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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W25293032
審判 全部申立て  登録を維持 W25293032
審判 全部申立て  登録を維持 W25293032
審判 全部申立て  登録を維持 W25293032
審判 全部申立て  登録を維持 W25293032
管理番号 1301768 
異議申立番号 異議2014-900010 
総通号数 187 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2015-07-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2014-01-08 
確定日 2015-06-22 
異議申立件数
事件の表示 登録第5622095号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5622095号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5622095号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成25年6月12日に登録出願され、第14類、第18類、第20類、第21類及び第24類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品並びに第25類、第29類、第30類及び第32類に属する別掲2のとおりの商品を指定商品として、平成25年9月17日に登録査定、同年10月11日に設定登録されたものである。

第2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、登録異議の申立てにおいて、「MONSTER ENERGY」の欧文字を横書きしてなり、第32類「アルコール分を含まない飲料,清涼飲料,果実飲料」を指定商品とする登録第5393681号商標を始め、以下のとおりの構成からなる33件の商標を引用している。
そして、以下の(1)ないし(32)に係る商標は、商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品とし、また、(33)に係る商標は、第14類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、既に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
なお、以下の商標のうち、文字からなる商標は、いずれも標準文字によるものである。
(1)登録第5393681号商標:「MONSTER ENERGY」
(2)登録第5057229号商標:別掲3のとおり
(3)登録第5010968号商標:「M MONSTER ENERGY」
(4)登録第5394526号商標:別掲4のとおり
(5)登録第5442171号商標:「MONSTER ENERGY PINK」
(6)登録第5417815号商標:「MONSTER ENERGY AGENT ORANGE」
(7)登録第5379390号商標:「MONSTER」
(8)登録第5527566号商標:「MONSTER DETOX」
(9)登録第5476620号商標:「MONSTER REHAB」
(10)登録第5490798号商標:「MONSTER RECOVERY」
(11)登録第5497766号商標:「MONSTER UNLEADED」
(12)登録第5451361号商標:「MONSTER PUMPED」
(13)登録第5480373号商標:「MONSTER BIOACTIVATED」
(14)登録第5527567号商標:「MONSTER REHABITUATE」
(15)登録第5495941号商標:「MONSTER KHAOS ENERGY + JUICE」
(16)登録第5417769号商標:「MONSTER REDUCED CARB」
(17)登録第5417770号商標:「MONSTER LO-CARB」
(18)登録第5375090号商標:「PROTEIN MONSTER」
(19)登録第5327467号商標:「MUSCLE MONSTER」
(20)登録第5409580号商標:「MONSTER RIPPER」
(21)登録第5409582号商標:「MONSTER BLACK」
(22)登録第5419507号商標:「MONSTER DOUBLE BLACK」
(23)登録第5409583号商標:「MONSTER GIRL」
(24)登録第5542584号商標:「MONSTER CUBA-LIMA」
(25)登録第5043703号商標:「JAVA MONSTER」
(26)登録第5431412号商標:「JAVA MONSTER」
(27)登録第5562023号商標:「JAVA MONSTER GREEN BEANS」
(28)登録第5423080号商標:「LOCA MOCA JAVA MONSTER」
