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審判番号(事件番号) データベース 権利
平成26行ケ10266 商標登録取消審決取消請求事件 判例 商標
異議2014900084 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W44
管理番号 1301757 
異議申立番号 異議2014-900096 
総通号数 187 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2015-07-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2014-03-28 
確定日 2015-05-27 
異議申立件数
事件の表示 登録第5640380号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5640380号商標の商標登録を取り消す。
理由 第1 本件商標
本件登録第5640380号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおりの構成からなり,平成25年3月19日に登録出願,同年12月13日に登録査定,第44類「美容,理容,美容院用又は理髪店用の機械器具の貸与」を指定役務として,同年12月27日に設定登録されたものである。

第2 登録異議申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,本件商標は商標法第4条第1項第8号又は同第15号に該当するものであるから,取り消されるべきものである旨申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第26号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 商標法第4条第1項第8号について
「Dole」及び「ドール」の語は,申立人の創設者の姓に因んで採用された申立人のブランドであり,以来,申立人等の弛まぬ営業努力により,日本はもとより世界各国において,高品質の青果物及び加工食品を指し示す著名なブランドとして認識されている。
本件商標が出願された2013年3月19日以前から,申立人は,「ドール」,「Dole」の愛称(略称)で親しまれており,同略称はすでに著名であったといえる。
本件商標は,黄色ないし金色に配色された欧文字「Dole」を横書きに表し,その下部に,高さ略1/6程度で小さく欧文字「Design of Luv n Edge」を横書きにしてなるものであり,申立人の名称の著名な略称である「Dole」を含む商標である。
そして,申立人が,商標権者に対して,同商標の使用ないし登録について承諾を与えた事実はない。
以上より,本件商標は,商標法第4条第1項第8号に該当することは明らかである。
2 商標法第4条第1項第15号について
申立人及び伊藤忠商事株式会社(以下「伊藤忠商事」という。)は,申立人の「Dole」ブランドを用いて,高品質の青果物及び加工品の製造・販売に従事してきたものであり,「Dole」ブランドは,日本及び世界各国において著名であるといえる。
「Dole」ブランドに係る商標が表象する申立人や伊藤忠商事の業務に係る青果物・加工食品と,本件商標の指定役務が類似するものでないとしても,商標権者による本件商標の使用により,申立人等の業務を表象する「Dole」商標が真っ先に想起される可能性が高いことは明らかであり,その場合には,恰も,商標権者が申立人等と何らかに関連を有する者であるかの如く誤認混同される虞を否定することはできない。
よって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当することは明らかである。

