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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 129
管理番号 1305154 
審判番号 取消2015-300083 
総通号数 190 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-10-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2015-02-10 
確定日 2015-08-31 
事件の表示 上記当事者間の登録第1111982号の1の2の2商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第1111982号の1の2の2商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおり、「田舎」の漢字及び「いなか」の平仮名(平仮名は、漢字に比べて極めて小さい文字で表されている。)を二行に縦書きしてなり、昭和46年11月29日に登録出願、第32類「加工野菜及び加工果実」を指定商品として、同50年3月31日に設定登録され、その後、平成17年1月5日に、指定商品を第29類「加工野菜及び加工果実」とする指定商品の書換登録がされたものである。
そして、本件審判請求の登録は、同27年2月23日にされている。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のとおり述べ、その証拠方法として、甲第1号証ないし甲第4号証(審決注:請求人は、審判請求書において甲第1号証及び甲第2号証を提出した上で、さらに、審判弁駁書において甲第1号証及び甲第2号証を提出しているが、本件審決においては、審判弁駁書において提出した甲第1号証を甲第3号証と、同じく甲第2号証を甲第4号証として取り扱うこととする。)を提出した。
1 取消原因
本件商標は、指定商品について使用された事実を発見することはできない。また、過去3年間に亘り、本件商標について専用使用権者又は通常使用権者の登録もされていない。
したがって、本件商標は、過去3年間に亘って、日本国内では、指定商品について使用されなかったとものと推認される。
2 審判弁駁書における主張
被請求人が提出した証拠のうち、通常使用権者による本件商標の使用を証明する乙第6号証の1ないし乙第8号証の2に何らかの商標が表されていることは認めるが、これらの商標は、以下のとおり、本件商標とは社会通念上同一の商標とは認めらないものであるから、本件商標の使用には該当しない。
なお、乙第8号証の3には、本件商標と関連する商標の使用は認められない。
(1)本件商標
本件商標は、縦書きの漢字2文字で表された「田舎」の文字と、その右側に小さく縦書きの平仮名3文字で表された「いなか」の文字との組み合わせからなるものである。
したがって、本件商標からは「イナカ」の称呼が生じる。
(2)乙第6号証の1及び3
乙第6号証の1及び3には、中田食品株式会社(以下「中田食品」という。)が製造・販売する商品(梅ぼし)が写っており、その商品の容器の上面を覆う包み紙の中央及び容器の側面を覆う包み紙の中央には、「田舎漬」という商標(以下「使用商標1」という。)が表されている。
使用商標1は、横書きの漢字3文字「田舎漬」で構成されていて、これらの3文字は全て同じ書体、同じ大きさ、等間隔で外観上まとまりよく一体的に表されている。してみれば、使用商標1は、その構成態様から、全体が一体不可分のものと認識されるものであり、全体より生じる「イナカツケ」又は「イナカヅケ」の称呼が自然的称呼である。
したがって、本件商標から生じる「イナカ」の称呼と使用商標1から生じる「イナカツケ」又は「イナカヅケ」の称呼とは、それぞれ、語尾における「ツケ」又は「ヅケ」の音質の差、音構成の差等により明確に区別することができ、本件商標と使用商標1とは、称呼において異なる非類似の商標である。
また、本件商標と使用商標1とは外観が異なるとともに、観念においても異なるものである。本件商標の「田舎」は、「都会から離れた土地、在郷、地方、郷里、故郷」の意味(「広辞苑」岩波書店発行)を有する言葉である。これに対し、使用商標1の「田舎漬」は、その構成中の「漬」の部分が「漬物」の意味合いを想起させ、使用商標1の使用形態は「田舎」と「漬」とが一体的で分離されることのない構成であるため、使用商標1からは「都会から離れた土地の漬物」等の観念が生じる。