(29)登録第5630446号商標:「KONA CAPPUCCINO M JAVA MONSTER」
(30)登録第5389881号商標:「X-PRESSO MONSTER」
(31)登録第5590215号商標:「JUICE MONSTER」
(32)国際登録第1048069号商標:別掲3のとおり
(33)商願2012-089483号商標(登録5730813号として登録された):別掲5のとおり

第3 登録異議申立ての理由の要点
申立人は、本件商標は第25類、第29類、第30類及び第32類に属する指定商品について商標法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第166号証(枝番を含む。)を提出した。
1 申立人が使用している商標について
申立人の業務に係るエネルギー補給用飲料(エナジードリンク)製品、アパレル製品、アクセサリー類・その他の関連商品には、上記引用に係る商標に含まれる、モンスターの爪痕を象徴する「M」のロゴ(以下「M図形」という。)、「MONSTER ENERGY」の文字、「MONSTER」の文字、上記M図形と「MONSTER ENERGY」の文字とを一体に表した「M MONSTER ENERGY」のブランドロゴ(以下、これらをまとめて「MONSTER ENERGYブランド」という。)が使用されているほか、「MONSTER」の文字と他の文字とを結合した構成からなる商標(以下「MONSTERファミリー商標」という。)が使用されている。
2 「MONSTER ENERGYブランド」及び「MONSTERファミリー商標」の著名性について
(1)申立人は、2002年から現在に至るまで、全世界において「MONSTER ENERGYブランド」のエナジードリンクに関する広告、マーケティング及び販売促進活動費用として総額21億ドル以上を支出している。かかる販売促進活動の主な内容は、世界の有名アスリート・レーシングチーム及び競技会、アマチュア選手、音楽祭及びミュージシャン、ラスベガスの公共機関モノレールに対する支援活動(スポンサー提供)、販売店用什器及び備品の供給であり、申立人が支援するアスリートやチームが着用・使用するスポーツウェア、レーシングスーツ、レーシングヘルメット、レーシングカー、オートバイ、サーフボード等には「MONSTER ENERGYブランド」が付されており、これら選手、チーム、競技会場の写真やビデオ画像はウェブサイト、ニューズリリース、ソーシャルメディア等を通じて世界中のスポーツファンに配信され、全世界のエナジードリンクの需要者のみならず、スポーツファンを中心とする一般消費者の間に「MONSTER ENERGYブランド」及び「MONSTERファミリー商標」を広く一般に浸透させることに大きな効果を発揮している。
(2)日本においては、「MONSTER ENERGYブランド」のエナジードリンクは2012年5月8日からアサヒ飲料株式会社(以下「アサヒ飲料」という。)を通じて販売され、忽ち人気商品となり、その販売数量は販売開始から2013年3月までの約2年間で約5,500万缶に達し、総販売額は4,900万ドル(40億円)以上になっている。「MONSTER ENERGYブランド」のエナジードリンクについては、販売開始直後から継続的にテレビコマーシャル放映、多数のスポーツイベント等へのスポンサー提供、サンプル配布等の大々的な宣伝広告活動が実施されている。
(3)「MONSTER ENERGYブランド」のエナジードリンクは、2002年に米国で販売開始して以来世界中で90億缶以上販売し、毎年15億缶以上を売上げ、合計170億ドルを超える収益を上げている。現在、「MONSTERファミリー商標」を付したエナジードリンクの1種類以上が世界100以上の国及び地域で販売されている。
申立人の業績については、経済界でも高く評価され、数々の表彰を受けたほか、著名な経済ビジネス誌において申立人の宣伝広告や有名アスリート、レーシングチーム等に対するスポンサー活動によるマーケティング戦略等に関する記事が多数掲載されている。
(4)「MONSTER ENERGYブランド」の人気、周知性の高まりに便乗して、申立人の商標権を侵害するアパレル製品、ステッカー等の模倣品が海外で製造され、申立人の商標権侵害物品として日本の税関で輸入が差し止められる等の案件が増加している。
(5)以上の事実に照らせば、「MONSTER ENERGYブランド」及び「MONSTERファミリー商標」は、本件商標の登録出願前から申立人の業務に係る商品を表示する商標として、本国米国を始めとする外国で広く認識されていただけでなく、日本国内の需要者の間でも広く認識されていたことが明らかである。
3 商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、常に一体不可分の自他識別標識として機能するとはいい難く、「モンスター烈伝」の文字部分は、仮名文字と漢字で視覚上分離される上、全体で既成の観念を生ずるものではない。「モンスター」の文字は「怪獣、怪物、モンスター」を意味する外来語として親しまれているのに対し、「烈伝」の文字は一般に馴染みのないものであり、「モンスター」の文字部分が需要者の注意を惹き、記憶に留まり易く、独立の自他識別標識として取引に資する場合も多いから、本件商標は、「モンスターレツデンオレカバトル」及び「モンスターレツデン」の称呼のほか、「モンスター」の称呼及び「怪獣、怪物、モンスター」の観念を生ずる。
