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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W0925
審判 全部申立て  登録を維持 W0925
審判 全部申立て  登録を維持 W0925
審判 全部申立て  登録を維持 W0925
審判 全部申立て  登録を維持 W0925
審判 全部申立て  登録を維持 W0925
審判 全部申立て  登録を維持 W0925
管理番号 1301770 
異議申立番号 異議2014-900180 
総通号数 187 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2015-07-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2014-06-20 
確定日 2015-06-19 
異議申立件数
事件の表示 登録第5657327号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5657327号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5657327号商標(以下「本件商標」という。)は、「SPDO」の欧文字を標準文字により表してなり、平成25年4月16日に登録出願され、第9類「水中眼鏡,サングラス,眼鏡用フレーム,水泳用鼻クリップ,潜水用鼻クリップ,水中マスク,水泳用耳栓,潜水用耳栓,救命用両わき浮袋,救命用ゴム浮標(水泳用),救命用浮標(水泳用),救命浮標,救命艇,救命用ベスト(水泳用),救命胴衣,運動用保護ヘルメット,眼鏡用ひも,眼鏡用鎖,運動用ゴーグル,眼鏡ケース,潜水用手袋,潜水用機械器具,救命用ベルト,ライフセーバー用ベルト,水泳用呼吸装置,潜水用呼吸装置,救命網,救命用具,眼鏡,スキー用眼鏡,フェンシング用眼鏡,バスケットボール用眼鏡,ラケットボール用保護眼鏡,スカッシュ用保護眼鏡,火器用照準望遠鏡,サイクリング用保護ヘルメット,救命用浮袋,トランシーバー,コンパクトディスク再生装置,MP3形式の音声再生装置,MP3形式の音声再生装置収納用ケース,電話機,イヤホン,音声スピーカー,バッテリーチャージャー,データ記録媒体,録音装置,音声および画像その他データの転送および再生装置,潜水服」及び25類「ボディースーツ,ロンパース,ズボン,チョッキ,袖なしシャツ,上衣(洋服),レギンス,ポロシャツ,ジョギングスーツ,スカート,カプリパンツ,ジャケット,長袖シャツ,水上スポーツ用特殊靴下,バスローブ,靴下,パンツ,ズボン下,バイザー,サッシュベルト,下着,競泳用水泳着,履物,つま先の開いたサンダル靴,ブーツ,すべり止め付きブーツ,すべり止め付き靴,スリッパ,風呂用スリッパ,ビーチサンダル,風呂用サンダル,運動用特殊靴,サンダル,フットボール靴,テニス靴,エスパドリーユ,スポーツ用テニス靴,テニスに適した運動靴,サーフィン競技用靴,デッキシューズ,水泳着,トランクス,ビキニ,ショーツ,バミューダパンツ,スポーツジャケット,縁あり帽子,つばつき帽子,運動着,体操用衣服,水泳帽,水泳用ティーシャツ(競技用のものを除く。)」を指定商品として、同26年1月29日に登録査定、同年3月20日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
1 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標は商標第4条第1項第10号、同第15号及び同第19号に該当するとして、本件登録異議の申立ての理由として引用する商標は、水泳着、競技用水泳着、水泳用関連・周辺商品等に使用する、「SPEEDO」あるいは「speedo」の欧文字よりなるものである。
以下、上記の「SPEEDO」あるいは「speedo」の欧文字よりなる商標を、まとめて、「申立人使用商標」という。
2 申立人が、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本件登録異議の申立ての理由として引用する登録商標は、以下の26件であるところ、いずれも本件商標より先に登録出願され、その指定商品ないし指定役務は商標登録原簿記載のとおりであり、以下の(1)ないし(16)及び(19)ないし(26)の商標権に関しては、いずれも現に有効に存続しているものであるが、(17)及び(18)の商標権に関しては、いずれも、存続期間満了により、消滅しているものである。
(1)登録第2505863号商標
登録第2505863号商標(以下「11号引用商標1」という。)は、「SPEEDO」の欧文字を横書きしてなるものである。
