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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W09
管理番号 1303156 
異議申立番号 異議2014-900240 
総通号数 188 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2015-08-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2014-09-01 
確定日 2015-07-03 
異議申立件数
事件の表示 登録第5673589号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5673589号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5673589号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(A)のとおりの構成からなり、第9類「電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気通信機械器具,電子計算機用プログラム(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるものを含む。),その他の電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極」を指定商品として、平成24年9月3日に登録出願された商願2012-71019に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、同25年3月13日に登録出願され、同26年5月13日に登録査定、同月30日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標の登録はその指定商品中の「電線及びケーブル」について商標法第43条の2の規定により取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第16号証を提出した。
(1)申立人
申立人は、フランスの総合電線メーカーで、その主力製品は、電力ケーブル及び光通信ケーブルであり、世界第2位を誇る世界の大手電線メーカーである(甲3?5)。申立人は、電線業界において、国内はもちろんのこと、世界的に広く知られた企業である。
(2)引用商標
ア 申立人が引用する申立人の使用商標は、「Nexans」の欧文字を横書きしてなる商標(以下「引用商標1」という。)、「NEXANS」の欧文字を横書きしてなる商標(以下「引用商標2」という。)及び別掲(B)のとおりの構成からなる商標(以下「引用商標3」という。)であり(これらを一括していう場合には、以下「引用商標」という。)、これらは、いずれも申立人が商品「電線及びケーブル」に使用しているものである。
イ 引用商標は、申立人のハウスマークであり、本件商標の登録出願時及び登録査定時には、電線及びケーブルの取引者及び需要者において、総合電線、ケーブルに関し、日本を含む世界中において広く知られた著名なものである(甲2?11)。
ウ 申立人のハウスマークである引用商標及びそれを含む商標は、国内外の多数の国において商標登録を有する(甲6,7)。
(3)本件商標の商標権者
本件商標の商標権者は、本件商標と共通する商標「NEXUS」について昭和58年3月28日に商標登録を受けており(甲12)、指定商品には「電線及びケーブル」を含んでいるが、同商標を用いて複数の事業を展開しているものの、「電線及びケーブル」の分野の事業は行っていない(甲5,13?16)。
(4)本件商標と引用商標との混同のおそれ
本件商標からは「ネクサス」の称呼が生じる一方で、引用商標からは「ネクサンス」という称呼が生じ、撥音「ン」の音の有無においての称呼が異なるが、互いに相紛らわしい商標である。このため、本件商標を電線及びケーブルに使用する場合には、これに接する取引者及び需要者は、電線及びケーブルについて世界的に周知著名となっている引用商標を連想、想起し、これらの商品が申立人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生じるおそれがある。
(5)結び
以上のとおり、本件商標の登録は、その指定商品中の「電線及びケーブル」について、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものであるから、取り消されるべきものである。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、別掲(A)のとおり、5文字の欧文字からなるところ、第2文字を除く他の構成文字は大文字で書されているが、第2文字は色彩を有し図案化された欧文字の小文字「e」が書されたものであって、第2文字が色彩を有し図案化されているため、取引者、需要者に強い印象を与えるものである。そして、構成全体は「NeXUS」の欧文字の綴り字からなるものと認識されるが、「nexus」の文字は、例えば広辞苑第六版の「ネクサス(nexus)」の項には「(デンマーク英語学者・言語学者)イェスペルセンの用語。意味的に主語と述語の関係にあると見なされる語の連続。」を意味する語として掲載されているが、我が国においてこのような意味を有する語として広く知られているとは認められないから、本件商標は、一般的には特定の意味を有しない造語として認識されると見るのが相当であり、「ネクサス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標
引用商標は、前記2(2)アのとおり、引用商標3が別掲(B)のとおり、第1文字がデザイン化されているが欧文字の大文字「N」と認識され、構成全体として「Nexans」の欧文字の綴り字からなるものと認識されるのであるほか、引用商標1が「Nexans」の欧文字及び引用商標2が「NEXANS」の欧文字からなるところ、大文字と小文字の相違があるが、いずれも「nexans」の6文字の綴り字よりなるものであり、該文字は辞書等に載録された既成語であるとは認められないから、引用商標は、特定の意味を有しない造語であると認識されるというべきものであり、その構成文字に相応して「ネクサンス」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
ウ 本件商標と引用商標との類似性の程度
本件商標と引用商標との外観を対比すると、両者は、5文字又は6文字の比較的短い文字数で構成され、そのうち冒頭の「nex」及び末尾の「s」の綴りを共通にするが、中間において「u」と「an」の綴りが相違すること及び本件商標の第2文字が色彩を有し図案化され強い印象力与えることの差異点を有するものであるから、外観上、十分区別し得ることができるものである。
次に、本件商標から生ずる称呼「ネクサス」と引用商標から生ずる称呼「ネクサンス」とを対比すると、両者は、4音又は5音の比較的短い音数で構成され、第4音を除き他の構成音を共通にするが、第4音において「ン」の音の有無の差異があり、本件商標は全体が平板に発音されるのに対し、引用商標は口を開かずに発せられる弱音「ン」に続き声帯が振動せずに発せられる弱音「ス」の音で構成されているため、「ネク」の音が平板に発せられた後「サ」の音が強く発音され、続けて弱音の「ン」及び「ス」が発音されることから、両称呼は、語韻、語調が異なったものとなり、称呼上において十分に聴別し得るものである。
そして、本件商標と引用商標とは、いずれも特定の観念を生じないから、観念上、比較することはできない。
以上を総合すると、本件商標と引用商標とは、観念上、比較することができないとしても、外観上及び称呼上において十分に区別、聴別できるものであるから、非類似の商標であるというべきものである。
エ 引用商標の周知性
本号を適用するための引用商標の周知性は、引用商標が我が国において周知性を有しなければならず、外国においてのみ周知性を有するものでは足りないところ、甲各号証によっては、我が国における引用商標の使用態様及び使用商品、引用商標の使用期間、使用場所、使用数量、引用商標の広告状況、引用商標を使用した商品の市場占有率などについて立証するところがなく、引用商標が我が国において本件商標の登録出願時及び登録査定時に周知性を有していたとは認めることができない。
オ 小括
本件商標と引用商標とは、上記ウのとおり、非類似の商標というべきものである。
さらに、引用商標は、上記エのとおり、我が国における周知性を認めることはできないものである。
そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品のうちの「電線及びケーブル」について使用しても、これに接する取引者、需要者が、該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように連想、想起することはなく、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(2)まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、その指定商品のうちの「電線及びケーブル」について商標法第4条第1項第15号に違反してされたものではないから、商標法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
(A)本件商標

(色彩については、原本を参照のこと。)

(B)引用商標3


異議決定日 2015-06-25 
出願番号 商願2013-17993(T2013-17993) 
審決分類 T 1 652・ 271- Y (W09)
最終処分 維持  
前審関与審査官 久保田 正文中島 光 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 手塚 義明
酒井 福造
登録日 2014-05-30 
登録番号 商標登録第5673589号(T5673589) 
権利者 富士フイルム株式会社
商標の称呼 ネクサス、ネキサス 
代理人 井関 勝守 

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