したがって、本件商標と、「MONSTER」の文字からなり第32類「アルコール類を含まない飲料,清涼飲料,果実飲料」を指定商品とする登録第5379390号商標(前記第2(7):以下「引用商標」という。)とは、「モンスター」の称呼及び「怪獣、怪物、モンスター」の観念を共通にする類似の商標であり、本件申立てに係る指定商品(第29類、第30類及び第32類に属する商品)は引用商標の指定商品と同一又は類似のものであるから、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。
4 商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、構成中に「モンスター」の文字を包含する点において、構成中に「MONSTER」の文字を有する申立人の「MONSTERファミリー商標」の構成とも一致する。
そして、本件申立てに係る指定商品と同一又は類似の商品に該当するエナジードリンクの分野では、「MONSTER ENERGY」を始めとする「MONSTERファミリー商標」を付したエナジードリンクが日本国内の需要者の間でも広く認識されている。また、本件申立てに係る指定商品と同一又は類似の商品である被服等のファッション関連製品の分野でも、「MONSTER ENERGYブランド」を付した申立人のアパレル製品の模倣品が税関の水際取締りで申立人の商標権侵害物品と認定され輸入が差し止められる事案が多発する程度まで、日本国内の当該分野の需要者の間で広く知られている人気の高い商品である。
以上の観点に照らせば、本件商標が本件申立てに係る指定商品について使用された場合、これに接する需要者は、その構成中の「モンスター」の文字部分に着目し、「MONSTER ENERGYブランド」を始めとする「MONSTERファミリー商標」を想起、連想し、申立人の「MONSTERファミリー商標」の一つであると誤信し、又は申立人と経済的・組織的関係を有する者の取扱いに係る商品であると誤信することにより、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。
5 商標法第4条第1項第7号について
本件商標が本件申立てに係る指定商品に使用された場合、「MONSTER ENERGYブランド」を含む「MONSTERファミリー商標」の強力な出所表示力を希釈化するおそれが極めて高く、また、「MONSTERファミリー商標」が獲得した信用力、顧客吸引力にフリーライドする行為といわざるを得ず、申立人に経済的及び精神的損害を与えるものである。
したがって、本件商標は、社会一般道徳及び公正な取引秩序の維持を旨とする商標法の精神及び国際信義に反するものであり、公序良俗を害するおそれがあるから、商標法第4条第1項第7号に該当するものである。

第3 当審の判断
1 「MONSTER ENERGYブランド」及び「MONSTERファミリー商標」の周知性について
(1)申立人の提出に係る証拠には、不鮮明なものや原文(英文)のみで訳文のないものも含まれているが、これらによれば、以下の事実が認められる。
(ア)申立人は、2002年に米国においてエナジードリンク(エネルギー補給用飲料)の販売を開始した。該エナジードリンクは、従来の清涼飲料容器とは異なる黒色ベースのボトル缶が用いられ、該ボトル缶には、別掲3のとおり、M図形を大きく表示し、その下部に、図案化した「MONSTER」の文字と小さな「ENERGY」の文字を併記した構成からなる標章(申立人の引用に係る登録第5057229号及び国際登録第1048069号商標と同一の構成からなる。以下「使用商標」という。)が付されている(甲4ないし甲8、甲11ないし甲14並びに甲58のRCS-2及び3)。
また、上記ボトル缶には、使用商標に加えて又は使用商標の構成中の「ENERGY」の文字部分に代えて、「KHAOS」、「JAVA」、「SUPER DRY」、「EXTRA STRENGTH」、「ANTI GRAVITY」、「BLACK ICE」、「Rehab」、「Baller’s Blend」、「Mad Dog」、「MUSCLE」、「M-8O」等の文字を表示したものもある(甲4ないし甲11、甲13ないし甲17、甲19ないし甲33及び甲58のRCS-3)。もっとも、これらは、「KHAOS」及び「ABSOLUTELY ZERO」の文字を表示したものを除き、日本国内では発売されていないものである。
(イ)申立人は、2002年から現在に至るまで、「MONSTER ENERGYブランド」を使用したエナジードリンク製品に関し、全世界での広告、マーケティング、販売促進活動費として総額21億ドル以上を支出している。販売促進活動の主な内容は、様々なスポーツ分野で活動する有名アスリートやレーシングチーム、競技会、アマチュア選手、音楽祭、ミュージシャン、ラスベガスの公共機関モノレール等の支援活動(スポンサー提供)、販売店用什器・備品の提供等であり、スポーツ分野では、モトクロスライダー、スケートボーダー、オートバイライダー、カーレーサー、カワサキオートバイのレーシングチーム等がある(甲34ないし甲44及び甲58)。
