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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W20
審判 全部申立て  登録を維持 W20
審判 全部申立て  登録を維持 W20
審判 全部申立て  登録を維持 W20
管理番号 1304223 
異議申立番号 異議2014-900280 
総通号数 189 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2015-09-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2014-09-26 
確定日 2015-05-28 
異議申立件数
事件の表示 登録第5681567号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5681567号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5681567号商標(以下「本件商標」という。)は,「ip20 Einrichten」の欧文字を標準文字で表してなり,第20類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として平成25年8月5日に登録出願され,その後,指定商品については,原審における同年12月13日付けの手続補正書をもって,第20類「家具,家庭用家具,オフィス用家具,システム家具,家具の部品及びその付属品,カーテン金具,金属代用のプラスチック製締め金具,くぎ・くさび・ナット・ねじくぎ・びょう・ボルト・リベット及びキャスター(金属製のものを除く。),座金及びワッシャー(金属製・ゴム製又はバルカンファイバー製のものを除く。),錠(電気式又は金属製のものを除く。),屋内用ブラインド,すだれ,装飾用ビーズカーテン,つい立て,びょうぶ,ベンチ」を指定商品として,同26年5月26日に登録査定,同年6月27日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第2304077号商標(以下「引用商標」という。)は,別掲のとおりの構成よりなり,昭和56年11月17日に登録出願,第20類に属する商標原簿記載のとおりの商品を指定商品として,平成3年3月29日に設定登録され,その後,指定商品については,同13年2月14日に第6類「金属製建具,金庫,金属製靴ぬぐいマット,金属製ブラインド,金属製立て看板,金属製の可搬式家庭用温室,金属製の墓標及び墓碑用銘板」,第19類「建具(金属製のものを除く。),灯ろう,可搬式家庭用温室(金属製のものを除く。),墓標及び墓碑用銘板(金属製のものを除く。)」及び第20類「家具,ベンチ,すだれ,装飾用ビーズカーテン,つい立て,びょうぶ,アドバルーン,木製又はプラスチック製の立て看板,食品見本模型,人工池,葬祭用具」とする書換登録がされ,現に有効に存続しているものである。

第3 申立て理由要旨
1 商標法第4条第1項第11号の該当性について
(1)本件商標
本件商標は,ローマ字と数字の「ip20」の文字から構成される部分とドイツ語である「Einrichten」の文字とをスペースを介して表してからなる標章であるから,「ip20」の文字と「Einrichten」の文字は,分離して判断されるのが一般的である。
そして,本件商標中の「Einrichten」の文字は,「家具を取り付ける」「家具調度を調える」という意味を有するドイツ語の動詞(動名詞)であることから(甲3),当該文字を「家具」,特に「システム家具」に付して使用した場合には,単に「システム家具を組み立てる若しくはシステム家具を設置する(設備する,備え付ける,調える)」という効能,用途をドイツ語で普通に用いられる方法で表示しているに過ぎない。
加えて,本件商標は,「ip20」の文字がその冒頭に来ていること,日本においてドイツ語が可読な者はごく少なく,「Einrichten」部分は看者の目を惹かないと解されることからすると,本件商標の要部は,「ip20」の文字であるといえる。
したがって,本件商標は,「ip20」の文字が特に顕著であるために,当該文字によって簡略化される可能性があり,当該文字より(アイピーニジュウ)なる称呼が生じる。
(2)引用商標
引用商標は,「iP」の文字は黒線で縁取りした文字で表されており,「20」の数字は4重線を用いて横列に配してなるところ,これは,図形化され文字として「ip20」と認識しうるものである「アイピーニジュウ」の称呼が生じる。
そして,引用商標は,図形化したものであってもローマ字/数字が夫々一体化したものであることから,「ip20」の外観が生じる。
(3)本件商標と引用商標の類似について
以上よりすれば,本件商標と引用商標は,称呼類似及び外観類似であって,指定商品も互いに抵触するものであるので商標法4条第1項第11号に該当する商標であることは明らかである。
2 商標法4条第1項第15号の該当性について
(1)引用商標の周知性について
申立人は,引用商標をシステム家具に付して平成22年11月頃より使用開始し,引用商標をip20株式会社から平成23年4月21日に特定承継した(甲11及び甲14)。
申立人は,平成23年5月23日には「ip20展示ルーム住所池袋」を,平成25年5月17日には「ip20ショールーム」(東京都豊島区)をオープンした。
申立人は,引用商標をチラシ,雑誌等により広告,ニュースとして少なくとも本件商標の出願前より頒布し,登録商標出願前において少なくとも東京都区内で(ショールームの地域から)一般に広く知られている(甲7ないし甲10)。
また,ダイレクトメールやホームページ等より感触を得た見込み顧客者に対し,相談会のお知らせ等を2か月に1度程度,ゴールデンウィーク等のイベントシーズンに合わせて配布し,システム家具の商品の理解度を高めるとともに引用商標の周知化を図った(甲8)。
雑誌においては,申立人のニュースが,図案化された引用商標ではなく,文字商標としての「ip20」が表示された。
したがって,引用商標とともに,これに類似する「ip20」文字商標が建築設計及び住まいの分野で周知になっていることが疎明される。
また,申立人のシステム家具は1975年にドイツで開発されたものであるが,そのプランニングも含めて自社で製造開発されており,商標の並行輸入でないことも明らかである(甲9)。
(2)本件商標と引用商標との出所の混同について
引用商標は,本件商標の登録出願前において,少なくとも東京都区内で(ショールームの地域から)一般に広く知られている。そして,本件商標は,引用商標と指定商品が一致する前記特定のシステム家具に使用されている結果,その商品の需要者が申立人の業務に係る商品と出所について具体的に出所の混同が生じている。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に違反してなされたものである。