第3 当審における取消理由
当審において,商標権者に対して平成26年10月20日付けで通知した取消理由の内容は,以下のとおりである。
1 使用標章の周知性について
申立人の主張及びその提出に係る証拠によれば,以下の事実が認められる。
(1)申立人は,1851年に創業し,世界90カ国以上に拠点を持つアメリカ合衆国の多国籍農業・食品企業であり,その名称「ドール・フード・カンパニー・インコーポレイテッド(Dole Food Company,Inc.)」は,創設者James Doleの姓に因むものであり,合併の後1991年から使用をしている(甲2,3,9及び甲13)。
(2)申立人は,青果物事業において,世界最大級の生産・販売量を誇り,特にアジア市場(2011年)ではトップシェア(バナナ25%,パイナップル42%)を有している。
我が国においては,1965年に申立人の日本支社が設立され,1982年に日本法人「株式会社ドール」が設立されたほか,伊藤忠商事とは申立人の日本における事業パートナーとして1960年代より50年近くに亘り緊密な協業関係を継続しており,申立人及び伊藤忠商事は,「DOLE」の文字からなる標章又は,別掲2のとおりの構成からなる標章(以下,これらを一括して「使用標章」という。)をバナナ,パイナップル等の青果物を始め,加工食品等について使用している。使用標章を使用した商品の我が国における近年の売上高は,2010年12月期が619億円,2011年12月期が600億円,2012年12月期が610億円に達する(甲2ないし甲4)。
(3)伊藤忠商事は,申立人が保有するアジアにおける青果物生産・販売事業とグローバルに展開する加工食品事業を,2012年10月23日に新設したDole International Holdings株式会社を通じて申立人より取得することに正式合意した旨を2012年12月25日に公表した。
伊藤忠商事による上記申立人事業の買収については,その公表時のみならず,公表前の2012年9月頃から各種新聞,雑誌等において大々的に報道された(甲3,甲5,甲7ないし甲15,甲17ないし甲20)。
そして,上記報道記事においては,「伊藤忠があのドールを自社ブランド化」,「伊藤忠が米ドールの缶詰,飲料事業など買収へ」,「伊藤忠,米ドールの事業買収へ交渉」,「伊藤忠のドール買収案件,フィリピン農園でも驚き」,「伊藤忠:米ドールから買収の事業」,「伊藤忠,ドールの事業買収で新会社設立」,「伊藤忠商事がドールを買収」等の見出しが付けられ,記事中においても,例えば,「伊藤忠商事株式会社(・・・以下,「伊藤忠商事」)とDole Food Company, Inc.(本社:米国カリフォルニア州ウエストレイク・ビレッジ,以下,「Dole」)は,・・・Doleが現在保有するアジアにおける青果物事業とグローバルに展開する加工食品事業・・・Doleより取得することに正式合意しました。・・・伊藤忠商事は,Doleの日本における事業パートナーとして,50年近くにわたり同社の事業展開をサポートし信頼関係を構築してまいりました。」(甲3),「伊藤忠商事は25日,世界最大の青果物メジャーである米Dole Food Company,Inc.と,2012年12月6日・・・,Doleが現在保有するアジアにおける青果物事業とグローバルに展開する加工食品事業を,・・・。1851年に創業したDoleは,現在北米,南米,アジア,ヨーロッパなど世界90カ国以上で,バナナやパイナップルを生産する青果物事業及びフルーツや野菜の加工食品を製造する加工食品事業を展開している。」(甲13)のように,「Dole」の文字が,申立人の略称を表すものとして使用されているものである。
また,「Dole」の読みである「ドール」の片仮名は,例えば,「幼い頃,ドールはバナナ,しかも高級バナナの代名詞といっても過言ではなかった。そのドールが・・・」(甲5),「・・・ドールは,パイナップルの缶詰の生産では,北米で約60%のシェアを持つほか,アジアではフィリピンなどで大規模な農場を運営し,・・・」(甲7),「伊藤忠商事は13日,米食品大手ドール・フード・カンパニーの缶詰・飲料事業の買収に向けて・・・。ドール社が世界で展開している缶詰やジュースなどの加工食品事業と,・・・」(甲8),「伊藤忠商事は13日,米食品大手ドール・フード・カンパニーの加工食品事業などの取得に向けて・・・ドールが世界展開する缶詰や飲料などの加工食品事業と,・・・」(甲10),「米国ドールフードカンパニー(ドール社,カリフォルニア州ウェストレイク・ビレッジ)が保有するアジア青果物事業と・・・」(甲15),「『Dole(ドール)』の商品はスーパーのバナナ売り場などでよく見かけるので,皆さんもご存知だと思います。」(甲17),「今回の買収もドールの世界的知名度を活用しての市場拡大を意図したものである・・・」(甲18),「世界一のフルーツ・野菜供給企業ドールは伊藤忠商事に・・・」(甲20)等のように使用されているものである。
(4)上記の事実を総合すれば,使用標章は,申立人の業務に係る商品であるバナナやパイナップル等の青果物や加工食品を表示するものとして,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,我が国の取引者・需要者の間に広く認識されていたものと認められる。
そして,「ドール」及び「Dole」の文字は,使用標章の周知性と相まって,申立人の略称として我が国において広く知られているものということができる。
2 商標法第4条第1項第8号該当性について
本件商標は,別掲1のとおり,「Dole」の文字が圧倒的顕著に表されており,該文字部分自体が独立して看者の注意を強く惹くものである。
そして,本件商標中の上記「Dole」の文字は,上記1の申立人の名称の著名な略称である「Dole」と同一の綴りであって,同一の称呼を生ずるものであるから,本件商標は,他人の名称の著名な略称を含むものであることは明らかであり,かつ,申立人の承諾を受けたものとは認められない。
3 まとめ
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第8号に違反して登録されたものと認められる。

第4 商標権者の意見
上記第3の取消理由に対し,商標権者は何ら意見を述べるところがない。

第5 当審の判断
本件商標についてした前記第3の取消理由は,妥当なものと認められる。
したがって,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第8号に違反してされたものであるから,同法第43条の3第2項の規定により,その登録を取り消すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 別掲1 本件商標(色彩については,原本を参照されたい。)





別掲2 使用標章のひとつ(色彩については,原本を参照されたい。)





異議決定日 2015-03-03 
出願番号 商願2013-19819(T2013-19819) 
審決分類 T 1 651・ 23- Z (W44)
最終処分 取消  
前審関与審査官 日向野 浩志 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 田中 亨子
井出 英一郎
登録日 2013-12-27 
登録番号 商標登録第5640380号(T5640380) 
権利者 山本 剛
商標の称呼 ドールデザインオブラブエヌエッジ、ドール、デザインオブラブエヌエッジ 
代理人 岩瀬 吉和 
代理人 北口 貴大 
代理人 城山 康文 
代理人 永岡 愛 

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