上記支援活動は、スポンサー提供を受けるアスリートのウェブサイト、ビジネス誌、報道ニュース、スポーツファンのウェブサイト等を通じて発信され紹介されているが、多くは「Monster Energy」又は「モンスターエナジー」として表示・紹介され、「Monster」又は「モンスター」のみで表示・紹介されているものはほとんど見当たらない(甲34ないし甲45、甲49ないし甲57)。
そして、上記スポンサー提供を受けるアスリートやチームが着用又は使用するウェア、レーシングスーツ、帽子、レーシングヘルメット、レーシングカー、オートバイ、サーフボード等には、使用商標又は「MONSTER ENERGYブランド」のうちの一つ(特にM図形)若しくは複数が付されているが、「MONSTER」の文字のみからなる標章や「MONSTERファミリー商標」と思しき標章が付されたものはほとんど見当たらない(甲34ないし甲44及び甲58のRCSー9ないし11、13ないし15、17ないし33、35及び36)。
また、ラスベガスの公共機関モノレール支援活動では、車両に「MONSTER ENERGYブランド」を付したモンスター列車が走行し、多くの人が乗車したことがマスメディア等で報道されたほか、エナジードリンクの販売用什器等にも「MONSTER ENERGYブランド」が付されているが、「MONSTER」の文字のみからなる標章や「MONSTERファミリー商標」と思しき標章が付されたものは見当たらない(甲49、甲50及び甲58のRCSー37ないし40)。
もっとも、甲第34号証の1及び2、甲第35号証ないし甲第41号証、甲第42号証の2及び3並びに甲第43号証の2については、英文のみで訳文がないし、掲げられた写真も不鮮明なものが多く、その内容の詳細は必ずしも明らかでない。
(ウ)申立人は、「MONSTER ENERGYブランド」について商品化を第三者に許諾し、「MONSTER ENERGYブランド」を付した、Tシャツ、ジャージパンツ、レーシングジャケット、フーディ、帽子、バッグ、ステッカー等の各種商品(以下、まとめて「申立人アパレル製品」という。)がライセンシーによって製造販売されており、これら申立人アパレル製品はインターネット通信販売業者を通じて日本でも購入できる(甲46ないし甲48及び甲58のRCS-36)。
甲第47号証、甲第48号証及び甲第58号証のRCS-36に示された申立人アパレル製品の写真によれば、申立人アパレル製品のそれぞれには、「MONSTER ENERGYブランド」のいずれか、特にM図形が付されていることが判るものの、「MONSTER」の文字のみからなる標章や「MONSTERファミリー商標」と思しき標章が付されたものは見当たらない。
(エ)「MONSTER ENERGYブランド」のエナジードリンクの開発・導入により急成長した申立人の業績は、経済界でも注目され、本件商標の登録出願前には既に、「Forbes」、「Fortune」、「Business Week」、「Newsweek」、「TIME」、「Beverage World」等の経済ビジネス誌において紹介されている(甲第49ないし第57号証)。しかしながら、これらの雑誌は全て英文によるものであり、かつ、米国において発行されたものであって、これら雑誌に掲載された記事内容が我が国においても紹介されているか否かは明らかでない。しかも、掲載記事では、ほとんど「Monster Energy」と一連で表記されている。
(オ)日本国内では、アサヒ飲料が「MONSTER ENERGYブランド」のエナジードリンクの国内独占販売権を取得し、2012年5月8日から2種類のエナジードリンク(「MONSTER ENERGY」及び「MONSTER KHAOS」)を発売して以来、販売は好調に推移し同年の9月には年間目標100万箱を突破し、販売目標を120万箱に上方修正したことが発表された(甲第7及び第8号証)。また、本件商標の登録出願のわずか1か月程前の2013年5月7日に「MONSTER ENERGY ABSOLUTELY ZERO」が新発売され、現在では、上記3種類のエナジードリンクはアサヒ飲料の通販サイト、ネットショッピングのアマゾンでも購入することができる(甲10ないし甲17、甲33及び甲58)。
申立人は、上記エナジードリンクの国内販売開始直後から本件商標の登録出願前までに、発売を記念するイベントを行ったほか、各種イベントのスポンサー提供を介して広告宣伝を行った。例えば、2012年5月17日から2ヶ月間に亘り50万缶のサンプルを路上配布したほか、同年6月2日及び3日に渋谷における路上発表会で4万缶のサンプル配布、同年7月に晴海フェリーターミナルにおけるパンクロックフェスティバルで5,500缶のエナジードリンクのサンプル配布、同月に愛知県田原海岸におけるサーフィン大会で4,500缶のサンプル配布、同年10月18日から28日まで各地で行われたスケートボード競技会のスポンサー提供などを行った(甲58及び添付されたRCS-4ないし8)。しかしながら、上記イベントの参加者やサンプル配布の対象者は、一部の若者が中心であるばかりでなく、RCS-4ないし8に示す写真によれば、使用商標又は「MONSTER ENERGYブランド」のいくつか、特にM図形が使用されていることが判るものの、「MONSTER」の文字のみからなる標章や「MONSTERファミリー商標」と思しき標章は一切見当たらない。
