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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
不服20151112 審決 商標
不服201426859 審決 商標
不服201426248 審決 商標
不服20152513 審決 商標
不服20152591 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W22
管理番号 1303007 
審判番号 不服2013-5161 
総通号数 188 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-08-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-03-18 
確定日 2015-06-18 
事件の表示 商願2012- 22094拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「グリーンネット」の文字を標準文字で表してなり、第22類「荷役用網(金属製のものを除く),荷役用の荷崩れ防止網(金属製のものを除く)」を指定商品として、平成24年3月22日に登録出願され、その後、指定商品については、原審における同年8月25日付け及び当審における同25年3月18日付けの手続補正書をもって、最終的に第22類「搬送用台車又はパレットに搭載されて搬送される荷物の荷崩れを防止する繰り返し使用可能な梱包用袋網状部材(金属製のものを除く)」と補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、色彩を表す『グリーン』の文字と、『網』の意味を表す『ネット』の文字とを一連に標準文字で『グリーンネット』と表示してなるところ、近時、『グリーン』の文字は、結合する文字によって『環境に配慮した』『環境に優しい』などの意を表す語として用いられている場合があることは認められるとしても、網の中でも特に緑色の網は多数販売され、一般に使用されている実情が見受けられるので、『ネット』の文字と結合させた本願商標は、全体として『緑色の網』程度の意味合いを極めて容易に認識させるといわざるを得ない。そうすると、本願商標を補正後の指定商品『台車又はパレット等に搭載されて搬送される荷物の荷崩れを防止する繰り返し使用可能な網(金属製のものを除く)』中、上記に照応する網状の商品に使用しても、単に商品の品質・色彩・形状を表示するにすぎず、自他商品識別標識としての機能を果たすことができない商標と認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号の意義
商標法3条1項3号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くとされているのは、このような商標は、商品の産地、販売地その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示としてなんぴともその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解される(最高裁昭和54年4月10日第三小法廷判決・裁判集民事126号507頁〔判例時報927号233頁〕参照)。

2 本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性について
(1)本願商標について
ア 本願商標は、前記第1のとおり、「グリーンネット」の文字を標準文字で一連に表してなり、その指定商品を第22類「搬送用台車又はパレットに搭載されて搬送される荷物の荷崩れを防止する繰り返し使用可能な梱包用袋網状部材(金属製のものを除く)」とするものである。当該指定商品は、荷物を搬送する際に、その荷崩れを防止するために使用される袋状の網を主とする商品(甲1ないし甲3)であって、「荷役用網(金属製のものを除く)」の一であるから、その需要者は、製造・販売業者や物流業者にとどまらず、社内物流等で荷物運びをする一般の需要者も広く含まれるものである。
イ 本願商標は、「グリーン」の語と「ネット」の語とを結合した商標であることは直ちに理解できるところ、「グリーン」が「緑。緑色。」及び「ネット」が「網」の意味をそれぞれ有する平易な外来語(広辞苑第6版)であることは広く知られているから、その指定商品との関係では、商標全体から「緑色の網」程度の意味合いを容易に認識させるものであるといえる。
この点につき、請求人は、本願指定商品に係る取引者・需要者の間では、商品たる荷物の梱包用部材に対して「グリーンネット」の文言を「緑色の網」という意味合いで使用されている実情は見受けられない一方、「グリーン」は「環境」の意を表す文言として広く認識されているのが実情(甲13ないし甲25)であるから、元来、荷物の梱包用部材に対して「環境」や「コスト」に対する強い意識を有している当該取引者・需要者である事業者は、「グリーン」を「環境」の意を表す文言として認識する下地があるため、本願商標を「環境やコストに配慮した荷崩れを防止するための梱包用の網状部材」程度の意味合いを表す造語であると観念する旨主張する。
確かに、請求人が提出する証拠以外にも、前掲広辞苑には、「グリーン」について、語義の第1に「緑。緑色。」との記載があるほか、語義の第4に「自然環境の保護に関する意を表す。」との記載があることからすれば、「グリーン」が「環境に配慮した」といった意味合いを表す言葉として認識される場合があることを否定するものではない。しかし、そうであるからといって、請求人が提出する全証拠によっても、「グリーンネット」と表された「グリーン」部分から、誰もがよく知っている「緑。緑色。」との意味を認識させないほどに、「環境に配慮した」との意味合いで理解されているものであるとまでは到底認めることはできないから、本願商標全体からは、「緑色の網」程度の意味合いも優に認識させるものであるといわなければならない。
したがって、請求人の主張は採用できない。
ウ そうすると、本願商標の自他商品識別力を判断するに当たっては、本願指定商品が、荷物を搬送する際に、その荷崩れを防止するために使用される袋状の網を主とする商品であって、「荷役用網(金属製のものを除く)」の一であること、そして、その需要者は、製造・販売業者や物流業者にとどまらず、社内物流等で荷物運びをする一般の需要者も広く含まれることを前提にして行うのが相当である。
