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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服20156267 審決 商標
不服201421754 審決 商標
不服201417746 審決 商標
不服2015143 審決 商標
不服201426706 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商3条1項5号 簡単でありふれたもの 登録しない W16
審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない W16
管理番号 1305187 
審判番号 不服2013-10821 
総通号数 190 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-10-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-06-10 
確定日 2015-09-03 
事件の表示 商願2012- 45923拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は,別掲1のとおり「RT1」の文字を横書きにしてなり,第16類「文房具類」を指定商品として,平成24年6月7日に登録出願されたものである。
そして,本願の指定商品については,当審における平成27年4月30日付けの手続補正書において,第16類「ボールペン」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由(要旨)
原査定は,「本願商標は,商品の記号・符号として普通に採択・使用されている欧文字2文字と数字1文字の組み合わせよりなる『RT1』の文字を,多少図案化して書してなるところ,一般に,標章などが商品の包装,ラベル等に付される場合,文字を強調するために文字を多少図形化するといったことは普通に行われており,この程度の装飾はいまだ普通に用いられる方法の域を脱していないものとみるのが相当であるから,本願商標は,自他商品の識別機能を有しない,極めて簡単で,かつありふれた標章のみからなる商標と認める。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第5号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

3 当審における審尋
請求人に対し,平成24年5月14日付けで通知した審尋の内容は,別掲2のとおりである。

4 審尋に対する請求人の意見(要旨)
前記3の審尋に対し,請求人は,平成26年8月4日付け回答書及び同27年4月30日付け上申書において,甲第15号証ないし甲第33号証を提出し,以下のように回答した。
(1)本願商標は,「ややデザイン化されてはいるもの」の範ちゅうを大きく超えた,極めて特徴的な構成態様からなるものである。
(2)実際の取引において,商品の形式,規格等を表す記号,符号の文字は,ブロック体等のごく普通の活字体で表示されるものである。
(3)本願商標に係るボールペンは,2013年1月の販売開始以来,継続した人気と販売数量を誇る商品である。本願の指定商品を「ボールペン」に限定したことを考慮すれば,本願商標は,単に商品の品番や型番等ではなく,請求人が製造販売する「uni-ball SigNo(ユニボール シグノ)」ブランドのボールペンのシリーズ名称として我が国の取引者・需要者により把握・認識され,ひいては自他商品の識別標識として十分に機能していると考える。

