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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服201424820 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 観念類似 登録しない W30
審判 査定不服 称呼類似 登録しない W30
審判 査定不服 外観類似 登録しない W30
管理番号 1302995 
審判番号 不服2014-24972 
総通号数 188 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-08-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-12-05 
確定日 2015-06-12 
事件の表示 商願2014-8015拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「子宝カステラ」の文字を縦書きで書してなり、第30類「カステラ」を指定商品として、平成26年2月5日に登録出願されたものである。

2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第5474654号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成23年5月16日に登録出願、第30類「菓子及びパン」を指定商品として、同24年3月2日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号に係る商標の類否について
商標法第4条第1項第11号に係る商標の類否は、同一又は類似の商品又は役務に使用された商標が、その外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して、その商品又は役務に係る取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すべきものであり、複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるものについて、商標の構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは、その部分が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合などを除き、許されないというべきである(最高裁平成19年(行ヒ)第223号 同20年9月8日第二小法廷判決)。
(2)本願商標について
そこで、これを本願商標についてみると、本願商標は、前記1のとおり、「子宝カステラ」の文字を縦書きで書してなるところ、その構成中「カステラ」の文字部分は、本願商標の指定商品を表す普通名称であるから、出所識別標識としての称呼、観念が生じないものと判断するのが相当である。
してみると、本願商標は、「子宝」の文字部分が独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものであって、該文字部分をもって取引に資されることも決して少なくないと判断するのが相当である。
そうすると、本願商標は、「子宝」の文字部分に相応して「コダカラ」の称呼を生じ、「大切な宝である子供」(株式会社三省堂「大辞林第三版」)の観念を生じるものである。
(3)引用商標について
引用商標は、前記2のとおり、黒色の矩形内の中央に「子宝」の文字を横書きで表し、その左側におくるみに包まれた子供の図形(以下「子供の図形部分」という。)を配してなるところ、その構成中、「子宝」の文字部分は、視覚上子供の図形部分とは分離し、中央に顕著に表されており、取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであるから、該文字部分をもって取引に資されることも少なくないと判断するのが相当である。
してみると、引用商標は、「子宝」の文字部分に相応して「コダカラ」の称呼を生じ、「大切な宝である子供」の観念を生じるものである。
(4)類否判断について
ア 本願商標と引用商標は、前記1及び2の構成よりなるものであるから、その全体の外観は相違するが、本願商標の構成中、自他商品の識別標識としての機能を有する「子宝」の文字部分と引用商標の文字部分とを比較すると、両者は、縦書きと横書きの差異はあるものの、「子宝」という同一の文字で構成されているから、外観が類似するといえるものである。また、両者は、「コダカラ」の称呼及び「大切な宝である子供」の観念において同一である。
そうすると、本願商標と引用商標は、全体の外観において相違するものの、「子宝」の文字部分において外観が類似し、称呼及び観念を同一にするものであるから、これらを総合的に勘案すれば、互いに類似の商標というべきである。
イ 本願商標の指定商品と引用商標の指定商品は、前記1及び2のとおりであるところ、引用商標の指定商品には本願商標の指定商品が含まれている。
ウ したがって、本願商標は、引用商標と類似する商標であり、かつ、本願商標の指定商品と引用商標の指定商品が同一又は類似のものといえるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(5)請求人の主張について
請求人は、商品「カステラ」においては、一般に「何某かすてら(かすていら)」と呼ばれる商品が数多く流通し、取引の実際においても一部を抽出して称呼されることは全くなく、本願商標は、発売以来「コダカラカステラ」と一気一連に称呼されて使用されていること、本願商標の意図する「子宝」は「出生後の子宝」であり、引用商標の意図する「子宝」は「懐妊祈願の子宝」であり、同じ語であってもその意味及び使われ方は大きく異なること、引用商標の指定商品は富山県の温泉旅館の土産品であると想定され、本願商標の指定商品は東京都の東京水天宮の近くの料亭で販売している商品であることを理由として、本願商標と引用商標は、出所の混同を生じる可能性はなく、互いに紛らわしいとはいえない旨を主張している。
しかしながら、引用商標の使用の実態が不明である上、請求人が本願商標を使用している事実、本願商標の構成全体をもって、一般の取引者、需要者が本願商標を認識しているといえるような取引の実情も把握することができないから、その前提を欠くものである。そして、本願商標は、前記(2)のとおり、「子宝」の文字部分をもって取引に資されることも少なくないというのが相当である。
さらに、請求人は、参考として登録例を挙げているが、登録出願に係る商標が商標登録の要件を具備しているか否かは、当該商標の構成態様と、指定商品の取引の実情等に基づいて、個別具体的に判断されるものであって、他の登録例の存在によって、上記判断が左右されるものではない。
したがって、請求人の主張を採用することはできない。
(6)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲 引用商標


審理終結日 2015-03-31 
結審通知日 2015-04-02 
審決日 2015-04-30 
出願番号 商願2014-8015(T2014-8015) 
審決分類 T 1 8・ 262- Z (W30)
T 1 8・ 261- Z (W30)
T 1 8・ 263- Z (W30)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 藤田 和美 
特許庁審判長 土井 敬子
特許庁審判官 梶原 良子
大橋 洋子
商標の称呼 コダカラカステラ、コダカラ 
代理人 駒津 啓佑 

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