以上のとおり、使用商標1は、本件商標とは、外観、称呼、観念のいずれにおいても相違する別異の商標であるから、使用商標1と本件商標とは、社会通念上同一のものと認められない。この請求人の主張は、甲第1号証の拒絶査定不服の審決の判断内容によっても、正当性が裏付けられる。
(3)乙第7号証の1及び3
乙第7号証の1及び3には、株式会社菅野漬物食品(以下「菅野漬物食品」という。)が製造・販売する商品が写っており、そのビニール包装の中央には「田舎たくあん」という商標(以下「使用商標2」という。)が表されている。
使用商標2は、縦書きの漢字二文字の「田舎」及び平仮名4文字の「たくあん」で構成されていて、「田舎」の文字は赤色で、その下に続く「たくあん」の文字は黒色で表されているとともに、同じ書体及び等間隔で一体的にまとまりよく記載されている「田舎」の文字も、「たくあん」の文字もそれぞれ外側が白色で統一的に縁取られている。
使用商標2は、その構成文字中「たくあん」から「大根の漬物」が想起され、また、「たくあん」という文字が「たくあん漬」を指称する略称として商取引上普通に使用されているとしても、上記のように一体的に使用されているため、「たくあん」の部分を省き、単に「田舎」の部分から生じる称呼「イナカ」のみで商取引されることはない。また、使用商標2は、7音構成と比較的簡潔な音構成であることを斟酌すれば、「田舎たくあん」の全体の文字で商品の出所標識として使用されている一体不可分の造語として認識される。そして、使用商標2からは、「都会から離れた土地の大根の漬物」等の観念が生じる。
したがって、使用商標2は、本件商標の一部の「田舎」の文字を含んでいるが、本件商標とは外観が異なるとともに、称呼及び観念も明らかに異なるから、使用商標2と本件商標とは、外観、称呼、観念のいずれにおいても相違する別異の商標であり、社会通念上同一のものとは認められない。
(4)乙第8号証の1
乙第8号証の1には、株式会社ウメタ(以下「ウメタ」という。)が製造・販売する商品が写っており、そのビニール包装袋の表面上部には「田舎梅干」という商標(以下「使用商標3」という。)が表されている。
使用商標3は、横書きの漢字4文字の「田舎梅干」で構成されており、文字全部が白色で記載されている。また、全ての文字の大きさが等しく同じ書体で一連に等間隔で記載されているとともに、「田舎梅干」の各文字の外側が赤色で統一的に縁取られている。
使用商標3は、その構成文字中「梅干」の文字が商品を指称する文字として商取引上普通に使用されているとしても、上記のように一体的に使用されているため、「梅干」の部分を省き、単に「田舎」の部分から生じる称呼「イナカ」のみで商取引されることはない。また、使用商標3は、7音構成と比較的簡潔な音構成であることを斟酌すれば、「田舎梅干」の全体の文字で商品の出所標識として使用されている一体不可分の造語と認識される。そして、使用商標3からは、「都会から離れた土地の梅干」等の観念が生ずる。
したがって、使用商標3は、本件商標の一部の「田舎」の文字を含んでいるが、本件商標とは外観が異なるとともに、称呼及び観念も明らかに異なるから、使用商標3と本件商標とは、外観、称呼、観念のいずれにおいても相違する別異の商標であり、社会通念上同一のものとは認められない。
なお、使用商標2及び使用商標3に関する請求人の主張は、甲第2号証の商標取消の審決の判断内容によっても、正当性が裏付けられる。
(5)まとめ
以上のとおり、使用商標1は「田舎漬」として、使用商標2は「田舎たくあん」として、また、使用商標3は「田舎梅干」として、それぞれが実際には全体が一体的に使用されているので、使用商標1ないし使用商標3において、「田舎」の文字部分のみを分離することはできないから、使用商標1「田舎漬」、使用商標2「田舎たくあん」及び使用商標3「田舎梅干」は、全体が一体不可分な商標であり、これら使用商標は登録商標「田舎」とは社会通念上同一の商標ではない。
