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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
不服20154723 審決 商標
不服201826 審決 商標
不服201414528 審決 商標
不服201512304 審決 商標
不服201511193 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商4条1項7号 公序、良俗 取り消して登録 W11
管理番号 1305051 
審判番号 不服2015-9510 
総通号数 190 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-10-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-05-22 
確定日 2015-09-07 
事件の表示 商願2014-60730拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第11類「乾燥装置,熱交換器,暖冷房装置,脱臭装置,業務用空気脱臭装置,業務用電気式脱臭機,業務用オゾン発生式空気清浄機,業務用衣類乾燥機,電球類及び照明用器具,家庭用電熱用品類,加湿器,空気清浄機,空気清浄機用フィルター,扇風機,家庭用空気脱臭装置,家庭用電気式脱臭機,家庭用オゾン発生式空気清浄機,ファン(空気調和装置の部品),冷蔵庫,ガスファンヒーター」を指定商品として、平成26年7月18日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、日本工業規格の案内用図記号(JIS Z 8210)で制定された「航空機/空港」を表示する図記号(別掲2参照)(以下「航空機図記号」という。)と酷似するものと認められるところ、この日本工業規格による図記号は広く一般に使用され、極めて公共性の高いものであるから、これを一私人である出願人が、商標として採択することは穏当でないものといわざるを得ない。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第7号について
商標法第4条第1項第7号にいう「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」には、その構成自体がきょう激、卑わい、差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形である場合及び商標の構成自体がそうでなくとも、指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、又は社会の一般的道徳観念に反するような場合も含まれるものと解される。
そうすると、本願商標は、その構成自体が、きょう激、卑わい、差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような構成ではないことは明らかであるから、本願商標をその指定商品について使用することが、社会公共の利益に反し、又は社会の一般的道徳観念に反するような場合に含まれるか否かについて、以下検討する。
(2)本願商標の構成について
本願商標は、別掲1のとおり、左に約45度傾斜した黒塗りの航空機を表してなるところ、その構成は、機首が鋭利な突状で、機首から機尾にかけて機体の幅が狭まる形状であり、尾翼の長さは主翼の長さの約4割強からなるものである。
そして、本願商標からは、特定の称呼及び観念を生じないものである。
(3)航空機図記号について
航空機図記号は、別掲2のとおり、角丸四角形の枠内に、直立した黒塗りの航空機を表してなるものであるところ、その構成は、機首が丸く、機首から機尾にかけての機体の幅が同じであり、尾翼の長さは主翼の約3割弱であって、尾翼の形状も、本願商標とは異なるものである。
そして、航空機図記号が航空機や空港を表すピクトグラム(絵文字、絵言葉)として、不特定多数の者が使用する公共施設内の案内記号として使用されていることは、広く一般に知られているというのが相当であり、航空機図記号からは、「航空機や空港を表す図記号(マーク)」といった観念及びそれに準じた称呼を生ずるものと認められる。
(4)本願商標と航空機図記号の類否について
本願商標は、上記(2)で認定したとおりの構成からなるものである。
一方、航空機図記号は、上記(3)で認定したとおりの構成からなるものである。
そこで、本願商標と航空機図記号の外観を比較すると、両者は共に航空機のシルエット形状からなるものとして、やや近似した印象を与えることがあるとしても、本願商標は、線で周囲を囲まれておらず、左斜め方向に45度傾いた黒塗りの航空機を表したものであり、また機首が鋭利な突状で、機首から機尾にかけて機体の幅が狭まる形状であって、かつ、尾翼の長さは主翼の長さの約4割強からなるものであるのに対し、航空機図記号は、角丸四角形の枠内に、直立した黒塗りの航空機を表してなり、機首が丸く、機首から機尾にかけての機体の幅が同じであり、尾翼の長さは主翼の約3割弱であって、尾翼の形状も、本願商標とは異なるものである。
してみれば、本願商標と航空機図記号とは、外観上、一見して異なる印象を与える標章として看取されるものである。また、両者の観念及び称呼について比較すると、本願商標からは、特定の観念及び称呼が生じないものであるのに対し、航空機図記号からは、「航空機や空港を表す図記号(マーク)」といった観念及びそれに準じた称呼を生ずるものであるから、両者を比較することはできない。
そうすると、本願商標と航空機図記号とは、外観については、共に航空機のシルエット形状であるとしても、その構成態様において類似性は低く、観念及び称呼については比較し得ないものであるから、これらのことを総合して全体的に考察すると、両者は、十分に区別し得るものというべきである。
さらに、航空機図記号は、航空輸送施設及び空港を表示するものであり、本願商標の指定商品を対象としていない上、本願商標の指定商品と航空機図記号が特段の関連を有するというべき実情も見いだし難い。
(5)本願商標をその指定商品について使用することが、社会公共の利益に反し、又は社会の一般的道徳観念に反するか否かについて
以上のとおり、本願商標と航空機図記号は、十分に区別し得るものであること、また、本願商標の指定商品と航空機図記号が使用されている分野が全くことなることなどを総合勘案すれば、本願商標をその指定商品に使用しても、本願商標は、航空機図記号として認識されることはないというのが相当である。
してみれば、請求人が本願商標をその指定商品について使用したとしても、それが社会公共の利益に反し、又は社会の一般的道徳観念に反するものとはいうことはできない。
(6)まとめ
したがって、本願商標が社会公共の利益に反するものとして商標法第4条第1項第7号に該当するとした原査定は、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1 本願商標





別掲2 「航空機/空港」を表示する図記号(航空機図記号)





審決日 2015-08-26 
出願番号 商願2014-60730(T2014-60730) 
審決分類 T 1 8・ 22- WY (W11)
最終処分 成立  
前審関与審査官 石塚 利恵 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 清棲 保美
榎本 政実
代理人 松田 純一 

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