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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W1825
審判 全部申立て  登録を維持 W1825
管理番号 1301760 
異議申立番号 異議2014-900250 
総通号数 187 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2015-07-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2014-09-05 
確定日 2015-06-11 
異議申立件数
事件の表示 登録第5676163号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5676163号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5676163号商標(以下「本件商標」という。)は,「chocolatemonster」の欧文字を標準文字で表してなり,平成25年12月20日に登録出願され,第18類「バッグ,かばん類,財布,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,愛玩動物用被服類,かばん金具,がま口口金,蹄鉄」及び第25類「被服,スーツ,洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,下着,寝巻き類,水泳着,水泳帽,キャミソール,ティーシャツ,和服,アイマスク,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ナイトキャップ,帽子,ベルト,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として,同26年5月7日に登録査定,同年6月6日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件登録異議の申立てに引用する,申立人のいう「MONSTER」ファミリー商標は,以下のとおりである。
「MONSTER ENERGY」の文字を標準文字で表してなり,平成22年7月8日に登録出願,第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,平成23年2月25日に設定登録された登録第5393681号商標(以下「引用商標1」という。),別掲(1)のとおりの構成よりなり,平成18年6月9日に登録出願,第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,平成19年6月22日に設定登録された登録第5057229号商標(以下「引用商標2」という。),別掲(2)のとおりの構成よりなり,第9類,第16類,第18類及び第25類に属する国際商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,2010年(平成22年)6月28日に国際登録され,平成23年7月29日に我が国において設定登録された国際登録第1048069号商標(以下「引用商標3」という。)ほか,登録第5010968号商標,登録第5394526号商標,登録第5442171号商標,登録第5417815号商標,登録第5379390号商標,登録第5527566号商標,登録第5476620号商標,登録第5490798号商標,登録第5497766号商標,登録第5451361号商標,登録第5480373号商標,登録第5527567号商標,登録第5495941号商標,登録第5417769号商標,登録第5417770号商標,登録第5375090号商標,登録第5327467号商標,登録第5409580号商標,登録第5409582号商標,登録第5419507号商標,登録第5409583号商標,登録第5542584号商標,登録第5043703号商標,登録第5431412号商標,登録第5562023号商標,登録第5423080号商標,登録第5630446号商標,登録第5389881号商標,登録第5590215号商標,登録第5730813号商標,登録第5689430号商標,登録第5613400号商標,登録第5644852号商標,登録第5644854号商標及び登録第5657923号商標であり,合計38件の登録商標である。
前記38件の商標をまとめていうときは,以下,単に「引用商標」という。
なお,請求人が引用する商願2012-89483号は,前記記載の登録第5730813号として平成27年1月9日に設定登録された。

