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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W05 審判 全部申立て 登録を維持 W05 審判 全部申立て 登録を維持 W05 |
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管理番号 | 1304202 |
異議申立番号 | 異議2015-900003 |
総通号数 | 189 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2015-09-25 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2015-01-05 |
確定日 | 2015-07-31 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5708016号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5708016号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5708016号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成よりなり、平成26年7月23日に登録出願され、第5類「家庭用消臭剤」を指定商品として、同年9月12日に登録査定、同年10月3日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由として引用する国際登録第812237号商標は、「Treograft」の欧文字よりなり、2003年2月25日にGermanyにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張して、2003年(平成15年)8月25日に国際商標登録出願、第5類「Pharmaceutical preparations.」を指定商品として、平成16年4月1日に登録査定、同年9月24日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。 1 本件商標 本件商標は、濃緑色の横長矩形内に欧文字のありふれた態様で「DEOGRAFT」と白抜きで横書きしてなり、その構成から、「デオグラフト」の称呼が生じる。 2 引用商標 引用商標は、欧文字のありふれた態様で「Treograft」と横書きしてなり、その構成から、「トレオグラフト」の称呼が生じる。 3 本件商標と引用商標の類否について (1)外観について 本件商標は「DEOGRAFT」と書してなるところ、引用商標は「Treograft」と書してなるから、ともに欧文字のありふれた態様で横書きしてなるものである。また、本件商標と引用商標の構成文字は、「OGRAFT/ograft」が共通する。本件商標は8文字、引用商標は9文字でそれぞれ構成されるから、8もしくは9の少ない文字構成において、6文字が共通することになり、欧文字のありふれた態様で書してなることと相まって両商標は外観上類似する。 (2)称呼について 本件商標からは「デオグラフト」の6音の称呼が生じるところ、引用商標からは「トレオグラフト」との7音の称呼が生じる。すなわち、本件商標の称呼と引用商標の称呼は「オグラフト」が共通するから、6音もしくは7音の比較的短い音構成において、5音もの音が共通する。ここで、相違する「デ」と「トレ」の部分を比較すると、「デ」と「ト」はともにタ行の弱音であって、また、「ト」に続く「レ」は前音に吸収され更に弱く発音される。そうすると、本願商標と引用商標を一気呵成に発音した場合、弱く発音される「デ」及び「トレ」の部分よりも、これに続く「オグラフト」がはっきり発音される。 また、下記に述べるように本件商標及び引用商標はともに造語であり、特に、商標の構成文字中の「DEO」、「TREO」は成語ではなく何の意味合いも生じない。一方、「GRAFT/graft」の綴りは、園芸用語の接ぎ穂、接ぎ枝、接ぎ芽、外科用語の移植片、移植(甲第3号証)などを意味する語を構成し、この語が日本において一般に広く理解される語ではなく、これに接した者がこの語から特定の意味合いを想起することはないにせよ、「グラフト」との音を聞いた者は、何らかの意味合いを有する既存の語である、馴染のある音であると理解し、「グラフト」の音感の簡潔さ、小気味よさと相まって、「グラフト」の音に注意を惹かれる。すなわち、本件商標及び引用商標の称呼にあっては、「デオ」及び「トレオ」の音は弱いのに対し、「グラフト」がはっきり発音され強い印象をあたえるから、「デオ」、「トレオ」よりも「グラフト」に重きをおいて称呼の類否を判断すべきである。 また、本件商標と引用商標からは特定の意味合いが生じないことから、両商標の称呼は観念と結びついて記憶されることがなく、称呼がそのまま記憶されるから、称呼の共通音がそのまま称呼の類否に影響する。 すなわち、本件商標と引用商標の称呼は、6音もしくは7音の称呼のうち5音が共通し、さらに、共通する5音のうち4音は「グラフト」という称呼の印象を強く支配する音であるから、両商標は称呼上類似する。 (3)観念について 上述のとおり、本件商標と引用商標はともに特定の観念を生じさせることのない造語である。したがって、本件商標と引用商標の観念は比較の対象となるものではない。 (4)以上より、本件商標と引用商標とは、外観上、称呼上、互いに類似する商標である。 4 商品の類否について 本件商標の指定商品は第5類「家庭用消臭剤」であるところ、引用商標の指定商品は第5類「Pharmaceutical preparations.」であり、ともに類似群コードが共通する(01B01)。よって、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品は互いに類似の商品である。 5 まとめ これまで見てきたとおり、本件商標と引用商標とは互いに類似の商標であって、同一又は類似の商品について使用される商標である。したがって、本件商標は、先に出願され登録を受けた引用商標との関係で、商標法第4条第1項第11号に該当するから、本件商標についての登録は取り消されるべきである。 第4 当審の判断 1 本件商標について 本件商標は、別掲に示すとおり、濃緑色に着色された横長矩形内に「DEOGRAFT」の欧文字を白抜きで表してなるものであり、構成文字に相応して「デオグラフト」の称呼が生じるものである。そして、この欧文字は、辞書等に掲載されている文字ではないから、これからは特定の観念は生じないものである。 2 引用商標について 引用商標は、「Treograft」の欧文字よりなるものであり、構成文字に相応して「トレオグラフト」の称呼が生じるものである。そして、この欧文字は、辞書等に掲載されている文字ではないから、これからは特定の観念は生じないものである。 3 本件商標と引用商標との類否について (1)外観について 本件商標と引用商標は、上記1及び2の構成からなるところ、商標の外観を観察する上で、語頭の文字部分は重要な要素というべきであり、両者は、それぞれの語頭の文字部分において、「D」と「Tr」の文字という顕著な差異を有するから、十分に区別できるものである。 (2)称呼について 次に称呼について検討すると、本件商標からは「デオグラフト」の称呼が生じ、引用商標からは「トレオグラフト」の称呼が生じるところ、両者は、前者は6音、後者は7音と音構成を異にし、かつ、称呼上重要な位置を占める語頭部において「デ」と「トレ」の音という、顕著な差異を有するから、その差異が両者の称呼全体に及ぼす影響は決して少なくなく、両商標をそれぞれ一連に称呼するときは、語調、語感が相違し、相紛れるおそれはないものである。 (3)観念について さらに、本件商標と引用商標は、いずれも特定の観念を生じないから、両者は観念においても相紛れるおそれはない。 (4)類否判断 してみれば、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれからみても相紛れるおそれはなく、類似する商標ということはできない。 4 まとめ 以上のとおり、本件商標と引用商標は、類似する商標ではないから、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当しない。 したがって、本件の登録は、商標法第43条の3第4項に基づき、維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲 本件商標(色彩は原本参照) |
異議決定日 | 2015-07-23 |
出願番号 | 商願2014-61635(T2014-61635) |
審決分類 |
T
1
651・
263-
Y
(W05)
T 1 651・ 261- Y (W05) T 1 651・ 262- Y (W05) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 海老名 友子 |
特許庁審判長 |
土井 敬子 |
特許庁審判官 |
原田 信彦 大森 健司 |
登録日 | 2014-10-03 |
登録番号 | 商標登録第5708016号(T5708016) |
権利者 | 株式会社アイテム |
商標の称呼 | デオグラフト |
代理人 | 特許業務法人川口國際特許事務所 |