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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W43 |
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管理番号 | 1303158 |
異議申立番号 | 異議2014-900297 |
総通号数 | 188 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2015-08-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2014-10-10 |
確定日 | 2015-07-02 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5684747号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5684747号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5684747号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲のとおりの構成からなり,平成26年1月23日に登録出願され,第43類「飲食物の提供」を指定役務として,同年5月26日に登録査定,同年7月11日に設定登録されたものである。 2 登録異議の申立ての理由 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,本件商標は商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第26号証(枝番号を含む。)を提出した。 (1)商標法第4条第1項第15号の該当性について ア DMC社について 申立人が代表取締役を務めるイタリアの企業「D.M.C.srl」(以下「DMC社」という。)は,「MANUEL」商標(以下「引用商標」という。)を使用して,主にコーヒーのほか,茶,ココア等を販売し,カフェテリアでの飲食物の提供を行っている(甲2)。 イ DMC社所有の商標 DMC社は,「MANUEL」商標を多数所有している(甲3,甲13)。我が国には,国際登録第1143969号について日本を事後指定する手続が行われた(甲14)。 ウ DMC社の引用商標の使用について DMC社は,20年以上前から現在まで継続して,雑誌広告(甲15),カタログ(甲16),ポスター(甲16の2),コーヒーの商品パッケージ(甲17),カップ,グラスなどの飲食関連の製品・その他の製品(甲16の2)に引用商標を使用し,また,カップ,グラス,皿,従業員の制服,看板など引用商標を付した物を用いてカフェテリアでの飲食物を提供している(甲16の2)。 また,DMC社は,引用商標を使用した事業に関し積極的に海外展開をしている(甲18?甲26)。アジアでは,「Manuel caffe」(韓国:甲21,甲22、台湾:甲23,甲24、中国:甲25)で事業展開されており,我が国においてもコーヒーなどの商品の取引がある(甲26)。 エ 本件商標と引用商標との対比 (ア)本件商標の構成は「Manuel」の文字を有する商標である。 (イ)引用商標の構成は「MANUEL」の欧文字を構成中に含む商標である。 (ウ)本件商標と引用商標の類否 本件商標は,「Manuel」の文字に相応して「マニュエル」の称呼を生じる。 これに対し,引用商標も「MANUEL」の文字に相応して「マニュエル」の称呼を生じる。したがって,両者は称呼を共通にする類似の商標というのが相当である。 オ 出所混同のおそれ 本件商標の指定役務「飲食物の提供」は,DMC社が行う業務に係る「カフェテリアにおける飲食物の提供」と同一又は類似の役務であり,DMC社が行う業務に係る商品「コーヒー」と密接に関連するものである。したがって,本件商標が本件商標の指定役務に使用された場合,一般的な日本人の消費者は,本件商標の「Manuel」は,DMC社の業務に係るコーヒーやカフェテリアにおける飲食物の提供と関係があるものと認識し,両商標を同一事業主体もしくは経済的又は組織的に何らかの関係のある者による役務と判断されるおそれのあるものである。 このように,商標権者がDMC社と経済的又は組織的に何らかの関係がある者であるとの誤認を生じるおそれがあることから,商品又は役務の需要者が商品又は役務の出所について出所の混同を生じるおそれは極めて大きいといわざるを得ない。 カ 結論 したがって,DMC社の引用商標は,DMC社の業務に係る商品「コーヒー」および役務「カフェテリアにおける飲食物の提供」を表示するものとして広く一般に知られており,これと類似する本件商標がその指定役務に使用された場合,商標の出所について混同を生ずるおそれがあるから,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。 (2)むすび 上述のように,本件商標は,商標法第4項第1項第15号に違反して登録されたものであるから,その登録は,取り消されるべきである。 3 当審の判断 (1)引用商標の周知性について ア 申立人提出の証拠及び同人の主張によれば,次の事実を認めることができる。 (ア)申立人が引用商標とする「MANUEL」の文字からなる標章は,イタリアの企業である「DMC社」が使用して,主にコーヒーのほか,茶,ココア等を販売し,カフェテリアでの飲食物の提供を行っている。 (イ)甲第15号証は,広告がされたイタリアの雑誌(訳文なし)とされるものである。 甲第16号証は,外国語で作成されたDMC社のカタログ(訳文なし)とされるものである。 甲第17号証は,コーヒーの包装の写真とされるものである。 甲第18号証は,「Manuel caffe の諸外国及びイタリアでの展開状況」とされる資料である。 甲第19号証,甲第22号証及び甲第24号証は,外国語のウェブページ(訳文なし)である。 甲第21号証,甲第23号証,甲第25号証及び甲第26号証は,外国語のインボイス(訳文なし)である。 甲第3号証?甲第14号証(訳文なし)は,申立人に係る商標登録等に関するものである。 イ 上記アの事実からすれば,我が国において,申立人の引用商標が使用された商品「コーヒー,茶,ココア」等が販売されていること,また,「カフェテリアにおける飲食物の提供」が行われていることの事実は認められないものであり,また,海外において,その商品及び役務についても,数少ない海外の雑誌や裏付けのない資料が提出されているのみであって,売上高,販売額,シェア,宣伝広告費,宣伝地域等も明らかにされていない。 してみれば,引用商標は,申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして,本件商標の指定役務の需要者の間で広く認識されているものと認めることはできない。 (2)本件商標と引用商標の類似性について 本件商標は,左を向いた鶏と思しき図形とその下に「男性名」を意味する「Manuel」の欧文字を書してなるところ,その図形部分と文字部分とが,常に一体不可分のものとしてのみ認識,把握されなければならない特段の事情を見いだし得ないものであることから,文字部分も,独立して自他役務の識別標識としての機能を果たすものというのが相当である。 そうすると,本件商標の「Manuel」の文字部分と引用商標の「MANUEL」の欧文字とは,その構成文字の綴りを同じくするものであるから,外観において近似した印象を与え,また,両商標は,これらから生じる「マニュエル」の称呼,及び「マニュエルという男性名」程の観念を同一にするものである。 そうとすれば,本件商標と引用商標とは,外観において近似し,称呼及び観念を同一にする類似の商標と認められる。 (3)出所の混同のおそれについて, 本件商標と引用商標は,類似の商標であるといえるものであるが,上記(1)のとおり,引用商標は,申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして,本件商標の指定役務の需要者の間で広く認識されているものとはいえないことから,本件商標は,商標権者がこれをその指定役務に使用しても,これに接する取引者,需要者をして,引用商標を連想又は想起させるものとは認められず,その役務が申立人又は申立人と経済的,組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのごとく,その役務の出所について混同を生じさせるおそれはないものというべきである。 (4)まとめ 以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第15号に違反してされたものではないから,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきである。 よって,結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲 本件商標(色彩については原本参照。) |
異議決定日 | 2015-06-23 |
出願番号 | 商願2014-4290(T2014-4290) |
審決分類 |
T
1
651・
271-
Y
(W43)
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最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 海老名 友子 |
特許庁審判長 |
金子 尚人 |
特許庁審判官 |
榎本 政実 井出 英一郎 |
登録日 | 2014-07-11 |
登録番号 | 商標登録第5684747号(T5684747) |
権利者 | 株式会社PJ Partners |
商標の称呼 | マヌエル |
代理人 | 吉川 俊雄 |