他に、本件商標の登録出願前に、使用商標及び[MONSTER ENERGYブランド」を始め「MONSTERファミリー商標」を使用したエナジードリンクについて日本において新聞、雑誌、テレビ等のマスメディアで宣伝広告された事実を示す証拠はない。
(2)上記(1)の事実を総合勘案すると、本件商標の登録出願時には、「MONSTER ENERGYブランド」が申立人の業務に係る商品「エナジードリンク」を表示する商標として米国における取引者、需要者の間に広く認識されていたものといえるとしても、「MONSTER ENERGYブランド」は、使用商標と同様の構成全体をもって一体のものとして若しくは一連の「MONSTER ENERGY」として、又はM図形が独立して知られていたものというべきであり、「MONSTER」の文字のみをもって広く知られていたものとはいい難い。
他方、我が国おいては、市場参入から日が浅く、また、米国における「MONSTER ENERGYブランド」の周知性について紹介するものも少ないし、宣伝広告も限られていることから、本件商標の登録出願時に、使用商標及び「MONSTER ENERGYブランド」が申立人の業務に係る商品「エナジードリンク」を表示する商標として取引者、需要者の間に広く認識されていたものとまでは認められないし、その状態は本件商標の登録査定時においても継続していたものといえる。まして、「MONSTER」の文字のみからなる標章及び「MONSTERファミリー商標」が広く認識されていたものとは認められない。
また、「MONSTER ENERGYブランド」を付した申立人アパレル製品がインターネットを通じた通信販売により取引されている事実があるとしても、その販売の開始時期・期間・数量・地域・規模等や宣伝広告の事実が一切不明であり、「MONSTER ENERGYブランド」が申立人アパレル製品について使用する商標として広く認識されているものとは認められないことはもとより、上記事実によって結果的に「MONSTER ENERGYブランド」が申立人の業務に係る商品「エナジードリンク」を表示する商標として広く認識されているものともいえない。
仮に、使用商標及び「MONSTER ENERGYブランド」が、申立人の業務に係る「エナジードリンク」を表示する商標として、我が国の若者の一部においてある程度知られているとしても、あくまでもその構成全体をもって一体のものとして、又は特徴的なM図形が独立して認識されているというべきであり、「MONSTER」の文字のみをもって知られているものとはいえない。
2 本件商標の商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標は、前記第1(別掲1)のとおり、同書同大の「モンスター烈伝」及び「オレカバトル」の文字を二段にまとまりよく一体的に表してなるものであり、外観上、上記文字部分に軽重の差はなく、「モンスター」の文字部分が格別看者の注意を強く惹くというものでもないし、全体から生ずると認められる「モンスターレツデンオレカバトル」の称呼も無理なく一連に称呼することができるものである。
そうすると、本件商標は、全体をもって一体のものとして看取され、「モンスターレツデンオレカバトル」の一連の称呼を生ずるものというべきである。
また、本件商標は、全体として特定の意味合いを有するとは認められないから、これより特定の観念は生じないものである。
仮に、本件商標が、その構成上、「モンスター烈伝」の文字部分と「オレカバトル」の文字部分とに分離して看取される場合があるとしても、これから更に「モンスター烈伝」中の「モンスター」の文字部分のみが分離抽出され、看者の注意を強く惹くものとはいえないから、本件商標から単に「モンスター」の称呼及び「怪獣、怪物、モンスター」の観念を生ずるものとは到底いえない。
(2)他方、引用商標(登録第5379390号商標)は、前記第2(7)のとおり、「MONSTER」の文字からなるものであるから、「モンスター」の称呼及び「怪獣、怪物、モンスター」の観念を生ずるものといえる。
(3)そこで、本件商標と引用商標との類否について検討するに、両者は、それぞれの構成に照らし、外観上判然と区別し得る差異を有するものである。
また、本件商標から生ずる「モンスターレツデンオレカバトル」の称呼と引用商標から生ずる「モンスター」の称呼とは、構成音数が異なるばかりでなく、「レツデンオレカバトル」の音の有無という顕著な差異により、容易に区別することができるものである。
さらに、引用商標は「怪獣、怪物、モンスター」の観念を有するのに対し、本件商標は、「怪獣、怪物、モンスター」の観念を生ずるものとはいえないから、両商標は観念上も相紛れるおそれはない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