第3 登録異議申立ての理由(要点)
本件商標の全指定商品についての登録は,以下の理由により取り消すべきものである。
1 「MONSTER」ファミリー商標の著名性
(1)申立人は,アルコールを含有しない飲料の製造,販売等を主たる業務とする米国の企業である(甲2,甲58)。
(2)申立人は,2002年(平成14年)にエナジードリンクの新ブランド「MONSTER ENERGY」を創設し,米国で同年4月から製造販売を開始した(甲4,甲7,甲18,甲58)。前記商品の発売開始以降,現在まで継続して,申立人の製造販売する全てのエナジードリンク(以下「申立人商品」という。)には,「MONSTER」と他の語又は文字を結合してなるファミリー商標が使用されており,かつ,ボトル缶には,「MONSTER」の文字が太字で顕著に表示されている(甲58,甲11?甲16等)。
(3)2002年(平成14年)から現在までの申立人商品に関する広告等活動費は,総額21億米ドルを超える(甲58)。その主な内容は,世界の有名アスリート・レーシングチーム及び競技会,アマチュア選手,音楽祭及びミュージシャン並びに米国ラスベガスの公共機関モノレールに対する支援活動(スポンサー提供)並びに販売店用什器及び備品の供給である(甲34?甲45,甲52,甲53,甲56?甲58)。
(4)日本国内での申立人商品の販売は,2012年(平成24年)5月8日からアサヒ飲料株式会社を通じて行われている(甲5?甲7)。その発売以降,同年9月時点で既に年間売上目標の100万箱を突破し,さらに販売を伸ばしている(甲8,甲9)。また,前記発売後,テレビでの広告や多数のスポンサー提供,サンプル配布などを含む大々的な広告等が実施された(甲58)。
(5)申立人は,現在までに世界100以上の国や地域で,申立人商品を販売している。販売額は,米国での販売開始以来,世界中で合計170億米ドルを超え,世界での小売販売額は毎年40億米ドルを超える。日本における申立人商品の販売数量は,2012年(平成24年)5月の販売開始から2013年(平成25年)3月までの約2年間に,約5500万缶を売上げ,総販売額は日本円で40億円以上に上る(以上,甲58)。
このように,「MONSTER」ファミリー商標は,申立人商品を表示するものとして,本件商標の登録出願日には既に,日本を含む世界中で著名性を獲得していた。
2 商標法第4条第1項第15号該当性
(1)本件商標の指定商品は,引用商標3及び登録第5689430号商標の指定商品と同一又は類似の商品を多く含む。また,本件商標の指定商品は,申立人がその商標を使用許諾しライセンシーを通じて「MONSTER」ファミリー商標が付されて実際に製造販売している運動用ヘルメット,かばん類及びTシャツ,帽子等のアパレル製品と同一又は類似の商品を多く含む。
(2)本件商標は,標準文字の英語の小文字で「chocolatemonster」と横書きしたものであり,外観及び称呼の面で冗長であることに加えて,本願商標全体が既成の意味又は観念を生じさせるものでもない。その一方,「chocolatemonster」の文字は,英単語の「chocolate」(チョコレート)と「monster」(モンスター)の2語を結合させてなる表示として容易に認識,理解できるものである。
よって,本件商標は,これを常に一体不可分のものとして看取されるとはいい難く,日常的に親しまれた観念を直観させる「chocolate」(チョコレート)と「monster」(モンスター)のそれぞれの文字部分が独立して取引に資する場面も多いと考えられる。
してみると,本件商標は,「monster」の文字部分に着目し,申立人の「MONSTER」ファミリー商標を想起連想し,本件商標を「MONSTER」ファミリー商標の一つであると誤信し,あるいは,当該商品が申立人と何らかの関係のある者の業務に係る商品であると誤信し,商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。
3 商標法第4条第1項第7号該当性
本件商標は,「monster」と他の語「chocolate」を結合させた構成を有する点において,「MONSTER」ファミリー商標と一致する。
したがって,本件商標の使用は,「MONSTER」ファミリー商標が獲得した信用力,顧客吸引力にフリーライドするものといわざるを得ず,申立人に経済的及び精神的損害を与える。
よって,本件商標は,社会一般道徳及び公正な取引秩序の維持を旨とする商標法の精神並びに国際信義に反するものであるから,公の秩序を害するおそれがあるから,商標法第4条第1項第7号に該当する。
