図案化したロゴを、その一部に含む商標について登録することは、引用商標の著名性、名声、顧客吸引力にただ乗りし、また、引用商標の出所識別力を稀釈化するものであり、不正の目的があったことは明らかである。特に、独創的なデザインからなる図形商標を、申立人の同じ業界(バルブ産業)に属する本件商標権者が、偶然採択することは考えられないところである。この点、引用商標の著名性と業務の関連性は、不正の目的の有無を決める一要素になることは、裁判所も認めている(ETNIES事件・東京高判平成14年10月8日・最高裁ホームページ)。
(3)なお、本件商標について、本件商標権者は、我が国以外も指定して国際登録を行っているところ、ワッツ社はそのそれぞれについて各指定国で異議を申し立てている(甲第15号証)。これらいずれの異議申立についても、本件商標権者は反論しておらず、平成25年12月4日の時点では、少なくともオーストラリアでは異議申立が認められ、本件商標の登録が取り消されている(甲第16号証)。
(4)以上のとおりであるから、本件登録商標は、仮に商標法第4条第1項第7号又は同項第11号若しくは同項第15号に該当しなくても、同法第4条第1項第19号に該当することは明らかであり、同法第43条の2の規定により取消されるべきである。
第4 当審の判断
1 引用商標等の周知・著名性について
申立人提出の甲号証及び主張によれば、申立人であるワッツ社は、ジョーセフ・イー・ワッツ氏により1874年に創設され、給排弁の技術の基準を打ち立て、1960年代には、ワッツ社は、カナダとイギリスに工場を設け、国際的な市場に進出した企業である。そして、同社の売上高は、2012年から過去5年間、2008年が約1,356億円(甲第6号証によれば、米ドルでは1,356.3(百万)米ドル。以下、本項のかっこ書き内の米ドル表示は甲第6号証による。)、2009年が約1,225億円(1,225.9(百万)米ドル)、2010年が約1,274億円(1,274.6(百万))米ドル)、2011年が約1,436億円(1,436.6(百万)米ドル)、2012年が約1,445億円(1,445.6(百万)米ドル)であり、そのうち、アジアにおける売上は、2008年が約47億円(47.2(百万)米ドル)、2009年が約21億円(20.9(百万)米ドル)、2010年が約21億円(20.8(百万)米ドル)、2011年が約22億円(21.7(百万)米ドル)、2012年が約27億円(26.8(百万)米ドル)とされている。加えて、世界規模の宣伝広告費として、2008年ないし2010年に、それぞれ年間約8億円(8.0(百万)米ドル)、2011年に約9億円(9.0(百万)米ドル)、2012年に約10億円(10.0(百万)米ドル)を費やしているとされている。
また、我が国においては、栗本商事の「減圧逆流防止器Series909」のカタログに、引用商標2及び3の構成中の図形(同一形状の平行四辺形2つと直角三角形を組み合わせて台形状に並べた図形)と同一の図形と「WATTS」の文字からなるワッツ社のマーク(甲第4号証、甲第7号証)が記載され、減圧逆流防止器や二重式逆流防止器が取り扱われていることが認められる(甲第8号証)。さらに、株式会社ベン及び栗本商事が逆流防止器など、ワッツ社の製品を取り扱っていることが認められる(甲第11号証)。
しかしながら、申立人提出の甲各号証によっては、引用商標の使用が認められず、また、申立人が引用商標、さらには、申立人が「Wを図案化したロゴ」と称する図形を使用して商品を販売した開始時期、期間、数量、地域、規模等や宣伝広告の事実が不明である。
その他、職権をもって調査するも、引用商標や申立人主張の「Wを図案化したロゴ」が、本件商標の国際登録出願時及び登録査定時において、周知性を有していたことをうかがわせる事情も見出すことができない。
してみれば、引用商標や申立人主張の「Wを図案化したロゴ」が、「バルブ」等を表示するものとして、本件商標の国際登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
2 商標法第4条第1項第11号の該当性について
申立人は、前記第2のとおり、3件の登録商標を引用し、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当する旨主張しているところ、そのうち、引用商標2は平成27年1月31日に消滅したものである。
しかしながら、本件商標の判断基準時である登録査定時には、引用商標2を含め、引用商標は全て有効に存続していたものであるから、以下、本件商標と引用商標の全てとの類否を検討することとする。
(1)本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、同一形状の平行四辺形2つと直角三角形を組み合わせて台形状に並べ、その左右それぞれに6本の棒状の図形(上3本は長く、下3本は短い)を、それぞれの図形と図形の間には均等に間隔が空くように配してなる構成からなるものであり、全体としてまとまりよく一体に表されているものである。
そして、該図形は、直ちに何を表したのかいい難いものであるから、特定の称呼及び観念は生じないものといえる。
(2)引用商標
引用商標1は、別掲2のとおり、表が黒で裏が白のリボン状のものを「W」のように巻いた形状のものである。
そして、該図形は、直ちに何を表したのかいい難いものであるから、特定の称呼及び観念は生じないものといえる。