(2)登録第2575248号商標
登録第2575248号商標(以下「11号引用商標2」という。)は、「スピードー」の片仮名文字を横書きしてなるものである。
(3)登録第1567001号商標
登録第1567001号商標(以下「11号引用商標3」という。)は、「SPEEDO」の欧文字を横書きしてなるものである。
(4)登録第1567002号商標
登録第1567002号商標(以下「11号引用商標4」という。)は、「スピードー」の片仮名文字を横書きしてなるものである。
(5)登録第1773057号商標
登録第1773057号商標(以下「11号引用商標5」という。)は、「SPEEDO」の欧文字を横書きしてなるものである。
(6)登録第1894226号商標
登録第1894226号商標(以下「11号引用商標6」という。)は、「SPEEDO」の欧文字を横書きしてなるものである。
(7)登録第1894227号商標
登録第1894227号商標(以下「11号引用商標7」という。)は、「スピードー」の片仮名文字を横書きしてなるものである。
(8)登録第1952539号商標
登録第1952539号商標(以下「11号引用商標8」という。)は、「SPEEDO」の欧文字を横書きしてなるものである。
(9)登録第1952540号商標
登録第1952540号商標(以下「11号引用商標9」という。)は、「スピードー」の片仮名文字を横書きしてなるものである。
(10)登録第1997119号商標
登録第1997119号商標(以下「11号引用商標10」という。)は、「スピードー」の片仮名文字を横書きしてなるものである。
(11)登録第2264518号商標
登録第2264518号商標(以下「11号引用商標11」という。)は、別掲(1)に示すとおりの構成よりなるものである。
(12)登録第2341798号商標
登録第2341798号商標(以下「11号引用商標12」という。)は、「SPEEDO」の欧文字を横書きしてなるものである。
(13)登録第2341799号商標
登録第2341799号商標(以下「11号引用商標13」という。)は、「スピードー」の片仮名文字を横書きしてなるものである。
(14)登録第2341800号商標
登録第2341800号商標(以下「11号引用商標14」という。)は、別掲(2)に示すとおりの構成よりなるものである。
(15)登録第2562423号商標
登録第2562423号商標(以下「11号引用商標15」という。)は、別掲(3)に示すとおりの構成よりなるものである。
(16)登録第2708028号商標
登録第2708028号商標(以下「11号引用商標16」という。)は、別掲(3)に示すとおりの構成よりなるものである。
(17)登録第2591718号商標
登録第2591718号商標(以下「11号引用商標17」という。)は、「SPEEDO AQUA GYM」の欧文字を横書きしてなるものであり、平成25年10月29日存続期間満了を原因として、同26年7月9日に本権の登録の抹消登録がされている。
(18)登録第2610274号商標
登録第2610274号商標(以下「11号引用商標18」という。)は、「SPEEDO AQUA GYM」の欧文字を横書きしてなるものであり、平成25年12月24日存続期間満了を原因として、同26年9月3日に本権の登録の抹消登録がされている。
(19)登録第2620093号商標
登録第2620093号商標(以下「11号引用商標19」という。)は、「SPEEDO AQUA GYM」の欧文字を横書きしてなるものである。
(20)登録第4073181号商標
登録第4073181号商標(以下「11号引用商標20」という。)は、別掲(4)に示すとおりの構成よりなるものである。
(21)登録第4794968号商標
登録第4794968号商標(以下「11号引用商標21」という。)は、「SPEEDOBIOFUSE」の欧文字を横書きしてなるものである。
(22)登録第4878284号商標
登録第4878284号商標(以下「11号引用商標22」という。)は、「SPEEDO ENDURANCE」の欧文字を横書きしてなるものである。
(23)登録第5032976号商標
登録第5032976号商標(以下「11号引用商標23」という。)は、別掲(5)に示すとおりの構成よりなるものである。
(24)登録第5196838号商標
登録第5196838号商標(以下「11号引用商標24」という。)は、別掲(5)に示すとおりの構成よりなるものである。
(25)登録第5120986号商標
登録第5120986号商標(以下「11号引用商標25」という。)は、「SPEEDO LZR RACER」の欧文字を横書きしてなるものである。
(26)登録第5294982号商標