第4 当審の判断
1 商標法第4条第1号第11号の該当性について
(1)本件商標について
本件商標は,前記第1のとおり「ip20 Einrichten」の欧文字を標準文字で表してなるところ,その構成前半の「ip20」は,小文字の欧文字2文字と数字2字からなり,このような組み合わせは,一般的に商品の規格,型式又は品番を表すための記号,符号として商取引上類型的に採択使用されているところであるから,それ自体は,商品識別の機能を有しないか,若しくは極めてその機能の弱い部分といわなければならない。
また,本件商標の構成後半の「Einrichten」の欧文字は,「家具を取り付ける,家具調度を調える」などの意味を有するドイツ語であるが(甲3),当該語が我が国において広く知られているものとは認められず,これに接する取引者,需要者は,ドイツ語的な文字の配列の特徴を捉えて「アインリヒテン」と称呼し得るとしても,その意味を理解し,本件商標の指定商品との関係における識別力の関係にまで認識が及ぶとまではいい得ないものであるから,取引者,需要者は,当該欧文字を一種の造語と捉えて印象に残すものというべきである。
そうすると,本件商標は,その構成文字全体に相応して「アイピーニジュウアインリヒテン」の称呼を生ずるほか,「Einrichten」の部分から「アインリヒテン」の称呼をも生じるものである。
そして,本件商標は,その構成中の「ip20」の文字部分が,前記のとおり,商品識別の機能を有しないか,若しくは極めてその機能の弱い部分であり,当該文字部分のみをもって商取引あたるとは認められないことから,「アイピーニジュウ」の称呼を生ずるということはできない。
また,本件商標は,その構成文字全体として特定の意味を有するものとして知られていないことから,観念を生じないものと認める。
(2)引用商標について
引用商標は,別掲に示すとおり,細い直線の組み合わせにより表した「ip」の欧文字と4重線で「20」の数字を表した構成からなり,図案化されているものの「ip20」の文字を想起,連想させるものであるから,「アイピーニジュウ」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
(3)本件商標と引用商標との類否について
本件商標の外観と引用商標の外観とを対比すると,本件商標は,「ip20 Einrichten」の欧文字を標準文字で表しているのに対して,引用商標は,別掲のとおり「ip20」の文字を図案化して表されているから,両者は,外観上,十分区別することができ,互いに相紛れるおそれのない非類似の商標である。
本件商標から生ずる称呼「アイピーニジュウアインリヒテン」及び「アインリヒテン」と,引用商標から生ずる称呼「アイピーニジュウ」とを対比すると,両者は,構成音,音数ともに顕著な差異を有するから十分聴別することができ,称呼上において互いに相紛れるおそれのない非類似の商標である。
本件商標と引用商標とは,いずれも観念を生じないものであるから,観念においても類似するものということができない。
そうすると,本件商標は,引用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれの点においても非類似の商標というべきものである。
オ 小括
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 商標法第4条第1号第15号の該当性について
(1)引用商標の周知性について
申立人は,引用商標が本件商標の登録出願前から周知性を有する事実を証明するとして甲第7ないし第15号証を提出している。これらの甲各号証によれば以下の事実が認められる。
ア 申立人は,引用商標をip20株式会社から平成23年4月21日に特定承継した。
イ 甲第7号証の1ないし4は,チラシであり,細い直線を組み合わせにより表した「ip」の欧文字と,引用商標とは異なる3重線で表された「20」の数字からなる標章(別掲2のとおり。以下「申立人3重線商標」という。)が表示とともに,家具の写真及び商品の説明文中に「ip20」の記載がある。そして,申立人は,甲第7号証の1ないし4のチラシを枝番の順に,それぞれ2011年10月に約20000枚,同年9月に約700枚,同月に約700枚,同年7月に200枚発行し,甲第7号証の6の招待状を2013年5月に9980枚発行及び甲第8号証の1ないし11のダイレクトメールを枝番の順に,それぞれ2013年7月に約9300枚,同月に約6000枚,同年4月に約9100枚,同年3月に9160枚,同年3月に約9160枚,2012年12月に約9600枚,同年10月に約9700枚,同年7月に約9600枚,同年4月に約10000枚,2011年4月に約3000枚,同年11月に約10000枚及び同年5月に7800枚発送した旨,申立人会社代表者の平成26年1月22日付け「宣誓供述書」を提出している(甲10)。
ウ 甲第7号証の5ないし6は,2013年5月23日に目白ショールーム開店に伴う招待状であり,表紙及び案内の上部に引用商標の表示とともにショールームへの地図が掲載されている。加えて,これらのチラシのショールームや商品の説明文中に「ip20」の記載がある。