(4)したがって、本件商標は、本件申立てに係る指定商品中の第29類、第30類及び第32類に属する商品と引用商標の指定商品とが同一又は類似のものであるとしても、商標法第4条第1項第11号に該当するものとはいえない。
3 本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)本件商標と使用商標及び「MONSTER ENERGYブランド」との対比
(ア)本件商標については、上記2(1)のとおりである。
(イ)他方、使用商標は、別掲3のとおりの構成からなるところ、中央上方に大きく顕著に描かれたM図形部分と、その下部に表された「MONSTER」(やや図案化されているものの、「MONSTER」の文字を表したものと容易に認識できるものである。)及び「ENERGY」の文字部分とは、常に不可分一体にのみ認識されるべき格別の理由は見いだし難く、図形部分及び文字部分のそれぞれが独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすものといえる。
そして、図形部分と分離して観察され得る文字部分についてみるに、「MONSTER」の文字と「ENERGY」の文字とは、その態様及び大きさを異にするものの、本願商標の全体構成において、図形部分の下部に近接してまとまりよく表されているものであり、また、上段に表された「MONSTER」の文字が「怪物」の意味を有し、下段に表された「ENERGY」の文字が「エネルギー,活力」の意味を有するいずれも広く親しまれた英語であることから、上下段の文字全体として「怪物の(ような)エネルギー」程の意味合いを想起し得るものであって、これより生ずる「モンスターエナジー」の称呼も無理なく一連に称呼し得るものであり、「モンスターエナジー」の称呼のみが生ずるものといえる。
また、同様に、「MONSTER ENERGYブランド」も、「モンスターエナジー」の一連の称呼のみを生ずるものといえる。
(ウ)そこで、本件商標から生ずる「モンスターレツデンオレカバトル」の称呼と、使用商標及び「MONSTER ENERGYブランド」から生ずる「モンスターエナジー」の称呼とを対比すると、両者は構成音数が異なるばかりでなく、「レツデンオレカバトル」と「エナジー」の音の顕著な差異により、それぞれを一連に称呼するときは全体の音感・音調が著しく相違し、容易に区別することができるものである。
そして、本件商標と使用商標及び「MONSTER ENERGYブランド」の各商標とは、それぞれの構成に照らし、外観上判然と区別し得る差異を有するものである。
また、本件商標は、特定の観念を生じないのに対し、使用商標及び「MONSTER ENERGYブランド」は、「MONSTER ENERGY」の文字部分より「怪物の(ような)エネルギー」程の観念を生ずるものといえるから、両者は観念においても紛れるおそれはない。
してみれば、本件商標と使用商標及び「MONSTER ENERGYブランド」とは、称呼、外観及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異のものとして認識し把握されるものといわなければならない。
(エ)なお、「MONSTERファミリー商標」は、「MONSTER」の文字と「KHAOS」、「ABSOLUTELY ZERO」、「JAVA」、「Rehab」等の文字とを結合してなるものであって、それぞれ結合する各文字に相応した「モンスターカオス」、「モンスターアブソリュートリーゼロ」、「モンスタージャバ」、「モンスターリハブ」等の称呼を生ずるものであり、いずれも本件商標とは、称呼、外観及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異のものといえる。
(2)商品の出所の混同のおそれについて
前示のとおり、「MONSTER ENERGYブランド」、使用商標及び「MONSTERファミリー商標」は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、いずれも申立人の業務に係る商品「エナジードリンク」を表示する商標として取引者、需要者の間に広く認識されていたものとは認められないし、これらの商標と本件商標とは相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異のものである。
そうすると、本件商標を本件申立てに係る指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者が使用商標及び「MONSTER ENERGYブランド」はもとより、「MONSTERファミリー商標」や申立人を連想、想起するようなことはないというべきであり、該商品が申立人又は申立人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。
(3)小括
以上のとおりであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
4 本件商標の商標法第4条第1項第7号該当性について