登録第5294982号商標(以下「11号引用商標26」という。)は、「SPEEDO AQUASHOT」の欧文字を横書きしてなるものである。
(27)以下、以上の26件の引用商標をまとめて、「11号引用商標」という。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標の登録は商標法第43条の2第1号により取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第47号証(ただし、甲第26号証を除く。)を提出した。
1 本件商標が商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたこと
申立人使用商標に関する事業は、オーストラリアのシドニー近郊で立ち上げられ、1928年に申立人使用商標を使用した競技用水泳着を中心に商品の製造販売を行い、以来85年以上の長期にわたりその使用が継続され、現在では、本社をオランダのアムステルダムに置き、そのグループ会社とともに、競技用水泳着、水泳着、及び、様々な関連・周辺商品等(ゴーグル、鼻クリップ、耳栓、トレーニング用電子機器、音楽プレーヤー、浮袋、時計、バッグ、履物、運動用具等)を含めて全世界でその商品の販売を行っている。その結果、遅くとも本件商標の出願がされた2013年4月16日の時点において、申立人使用商標は、水泳着、競技用水泳着、様々な関連・周辺商品等の分野において、日本を含む世界における需要者の間で広く知られて、高い名声を得るに至ったものである。
これに対して、本件商標「SPDO」は、周知・著名な申立人使用商標と文字構成、称呼が近似し、商標全体が相紛れるおそれのある類似する関係にあり、また、本件商標に係る第9類及び第25類の指定商品は、申立人使用商標が使用されている商品と同一又は類似の関係にあたる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものである。
2 本件商標が商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたこと
申立人は、「SPEEDO」(又は小文字で表した「speedo」)、「スピードー」の文字からなる商標(他の文字との結合商標を含む)、及び、一緒に使用されることがある図形(矢じり、横向きの山形紋のような図形)からなる商標(前記文字からなる商標との結合商標を含む)について、1960年台から出願を開始し、現在、これらの文字、図形に関連する商標だけでも45の商標登録を我が国で得ており、その指定商品には、第3類、第5類、第9類、第12類、第14類、第18類、第24類及び第26類ないし第28類と様々な区分の多種の商品が含まれている。これに対し、本件商標「SPDO」は、前記のとおり、周知・著名な申立人使用商標と文字構成、称呼が近似し、商標全体が相紛れるおそれのある類似する関係にあり、また、本件商標に係る第9類及び第25類の指定商品は、11号引用商標の商品と同一又は類似の関係にあたる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
3 本件商標が商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたこと
本件商標が前記の各規定に該当しない場合であっても、申立人使用商標は、1928年に競技用水泳着に使用されて以来85年以上に亘りその使用がされ、現在では、そのグループ会社とともに、競技用水泳着、水泳着、及び、様々な関連・周辺商品等(ゴーグル、鼻クリップ、耳栓、トレーニング用電子機器、音楽プレーヤー、浮袋、時計、バッグ、履物、運動用具等)を含めて全世界でその商品の販売を行っている。その結果、遅くとも本件出願がされた2013年4月16日の時点において、申立人使用商標は、水泳着、競技用水泳着、様々な関連・周辺商品等の分野において、日本を含む世界における需要者の間で広く知られて、高い名声を得るに至ったものである。このような状況において、本件商標「SPDO」を、同一又は類似の商品に使用した場合は、その商品の出所が申立人であると誤認するか、又は、その商品が申立人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の事業に係る商品であるかのように混同を生じるおそれがある。
実際に、少なくともインターネット検索エンジンにおいては、本件商標「SPDO」と関連商品(水泳着、競技用水泳着、等)をキーワードとして検索すると、その検索結果において、「もしかしてSPEEDO水泳着」という表示がされたり、最初から「次の検索結果を表示しています:speedo 競技用水泳着」という表示がされるなど、本件商標「SPDO」は、文字自体が、申立人使用商標との関係で極めて相紛らわしい関係にあるということができる。