引用商標2は、別掲3のとおり、5本の太線による平行四辺形状の横縞模様の中央に地球の模様を配し、その右側に同一形状の平行四辺形2つと直角三角形を組み合わせて台形状に並べ、全体としては台形状にまとまりよく一体に表した図形があり、その5本の太線による平行四辺形状の横縞模様の上に「World Class Valves」の欧文字、直角三角形の右側にやや大きめに「WATTS」の欧文字とその下に小さめに「REGULATOR」の欧文字を横書きしてなるものである。
そして、引用商標2は、その構成中の文字部分より称呼が生じるとしても、その構成中の図形部分は、直ちに何を表したのかいい難いものであるから、特定の称呼及び観念は生じないものといえる。
引用商標3は、別掲4のとおり、同一形状の平行四辺形2つと直角三角形を組み合わせて台形状に並べた図形、その右側にやや大きめに「WATTS」の欧文字とその下に長い長方形状の図形に白抜きで「BRASS AND TUBULAR」の欧文字を横書きしてなるものである。
そして、引用商標3は、その構成中の文字部分より称呼が生じることがあるとしても、その構成中の上述した2つの図形部分は、いずれも直ちに何を表したのかいい難いものであるから、特定の称呼及び観念は生じないものといえる。
(3)本件商標と引用商標との対比
本件商標は、上記(1)のとおり、その全体がまとまりよく一体に表されているものであるから、これに接する取引者、需要者によっても、一体不可分のものとして把握、認識されるとみるのが相当である。
そこで、本件商標と引用商標を比較すると、外観上、本件商標は上述のとおり一体不可分のものであるから、たとえ、平行四辺形2つの直角三角形を台形状に並べた図形を構成要素に含んでいる引用商標があるとしても、引用商標の上記(2)の構成に照らすならば、明らかに区別し得るものである。
また、本件商標は、上記(1)のとおり、特定の称呼及び観念を生じないものであるから、称呼及び観念をもって、本件商標と引用商標を類似するということもできない。
したがって、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
(4)小括
以上のとおり、本件商標と引用商標とは非類似の商標であるから、たとえ、その指定商品が同一又は類似のものであっても、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第15号の該当性について
上記1及び2のとおり、引用商標や申立人主張の「Wを図案化したロゴ」は、バルブ等を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていた商標と認めることはできないものである。
また、本件商標と引用商標とは、上記(2)のとおり、外観、称呼及び観念のいずれの点についても、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきものである。
さらに、本件商標が一体不可分のものとして記憶、認識されるものである以上、本件商標と申立人主張の「Wを図案化したロゴ」も類似するということはできない。
そうすると、本件商標に接する取引者、需要者が、引用商標や申立人主張の「Wを図案化したロゴ」を想起又は連想することはないというべきであるから、本件商標をその指定商品について使用しても、該商品が申立人又はこれと業務上何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品であるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれがあると認めることはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第19号の該当性について
上記1及び2のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標や申立人主張の「Wを図案化したロゴ」が我が国又は外国において周知性を獲得していたとは認められないものであり、また、本件商標は、引用商標や申立人主張の「Wを図案化したロゴ」とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
しかも、本件商標が「不正の目的」をもって使用するものであるとする理由を見いだすこともできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
5 その他
申立人は、申立ての理由として、商標法第4条第1項第7号に該当するとも述べているが、その理由が具体的には述べられておらず、職権で調査するも、本件商標が商標法第4条第1項第7号に該当するとすべき事由も見い出せない。
6 結論
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に違反してされたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 【別記】




異議決定日 2015-05-20 
審決分類 T 1 651・ 22- Y (W06)
T 1 651・ 23- Y (W06)
T 1 651・ 271- Y (W06)
T 1 651・ 222- Y (W06)
T 1 651・ 261- Y (W06)
T 1 651・ 263- Y (W06)
T 1 651・ 262- Y (W06)
最終処分 維持 
前審関与審査官 薩摩 純一 
特許庁審判長 林 栄二
特許庁審判官 原田 信彦
中束 としえ
登録日 2012-06-19 
権利者 Tianjin Tanggu TWT Valve Company Limited
代理人 柳生 征男 
代理人 中田 和博 
代理人 大塚 啓生 
代理人 青木 博通 
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