(2)事実認定
ア 「グリーンネット」について
(ア)原審における平成24年7月27日付け拒絶理由通知書の参考情報で示された「株式会社ユタカメイク」のウェブサイトには、商品名「万能ネット」の見出しの下、「緑色の網」の商品写真が掲載されている。そして、当該商品の色については、「グリーン」との記載がある(http://www.yutakamake.co.jp/syohin/app/products_catalog3.aspx?bunruiLCode=A&bunruiMCode=A6500&bunruiSCode=A6505)。
さらに、当該「万能ネット」ついては、上記拒絶理通知書の参考情報以外にも、「マツカメ Shopping」のウェブサイトにおいて、「ゴミカバーネット 万能ネット 大型2m×2m 軽くて耐候性に優れたネット 作業用ネット(中略)グリーンネット」との記載、「荷崩れ防止ネット 万能ネット 2m×2m 網の目合:約25mm」との記載及び「■商品詳細」の項に「●色:グリーン」との記載があるとともに、同様の商品写真が掲載されている(http://store.ponparemall.com/matsucame/goods/tsu4797/)。
(イ)同じく、原審における参考情報には、「農業屋」のウェブサイトにおいて、「多目的ネット グリーンネット」の見出しの下、「特徴」の項に「防獣、防鳥、その他ボールの飛び出し防止用など、いろいろ使える多目的用ネットです。」との記載があるとともに、当該商品(緑色の網)の写真が掲載されている(http://www.nogyoya.com/html/products/detail.php?product_id=4862)。
(ウ)前記拒絶理通知書の参考情報以外にも、「三友産業株式会社」のウェブサイトにおいて、「ネット WEB CATALOG」の見出しの下、「【ネット】/☆グリーンネット/特長:耐水性があるネットで、有結束です。集球、荷崩れ防止、鳥獣除けなどにご使用頂けます。」との記載とともに、当該商品(緑色の網)の写真が掲載されている(http://www.sanyu-sangyo.com/item05/item05-1.html)。
イ 「荷役用網(金属製のものを除く)」について
(ア)平成26年12月3日付け審尋の項番4で示した「トラスコ中山株式会社」のウェブサイトにおいて、「WEEGO用荷崩れ防止ネット」の見出しの下、「仕様」の項に「●カラー:グレー」との記載がある(http://www.trusco.co.jp/protool/CatalogDetail.do;jsessionid=9B40726C21BDBADC7EE72A12423887D2?spcode=WEENET++++++++++++++++++++++++3100)。
(イ)同じく、同審尋の項番9で示した「楽天ICHIBA」が運営する「パックメイト(山岸株式会社)」のウェブサイトにおいて、「TRUSCO 台車用荷崩れ防止ネット ホーミータイ 1200×600 ブラック HMT-60」の見出しの下、「▼特長:/●荷物の形に合わせて柔軟にフィットする『きんちゃくタイプ』の荷崩れ防止ネットです。」との記載及び「仕様」の項に「●カラー:ブラック」との記載がある(なお、審尋時のURLは、http://item.rakuten.co.jp/pack-mate/6-0026/であったが、現在は、http://item.rakuten.co.jp/pack-mate/6-00-010/)。
(ウ)前記以外にも、「楽天ICHIBA」が運営する「OSショップ楽天市場店」のウェブサイトにおいて、「トラスコ 荷押え用ネット TN110-3636」の見出しの下、【仕様】の項に「●色:グリーン」及び【用途】の項に「●バラ荷の荷押え、シートの押え、パレットの積荷押え。」等の記載がある(http://item.rakuten.co.jp/osc-rshop/trusco-tn110-3654/#trusco-tn110-3654)。
ウ 小括
前記アによれば、商品「荷役用網(金属製のものを除く)」を取り扱う業界では、緑色の同商品を「グリーンネット」と称している事実があること、また、前記イによれば、同商品については、その商品の仕様を表記する際に、商品(網)の色が何色であるかといったことも表記していることが認められる。
(3)判断
前記(2)によれば、色彩を表す語として親しまれている「グリーン」と、網を表す語である「ネット」とを結合してなる本願商標を、その指定商品、すなわち「荷役用網(金属製のものを除く)」の一と認められる「搬送用台車又はパレットに搭載されて搬送される荷物の荷崩れを防止する繰り返し使用可能な梱包用袋網状部材(金属製のものを除く)」に使用する場合には、これに接する取引者・需要者(一般の需要者を含む。)は、当該商品について「緑色の網」程度の意味合いを極めて容易に認識するというべきである。
このように、本願商標は、商品の品質を表示するものとして認識される蓋然性が高く、自他商品識別力を有しない。
また、前記(2)アのとおり、「グリーンネット」の語は、本願指定商品を含む「荷役用網(金属製のものを除く)」を製造・販売する者が、当該商品の内容を適切に表現するために用いようとするものであるから、これを特定人に独占させることは公益上適当でないものというべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
3 むすび
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2015-04-14 
結審通知日 2015-04-21 
審決日 2015-05-07 
出願番号 商願2012-22094(T2012-22094) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W22)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 浜岸 愛 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 田村 正明
前山 るり子
商標の称呼 グリーンネット 
代理人 原 信海 

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