したがって、本件商標を、申立人使用商標が使用されている商品と同一又は類似の商品に使用した場合、また、非類似の商品であっても何らかの関係性が認められる商品について使用した場合、申立人の業務に係る商品との関係で現実に混同を生じさせているか、又は、少なくともそのおそれが極めて高いことから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
4 本件商標が商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたこと
申立人使用商標は、甲第1号証ないし甲第47号証(甲第26号証を除く。)に示すとおり、遅くとも本件商標が出願された2013年4月16日の時点において、水泳着、競技用水泳着、様々な関連・周辺商品等の分野において、日本を含む世界における需要者の間で広く知られて、高い名声を得るに至ったものである。本件商標「SPDO」は、周知・著名な申立人使用商標と文字構成、称呼が近似し、商標全体が相紛れるおそれのある類似する関係にあり、加えて、商標権者の関係会社が、申立人の商品を外国において輸入販売するなど、申立人とは事実上の取引関係が存在した事実があり、その取引を進めたのは、商標権者及び当該関係会社の両者の取締役であるMr.Raul Sergio Hacker氏(当時マネージンクパートナー)であり、申立人の商標の存在や周知・著名性を十分に認識した上で本件商標の出願を行っており、その出願に不正目的が推認でき、事実、本件商標「SPDO」と同一構成の商標権者(又はその関係会社)の商標を巡っては、日本だけでなく、諸外国でも申立人の商標との間において混同のおそれを理由として、申立人から商標権者(又はその関係会社)を相手方として2010年頃より異議申立等が行われ、一部の国(中国、モーリシャス共和国)では、既に申立人の申立内容、請求を認める決定が出されているにもかかわらず、商標権者は、我が国で同一構成の商標「SPDO」を出願した経緯がある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである。
5 本件商標が商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたこと
本件商標「SPDO」と同一構成の商標を巡り諸外国でも申立人の商標との間において混同のおそれを理由として、2010年頃より商標権者(又はその関係会社)を相手方として異議申立等が行われ、一部の国(中国、モーリシャス共和国)では、既に申立人の申立内容、請求を認める決定が出されているにもかかわらず、商標権者は、我国で同一構成の商標「SPDO」を出願した経緯がある。
また、商標権者の関係会社が、申立人の商品を外国において輸入販売するなど、申立人とは事実上の取引関係が存在した事実があり、その取引を進めたのは、商標権者及び当該関係会社の両者の取締役であるMr.Raul Sergio Hacker氏(当時マネージンクパートナー)であって、申立人の商標の存在や周知・著名性を十分に認識した上で本件商標の出願を行っており、特に、ブラジルにおいては、本件商標「SPDO」と同一構成の商標だけでなく、申立人の周知・著名商標「SPEEDO」そのものに関して、当時の同国の法制が被服の輸入制限をしていた特殊な事情を奇貨として、申立人の既登録を輸入制限の下における不使用を理由として取消し、自らが出願して同じ商標の登録を受け、その商標登録の存在により、申立人は、商標権者の関係会社との間で止むを得ず取引関係をつくるに至ったという背景事情が存在し、その関係会社と取締役が同じ商標権者による本件商標の出願も、その経緯に照らして、我が国の法制度を前提としても、健全な法感情に照らし条理上許されないというべきであり、また、商標法の目的(商標法第1条)にも反し、公正な商標秩序を乱すものというべきである。
したがって、本件商標は、「公の秩序又は善良な風俗を害するおそれがある商標」に該当し、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものである。

第4 当審の判断
申立人は、本件商標が商標法第4条第1項第10号、同第11号、同第15号、同第19号及び同第7号に違反して登録されたものであると主張しているので、以下、順次、検討する。
1 本件商標と申立人使用商標及び11号引用商標との類否について
事案に鑑み、まず、本件商標と、申立人使用商標及び11号引用商標との類否について検討する。
(1)本件商標について