5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第5号該当性について
本願商標は,別掲1のとおり,ややデザイン化された「RT1」の欧文字を横書きしてなるところ,近時,各種のレタリング文字が広く使用されている実情よりすれば,該構成文字は,看者をして,「RT1」の文字を表したものと容易に理解させる態様からなるものであって,商品に標章を付す際に様々なデザイン化が行われている現状にあっては,特殊な態様とはいい得ないものである。
そして,別掲2の審尋に記載したとおり,本願の指定商品を取り扱う業界においては,それぞれの自己の業務に係る各種商品について,その商品の管理又は取引の便宜性等の事情から,欧文字の1字又は2字とアラビア数字とを結合した標章が特定の商品の品番,RT型式又は規格等を表示するための記号又は符号として,取引上,類型的に採択・使用されている実情がある。
また,欧文字と数字を組み合わせた標章が,商品の規格,型式又は品番等を表示するための記号・符号の一類型として採択・使用されていることは,別掲2で掲げる証拠等からも明らかである。
さらに,請求人は,「RT1」について,「uni-ball SigNo(ユニボール シグノ)」ブランドのボールペンのシリーズ名称ものである旨を主張し,甲第28号証によれば,「『ユニボール シグノ RT1』は、2013年1月に発売されたノック式ゲルインクボールペン。・・・従来の『ユニボール シグノ RT』に比べてなめらかな書き味を実現した。」,「『ユニボール シグノ RT1』はデザインも見直した。『ユニボール シグノ RT』とは大幅に変わっている。」との記載があることから,「RT1」の文字は,シリーズ(形式)を表すために使用していることが認められる。
してみれば,欧文字2字及び数字1字とを組み合わせた「RT1」の文字からなる本願商標は,これをその補正後の指定商品「ボールペン」に使用しても,これに接する取引者,需要者は,その商品の規格,型式又は品番等を表示するための記号・符号の一類型を表示したものと理解するにとどまるというのが相当であって,極めて簡単で,かつ,ありふれた標章のみからなる商標といわざるを得ない。
したがって,本願商標は,極めて簡単で,かつ,ありふれた標章のみからなる商標であり,自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものであるから,商標法第3条第1項第5号に該当する。
(2)商品の使用による識別性について
請求人は,当審において平成25年7月18日付け手続補足書,26年8月4日付け手続補足書及び同27年4月30日付け手続補足書における証拠方法として,甲第1号証ないし甲第33号証を提出している。
そして,前記4(3)のとおり,本願商標は,請求人が製造販売する「uni-ball SigNo(ユニボール シグノ)」ブランドのボールペンのシリーズ名称として我が国の取引者・需要者により把握・認識され,ひいては自他商品の識別標識として十分に機能していると考える旨主張し,本願商標が自他商品識別標識としての機能を有することの証拠として手続補足書(甲第15号証ないし甲第33号証)を提出し,さらに,平成27年4月30付け手続補正書において,本願の指定商品を「ボールペン」と減縮補正している。
ところで,自他商品の識別機能を果たし得ない商標が,使用により識別力を有するに至ったものとして登録が認められるのは,その商標と同一の商標及びその商標を使用していた商品と同一の商品に関する場合のみである。そして,当該商標が使用により識別力を有するに至ったかどうかは,実際に使用している商標ならびに商品の使用開始時期,使用期間,使用地域,生産数量又は営業の規模及び広告宣伝の回数などを総合的に勘案して判断されるべきものである。
そこで,上記観点から,本願商標が使用により自他商品の識別性を有するに至っているかにつき検討する。
ア 実際に使用している商標
甲第28号証の2及び甲第28号証の3は,別掲3及び別掲4のとおり,下部が左から右へ流れるように表された曲線になった赤地の矩形中に白抜きで「uni・ball/ユニボール SigNo RT1」と表されているものである。
仮に,当該「uni・ball/ユニボール SigNo RT1」中の「RT1」の文字部分を抽出し,本願商標と対比したときには,両者は色彩が異なるものの本願商標とその構成においては同一視できる商標といえるものである。
しかしながら,上記の各文字は,書体が異なるものの赤地の矩形内に近接して配置されていることも相まって,視覚上,その構成全体がまとまりある一体的なものとして看取,把握されるとみるのが相当であるから,本願商標「RT1」とは異なるものといえる。
イ その他の証拠
請求人が,使用に係る標章として提出した甲第15号証ないし甲第27号証,甲第29号証ないし甲第33号証は,他人による請求人商品の紹介記事中に「uni・ball/ユニボールシグノ/signo RT1」,「ユニボール シグノ RT1」と記載され,当該「RT1」の文字部分は,本願商標と異なる態様で表記されているものである。
また,上記ア及びイ以外の各号証は,文房具の分野において商品の品番を表す記号等の表記方法を示す証拠であったり,公報の写しなどであるから,これらをもって本願商標の使用ということはできない。
したがって,請求人が提出した上記の証拠によっては,本願商標が,その指定商品に使用された結果,請求人の業務に係るものとして,需要者間に広く認識されるに至っていると認めることができない。
(3)請求人の主張について
ア 請求人は,「本願商標は、『ややデザイン化されてはいるもの』の範ちゅうを大きく超えた、極めて特徴的な構成態様からなるものである。」旨,主張する。
しかしながら,本願商標は,上記(1)のとおり,極めて簡単で,かつ,ありふれた標章のみからなる商標であるから,出願人の主張は採用できない。
イ 請求人は,「実際の取引において、商品の形式、規格等を表す記号、符号の文字は、ブロック体等のごく普通の活字体で表示されるものである。」旨,主張する(甲第2号証ないし甲第5号証)。
しかしながら,近時,各種のレタリング文字が広く使用されている実情よりすれば,本願商標は「RT1」の文字を表したものと容易に理解させる態様からなるものであり,商品に標章を付す際に様々なデザイン化が行われている現状にあっては,特殊な態様とはいい得ないものである。
してみれば,請求人の主張は採用できない。
ウ 請求人は,欧文字2字のみ,あるいは,欧文字1字又は2字と数字の結合からなる商標が,審判において自他商品役務識別力を有すると判断された結果,登録された例を挙げ,本願商標も登録されるべき旨主張する(甲第6号証ないし甲第14号証)。
しかしながら,請求人の挙げる登録例は、いずれも本願商標とはその構成,態様を異にするものであって,本件とは事案を異にするものであり,同一に論ずることができないものであるから、上記請求人の主張を採用することはできない。
したがって,本願商標は,自他商品の識別機能や出所表示機能を発揮するものであるとはいえないものであるから,請求人のかかる主張は,いずれも採用することができない。
その他の請求人の主張をもってしても,原査定の拒絶の理由を覆すに足りない。
(4)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第5号に該当するものであって,同法第3条第2項の要件を具備するものではないから,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲1(本願商標)