4 むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第15号及び同第7号に違反してされたものであるから,取り消されるべきである。

第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第15号について
(1)申立人は,前記第2記載の引用商標を引用して,これらの商標を「MONSTER」ファミリー商標と称し,その著名性を主張した上で,本件商標は,「monster」の文字を有するから,これをその指定商品について使用するときは,商品の出所につき混同を生ずるおそれがある旨主張する。
しかし,商標法第4条第1項第15号は,周知表示又は著名表示へのただ乗り(いわゆるフリーライド)及び当該表示の希釈化(いわゆるダイリューション)を防止し,商標の自他識別機能を保護することによって,商標を使用する者の業務上の信用の維持を図り,取引者,需要者の利益を保護することを目的とするものであるから,保護されるべき商標が周知著名であることを要すると解すべきである(平成18年(行ケ)第10106号参照)ところ,申立人の提出した証拠によれば,我が国において,2012年(平成24年)5月8日に発売が開始された申立人商品は,その容器(主として缶)全体を黒く塗り,缶の側面の正面に当たる部分に,図案化し,緑色を施した「m」の文字(以下「『m』図形」という。飲料の種類により色が変化する。)を大きく表示し,その下に,図案化した「MONSTER」の文字を白抜きで横書きし,さらにその下に,「ENERGY」の文字を,「MONSTER」の文字に比べ,かなり小さく横書きしてなる構成の商標(以下「使用商標」という。)が圧倒的に多く,前記第2に示す38件の引用商標が全て使用されているというものではない(なお,使用商標は,別掲(1)及び(2)のとおりの構成よりなる引用商標2及び引用商標3と,色彩の点を除けば,実質的に同一の構成よりなるものである。)。
以上によれば,申立人が「MONSTER」ファミリー商標であると称する引用商標の著名性をいう申立人の主張は,失当というべきである。
(2)使用商標の著名性
そこで,申立人商品について主として使用される使用商標が,本件商標の登録出願日(平成26年2月14日)前より,我が国の取引者,需要者の間に広く認識されていた商標であるか否かについて検討する。
ア 申立人の提出した証拠(各項の括弧内に掲記)によれば,以下の事実を認めることができる(なお,インターネット情報や雑誌等において,掲載日又は発行日の明らかでないもの,訳文の提出がなく我が国で掲載又は発行されたものとは認められないもの,本件商標の登録出願日以降に掲載又は発行されたものと認められる又は写真や文字が不鮮明なものについては除く。)。
(ア)前記(1)のとおり,申立人商品は,我が国において,2012年(平成24年)5月8日に発売され(甲7,甲8等),その容器(缶)には,主として使用商標が表示されている(甲5?甲8,甲14,甲15)ところ,申立人商品は,その発売から同年9月までに,年間売上げ目標の100万箱(個数にして何缶かは不明である。)を突破し,157万箱の販売数となった(甲9等)。その後,2013年(平成25年)5月7日に,使用商標を付した新製品を発売した(甲10)。
(イ)申立人は,申立人商品について,前記我が国での申立人商品の販売直後である2012年(平成24年)5月17日から2か月間にわたり,50万缶のサンプルを路上配布したほか,同年6月2日及び3日に,渋谷において路上発表会で4万缶のサンプル配布をし,同年7月に,晴海フェリーターミナルにおいてパンクロックフェスティバルで5500缶のサンプル配布をし,さらに,2013年(平成25年)7月に,ライブ演奏会場で3500缶のサンプル配布,その他サーフィン大会の会場やロックコンサートの会場等においてサンプル配布を行った(甲58及び添付されたRCS-4?8,なお,甲58は,申立人の最高責任者の宣誓陳述書であるが,配布された申立人商品の缶数を裏付ける証拠の提出はない。)。
(ウ)申立人が,米国のレーシングチームのスポンサーとなったインターネット記事が日本にも報道され,その記事には,選手のユニフォームや車体等に,使用商標や「m」図形を表示した写真が掲載された(甲42の1等)。また,申立人は,日本のオートバイメーカーのカワサキのレーシングチームのスポンサーとなり,これがインターネット記事として報道された。当該記事には,選手のユニフォームや車体等に,使用商標や「m」図形を表示した写真が掲載された(甲44)。さらに,申立人は,主として外国のアスリートのスポンサーとなっていることをインターネット上に掲載している(甲45)。
(エ)申立人は,使用商標等を付した被服やステッカーなどの販売について,業者とライセンス契約を締結し,これら商品は,2011年(平成23年)1月頃から我が国においても,インターネット上で販売されている(甲47,甲48等)。