したがって、被請求人は、審判事件答弁書によって、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件審判の請求に係る指定商品について本件商標の使用をしていたことの証明をしていない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第8号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 本件商標の通常使用権者は、本件審判請求の登録日である平成27年(2015年)2月19日の3年以上前から現在に至るまで、以下のとおり、通常使用権者の本店所在地等において、「加工野菜及び加工果実」について本件商標と社会通念上同一の範囲にある商標を使用している。
(1)使用許諾について
被請求人は、本件審判請求の登録前から現在に至るまで、「加工野菜及び加工果実」について本件商標の使用を許諾し、許諾をされた通常使用権者は、許諾に係る商品を製造し販売(譲渡)している。
乙第1号証は、昭和57年(1982年)11月1日に被請求人と全日本漬物協同組合連合会(以下「漬物協同組合」という。)との間で締結された「商標使用契約書」(審決注:答弁書において、被請求人は、「商標使用許諾書」と記載しているが、乙第1号証によれば、「商標使用契約書」の誤記と思われるので、本審決においては、「商標使用契約書」と記載することとする。)の写しである。「商標使用契約書」が締結された昭和57年(1982年)11月1日当時、商標権者は、株式会社小久保商店であり(乙第2号証の1)、被請求人は、専用使用権者として登録されていた。その後、商標登録第1111982号の1の2は分割譲渡により、被請求人に分割移転され、商標登録第1111982号の1の2の2として、現に有効に存続している(乙第2号証の2)。
(2)被請求人と通常使用権者との関係について
被請求人が専用使用権者であった昭和57年(1982年)当時、本件商標の使用をする漬物協同組合の関係組合員によって「田舎会」が設立され、「田舎会」に入会を希望する組合員は入会金を納めることによって、本件商標の使用が許諾されることとなった(乙第3号証)。平成26年(2014年)10月現在、「田舎会」の会員は31社である(乙第4号証)。
本件商標を継続して使用する「田舎会」会員に対しては、本件商標の使用確認と使用料納付についての申し入れを行っている(乙第5号証の1)。この申し入れに対し、本件商標の使用を継続して希望する会員は、使用料を負担し、会員1社あたり10,000円を納めている。なお、会員中、2社は、使用料の入金が不要であることから、「田舎会収支状況報告書(平成26年)」における更新費用負担金を納めた者は29社である(乙第5号証の2)。
(3)本件商標の使用
本件商標は、例えば、「田舎会」会員である以下の通常使用権者により使用されている。
ア 乙第6号証は、「田舎会」会員である中田食品が製造・販売する商品の写真、取引書類(納品書)、ウェブサイトからの抜粋である。
イ 乙第7号証は、「田舎会」会員である菅野漬物食品が製造・販売する商品の写真、取引書類(納品書)、ウェブサイトからの抜粋である。
ウ 乙第8号証は、「田舎会」会員であるウメタが製造・販売する商品の写真、取引書類(納品書)、ウェブサイトからの抜粋である。
これら各証拠に示すとおり、上記各通常使用権者は、本件商標と社会通念上同一の商標を、商品「梅干」あるいは「たくあん漬」に使用している。
そして、上記各通常使用権者の使用に係る商品は、請求に係る本件商標の指定商品「加工野菜及び加工果実」の範ちゅうに属するものである。
なお、当然ながら、本件商標は、上記の会員3社によってのみ使用されているものではない。
2 まとめ
以上のとおり、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者により、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が本件審判の請求に係る指定商品「加工野菜及び加工果実」について使用されていることは明らかである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできないものである。

第4 当審の判断