本件商標は、前記したように、「SPDO」の欧文字を標準文字により表してなるものであるところ、この文字よりなる語は、英和辞典をはじめとする主要な外国語の辞書等に掲載されてはおらず、これが特定の読み方を有する既成語とは認められないものである。
してみれば、本件商標は、その構成より「エスピーディーオー」との称呼が生ずるというのが自然である。
また、本件商標は既成語ではないことから、特定の観念は生じないというべきである。
(2)申立人使用商標について
申立人使用商標は、前記したように、「SPEEDO」あるいは「speedo」の欧文字よりなるものであり、これより「スピードー」ないし「スピード」の称呼が生ずるものである。
そして、この欧文字よりなる語は、既成語ではないことから、いずれも特定の観念を生じることはないというべきである。
(3)11号引用商標について
11号引用商標は、それぞれ前記した構成のものであるところ、少なくとも、11号引用商標1ないし11号引用商標16、11号引用商標23及び11号引用商標24については、それらを構成する「SPEEDO」ないし「スピードー」の文字部分が、自他商品又は役務の識別機能を果たす部分(要部)ということができることから、これより「スピードー」ないし「スピード」の称呼が生ずるものである。
そして、その構成中の「SPEEDO」ないし「スピードー」の語は、既成語ではないことから、上記した11号引用商標からはいずれも特定の観念を生じることはないというべきである。
(4)本件商標と申立人使用商標又は11号引用商標との類否について
ア 外観について
本件商標と申立人使用商標又は11号引用商標とは、それぞれ前記した構成のものであるから、これらは、外観上、判然と区別し得るものである。
イ 称呼について
本件商標から生ずる「エスピーディーオー」の称呼と、申立人使用商標又は11号引用商標から生ずる「スピードー」ないし「スピード」の称呼とは、その音(音節)数及びその構成音において顕著な差異を有するものであることから、それぞれを一連に称呼するときは、語感、語調において互いに聴き誤るおそれはないというべきである。
ウ 観念について
本件商標と申立人使用商標又は11号引用商標からは、いずれも特定の観念を生じないから、これらは、観念において比較できず、互いに類似するということはできないものである。
類否判断
以上のとおり、本件商標と申立人使用商標又は11号引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれからみても、類似する商標ということはできないものである。
また、11号引用商標19ないし同22、同25及び同26は、それらの商標を構成する「SPEEDO」の文字部分が、自他商品の識別機能を果たす部分(要部)であるとしても、本件商標とこれらの11号引用商標とは、上記したとおり互いに類似する商標とはいえないものである。
2 本件商標の商標法第4条第1項第11号該当性について
以上によれば、本件商標と11号引用商標とは互いに類似する商標とはいえないから、本件商標の指定商品と11号引用商標の指定商品又は指定役務が類似するものとしても、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 本件商標の商標法第4条第1項第10号及び同第19号該当性について
前記したように、本件商標と申立人使用商標とは互いに類似するとはいえないから、申立人の主張は、商標法第4条第1項第10号及び同第19号該当要件の前提を欠くものであって、採用することはできず、その余の点について判断するまでもなく、本件商標は同第10号及び同第19号に該当しない。
4 本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について
申立人が、申立人使用商標が著名であるとして、提出した証拠方法を総合して検討すれば、「SPEEDO」ないし「speedo」の文字よりなる商標は、水泳着、競技用水泳着などに使用された結果、本件商標登録出願前に我が国において、当該商品の取引者・需要者間において一定程度広く知られており、その状態が本件商標登録時において継続していたと推認できる。
しかしながら、本件商標と申立人使用商標とは、前記1(4)で認定・判断したとおり、類似する商標とはいえないものであり、互いに別異の商標というべきである。
してみれば、本件商標をその指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者が、該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品又は役務であるかのように連想、想起することはなく、その出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。