エ 甲第8号証の1ないし11は,2011年から2013年にかけて作成されたダイレクトメールであり,その表紙及び見出しに引用商標(一部は申立人3重線商標)の表示が認められ,ショールームへの案内及びイベントの開催の説明の文中に「ip20」の記載がある。
オ 甲第9号証の1ないし7は,2012年8月7日から2013年8月1日までにの間に発行された家具又は住宅建築の専門誌(7誌)であり,ショールームの紹介,システムオーダー家具の紹介文中に「ip20」の記載がある。
カ 以上よりすれば,申立人は,引用商標,申立人3重線商標及び「ip20」の文字からなる商標(以下,これらをまとめて「申立人使用商標」という。)を,商品「システムオーダー家具」並びに当該家具等のショールームを紹介するチラシ及びダイレクトメールに使用されていることが認められるものの,「ip20」の文字からなる商標は,引用商標及び申立人3重線商標と共に使用されており,その使用も,多くは説明文,紹介文等の文章中において使用されている事から,本来であれば図案化された引用商標及び申立人3重線商標を使用すべきところ,便宜的に文字に置き換えて使用したものと認められる。
また,申立人は,日本における2011年から2013年にかけて相当数のチラシ及びダイレクトメールを発行したと主張するとともに申立人会社代表者の「宣誓供述書」(甲10)を提出しているが,宣誓供述書は,宣誓した内容の真実性や正確性を証するわけではなく,当該チラシ及びダイレクトメールが相当部数発行又は発送されたとする客観的な裏付け資料はない。
しかも,申立人の申立人使用商標に係る商品について,我が国のおけるその販売の数量・地域・規模等の事実も一切不明である。
加えて,雑誌における広告については,2012年8月7日から2013年7月20日までの約1年間に1頁の8分の1から4分の1程度の広告を7回,行っているにすぎず,これをもっても,申立人使用商標が取引者,需要者に広く認識されているということはできない。
キ 以上よりすれば,請求人が提出した甲各号証によっては,申立人使用商標は,本件商標の登録出願時及び査定時に,我が国において,申立人の業務に係る商標として,需要者の間に広く認識されているものということはできない。
(2)出所の混同のおそれについて
申立人使用商標は,前記(1)キのとおり,需要者の間に広く認識されているものとはいえないものである。
しかも,本件商標と引用商標が非類似の商標であることは,前記1(3)のとおりであり,また,引用商標と申立人3重線商標とは,その構成中の「20」の数字に用いられる線の数が4重か3重かの違いにすぎないことから,本件商標と申立人3重線商標とは,本件商標と引用商標の場合と同様に非類似の商標というべきである。
加えて,本件商標と申立人の使用する「ip20」の文字の商標とは,本件商標が「Einrichten」の文字を有する点おいて,外観上,明確に差異を有するものである。さらに,称呼及び観念については,引用商標の場合と同様に非類似の商標というべきである。
そうすると,本件商標と申立人の使用する「ip20」の商標とは,外観,称呼及び観念のいずれの点においても,非類似の商標といわざるを得ない。
そのほか,申立人が提出する全証拠によっても,取引者,需要者が,本件商標と申立人使用商標とで具体的に出所の混同が生じるおそれがあると認めるに足りる証拠はない。
してみれば,本件商標をその指定商品に使用した場合,これに接する需要者が申立人使用商標を想起,連想して,当該商品を申立人の業務に係る商品,あるいは,同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように誤信するとは認められず,本件商標の出願時及び査定時において,商品の出所について混同するおそれがあるということはできない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(3)結論
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものでないから,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 別掲
1 引用商標(登録第2304077号商標)


2 申立人3重線商標


異議決定日 2015-05-21 
出願番号 商願2013-60954(T2013-60954) 
審決分類 T 1 651・ 262- Y (W20)
T 1 651・ 263- Y (W20)
T 1 651・ 261- Y (W20)
T 1 651・ 271- Y (W20)
最終処分 維持  
前審関与審査官 小田 明浦崎 直之 
特許庁審判長 田中 幸一
特許庁審判官 早川 文宏
前山 るり子
登録日 2014-06-27 
登録番号 商標登録第5681567号(T5681567) 
権利者 アイピー ディ アインリヒティング ゲーエムベーハー
商標の称呼 アイピイトゥエンティーアインリヒテン、アイピイニジューアインリヒテン、アイピイニゼロアインリヒテン、アインリヒテン、アイピイトゥエンティー、アイピイニジュー、アイピイニゼロ 
代理人 金井 重彦 
代理人 誠真IP特許業務法人 

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