1 被請求人が提出した乙各号証によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第1号証は、籠島澱粉株式会社(東京都千代田区神田佐久間町)を甲、漬物協同組合を乙とした、昭和57年11月1日付けの登録第1064183号の1の2商標及び登録第1111982号の1の2商標に関する商標使用契約書(写し)であるところ、その第3条(使用許諾)には「甲は乙に対し、商標法上区分第32類中『加工野菜及び加工果実』につき本件商標を以下の条件で使用させることを許諾する。(1)使用者:乙が認める者 (2)期間:商標権存続期間 (3)地域:日本国内全域」と、その第5条(使用料)には「本件商標使用料は、使用者1名金3万円とし、乙は使用者より徴集し甲に支払う。」と定められている。
(2)乙第2号証の1及び2は、商標登録第1111982号の1の2の1及び商標登録第1111982号の1の2の2(本件商標)の商標登録原簿であるところ、商標登録第1111982号の1の2については、昭和53年12月18日に、「地域 日本国内全部 期間 商標権の存続期間全部 内容 商品『加工野菜、加工果実』」を範囲とし、籠島澱粉株式会社(東京都千代田区神田佐久間町)を専用使用権者とする専用使用権の設定の登録がされており、その後、同59年9月10日に、第32類「加工野菜及び加工果実」について、専用使用権者であった籠島澱粉株式会社(東京都千代田区神田佐久間町)に、商標登録第1111982号の1の2の2として分割譲渡された旨登録されている。
なお、その後の商標登録第1111982号の1の2の2の商標登録原簿によれば、商標権者の籠島澱粉株式会社の住所については、平成24年2月22日を受付日として、「東京都千代田区外神田1丁目18番19号」に登録名義人の表示の変更の登録がされている。
(3)乙第3号証は、漬物協同組合から組合員に宛てた、昭和57年8月2日付けの「籠島澱粉株式会社が専用使用権を有する登録商標『田舎』の使用の問題について」と題する書状(写し)であるところ、同書状には、「去る7月5日、大阪において籠島澱粉株式会社と相談の結果、同社の寛大なご処置により下記のとおり“田舎会”を設立することで合意に達しましたので、事情ご高承のうえ、なにとぞ各位のご賛同をお願い申し上げます。」とあり、「基本合意事項」として「1.商標『田舎』を使用する関係組合員で“田舎会”(代表 西出武雄)を設立し、事務手続きは全日本漬物協同組合連合会内で行う。」、「4.入会金の納入期限は、昭和57年9月30日とする。なお、期限内に納入のない場合は、今後一切商標『田舎』の使用を認めない。」及び「5.田舎会会員に対しては、商標『田舎』の使用を認める。ただし、商品は、商標法上区分32類中『加工野菜及び加工果実』に限る。」と記載されている。
また、乙第5号証の1は、漬物協同組合から田舎会会員に宛てた、平成26年8月9日付けの「登録商標『田舎』の使用確認及び使用料納付についてのお願い」と題する書状(写し)であるところ、同書状には、「籠島澱粉株式会社が専用使用権を有する登録商標『田舎』の使用に当たっては、昭和57年全日本漬物協同組合連合会内に『田舎会』を設立し、会員のみにその使用が認められてまいりました。・・・このたび、籠島澱粉株式会社から更新手続き(10年毎)のための費用負担の申し入れがありましたので、使用更新の確認をさせていただきます。・・・継続して使用される場合は、下記により使用料をご負担くださいますようお願いします。なお、更新されない場合は、今後一切登録商標『田舎』(別紙参照)の使用が認められませんので、念のため申し添えます。」と記載されており、納入期限が「平成26年9月19日」と記載されている。
さらに、乙第4号証は、2014年6月から2024年5月にかけての田舎会会員一覧表(写し)であるところ、そこには、福島県の「(株)菅野漬物食品」を始め、31社の県名及び社名が記載されている。
(4)乙第7号証の1は、商品(包装されたたくあん)の写真であるところ、その包装には、上部に赤色の楕円形状の図形と赤色の下線状のものが引かれた「タマゴヤ」の平仮名(「ゴ」の点の部分が赤色のほかは黒色で記載されている。)からなる標章(以下「タマゴヤ標章」という。)が表されているとともに、中央部には、使用商標2が表示されている。