この点に関して、申立人は、「実際に、少なくともインターネット検索エンジンにおいては、本件商標『SPDO』と関連商品(水泳着、競技用水泳着、等)をキーワードとして検索すると、その検索結果において、『もしかしてSPEEDO水泳着』という表示がされたり、最初から『次の検索結果を表示しています:speedo 競技用水泳着』という表示がされるなど、本件商標『SPDO』は、文字自体が、申立人使用商標との関係で極めて相紛らわしい関係にあるということができる。」旨主張する。
しかしながら、出所の混同は、インターネットの検索結果のみにより判断されるものではなく、かつ、この点について申立人は、「これは偶然ではなく、申立人の公式ホームページのソースコード等において、本件申立商標と同じ『SPDO』の文字が使用されていることも起因していると考えられる(甲第20号証)。」と自認しているように、申立人による特定の検索方法による結果というべきであり、当審が職権により調査したところ、単なる「SPDO」の文字による、主要検索サイトの検索では、申立人使用商標は、上位においては検索されなかった。よって、上記の申立人の主張は採用することはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しないものである。
5 本件商標の商標法第4条第1項第7号該当性について
商標法第4条第1項第7号に該当する商標は、「(1)その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形である場合、(2)当該商標の構成自体がそのようなものでなくとも、指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反する場合、(3)他の法律によって、当該商標の使用等が禁止されている場合、(4)特定の国若しくはその国民を侮辱し、又は一般に国際信義に反する場合、(5)当該商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合」であるものをいうと解されるところ(例えば、知財高裁 平成17年(行ケ)第10349号 平成18年9月20日判決参照。)、この点に関して申立人が種々述べる主張は、申立人と商標権者間の外国における事情についてのものであり、また、中国、モーリシャス共和国における申立人の申立内容、請求を認める決定が、我が国の商標法を拘束するものではないから、いずれも採用することはできない。
そして、本件商標と申立人使用商標とは、前記したように互いに別異の商標というべきであるから、本件商標権者が、本件商標を登録出願することが申立人使用商標との関係で社会的相当性を欠くということはできないものである。
ほかに、本件商標が、商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合など上記した要件に該当するともいえない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しないものである。
6 まとめ
以上のとおり、本件の商標登録は、商標法第4条第1項第10号、同第11号、同第15号、同第19号及び同第7号に違反して登録されたものではないから、商標法第43条の3第4項により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
(1)11号引用商標11


(2)11号引用商標14


(3)11号引用商標15及び16


(4)11号引用商標20


(5)11号引用商標23及び24








異議決定日 2015-06-11 
出願番号 商願2013-32011(T2013-32011) 
審決分類 T 1 651・ 25- Y (W0925)
T 1 651・ 22- Y (W0925)
T 1 651・ 262- Y (W0925)
T 1 651・ 263- Y (W0925)
T 1 651・ 261- Y (W0925)
T 1 651・ 271- Y (W0925)
T 1 651・ 222- Y (W0925)
最終処分 維持  
前審関与審査官 堀内 真一 
特許庁審判長 酒井 福造
特許庁審判官 今田 三男
手塚 義明
登録日 2014-03-20 
登録番号 商標登録第5657327号(T5657327) 
権利者 ブラスマーク・インダストリア・コメルシオ・イー・リプレゼンタコス・リミターダ
商標の称呼 エスピイデイオオ 
代理人 大平 直 
代理人 山内 貴博 
代理人 特許業務法人浅村特許事務所 

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