イ 前記アで認定した事実によれば,申立人は,主として米国において,レーシングチームやアスリート等のスポンサーなどをして,選手のユニフォームや車体等に使用商標を表示したこともあり,使用商標は,米国の取引者,需要者の間においては,申立人商品を表示するものとして知られていた商標であると推測し得るところである。また,我が国においては,申立人商品の発売直後に,東京を中心に,比較的若い世代が集まる繁華な場所やイベント会場等において,申立人商品のサンプル配布が行われことが認められ,使用商標は,その構成中の「m」図形が独特なデザインをもって,容器等に大きく表示されており,これがその取引者,需要者に強く印象付けられることも相俟って,本件商標の登録出願日(平成25年12月20日)前までには,「モンスターエナジー」との称呼をもって,申立人商品であるエナジードリンク(エネルギー補給飲料)を取り扱う分野の取引者及び若い世代を中心とした一般の消費者の間では,ある程度知られていたものと認めることができる。
しかし,申立人商品の我が国での発売直後に,そのサンプル配布が行われたとしても,その配布は,比較的若い世代が集まる繁華な場所やロックコンサート等のイベント会場において,当該場所に居合わせた人たちに配布されたにすぎず(前記認定のとおり,配布された本数を裏付ける証拠の提出はない。),これをもって,使用商標の著名性を直ちに基礎付けることはできない。また,申立人が我が国のスポーツ選手等のスポンサーになったといっても,その数はごくわずかである。さらに,申立人商品の日本での発売日である2012年(平成24年)5月8日から本件商標の登録出願日である平成25年12月20日までの間に,申立人が,我が国において,申立人商品に関するニュースリリース(甲7?甲10)を行ったこと以外に,継続して使用商標を付した申立人商品の広告等を積極的に行ったという事実を明らかにする証拠の提出はない。その他,使用商標ないしその構成中の「MONSTER」の文字部分が独立して,申立人商品を表示するものとして,本件商標の登録出願日(平成25年12月20日)及び登録査定日(平成26年6月6日)の時点において,我が国の取引者,需要者の間に広く認識されていたと認めるに足りる証拠の提出もない。
以上を総合勘案すると,使用商標は,申立人商品を表示するものとして,本件商標の登録出願日及び登録査定日の時点において,我が国の取引者,需要者の間に広く認識されるに至っていたとまでは認めることができない。
(3)本件商標と使用商標との類否
ア 本件商標
本件商標は,前記第1のとおり,「chocolatemonster」の文字を標準文字で同書,同大,同間隔に一連にまとまりよく表してなるものである。
そして,本件商標構成中の「chocolate」及び「monster」の文字は,それぞれが「チョコレート」及び「怪物」等を意味する英語として,いずれも一般に親しまれている語であり,本件商標の指定商品との関係では,自他商品の出所識別標識としての機能において軽重の差も認められない。
そうすると,本件商標は,前記のとおり,まとまりよく一体的な構成であること及びその構成文字のいずれかが強く支配的な印象を有するとすべき特段の事情も見いだせないことから,一連一体の商標として認識,把握されるものである。
したがって,本件商標は,その構成文字全体に相応して,「チョコレートモンスター」とのみ称呼されるものであって,「チョコレートの怪物」程の意味合いの観念を生ずるというべきである。
イ 使用商標
使用商標は,前記1(1)のとおり,色彩の点を除けば,引用商標2及び引用商標3と同一の構成よりなるものであるところ,その構成中の「m」図形とその下に書された文字部分とは,視覚上分離して看取されるばかりでなく,使用商標に接する取引者,需要者は,称呼しやすい文字部分を捉えて商品の取引に当たる場合が多いとみるのが相当である。
そうすると,使用商標は,書された文字全体を称呼した場合の「モンスターエナジー」の称呼を生じ,あるいは,特徴的に図案化し,看者の注意を引く「MONSTER」の文字部分より,単に「モンスター」の称呼をも生ずるものであって,「怪物的な活力」又は「怪物」程の観念を生ずるものといえる。
ウ 本件商標と使用商標との対比
(ア)称呼について
本件商標より生ずる「チョコレートモンスター」の称呼と使用商標より生ずる「モンスターエナジー」の称呼とは,共通する「モンスター」の称呼について,本件商標は称呼の後半に位置するのに対して,使用商標は称呼の後半に位置し,加えて,両者のその余の音がそれぞれ「チョコレート」と「エナジー」と明確な差異を有するから,明らかに聴別し得るものである。