本件商標は、全体をもって一体のものとして看取され、「モンスター」の文字部分のみを分離抽出して観察すべき格別の理由はなく、「モンスターレツデンオレカバトル」の一連の称呼を生ずるものであり、使用商標及び「MONSTER ENERGYブランド」とは相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異のものであること、使用商標及び「MONSTER ENERGYブランド」はもとより「MONSTERファミリー商標」が申立人の業務に係る商品を表示する商標として取引者、需要者の間に広く認識されているものとはいえないこと、使用商標及び「MONSTER ENERGYブランド」が米国において又は我が国の一部若者の間にある程度知られているとしても、単に「MONSTER」として知られているものとはいえないこと、本件商標を本件申立てに係る指定商品に使用しても使用商標及び「MONSTER ENERGYブランド」を連想、想起するようなことはないことは前示のとおりである。
そうすると、たとえ本件商標がその構成中に「モンスター」の文字を有するものであるとしても、「MONSTERファミリー商標」の信用力又は顧客吸引力にフリーライドするものとはいえないばかりでなく、本件商標をその指定商品に使用することが社会一般の道徳観念に反し、公正な取引秩序を乱すものとはいえないし、国際信義に反するものともいえない。
もとより、本件商標は、その構成自体がきょう激、卑わい、差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形ではないし、他の法律によってその使用等が禁止されているものでもない。
したがって、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標とはいえないから、商標法第4条第1項第7号に該当するものではない。
3 むすび
以上のとおり、本件商標は、本件申立てに係る指定商品について、商標法第4条第1項第7号、同第11号及び同第15号のいずれにも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
1 本件商標


2 本件指定商品中、第25類、第29類、第30類及び第32類に属する商品
第25類
「被服,洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,パジャマ,下着,水泳着,水泳帽,キャミソール,ティーシャツ,アイマスク,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ナイトキャップ,帽子,防暑用ヘルメット,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),スリッパ,仮装用衣服,運動用特殊衣服,リストバンド,運動用特殊靴」
第29類
「食用油脂,乳製品,牛乳,コーヒー入りの乳製品,ココアを使用した乳製品,チョコレートを含有した乳製品,ヨーグルト,ヨーグルト飲料,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,油揚げ,練り豆腐,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ」
第30類
「茶,コーヒー,ココア,菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,調味料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,穀物の加工品,即席菓子のもと」
第32類
「ビール,清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,ビール製造用ホップエキス,乳清飲料」

3 使用商標(登録5057229号商標(前記第2(2))及び国際登録第1048069号商標(前記第2(32)))



4 登録第5394526号商標(前記第2(4))



5 商願2012-089485号(登録第5730813号)商標(前記第2(33))




異議決定日 2015-06-12 
出願番号 商願2013-45100(T2013-45100) 
審決分類 T 1 651・ 263- Y (W25293032)
T 1 651・ 262- Y (W25293032)
T 1 651・ 271- Y (W25293032)
T 1 651・ 261- Y (W25293032)
T 1 651・ 22- Y (W25293032)
最終処分 維持  
前審関与審査官 中山 悦子椎名 実 
特許庁審判長 酒井 福造
特許庁審判官 手塚 義明
今田 三男
登録日 2013-10-11 
登録番号 商標登録第5622095号(T5622095) 
権利者 株式会社コナミデジタルエンタテインメント
商標の称呼 モンスターレツデンオレカバトル、モンスターレツデン、オレカバトル 
代理人 佐久間 剛 
代理人 柳田 征史 
代理人 中熊 眞由美 

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