別掲2(審尋)
本願商標は,別掲のとおり「RT1」の欧文字と数字を横書きした構成よりなるものであるところ,その構成中「R」の文字は,ややデザイン化されてはいるものの,「R」の形象を十分に表しているものであり,本願商標の文字は,欧文字の2字と数字の1字とを結合してなるものであると容易に理解されるものである。
ところで,様々な商品を取り扱う分野において,それぞれの自己の業務に係る各種商品について,その商品の管理又は取引の便宜性等の事情から,ローマ文字とアラビア数字を結合した標章を特定の商品の品番,型式又は規格等を表示するための記号又は符号として採択,使用されている実情がある。
そして,これは本願指定商品を取り扱う分野においても,かかる標章が,商品の品番,型式又は規格等を表示するための記号,符号として採択,使用されている実情が,例えば,次のようなインターネット情報の以下の1ないし8の記載からも十分に裏付けられるところである。
してみれば,本願商標は,欧文字の2字「RT」と数字の1字「1」とを結合させたものであって,このような構成及び前記実情に照らせば,本願商標をその指定商品について使用しても,これに接する取引者,需要者は,商品の品番,型式又は規格等を表示するための記号又は符号を表示したものと理解するにとどまり,自他商品の識別標識とは認識し得ないものというべきであるから,極めて簡単で,かつ,ありふれた標章のみからなる商標と認めるのが相当であり,本願商標は,商標法第3条第1項第5号に該当するというのが相当である。
また, 請求人は,当審における,平成25年7月18日付け手続補正書において,「本願商標は,請求人が製造販売する『uni-ball SigNo(ユニボール シグノ)』ブランドの筆記用具のシリーズの1つを表す自他商品の識別標識として,我が国の取引者・需要者により直ちに把握・認識されると考えるのがごく自然である。」旨述べているが,これが,仮に,商標法第3条第2項による使用による識別力を主張するのであれば,使用の事実を証明する書類を提出されたい。

1 「ゼブラ株式会社」のウェブサイトにおいて,「ボールペン/油性ボールペン」の見出しのもと「■Bn2」の欄に「品番:BN2」,「■ジムノックUK」の欄に「品番:BN10」の記載がある(http://www.zebra.co.jp/eco/products/ball/)。
2 「ぺんてる株式会社」のウェブサイトにおいて,「シャープペンシル」の商品カテゴリーの中に「グラフギア500」の見出しのもと「品番」の欄に「PG513/PG514/PG515・・・」の記載がある
(http://www.pentel.co.jp/products/automaticpencils/graphgear500/)。
3 「かんてい局オンラインショップ」のウェブサイトにおいて,「Cartier【カルティエ】ST180003 ディアボロドゥ・カルティエ/ボールペン ブラック」の見出しのもと「型番」の欄に「ST180003」の記載がある
(http://www.kanteikyoku.jp/shop/1/detail5169.html)。
4 「イーハッピー クロス・プロダクツ・オンラインショップ」のウェブサイトにおいて,「センチュリーII スターリングシルバー/万年筆(18金ロジウムプレート装飾)/商品番号:HN3009/・・・メーカー名:クロス|型番:HN3009」の記載がある
(http://www.ehappy.jp/scb/shop/shop.cgi?No=139)。
5 「L!FE 文具を創り、文化を築く。ライフ株式会社」のウェブサイトにおいて,「ファーストレポート A4」の見出しのもと「品番 R1」,「プレインレポート A4」の見出しのもと「品番 R5」・・・の記載がある(http://life-st.jp/item/?cat=67)。
6 「できる!使える!ちぇるねっと」のウェブサイトにおいて,「ポスト・イットポップアップ詰替用詰替用」の見出しのもと「商品名 : ポスト・イットポップアップ詰替用詰替用/・・・/メーカー名 : 住友スリーエム/型番 :R335・・・」の記載がある(http://www.cernet.certo.jp/shop/g/g0021200434839/)。
7 「サンスター文具株式会社」のウェブサイトにおいて,「NEWアーム筆入」の見出しのもと「NEWアーム筆入 青」の欄に「商品コード:S1000608」,「NEWアーム筆入 青」の欄に「商品コード:S1000705」の記載がある(http://www.sun-star-st.jp/sscmssys/dd?DEPLOY_CODE=merchanttab&SK_SERIES_ID=333)。
8 「ASKUL INTERNET SHOP」のウェブサイトにおいて,
(1)「マックス 紙針ホッチキスPH-15DS/W PH90001 白」の見出しのもと「型番」の欄に「PH90001」の記載がある(http://www.askua.co.jp/p/8554284/)。
(2)「クツワ 硬筆書写用ソフト下敷き 透明 B5 VS013 1枚」の見出しのもと「型番」の欄に「VS013」の記載がある(http://www.askul.co.jp/p/8517772/)。
(3)「パーカー ボールペン替芯 黒(F)S11643120 替芯F 1本」の見出しのもと「型番」の欄に「S11643120」の記載がある(http://www.askul.co.jp/p/326237/)。
(4)「LAMY ラミー サファリ ボールペン イエロー L218」の見出しのもと「型番」の欄に「L218」の記載がある(http://www.askul.co.jp/p/9529393/)。

別掲3(甲第28号証の2)


別掲4(甲第28号証の3)



審理終結日 2015-07-01 
結審通知日 2015-07-07 
審決日 2015-07-22 
出願番号 商願2012-45923(T2012-45923) 
審決分類 T 1 8・ 15- Z (W16)
T 1 8・ 17- Z (W16)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小田 明 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 小林 裕子
前山 るり子
商標の称呼 アアルテイイチ、アアルテイワン 
代理人 青木 篤 
代理人 田島 壽 

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