さらに,本件商標より生ずる「チョコレートモンスター」の称呼と使用商標より生ずる「モンスター」の称呼とは,称呼全体としての構成音数が異なるばかりでなく,共通の「モンスター」の音を有するものの,本件商標の称呼前半の「チョコレート」の音の有無という顕著な差異により,それぞれを一連に称呼するときは,全体の語調,語感が著しく相違し,明らかに聴別し得るものである。
(イ)外観について
本件商標と使用商標とは,本件商標が標準文字で表されているのに対し,使用商標が前記1(1)のとおり,「『m』図形」を配してなる等の特徴を有するものであるから,外観上著しく相違するものである。
(ウ)観念について
本件商標は,「チョコレートの怪物」程の意味合いの観念を有し,使用商標からは,「怪物的な活力」又は「怪物」などの観念を生ずるから,観念においても,互いに類似するということはできないものである。
(エ)まとめ
したがって,本件商標と使用商標は,称呼,観念及び外観のいずれの点からみても,互いに紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
エ 出所の混同
前記ウのとおり,本件商標と使用商標とは,非類似の商標である。
さらに,本件商標の指定商品と申立人商品とは,商品の生産者,流通系統,販売場所等を異にするばかりでなく,商品の品質,原材料,用途等においても著しく異にするものであって,商品の関連性を有しないものである。
以上に加え,前記(2)認定のとおり,使用商標は,申立人商品を表示するものとして,本件商標の登録出願日及び登録査定日の時点において,我が国の取引者,需要者の間に広く認識されていた商標とはいえないことを考慮すれば,本件商標に接する取引者,需要者が,使用商標を連想又は想起することはないというべきであるから,本件商標は,これを本件登録異議の申立てに係る指定商品について使用しても,その取引者,需要者をして,該商品が申立人又はこれと何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように,商品の出所について混同を生じさせるおそれがある商標ということはできない。
(4)以上によれば,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当するものと認めることはできない。
3 商標法第4条第1項第7号について
本件商標は,前記第1のとおり,「chocolatemonster」の文字よりなるものであるから,その構成が,きょう激,卑わい,差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような文字よりなるものということはできない。また,本件商標は,使用商標とは,称呼,観念及び外観のいずれの点についても,明らかに相違する非類似の商標というべきものであるから,本件商標が,使用商標の顧客吸引力にフリーライドするものであるとか,使用商標を剽窃したものであるなど到底考えることはできず,本件商標の登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くと認めるべき事情があるものと認めることはできない。その他,本件商標が,「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」とみるべき理由があると認めるに足りる証拠の提出はない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に該当するものと認めることはできない。
4 むすび
以上のとおり,本件商標は,本件登録異議の申立てに係る指定商品について,商標法第4条第1項第第15号及び同第7号のいずれにも違反して登録されたものではないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 別掲
(1)引用商標2


(2)引用商標3


異議決定日 2015-06-03 
出願番号 商願2013-100231(T2013-100231) 
審決分類 T 1 651・ 22- Y (W1825)
T 1 651・ 271- Y (W1825)
最終処分 維持  
前審関与審査官 浦崎 直之 
特許庁審判長 田中 幸一
特許庁審判官 早川 文宏
前山 るり子
登録日 2014-06-06 
登録番号 商標登録第5676163号(T5676163) 
権利者 夢展望株式会社
商標の称呼 チョコレートモンスター 
代理人 佐久間 剛 
代理人 中熊 眞由美 
代理人 柳田 征史 

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