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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W37
管理番号 1305192 
審判番号 不服2014-26417 
総通号数 190 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-10-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-12-25 
確定日 2015-09-03 
事件の表示 商願2014-49775拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「ソーラーパネル洗浄」の文字を標準文字で表してなり、第37類「太陽光発電設備の清掃,太陽光発電設備の修理又は保守」を指定役務として、平成26年6月16日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『ソーラーパネル洗浄』の文字を標準文字で表してなるところ、その指定役務との関係においては、『太陽光発電装置のパネル洗浄』を容易に認識するものであり、指定役務を取扱う業界において、太陽光発電装置のパネル洗浄が多数の者により行われているのが実情であるから、本願商標は、これをその指定役務に使用しても、単に役務の質を表示するに過ぎず、自他役務の識別標識としては認識し得ないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、「ソーラーパネル洗浄」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「ソーラーパネル」の文字は「太陽電池板」の意味を有する広く用いられている語であり、また、構成中の「洗浄」の文字は「洗いきよめること」を意味する一般的な語であるから、構成全体として、「ソーラーパネル(太陽電池板)の洗浄」ほどの意味合いを容易に認識するものである。
そして、ソーラーパネルは、太陽光発電設備の一部として、太陽エネルギーを電気エネルギーに変換する装置として使用されるものであって、屋外に設置されるものであるところ、その表面に付着した汚れが発電効率を低下させることから、本願の指定役務の分野においては、別掲のとおり、ソーラーパネルを洗浄する役務の提供が行われている実情が認められるものである。
そうすると、本願商標は、これをその指定役務中、「太陽光発電設備の清掃」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、提供される役務が「太陽光発電設備におけるソーラーパネルの洗浄」であることを表すものとして理解するものであり、単に役務の質(内容)を表示したものと認識するにとどまるというのが相当であるから、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は、本願商標は一体不可分の造語であって、太陽光発電装置は洗浄や清掃が必要であることは生来的に観念されることが困難であるから、本願商標は、創作性の強い観念を生じせしめるものであり、また、請求人は、本願商標について、本願の指定役務の分野における取引上の使用をいち早く開始した者であり、先導的に市場を形成するものである旨主張し、甲第1号証ないし甲第6号証を提出する。
しかしながら、別掲に示すとおり、近年、ソーラーパネルの表面に付着した汚れが太陽光を遮ることによって発電効率が低下することが認識されてきており、ソーラーパネルを洗浄するサービスが、「ソーラーパネル洗浄」又は「太陽光パネル洗浄」として広く提供されている実情が認められるものであるから、本願商標は、これに接する取引者、需要者が、役務の質(内容)を表示するものと認識するというべきである。
また、請求人が提出した甲第1号証ないし甲第4号証によれば、請求人は、平成25年4月以降、「ソーラーパネル洗浄」の業務内容をホームページ及びパンフレットに記載したこと、その後、該業務に係る見積書を約20件発行したことが認められるところ、その記載における「ソーラーパネル洗浄」の文字は、「ソーラーパネル洗浄によりパネル保護、発電効率が向上します。」との説明並びに専用の洗剤及びソーラーパネルを洗浄している様子の写真とともに表示されていることから、本願の指定役務との関係においては、役務の質(内容)を表したにすぎないものと認識されるものである。加えて、登録出願に係る商標が自他役務の識別標識として機能し得るか否かは、該登録出願の査定時又は審決時において、該商標が使用される役務の取引の実情を考慮し、個別具体的に判断されるものであるから、請求人が、本願商標の使用を早くから行っていたとしても、それが、本願商標が商標法3条1項3号に該当することを否定するものとはならない。
その他、上記判断を覆すに足る証拠は見いだせない。
したがって、請求人の主張は採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
本願の指定役務の分野において、ソーラーパネル(太陽電池パネル、太陽光パネル)の洗浄の役務が提供されている実情
1 2013年8月16日付け日刊工業新聞(4頁)に、「アフター市場を攻略せよ/太陽光サポートセンター-太陽光発電装置を洗浄・点検」の見出しの下、「再生可能エネルギーへの関心が高まり、太陽電池パネルを屋根に乗せた住宅も珍しくなくなってきた。そうした中、そのメンテナンスに着目したのが、太陽光サポートセンター(TSC、東京都港区)だ。…もともと、太陽光発電システムはメンテナンスフリーで販売されていたが、『最近はメンテナンスしないと発電量が減るという認識が高まってきた』(同)ことで一気に火がついた。実際、パネル表面に黄砂や鳥のふん、ゴミなどが付着すると、それらが太陽光を遮り、発電効率が落ちる。業界団体の太陽光発電協会も昨年7月、住宅用の保守・点検ガイドラインを公表。4年に1回以上の点検を推奨している。TSCでは2人の作業員がパネルの洗浄とパワーコンディショナーなど機器の点検、発電量の計測を2時間程度かけて行う。」との記載がある。