また、乙第7号証の3は、菅野漬物食品のウェブサイト(抜粋)であるところ、1頁目の左上には、「株式会社菅野漬物食品」の文字及びタマゴヤ標章、さらに、「0244-46-3131」の電話番号が記載され、2頁目には、「田舎たくあん」の文字の下に、乙第7号証の1に写された商品と同一と思しき商品の写真(包装の中央部には、使用商標2が表されている。)及び「JANコード」として「4901557300093」の数字が表示されている。
さらに、乙第7号証の2は、菅野漬物食品から南相馬市の「食品のサイトウ」に宛てた納品書(写し)であるところ、その右上には、「株式会社菅野漬物食品」の名称、福島県の住所、本社の電話番号として「(0244)46-3131(代表)」の番号、「伝票日付」として「2014-12-03」の日付けが記載されているとともに、左上には、「食品のサイトウ 様」の名称及びその住所の記載があり、その下の表の「商品コード 商品名 荷姿」の欄には、「玉子屋 田舎たくあん 20入」の文字とともに、「4901557300093」の数字が記載されている。
そして、乙第7号証の3に記載されている電話番号とJANコードは、乙第7号証の2に記載されている電話番号と商品コードの数字と同一である。
2 上記1において認定した事実によれば、以下のとおり、認めることができる。
(1)上記1(1)及び(2)によれば、被請求人(商標権者)は、本件商標の第32類「加工野菜及び加工果実」についての専用使用権者であった昭和57年頃から、その後、「加工野菜及び加工果実」について分割譲渡を受け商標権者となり、現在に至るまで、漬物協同組合が認める者に対し、通常使用権を許諾していることが認められる。
(2)上記1(3)によれば、漬物協同組合は、相応の費用負担を条件に、本件商標の使用を望む組合員によって「田舎会」を設立し、その「田舎会」の会員に本件商標の使用を認めることとしたところ、平成26年6月から平成36年5月にかけては、菅野漬物食品を始め、31社が会員になっているから、菅野漬物食品には本件商標の通常使用権が許諾されているものと認められる。
(3)上記1(4)によれば、菅野漬物食品は、商品「たくあん」の包装に、使用商標2を表示しているところ、その商品は、平成26年12月3日に、菅野漬物食品から「食品のサイトウ」に譲渡又は引渡しが行われたことが認められる。
そして、使用商標2は、肉太の赤字をもって「田舎」の漢字、その下に続けて、肉太の黒字をもって「たくあん」の平仮名を表したものであるところ、「田舎」の漢字と「たくあん」の平仮名が色違いで表され、そのうちの「たくあん」の平仮名がその商品の普通名称であることを勘案するならば、その需要者が商品の識別標識として認識するのは「田舎」の漢字であり、「田舎」の漢字と「いなか」の平仮名からなる本件商標とは、「田舎」の漢字を共通にするものであって、同一の称呼及び観念を生じるものといえるから、社会通念上同一の商標と認められる。
また、使用商標2が使用されている「たくあん」は、本件請求に係る指定商品である「加工野菜及び加工果実」中の「野菜の漬物」の範ちゅうに含まれる商品である。
さらに、譲渡又は引渡しが行われたことが認められる平成26年12月3日は、本件審判請求の登録前3年以内に当たる。
3 むすび
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者が本件請求に係る指定商品中の「野菜の漬物」の範ちゅうに含まれる「たくあん」について、本件商標と社会通念上同一の商標の使用をしていたことを証明したと認め得るところである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本件商標)



審理終結日 2015-06-30 
結審通知日 2015-07-02 
審決日 2015-07-21 
出願番号 商願昭46-130179 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (129)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 大森 健司
特許庁審判官 中束 としえ
林 栄二
登録日 1975-03-31 
登録番号 商標登録第1111982号の1の2の2(T1111982-1-2-2) 
商標の称呼 イナカ 
代理人 澤木 紀一 
代理人 小山 輝晃 
代理人 米屋 武志 

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