2 2015年4月1日付け「電気新聞」(4頁)に、「ゴールデンリーフワークスが太陽光パネル洗浄サービスを開始 純水で出力低下抑制」の見出しの下、「太陽光発電設備の設計・施工・保守などを手掛けるゴールデンリーフワークス(略)は、メガソーラー(大規模太陽光発電所)向けのパネル洗浄サービスを6月をめどに開始する。」との記載がある。
3 「株式会社トータルメンテナンス」のウェブサイトにおいて、「ソーラーパネル洗浄」の見出しの下、「『ソーラーパネルは、雨などで汚れが落ちるから掃除しなくても大丈夫』このようにお考えではありませんか?…また、屋根の清掃と同様に、太陽光パネルの清掃をご自身で行うのは難しいのが現状です。清掃しないと数年後には砂汚れ等によって?20%発電量が低下してる現状となります。『最近、太陽光発電の効率が落ちてきた…』などとお感じのお客様は、ぜひ当社のサービスをご活用ください。」との記載がある。
(http://www.t-maintenance.com/solar-panels.html)
4 「株式会社ジャスパー」のウェブサイトにおいて、「ソーラーメンテナンスについて」の見出しの下、「ソーラーパネル洗浄プラン(野立てソーラー編)」として、「高圧洗浄プラン…環境に配慮した専用洗剤を使用するプランもご用意。年間契約により大幅な割引が可能です。ホットスポット現象を防ぐ為にも定期的な洗浄をオススメします。」との記載がある。
(http://jasper-g.com/mainte.html)
5 「本格プロリフォーム渡辺工業」のウェブサイトにおいて、「ソーラーパネル 放置していませんか!?」の見出しの下、「ソーラーパネルを放っておくと… 屋根の上で雨風を受け続けるソーラーパネル。ある程度の汚れは雨で洗い流されますが、夏季など雨の降らない日が続けば、汚れはパネルにこびりついてしまいます。こびりついてしまった汚れは受光障害の原因となり、出力がなんと10%?25%も低下してしまうという結果に…」との記載及び「メンテナンスサービスパック ◆ソーラーパネル、パワコン、接続箱などの安心点検 ◆太陽光発電システムの出力確認 ◆雨漏り点検 ◆ソーラーパネルの洗浄 ◆雨樋、屋根の清掃」との記載がある。
(http://www.渡辺工業.みんな/panerusenjyou.html)
6 「株式会社日本環境テクノ」のウェブサイトにおいて、「太陽光パネル洗浄」の見出しの下、「末永く発電量を維持するために専用のクリーニング機器と洗浄剤でキレイになります!」との記載及び「発電量低下を防ぐために洗浄で発電量増! ?実は結構汚れている太陽光パネル? 最近のソーラーパネルは掃除をしなくても雨で汚れが落ちるような構造にはなっていますが、パネルの設置角度などによっては、雨で落ちにくかったり、道路や工場等からの油分の多い汚れは落ちにくい場合もあります。また、鳥の糞、花粉、黄砂など雨では落ちにくい汚れが蓄積してしまうと発電量は低下してしまいます。太陽光パネルに付着した深刻な汚れを落とすには、家庭用のソーラーパネルの場合には、屋根に登って洗浄する形になりますが、個人でできる範囲の清掃作業は限られており、安全面からも専門家に依頼した方が良いでしょう。」との記載がある。
(http://jetc2000.com/cleaning)
7 「太陽光清掃社」のウェブサイトにおいて、「太陽光発電効率の維持・向上に、当社の『太陽光パネルクリーニング』をぜひご活用ください!」との見出しの下、「『太陽光パネルは、雨などで汚れが落ちるから掃除しなくても大丈夫』このようにお考えではありませんか?しかし、実際には黄砂・鳥の糞・自動車の煤煙などがこびりつき、発電効率が最大で30%程度落ちているケースも少なくありません。また、屋根の清掃と同様に、太陽光パネルの清掃をご自身で行うのは難しいのが現状です。太陽光清掃社は、太陽光パネルの清掃に特化したサービスを提供している専門業者です。」との記載がある。
(http://www.taiyouko-seisousya.com/service/#)
8 「日本ソーラーサポート株式会社」のウェブサイトにおいて、「太陽光発電のメンテナンス」の項に、「清掃・パネルクリーニング」の見出しの下、「パネル洗浄サービスが必要な理由 太陽光パネルの汚れは、雨や風によってある程度きれいになります。しかし、鳥の糞などのような、表面にこびり付いた汚れは少し流したくらいでは取り除くことができません。また、太陽光パネルのほとんどは屋根に設置されているため、自身で洗ったりすることは、できなくはないにしても非常に危険です。」との記載、「表面の汚れは発電障害を起こす原因になります…このような表面の汚れによるホットスポットを改善するためにはパネルを洗浄して原因を取り除く他にありません。」との記載及び「作業内容 専用洗浄器による表面汚れの除去/異物の除去清掃/状況の報告と改善提案」との記載がある。
(http://solar-support.co.jp/cleaning.html)


審理終結日 2015-06-30 
結審通知日 2015-07-07 
審決日 2015-07-23 
出願番号 商願2014-49775(T2014-49775) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W37)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 矢澤 一幸 
特許庁審判長 堀内 仁子
特許庁審判官 手塚 義明
浦辺 淑絵
商標の称呼 ソーラーパネルセンジョー 
代理人 太田 知二 

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